ゆきれぽ

2025年4月30日

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『黒部源流 山小屋料理人』

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ゴールデンウィーク楽しんでますか?

私はアクティブな連休を楽しんでいます。

日曜は魚津しんきろうマラソンに出場し、ハーフの自己ベストを更新!(2時間9分でした)

昨日はタケノコ掘りを楽しんできました。

それから、黒部源流の山小屋に行って、美味しいものをたくさん食べてきた…気分です。(笑)
実際は行っていないのですが、山小屋の厨房が舞台のエッセイを読んだら
すっかり行った気になってしまいました。

『黒部源流 山小屋料理人』
やまとけいこ
山と溪谷社

著者のやまとけいこさんは、
北アルプス・黒部源流の山小屋、薬師沢小屋で働くイラストレーターで、愛知県のご出身です。
2003年から黒部源流で働き始め、2020年に富山県へ移住し、
翌年から薬師沢小屋の支配人を務めているそうです。

この本は、月刊誌『山と溪谷』の大人気連載を書籍化したものなのですが、
連載当時、やまとさんは薬師沢小屋の厨房長を務めていたそうで、
この本には山小屋の厨房での出来事がやまとさんのイラストと共に綴られています。

ところで薬師沢小屋がどこにあるかわかりますか?

黒部ダムのさらに上流の、黒部川の源流と薬師沢のちょうど合流地点にあるそうです。
実際どんなルートで行くのか気になって、YouTubeで登山動画を見てみたのですが、
簡単には行けない場所でした。

そもそもそんな特殊な環境下でどうやって食料を調達しているのかというと、
ヘリコプターによる空輸だそうです。
でも頻繁に輸送されるわけではないため、限られた食材をやりくりしなければいけないのだとか。
食材の管理も大変のようで、
食材を小動物に食べられてしまうなんてこともあるそうです。

でも従業員の皆さんは、苦労や悩みを工夫とユーモアで乗り越えていきます。
やまとさんによると、あるものでなんとかするのが山小屋生活の基本なんだとか。

この本には、食材ごとのエッセイが収録されているのですが、
あわせて山小屋ならではのレシピが、やまとさんのイラストと共に紹介されています。

食事はお客さまに提供するものだけでなく、従業員向けにも作るのですが、
こちらは毎回うまくいくわけではないようで、作ってみたけどまずかったとか、
従業員に不評だったといった失敗談も包み隠さず綴られています。

例えば、山小屋ではなかなかアイスが食べられないそうで、
ある時、生クリームからアイスを作ってみようと、
常連さんに生クリームを持ってきて欲しいとお願いしたそうなのですが、
登山道を歩いて運ばれた生クリームはバターになってしまったのだとか。(笑)

山小屋では想定外のハプニングが次々に起こるのですが、
やまとさんはそんな格闘の日々が楽しいとおっしゃいます。

その楽しさは、やまとさんのポジティブな文章と、ゆるめタッチのイラストから伝わってきます。
私もわははと笑いながら楽しく読んでというか、
一緒に楽しく過ごしている気分になって、ふと思ったのです。

何事も捉え方次第で人生の充足感は変わってくるものなのかもしれないなと。

ポジティブな文章のエッセイなので、
読んだ後は大自然の中を歩いた時のような清々しさがありました。

黒部源流にはそう簡単には行けませんが、本なら自宅にいても行った気になれます。

ぜひゴールデンウィーク後半は、あなたも本の中の山小屋にお出かけになってみませんか。

大自然と、やまとさんをはじめとした愉快な従業員の皆さん、
そして美味しそうなお料理(時々失敗もあるけど。笑)が待ってますよ!

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