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2021年ユキコレランキング!田島が選んだ1位の本は…

2021年12月28日

今日のgraceは、年末の特別編成のため
火曜日ですが、私、田島がgraceを担当します。
そして、今日が年内最後のgraceです。

明日明後日のgraceはありません。

さて、毎年最後のgraceの本紹介コーナー「ユキコレ」では、
田島が選ぶ本ランキング「ユキコレ ランキング」を発表しています。

最近は、リスナーの皆さんからも発表を楽しみにしている!
と言われることが増え、嬉しい限りです。

先日、紀伊国屋書店富山店に行ったときには、
書店員の方から「今年の田島賞は?」と聞かれました。(笑)

毎年のことですが、今年も悩みました。
選ぶ基準は、その年ごとに少しずつ異なるのですが、
共通しているのは、いかに心に残り続けたか、ということです。

たくさんの本を読んでいると、
読んだ直後は「ああ、面白かった!」と思っても
しばらくすると忘れてしまう本もあります。それも多々。。。
今年の本ですらそうです。

そんな中でもずっと心に残り続け、時々ちらりと思い出す作品があります。

今年私が選んだ本は、読書中は心が大きく動かされ、
読んだ後は心が温かくなり、その後もじわじわ保温が続くような作品です。

***

※本のタイトルをクリックすると、田島の本の感想ページが開きます。


1位:『犬がいた季節/伊吹有喜(いぶき・ゆき)【双葉社】』

この作品は、目が腫れるほど泣きました。
昨夜、あらためて読み直しましたのですが、やはり泣きました。

『犬がいた季節』は、三重県の高校に通う高校三年生たちの連作短編集で、
どのお話にも学校で生徒たちが世話をしている「コーシロー」という犬が出てきます。
物語は、1988年から2000年までコーシローが高校で過ごした12年間が描かれています。

どの時代の高校生たちも色々悩んでいます。
自分の気持ちを人に伝えられなかったり、あとから人の本心を知ったり。
そして、悩んだり後悔したりしながら、自らの道を選び進んでいきます。

最後には、令和元年も描かれ、登場人物たちのその後の人生も明らかになります。

現役の高校生にも、大人の皆さんにもぜひ読んで頂きたい一冊です!


2位:『ばにらさま/山本文緒(文藝春秋)』

この秋、お亡くなりになった山本文緒さんの作品です。
山本文緒さんの作品には、多感な学生時代からたくさん影響を受けました。

『ばにらさま』は、二度読みしたくなる短編集で、
短いお話ながらも「え?どういうこと?」という驚きに満ちた
読書の面白さ、本ならではの楽しさを堪能できた一冊でした。


3位:『川のほとりで羽化するぼくら/彩瀬まる(角川書店)』

こちらは、五感を感じさせる文章が読んでいて心地良い一冊でした。

「今の時代」が切り取られた短編集で、
たとえば、働く妻に代わって家事育児をメインにする夫などが出てきます。

どうしたらもっと自分らしく生きていけるのだろう…
と思っている方は、この短編集からきっとヒントが貰えると思います。

***

偶然ですが、選んだ3冊ともに短編集でした。
長編も読みましたが、今年私の心をつかんだのは短編集だったようです。
短編ですと、まとまった時間が取れそうに無いという方でも
少しずつ読み進めることができますので、読みやすいと思います。

ぜひ年末年始の本選びの参考になさってみてください。

今年も私の本紹介にお付き合い頂きありがとうございました。

yukikotajima 11:51 am

『新版 いっぱしの女』『ちいさな手のひら事典 薬草』

2021年12月22日

graceでは、毎週水曜日の13時45分ごろから
「田島悠紀子コレクション、略してユキコレ」のコーナーで
様々な本をご紹介しています。

今日は、リスナーの皆さんからgrace宛に
「読みたい!」「早速読んだよ」とメッセージが届くなど、
すでにgraceも話題になっている本です。

『新版 いっぱしの女/氷室冴子(筑摩書房)』

約30年前の1992年に刊行され、今年「新版」として再刊行された
人気小説家、氷室冴子さんの名作エッセイです。

北日本新聞の「02」で山内マリコさんが紹介されているのを機に
この本のことを知りました。

そして、早速読んでみたのですが、これがとても良かった!

