
2025年7月30日
- #本
- NEW
『エステルの手紙教室』
先日、小学生の甥っ子が富山に遊びに来た時に、手書きの手紙をもらいました。
封筒には甥っ子が描いた北陸新幹線の絵のシールが貼ってありまして、
新幹線が大好きな甥っ子らしい手紙となっていました。
思いがけずもらえた甥っ子からの手紙、とても嬉しかったです。
あなたは最近手紙を書いたりもらったりしましたか?
今日はたくさんの手紙が出てくる小説をご紹介します。
『エステルの手紙教室』
セシル・ピヴォ(訳: 田中裕子)
講談社
こちらは、フランス書店員が選ぶ「癒やしの小説賞」を受賞したフランスの小説で、
著者は、パリ生まれの作家でジャーナリストです。
物語は、エステルというフランスのリールで書店を経営している42歳の女性が開いた
「手紙の書き方講座」に集まったメンバーたちの手紙を中心に構成されています。
その5人のメンバーとは、
孤独な老婦人、
重度の産後うつに苦しむ妻とその夫、
仕事にやりがいを見いだせないビジネスマン、
そして、進路に悩む十代の青年です。
エステルはまず、参加者のうちのふたり(エステルも含む)と文通するように言います。
そして早速、参加者同士の文通が始まります。
とは言え、ほぼ見知らぬ相手との文通ですから、最初はよそよそしさがあります。
ですが文通を続けていくうちに、
悩みを相談したり、秘密を打ち明けたりするようになっていきます。
実際、全員(エステルも含む)、家族を失っていたり、罪悪感と闘っていたりと、
何かしら抱えているものがあり、それを人に言えずにいたのです。
でも、手紙では言えてしまったわけです。
それもよく知らない相手に。
なぜ手紙だと言えてしまうのか。
この本には、手紙の利点がたくさん出てきます。
それこそ、ある人は「知らない相手のほうな話しやすいってこともある」と言います。
また、講師のエステルは、手紙はふだんとは違うことばや言い回しを用い、思考のしかたも違うと言います。
そもそもエステルは、亡き父と手紙のやり取りをしていて、文通の良さを知っていたのです。
講座は三ヶ月で終了となります。
果たして三ヶ月後、メンバーたちにはどんな変化があったと思いますか?
詳しくは本を読んでお確かめください。
それから、この小説には日本の話題も出てきます。
✳︎
とてもいい小説でした。
それぞれの手紙から、彼らの事情や本音、性格が見えてくるのが興味深く、
読者である私も、この手紙に相手はどんな反応をするのかしら?
と返事を楽しみにしながら読み進めていきました。
私も今や普段のやり取りは、メールやSNSが中心ですが、
この本を読んだら、手紙を書いてみたくなりました。
とりあえず甥っ子に先日の手紙の返事を書こうと思います。
まずは、便箋選びからだわ。
便箋を買うなんて久しぶり!
-
プロフィール
田島 悠紀子
Tajima Yukiko
7月13日生まれ。群馬県出身。
B型。 -
担当番組
・富山ダイハツ オッケイウィークエンド
(毎週土曜 11:00~11:55)・ヨリミチトソラ
(毎週水曜・木曜 16:20~19:00) -
最新の記事
-
テーマ
-
月別
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年