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『女の子はどう生きるか』

2021年5月5日

今日は「こどもの日」です。
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる趣旨で制定されました。

「こどもの日」の今日は、10代の女子たちが自分らしく幸せに生きていくために
ぜひ読んで頂きたい本をご紹介します。

『女の子はどう生きるか 教えて、上野先生!(岩波ジュニア新書』

上野先生というのは、富山出身の上野千鶴子さんのことです。

上野さんは、2019年の東京大学入学式の来賓祝辞のあと、
若いひとたちのあいだで知名度があがり、
高校からの講演依頼が増えているのだとか。
ちなみに、この本にもその祝辞がのっています。

『女の子はどう生きるか』というタイトルを見て
ピンときた方もいるかもしれませんが、
漫画化もされた吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』からきています。
上野さんは、「君たち」と呼びかけられるたびに、ざらっとするそうです。
なぜなら「君たち」は男子であることが多いから。
そこで、女子たちに向けて「女の子はどう生きるか」という本を書かれたそうです。
と同時にこの本は「女の子はどう育てるか」の本にもなっています。
いや違うな。10代の女子たちや、親御さんだけでなく、
昔からの古い価値観のままの大人たち(男女問わず)こそ読むべき一冊だと思います。

だって、10代の女子たちがこの本を読んで
上野さんのアドバイス通りに生きようと思っても、
大人たちが理解していなければ女子たちの翼は簡単に折られてしまうと思うから。
だからこそ大人たちにも読んで頂きたい。

この本は、高校生からの質問に上野さんが答えるというQ&A方式で構成されています。

例えば

生徒会長はなぜ男子だけなの?先生はこれが伝統だからと言います。

これに対する上野さんのアンサーが鋭すぎて思わず笑ってしまいました。

「オトナが「伝統」を持ち出したら、答えられないのをごまかしてるだけ!」

これ、最初の質問なのですが、一問目から切れ味最高です。
こんな感じでバッサバッサと切っていきます。

他には

・理系研究者は女子には無理なの?
・セレブな専業主婦になりたいけど、だめ?
・医学部に行きたいのに女の子なら看護師になれと親に言われた
・どうして日本は女性の政治家が少ないの?
・収入、学歴、背の高さは男性より低いほうがつきあうときや結婚では有利なの?
・彼氏に女子力が低いと言われた

などがあります。

どの質問に対しても、上野さんは話しことばでわかりやすく答えています。

上野さんのアドバイスは、大人の私でも役に立つことばかりです。
一番印象に残ったのは、

「あなたの『これってヘン』という感覚を、これからも大事にしてくださいね」

そうそうそうなのよー!と共感。
でも、私の場合、それおかしく無い?と直接指摘することもある一方で
「まあ、ヘンだけど仕方ないか」と諦めてしまうこともあるので、
これじゃダメだなと反省しました。

時代とともに「常識」は変わっていますしね!

つまり。

昔刷りこまれた古い価値観のままの大人たちが
良かれと思ってした若者たちへのアドバイスが、
今の時代では非常識になることもあるのです。
最近、失言のニュースも多いですよね。
それは価値観をアップデートできていないということです。

自分の価値観が古いかどうかはこの本を読んで確かめてみてください。

もし、この本を読んでイライラしてしまったら…
つまり、そう言うことですね。

私は10代の女子ではなく、もうすっかり大人の女性ですが、
この本を読んで本当に良かったです。
大変面白かったですし、読んだ後は心がスッキリしました。

そうそう、本の最後には、女の子たちにオススメの
本や映画がたくさん紹介されています。
このリストがとてもいいセレクトです。
中には、ドラマ化された『その女、ジルバ』
『逃げるは恥だが役に立つ』などの話題作もあります。

yukikotajima 11:05 am

『脳から見るミュージアム』『ポーラ美術館コレクション展』

2021年4月28日

「先日、神奈川の箱根に行ってきました♪」

今の私はすっかりそんな気分です。
まあ、実際私が訪れたのは富山県美術館なのですけどね。

先週の土曜から富山県美術館では、
『ポーラ美術館コレクション展—印象派からエコール・ド・パリ—』
を開催しています。

ポーラ美術館の収蔵作品から、
モネやルノワールの印象派、
セザンヌ、ゴッホなどのポスト印象派、
マティス、ピカソといった20世紀を代表する画家たち、
そしてユトリロやシャガールなどのエコール・ド・パリに至るまで、
フランスで活動した作家の絵画と、化粧道具が展示されているという
大変豪華な展覧会です。

※一部の作品は撮影可でした。

◎企画展の詳細は コチラ

作品は時代ごとに展示されているので
各時代のトレンドや特徴がわかりやすい上、
作品の鑑賞ポイントも書かれていたため、
じっくり味わいながら鑑賞できました。

個人的には、以前、東京の美術館に企画展を見に行った
「ピエール・ボナール」や「セザンヌ」の作品は
内心興奮しながら鑑賞しておりました。

そして、これらの作品がここ富山で見られることを嬉しく思うだけでなく、
裏で大勢のスタッフの皆さんが尽力されたのよねと思ったら、
心の中で「ありがとうございます」とお礼を言わずにはいられませんでした。

そんな風に思えたのはこの本を読んだからです。

『脳から見るミュージアム アートは人を耕す(講談社現代新書)』


この本は、人気脳科学者の中野信子(なかの・のぶこ)さんと
東京藝術大学大学美術館准教授の熊澤弘(くまざわ・ひろし)さんが
ミュージアムについてお話になったものをまとめたものです。

タイトルを見ると難しそうですが、まったくそんなことはありません。
対談形式なので読みやすいですし、何より読んでいて楽しかったです。

私がこの本を選んだ理由は、本の帯に
「無数のコレクションがコロナ禍に疲れた脳に効く!」とあったからです。

とは言え、日本では「美」を感じることは不要不急のものと思われがちです。

しかし、そうではないことが、
4万〜4万4500年前のホモ・サピエンスの研究結果からわかったそうです。
絶滅したネアンデルタール人と違って、
今も生き延びているホモ・サピエンスは「美」を必要としていたのだとか。
詳しくは本を読んでいただきたいのですが、
つまり「美」は生きるために必要不可欠なものだということです。

この本では、その「美」を感じることができる場所である
ミュージアムの歴史や存在する意義のほか、
論争やワケありといったミュージアムの影の部分、
日本の面白い美術館や作品の見方、
そして、なぜアートが必要なのかなど、
様々な角度からミュージアムやアートの基礎知識が学べます。

へぇぇと思ったのは、作品の鑑賞時間に関する話題です。
なんと作品一点に7秒しかかけられていないんですって。
短いっ!

また、脳と絡めながらの話題も多く、
例えば、人間の脳は使ううちにゴミがたまるそうで、
それを寝ている時に洗い流しており、
その結果、記憶のつながりもよりよくなるそうなんです。

休館中や展示をしていないときのミュージアムも
まさに同じような作業をしているのだとか。
しかも、その見えにくいものこそ、ミュージアムの根本をなす仕事なんですって。

そもそもミュージアムには、作品を展示するだけでなく、
資料を収集し、調べ、保管するという公的な役割があるのです。

また、常設展にはその美術館の基礎的な活動が見えるので、
ぜひ見ていただきたいそうです。

といった感じで、様々な角度からミュージアムについて知ることができます。
ちなみに私が紹介したのはほんの一部です。正直、かなりディープな話もあります。
美術館に寄せられたクレームとか、ワケあり作品とか。。。

でも、私はこの本を読んだことで、美術館が身近な場所に感じられました。
一見、近寄りがたそうな高尚な雰囲気を醸し出しているものの、
実はとても人間味あふれる場所なんだなと思いました。
いや、人間臭さといったほうが合うかも。

この本を読んで私が一番印象に残ったのは、
短絡的に目減りするものより、
未来に生きる記憶としての知識を蓄積していったほうがいい。

というご意見です。

ミユージアムに行くと、知らず知らずのうちに
体の中で化学反応が起こることがあるのだとか。
すぐには変わらないかもしれないけれど、3年後、10年後には変化があるそうです。

ミュージアムに行くことで得られる知識が蓄積していくって、素敵だと思いませんか?
あなたも未来の自分のために、ミュージアムに行ってみてはいかがでしょう。

yukikotajima 10:10 am

『52ヘルツのクジラたち』

2021年4月21日

先週の水曜日、全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ
「本屋大賞」の授賞式が行われました。

◎本屋大賞の公式サイトは コチラ

ちょうどgraceの生放送中に受賞作が発表され、
大賞に町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち(中央公論新社)』が選ばれました。

先週の放送では、ノミネート作の『お探し物は図書室まで』をご紹介しましたが、
こちらは惜しくも2位でした。

◎私の本の紹介は コチラ

ちなみに3位は、私が1位予想をした
伊吹有喜さんの『犬がいた季節(双葉社)』でした。
こちらも惜しかった!

◎私の本の紹介は コチラ

私はノミネートされた10作品のうち7作品読んでいたにもかかわらず、
大賞受賞作は読んでいなかったので早速本屋さんに買いに行き、読んでみました。

もう本の帯には「本屋大賞第1位」とありました。はやいっ!

なぜ私がこれまでこの本を読まなかったのかというと、それには理由があります。
いや、言い訳ですね。(笑)

話題になっているのは知っていたのですが、
本の紹介に「孤独」や「虐待」といった言葉があり、
本を読んで辛い思いを味わいたくないと思ってしまったのです。

また、去年からのコロナ禍で孤独を感じている方も多いですし、
できれば、読んだ後に元気になったり、何か気付きを得たり、
単純に面白かったりするような本を紹介したいと、
特に去年はそんな思いで本を選んでいました。

でも、読む前のイメージだけで決めつけてはいけませんね。

『52ヘルツのクジラたち』は、確かに読むのが辛くなるような描写もあります。
でも、決して辛く暗いだけのお話ではありませんでした。
なんなら読んだ後に嫌な気持ちになるどころか、心が軽くなっていました。

この作品は本屋大賞を受賞したことで
すでに様々なメディアで紹介されていますが、
私からもどんな作品なのか簡単にご紹介しますね。

タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、
他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く、
世界に一頭しかいないクジラのことだそうです。

仲間がいても何も届かないし、届けられないため、
世界で一番孤独だと言われているのだとか。

そして、この物語にも孤独を感じている人たちが出てきます。

主人公はアラサーのキナコという女性です。
物語は彼女が大分の亡き祖母の家に移り住んだところから始まります。

ある理由からひとりでそっと生きていきたいと思い、
携帯電話も解約し、親しかった友人にも連絡せず、
たった一人で大分の田舎町に引っ越します。

とはいえ田舎町でひっそりというのは無理な話で、
町の誰ともと交流せず仕事もしていないため
町の住民たちから「何か訳ありに違いない」と噂の対象になってしまいます。

そんなある日、キナコは親の虐待で口がきけなくなった少年に出会います。

キナコは少年が自分と同じ匂いがすることに気付きます。
自分と同じ「孤独の匂い」が。
孤独の匂いは心にしみつき、なかなか消えないのだとか。

キナコは少年を放っておくことができず、彼との交流がはじまります。

ひとりでひっそり暮らしていきたいと思ったキナコでしたが、
この少年をはじめ様々な人と触れ合うことで
キナコは避けていた自分の過去とも向き合うようになります。

本だから声は聞こえないはずなのだけど、
私にはキナコの声が変化していくのが感じられました。

キナコがどう成長していくかは、
ぜひ本を読みながら見守っていただければと思います。

そうそう!

最後に、本の帯の裏側をチェックするのをお忘れなく〜。
なんとスピンオフが収録されているのです。

この短編を読んだら、また最初から本編を読みたくなってしまったのですが、
最初のパートは、1度目とは全く異なる物語に感じられました。
特に1ページ目は、笑いながら読んでしまいました。
180度物語が変わるってすごいわ。

この本を読む前は、暗く辛い物語はちょっと…と思っていたけれど、
まさかこの本を読んで笑うことになるとは。

やはり読書って面白い。

yukikotajima 10:01 am

ビビビとジュルリ

2021年4月15日

今月から木曜graceに新コーナー「シン・トヤマ」がスタートしました。
富山の「新」しいスポットの他、「芯」となるお馴染みの富山もご紹介していきます。
ラジオをお聞きの皆さんからの「シン・トヤマ」情報もお待ちしています。


さて、今週は、富山の新しいスポット「新富山」をご紹介します。

先週末4月10日(土)に富山県美術館3階にオープンしたばかりの
レストラン「BiBiBi & JURULi(ビビビとジュルリ)」です。

FMとやま新人アナウンサーの「みなこちゃん」こと
水梨子(みずなし)アナと行ってきました♪
(みなこちゃんと呼んでるのは私だけかも。笑)

美術館の中のレストランということで、テーマは「アートとイート」

アートで感性を“ビビビ”と
イートで食欲を“ジュルリ”と
刺激するような場を目指しているそうです。

メニューにも「アートとイート」が体現されており、
美術館に所蔵されている作品にインスパイアされたメニューもあります。

例えば、カンディンスキーの作品にインスパイアされたという
富山の旬の食材をふんだんに使った“コンポジション”プレートは、
色とりどりの料理が様々な器に盛り付けられているのですが、
なんと、これらの器を並べ替えて楽しむことができるんです。

ポロックの作品にインスパイアされた“アクション・ペインティング”カレーは、
2色のカレーとカラフルな野菜を混ぜることで、見た目と味わいの変化が楽しめます。

このカレーが美味しかった!
トマトソースのカレーと白エビと牛乳がベースのカレーは、
単体でも混ぜても美味でした〜。

運ばれてきた料理をただ食べて終わりではなく、
ひと手間加えることでアート体験になるのですね。
それも誰でも簡単にできるのがいいですよね。

また、アートだけでなく富山にもこだわっているそうで、
食材は県内 15 市町村で生産されているものを、
食器は富山の職人さん達が作った伝統工芸品を使用しているそうです。
しかもオリジナルを。
食器は木のプレートに鋳物、陶器、磁器、ガラスなどがあり、
それぞれの質感の違いはもちろん、見た目と素材のギャップも楽しめました。

例えば、“コンポジション”プレートの白い四角い器は一見陶器に見えますが、
なんとアルミ製なんだとか。確かに持ってみたら軽くてびっくり。

“コンポジション”プレートは器を動かして楽しんでいただくメニューですから
軽い上に割れる心配が無いは安心ですよね。

ちなみに、これらの器はいずれ店内で買えるようになるのだとか。
また、えごまドレッシングや白エビカレーの販売も予定しているそうですよ。

メニュー表も楽しかったです。

まるで新聞のようなメニュー表には、
メニューのほか、富山で作られた食器の特徴や、
コンポジションってなに?アクション・ペインティングってなに?
といったアートに関する言葉の解説などもあり、
読み物としても楽しめました。
これなら、お料理を待つ間も飽きることはありませんよね。
なお、メニュー表は持ち帰りOKです。

そして、このレストランの最大の魅力は、
大きなガラス窓から見える素晴らしい景色です。
晴れた日には青空と立山連峰を眺めながらお食事が楽しめます。

店内にはその青空を彩るアート作品もあります。
安野谷昌穂(あのたに・まさほ)さんのペインティングやモビール型の立体作品です。

安野谷さんは自然の中で見つけたものなどを活用しているそうで
遠くから見るとオシャレな雰囲気ですが、
よーく見ると一つ一つは面白いアイテムが使われています。


「ビビビとジュルリ」は、様々な角度から楽しめるレストランでした。

「でも、アートはよくわからん…」という方でも大丈夫です。
誰でも簡単にアートに触れることができますので♪

私はアートが(詳しくはないものの)好きで
富山県美術館にはもう何度も足を運んでいますが、
今後はこのレストランもセットで楽しんでいこうと思います。

なお、現在美術館の1階TADギャラリーでは、
映画化もされた写真集『浅田家』でおなじみの写真家、
浅田政志さんの写真展「私の2020年」を開催中です。
浅田さんが富山の人々を撮影した写真などが展示されています。

浅田さんの写真って、たった一枚の写真から
動きやストーリーが感じられるので好きなんですよねー。
写真の中の富山の皆さん、とてもいい顔されてましたよ。
観覧無料ですし、ぜひレストランの帰りにでも立ち寄ってみてください。

そして、4月24日(土)からは、
「ポーラ美術館コレクション展—印象派からエコール・ド・パリ—」
が始まります。
モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、マティス、ピカソなどの作品
が勢揃いする超豪華な展覧会です。ああ、早く見たい〜。

なお、「ビビビとジュルリ」では今後、
企画展と連動したメニューも登場するそうですよ。こちらも楽しみ!