本が良かったことと、リスナーの皆さんからのメッセージのことを
山内さんに伝えたところ、とても喜んでいて、
ぜひ多くの方に読んでいただきたいとおっしゃっていました。
ちなみに、山内さんは来年、新刊が出る予定だそうです。
こちらも楽しみですね!

さて、話を『新版 いっぱしの女』に戻します。

著者の氷室冴子さんは、
1980年代から90年代にかけて活躍された作家さんで
2008年にお亡くなりになりました。

『なんて素敵にジャパネスク』や『クララ白書』、
スタジオジブリがアニメ化した『海がきこえる』
といったヒット作で知られています。
昔よく読んだわ〜。懐かしい〜。という方もいるのでは?
私は氷室さんと言うと「コバルト文庫」の印象が強いです。

『いっぱしの女』は、氷室さんが30代のころ、お書きになったエッセイです。
1992年の今から約30年前に書かれたのですが、まったく古さを感じません。
それどころか今の時代に合っているのです。

もし今、このエッセイに書かれているようなことをSNSにアップしたなら、
きっとたくさんの「いいね」がつき、そして拡散されると思います。

当時、氷室さんは様々なインタビューを受けながら違和感を感じていたそうです。
何でこんな質問をするんだろう?とか、
あとからインタビュー記事を見た時に、私こんな言い方してたっけ?とか。
記事ではキャピキャピの女の子語になっていることが多かったそうです。

そこで、自分がどういう“三十女”なのか、知ってみたいと思って
エッセイを書くことにしたのだとか。

エッセイは、人との会話の中で感じた違和感などが正直な言葉で綴られています。

「違和感」は伝え方次第では「ただの愚痴」になってしまいますが、
氷室さんの場合は、読んでいて共感できますし、
時には相手を打ち負かすこともあり、スカッとします。

例えば、独身の氷室さんはそれだけで
年上の既婚女性から嫌なことを言われることもあるものの、
その女性に対して、相手が黙ってしまうくらいの一言を放ちます。

また、氷室さんは「あなたってこういうタイプよね」と言われる度に、
そのイメージの枠に押しこめられてしまいそうで嫌だったそうです。

これ、私も苦手です。
「田島ってこういうタイプだよね」と言われる度、
それとは逆のことをしたくなりますもん。(笑)

あと、「女ってこうでしょ?」という言い方にも注意が必要だと言います。
氷室さんですら使ってしまい、「女」を「私」に書き直していたそうです。

確かに「女って他人の不幸が好き」のような
女性をひとくくりにするような言葉って
少し前までは当たり前のように使われていましたよね。
さすがに令和の今は、そういった決めつけは前よりは減ってきたように感じますが。

でも、氷室さんは30年前からその違和感に気付いていたのですよね。さすがです!

『いっぱしの女』は、約30年前の本なのに、まったく古びていません。
もちろん、懐かしさを感じる話題もありますが、でも感覚的なものは今と変わりません。

令和の今、復刊されたのは、やっと時代がこの本に追いついたということなのかも。
ほんとこの本を読んで良かった!

ぜひ男女問わずお読みください。
きっと大事な気付きがたくさんあると思います。

***

今日はもう一冊!
クリスマス前なので、クリスマスプレゼントにオススメの本です。

『ちいさな手のひら事典 薬草(グラフィック社)』

こちらは、富山県美術館のミュージアムショップで買ったものです。

レトロな装丁の可愛さに惹かれ買ってしまいました。
サイズは手にすっぽり収まるくらいで、
ページの縁は金で彩られていて華やかなので、
クリスマスプレゼントにもいいと思います。

「小さな手のひら事典」シリーズは、
「花言葉」「月」「魔女」「天使」「ねこ」
などもあります。

ちなみに、ミュージアムショップで一番人気は「ねこ」だそうです。
私は「花言葉」が欲しかったのですが、無かったので「薬草」にしてみました。

ハーブなどの薬草の由来や効用がイラストともに紹介されています。

例えば「ラベンダー」という名前は、
古代ローマ人が、ラベンダーで湯に香りをつけて入浴していたことから、
ラテン語で「水で洗う」という意味の「ラヴァーレ」にちなんでいる、
といったようなことが載っていて、読み物としても楽しめました!

