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『シャーロック・ホームズの凱旋』

2024年2月21日

今日は、名探偵シャーロック・ホームズが登場する小説をご紹介します。
と言っても、アーサー・コナン・ドイルの小説ではありません。
今日ご紹介するのはこちら。

『シャーロック・ホームズの凱旋』
森見登美彦
中央公論新社

森見さんの作品は、ラジオでもこれまで何冊も紹介しています。
(このブログ内で森見さんの名前で検索していただくと、
これまで私が紹介した本が出てきます)
どの作品もテーマは違えど、全く予想もつかない不思議な世界、
それこそ森見ワールドを冒険している感覚で楽しめるところが好きです。
本のページを開く瞬間は、森見ワールドへの扉を開く気分で、毎回ワクワクします。
しかも、いい意味でのくだらなさが楽しいんです。(ほめてます!)

今回も他には無い森見ワールドを堪能できました。

さて、新作はシャーロック・ホームズの物語です。
でも彼がいるのは、おなじみのロンドンではなく、
架空の都市、ヴィクトリア朝京都です。

森見さんと言うと、『夜は短し歩けよ乙女』をはじめ、
京都が舞台の作品が多いのですが、今回も京都らしき場所が舞台です。
らしきと書きましたが、京都の地名や名所は普通に出てきます。
ホームズが住んでいるのは、ロンドンのベーカー街ではなく、
ヴィクトリア朝京都の寺町通ですし。
でも、紅茶を飲んでスコーンを食べているのですが。(笑)

物語は、助手兼記録係のワトソンの視点で綴られていきます。

ホームズは京都でどんな活躍を見せるのかしら?と思いきや、
なんとスランプに陥って部屋に立てこもっています。それももう一年も。

依頼が来ても、今は「自分自身」という難事件に取り組んでいるから無理!
と全く事件に取り組もうとしません。

ホームズは、ある事件に失敗したことで、スランプに陥ってしまったのでした。

しかもスランプなのはホームズだけではなく、
スランプに陥った男たちがなぜか彼のもとに集まってきて、
お互い傷をなめ合っています。

そんなある日、ホームズは、世間から離れて竹林の片隅で静かに暮らす!
と出て行ってしまいます。

ワトソンはホームズを迎えに行くものの、
「もう戻らない!」と言われてしまい…。

すでに、この設定だけでも楽しいのですが、
この先にお馴染みの森見ワールドが待っていますので、
続きは、本を読んで体感していただけたらと思います。

ホームズシリーズがお好きな方は、
ホームズやワトソン以外にも
ジェイムズ・モリアーティや、アイリーン・アドラーなど
おなじみのメンバーが出てきますので、
きっと、おっ!こんなキャラになっているのか、
と楽しんでいただけると思いますし、
全く知らない方でもわかるように森見さんは書かれたそうですので、
ホームズ知識が無くてももちろん楽しめます。

私も全然詳しくないですが、楽しめました!

でも、アーサー・コナン・ドイルのホームズシリーズも読んでみたくなりました。
読んだあとに、再びこのヴィクトリア朝京都に戻ったら、
一度目とは違う面白さが味わえそうだなと思いまして。

あと、久しぶりに京都に行きたくなりました。
京都の喫茶店でこの本を妄想力全開で楽しんでみたい。

yukikotajima 12:07 pm

『喫茶おじさん』

2024年2月14日

ちょっと一息つきたいと思ったとき、あなたはどこにヨリミチしますか?

お洒落なカフェに行く方もいれば、
昔ながらの喫茶店で過ごしたいという方もいるのでは。

今日は、「純喫茶巡り」が趣味のおじさんの物語をご紹介します。

『喫茶おじさん』
原田 ひ香
小学館

去年の秋に発売されましたので、もうお読みになった方もいるのでは。
ヨリミチトソラにも私が紹介する前に、感想が複数届いています。

原田さんと言うと、ドラマ化された『三千円の使いかた』が人気ですが、
私は『口福のレシピ』『まずはこれ食べて』など、食にまつわる小説も好きです。

↑本のタイトルをクリックしていただくと、私の本紹介が読めます。

新作は喫茶店巡りが趣味のおじさんのお話ですから、
きっと面白いに違いないと、読む前からニヤニヤしながら読み始めました。

主人公の純一郎は、大手ゼネコンを早期退職し、現在無職の57歳です。
妻は大学生の娘が暮らすアパートに行ってしまったため、別居中です。

最初は、コーヒーにやたら詳しいおじさんのお話かな?
と思って読み始めたのですが、そうではありませんでした。

純一郎は、仕事は頑張ってきたつもりなのですが、ぱっとしないまま退職し、
これといった趣味もありません。

ですが、たまたま入った喫茶店で、
「喫茶店、それも純喫茶巡り」を趣味にすることを突然決めます。
ゴルフやお酒などに比べたら出費もそう大きいものでもなさそうだしと。

そして、様々な喫茶店を巡っていきます。

どこにでもいそうな普通のおじさんが、うんちくを語るわけでもなく、
ただただ「おいしいなあ」と、コーヒーや喫茶店の食事を楽しんでいきます。

でも、物語はそれだけでは終わりません。
だって純一郎は、再就職先は決まっていないし、妻とも別居中なわけで、
色々と考えなければいけないことがあるのです。

そのうえ妻や友人などの近しい人たちからは、
毎回同じ言葉をかけられてしまいます。

「あなたは何もわかっていない」と。

また、純一郎は最近大きな失敗をしています。
退職金を使ってあることを始めたのですが、失敗に終わっているのです。

喫茶店でのほほんと楽しみながらも
純一郎は、自分の人生についても考えていくことになります。

純一郎はこの先どんな人生を送っていくことになるのか。
続きは本を読んでお確かめください。

ちなみに、きっと喫茶店に行きたくなると思いますので、
喫茶店でコーヒーでも飲みながら読むことをおすすめします。

今回もお腹が空いた一冊でした。

純一郎は、小難しいことは言わず、ただただ「おいしいなあ」と
喫茶店を楽しむ普通のおじさんなので、
自分自身を重ねながら読む「おじさん」も多いかもしれません。

正直なことを言うと、面倒なことから逃げがちな純一郎に
ちょっとイラっとした瞬間もあったのですが(笑)、
そんな時は、周りの女性たちからビシッと言われていて、
なんだかんだで憎めないおじさんでした。

今回も面白かったです。

家でひとりぼっちであれこれ考えているとマイナス思考になりそうですが、
居心地のいい場所で美味しいものを味わいながらだと、
穏やかな気持ちで自分と向き合えるものなのかも。

私も喫茶店巡りしてみたい。

yukikotajima 12:02 pm

『十角館の殺人』

2024年2月7日

小説の中には、どう考えても映像化は無理だなと思う作品があります。

例えば『十角館(じゅっかくかん)の殺人』

読んだことがある方は「いやいや絶対に不可能でしょ」と思ったのでは。
私も思いました。

でも、実写化され、3月22日からHuluで独占配信されるんですって。
どういうことよー!

さて、今日は2月最初の「ゆきれぽ」ということで、
明文堂書店 書籍担当 野口さんのオススメ本です。

『十角館の殺人 <新装改訂版>』
講談社文庫
綾辻行人(あやつじ・ゆきと)

野口さんも映像化に大興奮で、
このドラマを見るためにHuluに入る!とおっしゃっていました。

さて、『十角館の殺人』は、
日本を代表するミステリー作家、綾辻行人さんの
1987年のデビュー作であり、代表作です。
ここから『〇〇館の殺人』とタイトルのついた「館(やかた)シリーズ」が始まり、
これまでに9作品が刊行されています。

また、日本だけでなく世界でも読まれており、
全世界シリーズの累計は、670万部なんだとか。
大ベストセラーです!

去年秋には、アメリカのタイム誌が選ぶ
「史上最高のミステリー&スリラー本」
オールタイム・ベスト100に選出されました。

そして、今回の映像化と、
1987年の発売から37年経った今も注目され続けている、まさに名作です。

どんなお話かと言うと、
大学のミステリ研究会の7人が、ミス研の合宿で、
十角形の奇妙な館が建つ無人島を訪れるところから始まります。

この島では、この館を建てた建築家の「中村青司」が
半年前に謎の死を遂げており、幽霊の噂もあるため、
島に近づくものは誰もいませんでした。

同じころ本土では、元ミス研のメンバーだった
江南(かわみなみ)のもとに、
死んだはずの中村青司から一通の手紙が届きます。

いったいどいうことなのか、江南は調べることにします。

そんな中、島では学生の一人が殺されます。
自分たち以外誰もいない無人島での殺人に、
学生たちは誰も信じられなくなっていき…。

この続きは、ぜひ本を読んでお楽しみください。

ここで、明文堂書店 書店員の野口さんのコメントをご紹介しますね。

「ミステリーといえば、これ!です。
そして、再読しても面白い本もこれ!です。
孤島と、館の設定もワクワクしますが、
登場人物たちに翻弄されて、行きつ戻りつ。
紙の本の良さを実感できる本です。
もう映像実写化そのものが衝撃です!」

ちなみに、今回ご紹介した『十角館の殺人』は、
刊行から20年後の2007年に
「新装改訂版」としてリニューアルされたものです。
綾辻さんご自身で全面改訂をされたそうですよ。

ただ、当時の空気感はそのまま残したようです。
例えば、誰もがいつでもどこでも煙草を吸っていたり、
合宿で食事の準備をするのが女性だったりするのですが、
いかにも80年代っぽいなあと思ってしまいました。

そんな時代の空気感を感じつつも、
物語から放たれる勢いは鮮やかで、まったく色あせていません。
ですから今読んでも楽しめると思います。

そして、最後まで読めばきっと「映像化は不可能!」と思うはず。(笑)
いや、ほんとどうやって映像化するんだろう。

今日ご紹介した『十角館の殺人』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にあります。
ぜひお手に取ってみてくださいね。
また「館シリーズ」もあわせてどうぞ。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 11:49 am

『人間標本』

2024年1月31日

去年の夏、作家の湊かなえさんにインタビューをさせていただき、
ヨリミチトソラで2週にわたって放送しました。

◎湊さん出演時のブログは コチラ

その際、執筆中の新作について、
「デビュー作『告白』よりもイヤミスな作品です」
とおっしゃっていました。
その語り口から、かなり気合いが入っているのが感じられ、
発売を心待ちにしていたのですが、
先月、ついに発売されました!

『人間標本』
湊かなえ

株式会社KADOKAWA

タイトルからしてインパクトありまくりです。
いったいどんな内容なのかしら、
とドキドキしながら本のページをめくってみたのですが、
想像を超える世界が待っていました。

いやあ、すごかった。。。
怖いけど美しく、そして、これぞイヤミス!といった作品でした。

ちなみに、イヤミスとは、読んだ後に嫌な気持ちになるミステリのことで、
湊さんは、イヤミスの女王と言われています。

この作品は、ページをめくった瞬間から
作品の世界を味わって頂きたいので、
内容に関しては何も知らずに読んで頂きたいのですが、
これではまるでどんな内容かわからないので、
ほんの少しだけご紹介しますね。

本のカバーは、青い蝶です。
物語は、蝶の学者である男性の手記から始まります。
彼は子どもの頃に家族で移り住んだ山奥で
様々な蝶を見つけ心奪われます。
そして、画家である父からの提案で、蝶の標本を作ります。

大人になってからも蝶を愛する気持ちは変わらず、
ついには蝶の学者になるのですが、
ある日、美しい少年たちに出会ったとき、彼はこう思います。
「あの美しい少年たちは蝶なのだ」
「人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな」と。
さらには、自分の息子の姿も蝶として見えてしまい…。

この先は、もう言えないっ。
この後どんな展開が待っているのかは、
ぜひ本をお手に取って、ご自身でお確かめください。

感想すらネタバレになってしまいそうなので
あまり具体的なことは言えないのですが、
ページをめくるのが怖くもあり、一方で楽しみでもある作品でした。

本を読んでいる時に突然やってくる
「えっ?」と思う瞬間が私は好きなのですが、
この『人間標本』でもばっちり味わえました。

ぜひ皆さんもイヤミスの女王の新作をご堪能ください。

特に湊さんのデビュー作『告白』がお好きな方はぜひ。
と言うのも、今作は作家生活15周年記念の作品とのことで、
原点回帰ということと、多くのファンの皆さんからの要望もあって
「イヤミス」をお書きになったそうなのです。
また、同じくリクエストの多かった「父と息子の話」にしたそうです。

夏の富山でのサイン会でファンひとりひとりと、
じっくりやり取りをされている様子を見た時にも感じましたが、
あらためて湊さんは、ファンを大事にされる方だなと思いました。

それから、この本にはたくさんの蝶が出てくるので、
本を読んでいると、どんな蝶なのか知りたくなるのですが、
『人間標本』の特設サイトには、蝶の写真が載っていますので、
作品を読む際、参考にしてみてください。

◎特設サイトは コチラ

この先、蝶を見る度、私はこの作品のことを思い出しそうだわ。

yukikotajima 2:14 pm

『夜明けのはざま』

2024年1月24日

先週の水曜日、芥川賞・直木賞の受賞作が発表されましたが、
来週の木曜日2月1日には、本屋大賞のノミネート作品が発表されます。

本屋大賞は、大賞だけでなくノミネート作品にも面白い作品が多いので、
今年はどんな作品がノミネートされるのか、私も今からとても楽しみです。

今日ご紹介するのは、本屋大賞受賞作家、町田そのこさんの最新刊です。

『夜明けのはざま』
町田そのこ
株式会社ポプラ社

町田さんは、2021年に『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞したほか、
去年は『宙ごはん』、一昨年は『星を掬う』がノミネートされるなど、
本屋大賞ではすっかりおなじみです。

ちなみに、大賞を受賞した『52ヘルツのクジラたち』は映画化され、
3月1日に公開されます。

新刊の『夜明けのはざま』は、家族葬専門の葬儀社が舞台の連作短編集です。

この葬儀社は、古民家をリノベーションした一日一組限定の斎場で、
「故人との最後の時間を、温かな空間で、大事なひとたちと静かに過ごしてほしい」
というコンセプトのもと運営されています。