ぜひ皆さんも美術館での絵画鑑賞と合わせて、
新しくできたレストラン「ビビビとジュルリ」もお楽しみください。

◎ビビビとジュルリの公式サイトは コチラ

◎富山県美術館の公式サイトは コチラ

yukikotajima 9:20 am

『お探し物は図書室まで』

2021年4月14日

今日の14時30分ごろ、今年の「本屋大賞」が発表されます。

本屋大賞は全国の書店員の投票だけで選ばれる賞で、
大賞受賞作は書店員が今一番売りたい本ということになります。

大賞受賞作は本が売れるだけでなく、映画・ドラマ化されることが多いので、
本を読まない人たちからも注目を浴びます。

例えば、湊かなえさんの『告白』小川洋子さんの『博士の愛した数式』
などは映画化され、話題になりましたよね。
2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』
も先日、映画化されることが発表されたばかりです。

本が大好きな全国の書店員の皆さんが「とても面白いので是非読んで!」
と熱く推薦しているだけあって、やはり大賞受賞作はとても面白いのですが、
実は事前に発表されるノミネート作にもいい作品がそろっています。

本好きの方の中には、ノミネートされた10作品すべてを読んで
どれが1位になるかを予想して楽しんでいる方もいます。

私が読んだのは7作品ですべてを読んでいないのですが、
読んだ中で1位を予想するなら伊吹有喜さんの『犬がいた季節』かな。

◎私の感想は コチラ

でも、山本文緒さんの『自転しながら公転する』も良かったなあ。

◎私の感想は コチラ

なんて挙げていくと止まらなくなりそうですが、
どれが選ばれるかな?と予想するのも楽しいものです。

さて、今年の本屋大賞は、どの作品が選ばれるのでしょうね。
私の予想は当たるのか!?ドキドキ。
発表され次第、graceの中でもお伝えしますね。

◎本屋大賞のサイトは コチラ

***

さて、今日ご紹介する本は、今年の本屋大賞にノミネートされている作品です。

『お探し物は図書室まで/青山美智子(ポプラ社)』

ノミネート作の中からまだ読んでいないものを選んでみました。
なぜこの作品にしたのかというと、今の時期に合っているように思えたからです。

新年度が始まって今日でちょうど2週間です。
新社会人の中には「今の仕事は向いていないかもしれない」
と思い始めた方もいるのでは?

また、産休・育休中の方の中には同期の出世を知って
羨ましく思っている方もいるかもしれません。

そのほか、働きたくてもうまく働けない人や、
定年退職したものの毎日をどう過ごしていいかわからない人、
本当にしたいことは別にある人など、
仕事や人生について人知れず悩んでいる方はいませんか?

もしどれか一つでもあてはまるようなら、この本を読んでみてください。
読んだ後はきっと心が軽くなると思います。

『お探し物は図書室まで』は連作短編集で、
まさにさきほど挙げた悩みを抱えた5人が登場します。

皆、偶然訪れた町の小さな図書室(図書館ではなく図書室です!)で
司書の女性に探している本を見つけてもらうのですが、本のリストには
目的の本とは別に絵本や図鑑といった関連性のない本も一冊入っています。
そして、リストとともに渡されるのが、
本の付録だという司書さん手作りの羊毛フェルトです。

だいぶ意味が分からないですよね。(笑)

でも、悩める5人は、その本と羊毛フェルトのおかげで、
本のタイトルにもなっている、自分が本当に「探している物」に気付きます。
どのように気付いていったかは、ぜひ本を読んでお確かめください。

ちなみに、この司書さんがなかなかに癖のある人物でして、
その見た目は『ゴーストバスターズ』に出てくるマシュマロマンとか、
ベイマックスようだと表現されます。つまり色白で体が大きいのです。
そして基本的には不愛想です。
でも聞き上手なので、彼女の前ではつい本音がこぼれてしまいます。

私はこの説明からマツコデラックスさんを思い浮かべてしまったため、
脳内では声も表情もマツコさんで再現され続けました。(笑)
いつかドラマ化されたらぜひマツコさんに演じていただきたいわ。

さて、このマツコさん、いえ、司書さんがズバリ悩みを解決するのではなく、
あくまでも誘導、アシストするだけで、皆自分で気付いていきます。

そして、この気付きの過程で出会った人たちの発言が素晴らしいのです。

例えば「夢はあるけど今は時間もお金も勇気もない」という人に対して、
すでに夢を叶えた人が放った言葉がこちら。

「『ない」がある時点でだめ。『ない』を『目標』にしないと」

今はコロナ禍ということもあり、私自身『ない』ことは仕方ない
と思っているところがあったので、ドキリとしました。

この「ドキリ」が本を読みながら何度もやってきました。
それから涙も。思いがけず何度も泣いてしまいました。(いい涙です)

今の仕事や生き方に悩みを抱えている方はもちろん、
新社会人の方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
仕事に関するマニュアル本を読むよりこの本を読んだほうが、
きっと心が動くと思います。

私は心、動きましたよ!
そして、この先、迷ったり悩んだりしたときは、またこの本を読みたいなと思いました。
あと、作中に出てくる本も読んでみたくなりました。
まずは久しぶりに『ぐりとぐら』を読んでみようかな。

おまけ。

なんとまるで図書室の本のような装丁です。
ここにもぜひ注目してみてね。

yukikotajima 9:04 am

福光美術館を堪能してきました。

2021年4月8日

今月から木曜graceに新コーナー「シン・トヤマ」がスタートしました。

北陸新幹線開業以降、富山の新スポットが続々と登場しています。
その一方で、昔から長く愛されるお馴染みの富山も見直されています。
コロナ禍を経て地元富山を楽しむ人も増えていますよね。

このコーナーでは、新しい富山の他、
「芯」となるお馴染みの富山もあわせてご紹介していきます。

ラジオをお聞きの皆さんからの「シン・トヤマ」情報もお待ちしています。


さて、今週は皆さんにぜひ行っていただきたい
昔からある富山のスポット「芯富山」をご紹介します。

南砺市にある福光美術館です。

山の中の自然に囲まれた美術館で、
先日訪れた時もウグイスをはじめ様々野鳥が鳴いていました。

館内には、福光に疎開していた版画家の棟方志功や
福光で生まれた日本画家の石崎光瑤の作品が常設展示されています。

中でも私が好きなのが石崎光瑤の「雪」という作品です。

木の枝に雪が積もっている絵なのですが、
枝が垂れ下がっている様子から
北陸地方の水分を含んだ重たい雪であることが分かります。

また雪は何度も厚く塗り重ねているため、
いかにも重たそうなのが伝わってきます。

今にも木から雪が落ちてきそうな気配もあって、
白を基調としながらも躍動感が感じられる、
私のお気に入りの作品です。

まだ見たことのない富山の皆さん、
ぜひ間近でその迫力をご堪能ください。

***

そして、福光美術館と言えば、現在、話題の企画展を開催中です。

「アートって何なん? ーやまなみ工房からの返信ー」です。

この企画展が大人気で、来場者数は例年の倍以上なんですって。
年齢層も幅広くリピーターの方もいるそうです。

この企画展は、社会福祉施設「やまなみ工房」
生み出された作品を展示しているものです。

作品を制作しているのは、施設を利用している障がい者の皆さんで、
もともとは美術とは無関係だったそうです。
では、スタッフが教えたのかというと、
スタッフも美術を学んだことはないのだとか。

でも、彼らの作品は今、世界で高い評価を得ています。

そこで、企画展のタイトルにもなっている
「アートって何なん?」となるわけです。

そもそもアートとは何なのか。
その答えと出合えるのが、この企画展です。

展覧会を企画した学芸員の土居彩子(どい・さいこ)さんによると

「アートとは作品そのものというより、自分の好きな世界を貫き通すこと」

だそうです。

どの作品も制作者の思いのままに作られており、
他の人の手が加わることは無いそうです。
まさに純度100%の作品です。

様々な形や色のボタンが縫い付けられた「ボタンの玉」

ずらりと並ぶお地蔵さん

様々な色の糸で表現された「ゲルニカ」

など唯一無二の作品ばかりです。

館内では制作風景を動画で見ることができるのですが、これがとても良かったです。
約8分くらいですので、ぜひご覧ください。

テレビの中の皆さんはキラキラの瞳で、とても楽しそうに制作していました。
また、色を塗るにしても線を描くにしても、迷いが無いのが印象的でした。
すうっと勢いよく筆を走らせていくさまの、何と気持ちのいいことか。

ここまで好きなものと出合えるなんて羨ましいと思ったのですが、
実は、やまなみ工房のスタッフが様々な画材を用意して、
一人一人に合ったものを本人に見つけてもらっているのだとか。
やはりしっくりくる画材と出合った時は嬉しそうなんですって。

でも、全員がすぐに見つかったわけではなく、
中には10年かかってようやく出合えた人もいたそうです。

また、制作には口を挟まず表現は全て任せているそうです。
だからどこまでものびのびと好きな世界を表すことができるのですね。

ぜひ皆さんも会場で作品を見て、
「アートって何なん?」の答えを見つけてみてください。

また、会場までの通路に飾られた制作者の皆さんの顔写真もご覧くださいね。
この写真がこれまたとてもいいので。

ところで、福光美術館でこの企画展を開催した理由の一つは、
版画家の棟方志功とも通ずるところがあるからだそうです。

企画展を見た後に常設展の棟方志功の作品を見ると、
皆さんもきっと納得されると思います。

ですから企画展だけでなく、常設展も必ず鑑賞してくださいね。
私のイチオシ、石崎光瑤の「雪」もお忘れなく〜。

また、2階で開催中の企画展
「beのコトと人とこの美 Art session in Nanto」もあわせてどうぞ。
こちらでは富山を含む9県から集まった「アール・ブリュット」を紹介しています。

アール・ブリュットとは、
美術の教育や既成概念の影響を受けず、
衝動のままに表現された作品のことです。

日本では「障がい者のアート」と言われることが多いものの、
それだけを指すわけでは無いそうです。

やまなみ工房の作品は、同じ施設で生まれているのに対し、
こちらは個々の家で生まれていることもあり、よりディープ感があります。

そのほか、4月18日(日)には、「じょうはな座」で
やまなみ工房ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」の上映会が、
26日(月)には、いのくち椿館で
やまなみ工房の山下施設長の講演会がありますので、
これらもあわせてお楽しみください。

◎福光美術館のサイトは コチラ

帰りに新富山スポットにも寄ってきました。

去年9月にオープンしたスターバックスコーヒー 射水歌の森運動公園店です。

店内に飾られているアール・ブリュットを見たかったのです。

作品は高岡市のNPO法人 障害者アート支援工房
「COCOPELLI(ココペリ)」の協力のもと制作されたそうです。

鮮やかな色彩の作品を見ながらコーヒーを飲んで過ごすひととき。良い時間でした。


今の時代、人の顔色をうかがってばかりで、
自分の本当の気持ちがよくわからなくなってきた…
という方もいるのでは?

そんな皆さんは、ぜひ彼らの作品に出合ってみてください。
心、潤いますよ。

yukikotajima 10:43 am

『クララとお日さま』

2021年4月7日

日々、生活を便利にする新しいアイテムが登場しています。
携帯電話にパソコンにスマートフォン。
20年前はスマホが無くても十分便利だったのに、
今やスマホの無い暮らしなんて想像できません。

そのうち、見た目は人と同じで感情もある
AIロボットが当たり前になる日もやってくるのでしょうね。
ロボットがいない生活なんて信じられない!なんて言っているのかな。

今日ご紹介する本は、まさにそんなAIロボットがいる時代の物語です。

『クララとお日さま/カズオ・イシグロ、翻訳:土屋政雄(早川書房)』

『クララとお日さま』は、2017年にノーベル文学賞を受賞した
日系イギリス人作家、カズオ・イシグロの最新長篇です。

カズオ・イシグロは長崎生まれで、
1960年の5歳のときに父親の仕事でイギリスに渡り、
以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景に育ち、
その後、イギリス国籍を取得されました。

代表作の『わたしを離さないで』は、
2016年に綾瀬はるかさん主演でドラマ化されたほか、
映画化、舞台化もされるなど話題になりました。

新作の『クララとお日さま』は、ノーベル文学賞受賞後初となる
6年ぶりの新作ということで、日本はもちろん世界中で話題となっています。
予約だけで累計発行部数が65,000部に達したそうですよ。

先日本屋さんに行ったら、この本がずらりと並んでいて、
まるで一枚の壁のようになっていました。
それがとてもオシャレな雰囲気でした。
というのも装丁が素敵なのです。
大きなひまわりと、その横に小さな女の子が立っているイラストで、
まるで絵本の表紙のようです。

***

『クララとお日さま』の主人公は、
人間の形をした人工知能搭載ロボットの「クララ」です。

10代の若者が大人になる手助けのために開発されたAIロボットで、
物語はクララの語りで進んでいきます。

え?AI目線で面白いの?と思う方もいるかも知れませんが、
ロボットとは言え感情や個性もありますので、決して単調ではありません。
それどころか、突飛な行動に出たり、
物語もどこに向かっていくのかわからなかったりするので、
飽きることは一切ありませんでした。

ほぼ人間と変わらないクララですが、違うところもあります。
それは栄養は食事からではなく、お日さまから得ているということです。

本のタイトルにも「お日さま」がついていますが、
クララにとって、お日さまは心身ともに支えてくれる大切な存在です。

物語は、クララが町のショップでほかの様々な商品と並んで、
誰かに買ってもらうのを楽しみにしているところからスタートします。

ところが、優れたロボットでありながらも
型落ちのクララは、なかなか買い手がつきません。

店内の一番目立つところからどんどん後ろへと下げられる中、
病弱な少女「ジョジー」に気に入られます。

ジョジョーは母親と家政婦と暮らし、隣の家には親友の少年が住んでいます。
でも、彼は他の子どもとは何かが違うらしいことがわかります。
他にもおかしなことが色々とあり、なんだか不穏な気配で、
『わたしを離さないで』を読んだときの感覚が蘇ってきたのですが、
著者のイシグロさんによると、新作はこれまでに発表した
『わたしを離さないで』と『日の名残り』の流れをくむものになっているそうです。

そして、その不穏な空気の中で様々な謎が生じ、
いったいどういうことなの?と思ったときにはもう、
本のページをめくる手が止まらなくなっています。

病弱で家で過ごすことの多いジョジーにとってクララは大切な存在です。

クララの仕事は「人の孤独」を癒すことでもあるので、
ジョジーがさびしさを感じないよう献身的に尽くします。

クララにとって一番大事なことは「ジョジーの幸せ」です。
そのためなら、どんなことでもします。
自分のこれまでの知識や経験をフル活用しながら、最善の選択をしていきます。

私たち人間は、きっとたくさん悩みながら物事を決めていくと思うのですが、
クララは「ジョジーの幸せ」だけを考えて選択していきます。
ブレがありません。

でも、ジョジーの心を100%理解できるかといったら、これはかなり難しい。
「心」と「感情」は似ているようで、違うものなのですよね。

そして、クララはある答えにたどりつきます。

***

物語はAIロボットのクララの語り口で進んでいくので
文章そのものは難しくなく、さらりと読めます。
でも、内容は濃かったです。放っておけない様々な問題も出てきますので、
本を読んだ後に語りたくなる方が多いと思います。
私もすでに本を読んだ人と語りたいです!(笑)

また、AIロボットが出てくる近未来の物語なのに、
私には今よりもっと昔の物語に思えました。
人間たちは退化していないか?と思ったのだけど、そうではなく、
私たち人間が良くも悪くも変わっていないということなのかもしれません。
クララがピュアで謙虚だからこそ、
じたばたしている人間たちのみっともなさが際立っていました。
他にも色々感じたことがありましたが、ネタバレになるので、我慢します。(笑)

ピュアでまっすぐなクララから、きっと気付かされることがあると思います。

私はクララから人を良く観察することと謙虚であることを学びました。
自分が!自分が!と自己主張の強い現代こそ、
他人を観察することと、一歩引く謙虚さが大事だなと思いまして。

あなたはクララから何を感じるでしょうか。
ぜひクララのお話に耳を傾けてみてください。
ちなみに小説は440ページとやや長めですので、
じっくりお話に付き合ってあげてくださいね。

yukikotajima 9:30 am

街なかで高地トレーニングをしてきました!

