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82年生まれ、キム・ジヨン

2019年2月13日

今、ある本が女性たちを中心に話題になっているそうです。

その本とは、韓国で100万部を突破し映画化も決まったベストセラー小説
『82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ 訳:斎藤真理子(筑摩書房)』です。

先日、紀伊國屋書店富山店に行った時に
文芸担当の書店員さんに何かオススメの本はあるか聞いたところ、
教えて頂いたのが、この『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。

韓国では、国会議員が「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」
と願ってムンジェイン大統領にプレゼントしたのだとか。

その一方で、この本を読んだと発言したアイドルが炎上するなど、
韓国では社会現象になったそうです。

その韓国で話題の小説が日本でも去年12月に発売され、日本でも話題になっています。
また、すでに発売された台湾でもベストセラーになり、
現在、ベトナム、英国、イタリア、フランス、スペインなど17か国で翻訳が決定しているそうで、
今や韓国だけでなく、世界的に話題になっています。

***

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、小説です。

タイトルの「キム・ジヨン」は、
韓国で82年生まれに最も多い名前なんだとか。

この小説は、彼女がこれまでの人生で
女性というだけで受けてきた困難や差別について描かれています。

例えば、年上の姉たちよりも男性というだけで弟が優遇されたり、
大学時代のサークルでは女性は会長にはなれなかったり。

また、就職活動では女性だけが苦戦。
優秀な女性は「女があんまり賢いと会社で持て余す」と言われてしまうし、
面接では女性だけセクハラ質問を受けます。

この本を読みながら泣けてきました。
これ、私も経験あるな、というエピソードが数多くあって。

セクハラ質問は、私も就職活動中にありました。
結局その会社は落ちましたが、落ちてほっとしたほどです。

キム・ジヨンが受けた差別は、就職した後も続きます。
また、差別に負けないように必死に働く一方で、
それが本当に正しいのか、とも思います。
例えば、妊娠中に与えられた権利を彼女は拒否してしまったことで、
女性の後輩の権利を奪ったかもしれないと気付きます。

その後も、結婚、出産、育児と頑張り続ける彼女でしたが、ある日、おかしなことを言いだします。
そして、精神科に通い始め…。

***

この小説は韓国の女性の物語ですが、
韓国だけでなく、世界中の女性たちから共感を得ています。

でも、この本を男性にこそ読んで頂きたいと私は思います。

もしかしたら、なんでこんなに辛いと思うの?とか、これの何がおかしいの?
と何も感じない男性もいるかもしれません。

でも、中には女性の辛さを理解してくれる男性もいるはずです。

全員が理解をするのは難しいかもしれないけれど、
でも、この一冊から世の中が変わり始めているのは確かなことです。

ぜひお読みください。

yukikotajima 11:38 am

ファクトフルネス

2019年2月6日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)では、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから、今話題の本

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)
 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
 /ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド(日経BP社)』

をご紹介いただきます。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この本を見た最初の印象は「なんだか難しそう…」でしたが、
読み始めてすぐ、それは間違いだったとすぐに気付きました。

大変興味深い話題が続き、気付いた時には著者のハンス・ロスリングの話に夢中でした。

今の時代、ネットでどんなことも簡単に調べられるけれど、
情報が溢れすぎていて、何が真実かわかりにくくなっています。
また、昔は正しかったことも今は間違いということもあります。
つまり、私たちが学生時代に学んだことの中には
もう事実ではないものもあるのです!

この本の表紙には
「あなたの“常識”は20年前で止まっている!?」とあります。

どうですか?
今ブログをお読みのあなたは、ちゃんと様々な知識をアップデートできていますか?

ご自身の知識が最新のものかどうかは、
この本に出てくる13問のクイズをしてみればわかります。
あなたはどれだけ正解できるでしょう?

ちなみに、タイトルの「ファクトフルネス」とは 
データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣のことです。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、
それが、「ファクトフルネス」です。

「データ」にもとづき、というと、
数字ばかりでは、正しい判断はできない!
という現場至上主義の方からの批判がありそうですが、
この本はでは「数字だけがすべてではない」と言っています。

例えば、モザンビークの首相は、数字を見つつも現場にも足を運びます。
首相はお祭りにやってくる市民の履いている靴を観察して、
どんな靴を履いているかで、国の経済が発展しているかどうかを
前の年と比べているのだとか。

また、この本に書かれている「事実」が間違っているかもしれないじゃないか!
と思う方もいるかもしれませんが、
この本の最後には「もし間違いを見つけたら教えてほしい」と
メールアドレスが掲載されています。

ここまで徹底していることに感動しました。
「本当に正しい情報」を伝えるというのは、こういうことだなと。

間違いを否定されて、怒ったり事実を隠したりするようではダメですよね。
間違いを受け止め、正しい情報を発信していく。
そういう姿勢が世界に広がっていけば、
ちっぽけなプライドを守るためだけの嘘が無くなっていくのかもな、
と思いました。

あなたも学生時代に学んだ常識をこの本でアップデートして
「世界の本当の姿」を見てみませんか?

この本を読む前と後では、世界の見え方がガラリと変わると思います。

この本は、世の中のたいていのことは知っている…
いや、知った気になっている大人の皆さんに読んで頂きたい。
「大人の課題図書」と言ってもいいくらいです。

また、世界はどんどん不幸になっている…
と悲観的に見ている方にも。

世界は、思っているほど不幸ではないようですよ。
詳しくは、本のページをめくってみてください。

yukikotajima 11:34 am

気まぐれな朗読会2019

2019年2月4日

先週、2月2日土曜日の「気まぐれな朗読会2019」にお越しくださった皆さま、
ありがとうございました。

女将と仲居…ではございません。(笑)

気まぐれな朗読会は、
気ままプランの廣川奈美子さんと
graceの私、田島でお届けしている朗読会で、
今回で3回目でした。

1回目は コチラ

2回目は コチラ

今日のgraceには、たくさんの感想を頂戴しました。
それも嬉しい感想ばかり…涙。

ありがとうございます!

***

今回の「気まぐれな朗読会2019」も今までと同じく三部構成でお届けしました。

第一部は、気まぐれなバスツアー「とやま短望(たんぼう)」と題し、
県内各地の立山ビューポイントを美しい映像とともにご紹介しました。

私は、バスガイドになりました。(笑)

この写真、まるで旅行会社のHPに載っていそうだな。(笑)

格好はこんなでしたが、中身はいたって真面目にお届けしました。

写真中央のバスの運転手役の室田さんには第二部でもご活躍いただきました。
ありがとうございました!
ちなみに、この朗読会でおなじみの室田さんは富山で俳優をされているのですよ。

***

第二部は、以前graceでご紹介した去年のベストセラー
『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』
をスペシャルゲストを迎えて演劇仕立てでお届けしました。

(◎以前書いた私の本の感想は コチラ ← 私の予想通りになりました。笑)

FMとやまの堀池アナ(左)と吉本アナ(右)がゲストとして登場!

局アナになる前は、こんな姿になって朗読することになるとは、
きっと二人とも思っていなかっただろうなあ…。(笑)

でも、実は二人ともノリノリでした!(特に堀池アナが!笑)

私は、足の長さだけで2メートルもある「ジャイアントモア」を担当しました。

実際に2メートルの足をステージ上で再現!
私は右上の白く光っている高いところで朗読しました。

そして、第二部を大変素敵な物語にしてくださったのが、歌、ギターの大谷氏!
まるでスナフキンのような大谷さんの音楽、最高でした。
大谷さん、ありがとうございました。

こちらは、休憩中の廣川姉さん…。
リアルに怖いっ!!!(笑)

***

第三部は、私と廣川さんがそれぞれ山本周五郎の短編を読みました。

私は、戦に出ている夫の代わりに約1ヵ月、女城主として戦った
真名女(まなじょ)の物語『笄堀(こうがいぼり)』を読みました。

城にはたった300人しかいない。しかも老人や女性、子供たちばかり。
それに対し、敵の石田三成の軍は3万!
しかし、真名女はこの戦いに挑みます。

自分には無理かもしれないと思っても、
できないと逃げるのではなく
自分にできることを精一杯した真名女。

真に強い人というのは、彼女のような人のことを言うのだと思います。

『笄堀』は、短篇集『日本婦道記』に収録されていますので、ぜひ読んでみてください。
左のナビの本もおすすめです。
私は今やすっかり山本周五郎ファンです。

なお、廣川さんは同じく山本周五郎の『鼓くらべ』を朗読。
さすがの貫禄でした。

***

そして、今回の朗読会も
演出の広田さんやカメラマンの小笠原さんをはじめ、
舞台監督、音響、照明、メイク・着付けなど
大勢のスタッフの皆さまとともに作り上げました。

お世話になったスタッフの皆さまも本当にありがとうございました。

そういえば、今日のgrace宛に届いたメッセージには、
「来年も絶対に行きます」というコメントが多かったです。
さっそくご予約ありがとうございます〜。(笑)
また、来年お待ちしています!

***

残念ながら来られなかった方も
第三部の山本周五郎作品のみ、
FMとやまで特別番組として放送します。

特別番組『気まぐれな朗読会2019』

3月3日(日)18時〜19時

ぜひお聞き下さい♪

yukikotajima 8:02 pm

いい女、ふだんブッ散らかしており

2019年1月30日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、

『いい女、ふだんブッ散らかしており/阿川佐和子(中央公論新社)』

です。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。
テレビでおなじみの阿川さんの最新エッセイです。

阿川さんと言いますと、2012年に『聞く力』がベストセラーになりました。
私も、もちろん読みました。

私の中では、デキル女!という印象なのですが、
この本を読んで、ちょっと印象が変わりました。

なぜなら、本のタイトル通り、
一見、阿川さんは完璧な女性に見えて
実は色々やらかしているのです。

この本を読むと、阿川さんがいかにお茶目であるかがわかります。

実はモノを捨てられない人で、家の中は荷物だらけなのだとか。
その他、色々お茶目なエピソードが綴られています。

そんな中で好きなのは、
「あれは2年ぐらい前のこと?」と思ったことは、
だいたいその倍の年月の経っている場合が多い、
というもの。

これ、私も最近同じことを思っていたので、
本を読みながら「わーかーるー!」と心の中で思いっきり共感していました。

何歳になっても「初心者になれる」ことが好きというエピソードも好きです。
テレビドラマに女優として出演したことについて書かれたものなのですが、
私も何歳になっても新しいことを初めて「教わる」ということは好きなので、
気持ちがよくわかりました。

頑固なお父様への思いは、
お父さんのこんなところがダメ!と言いながらも
愛が感じられました。

なんだかんだ言って、お父さんのことが好きなんだな、と。

でも、お父さんの特技を書くなら
「想像して腹を立てることができる」
というのには笑えました。
なんとお父様のことを「ネガティブオーラじいさん」と書いているのです!

