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湊かなえさん

2023年8月30日

ヨリミチトソラで毎週水曜18時32分ごろからお送りしている、
このブログとの連動コーナー「ゆきれぽ」では、
本やアートの話題をお届けしていますが、
今日8月30日と来週9月6日は、人気作家の湊かなえさんにご出演頂きます。

湊さんは、先週の土曜日に明文堂書店 富山新庄経堂店でサイン会を行いました。

このサイン会は、湊さんの代表作である『告白』の文庫300万部突破を記念して
全国の書店を対象に行われた飾り付けコンクールで
最優秀賞に選ばれた書店で行われているもので、
なんと、「ゆきれぽ」で大変お世話になっている
明文堂書店 富山新庄経堂店が、中部ブロックの最優秀賞に選ばれたのです。
おめでとうございます〜!

※コンクールの詳細は、双葉社のサイトをご覧ください。

◎双葉社のサイトは コチラ

◎明文堂書店のサイトは コチラ

こちらが最優秀賞に選ばれた飾りつけです。

書店員の野口さんのが存在感を放っています。
飾りつけは、9月中旬まで見ることができるそうですよ。

今日のゆきれぽでは、この飾りつけコンクールや先日のサイン会について、
来週は、休筆期間中にしていたことや執筆中の新作についてお話頂いています。

ちなみに、湊さんは2020年から去年までFM大阪でラジオをされていたそうです。
さらに、そのラジオ番組が一冊の本になりました。

『湊かなえの「ことば結び」(角川春樹事務所)』

来週のラジオでは、この本についてもお話頂いています。
私も読んでみたのですが、ラジオがベースだけあって
ラジオを聴いている感覚で楽しく読めました。

番組では、ラジオを通して短編小説を作ろう!ということで、
リスナーの皆さんから短編小説を送っていただいていたんですって。

エッセイには小説家を目指す人へのアドバイスも書かれているのですが、
小説がどのように書かれているのかがわかるだけでなく
私自身、アナウンサーとしての学びもたくさんありました。

また、湊さんがお住まいの淡路島の話題も多いので、行ってみたくなりました。
いつか「うにく」を食べたい〜。
(「うにく」について詳しくは来週のラジオを聞いてください)

湊さんファンはもちろん、ラジオや小説がお好きな方にもおすすめの一冊です。
ぜひ湊さんのお喋りを聞く感覚でお読みください。

それから今執筆中の新作も楽しみ〜!

でも、新作の発売はもう少し先になりそうですので、
それまでの間は過去の作品をお読みになってみては?

私もこれまで湊さんの本は何冊も読み、ラジオでもご紹介してきました。
このブログの右横の「検索」「湊かなえ」と検索すると、
過去の私の紹介記事を読めますので、本選びの参考にしてください。

私は今回、湊さんにインタビューするにあたって
『告白』を久しぶりに読んでみたのですが、
あらためてパワーのある作品だなあと実感しましたし、新たな気付きもありました。
前は、「中学生」「大人」それぞれの立場を想像しながら読みましたが、
今回は、全員が同じ「人間」として頭に入ってきました。
私が年を重ねたってことかな。再読もいいものですね。

ぜひ今日と来週のラジオ聞いてくださいね。
18時32頃〜ヨリミチトソラ内ゆきれぽのコーナーですよ〜。

◎ヨリミチトソラのサイトは コチラ

yukikotajima 11:06 am

大竹伸朗展

2023年8月23日

今日の「ゆきれぽ」は、アートの話題。
現在、富山県美術館で開催中の話題の企画展「大竹伸朗展」をご紹介します。

大竹伸朗(おおたけ・しんろう)さんは、
愛媛の宇和島を拠点に制作をおこなう美術界のカリスマです。

宇和島と言えば、今、富山県美術館が
「宇和島駅」になっているのを見たことがある方もいるのでは。

大竹さんと言うと、分厚いスクラップブックや

スナックの看板をモチーフにした代表作《ニューシャネル》
からうまれた大竹文字などが有名です。

今回、展覧会を見て、勝手ながら「ヨリミチトソラ」と重ねてしまいました。

大竹さんは作品を作るにあたって、
最短距離はつまらない。まわり道がいい。
偶然がいい。人が考えることには限界があるから。
とおっしゃっているのです。

まさに「ヨリミチ」じゃないですか?