2021年4月1日

今日から木曜graceに新コーナー「シン・トヤマ」がスタートしました。

北陸新幹線開業以降、富山の新スポットが続々と登場しています。
その一方で、昔から長く愛されるお馴染みの富山も再び見直されています。
また、コロナ禍を経て地元富山を楽しむ人も増えていますよね。

このコーナーでは、そんな富山の「新」しいスポットやお店、イベントの他、
富山の「芯」となるお馴染みの富山もあわせてご紹介していきます。

ラジオをお聞きの皆さんからの「シン・トヤマ」情報もお待ちしていますよ〜。

初回の今日は、富山市役所の北側、富山駅側の真横に今日オープンした
「Toyama Sakuraビル」をご紹介しました。

「Toyama Sakuraビル」は、株式会社ホクタテが代表企業を務める
株式会社PPP新桜が建築した地上8階建ての官民連携の複合ビルで、
富山市教育委員会や保育園、フィットネスクラブ、
テレワークに最適な自習室などが入居しています。
ビルの維持、管理、運営は、ホクタテが行っていくそうです。

◎詳細は コチラ

施設内の「ワークブース Sakura」は、
個別ブースや会議室、個別防音ブースなどがあり、
仕事や学習に集中できる環境が整っています。
高速Wifiやドリンクサービスもあります。
月額利用の他、ビジター利用もできるそうです。

私も中に入ってみましたが、とても静かで落ち着いた環境なので、
勉強や仕事がはかどりそうだと思いました。


他には、富山初となる「低酸素ルーム」を兼ね備えたジム
「APA(アピア)コンディショニングジム×ハイアルチ」が入居しています。

なんとこのジムは、標高2500メートル級の立山室堂と同じ環境が再現されており、
街なかにいながら高地トレーニングができるんです。

しかも、高地つまり低酸素状態ではカラダに負担がかかるため、
きつい運動をしなくても高い効果を得ることができ、
その効果は30分歩くだけで2時間分の運動に匹敵するのだとか。
また、気圧は変化しないため、高山病にかかる心配もないんですって。

低酸素環境では体の細胞が活性化するため美容効果も高く、
都会では30代以上の女性に人気だそうです。

低酸素と言うとなんだかとても苦しそうですが、全くそんなことはありませんでした。

実は私、先日体験をしてきました〜!

楽しく30分歩いただけで、辛さは全くありませんでした。
早歩きをしていたら、あっという間に終わってしまった感じです。

低酸素状態で30分トレーニングした後は、コンディショニングエリアで
ストレッチや筋トレなどの体のリカバリーができます。
私はブルブル高速振動のパワープレートを使用したのですが、
びっくりするくらい足が軽くなりました。
顔や頭までブルブル揺らして全身スッキリ!

リカバリーの時間を入れても1時間弱くらいと短時間でしたが、満足度は高かったです。

高地トレーニングに興味のある方はもちろん、
運動したくてもなかなか時間が無いという方にもオススメです。

また、運動経験がなくても、一人一人のレベルに合わせて
歩く速度を変えることができますので、無理せずトレーニングができますし、
スタッフの方が一人一人に合ったアドバイスをしてくださいますので、安心です。


陽気で気さくなスタッフの河上さんにお世話になりました。ありがとうございました!

今ならオープン記念で無料体験もしているそうですので、
まずは一度体験してみてはいかがでしょう?

◎詳細は コチラ

私は低酸素状態でのトレーニングは初めてでしたが、
とても良かったので、また利用したいなと思っています!


今日からスタートの新コーナー「シン・トヤマ」、
来週からは毎週木曜の14時25分頃からお送りします。
ぜひ皆さんオススメの「シン・トヤマ」も教えてくださいね!

◎graceのサイトは コチラ

yukikotajima 6:14 pm

『くしじじいとくそばばあの日本史』

2021年3月31日

今あなたはおいくつですか?

ご自身の年齢を若いと思いますか。
それとも、もう自分は若くないと思うでしょうか。

「人生100年時代」と言われるようになってから
年齢の概念が変わりましたよね。

中には実年齢よりだいぶ若く見える方もいますし、
生き方そのものが若い方もいます。
何歳になっても第一線でお仕事をなさっている方や
フルマラソンを完走する方など、お元気な方は大勢いらっしゃいます。

平均寿命も昔に比べると延びていますが、
実は昔も長生きをして、貪欲に、したたかに、歴史を生き抜いた
ご老人たちが大勢いらっしゃったようなのです。

今日ご紹介する本は、こちら。

『くそじじいとくそばばあの日本史』/大塚ひかり(ポプラ新書)』

なかなか放送では言いづらいタイトルです。(笑)

この本、以前、社会学者の古市憲寿さんがオススメされていまして、
読んでみたい!と思っていたのです。さすが辛口の古市さんセレクトです。

タイトルを耳で聞いたときにもインパクトがありましたが、
本屋さんで目にしたときもなかなかの衝撃でした。
まず、見た目が真っ赤なのと、そこに描かれたくそじじ…
いえ、お爺さんとお婆さんのイラストが
人気イラストレーターの五月女ケイ子さんが描いたものなのでシュール!
本屋さんの新書コーナーで一番目立っていました。

ところで、なぜこんなタイトルなのかというと、
著者の大塚さんは、長谷川町子さんの漫画『いじわるばあさん』が大好きで、
この漫画によく出てくる言葉が「クソばばぁ」だったのだとか。

また、「くそ」にはパワフルという意味もあり、
大塚さんは、超高齢社会となった今こそ、
そんなご老人たちのパワフルさが求められているのでは?と思い、
歴史上の様々なご老人たちを紹介することにしたそうです。

この本には初めて名前を目にするような人物もいますが、
有名な歴史上の人物も登場しています。

たとえば、豊臣秀吉や一休さん、浦島太郎、天海など。

天海は江戸時代の天台宗の僧ですが、
なんと81歳で政界デビューし、100歳を過ぎても政界に君臨し続けたのだとか。

他にも世間体や常識にとらわれずに我が道を行った人として、
葛飾北斎が紹介されています。
90歳で亡くなった時には
「天が私にあと十年、せめて五年の命を与えてくれたら本物の画工になれたのに」
と言ったそうです。
人としては変わり者だったかもしれないけれど、
画業に対する情熱はずっと変わらず、何より謙虚であったことが素晴らしい!

それからもう一つ、北斎は偉大だなと思えることがあるのですが、
それは本を読んで確かめてみてください。

この本には、そんなパワフルなご老人たちが次々に登場し、
みんなすごいなあと思う一方で、老人たちのダメな部分も描いています。

たとえば、最近「キレる老人」が話題になっていますが、
江戸時代にも年を取って怒りっぽくなっている老人はいたようで、
「くどくなる、短気になる、愚痴っぽくなる、
心はひがみっぽくなってカラダは古くなる」
という意味の狂歌もあったそうです。

まるで今と変わりませんね。

この本は、タイトル含めちょっと言葉遣いが気にはなるかもしれません。
でも、悪口だらけではなく、歴史上の
お爺さん、お婆さんへの愛が詰まった一冊になっています。
「くそ」を「かっこいい」に頭の中で変換して読んでみるのがいいかも。

まあ、中には変換する必要のない本当にダメダメな人も出てきますが。(笑)

年を重ねるにつれ、何かと年齢を言い訳に様々なことをあきらめてしまいがちだけど、
私はこの本を読んで、もっとがっついてみてもいいのかもな、と思いました。

でも、ただの「〇〇じじい、ばばあ」にはならないよう注意は必要ですが。
何歳になっても、思いやりや謙虚さは忘れないようにしたいですね!
独りよがりでは、孤独な老人になてしまいますものね。

yukikotajima 10:50 am

ありがとう、寅さん!

2021年3月24日

コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで、
映画やドラマや小説などの過去の名作に触れた方もいらっしゃることと思います。

私はすでにラジオでも何度もお話しているとおり、寅さんにはまりました。

寅さんとは、映画『男はつらいよ』シリーズで
渥美清さんが演じたフーテンの寅こと車寅次郎(くるま・とらじろう)のことです。

1969年に第1作が公開され、
1995年までの26年間に全48作品(特別篇を加えると49作品)
が公開された国民的人気シリーズで、2019年には第50作が公開されました。

旅をしながら日本各地で商売をし、
その旅先で美しい女性たちに恋をし、
実家の柴又に帰ってきては家族と交流というか毎回必ず喧嘩をする、
というお決まりのスタイルをベースに、
毎回素敵なマドンナや日本の名所が登場します。

◎映画『男はつらいよ』の公式サイトは コチラ

↑この公式サイト、とっても楽しく、何度見ても飽きません。

私が寅さんにはまったのは、2019年の年末に公開された
第50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』を見たことがきっかけです。

もちろん寅さんの存在は知っていたものの、作品をちゃんと見たことはなく。
でも、マスコミ試写で見ることになりまして。
過去の作品を見ていないのに理解できるかしら?と不安を抱え鑑賞したのですが、
これがとても面白くて、過去のシリーズも見たいと思っていたら、
BSテレ東で去年4月から全話4K修復版の綺麗な映像で放送されることになったのです。

そして、この一年、私は毎週土曜の夜『男はつらいよ』シリーズを見続け、
ついに先週末、全ての作品の放送が終わりました。寅さんロス真っただ中です。(涙)

寅さんのことを何も知らずに見た『お帰り 寅さん』は、
ただただ面白くて、ワガママで陽気で自由なおじさんの物語だと思ったものですが、
シリーズを全て見た後にあらためて見た『お帰り 寅さん』は、
泣けて泣けて仕方ありませんでした。寅さんのセリフの全てがより心に染みました。

吉岡秀隆さん演じる甥の満男の
「人間は、何のために生きてんのかな?」に対する寅さんの名言
「うーん、何て言うかな、ほら、ああ、生まれて来てよかったなって思うことが
何べんかあるじゃない、ねえ。そのために人間生きてんじゃないのか」
というセリフは、初めて聞いた時もいい言葉だと思ったけど、
ちゃんと物語の中で聴くと、さらに心に響きました。
あの寅さんが言うからこその説得力たるや。

私は作品を見る度に感想や印象に残ったセリフを毎回ノートに書いていたのですが、
昭和の下町の粋な表現や会話のテンポが耳に心地良く、
ノートに書くのは楽しい作業でした。言葉や会話が魅力的な作品なのです。

さて、そんな素敵なセリフが一冊にまとまった本があります。
(私のノートでは無く。笑)

前置きが長くなりましたが、今日は寅さんに関連した本を2冊ご紹介します。

まずは『男はつらいよ 寅さんの人生語録 改/山田洋次、朝間義隆』です。

こちらの『〜改』は1993年に発売された本を改題し、
加筆・修正・再編集したものだそうです。
寅さんを愛してやまない牧内先輩から教えて頂きました。
(アナウンサーだけでなく寅さんの先輩でもあります。笑)
牧内さんとはこの一年、よく寅さん談義をしました。

この『人生語録』、最高でした。
寅さんをはじめ、出演者の皆さんの名言やお馴染みのセリフが掲載されているのですが、
私の大好きな初代おいちゃんの「馬鹿だねぇ」も
御前様の「困った」も載っており、読みながらニヤニヤが止まりませんでした。
また、「ケッコー毛だらけ猫灰だらけ、お尻のまわりは…」
などの寅さんの口上も載っているので、声に出して読みたくなりました。

セリフが載っているだけなのシンプルな本なのだけど、
出演者たちの表情や声が浮かんでくる、とても賑やかな一冊でした。


2冊目は、『寅さんの「日本」を歩く 一番詳しい聖地探訪大事典/岡村 直樹』です。

一年中ほとんど旅をしている寅さんのおかげで、
コロナ禍でなかなか旅行にいけなくても旅気分を味わうことができました。
それも風の吹くまま気の向くままの旅で、何と自由な旅を楽しめたことか。
閉塞感のある日々だったからこそ、カラッと明るい映画の空気に救われました。

この本には、そんな寅さんの立ち寄り先、つまり聖地330ヶ所余りが載っています。
温泉、城下町、港町、島などのスポットの他、
寅さんが愛した昭和(公衆電話、ちゃぶ台など)や
全作品ガイドや全ロケ地ガイドまである、かなり読み応えのある一冊です。

ただし、寅さんは富山には来ていないので、富山のロケ地はありません。残念!

寅さん関連の本は本当にたくさん出ていますが、
私はコロナ終息後に寅さんのロケ地に行ってみたいと思って、この本を選んでみました。
これからのんびりと行き先を決めようと思います。

でも、最初に行く場所は決めています。
寅さんの故郷、葛飾柴又です。
早く行きたいなあ。

この一年、私と同じように『男はつらいよ』シリーズをご覧になり、
今、絶賛寅さんロス中の方は、今日ご紹介したこの2冊をぜひ読んでみてください。

また、まだ映画『男はつらいよ』シリーズをご覧になっていない方は、
ぜひ1作目から順番にご覧になってみてくださいね!
そして見終えたら改めてこのブログを読んでみてください。

✴︎✴︎✴︎

[おまけ]

田島が好きな寅さんシリーズ

1『男はつらいよ』

13『寅次郎恋やつれ』

17 『寅次郎夕焼け小焼け』

19『寅次郎と殿様』

32『口笛を吹く寅次郎』

本当は他にもたくさんあるのですが、
キリが無いので、なんとか絞ってこの5作品にしてみました。

寅さん、この一年本当にありがとうございました。
いつか寅さんを感じる旅に出るのが私の夢です。

yukikotajima 11:31 am

市内電車 1日フリー切符の旅 自然満喫編

2021年3月18日

今週のgraceでは、15時から「市内電車 1日フリー切符の旅」と題して、
アーバンスタジオと同じく1周年を迎える富山市内路面電車の旅をご紹介しています。

月・火曜は垣田さんが富山駅の南側エリアを紹介しましたが、
私、田島は富山駅の北側エリアをご紹介します。

私は、富山駅から富山港線に乗って、途中下車して様々なところに立ち寄りながら、
終点の岩瀬浜駅で降り、岩瀬の街を楽しんできました。

昨日は様々な人と出会った岩瀬の旅をご紹介しましたが、
今日は豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。

◎昨日の岩瀬旅レポートは コチラ

***

今回私が利用したのは、富山地方鉄道の「ぐるっとグルメぐりクーポン」です。
これは、市内電車・富山港線の一日乗り放題券と
富山名物やます寿司のクーポンがセットになったお得な切符です。

まず電車に乗る前にさっそくグルメぐりクーポンを使おうと、
富山駅北にある和菓子屋さん、佐々木千歳堂へ。
季節限定の「さくら」のみかさ山(どら焼き)をゲット!