葬儀社が舞台というと、辛く悲しい話は読みたくない、と思う方もいるかもしれません。
でも、私はこの本を読んで、心が軽くなって、そのうえ前向きな気持ちになりました。

というのも、登場人物たちは身近な人の死を通して
「自分らしく生きること」と向き合っていくからです。

例えば、舞台となる葬儀社で働く女性スタッフは、仕事か結婚かで悩んでいます。
彼氏からプロポーズをされるものの、今の仕事を辞めてほしいと言われてしまいます。
でも、仕事にやりがいを感じている彼女は辞めたくはありません。
果たして彼女は悩んだ末にどのような選択をするのか。
その答えは、本を読んでお確かめください。

この葬儀社のある場所は、地方都市の寂れた町です。
多様性なんて考え方はまだ浸透しておらず、昔ながらの考えのままの人も多くいます。

例えば「女なら男に従うのも仕方ない」というような。

この物語にも、そう思っている女性がいます。
「何もおかしくないでしょ?」と本気で思っています。
でも、身近な人の死や様々な人と関わる中で、
「いや、おかしいかも」と気付き始めます。

このブログを読みながら「いやいや、何がおかしいのかわからない」
と思っている方は、ぜひこの短編集を読んでください。
今は色々な考え方や生き方がある、ということに気付けると思います。

登場人物たちは、自分らしく生きるとはどういうことかを、それぞれ考えます。
でも、葛藤もあるし、簡単なことではありません。
それでも前を向く彼らの強さがまぶしく、私も頑張ろう!という気持ちになりました。

正直なことを言うと、最初は、身近な人が亡くなって悲しいだけの話だったら嫌だな…
とちょっとだけ思ってしまったのですが、さすが、町田そのこさんです!
そんな心配は一切必要ありませんでした。
今回も読んで良かったです。とてもいいお話でした。
また、何度も泣きました。
といっても、人が亡くなって悲しいからではなく、
人の本心や優しさに触れる度、私は泣いていました。

そして、私も色々な人のことを分かった気になっているだけで、
全然わかっていないのかもしれないと思いました。

あなたはでどうでしょう?
相手のことを「この人はこういう人だから」と勝手に決めつけていませんか。
それ、実は違うかもしれませんよ。

物語の登場人物たちは、自分自身はもちろん、自分以外の人とも向き合っていきます。
そこからの気付きや学びもたくさんありました。

例えば、「自分の中の『それくらい』を相手に押し付けちゃだめ」
というセリフには、ハッとさせられました。
自分にとっては些細なことでも、相手にとっては大切なことかもしれないのですよね。

町田さんの作品は、読む度に心に残るセリフが出てくるのですが、
今回もたくさんの印象的なセリフがありました。

自分の気持ちが迷子になってしまったときは、
またこの本を開きたいと思いました。

ぜひ多くの方に読んで頂きたい一冊です。

yukikotajima 11:54 am

『祖母姫、ロンドンへ行く!』

2024年1月17日

あなたには、一度でいいからしてみたい旅はありますか。

例えば、飛行機はファーストクラスで、宿泊は五つ星ホテル。
そして、旅先の移動はずっとタクシーなんて、いかがでしょう?

今日ご紹介する本は、そんな豪華旅を実際に楽しんだ
お祖母ちゃんと、その孫娘のエッセイです。

『祖母姫、ロンドンへ行く!』
椹野道流(ふしの・みちる)
小学館

タイトルの「祖母姫(そぼひめ)」というのが、
そのお祖母ちゃんのことです。

そもそもなんで孫と祖母の二人旅なのか。
発端は、お正月に親戚が集まった時に
著者である孫娘がイギリスに留学した話をしたことでした。
祖母が「一度でいいからイギリスに行きたい」と言い出したのです。
それも「お姫様のような旅がしてみたい」と。

そこで、急きょ「ロンドンお姫様旅行計画」を立て、
旅の資金は親戚たちが出し、孫が祖母を連れて行くことに決まります。

祖母の希望は、
「飛行機はファーストクラスで、五つ星ホテルに泊まり、
一流のデパートで買い物をして、最高のディナーを楽しみ、
お友達に自慢できるような素敵なものをたくさん見たい」というもの。

果たして孫娘は、祖母をお姫様のようにもてなすことができるのか。
続きはぜひ本を読んでお確かめください。

***

本を読みながら、二人と一緒にロンドンを旅している気分でした。

ただ、お姫様であるお祖母ちゃん側ではなく、
もてなす側の孫娘の気持ちで読んだため、
常に気を遣い続けることになりましたが。(笑)

というのも、このお祖母ちゃん、なかなかにワガママなんですよ。
そのため孫娘は旅のあいだ振り回され続けます。

それでも、とても楽しい旅でしたし、
お祖母ちゃんの超ポジティブ思考には何度も笑わせられました。

例えば、デパートでコートを試着したときには、
店員さんたちが自分のことを
「日本から、何て綺麗で上品でオシャレな
お婆さんが来たんだろうって言ってたんじゃない?」
と真面目に孫娘に聞いてくるほどです。

お祖母ちゃんの自己評価の高さにはびっくり!

でも、いつも堂々としているお祖母ちゃんは、かっこ良くて素敵です。

孫娘も最初は「偉そうでわがままで厄介な婆さん」だと思っていますが、
徐々に認識が変わっていきます。

また、このお姫様旅は、孫にとっては
ファーストクラスのCAや五つ星ホテルのバトラーから
「ホスピタリティ」を学ぶ旅でもありました。

一流の方たちの「もてなし方」が素晴らしいのです。さりげなくてスマートで。
人に注意をする時でさえ、相手を嫌な気持ちにさせません。

私自身も大変勉強になりました。
一流に触れることは、自分の成長にも繋がるものなのですね。

あなたも孫と祖母の二人旅に便乗して、
一流のサービスを味わってみませんか。

ちなみに、このエッセイは最近のことではなく、
「ずいぶん昔の話」だそうです。
具体的な年代は描かれていませんが、
携帯が普及する前の時代の旅を振り返る形で綴られています。

その、ちょっと懐かしい空気感のせいか、
本を読みながら私自身が今は亡き祖母と旅をしている気分でした。
二人旅をしたことなんて無いのに、不思議なものです。
そういう意味でもいい時間を過ごせました。

yukikotajima 11:24 am

『ザリガニの鳴くところ』

2024年1月10日

田島悠紀子です。
まずは、あらためて地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

FMとやまをはじめとするJFN加盟 38のFM局では、
「JFN募金」の受け付けがスタートしました。

支援の方法は色々ありますが、
良かったら、この募金にも協力いただけたらと思います。
決して多くはありませんが、私も募金しました。

◎詳しくは コチラ

***

さて、今年もヨリミチトソラの毎週水曜の18時32分ごろからは、
このブログとの連動で、本の紹介(時々アートも)をしていきますので、
よろしくお願いします。

今日は、1月最初のゆきれぽということで、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

『ザリガニの鳴くところ』
ディーリア・オーエンズ
訳:友廣純(ともひろ・じゅん)
ハヤカワ文庫

数年前に世界中で話題になった本ですので、
すでにお読みの方もいるかもしれません。

世界での売り上げは、なんと2200万部を突破したそうです。すごい!
日本でも、2021年の本屋大賞で翻訳小説部門の1位になるなど、話題になりました。
また、2022年11月には映画化もされました。

そんな話題作の文庫版が先月刊行されました。

この本をずっと読みたいと思っていましたので、文庫化のタイミングで読めて、
さらに皆様に紹介できることなり、本当に良かったです。

だって、とても面白かったのですもの!

タイトルの「ザリガニの鳴くところ」とは、
生き物たちが自然のままの姿で生きている場所のことです。

物語の舞台は、まさに自然の中。ノース・カロライナ州の湿地です。
ここで、若い男性の死体が発見されるところから物語が始まります。
その犯人として、湿地に住む一人の少女カイアに疑惑の目が向けられます。

カイアは、6歳で家族に見捨てられてから、
たったひとりで湿地の小さな家で暮らしています。
学校にも行かず、ほとんど人前に姿を見せない彼女を
村の人たちは「湿地の少女」と呼んで、好き勝手に噂しています。
だから犯人に疑われてしまったわけですが。

物語は事件とカイアのパートが交互に描かれ、
徐々に事件の真相へと近づいていきます。
物語後半の裁判のやり取りはドキドキが止まりませんでした。

果たしてカイアは犯人なのか。
詳しくは本を読んでお確かめください。

ここで、明文堂書店 富山新庄経堂店 野口さんのコメントをご紹介します。

「孤独な少女カイアが、困難から自分の力で立ち上がっていく姿が美しく、
湿地の風景とリンクします。
ミステリ、社会問題など、一言では語れない小説でもあり、
心をとらえて離さない魅力的な作品です。
次第に明かされる謎と真相にゾワッとしました」

田島もゾワッとしました。
また、野口さんのおっしゃる通り、この本には様々な魅力が詰まっています。
それも最後の最後まで。
世界中で多くの人に読まれている理由がわかりました。

また、私は本を読む前に配信で映画も見たのですが、映画も素晴らしかったです。
ぜひ映画と小説、セットでお楽しみください。

今日ご紹介した『ザリガニの鳴くところ』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にあります。
ぜひお手に取ってみてくださいね。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 11:25 am

田島が選ぶ2023年の本は…

2023年12月27日

ヨリミチトソラの毎週水曜18時32分頃からは、
このブログとの連動コーナー「ゆきれぽ」をお届けしています。
本の紹介を中心に、時々アートも取り上げています。

今日は2023年最後の放送ですので、
毎年恒例の田島が選ぶ今年の本を発表します。

また、今年2月からは、
富山県内の明文堂書店全店
ヨリミチトソラ「ゆきれぽ」コーナーができるなど、
本屋さんとのコラボがスタートしました。

毎月第1週は、富山新庄経堂店 文芸書担当
野口さんのおすすめ本を紹介してきました。

そこで、今年は野口さんにも今年の本を選んで頂きました。
まずは、野口さんの選んだ本の発表です。
野口さんのコメントとあわせてご紹介します。

『汝、星のごとく』
凪良(なぎら)ゆう
講談社

『汝、星のごとく』は、昨年からのベスト本です!
そして、「ヨリミチトソラ」の番組内での
田島さんとの初めての紹介本でもあり、
とても思い入れの強い小説です。
その後、本屋大賞を受賞し、多くの方にお届けできました。
恋愛小説にとどまらない力強い作品を、是非お読みください!


『ゴリラ裁判の日』
須藤古都離(すどう・ことり)
講談社

いい意味で、期待を裏切られた作品でした。
ゴリラローズの人生が、何とも愛おしく、何ともドラマティック!
まるで、一本の映画を見ているかのようなロマン溢れる小説でした。
クライマックスのシーンは、感動の一言です!

***

野口さんには2冊選んで頂きました。
どちらも野口さんが興奮気味に私に大プッシュしていたのを
今でもはっきりと覚えています。(笑)

『汝、星のごとく』は、先週の放送で
続編の『星を編む』をご紹介しました。
続編もとても良いので、ぜひセットでお読みくださいね。

◎田島の本紹介は コチラ

***

それでは、田島が選ぶ今年の本です。今回は3冊発表します。
順位は決めません。どれもオススメということで♪

※本のタイトルをクリックすると、私のブログが読めます。


『ゴリラ裁判の日』
須藤古都離
講談社

野口さんとかぶりました〜!(笑)
こちらは、人間に匹敵する知能を持ち、
言葉を理解し、会話もできるローズという名のゴリラのお話です。

文字だけの小説では、ローズの語りはまるで人間の女性のようなのですが、
人間なら問題ないことでも、ゴリラだとそうはいきません。
ゴリラから見た人間の世界は理不尽なことばかりです。
もし自分がゴリラだったらと、
ぜひローズの視点になって読んでみてください。
今の時代にこそ読んで頂きたい一冊です。
後半の意外な展開にもビックリ!


『月の立つ林で』
青山美智子(あおやま・みちこ)
ポプラ社

自分の弱い部分や負の感情に対して、
優しく寄り添い、そして心を楽にしてくれるような一冊です。
人の優しさに触れたくなったら、ぜひこの本を読んでみて。
きっと心が軽くなると思います。
私は今回再読して、またもや泣きました。
ほんと、いい本なんです。

とあるポッドキャストを聞くリスナーたちの連作短編集なので、
ラジオが好きな皆さんにはきっと読みやすいはず。


『リラの花咲くけものみち』
藤岡陽⼦(ふじおか・ようこ)
光文社

北海道の大学で獣医師を目指す女性の物語です。
彼女は大学生活を通して、様々な人や生き物と真摯に向き合い、
その都度、たくさんのことを学びながら成長していきます。

大人はもちろん、高校生や大学生にも読んで頂きたい一冊です。
それこそ、親子でどうぞ。
新年最初の一冊にもいいと思います。

ただし、この本も泣けて泣けて仕方ありませんでしたので、
電車やカフェなどで読む際にはご注意ください。

***

野口さんセレクトの本も含め、どれも大変いい本です。
まだお読みで無い方はぜひ。

なお、ラジオでご紹介した本は、
県内の明文堂書店ヨリミチトソラ「ゆきれぽ」コーナーにあります。

また、富山新庄経堂店には、ヨリミチトソラの本棚もあり、
これまでラジオで紹介してきた本がずらりと並んでおりますので、
ぜひチェックしてみてくださいね。

2023年も「ゆきれぽ」にお付き合い頂き、ありがとうございました。
来年はどんな本との出会いがあるかしら。楽しみ!