何より「偶然」を大切にし、計算通りにやっても面白いものはできないと言います。
そんな大竹さんが生み出す作品からは、強烈な個性が感じられました。

今回の企画展は、およそ500点の作品が
7つのテーマに基づいて構成されているのですが、
いつもの美術館とはだいぶ異なる雰囲気で、
自分がどこにいるのかわからなくなるほどでした。

大竹さんの作品は色々ありますが、
中でも厚紙や木などの様々な素材をペタペタと貼っていくスタイルは、
大竹さんを代表する制作方法です。

この貼り重ねられた様は、生で見ると、
素材の質感や層の厚みがよくわかって面白かったですし、
見ているうちに自分もやってみたくなるもので、
家に帰ったら真似してみようかなと思っていたところ、
3階のアトリエ・ラボでできました!

こちらでは、大竹さんと同じ表現手法で作品を作ることができる
ワークショップを開催しています。

白い紙に会期が終わった美術館の企画展のチラシなどを
好きなように切って貼っていくのですが、
何も考えずに思いつくまま貼ることの、なんと自由で楽しいことか。
ストレス発散にもなりました。

ちなみに、私の作品は会場に残してきましたので、良かったら見つけてみてください。

さて、会場には他にも様々な作品が展示されていまして、
例えば、世界的な芸術祭であるドイツのドクメンタに出展された
大型インスタレーション《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》や

遠隔操作による無人バンド《ダブ平&ニューシャネル》といった代表作もあります。

27日(日)には、大竹さんによる《ダブ平&ニューシャネル》の
デモンストレーション(演奏)が行われるそうです。
詳しくは、富山県美術館のサイトでご確認ください。


ところで、今回、美術館に二日連続で行きました。
と言うのも、初日は夕方に行ったため、
朝しか見られない特別な光景を見られなかったのです。

こちらはガラス面を用いた新作です。

ガラスに貼られた作品が床にうつって幻想的でした。
この光景は朝10時くらいまで見られるそうですよ。

二日目は99分にもわたる大竹さんのドキュメンタリーも見ました。
大竹さんが作品をどのように生み出していくかや、
どんな思いで作品を作っているのかがわかり、とても面白かったです。

例えば、大竹さんにとって厚紙(ダンボール)は、
破くことで素材が限りなくとれる面白い素材なんですって。

ダンボールと言えば、昔から富山県美術館にある
大竹さんがダンボールで作った「男」という作品も展示されています。


最後に、「大竹伸朗展」の私のオススメの鑑賞方法をご紹介します。

朝9時30分に来て、まずはガラスの作品を鑑賞。
その後、99分のドキュメンタリーを見て予習。

ランチをはさんでから、ゆっくり作品鑑賞。
あわせて常設展もぜひ。常設の方にも大竹さんの作品があります。

鑑賞後は3階のアトリエ・ラボのワークショップで作品作りをして、最後はショップへ。
なんと富山県美術館限定Tシャツもあります!

ということで、一日コースで楽しんで頂くのがベストかと。

ぜひ次の休日にでも大竹ワールドに浸ってみては。

「大竹伸朗展」は、富山県美術館で9月18日(月・祝)までの開催です。

◎富山県美術館のサイトは コチラ

yukikotajima 11:28 am

『キャラ絵で学ぶ! 日本の世界遺産図鑑』

2023年8月16日

今日は、大人だけでなく、
夏休み中の小中学生や受験生にもおすすめの本をご紹介します。

『キャラ絵で学ぶ! 日本の世界遺産図鑑』
伊藤賀一・監修
いとうみつる・絵
小松事務所・文
すばる舎

シリーズ13万部を誇る人気の「キャラ絵で学ぶ!図鑑シリーズ」の新刊で、
今回は、日本にある世界遺産について学べます。

キャラ絵を描いたのは、小学生に大人気のイラストレーター、いとうみつる先生です。
そして、「日本一生徒数の多い社会科講師」として有名な
伊藤賀一(がいち)先生が本を監修しています。

図鑑ですから情報満載なのはもちろん、
フルカラーで、漢字にルビがふってあるのもポイントです。
私には、読み方がわかるだけで難しさが半減するように感じられました。

ページをめくると、まず世界遺産の「基礎知識」からはじまります。

そもそも「世界遺産」とは何かわかりますか?
ひとことで言うと、「人類共通の宝物」だそうです。
監修をされた伊藤先生は、「世界が認めた、とびきりステキな場所」と表現しています。