旅のおやつを持ってルンルン気分で富山駅から乗車し、最初に降りたのは越中中島駅
駅から600メートルの中島閘門へ向かいます。

中島閘門は、水位の差を二対の扉で調節するパナマ運河方式の閘門で、
国指定重要文化財に指定されています。
高低差2.5メートルの水位調整は「水のエレベーター」と言われています。

駅から中島閘門までは道路に案内表示がたくさんあるので迷わずに行けます。
道路の表示を探しながらゲーム感覚で歩いていたら、あっという間に到着しました。

ちなみに、元気な方は富山駅から環水公園を経由して、
富岩運河沿いを歩いて中島閘門へ向かうのもありです。
ちなみにそのルートは私のランニングコースです。

環水公園から来る方はこの中島閘門で折り返して
そのまま環水公園に戻ってしまう方が多いのですが、それはもったいない〜!

というのも中島閘門の北側に綺麗な桜並木があるのです!

実は前の日にもこの道をジョギングしていたほどのお気に入りコースなのですが、
走るのではなく、ゆっくり歩いてみて初めて気付いたことがありました。

桜以外にもたくさんのお花が咲いているなあとか、
水の音や鳥のさえずりが心地良いなあとか、
桜並木が歩道に作る影もいいもんだなとか。
桜は咲いていなかったものの、まったく飽きることなく楽しめました。

たったったっと走り抜けていくのも気持ちいいけど、
のんびり歩くのもいいものですね。

桜並木は、お地蔵さんのある上野(うわの)新橋付近まで続いています。

お地蔵さんの横を自転車で通り過ぎていった女性が
「おじそうさま、今日も一日よろしくね〜」と軽やかに話しかけているのが印象的で、
思わず私も手を合わせて同じように真似してしまいました。

さて、富岩運河沿いの桜は今にも咲き出しそうなくらいに芽がぷっくりしていたものの
まだ開花はしていなかったので、今見頃のお花を見に行こうと駅へ向かいました。

お地蔵さんから最寄りの犬島新町の駅までは315メートルととても近いんです。

歩道沿いにはこんな看板もあります。

もしお時間が無い場合は、越中中島ではなく犬島新町で乗り降りして、
お地蔵さん周辺の桜並木を楽しむだけでもいいと思います。

犬島新町で乗車したあとは隣の蓮町で下車。
あっという間です!
駅の目の前にある馬場記念公園へ。

ここでは、様々な梅が楽しめます。

平日でも多くの方が梅のお花を楽しんでいました。
私も何枚も写真を撮ってしまいました。

間近で梅の花を楽しんだ後は、公園のベンチに座ってしばし梅を眺めました。
家から持参したコーヒーを飲みながら。
柔らかな春の色に染まる梅を見ながら過ごすのんびりとしたひととき。
いい時間でした。

富山港線の沿線は四季を通じて様々な植物が楽しめます。

特に富岩運河沿いの桜並木はとても綺麗ですので、
桜の季節になったらぜひお出かけください。
おすすめは、中島閘門の北側ですよ〜。

こちらは去年の桜の写真です。ランニング中に撮ったものです。

今年も桜が咲いたらまた見に行く予定です。
もしかしたら桜並木を走る私とすれ違うかも〜。

ちなみに、ウェザーニューズが昨日発表した最新の開花予想によると、
富山は開花が来週の金曜日、26日の見込みです。

***

皆さんもお得な「グルメぐりクーポン」を使って市内電車の旅をしてみませんか?

今回私が使った『ぐるっとグルメぐりクーポン付き1dayフリー切符』
を20名の方にプレゼントします。

路面電車沿線のお店で使えるクーポン付きすので、
番組で紹介したお店にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

プレゼントを希望される方は、
FMとやまホームページのインフォメーションにある応募フォームからご応募ください。
締切は21日(日)です。
当選発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。

◎応募は コチラ


今回私は富山駅の北側エリアを旅しましたが、
北側といえば!今度の日曜日21日には、富山港線に2つの新しい停留所が開業します。
オークスカナルパークホテル富山前と、龍谷富山高校前(永楽町)です。
この二つの新しい停留所で途中下車するのもいいかもしれませんね。

また、垣田さんのお話を聞いたら私、南側も旅したくなりました。
次は、このグルメぐりクーポンを使って、
駅の南側のます寿司の食べ比べをしてみたいな。

皆様もぜひ市内電車の旅を楽しんでみてくださいね。

yukikotajima 9:18 am

市内電車 1日フリー切符の旅 岩瀬編

2021年3月17日

今週のgraceでは、15時から「市内電車 1日フリー切符の旅」と題して
アーバンスタジオと同じく1周年を迎える富山市内路面電車の旅をご紹介しています。
市内電車、南北接続1周年おめでとうございます!

月・火曜は垣田さんが富山駅の南側エリアを紹介しましたが、
私、田島は富山駅の北側エリアをご紹介します。

私は、富山駅から富山港線に乗り、途中下車して様々なところに立ち寄りながら、
終点の岩瀬浜駅で降り、岩瀬の街を楽しんできました。

初日の今日は様々な人と出会った岩瀬の旅を
明日は豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。

***

今回私が利用したのは、富山地方鉄道の「ぐるっとグルメぐりクーポン」です。
これは、市内電車・富山港線の一日乗り放題券と
富山名物やます寿司と交換できるクーポンがセットになったお得な切符です。

富山駅から途中下車しながらたどり着いたのは、終点、岩瀬浜駅
ここでは岩瀬の方たちとお話をする旅となりました。

まずは、紅茶の店アナザホリデーへ。
このお店はインド式煮出しミルク紅茶のチャイが人気です。

おすすめの「クタベのチャイ」を注文。
疫病退散のため辛めのチャイなんだとか。
さすがクタベという名がついているだけあります。

たしかにぴりりとした辛さが口から喉にかけて広がりましたが、
スパイスが絶妙のバランスでとても美味しかったです。
飲む度に体が内側から元気になっていくような気がしました。
お砂糖をたっぷり入れて飲むのがオススメなんですって。

スタッフの徳光さんはフォトグラファーでもいらっしゃるので、
岩瀬のおすすめの撮影スポットを教えていただきました。

岩瀬はメインの通り以外はまるで迷路のようで迷子になりやすいものの、
辻々には小さな祠らしきものがあって雰囲気があるので、いい写真が撮れるのだとか。
道に迷っても楽しめるのが岩瀬の魅力なんですって。

早速その祠らしきものを探しに行ったのですが、、、わからず。
公園にいた小学生たちに聞いてみたら、なんと一緒に探してくれることに。

結局、見つからなかったのですが(笑)、
かわりに岩瀬のおすすめをたくさん教えてくれました。キラキラのまっすぐな瞳で。
岩瀬の未来は明るいなと思いました。

でも、どうしてもその祠らしきものが気になり、
岩瀬在住のモステン佐藤さんに聞いてみたところ、
岩瀬の様々な人に連絡を取ってくださったのです。
ああ、申し訳ないー。

でも、おかげでわかりました!ありがとございます〜。

海の安全を守るための祠の他、
江戸時代にお殿様が通った道に建てられたものもあるのだとか。
いずれも昔から岩瀬のまちにあるそうですよ。
でも、見つけるのはちょっと難しいそうで、
佐藤さんからは「今度ランニングの恰好で走りながら探してみたら?」と言われました。(笑)

岩瀬の皆さん、本当に優しいなあ。ありがとうございます。
小さな祠を見つけに近々、再び岩瀬に行こうと思います。必ずリベンジします!

さて、岩瀬では新しいスポットにも行ってみました。
こちらは、今年一般公開されたばかりの旧馬場家住宅です。

馬場家は、江戸後期から活躍した海の豪商で、
馬場はるさんは、旧制富山高等学校(現在の富山大学)設立のために
多額の寄附をしたことでも知られています。

スタッフの方からはるさんの話を聞いて、
まるで朝ドラのようではないか!と思いました。
いつか本当にやってほしいな。

その馬場家の米蔵が様々なクラフトビールが楽しめる
「コボ ブリュー パブ」になっていまして、私も行ってみました。

4種類のビールを少しずつ楽しめる「テイスティングセット」を注文。

ビールにぴったりなフードもそろっています。

コボは、チェコ出身のコチャスさんと、
スロバキア出身のボリスさんが立ち上げたお店です。

お二人とも気さくで日本語もペラペラなので、
言葉の壁を感じることなく会話を楽しめました。

店長のボリスさんと♪

ビールの種類は季節ごとに変わっていくので、
いつ訪れても新しいビールが楽しめるそうですよ。

実はこのコボでタナベマサキさんと合流しました。
ここのクラフトビールを飲みたかったのだとか。
そして、さすがナベッチ!
近くに座るお綺麗な女性2人組をナンパ…いえ、早速仲良くなっていました。(笑)

県外からワーケーションで富山を訪れている方たちだったのですが、
旅行が大好きだという女性は、
「世界中いろいろまわったけれど、富山に全部あるじゃんと思った」
とさらりとおっしゃっているのが、かっこよかった!
その方によると、富山は隠れ家的で個人旅行で訪れたくなるところなんですって。
良くも悪くも富山はまだあまり知られていないからこそ、
旅人の、自分だけが知っている特別感が味わえるのだとか。
いいお話でした。

さて、今回は、富山地方鉄道のグルメクーポン付きの市内電車1日フリー切符
を使ってのプチ旅でしたので、岩瀬でもクーポンを使ってみました。

岩瀬エリアでも様々な名物と交換できます。
私は、岩瀬の酒蔵「満寿泉」の日本酒100種類が有料で楽しめる沙石(させき)で、
日本酒の飲み比べをしてみました。

クーポンでは1杯200円の日本酒が試飲できます。
また差額を払えば、200円を超える日本酒も飲めます。

私はスタッフの方におすすめいただいた非売品のお酒や
シャンパン樽で熟成したレアな日本酒を試飲してみました。
いやあ、美味しかった。

日本酒のお話を聞きながらの試飲はとても楽しかったです。

岩瀬のプチ旅は、飲んで、歩いて、お喋りをして、いい旅となりました。
岩瀬で出会った皆さん、ありがとうございました。
皆さんのおかげで濃い旅となりました。
また近々、必ずや遊びに行きます〜。

***

皆さんもお得な「グルメぐりクーポン」を使って市内電車の旅をしてみませんか?

なんと今回私が使った『ぐるっとグルメぐりクーポン付き1dayフリー切符』
を20名の方にプレゼントします。

路面電車沿線のお店で使えるクーポン付きすので、
番組で紹介したお店にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

プレゼントを希望される方は、FMとやまホームページの
インフォメーションにある応募フォームからご応募ください。
締切は21日(日)です。
当選発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

◎応募は コチラ

さて、明日は、豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。
明日もお楽しみに〜。

yukikotajima 9:53 am

『犬がいた季節』

卒業シーズンですね。今日は中学の卒業式なのですよね。
卒業生の皆さん、おめでとうございます。
今日ご紹介する本は、卒業シーズンの今、読んでいただきたい一冊です。

『犬がいた季節/伊吹有喜(いぶき・ゆき)【双葉社】』

と〜ってもいいお話でした!
私はこの本を読みながら目が腫れるほど泣きました。
去年春に小川糸さんの『ライオンのおやつ』以来の号泣です。

『犬がいた季節』は、三重県の進学校に通う高校3年生たちを描いた連作短編集です。
どのお話にも「コーシロー」と名付けられた白い犬が出てきます。
コーシローは生徒たちによって学校で飼われているのですが、
なんと著者の伊吹さんの母校に実際にいた犬がモデルになっているのだとか。

この物語は、犬のコーシローが高校で過ごした12年間が描かれています。

まずは、コーシローが学校に迷い込んできた1988年、昭和最後の卒業生の物語です。
この年、「コーシローの世話をする会」が発足し、
実家がパン屋の優花(ゆうか)も会のメンバーになります。

優花は、東京の有名私大に行きたいと思っているのですが、
兄からは「ガリ勉の女は可愛くない」と言われ、
祖父からは「女の子が東京の私立に行ってどうするんだ」とあきれられるなど、
進路について家族からはよく思われていません。
今から約30年前は、女性の進学に関してはたしかにそういう空気ありましたよね。
果たして優花はどんな決断を下すことになるのでしょうか。
また彼女には好きな人がいるのですが、
彼との淡い恋が甘酸っぱいし、せつないしで。
いいお話でした。

次は、1991年に鈴鹿サーキットにF1を見に行った男子二人のお話です。
アイルトン・セナが操るマシンが爆音とともに目の前に現れた時の
二人の喜びようといったらもう。二人の大興奮っぷり最高です!
自転車でサーキットに向かい、テント泊をして過ごした三日間が描かれます。

他には、神戸で被災した祖母と急きょ同居することになった女子や、
ある目的のために援助交際をする女子、
英語教師に思いを寄せる男子の物語などがあります。

全て高校3年生の物語ですが、時代が異なります。
その違いは、それぞれの時代に流行った音楽や出来事、話題の人物などからわかります。
でも私はどの時代の高校生にも懐かしさを感じました。

というのも、きっといつの時代の高校生も
同じようなことで悩んだり、喜んだりしているからだと思います。

特に高校3年生は、本当に悩むことが多いですよね。
進学か就職か。
大学に行くとしたら、地元か県外か。国立か私立か。
自分の学力に見合った大学はどこなのか。
親の思いと自分の思い、どちらを尊重するべきか。
選択肢だらけです。
また、卒業後に進む道が違うせいで、
両想いなのに恋が叶わないなんてこともあるわけです。うう、せつない。

物語の中の高校生たちも数ある選択肢の中から、
自分の選んだ道を進んでいくことになるのですが、
いつの時代も高校生たちのそばにいたのが犬のコーシローでした。
このコーシロー目線のお話も間にはさまれ、物語を優しく彩ります。

最後には令和元年も描かれ、登場人物たちのその後の人生が明らかになります。
物語の最後もとても良かったです。
そうきたかーーーとまた泣きそうになりました。いや、泣いていました。
そうそう、最後まで読んだらカバーを外すのをお忘れなく〜。
最後まで読んだ人にだけわかる素敵なプレゼントがありますよ。

『犬がいた季節』は、まっすぐな、とってもいい物語でした。
みんな優しくて。でも不器用なんです。だから後悔ばかりです。
家族の本心に後で気が付いたり、
好きな人の気持ちに全く気が付かなかったり、思いを伝えられなかったり。
でも、その後悔から学ぶこともあるのですよね。
この本には、生きていくうえで大切なことがたくさん詰まっていました。
人の優しさに涙し、うまくいかない恋に涙し、嬉しくて涙し、悲しくて涙し、
なんだかずっと泣いていました。
ストレートに心に響く本って、いいもんですね。

高校生たちの青春小説ですが、現役の学生さんだけでなく、
かつての高校生、つまり大人にも、いや、大人こそ読んでいただきたい!
私のように大泣きするのはきっと大人だと思うもの。
物語の最後に登場人物たちのその後が描かれていいるのがいいのです。

どのお話も高校を卒業していくシーンで終わりますので、
卒業シーズンの今読むのにぴったりです。
ほんと一人でも多くの方に読んでいただきたいな。

yukikotajima 9:10 am

『オルタネート』

2021年3月10日

最近、独身の年下の友人と話をする度に「マッチングアプリ」の話題になります。

あなたは使ったことあります?

