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『くしじじいとくそばばあの日本史』

2021年3月31日

今あなたはおいくつですか?

ご自身の年齢を若いと思いますか。
それとも、もう自分は若くないと思うでしょうか。

「人生100年時代」と言われるようになってから
年齢の概念が変わりましたよね。

中には実年齢よりだいぶ若く見える方もいますし、
生き方そのものが若い方もいます。
何歳になっても第一線でお仕事をなさっている方や
フルマラソンを完走する方など、お元気な方は大勢いらっしゃいます。

平均寿命も昔に比べると延びていますが、
実は昔も長生きをして、貪欲に、したたかに、歴史を生き抜いた
ご老人たちが大勢いらっしゃったようなのです。

今日ご紹介する本は、こちら。

『くそじじいとくそばばあの日本史』/大塚ひかり(ポプラ新書)』

なかなか放送では言いづらいタイトルです。(笑)

この本、以前、社会学者の古市憲寿さんがオススメされていまして、
読んでみたい!と思っていたのです。さすが辛口の古市さんセレクトです。

タイトルを耳で聞いたときにもインパクトがありましたが、
本屋さんで目にしたときもなかなかの衝撃でした。
まず、見た目が真っ赤なのと、そこに描かれたくそじじ…
いえ、お爺さんとお婆さんのイラストが
人気イラストレーターの五月女ケイ子さんが描いたものなのでシュール!
本屋さんの新書コーナーで一番目立っていました。

ところで、なぜこんなタイトルなのかというと、
著者の大塚さんは、長谷川町子さんの漫画『いじわるばあさん』が大好きで、
この漫画によく出てくる言葉が「クソばばぁ」だったのだとか。

また、「くそ」にはパワフルという意味もあり、
大塚さんは、超高齢社会となった今こそ、
そんなご老人たちのパワフルさが求められているのでは?と思い、
歴史上の様々なご老人たちを紹介することにしたそうです。

この本には初めて名前を目にするような人物もいますが、
有名な歴史上の人物も登場しています。

たとえば、豊臣秀吉や一休さん、浦島太郎、天海など。

天海は江戸時代の天台宗の僧ですが、
なんと81歳で政界デビューし、100歳を過ぎても政界に君臨し続けたのだとか。

他にも世間体や常識にとらわれずに我が道を行った人として、
葛飾北斎が紹介されています。
90歳で亡くなった時には
「天が私にあと十年、せめて五年の命を与えてくれたら本物の画工になれたのに」
と言ったそうです。
人としては変わり者だったかもしれないけれど、
画業に対する情熱はずっと変わらず、何より謙虚であったことが素晴らしい!

それからもう一つ、北斎は偉大だなと思えることがあるのですが、
それは本を読んで確かめてみてください。

この本には、そんなパワフルなご老人たちが次々に登場し、
みんなすごいなあと思う一方で、老人たちのダメな部分も描いています。

たとえば、最近「キレる老人」が話題になっていますが、
江戸時代にも年を取って怒りっぽくなっている老人はいたようで、
「くどくなる、短気になる、愚痴っぽくなる、
心はひがみっぽくなってカラダは古くなる」
という意味の狂歌もあったそうです。

まるで今と変わりませんね。

この本は、タイトル含めちょっと言葉遣いが気にはなるかもしれません。
でも、悪口だらけではなく、歴史上の
お爺さん、お婆さんへの愛が詰まった一冊になっています。
「くそ」を「かっこいい」に頭の中で変換して読んでみるのがいいかも。

まあ、中には変換する必要のない本当にダメダメな人も出てきますが。(笑)

年を重ねるにつれ、何かと年齢を言い訳に様々なことをあきらめてしまいがちだけど、
私はこの本を読んで、もっとがっついてみてもいいのかもな、と思いました。

でも、ただの「〇〇じじい、ばばあ」にはならないよう注意は必要ですが。
何歳になっても、思いやりや謙虚さは忘れないようにしたいですね!
独りよがりでは、孤独な老人になてしまいますものね。

yukikotajima 10:50 am

ありがとう、寅さん!