本を読んでいると、阿川さんの明るい笑顔が浮かんでくるはずです。
本を読んでいるというより、お喋りに近い感じかな。

是非、阿川さんのお喋りに耳をかたむけてみては?

yukikotajima 11:04 am

『海近旅館』、『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

2019年1月9日

明けましておめでとうございます。

2019年も「ゆきれぽ」をよろしくお願いします。

今年も本の紹介をメインに
ブログをアップしていきますので、
どうぞお付き合いください。

今日のユキコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)でご紹介するのは、

『海近(うみちか)旅館/柏井壽(小学館)』

です。

柏井壽(かしわい・ひさし)さんと言いますと、
ドラマ化もされた『鴨川食堂』シリーズが人気です。

私も以前ラジオで紹介しました。

◎『鴨川食堂』の感想は コチラ

ちなみに、今はシリーズ化され、
『鴨川食堂おかわり』『鴨川食堂いつもの』『鴨川食堂おまかせ』『鴨川食堂はんなり』
なども出ています。

『鴨川食堂』は、京都にある看板の無い、知る人ぞ知る食堂のことで、
この食堂では、もう一度食したい食べ物の味を少ない手がかりから再現してくれます。

どのお話も感動的です。
そして、どのお料理も美味しそうで食べたくなります。

いいお話が詰まっているので、
是非『鴨川食堂シリーズ』も読んで頂きたいのですが、
今日ご紹介するのは、別のお話です。

タイトルは『海近旅館(うみちかりょかん)』です。

海が近いだけが取り柄の海近旅館では、
名女将である母が亡くなったことで、
娘の美咲が若女将として働き始めました。

父が料理をつくり、兄が魚を仕入れているものの、
全てを母に任せていた父と兄は頼りにならず、
利用されたお客様から苦情の嵐。

お盆休みのピーク期でも満室にならないほどでした。

この父と兄が本当にダメダメです。
父は、頑固過ぎて他人の話に耳を傾けないし、
兄は、高級な魚を買ってくれば大丈夫!と信じて疑いません。

例えば、美咲が、どこかの海の高級魚より
目の前の海で取れた地元の魚をお客様は喜ぶはず!
と言っても全く理解されません。

そんな中、海近旅館に個性的なお客様たちが次々にやってきます。
彼らのとの出会いが、美咲をはじめ、父や兄を変えていきます。

どんな出会いがあり、
旅館がどのように変わっていくのかは
是非、小説を読んでみてください。

今回も『鴨川食堂』と同じくお腹がすき、
この旅館を利用したくなりました。

この旅館は少しずついい方向に変わっていくのですが、
そのきっかけを作るのは、外からの人たちです。
それも彼らは、いい面を伝えるのです。そこがよい!

例えば、ボロイと思っていた建物も
その価値がわかる人から、歴史的に素晴らしいものだと言われれば、
その途端、自分たちの旅館が今までより素敵に見えてきます。

自分では何も無い…と思っていても
他の人から見たら、魅力だらけということもあるのですよね。

わかりやすく読みやすい物語なので、さくっと読めます。
でも、色々な気付きもあり、
ああ、面白かった!と思うだけの物語ではありませんでした。
いい旅館とは?いいサービスとは?なども学べました!

この『海近旅館』もシリーズ化されていくのかしら?
それなら続きを読んでみたいな。

***

さて、今日はもう一冊ご紹介します。

昨夜、読んで大変よかったので、
これは是非一人でも多くの方に読んで頂きたいと思いまして
急きょ追加することにしました。(笑)

『あなたはの話はなぜ「通じない」のか/山田ズーニー(ちくま文庫)』

この本は2003年に出た本ですので、
すでにお読みの方も多いかも。

まだの方は、是非!

どうして私の話をわかってくれないのよ!と思ったことのある方は、
この本を読むことで、だいぶ気持ちが楽になると思います。

一方、相手の話がいまひとつわからないこともありますが、
そんな時の対応についても書かれています。

中には、人の話には一切耳を傾けず、自分の主張ばかりをしてくる人もいます。
そんな人と会話は、ああ、会話にならない…とあきらめることもあれば、
なぜか逆切れされ、は〜?(怒)と思うこともあるけれど、
そこで自分までキレてしまったら負けなのですよね。

では、どうしたらいいのか?
気になる方は、本のページをめくってみてください。

まるで欲していた水をごくごく飲むかのごとく
本のページをめくりながら本に書かれた言葉を吸収していきました。

気になるところに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまったほどです。(笑)

年のはじめにこの本を読めて良かった。
大げさではなく、この本を読む前と後では生き方が変わると思いました。

yukikotajima 12:06 pm

ショートショート美術館&2018年ベスト3

2018年12月26日

graceの毎週水曜の13:45頃からは、本の紹介をしています。

第1、第3水曜は、紀伊國屋書店富山店オススメの本を紹介する「キノコレ」
それ以外の週は、私、田島悠紀子オススメの本を紹介する「ユキコレ」
をお届けしています。

この1年も様々な本をご紹介してきました。

今日は、まず年末年始にオススメの一冊を、
後半は、今年私の印象に残った本ベスト3を発表します。

まず、年末年始にオススメなのは、

『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇
 /太田忠司 田丸雅智(文藝春秋)』

です。

一枚の絵画を見たときに感じることは人ぞれぞれです。
例えば、絵の中の女性を見て、この人は何を思っているんだろう?
実は、ここから逃げ出したくて仕方ないのかもしれない。
などと想像することは、ありませんか?

私はよくやっています。

『ショートショート美術館』には、
太田忠司さんと田丸雅智さんの二人の作家が、
同じ一つの絵画についてそれぞれ物語を書いたものが収録されています。

シャガール、モネ、ゴッホなどの名画が登場し、
その絵画も掲載されているのですが、
モノクロなので是非ネットでカラーの絵画を検索して、
その絵を見ながらこの本を読んでみてください。

同じ絵画を見てもやはり人によって感じ方は全然違うものなのだな、
ということがこの本を読むとよくわかります。
だって二人の物語は全然違いますもの。
でも、それが面白い!

ショートショートなので一話五分で読めますし、
一冊でお二人の作風が楽しめますので、
そういう意味ではとってもお得!
ちょっとの読書時間でも満足できます。
どうです?
お忙しい年末年始に読むのにぴったりじゃないですか?

全部で10作品×2=20作品が収録されていますので、
お休みの間に少しずつ読んでみては?

***

さて、後半は、今年私の印象に残った本ベスト3を発表します。

第1位 『波の上のキネマ/増山実(集英社)』

商店街のはずれにある小さな映画館の物語です。
祖父がどのようにしてこの映画館を始めたのかが描かれているのですが、
このおじいちゃんの人生がすさまじくて、
夢中で本のページをめくってしまいました。
それこそ本を読みながら読書をしていることを忘れてしまったほど、
世界に入り込んでしまいました。

第2位 『サハラの薔薇/下村敦史(角川書店)』

乗っていた飛行機が砂漠に墜落。
生き残った乗客たちでオアシスへ向かうものの、
オアシスにはたどり着けないし、食べものや飲み物は残りわずかに。
果たして彼らは生きて帰ることはできるのか?
というハラハラドキドキが止まらない一冊でした。
また、緊張感に加えて、灼熱の砂漠が舞台ということもあり、
とにかく喉がかわきました。(笑)

第3位 『花まみれの淑女たち/歌川たいじ(角川書店)』

こちらは、探偵をしているおばあちゃんたちの物語です。
それも、おばあちゃんであることを武器にして探偵をしているのです。
例えば「若者がいないところでも必ずおばあさんは歩いているけれど、
世間はおばあさんたちを無視しているから目立たないのよ!」
って、かっこよくないですか?
出てくるおばあちゃんたちみんな、人生を思いっきり楽しんでいて、
歳を重ねていくのも悪くないと思えた一冊でした。

ああ、来年はもう○○歳か。はあ…。
と思っている方こそ、この本を読んでみて!

***

他にも面白い本はたくさんありましたが、
特に印象に残った3冊をあげてみました。
本のタイトルをクリックすると、過去に書いた私の感想が読めます!

今年も私の本紹介にお付き合いいただき、ありがとうございました。

yukikotajima 11:07 am

南砺 八魂一如

2018年12月20日

年末年始は、県外にお住まいの家族や友達と
富山で再会する予定の方もいらっしゃると思います。

富山に帰省した方たちは方言や食べ物など様々な面で富山を感じ、
富山にお住まいの皆さんも
あらためて富山の良さに気付かされることもあるのでは?

せっかくなら徹底的に富山の良さについて学んでみてはいかがでしょう?

富山新聞社報道局による書籍
『南砺 八魂一如(はっこんいちにょ)「一流の田舎」への挑戦』
がこの秋、発売されました。

今年1月〜6月まで富山新聞に連載されていたものをまとめたもので、
富山県南砺市がテーマの書籍です。

富山新聞社では、南砺を見つめることが、
日本全体の地方創生のヒントを探ることにつながると考え、
南砺市ををテーマにしたそうです。

南砺市というと、どんな印象をお持ちですか?

私は、五箇山や井波彫刻などがパッと頭に浮かびます。
昔ながらの伝統が守られた長閑なところ、
という印象があります。

面積が琵琶湖とほぼ同じだという南砺市は、
2004年11月に、福光町、城端町、井波町、福野町、井口村、
平村、上平村、利賀村の8町村が合併して誕生しました。
タイトルの「八魂(はっこん)」は、
南砺市の旧8町村がそれぞれ持っている個性や誇りのことで、
「一如(いちにょ)」は、仏教の言葉で、
「異なる現れ方をしながら一つのものであること」だそうです。

本書では、おなじみの城端曳山祭や井波彫刻、五箇山民謡などの伝統文化はもちろん、
南砺市での新たな取り組みなども紹介されています。

例えば、

・井波彫刻とコスプレ姿を融合させた写真を発信している若手クリエーター
→ツイッターで好反応

・結婚したい人の心に伴走する「おせっかいさん」
→138組が成婚。そのうち南砺市在住は99組。(取材時)

など、他にも多くの新たな取り組みが取り上げられています。

また、過去の南砺市の話題も読みごたえがありました。
私が一番心に残ったのは、
ダム湖に沈んだ村「刀利村(とうりむら)」のお話。
この本を読まなければ、私は刀利村のことや
「刀利の神様」と言われた山崎先生のことを知ることはできませんでした。

それから、利賀を世界的な「演劇の聖地」に育てた
劇団SCOTを主宰する鈴木忠志さんの言葉が印象に残りました。

「人が少ない村であっても、みんなが○○○○していればいい」

まさにそれ!
その通りだと思いました。

それから、南砺市生まれの画家、石崎光瑤の作品を見に
福光美術館に行きたくなりました。

そうなのです。
この本を読んだ後は、南砺市に行きたくなります。

また、「一流の田舎」に向かって、
今後、南砺市がどのように進化していくのかも楽しみになりました。

南砺市にお住まいの方も、そうでない方も
是非お読みください。

yukikotajima 12:17 pm

常設展示室

2018年12月19日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
原田マハさんの新作『常設展示室—Permanent Collection—』
をご紹介いただきます。

奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。
原田さんと言いますと『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』などの
アート小説でおなじみですが、今作もアート小説です。

人生の岐路に立つ6人の女性たちが世界各地の美術館で
一枚の絵画と出合うという短編集です。

その絵画の中に東山魁夷の『道』がありました。

私は、先月、東京に行ったときに
国立新美術館で行われていた
『生誕110年 東山魁夷展』で『道』を見たばかりだったので、
興奮気味に本のページをめくってしまいました。

登場人物たちが『道』について語り合っている時、
私も絵の前に一緒にいる感覚でした。
実際『道』を見た時、作品の前からしばらく動けませんでした。
ああ、なんて無駄のない美しさだと。
そして、眺めているうちに心が澄み切って、前向きな気持ちになれました。
本当に素敵な一枚でした。

この『道』にまつわる原田さんの短編もいいお話で、
この短編を読んだことで『道』がさらに好きになりました。

今回は短編集ということで、どれも短い作品ですが、
でもしっかり心に残る作品集でした。
6編それぞれが、常設展示室に飾られた作品のようでした。

そして、原田さんのアート作品を読むと、
原田さんのアート愛が強すぎるため(笑)しっかり感化され、
小説に登場した絵画を見に行きたくなるのです。

年内にどこかの美術館の、それも常設展を見に行きたいな。

yukikotajima 11:48 am

はつ恋

2018年12月12日

あなたの「初恋」はいつでしょうか。

子どもの頃、あるいは、中学生くらいでしょうか。
でも、本当に人を好きになったのは大人になってから、
という方もいらっしゃるのでは?