田島悠紀子

yukikotajima 12:13 pm

『星を編む』

2023年12月20日

ヨリミチトソラの毎週水曜18時32分頃からは、
このブログとの連動コーナー「ゆきれぽ」をお届けしています。

本の紹介を中心に、時々アートも取り上げています。

また、今年2月からは明文堂書店とのコラボがスタートしました。
富山県内の明文堂書店全店ヨリミチトソラ「ゆきれぽ」コーナーができ、
毎月第1週は、明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さん
おすすめ本を紹介しています。

記念すべきコラボ1冊目は、今年の本屋大賞受賞作である
凪良ゆうさん『汝、星のごとく』(講談社)でした。

この本は去年発売されたのですが、
本屋大賞以外にも様々な賞を受賞するなど、かなり話題になりました。

◎『汝、星のごとく』の私の本紹介は コチラ

『汝、星のごとく』は、瀬戸内の島で出会った高校生男女の物語です。
共に満たされぬ思いを抱えながら生きてきた二人は強く惹かれ合います。
しかし、大人になるにつれて、すれ違うことも増えていき…。
この後どうなるかは、ぜひ本を読んで頂きたいのですが、
物語は、男女それぞれの視点で交互に描かれています。
ですから平等に彼らの本音に触れられます。

とにかく勢いのある作品で、私は駆け抜けるように読み、
読んだ後もしばらく心に居座り続けた作品でした。

そんな『汝、星のごとく』の続編が、先月発売されました。

『星を編む』(講談社)

本音を言うと、続編が出ると知った時、
すでに完結しているのにどういうこと?と思ったのですが、
続編を読んで納得しました。『星を編む』までで、一つの物語だと。
続編も素晴らしかったです!

***

続編の『星を編む』には、3つのお話が収録されています。

まずは、主人公の二人の高校生を支える教師の物語です。
この先生は、前作ではアシスト賞をあげたいくらいの活躍を見せています。
でも、彼がどんな人なのかは具体的には描かれていませんでした。

彼は一人で娘を育てているのですが、
なぜそうなったのか、はっきりとは明かされておらず、
私たち読者は、多分こうなんだろうなと予想するしかありませんでした。
しかし、今回、そんな彼の秘められた過去が明らかになります。
その事実を知ったとき、この続編を読んで良かったと思いました。

次は、二人の編集者たちの物語です。
前作で主人公の男性は、漫画の原作者・作家になるのですが、
2番目のお話は、彼を担当した二人の編集者の仕事ぶりが描かれます。
私はこのお仕事小説が一番好きです。
一冊の本を出すために力を注ぐ編集者たちの思いに胸が熱くなりました。
色々なものと闘っている彼らを見て、私も負けずに頑張ろうと思えました。

そして、最後は、前作の後日談です。
前作の終わりから先の出来事が綴られています。それも何年にもわたって。
登場人物たちがどんな人生を送っていったのかが丁寧に描かれています。

という3つのお話が収録されているのですが、
様々な愛の物語は、どれも大変面白かったです。

正直なことを言うと、続編の『星を編む』は、
前作のオマケという感じかな?と思いながら読み始めたのですが、
全然オマケなんかではありませんでした。

続編を読んで、印象ががらりと変わった登場人物もいましたし。

この作品には、噂の対象になりがちな人ばかり出てきます。
未婚で子どもを育てる男性や、不倫をする人など。

実際、彼らの噂話を聞いたら、
できることならあまり関わりを持たないほうが良さそうだなと思い、
よく知らないくせに、思い込みで悪口を言ってしまう人も少なくないかもしれません。
真実など知ろうともせずに。

私たちはなんて上っ面な世界で生きているんだろう、と思いました。

そんな噂の対象になりがちな彼らは、
何を選び、誰を選び、どこで、誰と、どのように生きていくのか。
この本では、それぞれの人生が丁寧に描かれていきます。
どの人の人生も興味深く、私自身かなり刺激を受けました。
そして、あらためて、すごい作品だなと思えました。
いやあ良かった!

ということで、『汝、星のごとく』を読んだ方は、
『星を編む』もぜひ読んでくださいね。

そして、まだの方は、2冊続けて読んでみてください。
これからこの世界をゼロから知ることができる方が羨ましい!

最近は、感覚のアップデートが大事とよく言われますが、
どうしていいかわからない方は、これら2冊を読んでみてください。
読み終えた時には、世界の見え方が変わっているのを感じられるはずです。

さて、来週のヨリミチトソラ内のゆきれぽでは、
この一年読んだ中で特に良かった本を発表します。
私だけでなく、明文堂書店の野口さんにも発表していただきます。
どうぞお楽しみに!

yukikotajima 12:09 pm

『なれのはて』

2023年12月13日

私は、本は一気に読んでしまいたい派なのですが、
まとまった時間が取れない時は、何度かに分けて読むようにしています。
しかし、没頭し過ぎて時間を忘れてしまうなんてこともよくありまして、
先日も、途中までと決めていたのに結局最後まで読んでしまい、
読み終えた時には夜中でした。
しかも興奮しているから、その後全く寝付けないという。(笑)

私がノンストップで読んだ本はこちら。

『なれのはて』
加藤シゲアキ
講談社

著者の加藤さんは、アイドルグループ「NEWS」のメンバーでありながら、
作家としても活躍しています。
2012年に『ピンクとグレー』で作家デビュー。この作品は映画化もされました。
2021年には『オルタネート』で吉川英治文学賞と高校生直木賞を受賞されました。

『ピンクとグレー』も『オルタネート』も読んでいる私からすれば、
今や作家さんとしての印象のほうが強いくらいです。

そんな加藤さんの新作がこの秋発売されました。
本のタイトルは『なれのはて』です。
この本が今、大変話題になっているそうです。

たしかにすごい本でした!

主人公は、テレビ局で働く守谷(もりや)という男性です。
彼は、ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになります。
その異動先で、吾妻(あづま)という女性スタッフから企画の相談をされます。

それは、祖母の遺品である不思議な一枚の絵を使って
「たった一枚の展覧会」をしたいというものでした。

ところが困ったことに、この絵の裏に
「ISAMU INOMATA」という署名がある以外、
画家について何も知らないと言います。
それに、調べても情報が一切出てこないと。

絵に興味をもった守谷は、彼女とともに謎の画家の正体を探ることにします。
そして、秋田の古い新聞記事に同じ名前を見つけます。
さっそく二人は秋田へと向かい、調査を始めるのですが、
たった一枚の絵は、私たち読者を一体どこに連れていくのか。
この先は、ぜひ本のページをめくりながらお確かめください。

私は守谷たちと共に、絵の謎を探っている感覚で読んでいったのですが、
これが、大変に壮大な物語でした。
時代も大正時代までさかのぼります。
戦争も出てきます。
今回、加藤さんは「戦争」を描きたかったそうです。

また、「報道」もテーマの一つになっています。
守谷は画家の正体を探りながら、
同時に自分自身とも向き合っていくことになるのですが、
そもそもなぜ彼は報道局からイベント事業部に異動することになったのか。
そんな守谷の内面に触れるパートも興味深く、
同じメディアで働く身として、考えさせられました。

作品は熱く壮大な物語なのですが、細やかで冷静な筆致なので、
私は、がむしゃらに読むというより、丁寧に文章を追っていきました。
また、大袈裟すぎると、どこか作りこまれた感じがしてしまうものですが、
そういった力みが無い分、より現実味を帯びているように感じられました。
映像が見え、匂いがし、音が聞こえるという、リアルな感触のある作品でした。

『なれのはて』は、物語としての面白さはもちろん、
戦争、家族、報道など様々な社会的なテーマも盛り込まれた、
読み応えのある一冊でした。

あとね、ラストの一行がいいのですよ。泣きました。
まあ、そのおかげで私はその後、
興奮して寝られなくなってしまったわけですが。(笑)

きっと一気読みしたくなりますので、
皆さんはちゃんと時間のある時に読むようにして下さいね!

yukikotajima 11:49 am

『エヴァーグリーン・ゲーム』

2023年12月6日

冬はクリスマスにお正月と、人が多く集まる季節です。
お家で食事やお酒を味わいながらお喋りをして、
しばらくするとオセロなどのボードゲームを始める方もいるかもしれません。

ボードゲームというと最近は将棋が人気ですが、
あなたは「チェス」をやったことはありますか。

今日ご紹介する本は、チェスに魅了された4人の若者たちの物語です。

『エヴァーグリーン・ゲーム』
石井仁蔵(いしい・じんぞう)
ポプラ社

第12回ポプラ社小説新人賞受賞作です。
そして、今日は12月の第1水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

野口さんから「新人さんなんだけど、めちゃくちゃ面白いの!!!」
と今回もかなりの熱量ですすめられました。

しかし、私、チェスをしたことも無ければ、ルールもわからなかったので、
小説を読む前に、YouTubeでチェスのルールを予習してみました。
頭の中でイメージしやすくなりました。

ですが、チェスのルールを知らなくても全く問題ありません。

それにチェスの基礎は小説からも学べます。
また、読んだ後は、きっとチェスのことをもっと知りたくなると思います。
私は実際にチェスをしてみたくてたまりません。
そして、ある程度チェスができるようになったら、
もう一度この小説を読んでみたいとも思っています。

***

『エヴァーグリーン・ゲーム』は、
チェスに魅了された4人の若者たちによる連作短編集です。

まず、難病で入院生活を送っている小学生男子から始まり、
進学校のチェス部に所属している男子高校生、全盲の少女、
そして、少年院を出たのちアメリカへ渡った天涯孤独の男性へと続いていきます。

彼らは皆それぞれチェスに出会い、その面白さにはまっていきます。
そして、チェスプレイヤー日本一を決める
チェスワングランプリに挑むことになります。

大変面白かったです!

チェスに出会い、打ち込んでいく彼らが
どんどん輝いていく様のなんとまぶしいことか。

主人公が1人なら、その人を応援したくなるものですが、
この物語はメインとなる人物が4人いて、
それぞれに魅力的なので、全員を応援したくなります。
だからこそ、最後に誰が勝つのか、気になって仕方ありませんでした。
誰が勝っても嬉しいし、負けても悔しいという複雑な気持ちで、
読みながらずっとドキドキしっぱなしでした。

また、それぞれの物語がゆるやかに繋がっていくのも魅力的でした。
主な4人以外の登場人物たちの存在も大きく、物語をさらに面白くしています。
そういう意味では、主な4人だけでなく、登場人物全員の物語として楽しめました。

最後に、明文堂書店 富山新庄経堂店 野口さんのコメントをご紹介します。

「純粋に、ただひたむきに、好きなことに向き合う気持ちが、
真っ直ぐに伝わるとてもいい小説でした。
チェスは、まさにスポーツ!
対局シーンは、息を呑むほどに緊迫感に満ちています。
しかも、登場人物一人一人がとても魅力的、かつカッコイイです。
大型新人の予感しかありません!」

そうなんですよ。
最初に私はチェスをボードゲームと紹介しましたが、
チェスはスポーツなんですよ。
その理由は、ぜひ本を読んでお確かめください。

今日ご紹介した『エヴァーグリーン・ゲーム』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にあります。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

また、野口さんが、明文堂書店富山新庄経堂店の中に、
「ヨリミチトソラ」の本棚を作ってくださいました。
お馴染みのコーナーとは別に、です。うれし〜〜〜。
この本棚では、この一年ラジオで紹介してきた本を見つけることができますよー。

yukikotajima 11:25 am

『レーエンデ国物語』1〜3

2023年11月29日

この一週間、私は毎晩ある本を読み続けていました。
お酒好きの私が飲みのお誘いも断わり(笑)、
まっすぐ家に帰って読んでいたのは、こちら。

『レーエンデ国物語』
多崎礼(たさき・れい)
講談社

今年の6月に発売された話題のファンタジーです。
本屋さんに行く度、ずっと気になっていました。

だって、おなじみの明文堂書店 富山新庄経堂店には、
ヨリミチトソラのコーナーと同じ並びに
レーエンデ国物語のコーナーがあるんすもの。(笑)

さらに、8月にシリーズ第2巻の『レーエンデ国物語 月と太陽』が、
10月には第3巻『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』が発売され、
なんだか置いていかれている気分になり(笑)、ついに読むことにしました。

ちなみに3冊合わせて約1500ページあります。

と聞くと、うっ、それは読めそうにない。
と思う方もいるかもしれませんが、ご安心ください。

すらすらすいすい読めますので!