2021年3月24日

コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことで、
映画やドラマや小説などの過去の名作に触れた方もいらっしゃることと思います。

私はすでにラジオでも何度もお話しているとおり、寅さんにはまりました。

寅さんとは、映画『男はつらいよ』シリーズで
渥美清さんが演じたフーテンの寅こと車寅次郎(くるま・とらじろう)のことです。

1969年に第1作が公開され、
1995年までの26年間に全48作品(特別篇を加えると49作品)
が公開された国民的人気シリーズで、2019年には第50作が公開されました。

旅をしながら日本各地で商売をし、
その旅先で美しい女性たちに恋をし、
実家の柴又に帰ってきては家族と交流というか毎回必ず喧嘩をする、
というお決まりのスタイルをベースに、
毎回素敵なマドンナや日本の名所が登場します。

◎映画『男はつらいよ』の公式サイトは コチラ

↑この公式サイト、とっても楽しく、何度見ても飽きません。

私が寅さんにはまったのは、2019年の年末に公開された
第50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』を見たことがきっかけです。

もちろん寅さんの存在は知っていたものの、作品をちゃんと見たことはなく。
でも、マスコミ試写で見ることになりまして。
過去の作品を見ていないのに理解できるかしら?と不安を抱え鑑賞したのですが、
これがとても面白くて、過去のシリーズも見たいと思っていたら、
BSテレ東で去年4月から全話4K修復版の綺麗な映像で放送されることになったのです。

そして、この一年、私は毎週土曜の夜『男はつらいよ』シリーズを見続け、
ついに先週末、全ての作品の放送が終わりました。寅さんロス真っただ中です。(涙)

寅さんのことを何も知らずに見た『お帰り 寅さん』は、
ただただ面白くて、ワガママで陽気で自由なおじさんの物語だと思ったものですが、
シリーズを全て見た後にあらためて見た『お帰り 寅さん』は、
泣けて泣けて仕方ありませんでした。寅さんのセリフの全てがより心に染みました。

吉岡秀隆さん演じる甥の満男の
「人間は、何のために生きてんのかな?」に対する寅さんの名言
「うーん、何て言うかな、ほら、ああ、生まれて来てよかったなって思うことが
何べんかあるじゃない、ねえ。そのために人間生きてんじゃないのか」
というセリフは、初めて聞いた時もいい言葉だと思ったけど、
ちゃんと物語の中で聴くと、さらに心に響きました。
あの寅さんが言うからこその説得力たるや。

私は作品を見る度に感想や印象に残ったセリフを毎回ノートに書いていたのですが、
昭和の下町の粋な表現や会話のテンポが耳に心地良く、
ノートに書くのは楽しい作業でした。言葉や会話が魅力的な作品なのです。

さて、そんな素敵なセリフが一冊にまとまった本があります。
(私のノートでは無く。笑)

前置きが長くなりましたが、今日は寅さんに関連した本を2冊ご紹介します。

まずは『男はつらいよ 寅さんの人生語録 改/山田洋次、朝間義隆』です。

こちらの『〜改』は1993年に発売された本を改題し、
加筆・修正・再編集したものだそうです。
寅さんを愛してやまない牧内先輩から教えて頂きました。
(アナウンサーだけでなく寅さんの先輩でもあります。笑)
牧内さんとはこの一年、よく寅さん談義をしました。

この『人生語録』、最高でした。
寅さんをはじめ、出演者の皆さんの名言やお馴染みのセリフが掲載されているのですが、
私の大好きな初代おいちゃんの「馬鹿だねぇ」も
御前様の「困った」も載っており、読みながらニヤニヤが止まりませんでした。
また、「ケッコー毛だらけ猫灰だらけ、お尻のまわりは…」
などの寅さんの口上も載っているので、声に出して読みたくなりました。

セリフが載っているだけなのシンプルな本なのだけど、
出演者たちの表情や声が浮かんでくる、とても賑やかな一冊でした。


2冊目は、『寅さんの「日本」を歩く 一番詳しい聖地探訪大事典/岡村 直樹』です。

一年中ほとんど旅をしている寅さんのおかげで、
コロナ禍でなかなか旅行にいけなくても旅気分を味わうことができました。
それも風の吹くまま気の向くままの旅で、何と自由な旅を楽しめたことか。
閉塞感のある日々だったからこそ、カラッと明るい映画の空気に救われました。

この本には、そんな寅さんの立ち寄り先、つまり聖地330ヶ所余りが載っています。
温泉、城下町、港町、島などのスポットの他、
寅さんが愛した昭和(公衆電話、ちゃぶ台など)や
全作品ガイドや全ロケ地ガイドまである、かなり読み応えのある一冊です。

ただし、寅さんは富山には来ていないので、富山のロケ地はありません。残念!