今日ご紹介する本は、アラフィフ二人の「初恋」物語です。

『はつ恋/村山由佳(ポプラ社)』

主人公は、小説家のハナさん。
年齢は、アラフィフです。
千葉の海の近くの日本家屋に猫ととも暮らしています。ハナさんは、2度の離婚を経て、
今は、子どもの頃の幼馴染の少し年下の彼氏と遠距離恋愛をしています。
ちなみに、ハナさんに子どもはいません。

ちなみに、この年下の彼氏さん、名をトキオと言います。

トキオも以前、結婚していて、
大阪で19歳の娘と70代の母親と暮らしています。

ハナとトキオは、子どもの頃、お隣さんだったので、
お互いの親のことも知っているし、
もちろん親のほうも子どもたちのことを知っています。

二人は、子どもの頃、ほんとうの姉と弟のように育ったのでした。

しかし、その後、二人は離れ離れになり、なんと38年ぶりに再会します。
アラフィフになって再会した二人は、付き合い始めます。

そして、ハナは思うのです。
「どんな自分を見せても大丈夫って思える。こんなの初めて」と。
つまり、自分にとっての初恋は今だと。

これまで2回結婚しているし、他にも恋人はいたハナでしたが、
それらすべてとは違う思いでトキオのことを思っていました。

『はつ恋』は、そんな二人の物語です。

アラフィフの恋と言うと、皆さん、どんな恋を想像するでしょうか。
この本を読む限り、私は、若い人たちの物語とそんなに変わらないなと思いました。
二人でいる時の会話なんて、20代だと言ってもいいくらいのはしゃぎっぷりですし。(笑)

実際、ハナさんは「恋に適齢期はない。落ちてしまえば、それが答えだ」と言っています。

でも、どんなに浮かれていても、醸し出す空気は、やはり大人です。
だから、読んでいても疲れません。(笑)

どちらかというと、癒されるほどです。
というのも、この物語には季節のお花がたくさん出てくるのです。

物語もそれぞれの章が「卯月」「皐月」など、旧暦になっていますし、
ハナさんの家の庭で咲いた、それぞれの季節のお花が登場します。

また、ハナさんはとても豊かな生活を送っています。
たとえば、道具や食器や洋服は、自分が本当にいいと思うものを選んでいます。
そして、それらを出し惜しみしないようにしています。

私もここ数年でやっとその思いに至りまして、
ハナさんと同じように、いいものを出し惜しみせず、
普段づかいするようにしています。
もったいないからとずっと使わない方がもったいないと気付いたのです。

この小説は、恋愛小説として楽しめるだけでなく、
豊かな生活を送るためのヒントもつまっていました。

例えば、花瓶など無くても、どんなものでも花器になると。
これは、すぐにでも実践しようと思いました。

本当に素敵な一冊でした。
読んでよかった。
いい時間を過ごせました。

そうそう!
ハナさんは、子どもの頃に「初恋」だと思ったものは、
「○○○恋だった」と別の表現をしています。

気になる方は、是非本のページをめくってみてください。

クリスマスまでもう2週間を切りました。
恋人がいない人もこの本を読むと、きっと恋をしたくなるはず!

特に、今、恋をしていない大人の皆さん、読んでみてください。

yukikotajima 12:11 pm

破天荒フェニックス

2018年12月5日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介頂く本は、

『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 /田中修治』

です。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

人気メガネチェーン「オンデーズ」社長の田中さんが書かれた小説です。

様々な人から「きっと倒産するから辞めておけ」と言われた
メガネチェーン「オンデーズ」を買収し
社長になった30歳の田中さんが、
いかにしてオンデーズを再生したのかが
小説仕立てで描かれています。

企業小説といったら、池井戸潤さんの名前がすぐに出てくるでしょうか。

池井戸作品というと、意地悪な人が出てきたり、裏切りがあったりするものの、
そんな様々な困難に立ち向かう男たちが描かれていますが、
この作品にも同じような出来事が次々に起こります。

ただ、池井戸作品と違うのは、
主人公の社長は30歳の若者で見た目はチャライことと、
喋り方も考え方も行動も若者っぽさがあるということ。

池井戸ドラマにあるような
血走った眼で見つめ合いながら強く握手をする、
といったようなことはありません。

もちろん熱さはあります。
だけど、熱さの質が違うのです。

また、彼は彼で悩みを抱えています。
仕事にかける思いは純粋だし、真剣に仕事に取り組んでいるのだけれど、
若さやチャラさといった見た目の問題も加わってなかなか信用してもらえません。

そんな彼が、社員をはじめ、取引企業などの信用を得て
会社を再生させていく様が描かれています。

彼はどのようにして信用を得て、
どのようにして再生させていったのでしょうか。

物語としても大変面白く、ページをめくる手が止まりませんでした。
また、学びもたくさんありました。
気になる言葉に付箋を貼っていったら付箋だらけになってしまったほどです。

いくつかあげると…

・愚痴や不満はいい方向に変わってほしいという願いの裏返し

・品質の悪いものを売らなければいけないこと程、
 苦しくて仕事が嫌になることはない

・僕は「任せる」ことと「ほったらかす」ことを履き違えていた

など心に響く言葉がたくさんありました。

小説として面白いのはもちろん、学びもたくさんある作品です。

年末の今、この本を読むと、
新年からの仕事のやり方が変わってくるかも!

企業のトップや何かにチャレンジしたいという方はもちろん、
どなたでも楽しめる一冊です。
ぜひお読みください!

yukikotajima 11:40 am

燃えよ、あんず

2018年11月28日

前は頻繁に顔を合わせていたのに、
気付いたら最近、全然連絡を取っていない、という方はいませんか?

私は、大人になってから、そういう人が増えたように思います。

でも、久しぶりに会ったとしても
前に仲良かった人とは、不思議と自然に以前の関係に戻れるような気がします。

まあ、大人になると数年前がそんなに前に感じられない…
というのもありますが。(苦笑)

今日ご紹介する本は、まさに久しぶりに関係が復活した人たちの物語です。

『燃えよ、あんず/藤谷治(ふじたに・おさむ)<小学館>』

主人公は、下北沢で小さな書店・フィクショネスを営むオサムさんです。

そう、著者と同じ名前です。
どうやら、著者の藤谷さんは以前、本当に書店を経営していたそうです。

その書店には店主をはじめ、お客さんもなかなか癖が強い人たちが集まっていました。

『燃えよ、あんず』は、そんな個性派ぞろいのお客さんの一人、
どこか憎めない女子である久美ちゃんをめぐる物語です。

***

この書店は、店主が本当に売りたい本だけを扱っていたのですが、
なかなかお客さんが集まらなかったため、
文学の教室という文学の話をするカルチャースクールのようなものを始めます。

そこに通っていたのが、久美ちゃんでした。

久美ちゃんは、ある日、結婚します。
ところが、その後すぐにご主人が亡くなり、下北沢から離れてしまいます。

それから十数年。
ある日、久美ちゃんがお店に突然あらわれるところから物語が始まります。

物語の後半は、久美ちゃんの新たな恋のお話が中心になるのですが、
この久美ちゃんのことを、みんなが心配し、応援していきます。

特におせっかいなほどに熱いのが、オサムさんの奥さまの桃子さんです。

オサムさんは、正直、面倒だなーとか、なんでそこまでしなきゃいけないんだ…と
心の中ではブーブー文句を言っているのですが、
結局、桃子さんの言いなりになっています。(笑)

登場人物の全員が、ちょっとずつうざくて(笑)、
でも、嫌いになれなくて、
そして、優しくて、泣けてきます。

「幸せ」というと、まず自分の幸せを考えてしまうけれど、
この本に出てくる人たちは、自分の幸せではなく、人の幸せを考えている人が多いのです。

だからちょっとくらいうざくても、嫌いになれないのです。(笑)
なんだかんだ言って、みんないい奴じゃないかって。

『燃えよ、あんず』、いい本でした。

実は400ページ以上もある、かなりボリュームのある作品なのだけど、
面白かったので、長さを全然感じませんでした。

後半、ある癖の強い人物が出てきて、
いきなり作品のテイストが変わり、
このお話、どうなっちゃうの??と思ったりもしたけど、
そのドキドキも楽しかったです。
それに、何より笑えましたし!

心がギスギスしているという方は、
この『燃えよ、あんず』の世界に没頭してみてはいかがでしょう?

きっと読み終えた後は、笑って泣いてほっとして、
穏やかな気持ちになっていると思いますよー。

yukikotajima 12:24 pm

浪費図鑑、だから私はメイクする

2018年11月21日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから今話題の3冊をご紹介いただきます。

『浪費図鑑〜悪友たちのないしょ話』
『シン・浪費図鑑〜悪友たちのないしょ話2』

『だから私はメイクする〜悪友たちの美意識調査』

いずれも女性4人からなる文芸サークル、劇団雌猫(げきだんめすねこ)によるものです。

『浪費図鑑』は、オタク女たちの浪費事情を紹介している図鑑で、
アイドル、宝塚、お笑い、声優などにはまっている女性たちの熱い思いが綴られています。

一方、『だから私はメイクする』は、コスメ、洋服についての思いがつまっています。

奥野さんの紹介分は コチラ

***

あなたが最もお金をかけている好きなものは何でしょう?

