ゆきれぽ

2025年10月8日

  • #本

『チョコレート・ピース』

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夏の間は、ほとんど食べなかったチョコレートを再び食べるようになりました。夏はチョコが溶けやすいので手が伸びなかったのですが、涼しくなってきたらチョコを欲するようになりまして。また一度食べ始めると止まらないもので、最近アイスからホットに変えたコーヒーと共に毎日のように食べています。そしてついにはチョコレートが出てくる本まで目に入るようになり、手に取って読んでみたら、とてもいい本でした。

『チョコレート・ピース』
青山美智子
マガジンハウス

青山美智子さんは、5年連続で作品が本屋大賞にノミネートされている人気作家さんです。私も青山さんの作品は好きで、ラジオでもよく紹介しています。春に紹介した『遊園地ぐるぐるめ』も面白いので未読の方はぜひ。

◎『遊園地ぐるぐるめ』の田島の紹介は コチラ

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さて、『チョコレート・ピース』は、一年間、人気雑誌『anan』で連載されていた12の短編に、新たに書き下ろされた12編が収められた短編集で、すべてのお話にチョコレートが出てきます。それもさりげなく。たとえば、高校の文化祭の模擬店でチョコバナナを販売することになった女子高生や、親友から新婚旅行のお土産としてマカデミアナッツチョコをもらった女性、それからバレンタインに友チョコをあげることになった女性のお話などがあります。

年代も10代から40代まで幅広く、色々な人たちの日常が切り取られています。恋の予感や恋の終わりと言った恋愛にまつわるものから職場の同期とのちょっとしたやり取りまでさまざまです。

12+12で24編のお話が収録されているものの、一つのお話がどれも7〜8ページと短いので、あっという間に読めます。ですから本を読む時間が無い方や、読書が苦手という方にもオススメです。

また、短いと言っても、それぞれいいお話なのでちゃんと心に残ります。青山さんの小説は、登場人物のふとした一言にハッとさせられたり、心が軽くなったりすることが多いのですが、たとえ短い作品であったとしても、その効果は変わりませんでした。

また、登場人物に自分を重ねやすいのも青山さんの作品の魅力のひとつです。今回も勝手ながら私自身の物語として読み進めていきました。たとえ10代の主人公であったとしても。(笑)私もすっかり高校生の気分で、これまで全く気に留めていなかった男子のことが気になってドキドキしてしまいました。恋の始まりの瞬間って、いいですよね。大人の皆さんもぜひ味わってみてください。

また、この作品は読み進めていくと、あることに気付かされます。そんな驚きも含め、お楽しみください。

秋の夜長、毎晩一粒のチョコレートをじっくり味わう感覚で、『チョコレート・ピース』を毎晩一話ずつ読んでみてはいかがでしょう。

ちなみに、この本を読んでいると実際にチョコが食べたくなりますので、先に準備しておくのもいいかもしれません。

私はそうしました。(笑)また、本に出てきたチョコチップクッキーを自分でも作ってみたくなりました。さて、いつ作ろうか。