寅さん関連の本は本当にたくさん出ていますが、
私はコロナ終息後に寅さんのロケ地に行ってみたいと思って、この本を選んでみました。
これからのんびりと行き先を決めようと思います。

でも、最初に行く場所は決めています。
寅さんの故郷、葛飾柴又です。
早く行きたいなあ。

この一年、私と同じように『男はつらいよ』シリーズをご覧になり、
今、絶賛寅さんロス中の方は、今日ご紹介したこの2冊をぜひ読んでみてください。

また、まだ映画『男はつらいよ』シリーズをご覧になっていない方は、
ぜひ1作目から順番にご覧になってみてくださいね!
そして見終えたら改めてこのブログを読んでみてください。

✴︎✴︎✴︎

[おまけ]

田島が好きな寅さんシリーズ

1『男はつらいよ』

13『寅次郎恋やつれ』

17 『寅次郎夕焼け小焼け』

19『寅次郎と殿様』

32『口笛を吹く寅次郎』

本当は他にもたくさんあるのですが、
キリが無いので、なんとか絞ってこの5作品にしてみました。

寅さん、この一年本当にありがとうございました。
いつか寅さんを感じる旅に出るのが私の夢です。

yukikotajima 11:31 am

市内電車 1日フリー切符の旅 自然満喫編

2021年3月18日

今週のgraceでは、15時から「市内電車 1日フリー切符の旅」と題して、
アーバンスタジオと同じく1周年を迎える富山市内路面電車の旅をご紹介しています。

月・火曜は垣田さんが富山駅の南側エリアを紹介しましたが、
私、田島は富山駅の北側エリアをご紹介します。

私は、富山駅から富山港線に乗って、途中下車して様々なところに立ち寄りながら、
終点の岩瀬浜駅で降り、岩瀬の街を楽しんできました。

昨日は様々な人と出会った岩瀬の旅をご紹介しましたが、
今日は豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。

◎昨日の岩瀬旅レポートは コチラ

***

今回私が利用したのは、富山地方鉄道の「ぐるっとグルメぐりクーポン」です。
これは、市内電車・富山港線の一日乗り放題券と
富山名物やます寿司のクーポンがセットになったお得な切符です。

まず電車に乗る前にさっそくグルメぐりクーポンを使おうと、
富山駅北にある和菓子屋さん、佐々木千歳堂へ。
季節限定の「さくら」のみかさ山(どら焼き)をゲット!

旅のおやつを持ってルンルン気分で富山駅から乗車し、最初に降りたのは越中中島駅
駅から600メートルの中島閘門へ向かいます。

中島閘門は、水位の差を二対の扉で調節するパナマ運河方式の閘門で、
国指定重要文化財に指定されています。
高低差2.5メートルの水位調整は「水のエレベーター」と言われています。

駅から中島閘門までは道路に案内表示がたくさんあるので迷わずに行けます。
道路の表示を探しながらゲーム感覚で歩いていたら、あっという間に到着しました。

ちなみに、元気な方は富山駅から環水公園を経由して、
富岩運河沿いを歩いて中島閘門へ向かうのもありです。
ちなみにそのルートは私のランニングコースです。

環水公園から来る方はこの中島閘門で折り返して
そのまま環水公園に戻ってしまう方が多いのですが、それはもったいない〜!

というのも中島閘門の北側に綺麗な桜並木があるのです!

実は前の日にもこの道をジョギングしていたほどのお気に入りコースなのですが、
走るのではなく、ゆっくり歩いてみて初めて気付いたことがありました。

桜以外にもたくさんのお花が咲いているなあとか、
水の音や鳥のさえずりが心地良いなあとか、
桜並木が歩道に作る影もいいもんだなとか。
桜は咲いていなかったものの、まったく飽きることなく楽しめました。

たったったっと走り抜けていくのも気持ちいいけど、
のんびり歩くのもいいものですね。

桜並木は、お地蔵さんのある上野(うわの)新橋付近まで続いています。

お地蔵さんの横を自転車で通り過ぎていった女性が
「おじそうさま、今日も一日よろしくね〜」と軽やかに話しかけているのが印象的で、
思わず私も手を合わせて同じように真似してしまいました。