私は使ったことはないのですが、
もう今の時代、出逢いのツールとして確立しているようですね。
しかも都会だけでなく、富山のような地方でも。

さて、今日ご紹介する本は、そんなマッチングアプリがベースの物語です。

NEWSの加藤シゲアキさんの『オルタネート(新潮社)』です。

この作品は、先日、「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞し話題になっています。

この新人賞は、過去には、宮部みゆきさんや池井戸潤さんなど
人気作家の皆さんが受賞されています。
アイドルが受賞したのは初めてのことだそうです。

加藤シゲアキさんは、1987年生まれの33歳で、
青山学院大学法学部を卒業されています。
アイドルグループNEWS のメンバーとして活動しながら、
2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。この作品は映画化もされました。

『オルタネート』は、加藤さんの3年ぶりの長編小説です。
タイトルの「オルタネート」は、高校生限定のマッチングアプリの名前で、
東京のとある高校を舞台に、3人の若者たちの物語が描かれています。

まず一人目は、調理部の部長をつとめる「いるる」。
彼女は、高校生の料理コンテストで全国優勝することを目指しています。
アプリはしていません。

二人目は、オルタネートで運命の相手を見つけようとのめりこむ「なづ」。
彼女は、オルタネートのマッチング結果を信じて疑いません。

そして、高校を中退したことでオルタネートの権利を失った「なおし」。
彼は、かつてのバンド仲間を探しに大阪から東京にやってきます。

そんな3人の物語が同時進行で交互に描かれていきます。

マッチングアプリが軸になっているお話というと、
そこで、くっついたり離れたりと
アプリに振り回される物語を想像してしまいそうですが、
そうではありません。

そもそも「いるる」はアプリは絶対にしたくないと思っているし、
「なおし」はやりたくても高校を中退したためできません。
ただ、三人の中で唯一はまっている「なづ」だけは、アプリの力を信じて疑いませんが。

この3人には、それぞれ悩みがあります。
コンプレックスに苦しんでいたり、
自分の思いが大切な友人に届かなかったり、
家族との関係がうまくいかなかったり。

そんな10代ならでは葛藤や苦悩がこの本には詰まっています。
でも決して暗く重たいわけではなく、
全体を通してみると、透明感に満ちていて、まぶしさを感じました。
悩んだり苦しんだりしながら成長していく彼らの輝きがまぶしいのです。

ちなみに、このメインの3人は物語の中ではそれほど繋がりはありません。
でも、終盤気持ちよく絡み合っていきます。

果たして3人はどんなことに悩み、
その問題とどのように向き合っていくのでしょうか。
ぜひ大人の皆さんは、10代だったころの自分と重ねながら読んでみてください。

料理コンテスト本番の緊張感や
マッチング相手に初めて会う時のドキドキした気持ち、
そして、人の心が動く瞬間のなんとも言えない高揚感をぜひ味わってみてください。

私は若者ならではの大胆な行動や、感情のまま突っ走る勢いに懐かしさを感じました。
そして、ちょっと羨ましくもありました。
ああ、私はなんて聞き分けのいい大人になってしまったものかと。
と同時に私も自分の気持ちにわがままでいよう!とも思いました。

10代はもちろん、大人の皆さんにも読んでいただきたい一冊です。

この作品もデビュー作『ピンクとグレー』のように映像化されるように思います。
できれば映画ではなく、ドラマで丁寧に描いていってほしいな。

yukikotajima 11:51 am

『滅びの前のシャングリラ』

2021年3月3日

もし突然こんなことを言われたら、
あなたは何を感じ、どんな行動に出るでしょうか。

「一ヶ月後、小惑星が地球に衝突し、人類が滅亡する」

人類滅亡と聞くと、30代以上の皆さんは、
1999年のノストラダムスの大予言を思い出すでしょうか。

私は当時、大学生でしたが「滅亡の瞬間どこで誰と何をする?」
なんて話を友人たちとよくしていたように思います。
でも絶対に滅亡することは無いだろうと信じていたので、
みんなどこかのんびりとした雰囲気でふざけ合っていました。

でも、本当に一ヶ月後、人類が滅亡することになったら、
人は何を思い、どんな行動をすると思いますか?

***

今日ご紹介する本は、凪良ゆうさんの話題作
『滅びの前のシャングリラ(中央公論新社)』です。

著者の凪良さんは、去年、『流浪の月』で本屋大賞を受賞し注目を浴びました。
私ももちろんラジオで紹介しています。

◎田島の本の感想は コチラ

実は新作の『滅びの前のシャングリラ』も
去年に引き続き、本屋大賞にノミネートされています。
2年連続で大賞を受賞するのか気になります。
さらに、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする
「キノベス!2021」の1位にも選ばれるなど、今話題の一冊です。

物語は、学校でいじめを受けている
17歳の友樹(ゆうき)の話から始まります。

彼は、小惑星が地球に衝突して人類が滅亡する
というニュースをテレビで見ても、デマに違いないと思い、
今の憂鬱をすべてリセットしてくれるなら、
小惑星でもなんでも落ちてくればいいと思っています。

どうせ学校に行ってもいじめられるし、
勉強も運動も苦手だし、見た目はぽっちゃりだし…
とやけになっているのです。

彼の母親も「賢い人がどうにかしてくれる」とどこか他人事です。

ところが、徐々に状況は変わっていきます。
スーパーやコンビニでは商品の略奪行為が始まり、
テレビ局では試験放送の映像ばかりが流れ、
ついには自ら命を絶つ人まで出てきます。

残り一ヶ月という宣告を受けて、
地球よりも先に人間が壊れはじめてしまったのですね。

ところが17歳の友樹は、小惑星なんて落ちてしまえばいいと思っていたはずなのに、
あることがきっかけで残りの日々を今度こそ精一杯生きたいと、
前向きな気持ちになっていったのでした。

なぜ彼が「生きたい」と思ったのかは、ぜひ本を読んでください。

本作は、この男子高校生のお話のあとは、
人を殺してしまった男性、恋人から逃げ出した女性、
そして、すべてを手に入れた歌姫のお話が順番に描かれていきます。

全員に共通しているのは、
これまでの人生をあまりうまく生きられなかったということと、
1ヶ月後には生きていないということです。

彼らがこれまでどんな人生を送ってきて
人類滅亡を前にどんな気持ちでいるのかが、
変わりゆく世界の状況とともに丁寧に描かれていきます。

人類滅亡を前に、私たち人間は一体どうなってしまうのでしょうか。

まるでドキュメンタリーのような文章で、
最初から最後まで夢中で本のページをめくっていきました。
とても面白いのでストーリーの先が気になるものの、
この世界が終わってしまうなんて…と思うと寂しさもあり、
そんな相反する気持ちに揺れながら、読み進めていきました。

それにしても、この残り一ヶ月というのが、絶妙でした。
まだだいぶ先のようでもあるけれど、実はあっという間なのですよね。

そして残り一ヶ月というと、絶望しかないように思いますが、そうではありません。

こんな状況だからこそ気付けた幸せもあります。
言い方を変えれば、こんな状況じゃなかったら
もしかしたら一生気付けなかったかもしれない幸せもあって、
読みながら何度も私の目にじんわりと涙が浮かびました。

まさに本のタイトル通り「滅びの前のシャングリラ(理想郷)」でした。

この物語はフィクションですが、
小惑星が衝突して人類が滅亡することなんて絶対に無いとは言い切れません。
だからと言っていつ来るかわからないその日を想像して怯えて過ごすのではなく、
私は、あらためて後悔なく毎日を生きていきたいと思いました。

『滅びの前のシャングリラ』、大変面白かったです。
ぜひお読みください♪

yukikotajima 9:36 am

『推し、燃ゆ』

2021年2月24日

あなたには応援している「推し」はいますか?

その推しを好きになったきっかけは?
また、どのように応援しているでしょうか。

推しとのかかわり方は、
・恋愛的に好きな人
・触れ合うことが好きな人
・作品だけが好きな人
など様々ですが、あなたはいかがですか?

今日ご紹介する本は、アイドルの男性を応援する16歳の女子高校生の物語です。

『推し、燃ゆ(おし、もゆ)/宇佐見りん(河出書房新社 )』

1月に芥川賞を受賞した話題作ですので、すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
そんな方はぜひgrace宛に感想をお寄せください♪

◎メッセージフォームは コチラ

宇佐見りんさんは、現在21歳の大学2年生です。
2019年に母親との関係に苦しむ少女を描いた『かか』で、
第56回文藝賞を受賞しデビューしました。
またデビュー作は第33回三島由紀夫賞も受賞しています。それも史上最年少で。

そして、2作目の『推し、燃ゆ』が先月、芥川賞を受賞しました。
21歳での受賞は、綿矢りささん、金原ひとみさんに続いて、
史上3番目の若さなのだとか。

この『推し、燃ゆ』は、実は芥川賞の受賞前から話題になっていたそうです。

去年7月に発売された雑誌「文藝」に掲載されるや否やSNSを中心に話題となり、
9月に単行本化され、芥川賞を受賞する前にすでに7万部を突破。
今や売り上げは40万部を超えているそうです。すごい!
また、4月に発表される「本屋大賞2021」にもノミネートされていますので、
さらに伸びそうですね。

***

『推し、燃ゆ』とはどんなお話なのか、ほんの少しだけご紹介します。

主人公は、16歳の高校生のあかりです。
彼女はあるアイドルの男性のファンなのですが、
その「推し」が燃えた、つまり炎上したところから物語が始まります。
どうやらファンを殴ってしまったようなのです。

「推し」とのかかわり方は人によって様々ですが、
あかりにとって推しを推すことは、生活の中心というか、背骨なのだそうです。
また、推しと触れ合いたいのではなく、作品も人も丸ごと解釈することで、
推しの感じている世界、見ている世界を見たいと思っています。

例えば、CDやDVDや写真集は保存用と観賞用と貸出用に常に三つ買い、
放送された番組はダビングして何度も観返し、
推しのこれまでの発言はルーズリーフに書きためています。
すべて「推し」という人を解釈するために。

推しのためにバイトをし、
推しの誕生日にはホールケーキを買って一人で食べ、
占いは推しの星座だけを見ます。

でも、そんなオタク活動はファン以外にはなかなか理解されず、
脈が無いのに思い続けても無駄だと言われることも。

とは言え、あかりは推しの存在を愛でること自体が幸せなわけで、
見返りを求めているわけではありません。

テレビ画面やステージなどのへだたりがある場所で
推しの存在を感じ続けられることが、彼女にとっての安らぎなのであり、
恋人になりたいわけではないのです。

そんな生活の中心どころか自分の背骨のような存在の推しが、ある日炎上します。
果たして推しに生きる彼女はどうなってしまうのでしょうか。

この続きは、本のページをめくってみてください。
いや、続きというか、この小説、最初の文章が

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

なので、具体的な話はこの2行しか触れていないや。(笑)

短いうえに勢いのある作品なので、あっという間に読めます。
ぜひ宇佐見りんさんのほとばしる情熱をもらさずにご堪能ください。

***

とても面白かったです。
推しのいる人や、生きづらさを抱えている人は、きっと共感できるでしょうし、
逆に特に推しはいないという人でも楽しめると思います。
なぜなら彼女の言葉選び、表現など、とにかく文章が素晴らしいからです。
今どきっぽいのだけど、薄っぺらくないのです。
まるで今本当に感じているように文章を紡いでいきます。

私は、1ページ目の
「無事?メッセージの通知が、待ち受けにした押しの目許を犯罪者のように覆った」
という文章を読んだ瞬間、宇佐美さんの文章を好きだと思いました。

あかりの推しが炎上したことを知った友人から
彼女を心配するメッセージの通知がスマホに届いたということなのですが、
主人公の心情がこの一文から伝わってきましたし、
「無事?」という短い文章が今どきの若者っぽいなあとも思いました。

早くも次作が楽しみです。
その前に、デビュー作の『かか』を読んでみることにします。

『推し、燃ゆ』、4月の本屋大賞もとりそうな予感。

yukikotajima 9:27 am

『剱岳 線の記』(「点の記」じゃないよ!)

2021年2月17日

富山の皆さんは、映画『劒岳 点の記』はよくご存じのことと思います。

新田次郎さんの小説を木村大作さんが映画化したもので、2009年に公開されました。

明治時代に日本地図を完成させるため
前人未到の剱岳山頂を命がけで目指した測量隊の姿を描いた作品で、
主人公の測量手を浅野忠信さん、地元の案内人を香川照之さんが演じました。

この映画は100年前に実際に測量隊が登ったのと同じルートを
そのまま登って撮影したことでも話題となりました。

***

今日ご紹介する本は、明治時代どころか、1000年前の平安時代の初登頂と
同じではないかと思われるルートを登ってみた人の実話です。

『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む/髙橋大輔(朝日新聞出版)』

こちらは「点」ではなく「線の記」です。

紀伊國屋書店富山店では、去年夏の発売以来ずっと人気なのだとか。

著者の髙橋大輔さんは、フィギュアスケーターではなく、探検家です。
ロビンソン・クルーソーのモデルとなった人物の住居跡を
世界で初めて発見して注目された方です。

そんな探検家の髙橋さんが、平安時代の剱岳の初登頂のミステリーに挑みます。

映画『劒岳 点の記』でも描かれたとおり、
明治時代、前人未踏だと思われていた剱岳山頂で
測量隊は平安時代の錫杖頭と鉄剣が残されているのを見つけます。

錫杖頭(しゃくじょうとう)は、
初期仏教の時代から使われてきた杖の頭部につける金属製の仏具で、
山中では主に山伏と呼ばれる修行僧が携行していたのだとか。

ってことは、山伏が最初に登ったってことなのか。
でも登山道具のない時代にどうやって登ったんだろう?
と疑問に思った探検家の髙橋さんは、なんと自分でその謎を解明することにします。

剱岳ファーストクライマーの謎
・いつ
・誰が
・どのようにして山頂を極め、
・どのルートからたどりつき、
・山頂のどこに仏具を置いたのか。
・その理由は?
と6つの設問から答えを導き出すことに。

そして、考えられるあらゆる可能性を検証するため、
まずは現地に行ってみようじゃないかと、
岩場中心の別山尾根と、樹林帯を長時間登る早月尾根の
それぞれのコースを歩いてみることにします。

その後も剱岳山頂に足を運び、様々な資料や書籍を読み、
多くの関係者にも会ってお話を聞いたり一緒に山に登ったりします。

髙橋さんは、伝説や地名、言い伝えも大切にしているのだとか。
それらには声なき民衆の声が反映され、
消し去られた歴史の残像が残るからなんですって。

剱岳へ向かうルートにも変わった地名が数多くあります。
中には「ハゲマンザイ」という名の場所も。すごい名前ですよね。
名前だけを見たら、そういう種類の漫才があるのかしら?と想像してしまいます。

そのように様々な方法で調べつくし、何度も富山を訪れた髙橋さんは、
ついに平安時代に使われたと思われるルートを探し出します。
そして実際に登ってみることにします。
それも鎖などは使わずに1000年前と同じように自分の体だけで。

果たして髙橋さんが見つけ出したルートとはどこなのか?
そこを歩いたことで何が明らかになったのか。

この続きはぜひ本を読んでみてください。

***

剱岳の初登頂のミステリーに挑んだ探検家の挑戦、大変面白かったです!