***

さて、毎年最後の「ユキコレ」では、
私、田島が選ぶ「本ランキング」を発表しています。

本来なら12月29日が年内最後の水曜日なのですが、
今年は年末の特別編成につき
12月28日(火)が、私が担当する年内最後のgraceになります。

いいですか。火曜日ですよー。

なお、29日(水)30日(木)のgraceはありません。
来週は、27日(月)が垣田さん、28日(火)が田島です。

そして、「ユキコレ本ランキング」は、28日(火)の14時25分ごろ発表します。
合わせてこちらのブログにも同じ内容でアップしますので、
どうぞよろしくお願いします。

さて、私はどの本を今年の1位にするのでしょう?
良かったら皆さんの今年1位の本も教えてください!

yukikotajima 11:56 am

『虚魚』

2021年12月15日

あなたは肝試しをしたことはありますか?
また怪談はお好きでしょうか。

私は子どもの頃からかなりの怖がりで、
家族で旅行に行っても夜の宿の雰囲気が怖くて寝られず、
子どもの頃は母の手をずっと握り続けていました。

なぜこんなに怖がりになったのかというと、多分、テレビのせいかと。(笑)

私が子どもの頃は、テレビで怖い話をよくやっていたんですよ。
見なきゃいいのに、なぜか見てしまって
夜、なかなか寝られないなんてことを繰り返していました。

さすがに大人になった今は、怖がりも落ち着きましたが、
積極的に肝試しをしたいとは思いません。

でも、あえて怖い場所に積極的に行く人たちもいるようです。

今日ご紹介する本は、本当に人が死ぬ怪談を探し、
その怪談が本物かどうか確かめ続ける若い女性二人の物語です。

『虚魚(そらざかな)/新名智(にいな・さとし)【角川書店】』

新名さんは、この作品で横溝正史ミステリ&ホラー大賞大賞を受賞しデビューしました。

この賞は、歴史ある「横溝正史ミステリ大賞」と「日本ホラー小説大賞」を
2018年に統合した新たな文学新人賞のことです。

『虚魚』は、選考委員の皆さんから絶賛され大賞受賞となったそうです。

たとえば、『闇祓』が話題の辻村深月さんは、

怪談と怪異を巡る新たな小説の形が一緒に解き放たれた、と感じた。文句なしの大賞。

と評しています。

***

『虚魚(そらざかな)』とは、どんなお話なのか、ご紹介しましょう。

20代の女性二人、三咲とカナちゃんは、ある理由から一緒に暮らしています。
実は二人の利害関係が一致しているのです。

三咲は、怪談師として活躍しており、
日本各地の「体験した人が本当に死ぬ怪談」を集めています。

両親を事故で亡くした三咲は、
幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象などの情報を集めては、
その怪談で両親を事故死させた男を殺したいと思っています。
呪いや祟りなら法律を犯すことなく殺せるからと。

一方のカナちゃんは、ある理由から、呪いか祟りで死にたいと思っています。

三咲は初めてカナちゃんに会ったときに「わたしで実験してみなよ」と言われ、
二人はともに暮らし、様々な怪談を試し続けています。

ところが、どの怪談も嘘ばかりです。

そんなある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にします。
三咲は早速、その怪談を調べ始めます。
すると、同じ川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかります。

様々な噂をまとめると、
その魚は言葉を発し、その言葉を聞いたことで死んでしまうらしいことがわかります。
いったいその魚とは?