さて、富岩運河沿いの桜は今にも咲き出しそうなくらいに芽がぷっくりしていたものの
まだ開花はしていなかったので、今見頃のお花を見に行こうと駅へ向かいました。

お地蔵さんから最寄りの犬島新町の駅までは315メートルととても近いんです。

歩道沿いにはこんな看板もあります。

もしお時間が無い場合は、越中中島ではなく犬島新町で乗り降りして、
お地蔵さん周辺の桜並木を楽しむだけでもいいと思います。

犬島新町で乗車したあとは隣の蓮町で下車。
あっという間です!
駅の目の前にある馬場記念公園へ。

ここでは、様々な梅が楽しめます。

平日でも多くの方が梅のお花を楽しんでいました。
私も何枚も写真を撮ってしまいました。

間近で梅の花を楽しんだ後は、公園のベンチに座ってしばし梅を眺めました。
家から持参したコーヒーを飲みながら。
柔らかな春の色に染まる梅を見ながら過ごすのんびりとしたひととき。
いい時間でした。

富山港線の沿線は四季を通じて様々な植物が楽しめます。

特に富岩運河沿いの桜並木はとても綺麗ですので、
桜の季節になったらぜひお出かけください。
おすすめは、中島閘門の北側ですよ〜。

こちらは去年の桜の写真です。ランニング中に撮ったものです。

今年も桜が咲いたらまた見に行く予定です。
もしかしたら桜並木を走る私とすれ違うかも〜。

ちなみに、ウェザーニューズが昨日発表した最新の開花予想によると、
富山は開花が来週の金曜日、26日の見込みです。

***

皆さんもお得な「グルメぐりクーポン」を使って市内電車の旅をしてみませんか?

今回私が使った『ぐるっとグルメぐりクーポン付き1dayフリー切符』
を20名の方にプレゼントします。

路面電車沿線のお店で使えるクーポン付きすので、
番組で紹介したお店にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

プレゼントを希望される方は、
FMとやまホームページのインフォメーションにある応募フォームからご応募ください。
締切は21日(日)です。
当選発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。

◎応募は コチラ


今回私は富山駅の北側エリアを旅しましたが、
北側といえば!今度の日曜日21日には、富山港線に2つの新しい停留所が開業します。
オークスカナルパークホテル富山前と、龍谷富山高校前(永楽町)です。
この二つの新しい停留所で途中下車するのもいいかもしれませんね。

また、垣田さんのお話を聞いたら私、南側も旅したくなりました。
次は、このグルメぐりクーポンを使って、
駅の南側のます寿司の食べ比べをしてみたいな。

皆様もぜひ市内電車の旅を楽しんでみてくださいね。

yukikotajima 9:18 am

市内電車 1日フリー切符の旅 岩瀬編

2021年3月17日

今週のgraceでは、15時から「市内電車 1日フリー切符の旅」と題して
アーバンスタジオと同じく1周年を迎える富山市内路面電車の旅をご紹介しています。
市内電車、南北接続1周年おめでとうございます!

月・火曜は垣田さんが富山駅の南側エリアを紹介しましたが、
私、田島は富山駅の北側エリアをご紹介します。

私は、富山駅から富山港線に乗り、途中下車して様々なところに立ち寄りながら、
終点の岩瀬浜駅で降り、岩瀬の街を楽しんできました。

初日の今日は様々な人と出会った岩瀬の旅を
明日は豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。

***

今回私が利用したのは、富山地方鉄道の「ぐるっとグルメぐりクーポン」です。
これは、市内電車・富山港線の一日乗り放題券と
富山名物やます寿司と交換できるクーポンがセットになったお得な切符です。

富山駅から途中下車しながらたどり着いたのは、終点、岩瀬浜駅
ここでは岩瀬の方たちとお話をする旅となりました。

まずは、紅茶の店アナザホリデーへ。
このお店はインド式煮出しミルク紅茶のチャイが人気です。

おすすめの「クタベのチャイ」を注文。
疫病退散のため辛めのチャイなんだとか。
さすがクタベという名がついているだけあります。

たしかにぴりりとした辛さが口から喉にかけて広がりましたが、
スパイスが絶妙のバランスでとても美味しかったです。
飲む度に体が内側から元気になっていくような気がしました。
お砂糖をたっぷり入れて飲むのがオススメなんですって。