世界遺産は、「文化遺産」「自然遺産」
そして、文化遺産と自然遺産の両方の価値がある「複合遺産」の3つに分類され、
現在、世界に1157ヵ所、日本には25ヵ所あります。
ほかにも「無形文化遺産」や「世界農業遺産」などもあります。
こんな感じで基礎知識を頭に入れたあとは、
日本の世界遺産について地域ごとに学んでいきます。

例えば、富山の世界遺産である「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、
第4章の「中部地方世界遺産」で紹介されています。

ところで、五箇山の「箇」には、どういう意味があるかご存じですか。
正解は「谷」です。
詳しくは本を読んで頂きたいのですが、富山の皆さんは知っていたかな?

さて、それぞれの世界遺産の紹介ページでは、
概要や世界遺産になった理由のほか、
必見ポイントや人気のお土産なども紹介されていますので、
実際に現地に行きたくなります。

中でも私が一番興味深く読んだのは、「世界遺産になった理由」です。

例えば、屋久島(やくしま)が自然遺産に登録されたのは、
豊かな自然があるから、と思われそうですが、
正しくは、日本列島の植物が垂直に分布しているからなんですって。
海岸線から山頂に向かって、多種多様な植物が自生している屋久島は、
「日本の縮図」とも言われているそうですよ。

では、富士山が自然遺産ではなく文化遺産になった理由はわかりますか。
当初は自然遺産を目指していたそうですが、2つの理由から断念したそうです。
1つは、当時、登山道に多くのゴミが散乱していたからです。
では、なぜ文化遺産にはなれたのか。
それは、「世界の芸術家に愛された」ことも理由の一つとなっているようです。
詳しくは本を読んでお確かめください。

どの世界遺産も、わかりやすい言葉と絵で解説されているため頭に残りやすく、
本の途中にある「日本の世界遺産クイズ」にも、ちゃんと正解できました。
全問正解できたときの喜びたるや。
私、天才かも♪と勘違いしそうになりました。(笑)

学生さんたちは参考書感覚で、
大人の皆さんは学び直しや旅の計画のために読んでも楽しいかも。

小説はちょっと苦手だけど、
何か本を読んでみたいという方にもおすすめです。

yukikotajima 11:36 am

いわさきちひろピエゾグラフ展

2023年8月10日

最近何かとあわただしく、心にも余裕がなくなりかけていたのですが、
昨日、ある場所に行ったら、心の乱れも整って、優しく穏やかな気持ちになれました。

私が癒されたのは、淡くやわらかな色合いの子どもの絵で知られる
画家のいわさきちひろさんの絵です。

ちひろの絵は、きっとどこかで目にしているのでは?

私は、黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』の印象が強いです。
また、母がちひろの絵が好きだったので、
子どもの頃から絵本でちひろの絵を見ていました。

今、上市町の西田美術館では、
上市町新町制70周年、西田美術館開館30年を記念した
「いわさきちひろピエゾグラフ展 ちひろの描いた世界と日本のおはなし」
がおこなわれています。

ピエゾグラフとは、精巧な印刷技術によって、
原画に近い状態でデータ化して印刷したもので、
ちひろの繊細な水彩画を原画と見分けがつかないほどに再現しています。

なぜピエゾグラフにしたのかというと、
当時の紙質が悪く劣化を避けられないことから、
最新の印刷技術によって、ちひろの水彩画を復元したのだとか。

正直、間近で見ても復元だなんてわかりません。どう見ても本物の風合いでした。

今回は、ちひろが絵を描いた様々なおはなしの絵本、
例えば、『つるのおんがえし』『おやゆび姫』『にんぎょひめ』の他、
宮沢賢治の文に絵をつけた『花の童話集』や、
ちひろが文も書いた作品など、50点が展示されています。

また、会場には絵本もありますので、椅子に座ってじっくり読むことができますし、
会期中、毎週土日の14時〜は絵本読み聞かせイベントが行われているそうです。
(ただし、お休みの日もありますので、詳しくはホームページでご確認ください)

私も実際ベンチに座って絵本を読んでみましたが、
その時間だけでもだいぶ心な和みました。

今回、西田美術館 の熊本明子さんに解説をしていただいたのですが、
「ちひろの絵を見てほっとするのは、
絵本を読んでいた当時のことを思い出させてくれるからではないか」
とおっしゃっていたのが印象に残りました。