頭の中に物語の世界が鮮やかに広がり、
私は本を開くたびに、まるで物語の世界の扉を開いている気分でした。

最初の物語は、貴族の娘・ユリアが誕生したところから始まります。
成長したユリアは英雄の父と共に、
呪われた土地と言われる「レーエンデ」へと旅に出ます。

しかし、ずっと家に縛られてきたユリアにとって、
レーエンデは怖い場所ではなく、憧れの土地なのでした。

そのレーエンデでユリアは初めての経験をたくさんします。
友達ができたり、仕事をしたり、恋をしたり。
色々ありながらも満たされた日々を送るユリアでしたが、
彼女はレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていくことになります。

まさに王道ファンタジーの魅力が詰まった一冊でした。
不思議な森の美しさや妖しさ、そしてユリアの恋など、純度高めの物語でした。



第2巻の『レーエンデ国物語 月と太陽』は、
ユリアの物語から100年以上後のお話です。

少年ルチアーノが、レーエンデの村に住む怪力の少女テッサと出会い仲良くなります。
しかし、テッサは村の危機を救うため、戦場に出ることを決めます。

こちらは、自分たちの世界を守るべく戦う者たちの
様々な「強さ」を感じた物語でした。

第3巻の『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』は、
さらに約100年後、今回は双子の男子のお話です。

双子の兄は、レーエンデの天才劇作家です。
一方の弟は、俳優をしています。

ある日、兄のもとに人気演出家から戯曲の執筆依頼が届きます。
兄が題材に選んだのは「隠されたレーエンデの英雄の物語」です。
その英雄の真実を知るため双子の二人は旅に出るというお話です。

3冊それぞれに面白かったのですが、
私はこの双子の物語が一番好きでした。

物語の中に、生の舞台が挟み込まれることで緊迫感が増し、
ドキドキしながらもページをめくる手が止まりませんでした。

また、人間の弱さを描いているところにも惹かれました。
自信が無かったり、嫉妬してしまったり、そんな自分を嫌だと思ったり、
人間味あふれるところがいいなあと。

3冊ともレーエンデの物語なのですが、その内容は大きく異なります。
もちろん軸の部分では繋がってはいるのですが、
時代も登場人物たちも異なりますので、もはや別の物語としても読めるほどです。
そして、それこそがこの物語の魅力だなあと思いましたし、
次はどんなお話だろうと次回作が待ち遠しくなりました。

実はレーエンデ国物語は、まだ終わっていません。
来年には、第四巻、第五巻も発売予定だそうです。
今から楽しみー。

あなたもこの冬、レーエンデ国に入国してみませんか。

そうそう!
読んでみたい方は、まずは公式サイトをチェックしてみるのもいいかも。
作品の世界観を様々な角度から味わえますよ。

◎レーエンデ国物語の公式サイトは コチラ

yukikotajima 12:53 pm

『クマにあったらどうするか』

2023年11月22日

この秋は、富山をはじめ全国的にクマの出没が急増しています。
それも最近は市街地でもクマが出没していますので、より注意が必要です。

また、今年はクマのニュースに合わせて、
クマ対策が報じられることも多いように感じます。
クマよけの鈴を買ったり、外を歩く際にはラジオを流したりしている方もいるのでは。

できればクマに遭遇しないのが一番だと思うのですが、
もしクマにあってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。

そもそもあなたは「クマ」についてどれくらい知っていますか。

相手のことを知らないと怖さも増すものです。
あなたも一度、クマについて学んでみませんか。
今日ご紹介する本は、クマについて書かれた本です。

『クマにあったらどうするか
─アイヌ民族最後の狩人 姉崎等』

語り手:姉崎等(あねざき・ひとし)
聞き書き:片山龍峯 (かたやま・たつみね)
ちくま文庫

この本は、2002年に刊行され、2014年に文庫化されたのですが、
クマの出没が相次いでいる今年、再び売れているのだとか。

本の装丁を見ると、柔らかなタッチのクマの親子のイラストが描かれているので、
クマが主人公の絵本かしら?と思ってしまいそうになりますが、そうではありません。

本の帯には、アイヌ最強のクマ撃ちが残した最高のクマの教科書とあります。
(ちなみに、クマはヒグマのことです)

そのクマ撃ちというのが本のタイトルにもなっている
アイヌ民族最後のクマ撃ち猟師の姉崎等さんです。
姉崎さんは、「クマの心がわからなければクマは獲れない」と言い、
クマを師匠と呼び、実際にクマを追って山の歩き方やクマの行動を学んだそうです。

そして、人間としての視点ではなく、
クマならきっとこう考えるはずだとクマの視点になって考えます。
つまり、クマになりきっているのです。

クマの視点になると、クマが人間をよく観察していて、知恵があることがわかります。

例えば、クマは人間をよく観察していて、
自分たちの姿を見せないようにしていたり、
雪山で滑り台を作って遊んだりすることもあるそうです。

他にもクマが好きなものや、逆に嫌いなものなど、
この本を通して、クマの本当の姿を知ることができます。

ちなみに、クマが嫌いなものの一つは、「ペットボトルの音」だそうです。
空のペットボトルを押して出る音をクマは嫌うそうですよ。

また、一番知りたい、クマにあったときの対処法も載っています。それもたくさん。
詳しくは本を読んでお確かめ頂きたいのですが、
一番やってはいけないことだけ紹介しておきましょう。

それは「背中を見せて走って逃げること」だそうです。

クマは至近距離で人と出くわすと、
クマのほうが逆に襲われたと思って襲ってくるのだとか。

そもそも人間に姿を見せないようにしているはずのクマが
なぜ姿を見せるようになってしまったのでしょうか。

クマの気持ちになっている姉崎さんの話を聞いていると、
自分自身もクマ目線になってくるもので、
クマとして人間を見てみると、
人間は本当に勝手で、そして怖い存在に思えてきます。

とは言え、人としてクマを見ると、やはり怖いし、遭遇したくはありません。
でも、この本を読んだ後は、クマの印象が変わりました。

相手を知らないと、それだけで怖さや不安が増してしまうものです。
本の帯に「知ったかぶりが1番怖い」とあるのですが、
本当にその通りだなと思いました。

あなたもクマを知り尽くした姉崎さんの話に耳を傾けてみませんか。

ちなみに、この本は姉崎さんの語りがメインですが、
聞き手である映像作家の片山さんのおかげで、大変読みやすくなっています。
まるで良質なドキュメンタリーを見ているかのような一冊でもありました。

なお、この本はクマを知るにはいいと思いますが、
クマ対策に関しては、この本だけでなく、
必ず最新の情報も確認するようにしてください。

yukikotajima 11:27 am

『時々、死んだふり』

2023年11月15日

若い時は、年上の方たちの年齢を意識することはあまり無かったのですが、
自分が年を重ねていくにつれ、
人生の先輩方の年齢や生き方が気になるようになってきました。

特に人生100年時代と言われる今は、
人生の後半をどう生きていくか、気になっている方も多いのでは。

今日ご紹介するのは、87歳の今も現役でご活躍の美術家、
横尾忠則(よこお・ただのり)さんのエッセイです。

『時々、死んだふり』
ポプラ新書

横尾さんは、国際的に高い評価を得ている美術家で、
先日、今年度の文化功労者に選ばれました。おめでとうございます!

この本には、横尾さんの人生や創作についての思いが綴られています。

タイトルの『時々、死んだふり』からも横尾さんらしさが感じられますが、
なんと去年の夏、本当に死にそうだったそうです。ふり、ではなく。

急性心筋梗塞になり、2週間、絵筆を持てない日々が続いたのだとか。
でも、病気をきっかけに、横尾さんと絵の関係が少し変わって、
ご自身が望んでいた絵が描けそうだと思うようになったそうです。

それがどんな絵なのかは、ぜひ本を読んで頂きたいのですが、
病気や老いによって、これまでできていたことができなくなると、
自分はもうだめだと落ち込んでしまいそうじゃないですか。
でも、横尾さんは、それも「新たな画風」とポジティブに考えます。

実際、ハンディキャップによって新たな作品が生まれた画家たちもいて、
例えば、睡蓮の絵で有名なクロード・モネは、
白内障による視力のハンディキャップが無ければ、
革新的な作品は生まれなかったかもしれないと、横尾さんは言います。

そして、横尾さん自身も「新たな画風」を手に入れたことを
大いに喜ぶべきことと捉えています。

横尾さんは、人生も絵も軽やかで、単純でなければならないと言います。
また、社会の流行や好みと言った「外部」を意識してしまうと
本当に創造性のある作品は作れないとも。
横尾さんは、無心で遊ぶ子どものように、無心で絵を描きたいと思っているそうです。

そして、そのようにして生まれた横尾さんの新作を見ることができます。

現在、東京国立博物館では、
「横尾忠則 寒山百得(かんざんひゃくとく)展」を開催中です。

実は私も先日、東京に行っていたので見たかったのですが、
ちょうどその日は定休日でした。残念!
(でも、近くの上野の森美術館で開催中の『モネ 連作の情景』は見てきましたが)

もし12月3日までの間に東京に行くことがあれば、皆さんもぜひ行ってみてください。
ただし月曜は定休日ですので、ご注意を。

この個展では、寒山拾得(かんざんじっとく)の絵が102点展示されています。
これは、中国の唐の時代にいた寒山と拾得という風変わりな二人の僧のことで、
何ものにも縛られない、これ以上の自由はないという方たちだったそうですよ。

ちなみに、そんな寒山拾得の作品を100点以上描いたことから
個展のタイトルを寒山百得にしたのだとか。

つまり、もともと自由な二人の僧を、横尾さんが自由に描いたわけですよ。
自由×自由です。ああ、やはり見たかったなー。

さて、今日は横尾忠則さんの『時々、死んだふり』というエッセイをご紹介しましたが、
早くも新たなエッセイ『死後を生きる生き方』(集英社)を出されています。
こちらは私は未読ですが、気になる方はぜひ2冊あわせてお読みになってみては。
横尾さんによると、この2作品は「2部作という感じかな」なんだとか。

横尾さんのエッセイというと、
アートに詳しくないし、読んでもわからないかも、
と思う方もいるかもしれませんが、
全くそんなことはありません。
それこそ軽やかでわかりやすい内容ですし、
私は読んだ後にポジティブな気持ちになれました。

私も年を重ねることで生じる自分の変化を楽しんでいきたいし、
そのために、まずは今を一生懸命生きていこうと。

yukikotajima 12:00 pm

『熟睡者』

2023年11月8日

今日はクイズから始めます。

集中力、記憶力、アイデア力が大幅にアップし、
脳がスッキリし、ストレスにも強くなり、
体重も減って、がん、糖尿病予防にもなるものといったら何でしょう?

そんなのあるわけない!と思いますよね。
あるいは、あったとしても、実践するのが難しかったり、
お金がかかったりしそうだなと思った方もいるかもしれません。

でも、お金も手間もかかりません。
誰でも毎日できること、というか、すでにしていることです。
しかも無料です。

正解は…

「睡眠」です。

寝るのは誰もが毎日していることだと思いますが、
大事なのは、睡眠の「質」だそうです。

あなたは、毎晩ぐっすり眠れているでしょうか。

中には、なかなか寝付けなかったり、
たくさん寝ているのにスッキリしなかったり、
夜中に何度も目が覚めてしまったりして、
ぐっすりできていない方もいるのでは。

そんな方は、ぜひこの本を読んでみてください。

『熟睡者(じゅくすいしゃ)』
クリスティアン・ベネディクト、ミンナ・トゥーンベリエル
鈴木ファストアーベント理恵(訳)
サンマーク出版

睡眠研究者による最新の睡眠に関するスウェーデンの本で、
今、世界的に話題になっているそうです。

先日、フルマラソンを終えた身としては、
一刻も早く体の疲労を回復させたいと思っていたところに
目に飛び込んできたのが、この本でした。

富山マラソンと言えば、今年も応援していただきありがとうございました。
暑くて暑くて最後はバテバテでしたが、
皆さんの声援のおかげで最後まで走り切ることができました。
目標の5時間切りはできませんでしたが、5h時間12分で完走できました。
本当にありがとうございました。

さて、この本の帯を見ると「脳から足先まで完全爽快!」とありまして、
まさに足先まで爽快気分を味わいたい!と思い、読んでみました。

いやあ、大変勉強になりました。

睡眠は、肉体の疲労が回復するだけではなかったのですね。
質のいい睡眠にはたくさんのメリットがありました。

ちなみに、この本は、2020年に刊行された
『Sleep,Sleep,Sleep』を加筆・再編集したものだそうで、
今回、新たに著者のクリスティアン・ベネディクトさんの
日本の皆さんへのメッセージも追加されています。

日本人は労働時間が長く、睡眠時間が短いのが特徴なんだとか。
休息を大事にするフィンランドと比べると1時間も短いそうです。

慢性的な睡眠不足がもたらす影響は、
仕事のパフォーマンスが低下するだけでなく、
様々な病気のリスクを大きくし、
経済全体にも悪影響を与えてしまうそうです。

それくらい、睡眠は大事なんですって。

この本には、睡眠に関する最新情報のほか、
睡眠不足が私たちの体にどんな影響を与えるのかや、
ぐっすり熟睡するための実用的なヒントやテクニックなどが、
分かりやすく紹介されています。

何より具体例が満載なので、イメージしやすいのです。

歯を磨いて、ベッドにもぐりこんでから、うとうとし始め、そして夢を見て、
という流れが、とてもリアルに描かれているので、
まるで自分自身の出来事として読めます。

また、睡眠というと、「睡眠時間」ばかりが注目されがちですが、
人によって異なるそうです。

自分にとって必要な睡眠時間は簡単にチェックすることができます。
それは、目覚ましをセットせずに何日か心ゆくまで眠ってみることだそうです。
そうすることで、身体が必要とする睡眠時間がわかるそうですよ。

自分の睡眠時間がわかった後は、睡眠の質をあげていくことが大事になりますが、
この本にはその具体的なアドバイスがたくさん載っています。

例えば、これはよく聞くのでは。

「太陽の光を浴びる」できれば朝に。

太陽の光が体を目覚めさせるそうです。
でも、そんな時間はとれないという方は、窓際に座るのがいいのだとか。

つまり、睡眠は夜だけではなく
「日中をどう過ごすか」ということも大事なんですって。

他に私が印象に残ったのは「睡眠の凄い効果」です。

受験生の皆さんの中には、遅くまで勉強していて
睡眠不足という方もいるかもしれませんが、
効率的かつ迅速に学びたいなら、眠った方がいいそうですよ。

あとは、睡眠によって肉体の疲労が回復するだけでなく、メンタルも整うのだとか。

これは、私も実感しています。
以前は夜寝る前によく考え事をしていたのですが、
ここ最近は、嫌なことがあった時こそ、
運動して体を程よく疲れさせてから、ぐっすり寝るようにしています。
そうすると、朝起きた時、「まあ、いっか」という気持ちになっているのです。

実際、寝ている間にストレスが処理されることで、朝には心が安定しているのだとか。

睡眠すごい!

でも、どんなに寝たくても「眠れない」という方もいると思います。
そんな方へのアドバイスも載っています。

例えば、ホテルなどで寝つきが悪くなる場合は、
お気に入りの枕カバーを持っていくだけでも効果があるそうですよ。

こんな感じで、どれも簡単にできるものばかりです。
今日ご紹介したのは、ほんの一例ですので、
もっと詳しく知りたいという方は、ぜひ本を手に取ってみてくださいね。

そして、睡眠の質を上げて、心身共に健康に生活していきましょう!