髙橋さんがどのような答えを導くのかが気になって
興奮気味にページをめくっているうちに、
気付けば私も一緒に山登りをしている気分でした。
ただ、きつかったー。(笑)
想像すればするほど怖さが増していきました。
特にカニのたてばい、よこばいのような難所は、
本を読んでいるだけなのに体が緊張でふるえそうになりましたので、
実際に登ってみようよ!と誘われても絶対に無理です。
みんなよくあんな怖いところを登れるよなあ。すごすぎますよ、ほんと。
まあでも、そんな緊張感も含め、楽しめた一冊でした。
あなたも探検家になった気分で剱岳に挑んでみては?

yukikotajima 9:30 am

『商店街のジャンクション』

2021年2月10日

あなたは「着ぐるみ」に入ったことはありますか。

きっと多くの方が「ない」と答えるのでは?

では、「着ぐるみ」に入りたいと思ったことはあるでしょうか。

私はどちらも「ノー」です。
でも、この本を読んだら入ってみたくなりました。

『商店街のジャンクション/村木美涼(早川書房)』

村木さんは、宮城県生まれですが、
なんと2016年からは富山県にお住まいなのだとか。
ようこそ富山へ!

2017年に『窓から見える最初のもの』で
アガサ・クリスティー賞大賞を受賞して作家デビューされたのち、
2019年には『箱とキツネと、パイナップル』で
新潮ミステリー大賞優秀賞を受賞されています。

おめでとうございます〜!

今日ご紹介する『商店街のジャンクション』は、先月下旬に出たばかりの新作です。

本の表紙には二本足で立ってピースをしている犬の絵が描かれ、
帯には「着ぐるみ」とあるので、
表紙を見ただけで、なるほどこのワンちゃんは着ぐるみなのかと気付きます。

この着ぐるみの犬の名前は「チョッキー」です。

チョッキーは、商店街にある古びた映画館の
週末限定の「ナイトシアター」の宣伝チラシを
通りすがりの人々に配るのが仕事で、
男女3人が順番に中に入っています。

この3人はそれぞれ悩みを抱えているのですが、
着ぐるみの中に入ることで悩みが解決するのではと思っています。

3人によると、着ぐるみは、
目立っているようでいて、鉄壁の匿名性をまとっており、
自分のことを誰にも気づかれずにいられる場所であり、
中に入った後は、それまで感じたことのない解放感に満たされるのだとか。

3人は犬の着ぐるみチョッキーの中に入ることで、
自分自身と向き合うようになります。

3人が初めて顔を合わせたのは、
商店街の中の喫茶店、その名も「時計」でした。
店名通り、店内にさまざまな時計が並ぶ不思議なお店ですが、
コーヒーはとても美味しいそうです。飲んでみたい!
そして、このお店の白髪の男性店主が、ある方に言わせると
「近くにいると存在感が薄いのに、離れると存在感が増す」ような人で、
この店主がさらりといいアシストをするのです。

果たして着ぐるみをシェアする3人はそれぞれどんな悩みを抱えていて、
着ぐるみに入り、この喫茶店に通うことで、どんなことに気付くのでしょうか。
続きは本をお読みください。

そうそう、著者の村木さんは富山在住だそうで、
作品の中に「富山」がちょこっと登場しますので、お見逃しなく〜。

最初にも言いましたが、この本を読んで私も着ぐるみの中に入ってみたくなりました。
中に入ったら、世界はどのように見え、私は自分の何に気付くのか知りたくなったのです。

たしかに着ぐるみって不思議な存在ですよね。
だって、着ぐるみの中の人間が突然手を振ってきたら警戒してしまうけど、
同じ人が着ぐるみを着た状態で手を振ってきたら
一瞬で笑顔になって「かわいい〜」とこちらから近づいたり、握手したり、
なんなら一緒に写真を撮ろうよ〜!と言い出したりと、
警戒心はまるで無くなります。

私たちの笑顔は、着ぐるみに向けたものであって、
中の人に向けたわけではないのですよね。
でも、たしかに中には人がいるわけで、冷静に考えると面白いなあと。

存在としては目立つけれど、中の人の印象は薄いわけです。

その感覚を私も着ぐるみの中で味わってみたくなりました。

さて、私は小説を読む度に、いつか映画化されそうだわ!
なんて勝手に想像して楽しんでいるのですが、
『商店街のジャンクション』は舞台化されそうだなあと思いました。
というか、舞台化したものを見てみたい。

どなたかいかがでしょう?(笑)

yukikotajima 11:19 am

『銀の夜』

2021年2月3日

いよいよ今度の土曜日は、気まぐれな朗読会です。
チケットを買ってくださった皆さま、ありがとうございます。

気まぐれな朗読会は、
「気ままプラン」パーソナリティ廣川奈美子さんと
「grace」パーソナリティ田島悠紀子でお届けする朗読会です。

気ままの「気ま」とグレースの「ぐれ」で「気まぐれ」です。

今年は、2月6日(土)18:00〜
富山県民小劇場 オルビス(マリエとやま7階)で開催します。

今年も3部構成です。
例年通り、1部、2部は、廣川さんとともに
3部はそれぞれ作品を読みます。

廣川:「ムシヤシナイ」高田都(たかだ・かおる)
田島:「鍋セット」角田光代(かくた・みつよ)

◎3部の作品の詳細は コチラ

朗読会のチケットは、まだまだ販売中です。
当日は、コロナ対策をしてお届けしますので
もしよかったらお越しください。

◎チケットについて詳しくは コチラ

なお、当日の21時頃(終演後)から3部のみFMとやまYouTubeチャンネルで配信します。
配信は21時頃~22時頃の時間限定ですので、お見逃しなく!

◎FMとやまYouTubeチャンネルは コチラ

***

さて、今回の朗読会で私は、角田光代さんの「鍋セット」を読むのですが、
今日ご紹介するのは、去年11月に発売された角田さんの新作です。

『銀の夜(光文社)』

角田さんの5年ぶりの長編小説なのですが、書かれたのは15年前のことだとか。
『対岸の彼女』で直木賞を受賞された頃に書かれたものだそうです。

それがなぜ今になって単行本として出ることになったのか。
しかも、なおさずにそのままの形で出版したそうです。
その理由は「あとがき」に書かれていますので、
ぜひ本編を読んだ後にお楽しみください。


『銀の夜』は、30代半ばの女性3人の物語です。
時代は、まさに小説が書かれた約15年前の2004年〜05年頃です。

まだSNSも無く、携帯よりも家の電話の子機を使い、
メールはパソコンを開いてチェックしていた時代です。

登場人物の女性3人は高校時代に
3人でバンドを組んでメジャーデビューをしています。

とはいえ活動期間は短く、
今では全員がバンドとは関係のない生活を送っています。

「ちづる」は、結婚し、イラストレーターをしているものの、
仕事はぱっとせず、夫は職場の若い女性と浮気をしています。

「麻友美」は、セレブママになり、
娘を芸能人にしたいと思っているのですが、
娘はなかなかやる気になってくれません。

独身の「伊都子」は、著名翻訳家の母のように生きたいと思い、
あれこれやってみるものの、うまく行きません。

つまり、全員が今の自分に満足していないのです。
でも、このままでいいとも思っておらず、
なんとか今の状況を変えようと、もがいている様が描かれています。

それも誰か1人の一人称ではなく
3人それぞれの視点で描かれているので、
お互いの本音が見えるのが良かったです。

例えば、友人の活躍を応援したいのに、
嫉妬もあってつい意地悪な感情が芽生えてしまい、
でも、それを必死に打ち消そうとしているわけですよ。
この感覚、よくわかる!
きっと誰もが同じような気持ちを味わったことがあるのでは?

角田さんの文章には、人の本音がにじみ出ているのです。
いま私は朗読会に向けて何度も角田さんの作品を声に出して読んでいますが、
やはり同じことを感じました。

その本音によって、作品との距離が近くなっています。

『銀の夜』も、私は彼女たちが他人事とは思えず、
まるで私の友人たちの話を聞いているかのようでした。

15歳の頃にバンドデビューし、キラキラした世界に一瞬でもいた3人は、
どうしてもあの頃と今を比べてしまいます。

三十代も半ばになり、40歳までには何かをしなくてはと思うものの、
充実感や達成感といったものを心底実感できるようなことは
なかなかみつかりません。

私も30代半ばくらいの頃は同じようなことを思っていました。
そして、私の場合はいきなりフルマラソンにチャレンジしたわけですが。(笑)
みんな、40歳を前にすると何かをしたくなるものなのですね。

果たして彼女たちは、この先どう生きていくことになるのか。
続きはぜひ本を読んでみてください。

今日は、角田光代さんの『銀の夜』をご紹介しました。
角田さんといえば、先日、読売文学賞を受賞されました。
おめでとうございます〜!

yukikotajima 9:32 am

『たべる生活』

2021年1月27日

コロナ禍で家で過ごす時間が長くなったことで
「太った!」という話をよく耳にします。
運動不足もあるけれど、一番の理由は食べ過ぎですよね。
私もそんな一人です。

また、太っただけでなく、肌荒れをはじめ
体調があまりすぐれないという方もいるかもしれません。

毎日そんなに忙しくないのに元気が出ないのは、
食べ物のせいかもしれませんよー。

お菓子をつまみながらソファにだらあっと寝転がって
DVDを見る休日は最高で、私も時々やります。
でも、そのひとときは最高にリラックスできても、
次の日には口内炎ができていたり、どこか体がスッキリしなかったりしませんか?

逆に、体にいいものを食べてしっかり寝た後は、お肌も体も調子がいいものです。

そんな時はいつも「体は食べた物でできている」と実感します。

今日ご紹介する本は、『たべる生活/群ようこ(朝日新聞出版)』です。

食に関するエッセイなのですが、
群さんは口にするものは大切と言いながらも、実は料理が苦手なんですって。

だからといって添加物が多いものなどは口にせず、
なるべく体にいいものを自分で作って食べるようにしているのだとか。
ただ、凝ったものは作らず、食材を焼いたり煮たり炒めたりといった
名前をつけられないものを食べているそうです。

群さんがなぜ、口にするものは大切だと思うようになったのかというと、
以前、甘い物の食べ過ぎで体調を崩したことがあるからだそうです。
その時に食生活を見直したんですって。

群さんは、長生きをしたいのではなく、体調不良が嫌だとおっしゃいます。

それ、よくわかるわー。
長生きしたとしても元気じゃなきゃ辛いですもんね。

このエッセイには、群さんが元気でいるために心がけていることや
今の「食事情」について思うことなどが綴られています。
また、群さんのお友達のお話もたくさん出てきます。

例えば、ある料理上手なお友達は、
ご飯を食べに行くと、お店の方にコツを聞くそうです。
プロの料理には必ずひと手間加える何かがあるからと。

最近は、わからないことがあると
なんでもスマホで検索して調べてしまいがちですが、
プロに直接聞くのが一番なのですよね。
そして、そういうプロの方とのコミュニケーションは楽しいものなのですよね。

『たべる生活』は様々な気付きのあったエッセイでした。
あと、私の食生活の反省も。。。

最近、食生活が乱れているなあという方は、
群ようこさんの食エッセイ『たべる生活』を読んでみては?

この本を読んだ後はあらためて
「体は食べた物でできている」
ということに気付かされると思います。

yukikotajima 9:29 am

『マナーはいらない 小説の書きかた講座』

2021年1月20日

コロナ禍で家にいる時間が増えたことで読書をするようになった方もいるのでは?
中には、読むだけじゃなく自分で小説を書いてみようかな、
と思っている方もいるかもしれません。
そんな方は、小説を書く前に、まずこの本を読んでみてはいかがでしょう?

『マナーはいらない 小説の書きかた講座/三浦しをん(集英社)』

紀伊國屋書店富山店でこの本を目にした時、最初は小説だと思って手に取りました。
でもタイトルには「小説の書きかた講座」とあり
パラパラとめくってみると確かにそんな内容で、
私は小説を読むのは好きだけど書くつもりはないんだよなあと
読むのをやめようと思ったのですが、いや、待てよと。
小説がどのように作られているのかを知るのは面白そうではないかと思い直し、
読んでみることにしました。

これが読んで正解でした。とても面白かったですし、
へえ、こんな風に本は作られていくのかと勉強にもなりました。

著者の三浦しをんさんは、
2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を
2012年に『舟を編む』で本屋大賞を受賞された人気作家です。
これらを始め、数々の作品が映画化、ドラマ化されています。

この本は、そんな人気作家の三浦しをんさんによる「小説の書きかた」本です。

きっかけは、三浦さんが某短編小説の新人賞の選考をしている時に
「もっとこうしたらいいのに」と感じたことからだそうです。

この本では、推敲、構成、人称、タイトルのつけ方などの基礎を学べるのですが、
具体例が豊富に使われているので、大変わかりやすく、そのうえ面白い!

例えば「セリフ」。
誰が言ったセリフかわかりやすくする戦法の一つに
「宝塚戦法」というものがあるのだとか。

「待ってくれ、アンドレ!」
「どうした、オスカル」

のようにセリフの中で相手の名前を呼ぶとわかりやすいと。(笑)
確かに宝塚ではよくセリフの中で相手の名前を言っているな、
と思わず笑ってしまいました。

また、ほかの例では、三浦さん自身の作品を取り上げていまして、
これがファンにはたまらないのです。(私もファンです)

この作品はこんな風に作られていったのか!
と読みながらワクワクが止まりませんでした。

例えば、箱根駅伝を描いた私も大好きな小説『風が強く吹いている』では、
タイトルのつけ方から取材方法、構成まで細かく明らかにしています。
なんと手書きの構想メモまでオープンにしちゃってます。
ですから三浦しをんさんの作品が好きという方はぜひお読みください。

もちろん三浦さんの作品をそれほど読んでいなくても大丈夫!
読書がお好きな方でしたら未読でも十分楽しめます。

私はこの本を読んで、自分が好きな作品の傾向がはっきりしました。

それは、うまい描写の本です。
ストーリーももちろん大事だけど、
素敵な表現で書かれた作品が私は好きだとあらためて思いました。

三浦さんも「描写」は大事だとおっしゃっています。
小説における描写とは、事細かに説明することではなく、
読者の想像力をよりかきたてるための「材料」だと。

その描写力をあげるためには、
「目に映ったものや感じた気持ちを、ふだんから脳内で言語化する」
ことが大事だとおっしゃいます。また語彙を増やすことも。
語彙と文法力のアップの方法についても書かれているのですが、
それについてはぜひ本を読んでみてください。

アナウンサーとしても大変勉強になった一冊でした。読んで良かった!
また、エッセイとしても面白かったです。
三浦さんが今はまっているものへの愛がすごかった。
ある映画のシリーズを推しているのですが、何度もその話題が出てくるので
とりあえず最初の作品だけでも見てみようかしら、という気持ちになりました。(笑)
やはり何かに対して熱くなれる方が小説家に向いているようですよ。

≪ おまけ ≫

描写がうまいといえば、去年のユキコレランキング1位に選んだ
髙樹のぶ子さんの『小説伊勢物語 業平』は、まさに豊かな表現が心地いい一冊でした。

◎本の感想は コチラ

そして、先日、この本も読んでみました。

『伊勢物語 在原業平 恋と誠』

こちらは、髙樹さんが小説を補足するために書かれた新書です。
小説とセットで読んでいただくと、より理解が深まると思います。

1000年以上前も人間の心は、今と変わりません。恋をして喜んだり泣いたり。
時代は違えど、感じる思いは今と同じだからこそ、
1000年以上前の物語に心動かされるのでしょうね。

また、彼らから学ぶことや気付かされることもあります。
例えば、当時の彼らは、短絡的に勝者と敗者を分けなかったのだとか。
そして、そのような一見曖昧にも見えるふるまいを
髙樹さんは「雅(みやび)」とおっしゃいます。
そこには相手を思いやる気持ちがあるのだと。
まさに今の時代にこそ、この「雅」が必要なのかもしれませんね。
あなたも『小説伊勢物語』で「雅」に触れてみませんか?