私は、困ったことに好きなものが沢山あって、これが一番!とは決められません。
だって、自分がいいと思うものの順位は、その時によって変わっていくのですもの。

ちなみに、私が最近心動かされたのは美術鑑賞です。

先日、国立新美術館で開催中の二つの企画展
「ピエール・ボナール展」「東山魁夷に行ってきました。

全くタイプの違う企画展ですが、それぞれ感動しました。

ピエール・ボナールは、事前に雑誌やテレビ番組でどんな画家なのか予習していたので、
作品を見ながら彼の人生を辿っている感覚で楽しめました。
(写真は撮影OKのものです)

一方の東山魁夷は、とにかく色が美しくて眺めているだけで涙が滲んでくるほどでした。
特に東山ブルーと言われる青に惹かれました。

「ブルー」と言ったら、上野で企画展が開催されていることもあり
「フェルメールブルー」の人気が高いですが、
今の私は「東山ブルー」により心が惹かれます。

この青、いいと思いませんか? ↓
私は飽きずにずっと眺めていられます。

という感じで、今の私は美術鑑賞に心惹かれています。
でも、面白い小説を読んだ後は読書が一番になるし、
ミュージカルを観た後はミュージカルが一番になります。

そして、心ときめくものが年々増えています。

趣味が増えれば、その分、お金もかかるもので…。

その世界に興味の無い人からしてみれば、
「そんなにお金を使ってもったいない」と思われるかもしれません。

ちなみに今回、私が美術鑑賞に費やしたお金は3,000円でした。
絵に興味のない方からすれば、この金額は高いでしょうね。

3,000円あるなら、映画を2本観たい方もいれば、本を2冊買いたい方、
また、お酒を飲んだり、マッサージに行ったりするほうが
楽しめるという方もいらっしゃると思います。

心の満たされ方は人によって違います。

私は自分の心が満たされるものに、お金を使っていきたい!
まあ、私の場合は、もう少し節約しなければいけませんが…(苦笑)。

でも、これらの本を読んで、
好きなことに対して、みんなも結構お金を使ってるのね。
ジャンルは違えど、みんな同じじゃん!
と勝手に仲間意識が芽生えました。

人には浪費に思えることでも、
自分の心が満たされハッピーなら、
それは無駄遣いでは無いのだ!
と確信できた三冊でした。(笑)

このブログをお読みのあなたは、何に一番お金をかけていますか?

yukikotajima 11:07 am

47都道府県女ひとりで行ってみよう

2018年11月17日

今日のネッツカフェドライヴィンのテーマ「ひとり時間」です。

ひとりで過ごす時間は色々ありますが、
ブログをお読みのあなたは「ひとり旅」をしたことはありますか?

私、田島はあります。

私が思うひとり旅のいいところは、
なんといっても自分の思いのままに行動できるということ。

計画を立てても自由に変更できるのが好きです!

また、旅先で様々な方に気軽に声をかけられるのも魅力の一つです。

誰かと一緒だとその人との会話が中心になってしまいますが、
一人だと他の人とゆっくり話ができたり、
実はね…とこっそりいい情報を教えてもらえたりします。

時々、あれこれ質問をし過ぎて、これじゃあ、まるで取材じゃないか!
とハッとすることもありますが…。
職業病です。笑

私の中でひとり旅といったら、
現地の方たちとの交流は楽しみの一つなのですが、
旅の間はなるべく人とふれあいたくない方もいることを
この本を読んで知りました。

それは、イラストレーターの益田ミリさんの
エッセイ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』です。

益田さんは映画化もされた「すーちゃんシリーズ」でおなじみの方です。
ちなみに、今週のgrace内コーナー「ユキコレ」では
益田さんの小説『一度だけ』をご紹介しました。

◎『一度だけ』の感想は コチラ

『47都道府県女ひとりで行ってみよう』は、本のタイトル通り、
益田ミリさんが47都道府県をひとりで旅した記録をまとめたものです。

旅のルールは、益田さんが月に一度、
一つの都道府県のみ旅をするというもの。
北陸に来て富山、石川、福井を一気にまわるのではなく
一度に旅をするのは富山だけという感じです。
それも「ただ行ってみるだけ」の旅です。

読んでみてびっくり。
本当にゆるいのです。
まったくガツガツしていません。

有名スポットに行って、その土地の美味しいものを食べて、
旅先でこんないい人に出会ったよ!
という、ありがちな旅ではありませんでした。

おせっかいながら、この旅、大丈夫?と心配になったほどです。

だって、益田さんの旅は、
旅先で誰かとふれいあいたい気持ちがまったくおこならない
「内向的なひとり旅」なんですもの。笑

例えば、何かを体験したり食べたりしたくても、
そもそも人に声をかけることができないのです。
そして、仕方なく諦めていく…。
でも、無理して小さな勇気を使わなくてもいいや、とも思う。

そして、益田さんは旅で無理をするのをやめていきます。

名物だからと言って苦手なものを食べることはないと
デパ地下で自分の食べたいお惣菜を買ってホテルの部屋で食べ始めます。
そして食事代が浮いた分は、足つぼマッサージにまわしています。

つまり、楽しんでいらっしゃるのです!

本を読みながらあることに気付かされました。
私は旅をしている時に「楽しまなきゃ!」
と無理やり思っていたかもしれない…と。

私はお酒を飲むことも食べることも好きだし、
とりあえず有名な所には行っておこうというミーハーな人間なので、
益田さんとは旅のスタイルが異なるけれど、
でも、色々なスタイルがあっていいんだよな、と思いました。

好きなことや心地いいことって、人それぞれ違いますものね!

益田さんの旅は、最初はテンション低めですが(笑)、徐々に上がっていきます。
また、基本的にハイテンションではないため、
美味しいものや楽しいことに出合えた時の嬉しさがわかりやすく
本を読んでいる私まで嬉しくなりました。
益田さんが旅を楽しめるようになってよかった、と
またまた、おせっかいながら思ってしまいました。(笑)

そうそう!
もちろん富山旅のレポートもありましたよ。
益田さんがどんな富山旅をしたのかについては、
本を読んでお確かめください。

益田さんのように47都道府県を月に一度まわる旅は
なかなか真似できないけれど、
でも、私もまたひとり旅に行きたくなりました。
それも欲張り過ぎず、無理せず、自分が心地いいと思う旅に。

さあって、どこに行こうかな♪
そして何をしようかな。
私の心地いい旅とは、どんな旅なのか知る旅に出てみたい。

yukikotajima 10:00 am

一度だけ

2018年11月14日

よく「どうやって本を選んでいるの?」と聞かれます。
雑誌や新聞の書評を参考にすることもありますが、
本屋さんをぶらぶら歩きながら見つけることが多いです。

本の作者はもちろん、タイトルや装丁、帯を見ながら
心惹かれたものを手に取っていきます。

今日ご紹介する本も本屋さんで見つけました。

私の好きな作家のお一人、益田ミリさんの新作です。

益田さんと言いますと、
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』として映画化された
「すーちゃん」シリーズが人気です。

こちらは、すーちゃんの日常が描かれた四コマ漫画です。
素朴なタッチの絵で文字数もそれほど多くないのですが、
すーちゃんの本音が心に刺さるのです。
共感したり笑ったり時には涙がこぼれたり。

益田ミリさんは、この「すーちゃん」シリーズ以外にも
四コマ漫画やエッセイ、小説など様々な作品を発表されています。

今日の本は、そんな益田ミリさんの9年ぶり、2作目の長編小説
『一度だけ(幻冬舎)』です。

益田ミリさんの作品は、静かな日常が丁寧に描かれることが多いのですが、
この本の帯には「一年に一度でいい。熱く、熱い、夜が欲しい」とあり、
え?もしや大人な恋愛話?と思って手に取ってみました。

簡単にどんな話なのかご紹介しましょう。

主人公は、アラフォー姉妹の二人です。

姉の弥生は、夫の浮気が原因で離婚し、今は介護ヘルパーの仕事をしています。
一方の妹のひな子は、派遣社員で彼氏は長いこといません。

そんな二人は、姉の家で二人で暮らしています。

ある日、ひな子は母の妹である叔母の清子(きよこ)に誘われ、ブラジル旅行に出かけます。

清子は、夫が遺した財産で自由きままに暮らしていました。
旅行代金は、ビジネスクラス利用の一人180万円!
なんとこの金額を清子が全て出してくれたのでした。

オシャレをし、美味しいものを食べ、夫亡きあとも人生を謳歌している叔母に対し、
ひな子は、派遣社員としての契約が切れ、彼氏もいない36歳です。

一方、日本に残された姉の弥生は、なぜ旅行に誘ったのが、自分ではなく妹なんだろう、
と不満を感じつつも、ひな子が旅行で不在の間、
「毎日新しいことをするルール」を自分に課していきます。

そして、もう一人、彼女たちの母親も登場します。
この母親は、ブラジル旅行の代金と同じ180万円であることを計画します。

『一度だけ』は、そんな女性たちの物語です。

***

同じ女性と言っても、それぞれ置かれた状況は違います。
欲しいものも違います。

彼氏のいない妹は、とりとめのない気持ちを
わかりあえる恋人が欲しいと思うけれど、
現実的には、好きな人さえいません。

離婚をして仕事だけの日々を送る姉は、
雑誌にあった旅の特集や美人メイク術を
いつか自分の人生に取り入れたいと思うものの、
その「いつか」は私には永遠に来ないのかもしれない…と諦めモードです。

そんな二人に明るい話題が舞い込んでくるのですが、
果たして二人の人生はどう変わっていくのでしょうか。

この続きは、是非本のページをめくってみてください。

***

この二人は、今の人生に満足はしていません。
でも、妹はブラジルに旅に行ったことで、
姉は妹の旅行中、毎日新しいことをすることで、
これまでの日常に変化が出ます。

いい変化もあれば、そうではないものもあります。
でも、何かいつもと違うことをするのは悪くないように思いました。

何か新しいことをするのって緊張感がともなうものですが、
その緊張感が日常を輝かせるのかもな。

あなたは、いい緊張感のある生活を送っていますか?

やはり益田ミリさんの作品、好きだ!
またエッセイや四コマ漫画も読んでみたくなりました。

yukikotajima 12:09 pm

愛なき世界

2018年11月7日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
三浦しをんさんの新作『愛なき世界』をご紹介いただきます。

奥野さんの推薦文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

三浦しをんさんというと、
これまで様々なジャンルの頑張る人々の話を書いていらっしゃいます。

例えば、
『風が強く吹いている』は、箱根駅伝について、
『舟を編む』は、辞書を作る人たち、
『神去なあなあ日常』は、林業のお仕事、
『仏果を得ず』は、文楽の世界
を描いています。

私がこれまでよんだ三浦作品の一部をあげてみましたが、
これだけでも、かなりジャンルが幅広いことがわかりますよね。

今回の『愛なき世界』は、植物の研究をする人々について書かれています。

植物のことが好き過ぎて誰とも付き合えないという女性に
洋食屋さんの見習いの男性は恋をしてしまいます。

そんな彼と彼女の物語です。

彼女の物語は、ほとんどが植物についてです。

植物は、私も嫌いではありません。
家に観葉植物を飾っていますし、
自然の中を歩いたり、走ったりするのも好きです。

でも、この本を読むと、植物の好きの大きさの違いに驚きます。
私は、24時間植物のことを考えるほど好きではないですし。

一般的に植物が好きというレベルで
全然植物について詳しくない私ですが、
でも、登場人物たちの強すぎる植物愛に触れているうちに
私まで植物に対して愛おしい気持ちになっていきました。

また、作品を読みながら、
植物を愛する彼女のことも
そんな彼女に恋する彼のことも
応援していました。

二人ともそれぞれがんばれー!と。

『風が強く吹いている』の時もそうでしたが、
三浦しをんさんの作品は、登場人物たちを応援したくなるのです。
みんな何かに対して頑張っているので。

そして、応援しているうちに私まで
一緒に何かを成し遂げた気になって元気になります。

今回も爽やかなひとときを楽しめました。

また、この本を読んだあとは、
私の家の観葉植物がより可愛く感じられました。
よく見ると、確かに可愛いなあと思ってしまったほどです。
影響受けやすいな、私。(笑)