その一方で、この企画展では、
ちひろがどのようにして絵本画家になっていったのか
を紹介しているのもポイントです。

例えば、力強さを感じる30歳の頃の自画像のスケッチは、
小さい時から画家を目指していたものの、戦争によってその夢が閉ざされ、
戦後にもう一度、画家としてやっていきたいと決意した時に描かれたそうなのですが、
力強いタッチで、他の水彩画とはだいぶ印象が異なりました。

ちひろについては、映像でも知ることができます。
会場の2階では、ちひろ美術館 館長の黒柳徹子さんが
ちひろの知られざる一面を語る映像が上映されていますので、ぜひご覧ください。

また、その2階に向かう途中の階段の踊り場の壁には
「ちひろ美術館」の動画が流れていまいして、そこで写真が撮れます。

今回、「いわさきちひろピエゾグラフ展」を見て、
ちひろの絵に癒されたのはもちろん、絵の美しさやうまさにも気付かされました。
例えば、海を描いた絵などは、一見簡単に描いているように見えて
とても繊細に描き分けているのがわかり、
子どもたちの絵もいいけれど、風景もいいなあと思いました。

ぜひみなさんもじっくり鑑賞してみてください。

「いわさきちひろピエゾグラフ展 ちひろの描いた世界と日本のおはなし」は、
上市町の西田美術館で9月3日(日)までの開催です。

会場では、絵本やポストカードのほか、
ご要望の多かった来年のカレンダーも
特別に今週末あたりから先行販売されるそうですよ。

また、8月26日(土)には、ちひろ美術館 学芸員の松方路子さんによる
ギャラリートークもあります。

詳しくは、西田美術館のホームページでご確認ください。

◎西田美術館のサイトは コチラ

yukikotajima 12:03 pm

『この夏の星を見る』

2023年8月9日

あなたは夜空を見上げてますか。

この本を読んだあとは、きっと夜空を見上げたくなると思います。
それも望遠鏡で。

『この夏の星を見る』
辻村深月
株式会社KADOKAWA

いやあ、いい本でした!
大人はもちろん、夏休み中の中高生たちにも読んで頂きたい。
それこそ、ゆきれぽの夏の課題図書にしたいくらいです。(笑)

『この夏の星を見る』は、コロナ禍の中高生のお話です。

コロナ禍では、誰もがこれまでとは異なる生活を送ることになりました。
中高生たちも部活や大会が無くなるなど、たくさんの我慢を強いられましたよね。

この物語には、茨城、渋谷、長崎の五島列島の中高生たちが登場し、
それぞれのコロナ禍が描かれます。

例えば、五島列島の高校3年生の円華(まどか)は旅館の娘なのですが、
旅館に県外からの旅行者が泊っていることが原因で、
親友から距離を置かれてしまいます。

一方、渋谷の中学1年生の真宙(まひろ)は、
ある理由から学校に行きたくないと思っており、
コロナが長引くことを願っています。

それぞれに事情を抱えた彼らでしたが、
天体観測を通して全国の中高生たちとつながっていくことになります。

といってもコロナ禍ですし、そもそも中高生ですから、
簡単に全国を行き来することはできません。

彼らはオンラインを通じてつながります。

そして、同じ日にそれぞれの場所で望遠鏡で星を見ることを計画します。
それも自分たちで作った望遠鏡で。

***

『この夏の星を見る』を読んで、
「青春って、すごく密なので」の言葉を思い出しました。
2022年に夏の甲子園で優勝した仙台育英高校の須江航監督の言葉です。

コロナ禍では誰もが日常を奪われたわけですが、
大人と中高生では時間の感覚が違うことを
この本を読んで気付いたというか、実感しました。

読んでいるうちに自分も中高生の一人の気分になってきて、実感したのです。
10代の一年の短さに。

「コロナ禍だから、しばらく待ってから」なんて、
本当に待っていたら学生生活が終わってしまいます。

この物語の生徒たちは、それぞれ色々抱えつつも、
やりたいことを見つけた後の行動はとてもはやいのです。
その瞬発力やスピード感に私は青春を感じました。
大人たちだけだったら、やっと今ごろ
「コロナも落ち着いてきたから、そろそろ始めましょうか」
なんて言ってそうだもんなあ。(笑)