とりあえず私は、次の休みの日に目覚ましをかけずに寝て、
自分の睡眠時間をチェックしてみようと思います。
あと、15時以降のコーヒーはやめます。
ヨリミチトソラの時間は、ノンカフェインの飲み物に変えることにします。

yukikotajima 11:36 am

『続 窓ぎわのトットちゃん』

2023年11月1日

あなたが子どもの頃に読んだ本で印象に残っているのは、どの本でしょうか。

私は何冊かありますが、そのうちの一冊は『窓ぎわのトットちゃん』です。

女優の黒柳徹子さんがご自身の小学生時代を描いた自伝的物語です。
いわさきちひろさんによる女の子の絵の表紙でおなじみですね。
国内では800万部、全世界では2500万部を超える大ベストセラーとなっています。
そんな世界中で愛されている作品の続編が先日、発売されました。

『続 窓ぎわのトットちゃん』
黒柳徹子
講談社

なんと42年ぶりの続編です。

そして、今日は11月の第1水曜日ですので、こちらは、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

先にこの本を読んだ野口さんから「面白かったの一言につきる」と言われ、
私も早く続編を読みたい!と思いながらも、
まずは久しぶりに『窓ぎわのトットちゃん』から読んでみました。

再読は、まるで子どもの頃のアルバムをめくっている感覚でした。
私はトットちゃんとは全然違う子どもだったのに、
この作品が過去の思い出の一つになっていました。
きっと私と同じように感じる方も多いかもしれません。

子どもの頃は、トットちゃんのマイペースっぷりに
「ここまで自分の気持ちに正直になっていいのか」と思ったものでしたが、
再読して感じたのは、トットちゃんが心のままにいられたのは、
トモエ学園の小林宗作(そうさく)校長先生のおかげだったのねということです。
久しぶりに読んだら、小林先生の素晴らしさに心を打たれました。

小学1年生で小学校を退学となったトットちゃんでしたが、
転校したトモエ学園では、のびのびとした日々を送ります。
『窓ぎわのトットちゃん』には、そんなトモエ学園での日々が描かれています。

なお、12月8日には、アニメーションとして初めて映画化されるようですよ。
映画も楽しみ!

◎映画の公式サイトは コチラ

さて、『窓ぎわのトットちゃん』は、
東京大空襲の数日後に青森に疎開するところで終わっていますが、
続編は、そこから物語が始まります。
つまり戦争の話が中心になっています。

続編を書くきっかけの一つが、
黒柳さんが体験した戦争のことを書き残しておきたいと考えたからだそうです。

実際、続編には戦時中の過酷な日々が描かれています。
でも、トットちゃん節はそのままですので、どこかユーモラスでもあります。
また、ただ嘆くだけでないたくましさも感じ、
私もこんな風に生きていきたいと思いました。

大人になってからの日々は、思わず声を出して笑ってしまうほどの面白さです。
例えば、NHK専属のテレビ女優第1号となったトットちゃんは、
ラジオドラマで、その他大勢の声をすることになるのですが、
どうしてもトットちゃんだけ目立ってしまうのです。

決してふざけているのではなく、
真面目に考えた結果、そうなってしまっただけでなのですが、
いかにもトットちゃんらしいエピソードだなと思いました。

ちなみに、これは、以前NHKで放送されていたドラマ
「トットてれび」にもあったシーンだったので、
当時、トットちゃんを演じていた満島ひかりさんの顔が浮かんでしまいました。

大人になっても、また、どんなときでも「トットちゃん」らしさは変わらず、
そんなトットちゃんに、笑いながらも愛おしくて泣けてきて、
続編も最後のページまで楽しませていただきました。
寅さんこと、渥美清さんんとのエピソードも良かったです。

決して難しい言葉は使わず、
まるでトットちゃんが喋っているかのような易しい文章ですので、
大人の皆さんだけでなく、お子さんたちもぜひ読んでみてください。

最後に、明文堂書店 富山新庄経堂店 野口さんのコメントをご紹介します。

「子供のころ、従姉妹と二人で『窓ぎわのトットちゃん』を買ってもらいました。
『きみは、本当は、いい子なんだよ』という校長先生の言葉が、
大人になった今でも、私を支えてくれています。
続編が出版されると知って、感激しました!
続編は、どのエピソードも鮮明、かつ生き生きと描かれていて、胸にジーンときます。
永遠不滅のトットちゃん、是非お読みください!」


今日ご紹介した『続 窓ぎわのトットちゃん』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にあります。
ぜひ大ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』とあわせて読んでみてくださいね。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 10:53 am

『化け者手本』

2023年10月25日

今日ご紹介する本は喋る本です。
文字を目で追えば、声が聞こえてくるのです。
それも江戸時代の江戸の言葉で。

でも、オーディオブックではありません。
普通の紙の本です。

『化け者手本(ばけものてほん)』
蝉谷めぐ実(せみたに・めぐみ)
株式会社KADOKAWA

蝉谷さんと言いますと、以前ラジオで『おんなの女房』をご紹介しました。

◎私の紹介は コチラ

こちらは、江戸時代の恋物語で、主人公は歌舞伎役者の女房です。
吉川英治文学新人賞受賞など2つの文学賞を受賞した話題作です。
私も好きな作品で、去年、読んで良かった本の一冊に選んでいます。

◎詳しくは コチラ

さて、今日ご紹介する『化け者手本』は、
デビュー作『化け者心中』に続く「化け者」シリーズです。
なお、デビュー作は、文学賞三冠を達成した超話題作で、この夏文庫化されました。

そういえば私、デビュー作を読んでいないではないかと思い、
今回新刊と合わせて読んでみました。

化け者シリーズは、江戸時代の歌舞伎が舞台です。

まず『化け者心中』は、役者たちが芝居の前読みに集まった時に、
彼らの輪の真ん中に生首が転がり落ちます。
しかし、役者の数は変わらず、
鬼が誰かを喰い殺して成り代わっていることがわかります。
そこで、とある二人が鬼探しに乗り出すというお話です。

その二人というのが、心優しい鳥商いの藤九郎(ふじくろう)と、
女形として活躍していた元役者の魚之助(ととのすけ)です。

新作の『化け者手本』は、二人のもとに
ある事件の話が持ち込まれるところから始まります。
芝居が終わった後、客席に両耳から棒が突き出た死体が転がっていたそうなのです。
二人は、前回同様バディを組んで真相解明に乗り出します。

とある縁から二人は一緒に過ごすことが増えるのですが、
歌舞伎の世界など知らない藤九郎と、元女形の魚之助は、たびたび衝突します。
まあ実際は、わがままな元女形の魚之助に、藤九郎が振り回されている感じなのですが。
藤九郎はいい奴なんです。
でも、良かれと思ってやったことが裏目に出るなんてことはしょっちゅうで、
本を読みながら何度「藤九郎ドンマイ!」と声をかけたことか。(笑)

そんな二人が、今回も「ばけもの」暴きに挑んでいきます。
果たして、ばけものとは?

ちなみに、タイトルの「化け者」は「化け物」ではありません。
動物の「物」ではなく、人気者などの「者」です。
例えば、一心に何かしらに打ち込む人間が、度を越えると化け者になるそうですよ。

タイトルの『化け者手本』とはどいうことなのか。
ぜひ最後まで語りに耳を傾けてみてください。

そう、蝉谷さんの作品は読むというより、聞く感じなのですよ。
それもまるで落語を聞いているかのよう、と思ったら、
実際、蝉谷さんは江戸落語を聞いて、その節回しを学ばれたのだとか。
なるほど!道理で息継ぎまで心地いいはずだと納得。
またオノマトペも多用しているので、よりリズミカルな文章で、
思わず声を出して真似をしたくなります。
例えば、ずずずうと手元の蕎麦をすする、など。

今回も最後の一行まで大変気持ちのいい語りでございました。

ですから、この作品は、落語がお好きな方も楽しめるかと。
他にも歌舞伎、忠臣蔵、時代小説、ミステリ好きの方、
それから恋をしている方や推し活中の方もぜひ。

推し活と言えば、江戸時代もすごかったようですよ。
贔屓の役者の帯の結い方を真似したり、役者絵を集めたり。
令和の今と変わりません。

今の時代の感覚のまま江戸の世界に入り込めます。
あなたも江戸の歌舞伎の世界をちょいとのぞいてみませんか。

yukikotajima 12:20 pm

『リラの花咲くけものみち』

2023年10月18日

私、しばらく北海道におりました。
大自然の中では、季節の植物がより印象に残りました。

と言いたくなるほど、作品の世界に入り込んだ小説を今日はご紹介します。

『リラの花咲くけものみち』
藤岡陽⼦(ふじおか・ようこ)
光文社

主人公は、北海道の大学で獣医師を目指す聡⾥(さとり)です。

幼い頃に⺟を亡くした彼女は、
⽗の再婚相手とうまくいかず不登校になってしまいます。
その間、愛⽝だけが⼼の⽀えとなっていました。

その後、祖⺟に引き取られ、
様々なペットと暮らす中で獣医師を⽬指すようになります。

そして、無事、北海道の大学に進学し、寮での暮らしが始まるのですが、
長い間引きこもっていた聡⾥は、人とうまくコミュニケーションが取れず、
寮のルームメイトからも嫌われてしまいます。

と書くと、なんか読むと辛い気持ちになりそうだから
読みたくないかも、と思われてしまいそうですが、ちょっと待ったー。
ここから先がとってもいいんです!

私は何度泣いたことか。
泣きすぎて読み終わった時にはティッシュの山ができていたほどです。

聡⾥は大学生活を通して、様々なものと真摯に向き合っていきます。
友人、家族、動物、そして自分自身とも。

そして、北海道の自然や生き物、周りの人たちから
たくさんのことを教わりながら成長していきます。
彼女がどのように成長していくのかは、
本のページをめくりながら、ご自身でお確かめください。

それから、この本は様々な学びのある一冊でもありました。

まず、聡⾥が獣医師を目指しているということで
獣医師の仕事が多岐にわたることや、
大学でどんなことを学ぶのか知ることができました。
また、動物に関しての様々な問題も。

私は動物を飼っていないので、ペット事情は詳しくは無いのですが、
もし今後自分がペットを飼うことになったら、
その時には、この本を改めて読もうと思いました。

また、動物だけでなく、植物についても学べました。
実は、この本には季節の植物がたくさん出てきます。
本のタイトルに「リラ」が入っていますが、
第1章から第8章までのタイトルにも
「ナナカマド」「クリスマスローズ」「シラカバ」などの花の名前がついています。
ちなみに、リラはライラックのことです。

北海道で暮らすようになった聡⾥は、
動物だけでなく植物にも興味を持つようになり、
美しい風景の写真を撮っては、離れて暮らす祖母に送っています。

本を読みながら、私が北海道の大自然の中にいる気分になったのも、
これでおわかりいただけましたか。

この本は、秋の夜長に読むのもいいけれど、
晴れた日の昼間に、公園のベンチや自然を感じるカフェ、家の庭で読むのもいいかも。

最後に印象に残ったセリフをご紹介します。
還暦を迎えたある獣医師の女性が、聡⾥に言ったものです。

時間をかけて力を尽くして築いたものだけが、最後に残る。
仕事もそうだけど、人との関係にしても同じことが言える。
だからいろんなことを面倒がらずに、きちんと頑張っておきなさい。

この言葉を目にしたとき、ドキリとして思わず私も「はい」と返事をしてしまいました。

あなたはどうですか。面倒なことから逃げていませんか。
読んだ後はきっと、ご自身の問題と向き合おうという気持ちになれると思いますよ。

とてもいい本でした。

yukikotajima 11:29 am

『リカバリー・カバヒコ』

2023年10月11日

神社やお寺に行くと、自分の治したいところをなでると良くなると言われる
「なで地蔵」などの「なで〇〇」を時々見かけますが、
あなたはいつもどこをなでますか。

私はたいてい、肩、目、頭ですかね。
肩コリ、眼精疲労をどうにかしてほしいのと、もっと頭が良くなりたいので、
欲張ってあっちもこっちもと触っています。

さて、今日ご紹介する小説は、お地蔵様ではなく
公園の古びたカバの遊具をなでる人々のお話です。

『リカバリー・カバヒコ』
青山美智子
光文社

青山さんと言いますと、作品が3年連続で本屋大賞にノミネートされるなど、
本を愛する書店員の皆さんにもファンが多い作家さんです。

私もファンの一人で、ノミネート作の
『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』『月の立つ林で』
は、いずれもラジオでご紹介しています。

(↑本のタイトルをクリックすると、私の本紹介が読めます)

新作の『リカバリー・カバヒコ』も大変良かったので、
この作品も来年の本屋大賞にノミネートされる予感がします。

今作は、とあるマンションの住人たちによる連作短編集です。

まずは、中学時代は成績が良かったのに
高校に入ってから授業にすらついていけなくなった男子高校生の物語から始まり、
その後、ママ友グループの誘いを断りたいのにできないママや、
ストレスで体調を崩して仕事を休んでいる女性、
駅伝に出たくなくて足をねんざしたと嘘をついた小学生などの物語が続いていきます。

それぞれに悩みを抱えた彼らは、マンション近くの公園に行き、
そこで古びたカバの遊具を見つけます。
そして、そのカバを触りながら悩みを打ち明けます。

実はこのカバの遊具には、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復する
という都市伝説があるのです。

そのため「リカバリー・カバヒコ」という名前がついています。

なんて紹介すると、カバがピカーッと光って、
悪いところを治してくれて、めでたしめでたし!
というようなお話を想像される方もいるかもしれませんが、
そういったファンタジーではありません。

だって、このカバヒコは何も変わらないからです。
誰の前でも塗装が剥げたままの古びたアニマルライドのままです。

でも、カバヒコに出会った人たちには、その後、変化が生じます。
どう変わっていくのかは、ぜひ本を読んでお確かめください。

今回もいい物語でした。
読み終えた後、本の表紙に描かれたカバヒコを私も思わずなでてしまいました。

私は青山さんの作品を読む度に、心が晴れ晴れとします。
なんかモヤモヤしているのだけど、
うまく自分の気持ちを表せないことってありませんか?
そんな時に青山さんの作品を読むと、モヤモヤが取り除かれて、
「私はこう思っていたのか」と自分の気持ちに気付けるのです。

とは言え、あくまでも物語ですから、私のことが書かれているわけではありません。
でも、登場人物たちの悩みは、誰もが感じていることなのです。
だから、よりダイレクトに心に響いて、
自分の物語のように感じてしまうのかもしれません。

今回も勝手ながら私自身の物語として読ませていただきました。
特に、ストレスで仕事を休んでいる女性の話は、読みながら涙があふれてきました。

ウェディングプランナーの彼女は、仕事が好きで一生懸命仕事をしているものの、
担当した新郎が結婚式当日、ずっとむすっとしていて、
その理由がわからず、ずっと不安を感じています。
私も彼女の心の中が痛いほどわかって、他人事とは思えませんでした。
でも、彼女もカバヒコに出会ってから、ある大事なことに気付きます。

あまりにも良かったので、後日あらためてそのお話を読んだら、
同じところでまた泣けました。しかも一回目と同じ熱量で。

最近、なんかうまくいかないなあという方、
ぜひ『リカバリー・カバヒコ』を読んでみてください。

読んだ後は、きっとあなた自身もリカバリーされているはず。

yukikotajima 11:11 am

『未知生さん』

2023年10月4日

突然ですが、私・田島悠紀子って、どんな印象でしょう?