スタッフの徳光さんはフォトグラファーでもいらっしゃるので、
岩瀬のおすすめの撮影スポットを教えていただきました。

岩瀬はメインの通り以外はまるで迷路のようで迷子になりやすいものの、
辻々には小さな祠らしきものがあって雰囲気があるので、いい写真が撮れるのだとか。
道に迷っても楽しめるのが岩瀬の魅力なんですって。

早速その祠らしきものを探しに行ったのですが、、、わからず。
公園にいた小学生たちに聞いてみたら、なんと一緒に探してくれることに。

結局、見つからなかったのですが(笑)、
かわりに岩瀬のおすすめをたくさん教えてくれました。キラキラのまっすぐな瞳で。
岩瀬の未来は明るいなと思いました。

でも、どうしてもその祠らしきものが気になり、
岩瀬在住のモステン佐藤さんに聞いてみたところ、
岩瀬の様々な人に連絡を取ってくださったのです。
ああ、申し訳ないー。

でも、おかげでわかりました!ありがとございます〜。

海の安全を守るための祠の他、
江戸時代にお殿様が通った道に建てられたものもあるのだとか。
いずれも昔から岩瀬のまちにあるそうですよ。
でも、見つけるのはちょっと難しいそうで、
佐藤さんからは「今度ランニングの恰好で走りながら探してみたら?」と言われました。(笑)

岩瀬の皆さん、本当に優しいなあ。ありがとうございます。
小さな祠を見つけに近々、再び岩瀬に行こうと思います。必ずリベンジします!

さて、岩瀬では新しいスポットにも行ってみました。
こちらは、今年一般公開されたばかりの旧馬場家住宅です。

馬場家は、江戸後期から活躍した海の豪商で、
馬場はるさんは、旧制富山高等学校(現在の富山大学)設立のために
多額の寄附をしたことでも知られています。

スタッフの方からはるさんの話を聞いて、
まるで朝ドラのようではないか!と思いました。
いつか本当にやってほしいな。

その馬場家の米蔵が様々なクラフトビールが楽しめる
「コボ ブリュー パブ」になっていまして、私も行ってみました。

4種類のビールを少しずつ楽しめる「テイスティングセット」を注文。

ビールにぴったりなフードもそろっています。

コボは、チェコ出身のコチャスさんと、
スロバキア出身のボリスさんが立ち上げたお店です。

お二人とも気さくで日本語もペラペラなので、
言葉の壁を感じることなく会話を楽しめました。

店長のボリスさんと♪

ビールの種類は季節ごとに変わっていくので、
いつ訪れても新しいビールが楽しめるそうですよ。

実はこのコボでタナベマサキさんと合流しました。
ここのクラフトビールを飲みたかったのだとか。
そして、さすがナベッチ!
近くに座るお綺麗な女性2人組をナンパ…いえ、早速仲良くなっていました。(笑)

県外からワーケーションで富山を訪れている方たちだったのですが、
旅行が大好きだという女性は、
「世界中いろいろまわったけれど、富山に全部あるじゃんと思った」
とさらりとおっしゃっているのが、かっこよかった!
その方によると、富山は隠れ家的で個人旅行で訪れたくなるところなんですって。
良くも悪くも富山はまだあまり知られていないからこそ、
旅人の、自分だけが知っている特別感が味わえるのだとか。
いいお話でした。

さて、今回は、富山地方鉄道のグルメクーポン付きの市内電車1日フリー切符
を使ってのプチ旅でしたので、岩瀬でもクーポンを使ってみました。

岩瀬エリアでも様々な名物と交換できます。
私は、岩瀬の酒蔵「満寿泉」の日本酒100種類が有料で楽しめる沙石(させき)で、
日本酒の飲み比べをしてみました。

クーポンでは1杯200円の日本酒が試飲できます。
また差額を払えば、200円を超える日本酒も飲めます。

私はスタッフの方におすすめいただいた非売品のお酒や
シャンパン樽で熟成したレアな日本酒を試飲してみました。
いやあ、美味しかった。

日本酒のお話を聞きながらの試飲はとても楽しかったです。

岩瀬のプチ旅は、飲んで、歩いて、お喋りをして、いい旅となりました。
岩瀬で出会った皆さん、ありがとうございました。
皆さんのおかげで濃い旅となりました。
また近々、必ずや遊びに行きます〜。

***

皆さんもお得な「グルメぐりクーポン」を使って市内電車の旅をしてみませんか?