それにしても、三浦しをんさんは、いつも私の世界を広げてくれるなあ。

次回は、どんな世界を教えてくれるのかしら。
楽しみだ♪

yukikotajima 11:31 am

対岸の家事

2018年10月31日

このブログをお読みの方の中には
専業主婦の方もいらっしゃると思います。

富山は、働くお母さん、ワーキングマザーが多い県ですので、
専業主婦の方の中には「なんで働かないの?」
と言われるたびに嫌な気持ちになる…という方もいるかもしれませんね。

今日ご紹介する本は、
家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、
専業主婦の女性の物語です。

『対岸の家事/朱野帰子(講談社』)』

タイトルは「たいがんのかじ」と読みます。
「対岸の火事」ではありません。

ちなみに、対岸の火事とは、辞書によると
「自分には全く関係のない出来事で、
少しも痛くもかゆくない物事のたとえ」のことです。

その「火事」を「家事」にしたのがこの小説です。

著者の朱野帰子さんと言いますと、
以前、『わたし、定時で帰ります。』という小説をご紹介しました。

私の感想は コチラ

『わたし、定時で〜』は、長時間労働を良しとせず、
絶対に残業しないことをモットーに効率よく仕事をする女性の物語です。

そして、今回の『対岸の家事』は、
もう一つの長時間労働である「家事」について書かれた小説です。

主人公は、「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂です。
詩穂は2歳の娘と居酒屋勤めの夫の3人家族です。

詩穂は、「専業主婦」になることを望み、
娘も可愛いし、夫も優しくて幸せいっぱいなのですが、
自分の選択はこれでよかったのか、とたびたび悩んでいます。

例えば、なかなかママ友が作れなかったり、
ずっと娘と二人だけの日々に不安を感じたり、
ワーキングマザーたちから嫌味を言われたり…。

一方で、そのワーキングマザーも苦しんでいます。
子育てや家事をしながらも忙しい仕事を抱え、
自分の体調が悪くても休めないし、
誰にも頼ることができずにいます。

他にも、なかなか子どもが出来ずに
周囲の人たちからプレッシャーをかけられ続ける主婦や
仕事で忙しい妻の代わりに二年間の育休を取った夫などがいます。

イクメンという言葉はすっかり定着していますが、
それでも男性で育休を取る人は実際はまだまだ少ないため、
なかなか理解を得られません。

この本の中にも育休後「ゆっくり休めた?」なんて言われてしまった男性もいます。
休めるはずはないのに。。。

男性は男性で悩みを抱えているのですね。

この本に登場するイクメンの場合、仕事ができる人なので、
仕事のように思い通りにいかない子育てに苛立ちを感じています。
仕事のできないむかつく上司のほうが、まだマシだと思ったほどです。

『対岸の家事』は、誰にも相談できず、それぞれ悩みを抱えている人たちの物語です。

ちなみに、既婚者だけでなく、結婚していない女性も登場します。
ですから、この本の中には、自分の立場に近い人がきっといると思います。

みんなそれぞれ、何かしら抱えているものがあるけれど、
自分が大変な時は、他の人の辛さには気づけなかったり、
それどころか、自分以外の人のことを羨ましく感じたりしてしまうのですよね。

この本の中にこんなセリフがあります。
「みんな自分が持っていないものの話になると、冷静じゃなくなる」

この本を読むと客観的に様々な立場の方のことを知ることができ、
視野が広がるように思いました。

小説としての面白かったのはもちろん、色々学ぶこともできた一冊でした。
ほんとうに読んでよかった!

いま、子育て中で大変という方(男女問わず)にこそ、
この本を読んで頂きたいのですが、
本を読む時間なんてないっ!と言われてしまいそうですね。

それでも。
少しずつでもいいから、この本を読んでみてください。
きっときっと心が楽になると思います。

子育てをしているイクメンの皆さんもぜひ!

一方、家事は主婦がやるもの、仕事に比べたら家事のほうが楽だ、
と思っている男性(とくに年配の方たち)にも読んで頂きたい!

『対岸の家事』は、一人でも多くの方に読んで頂きたい一冊です。
ぜひ読んで〜。

yukikotajima 11:50 am

鏡の背面

2018年10月24日

今日ご紹介するのは、篠田節子さんの『鏡の背面(集英社)』です。

本の表紙には、カラヴァッジオの「ラザロの蘇生」が使われています。

カラヴァッジオは、西洋美術史上もっとも偉大なイタリアの芸術家で、
2016年に国立西洋美術館で大きな企画展がおこなわれていました。

カラヴァッジオは、優れた画家であるだけでなく、殺人者でもあります。

そんな二つの顔を持つカラヴァッジオの絵画が表紙に使われた
『鏡の背面』とはどんな作品なのか…。
早速ご紹介しましょう。

その前に。

先日、平野啓一郎さんの新作『ある男』をご紹介しました。

私の感想は コチラ

『ある男』は、夫が亡くなった後、
夫が別人であることがわかったという物語でしたが、
『鏡の背面』も始まりは似ています。

こちらは、火事で亡くなった女性の遺体が
別人のものだと判明するところから始まります。

亡くなったのは、心に傷を負った女性たちのシェルター
「新アグネス寮」の「小野先生」です。

新アグネス寮は、薬物やアルコール依存、性暴力、DV被害などによって
心的外傷を負った女性たちの社会復帰を目指す施設で、
小野先生は、親から受け継いだ莫大な資産を彼女たちの救済のためにささげ、
ともに生活をし、「日本のマザー・テレサ」と言われるほど慕われていました。

そんな先生が、新アグネス寮で火災が発生した時、
入居者を助けたことで亡くなってしまいました。

先生らしい最期だと誰もが思っていた中、死体が別人であることが発覚します。

生前に小野先生を取材したライターの女性は、
いったい亡くなった女性は誰なのか?
そして、本物の「小野先生」はどこに消えたのか?
調べ始めます。

そして、ある一人の女性が浮上します。
彼女は、連続殺人事件の容疑者としてマークされていた人物でした。

ここから長い長い物語が始まります。
実際、作品は500ページをこえます。

***

長い物語の中で、心に傷を抱えた新アグネス寮で暮らす
女性たちの過去も明らかになるのですが、
そんな彼女たちを救ってきたのが小野先生でした。

その小野先生が亡くなった後、彼女たちは心のバランスを崩していきます。

だって、心から慕っていた先生が亡くなっただけでもショックなのに
実は亡くなった人は別人で、過去に連続殺人の容疑までかかっている。
そして肝心の先生は見つからない。ときたら、
たしかにダメージは大きいですよね。

物語はいったいどこに辿りつくのか?
是非、秋の夜長にじっくり読み進めてみてください。

私の場合、物語の前半は、亡くなった女性は誰だったのか?が気になり、
後半は、本当にそんなことがあり得るのか…
と次々に明らかになっていく事実に衝撃を受けながら、
結局ページをめくる手を止めることができませんでした。

ちなみに、怖いページもあります。
私は夜中に読みながらちょっと音がしただけで、ひぃぃっとなりました。

あ、でも怪談ではありません!
怖さの質が違います。

この物語については、たくさん言いたいことがあるのですが、
感想を言えば言うほどネタバレになってしまうので、
この辺でやめておきます。

気になる方は、是非本のページをめくってみて下さい。

また、よく知る人が亡くなった後に別人であることを知ったという点では
『ある男』と読み比べてみるのも面白いかも。

yukikotajima 12:15 pm

読書の秋

2018年10月20日

今日のネッツ・カフェ・ドライヴィンのテーマは「読書の秋」です。

ラジオやブログでは、新作をご紹介することが多いですが、
今日は、少し前に出た本を2冊ご紹介します。

***

まずは、『ミュージアムの女/宇佐江みつこ』です。

岐阜県美術館のSNSで発表されていた四コマ漫画をまとめたもので、
監視のお仕事について紹介されています。

1年前に発売され、さまざまなメディアで話題になっているようです。

漫画に登場するのは、人ではなく猫です。
架空の、猫の顔をした猫人間?を主人公に
監視係のお仕事や美術館での楽しみ方が描かれています。

例えば、監視はお客様を見守るのが仕事ですが、
相手に気付かれて不快にさせない程度に見る技術が必要なのだとか。
確かに、監視の方たちからじーっと見つめられたら、作品を見づらいですものね。

また、展示室では作品に触れてはいけませんが、実は「壁」もダメなんですって。
これは知らなかった…。

と言う感じで、美術館の裏側を様々な角度から知ることができます。

それも、ゆるいタッチのイラストで
漫画も文字も手書きなので全体的にほのぼのとしています。
でも、美術館のお話なのでベースは上品です。
だからこその面白さがあります。

芸術の秋です。
この秋、美術館に行く前にまずはこの本を読んでみては?

きっと美術館がより身近に感じられると思いますよー。

***

もう1冊は、2年前の2016年に発売された本です。

『三の隣は五号室/長嶋有』

こちらは、平成28年度の「谷崎潤一郎賞」受賞作です。

とある木造アパートの一室に暮らした歴代の住人たちのことが描かれています。

住人達が皆「変な間取り」だと感じるのは、第一藤岡荘の五号室。
その五号室には、男性、女性、夫婦、家族のほか、外国の方が住んだこともありました。
同じ間取りでも使い方は人それぞれ。
ベッドを置く場所も人によって違います。

『三の隣は五号室』は決して派手な物語ではないのだけど、
読めば読むほど、愛着がわいていきました。

私もこれまでいくつかの賃貸物件に住んできましたが、
たぶん出会うことはないけれど同じ部屋に暮らしたことのある人が
どこかにいるわけですよね。

その方たちは、私が感じた不便を同じように感じていたかもしれないし、
もしかしたら私よりもっといい部屋の使い方をしていたかもしれないな、
なんてことを想像したら、楽しくなってきました。

だって、不思議な繋がりだと思いませんか?
みんな共通の繋がりがあるのに、お互いのことを知らない他人なんですよ。
いつか同じ部屋に暮らしたことのある人たちが集まって、
その部屋について話をする機会があったら面白そうかも。
壁紙に穴を空けたのは俺です…とか
あのシールを貼ったのは私です、
なんて感じで盛り上がれそうじゃないですか!

この本を読みながら、そんな妄想をしてしまいました。

一度でも賃貸物件に住んだことのある方は、是非読んでみてください。
きっと自分自身と重ねながら楽しめると思います!

yukikotajima 10:00 am

すぐ死ぬんだから

2018年10月17日

今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。

大変面白かったです!!

主人公は、78歳のおばあちゃん、忍(おし)ハナです。

このハナさんは、
「人間60代以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ」
という信条を持ち、美しさと若さをキープすべくオシャレをしています。
同世代は着ないようなファッションを取り入れたり、
ネイルサロンにネイルをしに行ったり。

夫は折り紙が趣味の穏やかな人だし、
家業を継いだ長男も真面目に仕事をしている。
その上、孫たちはみんなかわいい!
つまり、ハナさんは幸せな生活を送っています。

周りの地味な同世代の人を目にしては「薄汚い」とののしり、
「人は中身と言う女にろくな者はいない」と直接言うのではなく…
心の中で、毒づきます。
まあ、一応大人ですからね。心の中で思うだけです。(笑)

そんな自分に正直に生きてきたハナさんでしたが、ある日、夫が倒れ…。

この続きは本のページをめくってみて下さい。

たぶん、夫が倒れ、ハナさんは介護の日々が始まるのかしら?
と想像した方もいらっしゃるかもしれませんが、違います!