・しっかりしている
・おっちょこちょい
・落ち着いている
・落ち着きがない
・こわい
・優しい

これらは今までに私が人から言われた言葉です。
人によって私の印象はまるで異なります。

きっと「私が会った人の数だけいろんな田島が存在する」のだと思います。
これは、今日紹介する本の登場人物の言葉です。
今日の本はこちら。

『未知生(みちお)さん』
片島麦子(かたしま・むぎこ)
双葉社


今日は10月の第1水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

先日、野口さんから「いい本があるのよ!」と熱くこの本を勧められました。

タイトルの『未知生(みちお)さん』は、人の名前です。
彼は、息子が事故に遭いそうなのをかばって、
41歳という若さで突然この世を去ってしまいます。

『未知生さん』は、彼の葬儀に参列した
高校時代の同級生や元カノ、会社員時代の同期、上司、そして家族など
生前、彼に関わりのあった人たちの語りで構成された連作短編集です。

それぞれが未知生にどんな印象を抱いていたのか、
どんなことが想い出に残っているのか、振り返りながら、
同時に自分自身についても見つめ直していきます。

例えば、高校時代の同級生は、
お葬式で喪主である奥さんが繰り返し「彼はいい人だった」と言っていたことや、
息子をかばって亡くなったことに対して、
なんか未知生っぽくないんだよなあと思います。

会社員時代の同期は、未知生のことが苦手というか嫌いでした。
というのも、マイペースな彼に調子を狂わされてばかりだったからです。
例えば、猫を飼っているから泊りがけの出張はできないという未知生に対し、
それはおかしいだろうと思っています。

一方、上司の女性は、未知生に対して別の印象を抱きます。
彼女の目を通すと、未知生はちょっと素敵な男性に見えます。

でも、元カノの目を通すとヒドイ男に変わります。
だって、彼女に対して「化粧をしているほうがかわいいね」と言っちゃうのですよ。

こんな感じで、未知生に生前関わりのあった人たちが、
それぞれに未知生との思い出を振り返っていきます。
そして、彼らの話から未知生という人間が浮かび上がってきます。

ちなみに、みんなが共通して抱いていた未知生の印象は、
協調性がなくてマイペースだけど、裏表も悪気もない、人畜無害な、いい人です。

このつかみどころが無いところを嫌だなと感じる人もいれば、
それが彼の良さなのかもしれないと思う人もいます。

いずれにしても彼らは、未知生との思い出を振り返ることで
自分自身と向き合っていくことにもなります。

『未知夫さん』は、フィクションだけど、リアルな感触のあるお話でした。

さて、あなた自身はこの本を読むことで、
未知生にどんな印象を抱き、何を感じるでしょうか。
ぜひ本のページをめくって確かめてみてください。

最後に、明文堂書店 富山新庄経堂店 野口さんのコメントをご紹介します。

「とにかく未知生さん、とてもいいんです!
いつもぼ〜っとしているようで、放つ言葉が、何気に真実を突いていたり、
さらに衝撃の展開もあり、読み終えるころには
未知生さん、サイコーの一言でした」

そうそう、衝撃の展開には私もびっくりしました。
そこも含めて、とても良いお話でした。

今日ご紹介した『未知生さん』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、
ぜひチェックしてみてください。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 12:09 pm

『正直観光案内』

2023年9月27日

もうすぐ10月です。
ようやく過ごしやすくなりましたので、
そろそろ秋のお出かけ計画を立てようかなと
思っている方もいらっしゃるでしょうか。

国内を旅するなら、どこに行ってみたいですか。
また、旅をする際、あなたは何を参考にしますか。

旅のガイドブックや旅情報が載ったサイト、口コミ、友人知人の話のほか、
最近はSNSで旅の情報をチェックする方も多いかもしれませんね。

そして、なるべく人気のスポットや、口コミ評価の高い場所に行きたい、
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
そうではなく、独自の視点で旅を楽しむ人のスタイルを参考にするのも面白いのでは。

今日ご紹介する本はこちら。

『ニッポン47都道府県 正直観光案内』
宮田珠己(みやた・たまき)
幻冬舎文庫

この本に載っている著者プロフィールによると、
宮田さんは、旅と石ころと変な生き物を愛し、
いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追求している作家兼エッセイストです。

これまで旅やレジャーに関するエッセイを中心に、
ユルくて、ちょっと変わった本を色々と書いていらっしゃいます。

『ニッポン47都道府県 正直観光案内』は、
全国各地を旅してきた宮田さんによる観光案内です。
タイトルの通り、宮田さんが正直にいいと思ったところが紹介されています。

宮田さんによると、観光とは、すごいもの、奇妙なものを見ることだと言います。

実際、宮田さんは、日本各地の奇妙なものをよく見つけています。
ですから、この本はよくある観光ガイドとはまるで異なります。
誰もがその県に行ったらまずはそこに行くよね!
という有名観光スポットも外されています。

例えば、おとなり石川県と言ったら「忍者寺」だそうです。
兼六園でも金沢城でも二十一世紀美術館でもなく。
忍者寺さえ見れば、あとは各々行きたいところに行けばいいそうです。(笑)

また、都道府県をひとことで言い表しているのですが、
奈良は「カサカサしている」
高知は「知らんぜよ」
和歌山にいたっては「遠い」です。

和歌山が「遠い」というのはわかる!
私も日本国内は色々なところに出かけましたが、
和歌山には行ったことがありません。
まさに感覚として「遠い」のです。

そして、富山はと言うと、「スペクタクル」です。
宮田さんは、富山は観光についていえば、
日本屈指の実力を誇るとべた褒めです。(笑)

そんな宮田さんの富山でのオススメスポットは…
これはぜひ本を読んでお確かめください。

ちなみに、私は県内の観光スポットには、だいぶ行っていますが、
ここには行っていませんでした。
行こうと思ったことはあるのですが、タイミングが合わなくて。
でも、いつか行ってみたい。

この本を読んでいると、宮田さんの好みや人柄も見えてきます。
宮田さんは、興味のあることにはとことん熱いのですが、
そうじゃない場合は、どんなに有名な場所であろうが興味を抱きません。
この本は、そんな正直すぎる宮田さんによる観光案内です。

宮田さんの目を通して見る日本は、
変なものだらけの、だいぶ楽しいところに見えました。
行ってみたいところに付箋を貼っていったら付箋だらけになってしまい、
いったい全て回ろうと思ったら何年かかるんだ、
という状態になりました。(笑)

でも、この本を読んだだけでも世界が広がったように思います。

ちなみに、クセ強めの宮田さんセレクトの旅案内はかなりマニアックなのでは?
と思う方もいるかもれませんが、この本のスタンスは、
「マニアでなくても、専門知識がなくても楽しめる観光スポットのなかから、
正直にいいと思う場所だけを厳選し、都道府県別に紹介する」ことです。

ですから気軽な気持ちで読んでみてくださいね!

この本を読んだ後に旅計画を立てたら、
きっといつもとは違った旅のプランが出来上がるはず。

ちなみに、宮田さんは他にもたくさんのユル〜いエッセイを出しています。
また、小説も大変面白かったです。

小説『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』は、
亡き父が書いたデタラメ旅行記に出てくる王国を探すよう、
王様に命じられた男性の物語です。
そもそもデタラメな内容なのに、どうやってその王国を探すのよ?
と思いながら、主人公の男性は旅に出るのですが、
東洋奇譚をもとに描かれたこの旅物語は、
他では決して味わえないかなり楽しい旅でした。

さて、そんな宮田さんの講演会が、
今週末の土曜日、9月30日14時から富山市立図書館で行われます。

宮田珠己さん講演会「本の迷路をずんずん歩く」です。

当日は、宮田さんおすすめの本をテーマ別にご紹介いただきます。
そして、お話の聞き手を私、田島がつとめます。

宮田さんと一緒に、本の迷路をずんずん歩いていきます。(笑)

宮田さんが選ぶ本は、きっとあなたの世界を広げてくれるはずです。
私もとても楽しみです!

この講演会は、無料で高校生以上の方ならどなたでもご参加いただけますが、
先着順ですのでお早めに富山市立図書館本館2階ロビーにお越しください。
開場は13時30分です。

◎詳しくは コチラ

なお、明文堂書店 富山新庄経堂店では、
ゆきれぽコーナーの横に、宮田さんの本がずらっと並んでいますので、
ぜひ気になった本を読んでみてください。

それでは、土曜日、富山市立図書館でお待ちしています!

yukikotajima 11:29 am

『リスペクト R・E・S・P・E・C・T』

2023年9月20日

今日は、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でおなじみの
ブレイディみかこさんの小説をご紹介します。

『ぼくイエ』は、イギリスに住むブレイディさんの
当時中学生の息子さんについて書かれた本で、
いじめ、喧嘩、差別のある中学に入学した息子さんが、
それぞれの問題について真剣に向き合い
お母さんと一緒に何が正しいのか悩み、考えていくというノンフィクションです。

私ももちろん読んでいます。
そして、この本をきっかけにブレイディさんのファンになり、
これまでも様々な本を読みました。

ブレイディさんの本は、ただ受け身で文字を追っていくだけではなく、
自分の頭で考えながら読んでいくスタイルなので、毎回たくさんの刺激を受けます。
ひとことで言うなら、読んだ人ををアップデートさせてくれる感じです。
今回の本も読んだらきっとアップデートできるはず!

『リスペクト R・E・S・P・E・C・T』
ブレイディみかこ
筑摩書房

今回は、ノンフィクションではなく、
2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件がモデルの小説です。

この事件は、ロンドン・オリンピックの2年後、
町の再開発のためにホームレス・シェルターを追い出されたシングルマザーたちが、
空き家のまま放置されていた公営住宅を占拠して、
自分たちでシェルターを作って生活を始めたというものです。

再開発でお洒落で小ぎれいな町に生まれ変わるのはいいことのように思いますが、
住宅の価格や家賃が高騰することで、もともと住んでいた人たちが
住めなくなってしまうという問題も起きてしまいます。

この「都市の高級化」を「ジェントリフィケーション」と言うのですが、
シングルマザーたちは、この問題に向き合っていくことになります。

主人公は、10代で子どもを産んでホームレスになり、
シェルターに住むようになった二十歳の母親ジェイドです。
理不尽な理由で住宅の退去を迫られた彼女は、
このままでは住む場所が無くなってしまう!と
仲間のシングルマザーたちと一緒に立ち上がります。

「あたしたちが求めているのは少しばかりのリスペクトなのです」と。

理不尽なことに対して、あきらめたり人のせいにしたりするのは簡単です。
でも、それでは状況は変わりません。
ジェイドたちシングルマザーは、誰も頼れないのなら、
自分たち自身でやってやる!と行動をおこします。

もちろん、応援してくれる人ばかりではないし、酷い仕打ちにあうことだってあります。

それでも分かってくれる人もいるのです。
例えば、ゴシック・パンク風の初老の女性は、見た目は怖いけど、
彼女たちをがっちり支える、頼れる存在ですし。

また、公営住宅を占拠したなんていうと過激なイメージがありますが、
彼女たちの運動は人々の心を動かし、
占拠地では様々な助け合いがうまれるほどに平和的だったのです。

彼女たちがどのように運動をおこし、人々の心をどうつかんでいったのかは、
ぜひこの本を読んでお確かめください。

ところで、真面目過ぎる私は、ジェイドたちの運動はすごいと思うのだけど、
実際は不法占拠なわけで、大丈夫なのかな…と思いながら読んでいたのですが、
この物語には、同じように感じている日本人女性も出てきます。
シナコというロンドン在住の新聞記者です。

このシナコの視点が入ることで、どこか遠い場所の話ではないと気付かされ、
物語の世界がぐっと近づきます。

そして、このシナコもジェイドたちと関わりを持つことで、
自分自身の考えが変わっていきます。
この変化はまさに私自身の変化のようでもありました。

あなたはこの本を読むことで、どんなことを感じるでしょうか。
ぜひジェイドたちシングルマザーたちの言葉に耳を傾けてみてください。

今回も読んで良かったです。
やはりブレイディさんの本は好きだわ!