なんと今回私が使った『ぐるっとグルメぐりクーポン付き1dayフリー切符』
を20名の方にプレゼントします。

路面電車沿線のお店で使えるクーポン付きすので、
番組で紹介したお店にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

プレゼントを希望される方は、FMとやまホームページの
インフォメーションにある応募フォームからご応募ください。
締切は21日(日)です。
当選発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

◎応募は コチラ

さて、明日は、豊かな自然と出合った途中下車の旅をご紹介します。
明日もお楽しみに〜。

yukikotajima 9:53 am

『犬がいた季節』

卒業シーズンですね。今日は中学の卒業式なのですよね。
卒業生の皆さん、おめでとうございます。
今日ご紹介する本は、卒業シーズンの今、読んでいただきたい一冊です。

『犬がいた季節/伊吹有喜(いぶき・ゆき)【双葉社】』

と〜ってもいいお話でした!
私はこの本を読みながら目が腫れるほど泣きました。
去年春に小川糸さんの『ライオンのおやつ』以来の号泣です。

『犬がいた季節』は、三重県の進学校に通う高校3年生たちを描いた連作短編集です。
どのお話にも「コーシロー」と名付けられた白い犬が出てきます。
コーシローは生徒たちによって学校で飼われているのですが、
なんと著者の伊吹さんの母校に実際にいた犬がモデルになっているのだとか。

この物語は、犬のコーシローが高校で過ごした12年間が描かれています。

まずは、コーシローが学校に迷い込んできた1988年、昭和最後の卒業生の物語です。
この年、「コーシローの世話をする会」が発足し、
実家がパン屋の優花(ゆうか)も会のメンバーになります。

優花は、東京の有名私大に行きたいと思っているのですが、
兄からは「ガリ勉の女は可愛くない」と言われ、
祖父からは「女の子が東京の私立に行ってどうするんだ」とあきれられるなど、
進路について家族からはよく思われていません。
今から約30年前は、女性の進学に関してはたしかにそういう空気ありましたよね。
果たして優花はどんな決断を下すことになるのでしょうか。
また彼女には好きな人がいるのですが、
彼との淡い恋が甘酸っぱいし、せつないしで。
いいお話でした。

次は、1991年に鈴鹿サーキットにF1を見に行った男子二人のお話です。
アイルトン・セナが操るマシンが爆音とともに目の前に現れた時の
二人の喜びようといったらもう。二人の大興奮っぷり最高です!
自転車でサーキットに向かい、テント泊をして過ごした三日間が描かれます。

他には、神戸で被災した祖母と急きょ同居することになった女子や、
ある目的のために援助交際をする女子、
英語教師に思いを寄せる男子の物語などがあります。

全て高校3年生の物語ですが、時代が異なります。
その違いは、それぞれの時代に流行った音楽や出来事、話題の人物などからわかります。
でも私はどの時代の高校生にも懐かしさを感じました。

というのも、きっといつの時代の高校生も
同じようなことで悩んだり、喜んだりしているからだと思います。

特に高校3年生は、本当に悩むことが多いですよね。
進学か就職か。
大学に行くとしたら、地元か県外か。国立か私立か。
自分の学力に見合った大学はどこなのか。
親の思いと自分の思い、どちらを尊重するべきか。
選択肢だらけです。
また、卒業後に進む道が違うせいで、
両想いなのに恋が叶わないなんてこともあるわけです。うう、せつない。

物語の中の高校生たちも数ある選択肢の中から、
自分の選んだ道を進んでいくことになるのですが、
いつの時代も高校生たちのそばにいたのが犬のコーシローでした。
このコーシロー目線のお話も間にはさまれ、物語を優しく彩ります。

最後には令和元年も描かれ、登場人物たちのその後の人生が明らかになります。
物語の最後もとても良かったです。
そうきたかーーーとまた泣きそうになりました。いや、泣いていました。
そうそう、最後まで読んだらカバーを外すのをお忘れなく〜。
最後まで読んだ人にだけわかる素敵なプレゼントがありますよ。

『犬がいた季節』は、まっすぐな、とってもいい物語でした。
みんな優しくて。でも不器用なんです。だから後悔ばかりです。
家族の本心に後で気が付いたり、
好きな人の気持ちに全く気が付かなかったり、思いを伝えられなかったり。
でも、その後悔から学ぶこともあるのですよね。
この本には、生きていくうえで大切なことがたくさん詰まっていました。
人の優しさに涙し、うまくいかない恋に涙し、嬉しくて涙し、悲しくて涙し、
なんだかずっと泣いていました。
ストレートに心に響く本って、いいもんですね。