ここから物語が大きく動きします。
まさかまさかの展開で、夢中で読み進めてしまいました。

ハナさんもなかなか強烈なキャラですが、
ハナさんの家族も個性派ぞろいです。

内館さんの『終わった人』が映画化されたように
この作品もいずれ映像化されたそうだな。

それにしても最近、高齢の方が主人公の作品が増えてきましたね。

私も以前、 『花まみれの淑女たち』という
おばあちゃんたちが活躍する小説をご紹介しましたが、
これから先、元気な高齢者が増えるにつれて、
ますます、おじいちゃん、おばあちゃんが主人公の作品が増えていくかもしれません。

ちなみに、『すぐ死ぬんだから』も『花まみれの淑女たち』も
主人公のおばあちゃんたちがとにかくパワフルなのが素敵!
どちらの作品も読んで元気になりましたもの。

70〜80代にしてみたら、アラフォーの私なんて若者です。

40代は、まだまだ色々なことができるな、と改めて思いました。

最近、もう年だしなあ、、、と何かをあきらめかけている方は、
あきらめる前にこれらの本を読んでみてください。
きっと、私ももう1回頑張ってみるか、と思えるはずです。

yukikotajima 11:28 am

しずく堂の大人に似合う手編みこもの

2018年10月11日

ここのところの汗ばむような日も落ち着いて、
天気予報通り今日以降、気温は低くなりそうです。
今日も寒い一日となりました。

ニットの季節が近づいてきましたが、
今年は、ご自身で編んでみるのはいかがでしょう。
せっかくなら、オシャレなアイテムを作ってみませんか?

富山県在住のニット作家「しずく堂」さんの
『しずく堂の大人に似合う手編みこもの』という本が、先日発売されました。

この本には、帽子・靴下・マフラー・アクセサリーなどの
25のアイテムが掲載されています。

しずく堂さんは、これまでも本を出されていまして、
今までは、どちらかというとカラフルな編み込み模様の作風でしたが、
今回は、ベーシックな色柄で普段づかいしやすいものや
コーディネートの差し色になるきれいな色の小物など、
しずく堂さんが本当に作りたいものがセレクトされているそうです。

私も実際に読んでみましたが、まず、眺めているだけで癒されました。
また、色合いやデザインは、大人の方はもちろん、
幅広い年齢の方に似合いそうだと思いました。

定番でありながらもシンプルすぎず、
どれも実際に使いたいものばかりで。

また、この本には、作り方や編み物の基礎ものっていますので、
初心者も上級者も楽しめます!
 
寒くなってきたし今年は自分でニットを編んでみようかなという方は
是非『しずく堂の大人に似合う手編みこもの』を読んでみてください。
きっと素敵なアイテムが作れると思いますよー。

ちなみに、しずく堂さんによると
「この本の作品はgraceを聴きながら編んでいたものがたくさんあった」のだとか。

わー!嬉しすぎる!!ありがとうございます。
ということは、graceフレイバーもほんのり入っているってことかしら?(笑)

なお、しずく堂さんは、富山在住のニット作家さんですが、
編み物のワークショップも開催していらっしゃいますので、
直接レッスンを受けることもできます!

◎しずく堂さんのHPは コチラ

yukikotajima 6:11 pm

ある男

2018年10月10日

私が読書を好きな理由の一つは「人の心が覗けるから」です。

職業柄、多くの人に会います。
会う人が多ければ人の気持ちもわかるようになるのか、
と言ったらそんなことも無く。
だって、人によって考えていることはぜんぜん違いますもん!

「この人は多分こう思っているのかな」
と想像することはできても、本当にその通りかどうかはわかりません。

でも、物語の世界なら堂々と覗けるのです。
なぜなら主人公の心の声がそのまま書かれたものこそが小説だからです。

今日ご紹介する本の主人公の男性も正直な心をさらけ出していました。
誰にも言えない思いをまるで吐き出すかのように言葉があふれていました。

今日ご紹介する本は、今話題の本『ある男/平野啓一郎(文藝春秋)』です。

平野さんと言えば、以前ラジオでご紹介した
『マチネの終わりに』が20万部のロングセラーになり、映画化も決まりました。

私の感想は コチラ

***

今回のタイトルは『ある男』です。

本の帯には「愛したはずの夫は、まったくの別人だった」とあります。
今既婚の皆さんは、ご主人や奥様が実は別人だったらどうしますか?

『ある男』のストーリーを簡単にご紹介しましょう。
主人公は、弁護士の城戸(きど)です。
彼は、以前担当したことのある女性、里枝(りえ)から奇妙な相談を受けます。

彼女には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去がありました。

離婚後、長男とともに故郷の宮崎に戻り、そこで出逢った「大祐」と再婚します。
大祐と前の夫との間にできた長男の関係も良く幸せな日々を過ごしていました。
自分の人生でこれほど幸福な時はなかったと思うほどに。

ところが、ある日「大祐」は、仕事中の事故で突然亡くなってしまいます。
そして…「大祐」が全くの別人だったことがわかります。

里枝は前の夫との離婚調停でお世話になった弁護士の城戸に相談。
城戸は亡くなった「大祐」とはいったい誰なのか調べることになり…
というお話です。

***

さきほどの質問に戻ります。
もし、好きになった人がまったくの別人だった場合、
あなたはどうしますか?

あなたと出逢ってからの日々に嘘はありません。
でも、過去には嘘があるかもしれない。

そもそも、あなたは好きな人の「過去」を気にしますか?

一方、あなた自身の過去についてはどうですか?
好きな人に自分の過去をすべて話したいと思いますか?
あるいは、自分自身の過去を捨てて別人になって生き直したいと思ったことはありますか?

***

この物語には、人知れず悩みを抱え苦しんでいる人たちが出てきます。
冷静沈着に見える主人公の城戸もそんな一人です。
他人には見せないだけで。
そんな彼の本心を知ることができるのは私たち読者だけす。

いつもは、そこまで人の心を覗くということは意識せずに本を読むのですが、
この小説に関しては、なぜかずっと城戸の心を覗いている気分でした。
それだけ彼は本音を他人に見せていない、ということなのかもな。
普段はあまり多くを語らないけれど、心の声はお喋りな印象でした。

そんな一見冷静な城戸(既婚者)が
ちょっと気になる女性に出逢ってしまった時の心の葛藤は、
人間味があって良かったです。(笑)
城戸の思いがどこに着地するのか?
色々な意味でドキドキしながら読んでしまいました。

それから『ある男』には、里枝目線のお話も間にはさまれています。
この里枝のお話もよくて、思わず涙。
心がじわっと熱くなりました。
特にラスト何ページかは…。
ああ、言いたいけれど、言えない。
とにかく読んでみてください。

秋の夜長にじっくり読み進めていくのにぴったりの一冊です。

私は読み終えた時、いい本だったという満たされた思いと同時に
終わってしまった寂しさもあり、
また最初からしばらく読んだのですが、
音楽好きの平野さんらしく様々な曲も登場しますので、
曲を聞きながら再度読み返してみるのもいいかもと思いました。

yukikotajima 11:55 am

死に山

2018年10月3日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45時分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
/ドニー・アイカー(河出書房新社)』

です。

奥野さんがこの本について詳しく紹介しています。

キノコレは コチラ

私も『死に山』を読みましたので、軽く感想を。

奥野さんから「この本面白いですよ」と本を渡されたとき、
タイトルの「死に山」を見ただけで
なんだか怖そうな本に思えて「うっ…」となったのですが、
本の帯をよく読んで印象が変わりました。

この本は、ノンフィクションでした。

本の帯には、
「冷戦下のソヴィエトで起こった世界的未解決遭難怪死事件」
とあります。

1952年にウラル山脈で起きた遭難事故は謎だらけです。
極寒の山にもかかわらず、
上着や靴を脱いでいたり、
骨が砕けたり、舌を喪失したメンバーも。

この事件にアメリカ人のドキュメンタリー映画作家が挑みます。

そして、あるい結末にたどり着くのですが…

この物語はノンフィクションですが、
淡々と事実を書き連ねていくのではなく、
大変生き生きとした文章で物語を描いており、
夢中で読んでしまいました。

読み物として大変面白かったです。

かなりボリュームのある本ですので、
週末の3連休にでもじっくり読んでみてはいかがでしょう?

そうそう。
この著者は、最初はネットでこの事件のことを検索していたそうです。
でも結局、現地まで行っています。
結果として、現地に行かなければわからないこともありました。

そうなんですよ!
今の時代、ネットで簡単に検索できます。
そして、行った気になったり知った気になったりしがちですが、
やはり実際に行かなければわからないこともたくさんあるのですよね。

この本は、どこかの資料やネットで得た情報だけでないところがいいのです。

今の時代、ネットの中の記事ならよく読んでいるという方もいると思いますが、
同じ文章を読むなら、やはりプロの書いた本を読んだ方が面白い、と私は思います。

この本に限らず、是非3連休は何か1冊、本を読んでみませんか?

yukikotajima 12:24 pm

論理ガール

2018年9月26日

学生時代、「数学」は得意でしたか?

私は子どもの頃からそろばんをしていたので計算は得意でしたが、
学年が上がるにつれて計算だけではどうにもならず、高校以降は文系でした。

今日のキノコレ(13時45分頃〜grace内コーナー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
文系の方でも楽しめる理系の小説です。

『論理ガール〜Lonely Girl〜人生がときめく数学的思考のモノガタリ
/深沢真太郎(実務教育出版)』

奥野さんの推薦文は コチラ

奥野さんからこの本をすすめられたとき、
表紙のイラストを見て漫画かな?と思ってしまいましたが、違いました。

この本は、読むだけで数学的思考力・論理的思考力が身につくという
数学自己啓発小説でした。

自己啓発の本は色々あるけれど、「数学」の本は初めてかも。

「数学でビジネスパーソンを救う」をモットーに活動する
ビジネス数学の専門家である深沢真太郎さんによる初の数学的自己啓発小説なんだとか。

物語は本のタイトルにもなっている
論理的だけど孤独(ロンリー)な17歳の数オタ女子高生・詩織と
チャラめな高校の先輩ホテルマン・翔太が
「数学は人生を救うのか」をテーマに様々な会話をしていくというものです。

と説明すると難しそうですが、全然そんなことはありません!

私は自分のことを、感覚を大事にしつつも論理的な思考もある、と思っていたのですが、
この本の詩織ちゃんの話を聞いて、全く論理的では無かったな…と気付きました。

私はまさにザ感覚的な人生を送っていました。

もちろん自分の感覚も大事だけど、
それだと正直モヤモヤが残ることもあります。
でも数学的考えをすることで心ガスッキリすることもあるのだなと
この本を読んで学びました。

この本、高校生が主人公なのでもちろん高校生にもおすすめですが、
働く大人の皆さんにもぜひ読んで頂きたい一冊です。

それこそ漫画を読む感覚で楽しみながら読めて、同時に学べると思います。

数学オタクの彼女の言うことには
「世の中のほとんどのことは数学で説明できる」そうですよ。

いや、そんなの無理だって!
と思った方こそ読んでみてください♪

yukikotajima 11:28 am

波の上のキネマ

2018年9月19日

最近はどんな映画をどこで見ましたか?