そうそう、音楽好きなブレイディさんの作品には様々な音楽が出てくるのですが、
今回もたくさんの曲が出てきまして、せっかくなら聞きながら読みたいなあと思ったら、
なんとSpotifyに小説に登場する曲のプレイリストがありました。
ぜひ本を読みながら音楽も聞いてみてくださいね♪
より作品世界に没入できますよー。

yukikotajima 11:21 am

『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』

2023年9月13日

今週末は3連休ですね。
連休最終日18日の月曜は、国民の祝日の「敬老の日」です。

いまだに敬老の日と聞くと、9月15日を思い出す方もいるかもしれませんが、
9月の第3月曜日になったのは2003年からですから
変わってから、もう20年も経っています。

2003年の平均寿命は、男性が78.36年、女性が85.33年でした。
最新の2022年は、男性が 81.05年、女性は87.09年と、
20年前に比べると平均寿命は延びています。

人生100年時代とも言われていますが、
あなたは、どんなおじいちゃん、おばあちゃんになりたいですか?

できれば何歳になっても元気に暮らしたいものですが、
そのために、どんなことをしたらいいのでしょうか。

例えば、実際に100歳を超えても元気な方の生き方から学んでみるのはいかが?

今日ご紹介する本は、今年ずっと話題になっている一冊です。

『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』
石井哲代(いしい・てつよ) 中国新聞社
文藝春秋


「哲代おばあちゃん」というのは、
広島県尾道市の山あいの町で畑仕事をしながら一人暮らしをしている
石井哲代(いしい・てつよ) さんのことで、
広島で大人気のおばあちゃんなんですって。

哲代おばあちゃんは、もともとは小学校の先生で、
子どもはおらず、20年前にご主人が亡くなってからは一人暮らしをしているそうです。

本のタイトルには「102歳」とありますが、現在は103歳です。
アニメ映画にもなった漫画『この世界の片隅に』の「すず」さんより
5歳年上なんですって!

この本は、「中国新聞」の連載記事をまとめたもので、
哲代おばあちゃんの日記を中心に、
「健康で長生きするための八つの習慣」や「長生きレシピ」などが載っています。

話し言葉そのままの文章ですので、
本を読むというより、まるでお喋りを聞いているかのようです。
文章からチャーミングな人柄や優しい笑顔が見えてきて、
読んだ後は、私も頑張るか!と元気になれます。

そもそも哲代おばあちゃんが、とても元気なのです。
哲代おばあちゃんは、若い頃からずっと
「さびない鍬(くわ)でありたい」思ってきたそうです。
体も頭も気持ちも、使い続けていればさびないと言います。

一方、できないことは人に助けてもらったり、
自分のテンポを大事にしたりして、無理をしないようしているそうです。

哲代おばあちゃんは一人で暮らしていますが、ひとりぼっちではありません。
親戚や近所の方など、周りの方たちから愛されています。

例えば、近所の子どもたちが学校に行くのを
哲代おばあちゃんは、毎朝、家の外で見送っていたそうなのですが、
ある日、寝坊してしまったのだとか。
すると、子どもたちが心配して玄関のチャイムを鳴らしてきたのですって。
そして、おばあちゃんの姿を確認して、ほっとして学校に行ったそうで、
哲代おばあちゃんは「どっちが見守りしていたのかわからない」
と日記に書いているのですが、心温まるいいエピソードだなと思いました。

哲代おばあちゃんの日記には、
その時に感じた素直な気持ちが感じたままの言葉で綴られています。
特に嬉しいことがあった日は、
読んでいる私まで思わず笑ってしまうほどにハイテンションです。
ちなみに、哲代おばあちゃんは、喜びの表現はあえて大きくしているそうですよ。

気付けば、すっかり私も哲代おばあちゃんのファンの一人になっていました。
ほんと、読んで元気になりました!

哲代おばあちゃん、ありがとうございました。
これからもずっとお元気でいてくださいね。
私もこの先、体も頭も気持ちも錆びないように、ちゃんと使い続けていこうと思います。

敬老の日を前に、あなたもぜひ哲代おばあちゃんの声に耳を傾けてみては。

yukikotajima 11:59 am

湊かなえさん

2023年8月30日

ヨリミチトソラで毎週水曜18時32分ごろからお送りしている、
このブログとの連動コーナー「ゆきれぽ」では、
本やアートの話題をお届けしていますが、
今日8月30日と来週9月6日は、人気作家の湊かなえさんにご出演頂きます。

湊さんは、先週の土曜日に明文堂書店 富山新庄経堂店でサイン会を行いました。

このサイン会は、湊さんの代表作である『告白』の文庫300万部突破を記念して
全国の書店を対象に行われた飾り付けコンクールで
最優秀賞に選ばれた書店で行われているもので、
なんと、「ゆきれぽ」で大変お世話になっている
明文堂書店 富山新庄経堂店が、中部ブロックの最優秀賞に選ばれたのです。
おめでとうございます〜!

※コンクールの詳細は、双葉社のサイトをご覧ください。

◎双葉社のサイトは コチラ

◎明文堂書店のサイトは コチラ

こちらが最優秀賞に選ばれた飾りつけです。

書店員の野口さんのが存在感を放っています。
飾りつけは、9月中旬まで見ることができるそうですよ。

今日のゆきれぽでは、この飾りつけコンクールや先日のサイン会について、
来週は、休筆期間中にしていたことや執筆中の新作についてお話頂いています。

ちなみに、湊さんは2020年から去年までFM大阪でラジオをされていたそうです。
さらに、そのラジオ番組が一冊の本になりました。

『湊かなえの「ことば結び」(角川春樹事務所)』

来週のラジオでは、この本についてもお話頂いています。
私も読んでみたのですが、ラジオがベースだけあって
ラジオを聴いている感覚で楽しく読めました。

番組では、ラジオを通して短編小説を作ろう!ということで、
リスナーの皆さんから短編小説を送っていただいていたんですって。

エッセイには小説家を目指す人へのアドバイスも書かれているのですが、
小説がどのように書かれているのかがわかるだけでなく
私自身、アナウンサーとしての学びもたくさんありました。

また、湊さんがお住まいの淡路島の話題も多いので、行ってみたくなりました。
いつか「うにく」を食べたい〜。
(「うにく」について詳しくは来週のラジオを聞いてください)

湊さんファンはもちろん、ラジオや小説がお好きな方にもおすすめの一冊です。
ぜひ湊さんのお喋りを聞く感覚でお読みください。

それから今執筆中の新作も楽しみ〜!

でも、新作の発売はもう少し先になりそうですので、
それまでの間は過去の作品をお読みになってみては?

私もこれまで湊さんの本は何冊も読み、ラジオでもご紹介してきました。
このブログの右横の「検索」「湊かなえ」と検索すると、
過去の私の紹介記事を読めますので、本選びの参考にしてください。

私は今回、湊さんにインタビューするにあたって
『告白』を久しぶりに読んでみたのですが、
あらためてパワーのある作品だなあと実感しましたし、新たな気付きもありました。
前は、「中学生」「大人」それぞれの立場を想像しながら読みましたが、
今回は、全員が同じ「人間」として頭に入ってきました。
私が年を重ねたってことかな。再読もいいものですね。

ぜひ今日と来週のラジオ聞いてくださいね。
18時32頃〜ヨリミチトソラ内ゆきれぽのコーナーですよ〜。

◎ヨリミチトソラのサイトは コチラ

yukikotajima 11:06 am

『キャラ絵で学ぶ! 日本の世界遺産図鑑』

2023年8月16日

今日は、大人だけでなく、
夏休み中の小中学生や受験生にもおすすめの本をご紹介します。

『キャラ絵で学ぶ! 日本の世界遺産図鑑』
伊藤賀一・監修
いとうみつる・絵
小松事務所・文
すばる舎

シリーズ13万部を誇る人気の「キャラ絵で学ぶ!図鑑シリーズ」の新刊で、
今回は、日本にある世界遺産について学べます。

キャラ絵を描いたのは、小学生に大人気のイラストレーター、いとうみつる先生です。
そして、「日本一生徒数の多い社会科講師」として有名な
伊藤賀一(がいち)先生が本を監修しています。

図鑑ですから情報満載なのはもちろん、
フルカラーで、漢字にルビがふってあるのもポイントです。
私には、読み方がわかるだけで難しさが半減するように感じられました。

ページをめくると、まず世界遺産の「基礎知識」からはじまります。

そもそも「世界遺産」とは何かわかりますか?
ひとことで言うと、「人類共通の宝物」だそうです。
監修をされた伊藤先生は、「世界が認めた、とびきりステキな場所」と表現しています。

世界遺産は、「文化遺産」「自然遺産」
そして、文化遺産と自然遺産の両方の価値がある「複合遺産」の3つに分類され、
現在、世界に1157ヵ所、日本には25ヵ所あります。
ほかにも「無形文化遺産」や「世界農業遺産」などもあります。
こんな感じで基礎知識を頭に入れたあとは、
日本の世界遺産について地域ごとに学んでいきます。

例えば、富山の世界遺産である「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、
第4章の「中部地方世界遺産」で紹介されています。

ところで、五箇山の「箇」には、どういう意味があるかご存じですか。
正解は「谷」です。
詳しくは本を読んで頂きたいのですが、富山の皆さんは知っていたかな?

さて、それぞれの世界遺産の紹介ページでは、
概要や世界遺産になった理由のほか、
必見ポイントや人気のお土産なども紹介されていますので、
実際に現地に行きたくなります。

中でも私が一番興味深く読んだのは、「世界遺産になった理由」です。

例えば、屋久島(やくしま)が自然遺産に登録されたのは、
豊かな自然があるから、と思われそうですが、
正しくは、日本列島の植物が垂直に分布しているからなんですって。
海岸線から山頂に向かって、多種多様な植物が自生している屋久島は、
「日本の縮図」とも言われているそうですよ。

では、富士山が自然遺産ではなく文化遺産になった理由はわかりますか。
当初は自然遺産を目指していたそうですが、2つの理由から断念したそうです。
1つは、当時、登山道に多くのゴミが散乱していたからです。
では、なぜ文化遺産にはなれたのか。
それは、「世界の芸術家に愛された」ことも理由の一つとなっているようです。
詳しくは本を読んでお確かめください。

どの世界遺産も、わかりやすい言葉と絵で解説されているため頭に残りやすく、
本の途中にある「日本の世界遺産クイズ」にも、ちゃんと正解できました。
全問正解できたときの喜びたるや。
私、天才かも♪と勘違いしそうになりました。(笑)

学生さんたちは参考書感覚で、
大人の皆さんは学び直しや旅の計画のために読んでも楽しいかも。

小説はちょっと苦手だけど、
何か本を読んでみたいという方にもおすすめです。

yukikotajima 11:36 am

『この夏の星を見る』

2023年8月9日

あなたは夜空を見上げてますか。

この本を読んだあとは、きっと夜空を見上げたくなると思います。
それも望遠鏡で。

『この夏の星を見る』
辻村深月
株式会社KADOKAWA

いやあ、いい本でした!
大人はもちろん、夏休み中の中高生たちにも読んで頂きたい。
それこそ、ゆきれぽの夏の課題図書にしたいくらいです。(笑)

『この夏の星を見る』は、コロナ禍の中高生のお話です。

コロナ禍では、誰もがこれまでとは異なる生活を送ることになりました。
中高生たちも部活や大会が無くなるなど、たくさんの我慢を強いられましたよね。

この物語には、茨城、渋谷、長崎の五島列島の中高生たちが登場し、
それぞれのコロナ禍が描かれます。

例えば、五島列島の高校3年生の円華(まどか)は旅館の娘なのですが、
旅館に県外からの旅行者が泊っていることが原因で、
親友から距離を置かれてしまいます。

一方、渋谷の中学1年生の真宙(まひろ)は、
ある理由から学校に行きたくないと思っており、
コロナが長引くことを願っています。

それぞれに事情を抱えた彼らでしたが、
天体観測を通して全国の中高生たちとつながっていくことになります。

といってもコロナ禍ですし、そもそも中高生ですから、
簡単に全国を行き来することはできません。

彼らはオンラインを通じてつながります。

そして、同じ日にそれぞれの場所で望遠鏡で星を見ることを計画します。
それも自分たちで作った望遠鏡で。

***

『この夏の星を見る』を読んで、
「青春って、すごく密なので」の言葉を思い出しました。
2022年に夏の甲子園で優勝した仙台育英高校の須江航監督の言葉です。

コロナ禍では誰もが日常を奪われたわけですが、
大人と中高生では時間の感覚が違うことを
この本を読んで気付いたというか、実感しました。

読んでいるうちに自分も中高生の一人の気分になってきて、実感したのです。
10代の一年の短さに。

「コロナ禍だから、しばらく待ってから」なんて、
本当に待っていたら学生生活が終わってしまいます。

この物語の生徒たちは、それぞれ色々抱えつつも、
やりたいことを見つけた後の行動はとてもはやいのです。
その瞬発力やスピード感に私は青春を感じました。
大人たちだけだったら、やっと今ごろ
「コロナも落ち着いてきたから、そろそろ始めましょうか」
なんて言ってそうだもんなあ。(笑)

でもね、この本に出てくる大人たちは違います。
子どもたちの限られた時間の大切さをちゃんとわかっています。
そんな大人たちの言葉がいいんです。
彼らの言葉に涙している私は、まるで生徒の一人のようでした。

本屋大賞を受賞した『かがみの孤城』を読んだ時にも思ったのですが、
著者の辻村さんって、人物、特に少年少女たちを丁寧に描いているというか、
ひとりひとりを本当によく見ているんですよね。

だから、『この夏の星を見る』を読んで登場人物たちの気持ちに触れることで、
「誰も私のことをわかってくれないと思っていたけど、わかってくれる人がいた」
と思う人もいるんじゃないかな。

私は、この本のおかげで、コロナ禍で感じた、
モヤモヤしつつもそのまま放置してしまった自分の気持ちと向き合えたように思います。
本当にいい物語でした。

それから!