高校生たちの青春小説ですが、現役の学生さんだけでなく、
かつての高校生、つまり大人にも、いや、大人こそ読んでいただきたい!
私のように大泣きするのはきっと大人だと思うもの。
物語の最後に登場人物たちのその後が描かれていいるのがいいのです。

どのお話も高校を卒業していくシーンで終わりますので、
卒業シーズンの今読むのにぴったりです。
ほんと一人でも多くの方に読んでいただきたいな。

yukikotajima 9:10 am

『オルタネート』

2021年3月10日

最近、独身の年下の友人と話をする度に「マッチングアプリ」の話題になります。

あなたは使ったことあります?

私は使ったことはないのですが、
もう今の時代、出逢いのツールとして確立しているようですね。
しかも都会だけでなく、富山のような地方でも。

さて、今日ご紹介する本は、そんなマッチングアプリがベースの物語です。

NEWSの加藤シゲアキさんの『オルタネート(新潮社)』です。

この作品は、先日、「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞し話題になっています。

この新人賞は、過去には、宮部みゆきさんや池井戸潤さんなど
人気作家の皆さんが受賞されています。
アイドルが受賞したのは初めてのことだそうです。

加藤シゲアキさんは、1987年生まれの33歳で、
青山学院大学法学部を卒業されています。
アイドルグループNEWS のメンバーとして活動しながら、
2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。この作品は映画化もされました。

『オルタネート』は、加藤さんの3年ぶりの長編小説です。
タイトルの「オルタネート」は、高校生限定のマッチングアプリの名前で、
東京のとある高校を舞台に、3人の若者たちの物語が描かれています。

まず一人目は、調理部の部長をつとめる「いるる」。
彼女は、高校生の料理コンテストで全国優勝することを目指しています。
アプリはしていません。

二人目は、オルタネートで運命の相手を見つけようとのめりこむ「なづ」。
彼女は、オルタネートのマッチング結果を信じて疑いません。

そして、高校を中退したことでオルタネートの権利を失った「なおし」。
彼は、かつてのバンド仲間を探しに大阪から東京にやってきます。

そんな3人の物語が同時進行で交互に描かれていきます。

マッチングアプリが軸になっているお話というと、
そこで、くっついたり離れたりと
アプリに振り回される物語を想像してしまいそうですが、
そうではありません。

そもそも「いるる」はアプリは絶対にしたくないと思っているし、
「なおし」はやりたくても高校を中退したためできません。
ただ、三人の中で唯一はまっている「なづ」だけは、アプリの力を信じて疑いませんが。

この3人には、それぞれ悩みがあります。
コンプレックスに苦しんでいたり、
自分の思いが大切な友人に届かなかったり、
家族との関係がうまくいかなかったり。

そんな10代ならでは葛藤や苦悩がこの本には詰まっています。
でも決して暗く重たいわけではなく、
全体を通してみると、透明感に満ちていて、まぶしさを感じました。
悩んだり苦しんだりしながら成長していく彼らの輝きがまぶしいのです。

ちなみに、このメインの3人は物語の中ではそれほど繋がりはありません。
でも、終盤気持ちよく絡み合っていきます。

果たして3人はどんなことに悩み、
その問題とどのように向き合っていくのでしょうか。
ぜひ大人の皆さんは、10代だったころの自分と重ねながら読んでみてください。

料理コンテスト本番の緊張感や
マッチング相手に初めて会う時のドキドキした気持ち、
そして、人の心が動く瞬間のなんとも言えない高揚感をぜひ味わってみてください。

私は若者ならではの大胆な行動や、感情のまま突っ走る勢いに懐かしさを感じました。
そして、ちょっと羨ましくもありました。
ああ、私はなんて聞き分けのいい大人になってしまったものかと。
と同時に私も自分の気持ちにわがままでいよう!とも思いました。