でもね、この本に出てくる大人たちは違います。
子どもたちの限られた時間の大切さをちゃんとわかっています。
そんな大人たちの言葉がいいんです。
彼らの言葉に涙している私は、まるで生徒の一人のようでした。

本屋大賞を受賞した『かがみの孤城』を読んだ時にも思ったのですが、
著者の辻村さんって、人物、特に少年少女たちを丁寧に描いているというか、
ひとりひとりを本当によく見ているんですよね。

だから、『この夏の星を見る』を読んで登場人物たちの気持ちに触れることで、
「誰も私のことをわかってくれないと思っていたけど、わかってくれる人がいた」
と思う人もいるんじゃないかな。

私は、この本のおかげで、コロナ禍で感じた、
モヤモヤしつつもそのまま放置してしまった自分の気持ちと向き合えたように思います。
本当にいい物語でした。

それから!

3月に発売された辻村さん初のガイドブック
『Another side of 辻村深月』には、
『この夏の星を見る』のスピンオフ書下ろし短編「薄明の流れ星」
も収録されていますので、あわせて読んでみてください。

流れ星と言えば、今度の日曜日、13日はペルセウス座流星群の極大日です。
今年は月が無いため、流れ星が良く見えるそうですよ。
せっかくですので、小説とセットで楽しんでみては。
できれば13日までに『この夏の星を見る』とスピンオフをお読みください。
より星空観察を楽しめると思います。

ということで、さっそく読み始めましょう!(笑)

yukikotajima 11:42 am

『八月の銀の雪』

2023年8月2日

毎日毎日本当に暑いですね。
色々な暑さ対策がありますが、
雪の降る冬を思い出してみるのはいかがでしょう。

今日ご紹介する本は、タイトルを見ただけで暑さが和らぎそうですよー。

『八月の銀の雪』
伊与原新(いよはら・しん)
新潮文庫

今日は8月の第1水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

第164回 直木賞候補となったほか、
2021年に本屋大賞にノミネートされた話題作ですので、
すでにお読みの方もいるのでは。

まずは、野口さんのコメントです。

科学の不思議や、真実が、主人公たちの人生に寄り添い、
そっと背中を押してくれる物語です。
小説と科学が融合するんだ〜と、ひたすら感動しました。

私は、本のタイトルを見た時、暑い夏に銀色の雪が降る
ファンタジーなのかなあと思ったのですが、
読んでみたら全然違いました。

野口さんがおっしゃっている通り、
地球や自然、動物などの科学にまつわる物語でした。

でも科学と言っても決して難しいお話ではありませんので、
安心してお読みください。

ちなみに「銀の雪」は実際に地球のある場所で降っているそうですよ!

『八月の銀の雪』は、5つのお話からなる短編集です。
どのお話の主人公も人生がうまくいっていません。
ですが、新たな人との出会いをきっかけに、
くすぶっていた日々に変化が生じます。

私が一番印象に残ったのは、
2歳の娘を育てるシングルマザーの物語「海へ還る日」です。

シングルマザーの「わたし」は、
満員電車の中で、ぐずる娘を抱っこしながら、
まわりの乗客たちに「すみません」と謝り続けています。
そして、もう限界…と思ったとき、ある年上女性が席を譲ってくれます。
その女性は、ぐずる娘にクジラのシールを渡して、
博物館で開催中の「海の哺乳類展」に行くことを提案します。

「わたし」は、街なかで出会う人は、
自分も含め全員がつまらなそうに見え、
娘の人生もきっと幸せにはなれないと思っていましたが、
博物館でクジラやイルカの展示を見たり話を聞いたりする中で、
少しずつ世界の見え方が変わっていきます。

ほかにも、就職活動がうまくいかない学生や、夢破れた男性など、
どのお話の主人公も満たされない思いを抱えているのですが、
それぞれ、ある人との出会いによって、心に変化が生じます。

と同時に読者である私の心も軽くなって、
よし私も頑張るか、と前向きな気持ちになれます。

自分のことを知らない他人のほうが、
正直な気持ちを吐き出せることって、ありませんか。
また、全然関係ないと思っていたことから、
影響を受けることもありますよね。

それこそ、この本を読むことで、
きっと何かしらの影響をあなたも受けるのではないかしら。それもいい影響を。
この夏じっくり読んでみてください。

今年6月に文庫化されて、お求めやすくなっていますよ〜。

今日ご紹介した『八月の銀の雪』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、
ぜひチェックしてみてください。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 1:30 pm