3月に発売された辻村さん初のガイドブック
『Another side of 辻村深月』には、
『この夏の星を見る』のスピンオフ書下ろし短編「薄明の流れ星」
も収録されていますので、あわせて読んでみてください。

流れ星と言えば、今度の日曜日、13日はペルセウス座流星群の極大日です。
今年は月が無いため、流れ星が良く見えるそうですよ。
せっかくですので、小説とセットで楽しんでみては。
できれば13日までに『この夏の星を見る』とスピンオフをお読みください。
より星空観察を楽しめると思います。

ということで、さっそく読み始めましょう!(笑)

yukikotajima 11:42 am

『八月の銀の雪』

2023年8月2日

毎日毎日本当に暑いですね。
色々な暑さ対策がありますが、
雪の降る冬を思い出してみるのはいかがでしょう。

今日ご紹介する本は、タイトルを見ただけで暑さが和らぎそうですよー。

『八月の銀の雪』
伊与原新(いよはら・しん)
新潮文庫

今日は8月の第1水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

第164回 直木賞候補となったほか、
2021年に本屋大賞にノミネートされた話題作ですので、
すでにお読みの方もいるのでは。

まずは、野口さんのコメントです。

科学の不思議や、真実が、主人公たちの人生に寄り添い、
そっと背中を押してくれる物語です。
小説と科学が融合するんだ〜と、ひたすら感動しました。

私は、本のタイトルを見た時、暑い夏に銀色の雪が降る
ファンタジーなのかなあと思ったのですが、
読んでみたら全然違いました。

野口さんがおっしゃっている通り、
地球や自然、動物などの科学にまつわる物語でした。

でも科学と言っても決して難しいお話ではありませんので、
安心してお読みください。

ちなみに「銀の雪」は実際に地球のある場所で降っているそうですよ!

『八月の銀の雪』は、5つのお話からなる短編集です。
どのお話の主人公も人生がうまくいっていません。
ですが、新たな人との出会いをきっかけに、
くすぶっていた日々に変化が生じます。

私が一番印象に残ったのは、
2歳の娘を育てるシングルマザーの物語「海へ還る日」です。

シングルマザーの「わたし」は、
満員電車の中で、ぐずる娘を抱っこしながら、
まわりの乗客たちに「すみません」と謝り続けています。
そして、もう限界…と思ったとき、ある年上女性が席を譲ってくれます。
その女性は、ぐずる娘にクジラのシールを渡して、
博物館で開催中の「海の哺乳類展」に行くことを提案します。

「わたし」は、街なかで出会う人は、
自分も含め全員がつまらなそうに見え、
娘の人生もきっと幸せにはなれないと思っていましたが、
博物館でクジラやイルカの展示を見たり話を聞いたりする中で、
少しずつ世界の見え方が変わっていきます。

ほかにも、就職活動がうまくいかない学生や、夢破れた男性など、
どのお話の主人公も満たされない思いを抱えているのですが、
それぞれ、ある人との出会いによって、心に変化が生じます。

と同時に読者である私の心も軽くなって、
よし私も頑張るか、と前向きな気持ちになれます。

自分のことを知らない他人のほうが、
正直な気持ちを吐き出せることって、ありませんか。
また、全然関係ないと思っていたことから、
影響を受けることもありますよね。

それこそ、この本を読むことで、
きっと何かしらの影響をあなたも受けるのではないかしら。それもいい影響を。
この夏じっくり読んでみてください。

今年6月に文庫化されて、お求めやすくなっていますよ〜。

今日ご紹介した『八月の銀の雪』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、
ぜひチェックしてみてください。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 1:30 pm

『世界でいちばん透きとおった物語』

2023年7月12日

本を読む時、あなたは紙の本で読みますか。
それとも電子書籍でしょうか。

私はほぼ紙です。電子書籍も時々読みますが、好きなのは紙の本です。

紙の質感を味わいながら文字を追っていきたい派です。
また、本の装丁を見るのも好きで、ジャケ買いをすることもあります。
さらに、カバーを外して本そのものの表紙を見るのも好きです。
表紙のデザインや質感を楽しむのはもちろん、
カバーの裏側に掌編があったり、
表紙そのものが本の内容に関連したものだったりすることもあるので、
つい外したくなるのです。
どうせなら隅々まで楽しみたいですからね。
そんな紙の本ならではのこだわりに、私もこれまで何度も出合ってきました。

ですから、「紙の本でしか実現できない」というこの本の仕掛けにも
きっと気付けるはず!と思って挑んだのですが…
気付けませんでしたーーー。
その本とはこちら。

『世界でいちばん透きとおった物語』
杉井光(すぎい・ひかる)
新潮文庫(文庫書下ろしです!)

「ネタバレ厳禁!」「電子書籍化は不可能」と話題のミステリ—小説です。
5月に発売されたのですが、すでに累計発行部数は18万部なんだとか。すごい!

ちなみに、私が先ほど挙げた紙の本の魅力は、
今作のネタバレにはなっていませんので、ご安心ください。

この本をひとことで表すなら、
タイトル通り「世界でいちばん透きとおった物語」です。

読んだ方は「そうそう」と納得していただけると思いますが、
読んでいない方からすれば、「は?」という感じですよね。すみません。
このままだと、どんな本か全くわからいので、軽くあらすじをご紹介しますね。

主人公は、大御所ミステリ作家の宮内(みやうち)を父にもつ「僕」です。
とは言え、「僕」は不倫の末に産まれた子ゆえ、これまで宮内に会ったことはなく、
ある日、宮内が亡くなったことをネットニュースで知っても、
とくになんの感情も湧きませんでした。

ところが、宮内の訃報から1ヶ月後、「僕」は亡き父と関わることになってしまいます。
宮内の息子(つまり僕の兄)からいきなり連絡がきて、こう聞かれます。

「宮内が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を
死ぬ間際に書いていたらしいのだけど、何か知らないか」と。

どうやら作品の原稿がどこにもないようなのです。

そもそも父親に会ったことすらない僕には、心当たりなど全く無かったのですが、
ある理由から僕は父親の遺稿を探すことにします。

いったい小説はどこにあるのか。そして、それはどんな小説なのか。

読者である私も、「僕」と一緒に遺稿を探している気分でページをめくっていきました。
個性あふれる登場人物たちが次々に登場するのも楽しく、
「ネタバレ厳禁!って大げさじゃない?」と思い始めた頃、
え?まさか。。。と、あることに気付かされ、ああ、これは言えないわと納得。

ってことで、もうこれ以上は何も言えません。(笑)

皆さんも新たな読書の世界を楽しんでみてください。
ちなみに文庫ですので、お求めやすいですよー。

私はこの本を読んであらためて、紙の本最高!と思いました。
だって・・・、って、ああもう何も言えないんだったわね。
今日の本紹介は以上で〜す。(笑)

yukikotajima 11:26 am

『コメンテーター』

2023年7月5日

私は子どもの頃から本が好きでしたが、
大人になってさらに読書熱が高まったのは、
奥田英朗さんの伊良部(いらぶ)シリーズに出合ったことがきっかけでした。

精神科医の伊良部一郎が登場する累計290万部を誇る大ヒットシリーズで、
映画化もされた『イン・ザ・プール』に、
直木賞を受賞した『空中ブランコ』
そして、『町長選挙』の3冊が出ています。

すでに完結したものと思っていたら、
今年の5月に17年ぶりに伊良部シリーズの最新刊が発売されました。わーい!

タイトルは、『コメンテーター』(文藝春秋)です。

今日は7月の第一水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本でもあります。

まずは、野口さんのコメントをご紹介しますね。

伊良部先生 おかえりなさーい!と叫んだ国民は、
おそらく私だけではないと思います。
ね!田島さん!

17年という歳月を経ても、相変わらずの面白さでした〜。
どこからか、伊良部先生の「ぐふふ」という笑い声が聞こえてきそうで、
声を上げて笑ってしまう、数少ない小説です。
悩んでいる時間があったら、これ!読んでみてください!

それでは、田島さん、お願いします!
「伊良部 フッカーツ!!」(実況風に)

野口さん、熱いコメントありがとうございます。
確かに最新刊も涙が出るほど笑いました。
ですからカフェや電車などで読む際は注意が必要です。(笑)

さて、伊良部先生をご存じない方もいると思いますのでご紹介しますと、
伊良部先生は、ある総合病院の神経科の精神科医です。
かなり癖強めな中年の医師で、ワガママでとにかくやりたい放題のため、
周りからはまるで5歳児のようだと言われています。

その伊良部のもとをなぜか患者さんが訪れます。
そして、当然のように伊良部に不信感を抱きます。
でも、気付いた時には信じているのです。
というのも、色々好き勝手言っているように見えて、
「たしかにそうかも」と思わせるところがあるのですよ、伊良部先生には。

私は奥田さんの作品が好きで、ほぼ全て読んでいるのですが、
何が好きかというと、人物の描き方が公平なところです。誰も特別扱いをしません。
伊良部シリーズの伊良部自身にもそういうところがあります。
誰に対しても同じように接しています。まあ、癖は強めですが。(笑)

最新刊もこれまでと同じように、
患者さんごとにお話が変わっていく連作短編集となっています。
それぞれの物語の主人公は患者さんです。

表題作の「コメンテーター」は、
コロナ禍にテレビのワイドショーのコメンテーターとして
伊良部が出演することになる、というお話です。
予想通り好き勝手コメントしていきます。(笑)

他には、オンライン授業ばかり受けていたことで、
人とうまくコミュニケーションが取れなくなった大学生のお話など、
最新刊は、まさに今の時代を描いています。

この何年か、人知れず悩みを抱えていたり、心の不調を感じたりした方もいるのでは。
モヤモヤしたり、窮屈だなと思ったり。
あらゆる方面に気をつかって、疲れがたまっている方もいるかもしれません。

でも、伊良部はそんなの関係なく、やりたい放題です。そのなんと痛快なことか!
笑いながら本のページをめくっているだけで、私自身の心も軽くなっていくようでした。
しかもちょっと泣いたし。

最近なんか色々モヤモヤするという方は、
ぜひ伊良部先生に会いに行ってみてください。
きっと元気になれますよ〜!

『コメンテーター』は、これまでのシリーズを読んでいなくても楽しめます。
でも、読んだ後はきっと他の作品も読みたくなると思いますが。

私は、あらためて過去の作品を読み返したのですが、
やはり私は伊良部シリーズが好きだと実感しました。ほんと面白かった!
あと、過去の作品に出てきた人が今回再び出てきたのも嬉しかったな。

今日ご紹介した奥田英朗さんの『コメンテーター』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、
ぜひチェックしてみてください。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 12:11 pm

『空想の海』

2023年6月28日

私のラジオを聞いてくださっている方にお会いすると、ほぼ本の話題になります。

私の本紹介を楽しみにされている方や
本選びの参考にされている方もいれば(ありがとうございます!)、
「実は本は苦手で…ユッキーは本のどんなところが好きなの?」
と聞かれることもあります。

本と言っても色々ありますが、私はやはり「物語」が好きです。
知識を得るための読書ももちろんいいけれど、
まだ見たことの無い世界や、様々な人の思い、美しい表現に出合える物語は、
読んでいてワクワクします。
特に人の心の中を堂々とのぞけるのが好きです。
色々な人の本音に触れられるのがいいなあと。

また、本を開ければ、すぐにでもどこか別の世界に行ける手軽さも魅力です。
私にとって本の表紙は、作品の世界へ繋がる扉のようなものです。

今日ご紹介する本には、扉がいくつもあり、行き先も様々でした。

『空想の海』
著者/深緑野分(ふかみどり・のわき)
株式会社KADOKAWA

『空想の海』は、今年、作家生活10周年を迎えた深緑さんが
これまでに発表してきた短編を中心に、
書下ろしや未発表作品が加えられた作品集で、
全部で11の物語が収録されています。

深緑さん、10周年おめでとうございます〜!

もうね、本の表紙から素敵なんです。
表紙は、人気イラストレーター・絵本作家の庄野ナホコ(しょうの なおこ)さん
繊細でどこか静けさを感じさせる美しいイラストです。
青い海に浮かぶ小舟に乗った一匹のクマが、何冊もの本を海に沈めています。

いったい何をしているのかしら、と思って本のページをめくってみれば、
まさに「海」というタイトルのお話が始まります。

海の描写から始まるのですが、
それは私たちがよく知る海とは異なり、
さざなみひとつ立たない静かな海なのでした。
そして、そこにいるのは「私」だけ。
誰の気配もありません。

深緑さんがすごいのは、一瞬で作品の世界に連れて行ってくれるところです。
読み始めてすぐ、私は静かな海にいました。

他には、ある家に住む4人の子どもの物語もあります。
4人全員が見た目も言葉も異なるため、
誰も口をきかず、それぞれが好きなように過ごしています。
でも、ある日ある事件が起き、彼らの関係に変化が生じます。

このお話は、もし私がこのうちの1人だったらどうするかしら、
と登場人物の一人の気分でした。

こんな感じで11のお話が収録されているのですが、ジャンルも様々です。
SFやミステリのほか、2021年に本屋大賞にノミネートされた
『この本を盗む者は』のスピンオフもあります。

『この本を盗む者は』も以前ラジオでご紹介しましたが、
少女たちが本の世界を冒険するファンタジーで、本への愛にあふれていて、
私も最初から最後まで夢中で読んだお気に入りの一冊です。

◎『この本を盗む者は』の田島の紹介は コチラ

『空想の海』に収録されたスピンオフが短編とは言え、
まるで単行本並みの熱量で、再度『この本を盗む者は』を読みたくなりました。
それこそ、本が苦手…という方にこそこのスピンオフを読んで頂きたいわ。
なぜなら、主人公の女性が本の魅力を余すところなく語っているからです。
私も共感しまくりでした。

ちなみに、『この本を盗む者は』は今月、文庫化されたそうですので、
まだお読みで無い方は、これを機に『空想の海』と合わせて読んでみては。

さらに、コミックにもなっているようですよ!
コミックも読んでみたいわ。

11の物語に出合える『空想の海』は、一気に読むのももちろんいいけれど、
1話ずつじっくり読んで、その都度、空想を膨らませていくのも楽しいかも。

あなたも空想の海を漂いながら、様々な世界への扉を開けてみませんか。

yukikotajima 1:43 pm