10代はもちろん、大人の皆さんにも読んでいただきたい一冊です。

この作品もデビュー作『ピンクとグレー』のように映像化されるように思います。
できれば映画ではなく、ドラマで丁寧に描いていってほしいな。

yukikotajima 11:51 am

『滅びの前のシャングリラ』

2021年3月3日

もし突然こんなことを言われたら、
あなたは何を感じ、どんな行動に出るでしょうか。

「一ヶ月後、小惑星が地球に衝突し、人類が滅亡する」

人類滅亡と聞くと、30代以上の皆さんは、
1999年のノストラダムスの大予言を思い出すでしょうか。

私は当時、大学生でしたが「滅亡の瞬間どこで誰と何をする?」
なんて話を友人たちとよくしていたように思います。
でも絶対に滅亡することは無いだろうと信じていたので、
みんなどこかのんびりとした雰囲気でふざけ合っていました。

でも、本当に一ヶ月後、人類が滅亡することになったら、
人は何を思い、どんな行動をすると思いますか?

***

今日ご紹介する本は、凪良ゆうさんの話題作
『滅びの前のシャングリラ(中央公論新社)』です。

著者の凪良さんは、去年、『流浪の月』で本屋大賞を受賞し注目を浴びました。
私ももちろんラジオで紹介しています。

◎田島の本の感想は コチラ

実は新作の『滅びの前のシャングリラ』も
去年に引き続き、本屋大賞にノミネートされています。
2年連続で大賞を受賞するのか気になります。
さらに、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする
「キノベス!2021」の1位にも選ばれるなど、今話題の一冊です。

物語は、学校でいじめを受けている
17歳の友樹(ゆうき)の話から始まります。

彼は、小惑星が地球に衝突して人類が滅亡する
というニュースをテレビで見ても、デマに違いないと思い、
今の憂鬱をすべてリセットしてくれるなら、
小惑星でもなんでも落ちてくればいいと思っています。

どうせ学校に行ってもいじめられるし、
勉強も運動も苦手だし、見た目はぽっちゃりだし…
とやけになっているのです。

彼の母親も「賢い人がどうにかしてくれる」とどこか他人事です。

ところが、徐々に状況は変わっていきます。
スーパーやコンビニでは商品の略奪行為が始まり、
テレビ局では試験放送の映像ばかりが流れ、
ついには自ら命を絶つ人まで出てきます。

残り一ヶ月という宣告を受けて、
地球よりも先に人間が壊れはじめてしまったのですね。

ところが17歳の友樹は、小惑星なんて落ちてしまえばいいと思っていたはずなのに、
あることがきっかけで残りの日々を今度こそ精一杯生きたいと、
前向きな気持ちになっていったのでした。

なぜ彼が「生きたい」と思ったのかは、ぜひ本を読んでください。

本作は、この男子高校生のお話のあとは、
人を殺してしまった男性、恋人から逃げ出した女性、
そして、すべてを手に入れた歌姫のお話が順番に描かれていきます。

全員に共通しているのは、
これまでの人生をあまりうまく生きられなかったということと、
1ヶ月後には生きていないということです。

彼らがこれまでどんな人生を送ってきて
人類滅亡を前にどんな気持ちでいるのかが、
変わりゆく世界の状況とともに丁寧に描かれていきます。

人類滅亡を前に、私たち人間は一体どうなってしまうのでしょうか。

まるでドキュメンタリーのような文章で、
最初から最後まで夢中で本のページをめくっていきました。
とても面白いのでストーリーの先が気になるものの、
この世界が終わってしまうなんて…と思うと寂しさもあり、
そんな相反する気持ちに揺れながら、読み進めていきました。

それにしても、この残り一ヶ月というのが、絶妙でした。
まだだいぶ先のようでもあるけれど、実はあっという間なのですよね。

そして残り一ヶ月というと、絶望しかないように思いますが、そうではありません。

こんな状況だからこそ気付けた幸せもあります。
言い方を変えれば、こんな状況じゃなかったら
もしかしたら一生気付けなかったかもしれない幸せもあって、
読みながら何度も私の目にじんわりと涙が浮かびました。

まさに本のタイトル通り「滅びの前のシャングリラ(理想郷)」でした。

この物語はフィクションですが、
小惑星が衝突して人類が滅亡することなんて絶対に無いとは言い切れません。
だからと言っていつ来るかわからないその日を想像して怯えて過ごすのではなく、
私は、あらためて後悔なく毎日を生きていきたいと思いました。

『滅びの前のシャングリラ』、大変面白かったです。
ぜひお読みください♪

yukikotajima 9:36 am