テレビでレンタル作品見た方もいれば、
スマホでネットにアップされた作品を見た方もいるかもしれません。

今は映画を見るスタイルも様々ですが、
以前は映画を見ると言ったら、映画館で見ていましたよね?
富山にもたくさんの映画館がありました。

私が富山に来た2001年もまだ今よりも映画館の数は多く、
当時車を持っていなかった私は、
仕事が休みの日は、よく街なかに映画を見に行っていました。

今日ご紹介する本は、商店街のはずれにある小さな映画館の物語です。

『波の上のキネマ/増山実(集英社)』

主人公は、小さな映画館「波の上キネマ」を
父から引き継いだ40代の男性「俊介」です。

駅前のシネコンに比べると
波の上キネマは、スクリーンは1つ、座席数は100余りで、
場所も商店街のはずれにあり、収益は落ち込む一方でした。

不動産業者から閉館と買収の話を持ちかけられるほどです。

しかし、祖父が創業した映画館を閉めたくない俊介は悩みます。

収益のことを考えると閉めたほうがいいけれど閉めたくない俊介は、
いつか閉めることになったとしても
祖父が始めた映画館がこの世に生まれた証を残したい、
と映画館の歴史を調べることにします。

調べていくうちにいろいろなことがわかってきました。
祖父は最初から映画館の仕事をしていたわけでありませんでした。
なんと若い頃の祖父は、ある密林の中で強制的に働かされていたのです。

そこは脱出不可能と言われる場所で、仕事も大変なものでした。
そして、なぜかその密林の中に映画館があったのだとか。

祖父はなぜそこに行ったのか。
また、脱出不可能の場所からどのようにして脱出して
尼崎で映画館を始めたのか。
そもそも密林の中の映画館とは?

俊介は祖父が若かりし頃働いていたその場所に向かうことにします。

ここから、俊介のおじいちゃんの若かりし頃の物語が始まります。
時は戦前。小林多喜二が亡くなった1933年頃のことです。

若者だったおじいちゃんが、
どのように生き、おばあちゃんと出会い、
尼崎で映画館を始めたのかが描かれるのですが、
このおじいちゃんの物語がとにかくすごかった。
夢中で読み進めてしまいました。
いや、この作品は文章を読んでいるというより
映像を見ている気分、というか私もそこにいました。
すっかり作品の世界に入っていました。

時々本を読みながら世界に入り過ぎてしまうことがあるのですが、
この作品もそんな一冊でした。

本当に面白かった!

そうそう、今年没後50年の藤田嗣治らしき「藤田さん」も登場します。

話はそれますが、藤田嗣治といえば、富山県美術館にも作品がありますよね。
また、今、東京都美術館で「没後50年 藤田嗣治展」が開催中です。

私は昨日、東京にいたので見たかったのですが、
昨日は休館日で見られなかったのです…。
ああ、残念。見たかったなー。

ちなみに、展覧会は10月8日まで行われています。

話を戻します。
この小説には「藤田さん」も登場しますので、
ぜひ藤田ファンの方もお楽しみください。
きっとニヤニヤしながら楽しめると思います。

また、この作品はとにかく映画愛にあふれています。

たくさんの名作が登場し物語を彩っていますので、
映画好きの方はより楽しめると思います。

例えば、この作品は22の章にわかれているのですが、
それが全て映画のタイトルになっています。
『七人の侍』『タクシードライバー』『伊豆の踊子』といった具合に。

この本を読んで、これらの過去の名作も見たくなりました。

それぞれの映画を見て、もう一度この本を読んだら
さらに楽しめそうだなと思いまして。

様々な角度から楽しめる、秋にオススメの一冊です。
早速、今週末の連休にいかがでしょう?

yukikotajima 12:30 pm

花まみれの淑女たち

2018年9月12日

今週末は3連休ですね。
最終日17日の月曜は「敬老の日」です。
敬老の日は、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に過ごす
という方もいらっしゃるのでは?

今日ご紹介するのは、おばあちゃんたちが活躍する小説です。

『花まみれの淑女たち/歌川たいじ(角川書店)』

本屋さんをぶらぶら歩いている時に、
色とりどりのお花に囲まれた
女性たちのイラストの表紙があまりにも目立っていて、
思わず手に取ってしまいました。

おばあさんたちの物語と言いつつ、
主人公は、32歳の女性の由佳です。

ときはリーマンショックの翌年です。つまり2009年ですね。
このリーマンショックによって勤務先の会社が傾き
由佳はリストラされてしまいます。

何もする気が起きず、だらだら過ごしていた彼女は、
ある日、北新宿の「花まみれビル」に
集まって暮らすおばあちゃんたちに出会います。

見た目は、ほのぼのとしたシニアグループでしたが、
実は、スゴイおばあちゃんたちの集まりでした。

彼女たちは、このビルでお花を育てながら
様々な「お花の仕事」をしています。
例えば、ガーデニング教室をしたり、お店にお花を活けに行ったり。
また、東京で育てられないお花は
地方の高齢者たちが育てるお花を仕入れるなど、
なんと日本中にお花のネットワークを持っています。

これだけでもすごいのに、このおばあちゃんたち、実は探偵をしているのです!

ちなみに、メンバーのおばあちゃん曰く、
おばあちゃんというのは、探偵に向いているのだそうです。

若者がいないところでも必ずおばあさんは歩いているけれど、
世間はおばあさんたちを無視しているから目立たないのだとか。
また、写真を撮ったところで、まごついて立っているようにしか見えないと。

つまり、おばあちゃんであることを武器にしているのです!

そんなある日、オレオレ詐欺の被害にあったおばあさんを助けようと
おばあさん探偵たちは動き始めます。

警察ですら犯人を捕まえられずにいるのに
おばあちゃんたちに犯人を捕まえることはできるのでしょうか。

ところで、主人公のリストラにあった32歳の由佳ちゃんですが、
彼女は、結局このおばあちゃんたちとともに行動していくことになります。
さらに、恋をするもののなかなかうまくいかず…。

おばあちゃんたちの活躍と由佳の恋、
どちらも応援したくなる大変面白い一冊でした。
本のページをめくるのが本当に楽しかった!

年を重ねるのも悪くない、と思えました。
私もおばあちゃんになったら
おばあちゃんたちが暮らす「花まみれビル」に住んでみたいな。

誰も面倒を見てくれないのなら、
自分たちでどうにかするしかない!
とこれまでに自分たちが得た知識や人脈を使って仕事をし、
人生を楽しむおばあちゃんたちのなんて素敵なことか。

また、おばあちゃんたちの言葉が心に染みるのです。

例えば
「どいつもこいつもなんて思うときはね、たいてい自分が悪い」
「歳をとったからって、初めてのことがなくなるわけじゃない」
さらに、
「一番大事なのは、自分で自分に○○すること」なのだとか。

この○○は、何だと思いますか?
答えが知りたい方は是非本を読んでみて下さい。

この本を読む前と読んだ後では、
私自身の生き方が少し変わったように思います。
この本に出合えてよかった!
読むと元気になれます。
あなたも是非この連休中に読んでみて下さい。

『花まみれの淑女たち』、いつかドラマ化されないかな。
映画だと短すぎるので、ドラマとして丁寧に描いてほしい!

yukikotajima 11:56 am

わけあって絶滅しました。

2018年9月5日

今日のキノコレで紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
今話題の本『わけあって絶滅しました。(ダイヤモンド社)』です。

奥野さんがこの本について詳しく紹介していますので、
まずは、こちらからお読みください。

奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので軽く感想を。

大変面白かったです!

それぞれのいきものが自分が絶滅した理由を述べているのですが、
いきものたちは、性格も喋り方もまるで違って、わかりやすい!

これ、朗読会で読んだら面白そうだ!
と思ってしまったほどです。(笑)

例えば、ネアンデルタール人さんが絶滅した理由は
「想像力が足りなくて」なのですが、
まさかのラップ調で、どうして絶滅したのか語っています。

これには笑ってしまいました。

ちなみに、絶滅した理由も様々で
ネアンデルタール人以外で印象に残ったものは

・角に栄養を取られて絶滅した「オオツノジカ」さん

・イヌに病気をうつされて絶滅した「ニホンオオカミ」さん

などです。

ちなみに、「絶滅しそうで、してない」いきものも紹介されているのですが、
そちらでは、富山の県鳥「ライチョウ」さんも紹介されています。

ライチョウさんが助かった理由は…
気になる方は是非この本を読んでみてください。

この本では、いきものたちには「さん」がついていましたので、私もならってみました。

お子さんはもちろん、大人の皆さんにもオススメです。

yukikotajima 10:54 am

おやすみ、東京

2018年8月29日

去年の気まぐれな朗読会で私が読んだ作品は、
吉田篤弘さんの『台所のラジオ』から「毛玉姫」でした。

吉田さんの作品は、何か大きな事件が起きたり
ハイテンションな人が出てきたりするわけでは無いのだけど、
一度、吉田作品の世界をあじわうと、
この世界から抜けたくないと思わずにはいられない、心地よさがあります。

登場人物たちは、一見ふつうの人もちょっと変わった人も
知れば知るほどそれぞれの魅力が引き出されていって、
読んでいるうちにみんな私の友人に思えてきます。
まるで昔からよく知っているかのような。

以前、吉田先生の作品を紹介した時に
「いたって真面目な雰囲気なのに
どこかとぼけたところがあって、
真面目な部分とゆるさの按配が絶妙」
と私は感想を述べたのですが、今回もその絶妙な面白さを堪能しました。

***

今日ご紹介する本は、吉田先生の最新作、

『おやすみ、東京(角川春樹事務所)』

です。

今回の作品を読んで、あらためて吉田作品の空気感が好きだと実感!
たった1冊読んだだけとは思えないほどの充実感がありました。

というのも、この作品は12の短編が収録された連作短編集なのです。

舞台は、夜の東京です。
登場人物たちは夜の東京で働いています。

例えば、ある女性は映画会社で調達屋をしています。
その名の通り、撮影で使う小道具を調達するのが仕事です。

なかなか大変な仕事で、深夜に突然「明日の朝までにびわを用意して」と言われることも。

深夜に「びわ」が売っているお店はどこか。
そもそも今の季節に「びわ」は手に入るのか。
困った彼女は、夜に営業しているタクシーの運転手に電話をします。
調達屋の彼女はこのタクシーの常連でした。

その他、夜に電話で悩み相談を受けるオペレーターや
使わなくなった電話を回収する業者、
夜のみ営業している古道具屋、
同じく夜のみ営業している食堂で働く女性たちも登場します。

また、何かを探している人も少なくありません。
調達屋の女性は映画で使う小物を
ある女性は家を出たまま帰ってこない弟を
探偵の男性は脇役専門の俳優だった父が出演した映画を探しています。

『おやすみ、東京』は、連作短編集ですので、
ある話では脇役だった人が別の話では主役になるなど、
物語の主役が次々に入れ替わっていきます。
そしてゆるやかに登場人物たちが繋がっていきます。

ちなみに、夜のみ営業しているタクシー運転手によると
東京という街は思いのほか狭いそうで、
実は偶然出くわす確率が圧倒的に高いのだとか。

えー、そんなことないって!と思った方は、
小説の中の運転手さんの話を聞いてみてください。
この件について、たっぷりお話になっていますので。(笑)

東京が狭いかどうかは別としても、
登場人物たちの繋がりには、深夜ならではの特別感があるようには感じました。
深夜に起きて働いているからこそわかる共通の思いのようなものが。

例えば、普通、朝食は一日のはじめに食べるものだけど、
夜に働く人たちにとって朝食は仕事終わりに食べる夕食のようなものです。
私のような普通の暮らしを送る人にとってみれば、それだけでも特別に思えます。

この物語にも登場人物たちが仕事終わりの朝に食べに行く食堂が出てきます。

深夜の食堂って、まるで某ドラマのようですが(笑)、
この小説の食堂は渋い男性ではなく女性4人で営業しています。
大変美味しいということで人気があり、タクシーの運転手さんも行きつけです。
ああ、私も「ハムエッグ定食」を食べたいなあ。

***

『おやすみ、東京』は、まるでオムニバス映画を見ているようでもありました。

連作短編集ですので、紹介しすぎるとネタバレになってしまうため、
ぼんやりとした紹介になってしまいましたが、
とにかくとても良かったです!