***

なが〜いブログになってしまい、申し訳ない。
でも、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

yukikotajima 9:27 am

今年の気まぐれな朗読会は2月6日(土)です。

2021年1月18日

CMでもお知らせしているとおり、
今年も「気まぐれな朗読会」をおこないます。

気まぐれな朗読会は、
「気ままプラン」パーソナリティ廣川奈美子
grace」パーソナリティ田島悠紀子でお届けする朗読会です。

気ままの「気ま」とグレースの「ぐれ」で「気まぐれ」です。

◎去年のレポートは コチラ

今年は、2月6日(土)18:00〜
富山県民小劇場 オルビス(マリエとやま7階)で開催します。

今年も3部構成です。
例年通り、1部、2部は、廣川さんとともに
3部はそれぞれ作品を読みます。

廣川:「ムシヤシナイ」高田都(たかだ・かおる)

田島:「鍋セット」角田光代(かくた・みつよ)

2作品とも
『NHK国際放送が選んだ日本の名作』シリーズ(双葉文庫)
に収録されています。

『ムシヤシナイ』「1日10分のぜいたく

『鍋セット』「1日10分のしあわせ」

入っていますので、良かったらお読みください。どちらもいいお話です。

朗読会のチケットは、すでに販売されています。
今回は80席限定です。(コロナ対策で例年より席数を減らしています)

◎詳しくは コチラ

今年も気まぐれな朗読会をどうぞよろしくお願いします。

yukikotajima 3:07 pm

『コロナと潜水服』

2021年1月13日

先週からの大雪、本当にすごかったですね。
私は雪かきによる全身筋肉痛だけで済みましたが、
もっと大変な思いをされた方もいらっしゃることと思います。
大雪お見舞い申し上げます。

富山の皆さんの中には、コロナに加えてこの大雪で、
ストレスがたまってずっとイライラしている、という方もいるのでは?


今日は、読んだ後に優しい気持ちなれる作品をご紹介します。

『コロナと潜水服/奥田英朗(光文社)』


私の大好きな作家、奥田英朗さんの新作です。
待ってました〜。本屋さんで見つけるや否や購入しました。

五つのお話が収録された短編集なのですが、
タイトルに「コロナ」とある通り、「コロナ」のお話もあります。

コロナ関連の本が最近、増えてきましたね。

先週ご紹介した東野圭吾さんの
『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』
まさにコロナ以降の物語でしたし、
今後はコロナ禍の物語がますます増えていきそうですね。

ただ、『コロナと潜水服』は、全てがコロナのお話ではありませんし、
暗くなるような嫌な内容でもありません。

どのお話もちょっと不思議なファンタジーです。

例えば、ある古民家に住み始めたところ、
誰もいないのに人の足音が聞こえる…といった感じです。
この状況だけだと怪談のようですが、怖い話ではありません。

それどころか、読んだ後は心がじんわり温かくなります。


表題作の「コロナと潜水服」は、五歳の息子には
コロナを感知する能力があると信じるパパのお話です。

どうやらこの息子君は、誰が感染しているのかわかるようなのです。
そんなある日、なんとパパ自身に感染の疑いが。
パパは自主隔離し、あるものを用意するのですが、これが息子を大いに喜ばせます。
さて、そのあるものとは?

他には、会社の早期退職の勧告に応じず、
追い出し部屋に追いやられた男性たちがあることを始める話や、
人気プロ野球選手と付き合うフリーアナウンサーが占い師に恋愛相談に行く話、
ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れた男性がその車に乗ったところ、
不思議なことが次々に起こる話などがあります。

私は特に、会社の追い出し部屋に追いやられた男性たちの物語が好きです。

彼らが職場であるものを発見し、終業後にふざけて遊んでいたところ、
ある年配の男性が現れ、いきなりそれについての指導を始め、
気付けば全員が真剣に取り組むようになり…というお話です。

いったい男性たちが夢中になってしていたこととは?
また、指導者とは何者なのか?

続きはぜひ本を読んでください♪


『コロナと潜水服』、大変良かったです!

どのお話も読んだ後はほっこり。優しい気持ちになれました。
その理由は、全てのお話が「笑顔」で終わっているからです。
また、作品によってはあたたかな涙も。。。

奥田英朗さんらしい素敵な作品でした。

私は奥田さんの人の描き方が好きなのですが、
今作の登場人物もみな人間味にあふれていました。

極端な性格のヒーローが出てくる物語も面白いけれど、
普通の人たちの物語は、どこかほっとします。
そして、そういう本こそ、何度も読み返したくなるのですよね。


先週末からの大雪で私もストレスや不安を感じていましたが、
この本を読んだ後は心が優しさで満たされ穏やかでした。

また、音楽にも癒されました。

奥田英朗さんは音楽、とくに洋楽が大好きなのですが、
この作品にも様々な曲が登場するのです。
しかもラジオから流れてきたという設定が多めなのが嬉しい。

この本には作中の登場曲が楽しめる
Spotify(スポティファイ)のプレイリストがついていますので、
曲を聴きながら読書をすることができ、より作品の世界に浸れます。

しかもどれもいい曲ばかりです。
曲を聞きながら読んでいたから、より充実した読書時間になったのかもな。

この週末は再び雪の予報ですし、
のんびり曲を聴きながら読書でもいかが?

yukikotajima 9:25 am

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』

2021年1月6日

今日が私が担当する新年最初のgraceです。
今年も毎週水曜13時45分ごろからのユキコレでは、
様々な本をご紹介していきますので、お付き合いいただけたらと思います。
よろしくお願いします。

さて、年のはじめに「今年は読書をする」と誓った方もいるかもしれません。

でも、本屋さんにはたくさんの本が並んでいるし、
どの本から読めばいいのかわからない…
と最初の本選びの段階でつまずいてしまうと、
その瞬間、本への苦手意識が芽生えて、本なんて嫌いだ!となりかねません。

普段あまり読書をしていない方は、
ドラマや映画で見た作品の原作を読んでみる、
というのはいかがでしょう?

先に映像で見ているので、物語の世界に入り込みやすいと思います。

それにしても、人気小説はほぼ映像化されますよね。
私もいつからか、小説を読みながら
この作品はいずれ映像化されるに違いない!
と思うようになってしまいました。
そして、その予想はたいていの場合、当たります。(笑)
配役予想は外れてばかりですが。

今日ご紹介する小説もいずれ映像化されると思います。

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人/東野圭吾(光文社)』

東野圭吾さんと言いますと、
加賀恭一郎シリーズガリレオシリーズがあり、
いずれもドラマ化されました。

今作もドラマ化もシリーズ化もされそうな予感がします。

というのも、事件の謎に挑む男性がテレビ映えしそうな方なのです。

その男性というのは、
以前はアメリカでマジシャンをしていたものの
今は東京でバーを経営しており、
見た目は、肩まで伸びた天然パーマに清潔感の無い無精ひげの
長身で痩せた50歳です。なお、顔は端正です。

オダギリジョーさんや藤木直人さんあたりが演じたら合いそう!
阿部寛さんや福山雅治さんも頭に浮かんだけど、
すでに東野作品のドラマに出演されているからなあ。
う〜ん。悩む。。。
なんてことを勝手に妄想する時間も楽しいものです。(笑)

***

物語は、ある名もなき町で起こります。

観光地であるものの、すっかり寂れてしまったその町では、
なんとか観光客を呼び込もうと、ある計画が進行中でしたが、
コロナの影響で頓挫してしまいます。

そんなコロナ禍の中で殺人事件が発生します。

殺されたのは、以前、中学の教師をしていた62歳の男性です。
教え子たちから慕われ、近々開催予定の同窓会にも参加予定でした。

東京で離れて暮らす娘の真世は、警察からの連絡で急きょ実家へ帰ります。

父はなぜ殺されたのか。
そもそも誰に殺されたのか。

警察に聞いても何も答えてくれません。

そんな中、父の弟、真世にとっては叔父である武史が突然現れます。

この武史こそさきほどご紹介した、事件に挑む男性です。

捜査過程を教えてくれない警察より先に、
自分の手で真相を突き止めたい!
と武志は事件の謎を解くために動き始めます。

そして、真世も父を殺した犯人を見つけるため
叔父の手伝いをすることになります。

元マジシャンと姪の二人は、
果たしてどのような方法で謎を解いていくのでしょうか。

続きは、ぜひ本を読んでみてください♪

***

さすが東野圭吾さんです。
頭の中に映像が浮かびっぱなしで、
本を読んでいるのに、映像作品を見ているようでもありました。

元マジシャンが事件の謎を解くというのが、面白かったです!
マジシャンならではの仕掛けが軽やかで素敵でした。
めんどくさいキャラだけど、それも含めて魅力的で、また会いたくなります。

東野さんは、この作品に関して

「このヒーローを生み出せたことで作家生命が延びたかもしれません」

とおっしゃっています。

ってことは、シリーズ化していくということですかね?
楽しみ〜!

なお、この作品は、韓国語や中国語、ベトナム語など
世界7言語での刊行が決定しているそうですよ。

今週末は3連休ですね。
また雪も降るようですし、お家でじっくり読書というのもいいのでは?

yukikotajima 10:11 am

丁寧な生活を送りたい方におすすめの本を2冊

2021年1月2日

あけましておめでとうございます。
2021年最初のラジオは、ネッツカフェドライヴィンです。

今年も引き続き、graceとともによろしくお願いします。


さて、今日のネッツカフェドライヴィンのテーマは「習慣」です。

新しい年になって二日目です。
今年はどんなことを習慣化していきたいですか?

去年、世界が大きく変わったことで
これまでの習慣を変えざるを得なくなり、
生活のリズムがなかなかつかめなかった方もいたのでは?

この年末年始も、いつもとは違う日々を過ごしている方も多いと思います。

今年はどんな一年になるのだろう…と思うと不安も尽きないですが、
こんな時代だからこそ、私は「丁寧な生活」を習慣化していきたいなと。

規則正しい生活なのはもちろん、
自分の心にも体にも優しくありたいなと思いまして。

今日は、私と同じように丁寧に日々を過ごしていきたいと思う方に
おすすめの本を2冊ご紹介します。


まずは、先日発売されたばかりのエッセイです。

『私は私に時間をあげることにした
/レディーダック(著者) 趙蘭水(訳)【SBクリエイティブ】』


著者のレディーダックさんは韓国の絵本作家さんで、
可愛い絵と温かい文章がSNSで人気なのだとか。

本屋さんでこの本を見たとき、まずタイトルに惹きつけられました。
「私は私に時間をあげることにした」という言葉を見てハッとしました。
私は私の時間を大切にしていたかしらと。

レディダックさんは、様々な情報に振り回されがちな今の時代こそ、
自分の速度で歩んでいくことが大事だとおっしゃいます。

ほんわかした絵と優しさあふれる文章で、
ページをめくるたびに心がどんどんほぐれていきます。

たとえば、雨の日はいつも心がやわらかくなるから好きだと言います。
誰かが待ち合わせ場所に遅刻しても気をつけておいでと思えるからと。

確かに、雨の日は「濡れなかった?暖かくしてね!」と相手を気遣うことが多いかも。
雨の日は知らぬ間にみんな優しい気持ちになっているのかもしれませんね。

この本は、イラスト多めで文章も難しくないので、
読書はちょっと苦手という方でも読みやすいと思います。


もう一冊は、丁寧な生活に欠かせないものである「食」に関する本です。

富山出身の寿木(すずき)けいさんによる
『レシピとよぶほどのものでもない わたしのごちそう365【河出文庫】』です。

Twitterの人気アカウント「きょうの140字ごはん」
で紹介されたレシピに、エッセイも加わった一冊です。

2017年に発売され話題になった本が去年の秋に文庫化されたのを機に
そういえば読んでなかったなと買ってみました。

私は以前からTwitterはフォローしていましたが、
本を読むのは今回が初めてでした。

寿木さんのレシピは、シンプルで簡単なのにお洒落なので作ってみたくなります。
また、文章そのものが滋味にあふれていて、読み物としても楽しい一冊です。
豊かな表現のリズミカルな文章は、
読んでいるだけで心にいい成分が行きわたっていくようです。

たとえば、こんな感じ。

夏がなかったことみたいな、
ひんやり澄ました土鍋がひとつ。
おでん、湯豆腐、炊き込みご飯、
あつあついくつ作ろうか。
乳白色の丸いおしりを
ポンと叩いてあいさつ代わり。

どうですか?
まるで歌のようなかわいい文章です♪

この本には季節ごとのオススメレシピが載っているのですが、
それこそお正月にオススメのレシピもありますよ〜。
たとえば、胃を休める「一年の計スープ」
これ、私も作ってみようと思います。
気になる方はぜひ読んでみてくださいね!

yukikotajima 9:16 am

★2020年本ランキング★

2020年12月23日

今日は2020年最後のユキコレ(grace内の本紹介コーナー)ということで、
毎年恒例の田島が選ぶ本ランキング「ユキコレ ランキング」を発表します。

今年は、いや、今年も悩みましたー。

今年私が読んだ作品は、派手さはないものの
じんわり心に染みわたる作品が多かったように思います。

その中から本の世界に没頭した作品を選んでみました。

※本のタイトルをクリックすると、田島の本の感想ページが開きます。


1位:『小説伊勢物語 業平/髙樹のぶ子(日本経済新聞出版)』


在原業平が主人公とされる平安時代の歌物語
「伊勢物語」を現代語訳ではなく、小説化した作品です。

450ページをこえる本の厚みと重厚感あふれる装丁から
見た目は難しそうな気配を漂わせていますが、中身は軽やか。
リズミカルな言葉の響きが心地いい作品でした。


2位:『ライオンのおやつ/小川糸(ポプラ社)』


今年一番泣いた本です。
医師から余命を告げられた女性が人生の最後に過ごした
ホスピスでの日々が描かれています。

こちらも1位の作品と同じく表現豊かな文章で
声に出して読みたくなりました。


3位:『なぜ僕らは働くのか
‐君が幸せになるために考えてほしい大切なこと‐
/監修:池上彰(Gakken)』

こちらは小説ではありません。

監修を担当された池上彰さんが、将来の働き方について
中学生や高校生に考えてもらおうと思ってお作りになった本ですが、
大人にもオススメです。

池上さんによると、大人の方がこの本を読むと
「きっと初心に返って仕事への意欲が湧いてくることでしょう」
だそうです。

新しい年の一冊目にいかが?


以上、悩みに悩んで選んだ3冊です。
良かったら年末年始にでも読んでみてください♪

***

今年も一年、私のブログ「ゆきれぽ」(ほぼ本の感想)にお付き合いいただき、
ありがとうございました。

本の感想は、毎週水曜の13時45分ごろ〜の
grace内コーナー「ユキコレ」でご紹介しています。

来年最初の「ユキコレ」の放送日は、1月6日(水)の13時45分ごろ〜です。

なお、年内のgraceの放送は、明日12月24日が最後です。
(12月30日、31日は休止です)

それではよいお年を〜♪

yukikotajima 1:50 pm

『いつの空にも星が出ていた』

この間の日曜日、家のパソコンで
富山グラウジーズ対千葉ジェッツの試合を見ました。

Bリーグになってから富山はまだ一度も千葉に勝ったことがありません。
でも、今シーズンの富山は二日続けて負けていないのです。

だから昨日は千葉に負けたけど、今日は勝つはず!
と願いながら試合を見つめていました。

前半は終始、千葉がリードし、やはり今日も負けてしまうのか…
と思ったら、後半、選手たちが躍動し、ダブルオーバータイムに!

