2025年10月1日
- #本
『イン・ザ・メガチャーチ』
あなたは「推し活」をしていますか?
「推し活」という言葉は今やすっかり浸透していますが、では、「ファンダム」はどんな意味わかりますか?こちらは熱烈なファンのコミュニティのことです。
今日ご紹介する本は、ファンが好きな対象を熱烈に応援することで成長を続けている「ファンダム経済」が舞台の物語です。
『イン・ザ・メガチャーチ』
朝井リョウ
日経BP
朝井リョウさんの作家生活15周年記念作品だそうです。15周年おめでとうございますー!それにしても、もうそんなに経ったのか。はやいなあ。
朝井さんは2009年、『桐島、部活やめるってよ』でデビューし、『何者』で直木賞を受賞されました。映像化された作品も多いので、本は未読でも作品は知っているという方もいるのでは。なお、新刊の『イン・ザ・メガチャーチ』は、9月5日の刊行から早くも10万部を突破したのだとか。すごい!
今日は、そんな今話題の一冊をご紹介します。そして今日は10月最初のゆきれぽですので、明文堂書店とのコラボ回!高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本です。
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『イン・ザ・メガチャーチ』は、三人の視点で描かれます。ファンダム経済の仕掛けを構築する人、深くのめり込む人、そして、かつてのめり込んでいた人です。
一人目は、レコード会社に勤務し、かつて洋楽を担当していた47歳の男性「久保田」です。彼は、とある能力を買われ、アイドルグループの運営に関わることになります。
二人目は、19歳の大学生「澄香」です。内向的な気質に悩んでいたものの、一人のアイドルに出会ったことで、推し活にはまり、性格も変わっていきます。
三人目は、35歳の契約社員「絢子」です。ある俳優を熱烈に応援しているのですが、とあるニュースを目にしたことで状況が一変します。
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これだと思う道を見つけた人の変化は凄まじいもので、こんなに大胆なことができてしまうのかと驚きながらも、その思考に至るまでが丁寧に描かれているので、まあ、わからなくもないなと受け入れている私もいました。と同時に、でもこれって怖いことかもしれないなとも思いましたが。
この物語には「視野」という言葉がよく出てくるのですが、それこそ何かに夢中になっている人は視野がどんどん狭くなっていきます。でもそれは悪いこととは言い切れません。好きな対象を見つけたことで、幸せな気持ちになれたりするわけですから。だからと言って、いいことばかりでも無いのですけどね。
いったい彼らの心を動かすものとは何なのでしょう。ぜひご自身の目でお確かめください。
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ではここで、この本を大プッシュしている明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介しましょう。
「推し活」をテーマに、ぐんぐん心理をついてくるあたりが、もう衝撃です。
この物語に、呑むか、呑まれるか。私は間違いなくこの物語に呑まれてしまいました。
最後の展開は、ハラハラドキドキしながら、余韻だけが残りました、、、。
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田島も呑まれました。(笑)そもそも私は好きなものは多くても、我を忘れるほど何かに夢中になることは無いと思っていたのですが、この本を読んで、そんなことはないと気付きました。なぜって、この本に呑まれましたから。
そうそう、この小説には裏テーマがあるそうです。それは「おじさんの男友達問題」。大人の男性の皆さんは、男友達とランチやお茶ってします?これは47歳の男性「久保田」が若い男性から聞かれたことなのですが、男性の皆さんはいかがでしょう。
私は女性だけど、久保田と同世代なので、彼の悩みや考えに結構共感できました。例えば「今後還(かえ)ってくるのは、これまでやってきたことよりも、これまでやってこなかったことのほうなのかもしれない」という一言とか。これは今も心に残り続けています。
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久保田のような妙齢の男性も、推し活をしている人も、推し活に全く興味のない人も、ぜひお読みください。今の時代の空気感がギュッとつまった一冊です。
『イン・ザ・メガチャーチ』は、富山県内の明文堂書店全店の「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもあります。
◎明文堂書店のサイトは コチラ
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プロフィール
田島 悠紀子
Tajima Yukiko
7月13日生まれ。群馬県出身。
B型。 -
担当番組
・富山ダイハツ オッケイウィークエンド
(毎週土曜 11:00~11:55)・ヨリミチトソラ
(毎週水曜・木曜 16:20~19:00) -
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