夜の物語ですので、是非夜に読んでみてください。

いつか本当に映画化されてほしいなあ。
できれば、『深夜食堂』のような雰囲気で。

yukikotajima 12:34 pm

星空の16進数

2018年8月22日

ここ数日、県内を車で走らせながら
富山の夏の景色の長閑な美しさに触れています。

目に映る景色は、上から青空、濃い緑の山、そして下半分は田んぼの緑です。
美しい田舎の夏の色ですね。

今の季節は、青や緑のシンプルな色が目に飛び込んできますが、
じっくり見てみると、緑といっても色々な緑があります。

さて、あなたの目の前には何種類の色がありますか?

普段の生活では、色の数を意識することは、それほど無いのでは?
でもいざ色を数えてみると、世界は様々な色で満ちていることに気付くと思います。

今日ご紹介する小説の主人公の女性は、
目に映る色の名前が次々に頭に浮かんでくるほど、
「色彩」が生活に溶け込んでいます。

今日の本は、『星空の16進数/逸木裕(いつき・ゆう)』です。

主人公は、ウェブデザイナーとして働く17歳の藍葉(あいは)です。

高校は、他人とうまく会話することができずに退学しています。
学生時代は「空気が読めない」とよく言われていました。

例えば、遠足で訪れた田舎の景色を見て感動した友人が
「田舎は色があふれていていいな」と言えば、
「21個しかないよ」と答えてしまうような感じです。
そして、藍葉は田舎より都会のほうが圧倒的に色が多いと思います。

そんな彼女は、「混沌とした色彩の壁」の前に立つ夢をよく見ます。
それは以前誘拐されたときに見た光景でした。

実は、藍葉は子どもの頃、誘拐されたことがあります。
そして、その時に見た色彩の壁がいったい何だったのか、ずっと気になっています。

ある日、私立探偵のみどりという女性から
「以前は、大変なご迷惑をおかけしました」
というメッセージと100万円を渡されます。

ある人から藍葉に渡すように頼まれたのだそうです。

藍葉は誘拐事件の犯人からかもしれないと思い、
みどりに犯人の捜索を依頼します。

そして、みどりはかつての犯人が今どこにいるのか捜すことになります。

藍葉が誘拐されたときに見た色彩の壁とは?
そもそも犯人はなぜ誘拐をしたのか。

物語は、藍葉とみどりの二人の視点で進んでいきます。

***

私立探偵のみどりのお話には、17歳の藍葉だけではなく
読者である私自身も心が軽くなるようなものが多く、勉強になりました。

例えば、「私は空気が読めない」という悩みに対しては、
それは「個性」だと言います。

同じ写真を見ても、いいと思う人もいれば、そう思わない人もいる。
情報の解釈の違いは「個性」である、と。

また、その個性には後天的な技術、
つまり、これまで得た知識も関わっているのだそうです。

みどりさんの言うことには、センスと技術を合わせたものが個性なんだとか。

確かに、生まれ持ったセンスだけを個性と言ってしまいそうですが、
そうではない、ということをみどりから気づかされました。

情報を読み取る力が、後から得た知識も関係しているというのは、
絵画鑑賞にも同じことが言えますよね。

絵画作品を見るとき、自分のセンスだけで見るのもいいと思うけれど、
その絵画の情報を得たうえで鑑賞すると見え方が変わってきますものね。
ぼんやりとしていた作品がより鮮明に浮かび上がってきて。

この物語もまさに様々な情報を得るにつれ
最初に描いていたイメージ、見え方がどんどん変わっていきました。

私はこの本を読んだ後、世界に映る色を意識せずにはいられませんでした。
ああ、世界はこんなに色にあふれているのかと。
また、同じものを見ていても見え方は
人によって、知識によって、全然ことなるものだなとも思いました。
全ての人が自分と同じように物事を見ているわけではないのですよね。
そんな当たり前だけど忘れてしまいがちな大切なことに気付かされました。

ちなみに、小説のタイトルの「16進数」とは、ウェブデザイナーが使う色の示し方です。
小説の中には、独特な色の表現が繰り返し出てきて、
思わずどんな色か検索せずにはいられませんでした。(笑)

学生さんたちはまもなく夏休みも終わりですが、
この物語は17歳の女性が主人公で大変読みやすいですし、
色々大切なことも学べますので、
夏の終わりに読んでみてはいかがでしょう?

物語を読んだ後は、ぼんやりしていた世界が少しくっきり見えるかも。

yukikotajima 12:06 pm

れもん、よむもん!

2018年8月18日

ネッツカフェドライヴィンの今日のテーマは「久しぶり」でしたが、
お盆に実家に帰った時に、地元の本屋さんで買って帰りの新幹線の中で読んだ本が、
まさに今日のテーマ「久しぶり」にぴったりでした。

その本とは、はるな檸檬さんの
『れもん、よむもん!』というコミック・エッセイです。

漫画です!

大変面白い一冊で、新幹線に乗っている間に読み終えてしまいました。

著者のはるな檸檬さんは、子ども頃から本を読むのが大好きで、
国語の教科書はもらったその日に一年分を一気読みしてしまうほどです。

『れもん、よむもん!』は、そんなはるなさんの学生時代の愛読書が紹介された一冊です。

ゆるいタッチのイラストで内容もゆるめなので楽しく気軽に読めます。
でもただ軽いだけでなく、本を愛する気持ちは全てのページから感じられました。

また私も本好きなので共感の連続でした。

例えば、心動かされた本に出合ったときの感動をはじめ、
難しくて理解できなかった本を読んだあとの素直な反応にも共感。

また、本を読んでいる時に姿勢がころころ変わっていく様には、
これはまるで私だ!と笑ってしまいました。

どんなに本が面白くても、ずっと同じ姿勢は疲れるもので、
無意識のうちに読む姿勢が変化していくのですよね。

私も寝転がったり、片膝を立てたり、あぐらを組んだり、とにかくいろいろ試したものです。
いや、過去形ではないかも。
大人になった今も家で読む時には、色々な姿勢で読んでいるかも。(笑)

また、この本には私自身が過去に読んだ本も登場しており、
また読んでみたいなーと思いました。
とりあえず、山田詠美さんの『放課後の音符(キイノート)』はまた読みたい!

著者のはるなさんも昔読んだ本をあらためて読んで、
昔は全然理解できなかった本が、実はとても面白かったことに気付いたり、
昔感じたことをまた同じように感じたりされたのだとか。

そんなエピソードを読む度、私も昔読んだ本をまた読みたくてたまらなくなりました。

出たばかりの新作を読むのもワクワクして面白いけれど、
昔読んだ本を再び読むのも別の意味でワクワクできそうじゃないですか?

今ブログをお読みのあなたも、
子どもの頃の思い出の本を久しぶりに読んでみてはいかがでしょう?

忘れていた大切なことを思い出すかも〜。

yukikotajima 11:58 am

火のないところに煙は

2018年8月8日

ここ数日はそれほど暑くないですが、
この夏はとにかく暑いですよね。

暑い夏を涼しく過ごす方法は色々ありますが、
怪談も涼しくさせてくれますよね。

夏の夜、こわい話を読んだり、ホラー映画を見たり
時には、肝試しをしたり…。

今日ご紹介する本は、今話題になっている小説
芦沢央(あしざわ・よう)さんの
『火のないところに煙は(新潮社)』です。

芦沢さんというと、以前、『バック・ステージ』をご紹介しました。

◎私の感想は コチラ

『バック・ステージ』は、本のカバーをめくると
「お楽しみ掌編」が収録されており、
本を読み終えた後にも楽しみが待っていましたが、
今回は本の裏表紙に仕掛けがありました。

本を読んだ方だけが楽しめるものです。
是非ルーペをご用意してお楽しみください。

今回の作品は、そういった演出のほか、
作品そのものがこれはどういうことなの?
と思わずにはいられない内容になっています。

最初からエッセイなのかフィクションなのか
わからないスタイルで話が進んでいきます。

話は芦沢さんらしき作家さんのもとに、
東京の神楽坂を舞台に怪談を書かないか、
という依頼がくるところから始まります。

ある理由からできれば断りたいと思ったものの、
結局、怪談を書くことなります。

『火のないところに煙は』は、6つの話が収録された連作短編集です。
それぞれ人から聞いた話で構成されています。

ただ、最初のお話だけは作家の友人の話であり、
作家自身も少し関係しています。

ある日、大学時代の友人から、お祓いのできる人はいないか相談されます。

というのも、友人カップルが、
ある占い師から「結婚をすると不幸になる」と言われ、
本当に不幸になってしまったそうなのです。

悩みを聞いているだけの作家自身でしたが、
彼女も不思議な現象を目にすることになります。。。

その瞬間の怖さといったら…
是非本のページをめくって味わってください。

他には、

・狛犬の祟りに怯える女性

・起きてもいないことをまるで見たかのように話す隣の家に住む女性

・ある家に住むようになってから恐ろしい夢を見るようになった女性

・一人暮らしを始めたアパートで怖い体験をした大学生

の話などが収録されています。

そのどれもが、フィクションというよりも
まるで実話のように書かれています。

だから、こわい!

また、芦沢央さんは新ミステリの女王と言われている作家さんです。
怪談としての怖さもありますが、ミステリ小説としての面白さもあり
最後までゾクゾクさせられました。

ネタバレになるので、あまり具体的なことが言えないのが残念なのですが、
怖いのはもちろん、とにかく面白かったです。

私は、夜に本を読むことが多いのですが、
この本は、あえて午前中に読みました。
それでも、突然音が聞こえたりすると
うわあーっ!!といちいち驚いていました。
さらに、夜お風呂に入る時も寝る時もいちいちビクビク…。

より怖さを感じたい方は静かな夜中にお読みください。
きっとかなり涼しい夜を過ごせると思いますよ。

私はしばらく夜にはこの作品を思い出してしまいそうです…。

yukikotajima 12:16 pm