結果は129-130と惜しくも一点差で敗れてしまいましたが、
一瞬たりとも目が離せない大変面白い試合で、
私は興奮しっぱなしでした。

ドキドキしたり喜んだり泣いたり。

どんな人でも感じるままに感情を表に出せる
スポーツ観戦って、すごくないですか?

あなたには、そんな夢中になって見てしまうスポーツや
応援しているチームはあるでしょうか。


今日ご紹介するのは、横浜ベイスターズのファンの皆さんのお話です。

『いつの空にも星が出ていた/佐藤多佳子(講談社)』


本の表紙には夜のスタジアムのイラストが描かれ、
帯には「どこまでも熱くて、かぎりなく純粋な、人生と応援の物語」
とあり、なんだか明るそうな内容だし、
今年最後に紹介するのに良さそうだと思って選んでみました。

実は私、本を手に取った時は、
ベイスターズの本であるとは、まったく気付いていませんでした。

ちなみに、ベイスターズが好きなFMとやまの堀池アナに
この本をすすめたら、表紙を見るやいなや
「ハマスタだー!」と叫んでいました。(笑)
ファンはこの表紙を見ただけでわかるのですね。さすがです。
堀池さんは早速この本を購入したそうです。


今回の作品は、4つのお話が収録された短編集で
登場人物も、高校の先生、女子高生、
家業の電気店を継いだ若者、小学生の男子とバラバラです。

でも全員に共通しているのが、横浜ベイスターズが好きであるということ。

物語は、最初は1984年、次は1997年、98年と、お話ごとに時代が異なります。
それも昔から今へと進んでいきます。

その時代ごとの出来事や選手の名前も出てきますので、
ファンの方にはたまらないと思います。

でも、私のように詳しくなくても大丈夫!
野球や横浜ベイスターズのことがわからなくても
好きなスポーツやチームがある人ならきっと共感できると思いますし、
何よりそれぞれの短編が面白いのです。

私は1997年の女子高生の物語が好きです。

もともとは彼氏がベイスターズが好きで
一緒に応援しているうちに自分も好きになるという
ありがちなお話なのですが、それがいいのです。
彼女が本当にベイスターズのファンになる瞬間なんて最高です!
(詳しくは本を読んでね)

(また私がこの主人公と同世代ということもあり、
色々な意味で懐かしさもありました)

彼女の他にも、誰とも野球の話はしないけど家で一人で見ている人や、
好きな選手がチームから離れてしまったことで
試合を見なくなってしまったものの
やっぱり好きな気持ちがおさえられない人など、
様々なファンが登場します。

横浜ベイスターズファンや野球好きの方はもちろん、
ほかのスポーツでも応援しているチームがある方には、
ぜひ読んでいただきたい一冊です。

初めてファンになった時、
好きな選手が移籍や引退をした時、
チームがなかなか勝てずにいる時、
それぞれの瞬間の思いが素直な言葉で綴られています。

例えばこんな感じ。
87歳のおじいちゃんが小学生に言うセリフです。

「その気持ちをジジイになるまで持っていけ。

強い時も弱い時も、雨の日も風の日も、
フロントがクソでもベンチがアホでも、
チーム名が変わってもマスコットが変わっても」

言葉は汚いけど、かっこいい!
長くファンをしている人だからこその言葉です。

大変熱く面白い一冊でした。

yukikotajima 9:20 am

『家族じまい』

2020年12月16日

今年は家にいる時間が増えたことで
家族と向き合うことも多かったのでは?

あらためて家族の大切さに気付いた方もいれば、
コロナ離婚という言葉もあったように
逆に気持ちが離れてしまった方もいたようですね。

あなたは家族とはどんな関係ですか?

親、きょうだい、子ども、それぞれとの関係はいかがでしょう?
うまくいってますか?

今日ご紹介する本は、ある家族にまつわる物語です。

『家族じまい/桜木紫乃(集英社)』

『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した桜木紫乃さんの新作です。
『ホテル〜』は映画化されこの秋公開されましたので、ご覧になった方もいるのでは?


新作の『家族じまい』は、5人の女性が主人公の連作短編集です。

まずは、美容室でパートとして働く48歳の智代(ともよ)のお話です。

彼女は子育てにひと区切りつき、夫と2人で暮らしています。
それなりに夫とはうまくやっているつもりでしたが、
ある日、夫の後頭部に円形脱毛症を見つけ、
何かあったのかと気になりながらも、なかなか聞くことができずにいます。
そんな中、自分の親や仕事の問題も重なっていきます。

他には、智代の妹や母親の姉などが登場します。
全員女性で一人以外は親族です。

連作短編集ですので、主人公が入れ替わりながら
でも登場人物は同じまま物語が進んでいきます。

話の軸になるのは智代の両親です。

母親は認知症で記憶を無くしつつあり、父親が面倒を見ています。

…と紹介すると良い父親のようですが、
以前は好き勝手生きていて家族を振り回し続けていたのでした。

そのため姉の智代は長い間、両親とは距離を置いており、
一方、妹は両親とは頻繁に連絡を取り合い、二世帯住宅を考えるほどです。

そして、この姉妹はそれほど仲がいいわけでもなく、
それぞれ相手に対して不満を抱えています。

というか、出てくる人みんながそれぞれの事情を抱えています。

この作品は、主人公が変わることで物事の見え方も変わっていきます。

なるほど、そういう事情もあったのかと客観的に見ながら、
あらためて人によって考え方や感じ方は様々だと気付かされました。
いや、人というか家族の、といった方がいいかな。

相手が他人の場合は自分と考えが違っていてもまだ理解できると思うのですが、
家族の場合はそうはいかなくないですか?

家族というだけでお互い理解できて当然!
と思ってしまうところがあるように思います。
そしてもし理解してもらえなかった場合、
家族なのに私のことをわかってくれない、と思ってしまうのですよね。

でも家族だからって全員が同じ考えとは限らないのですよね。

この本の主人公たちも皆、考え方はバラバラてす。
それ故、衝突もあります。

現実の世界では人の心の中をのぞけないので、
あくまでも想像するしかできませんが、
小説の場合、堂々とのぞけます。

それぞれの人の本音を知る時間は楽しいし、
そういう風に思う人もいるのか、と勉強にもなります。

この本は特に、様々な考え方の人が登場するので、
そういう意味でも読みごたえがありました。


また、この本の何がいいって、文章が素晴らしいのです!

本の帯に書かれている作家の村山由佳さんのコメントが
まさに私の言いたかったことなのでご紹介します。

「どうやったらこんな一行が書けるんだろう」
と唸る文章が、随所に、あくまでさりげなく配される

まさにその通りです。
桜木さんの文章は、これ以上綺麗にはまる言葉があるのかというくらいに、
ぴたっと正しくそこにおさまっているのです。

例えば…

ストレスを感じた時に飲む百円の缶酎ハイのことを
「高くても百円の、心の隙間を埋める投資」と言ったり、
自分の話も別の人の記憶に混ぜ合わせると
別の色合いが浮かび上がり新たな模様が現れる、
と表現したりしているのです。

くぅ。こんな表現できそうでできないよー。

これも好きです。

会話の最後はいつのときも、明るい明日の話題がいいのだ。
そうでなくては、翌日の太陽が暗い。

『家族じまい』は、素敵な文章に触れたいという方にもオススメです。
もちろん家族に関しての悩みを抱えている方にも。

そうそう、著書の桜木さんによると、
「家族じまい』の「しまい」は、
終わりの「終い」ではなく「仕舞い」なのだとか。
詳しくは作品を読んでみてください。

決して後ろ向きではない物語ですよ。

yukikotajima 11:06 am

『彼女の名前は』

2020年12月9日

先月、富山で映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が公開されました。
あなたはご覧になりましたか?
私は見に行こうと思った日に、もう上映が終わっていて見られず。。。
見たかったなー。

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』の原作は、
韓国で130万部を突破したベストセラー小説です。

現代女性の生きづらさを描いた小説として、日本でも話題になりました。

私ももちろん読みましたし、ラジオでもご紹介しました。

◎田島の本の感想は コチラ

***

今日ご紹介する本は、この『82年生まれ、キム・ジヨン』を書かれた
チョ・ナムジュさんによる短編集です。

『彼女の名前は(筑摩書房)』

著者が、9歳から69歳まで60人余りの女性に取材をして書いた
28のお話が収録されています。

取材がベースになっているものの、ノンフィクションではなく小説です。

例えば…
・セクハラと戦う女性
・初めて会社で育休を取った女性
・仕事の忙しい娘の代わりに孫の面倒を見る女性
・路線バスの女性運転手
・国会の清掃職員
などの女性が登場します。

出てくる女性たちは皆、普通の女性たちです。

著者のチョ・ナムジュさんは
「特別ではない、大したことのない、そんな女性たちの人生」
を書いたそうです。

それも社会の不条理に声をあげる女性たちを丁寧に描いています。

そう、女性たちはみんな何かと戦っているのです。
セクハラと、会社と、義理の家族と…。

そして、その戦いは自分のためだけではありません。

この苦しい思いを他の誰かに味わわせたくない。
私で終わりにしなければ!という思いで戦っているのです。

女性たちが立ち上がる理由は、「次の人」のためです。

ある女性はこう言います。

私だってそうだったんだよ。
あたしたちの頃はもっとひどかったんだから。

そんなことを言う先輩にはなるまい。

ドキリとしました。
だって、私も年上の人たちからよく言われてきたし、
私自身も年下に言ったことがあったから。
反省。。。

私だって辛い思いをしたのだからあなたも我慢して。ではなく、
こんな思いは、もう他の人にはさせない。私で終わらせなければ!
と思う人が増えれば、世の中はいい方向に変わっていくのですよね。

辛い時は、なんで自分ばかりがこんな思いをしなきゃならないのよ…
と気持ちが自分に向いてしまいがちですが、
私がこの状況を変えることで後に続く人たちもきっと楽になる!
と思えば、確かに頑張れそうな気がします。

この本は韓国のお話ですので、日本とは異なる部分もあります。
日本ではそんな話は聞いたことないな、と驚くような話もあり、
私には韓国のほうがより酷い状況に感じられました。
詳しくは実際に本を読んで頂きたいのですが、
それこそ、大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族』のような話もありました。

でも、日本でも今よりもっと女性が生きづらかった時代もあるわけで、
これまで様々な理不尽と戦ってきた女性がいるから、
今がだいぶ生きやすい時代になっているんだよな、
ということにあらためて気付かされました。

先輩方、本当にありがとうございます。

これからは、私も次に続く人たちのために、
しっかり生きていきたいと思いました。

この本の中で、40歳についてこう書かれていました。

40を過ぎたら自分の顔にも自分を取り巻く社会にも責任を持つべき。

すでに40歳をこえている私には耳の痛い言葉でした。
私、社会に責任を持てているだろうか。
そもそもひどい顔をしていないかと。
40歳を過ぎるとこれまでの生き方で顔つきが変わるのだそうです。
あなたはどんな顔をしているでしょうか。

著者のチョ・ナムジュさんは、
『82年生まれ、キム・ジヨン』によって
問題が社会に認識されたことはよかったけど、
認識だけではダメで、半歩でも前に進もうと、
そのためにこの本を書かれたそうです。

『彼女の名前は』は、多くの方に読んでいただきたい一冊です。男女問わずぜひ!

yukikotajima 9:08 am

『きみの瞳が問いかけている』『とわの庭』

2020年12月2日

先日、映画『きみの瞳(め)が問いかけている』を鑑賞しました。
話題の『きみのめ』です!

実は11月末までの鑑賞チケットを持っていたことをすっかり忘れていて、
先日あわてて見に行ったのでした。

なんてことをgraceの月曜火曜担当の垣田さんにお話したら、
垣田さんも全く同じことをしていました。
しかも見た作品まで同じでした。(笑)

映画はとても良かったです。
久しぶりに王道の恋愛映画を見たのですが、王道の安心感っていいですね。
王道最高〜!

映画を見たあとの私の心は、瑞々しい映画の世界のように清らかな気持ちでした。
とても美しい映画でした。

主演の横浜流星さんもずっと見つめていたくなるほどの美しさでした。
私が10代だったら部屋にポスターを貼っていたに違いない(笑)。

今までは、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』のピンク髪の不良高校生の
ゆりゆり(役名)が一番のはまり役だと思っていたけど、
この映画の塁(るい)も良かったです。
塁はある出来事から夢を失くしてしまうのですが、
横浜さんは影のある役が似合いますね。

一方、相手役の吉高由里子さんは明るいキャラクターが合っていました。
吉高由里子さん演じる明香里は、事故で視力を失くしてしまいます。
でも、目が不自由でありながらも、一人で暮らし、仕事もしています。
何より明るくかわいい女性です。

『きみのめ』は、そんな夢を失くした男性と
視力を失くした女性の恋模様が描かれた
王道のラブストーリーです。

若い方だけでなく、大人の女性の皆さんもぜひ。
きっと心が満たされると思いますよ〜♪

◎映画の公式サイトは コチラ

***

かわっては本のお話です。

ご紹介する本の主人公の女性も
映画『きみのめ』と同じく視覚障がい者です。

『とわの庭/小川糸(新潮社)』

ちなみに、映画『きみのめ』と、この小説は全く別の作品です。

ただ、どちらの主人公も目が不自由という点では、重なるところが多々ありました。

例えば、いずれの主人公も目が見えないので匂いや音で判断したり、
洋服選びはスマホを使って色や模様をチェックしたり。
とくにお花などの自然の匂いに敏感なのが印象的でした。

『とわの庭』も本のタイトル通り、庭の植物の匂いが感じられる作品でした。

主人公は「とわ」という女性です。
物語はとわの子どもの頃のお話からスタートします。
とわは目が見えなくてもママがいれば幸せでしたし、
ママもとわのことが大好きでした。

後半は大人になったとわの物語が描かれます。

とわがどのように大人になっていったのかは、
ぜひ本を読んでいただけたらと思います。
本当はその間のことを言いたいのだけど、我慢します。
この作品は、ネタバレを一切したくないタイプのお話なのです。

私はこの本のことを何も知らずに読んだので、途中かなりの衝撃を受けました。
読んでいる最中は、喜怒哀楽のすべての感情が入り混じっていました。
こんなにも感情が揺さぶられることになるなんて!
というくらいに気持ちが動き、さらに何度も涙がこぼれました。

でも、読み終えた後は穏やかでした。

そもそも私が『とわの庭』を読んでみたいと思ったのは、
小川糸さんの新作だったからです。

小川糸さんと言いますと、今年春に
『ライオンのおやつ』をラジオでご紹介しました。

本屋大賞の2位にもなった話題作です。

◎『ライオンのおやつ』の感想は コチラ

余命を告げられた女性が人生の最後に過ごした
ホスピスでの日々が綴られた小説で、涙が止まりませんでした。
今年一番泣いた作品です。

『とわの庭』は、そんな小川糸さんの新作ということで、
きっといいに違いない!と思って、中身は一切確認せずに読み始めたのでした。

実際とても素敵な物語でした。

淡い黄色の本の表紙を見ると穏やかそうな雰囲気ですが、
「とわ」の人生には色々なことが起こります。

でも、とわはいつでも前向きです。

なぜなら彼女はたくさんの人やモノから力をもらっていたから。
ママが読み聞かせてくれた物語に、ピアノの音、そして大好きな友達など。

この本を読んで私は、とわちゃんから力をもらいました。

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『きみのめ』と『とわの庭』は、いずれも視覚障がい者が主人公です。
内容は全然異なりますが、主人公2人に共通しているのは、
2人とも前向きで明るいということと、丁寧に暮らしていることです。

偶然とはいえ、これら二つの作品を同時に味わって、
目が見える私のほうが、実際は見えていないことが多いのかもしれない、
と思いました。

どちらもいい作品でした!

yukikotajima 9:14 am