二人は様々な人から協力を求め、その不思議な魚を探しことにします。

果たして、その魚とは?
そして、二人の目的は達成できるのか。
(となると、カナちゃんは呪い殺されてしまうわけですが…)
どんな結末が待っているのか。
ぜひドキドキしながら本のページをめくってみてください。

***

私、怖い話は苦手なのに!
最近、ホラー系にも手を出すようになってしまいました。(笑)
そして、この本も怖いと思いながらも
結局ノンストップで最後まで読んでしまいました。

三咲とカナちゃんの二人のキャラクターが程よくドライで、
文章もテンポがいいので、ページをめくる手は止まらず、サクサク読めました。

だからと言ってサラリと読めてしまうかといったら、そういうわけでもありません。

ちゃんと怖いです。(笑)それも色んな意味で。

三咲とカナちゃんと一緒に「本物の怪談」を探している気分で
本のページをめくってみてください。

二人はいったい何を見つけるのでしょうか。

yukikotajima 11:10 am

『冬を越えて』

2021年12月8日

昨日は二十四節気の一つ「大雪(たいせつ)」でした。
まさに大雪の降る頃と言われています。
富山は先週の木曜日に初雪を観測して以来、雪は降っていませんが、
これからどんどん寒さが厳しくなっていきます。

今日もどんよりとしたおなじみの北陸の冬の空の色をしていますが、
この鉛色の空が続くことで、
冬は元気が出ない…という方もいるかもしれません。

冬には「冬季うつ」もありますしね。

日照時間が短くなると起きるとも言われているうつ病のことで、
悲しみや絶望感、過眠、過食などの症状があるようです。

また、季節と関係なく、人生そのものを四季にあてはめ、
良くないことが続いたときにも「冬の時代」と言うことがありますよね。
あなた自身は、今どの季節の状態でしょうか?
また、これまで何回、人生の冬を経験してきたでしょうか。

今日ご紹介する本は、そんな「冬の時代」を過ごす
40歳の女性の「人生体験記」です。

『冬を越えて/キャサリン・メイ 訳:石崎比呂美』


この本は、イギリスでは去年2月に発売され、
11月にコロナ禍のアメリカで発売されたところ話題になり、
『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー入りを果たしたそうです。
そして、現在では20を超える国での出版が決まっている世界的な話題作です。

著者は、ロンドン近郊の町に住む女性です。

四十歳を目前にストレスから仕事を辞めることにした直後、
夫が病気で倒れてしまいます
その後、自分自身も体調を崩し、
さらに息子も不登校になってしまうなど、
まさに冬の時代を過ごしています。

著者によると、人生の冬は突然やってくることもあれば、
ゆっくり忍び寄ることもあるそうです。
そして、その冬を避けることはできないのだとか。

でも、著者は10代の頃から冬の過ごし方を学んでおり、
冬がやってきそうな頃にはわかるようになったそうです。

では、冬の時代がやってきてしまったとき、どうすればいいのかというと、
春が来るまで、できるだけ快適に冬を乗り切る方法
を見つけることが大事なのだとか。

冬がやってきてしまった著者は、
冬をよく知る人たちと話をし、冬に対する理解を深めていきます。

たとえば、家で静かに手を動かす仕事もいいそうで、
編み物にはヨガと同じくらい血圧を下げ、
慢性痛を緩和する効果もあるそうです。

冬季うつの方からは、家じゅうの電球をすべて明るいものに変えて、
点けっぱなしにしているという話を聞きます。

また、話を聞くだけでなく、どうやって冬をしのぎ、春を迎えるのか、
著者自身、実際、色々試していきます。

アイスランドに旅に行ってサウナに入ってみたり、
真冬の海に入る冷水浴をしてみたり。

とは言え、冬の時代を快適に過ごす方法は人によって違います。
ですから、この本でも「こうすれば絶対に元気になる!」
というような決めつけはしていません。
だからこそ信頼できますし、読んでいて疲れません。

今まさに、冬の時代を過ごしている方は、
あなたは自身の方法で心と体をいたわってみませんか。
この本を読むのも、ひとつの方法かと思います。

そうそう!

