ゆきれぽ

2025年6月4日

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『ありか』

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私は人に何かをしてもらった時、「ありがとう」ではなく「すみません…」と言いがちです。
感謝より迷惑をかけてしまい申し訳ないという気持ちが先に出てしまうからだと思います。
でも、人に何かをしてもらったら、これからは「ありがとう」と言おうと思います。

逆に自分が人に何かをしてあげた時には、
「すみません」と言わせないような雰囲気を作りたいと、この本を読んで思いました。

『ありか』
瀬尾まいこ
水鈴社

今日は6月最初のゆきれぽですので、明文堂書店とのコラボ回!
高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本です。

瀬尾さんと言うと、2019年に本屋大賞を受賞した『そして、バトンは渡された』や、
その後刊行された『夜明けのすべて』が、いずれも映画化され話題になりましたので、
本を読んだことはなくても映画は見たという方もいるのでは。

特に『夜明けのすべて』は、日本アカデミー賞優秀作品賞をはじめ、
様々な賞を受賞しましたので、ご覧になった方も多いと思います。
原作ファンの私は、映画を見た方から「いい映画だった」と言われるたび、
「そもそも原作がいいからね」と返していました。
もちろん映画も良かったですよ!
でもあの原作あっての映画ということをどうしても伝えたくて。

✳︎

新刊の『ありか』は、『夜明けのすべて』と同じく水鈴社という出版社から出ています。
水鈴社は2020年に設立された出版社で、『ありか』は創立5周年の記念作品だそうです。
5周年おめでとうございますー!

✳︎

『ありか』も優しくていいお話でした。
多分この作品も来年の本屋大賞にノミネートされて、いずれ映画化されるような気がします。(笑)

瀬尾さんと言うと、これまで血の繋がらない親子のお話を書いている印象がありますが、
今回は一人娘のひかりを育てる26歳のシングルマザー、美空の物語です。実の親子のお話です。

物語は春から冬の終わりまで親子の一年が描かれています。

娘のひかりは保育園の年長さんで、よく喋る元気な女の子です。
美空は娘のことは可愛いと思っていますが、仕事をしながら一人で子育てをするのは大変です。
実の母とはうまくいっていないため頼れず、
職場や保育園ではなるべく目立たないようにして、
一人で何もかも抱え込んでいたのですが、
そんな美空に手を差し伸べてくれる人たちがあらわれます。

まず、別れた夫の弟です。
ひかりをかわいがるだけでなく、
保育園に迎えに行ったり、一緒に夕飯を食べたりしてくれる、とてもいい人です。
ちなみに、この弟には男性の恋人がいます。

他にも何かと気にかけてくれる年上の同僚や、
一見取っ付きにくそうな保育園のママ友、
それから意外な人も手を差し伸べてくれます。

みんな優しいけれど、どこかサバサバしていて、それが心地いい距離感になっています。

そして、娘のひかりはよりのびのびと、
美空自身も明るい気持ちになっていくのですが、
実のお母さんが登場すると美空の表情は一瞬で曇ります。
お願いだから美空の邪魔をしないでよー!と何度思ったことか。
果たしてお母さんと美空の関係は…。

ではここで、この本を大プッシュしている
明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介しましょう。

とにかく関わる人たちが優しくて、心を軽くしてくれるので、読んでいて気持ちがほっこりします。
子どもだからこそ発する言葉や、大人だからこそ感じる気持ちが、とても伝わるいい本です。
幸せ読書体験を是非、味わってください。

✳︎

野口さんのおっしゃるように、たくさんの優しさに触れて、自分自身も優しい気持ちになります。

また、『たいようオルガン』でお馴染み、絵本作家の荒井良二さんの表紙の絵もあたたかくて、
私は本を読む前から癒されました。

優しさ不足の方はこの本を読んでみてください。
優しさの充電ができますよ。

『ありか』は、富山県内の明文堂書店全店の
「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもありますので、
ぜひチェックしてみてね♪

◎明文堂書店のサイトは コチラ

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