「冬の時代」というと、
まるで冬が悪者のように思えてしまいますが、
悪いことだけではありません。

冬は考えを深め、身体を休める時期であり、
暮らしを整え、英気を養うための季節だと著者は言います。
冬の木も死んでなどいない。春に備えているだけだと。

また、すべてが壊れるときは、なんでも手に入れるチャンスで、
それこそが冬の贈り物だと言います。

冬の時代を過ごしている方は、
読んだ後、すこ〜し春が近づいたように感じられるのではないかしら。

気になる方は、無理せずご自身のタイミングで読んでみてくださいね。

yukikotajima 12:27 pm

『夜が明ける』

2021年12月1日

今、あなたは何かに対して頑張っていますか?

仕事、趣味、勉強、家事など
人によって力を入れていることは異なると思いますが、
いずれにしても、あなたを突き動かす原動力はなんでしょう?

今日ご紹介する小説は、
友人から、ある俳優に似ていると言われたことで、
その俳優になりきることを人生を捧げた男性「アキ」と、
そのきっかけを作ってしまった友人である「俺」の物語です。

『夜(よ)が明ける/西加奈子(新潮社)』

物語は「俺」の目線で進んでいきます。

二人が出会ったのは高校時代です。
「俺」はいたって普通の家庭で育ちましたが、
アキは、母親にネグレクトされていました。
また、アキは身長が191センチもある上、
高校生らしい溌剌とした雰囲気は無かったため、
みんなから恐れられていました。

共通点などない二人でしたが、「俺」がアキに
「知る人ぞ知るフィンランドの映画に出てくる俳優に似ている」
と伝えたところから、交流が始まります。

そして、その俳優になりきることがアキの人生の目的になり、
学校内でもモノマネをし始め、気付けばアキは人気者になります。

二人の交流は、高校を卒業して離れ離れになってからも続いていきます。
「俺」はテレビの制作会社に就職、アキは劇団に所属してと
二人とも夢に向かって頑張り始めます。
ところが、2人とも理不尽なことも多く、なかなか思い通りにはいきません。
そして、気付けば33歳。
大人になった二人はそれぞれどんな人生を送っているのか。
ぜひこの続きは、本のページをめくってみてください。

10代後半から30代前半の二人の男性の物語には、
今の日本の問題がぎゅうっと詰まっていました。
働いても働いてもお金が足りないという貧困と過重労働の問題、
職場でのパワハラ、親から子への虐待…。

とくに「俺」が働くテレビの制作の現場が酷くて、
体力もやる気もあった「俺」がどんどん壊れていく様が
リアルな温度と質感で描かれているため、
読んでいるうちに「俺」が私自身のような気がしてきて、
辛さを自分のこととして感じている私がいました。

肩書きだけで偉そうな人に対して苛立ちを感じながらも何も言えず、
その一方で上の立場の人にも正論を堂々と言える正しすぎる女性の後輩。
一見いい人にそうに見えて、自分の思い通りにさせようとする年上の女性。
突然いなくなるADたち。文句ばかりの出演者たち。
もうこれでもかというほど、ストレスが積み重なっていきます。

読みながら本当にしんどくなりました。
もはや私は本を読んでいるのか、体感しているのかわからなくなるほどでした。

西さんの文章からは、温度とか匂いとか表情とか音とか
感覚的なものすべてが実際、感じられるのです。
そのため、西さんの作品を読む度、作品の世界に入りすぎちゃうのです。

今回も入り込みました。
だからこそ、読み終えたときに光が見えました。
今回の本のタイトルの『夜が明ける』の通り、
読み終えた時、視界が、そして心が、明るくなるのを感じました。

頑張っても頑張ってもうまくいかない。
それは、自分の努力が足りないから。
自分ができない人間だから。
全ては自分のせい…。
と、思っている方はいませんか?

そんな方にはぜひこの本の言葉に出合ってほしいと心から思います。

それから、読み終えたら、本のカバーも外してみてくださいね。
本のヌードも素敵ですから。
読んだ人だけがわかる感動がありますよ。

ちなみに躍動感ある力強いタッチの表紙のイラストは
西さん自身がお描きになっています。

yukikotajima 11:39 am