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むかしむかしあるところに、死体がありました。

2019年4月24日

まもなくGWですね。

今年のGWは10連休ありますので
普段本を読まない方でも何か1冊、本を読んでみませんか?

でも、読書は苦手…という方におすすめなのは短編集です。

まず、なんといっても1つの作品が短いので読みやすい!

長編の場合、途中まで読んで後日、続きを読もうとしても
あれ、そもそもどんな話だったけ?とまた最初から読み始めて、
そのうちもういいや、となることもありますが、
短編だったら短いので読み切ることができます。

また、作品を読み終えた!という達成感を得やすいのも魅力かなと思います。

今日ご紹介する短編集も
あまり読書が好きでない方はもちろん、
時間が無いけど何か本を読みたいという方にもおすすめです。

だって誰もが知っている物語をアレンジしている本なのですもの。
登場人物や設定などのベースがわかっていると読みやすくないですか?

今日ご紹介する本はこちら。

『むかしむかしあるところに、死体がありました。
 /青柳碧人(あおやぎ・あいと)<双葉社>』

本屋さんで本を選んでいる時に、
人気イラストレーター五月女ケイ子(そおとめ・けいこ)さんの
シュールなタッチで描かれた桃太郎や鬼の絵が目に飛び込んできて
思わず手に取ってしまいました。

本の帯には「昔ばなし×ミステリ」とあります。

『むかしむかし〜』は、
「浦島太郎」や「桃太郎」といったおなじみの「日本昔ばなし」に
ミステリ要素が加わった短編集です。

お話のタイトルも変わっています。
「浦島太郎」は「密室龍宮城」に
「桃太郎」は「絶海の鬼ヶ島」になっています。

ちなみに、一寸法師、花咲か爺さん、鶴の恩返し、浦島太郎、桃太郎
の5つが新しいお話に生まれ変わっています。

例えば、桃太郎がベースの「絶海の鬼ヶ島」は、鬼目線で物語が進んでいきます。

鬼ヶ島では過去に桃太郎に退治されずにすんだ鬼たちがひっそりと暮らしていました。
桃太郎のことを知るのは長老の鬼のみ。
若い鬼たちにとって桃太郎はすでに過去の人でした。

そんなある日、鬼ヶ島の鬼たちが次々に殺されます。
遠い昔、キジや猿たちに殺されたのと同じような殺され方で。

もしやまたあの桃太郎たちがやってきたのか…。
鬼たちを殺したのはいったい誰なのか?

というような感じで描かれていきます。

***

私はこの本を読んで
2017年の気まぐれな朗読会の時に披露した
星新一さんの『未来いそっぷ』を思い出しました。

朗読会の報告は コチラ

『未来いそっぷ』は星さんのアレンジが加わったイソップ物語です。

例えば、アリとキリギリスなんて
働き者のアリより遊んでばかりのキリギリスのほうが
魅力的に見える描き方をしています。

もしよければ、『むかしむかしあるところに、死体が〜』の本と合わせて
星新一さんの『未来いそっぷ』も読んでみてください。 

どちらもおなじみのベースの物語をそれぞれアレンジしたものなので、
きっと豊かな読書時間を過ごせると思います!
それから頭が柔軟になるかも。

yukikotajima 11:45 am

思わず考えちゃう

2019年4月17日

今日のキノコレ(13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は
絵本作家ヨシタケシンスケさんのスケッチ解説エッセイ
『思わず考えちゃう(新潮社)』です。

◎奥野さんの解説文は コチラ

私もこのエッセイを読みましたので、軽く感想を。

エッセイのタイトルのとおり、ヨシタケさんは、
「ついつい考え過ぎちゃう」のだそうです。

でも、ヨシタケさんは考え過ぎて辛くなるのではなく、わりと楽観的で、
世の中の99%はどうでもいいことだけど、
そこにこそ、その人らしさがにじみ出ていると言います。

そして、「すべてのものが何かの役に立てられるはずだ」
と思うようにしているそうです。

これ、私も同じことを思っています。

私の人生を振り返ってみても、
ああ、やっちまった〜!ということだらけだけど、
それも含めての私だし、
ま、この失敗もきっと意味があったんだよ、と思うようにしています。

だから、ヨシタケさんの気持ちがよくわかる!

クスッと笑ったり、わかるー!と共感したりすることの多いエッセイでした。

エッセイの中で印象に残った言葉は「心の中にゴミやしき!」です。
これ、どうでもいいことばかり考えている
ヨシタケさんの心の中を表現されたものなのですが、
おもわず「うまい!」と声を出してしまいました。

まるでファミレスで飲み放題のドリンクを飲みながら
ヨシタケさんとお喋りをしているような気分で読めました。

ちなみに、この本は『思わず考えちゃう』がタイトルですが、
本の表紙には「あわよくば、生きるヒントに。」とあります。

「あわよくば」というのがヨシタケさんらしいのですが、
実際、このエッセイを読んだ後は、ヨシタケさん的目線になって、
今まで気付かなかったことに気付けて
世界がちょっと面白く見えるかもしれません。

ヨシタケさんのスケッチ(ゆるいタッチのイラスト)がメインのエッセイですので、
長文を読むのが苦手…という方にもおすすめです!

ぜひ軽い気持ちでページをめくってみてください。

yukikotajima 11:11 am

あたしたちよくやってる

2019年4月10日

昨日、本屋大賞が発表され、
瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された(文藝春秋)』が大賞に選ばれました。
おめでとうございます〜。
この作品はラジオでご紹介したので嬉しい!

◎私の感想は コチラ

血のつがなりの無い複数の親たちに育てられた少女の物語です。
優しさに満ちた愛あふれる作品です。
ぜひお読みください。

***

さて、今日のgrace内コーナー「ユキコレ」でご紹介するのは、
FMとやまでもおなじみの富山出身の作家、山内マリコさんの新作です。

『あたしたちよくやってる(幻冬舎)』

これまで私は山内さんの作品をほぼ読んでいますが、
毎回思うのは本のタイトルが絶妙だということ。
今回のタイトルも最高です。

仕事で疲れているときや
人から嫌なことを言われたとき
何もかもがうまくいかないとき
本屋さんでこの言葉を目にしたら、
その瞬間、涙がこぼれ落ちそうだもの。

「わたし」じゃなくて「あたし」なのもいい。

『あたしたちよくやってる』には、短編小説とエッセイ、合わせて33編が収録されています。

どんな内容なのか、著者の山内さんからコメントを頂きました。

***

graceリスナーのみなさん、こんにちは! 山内マリコです。

新作『あたしたちよくやってる』は、
デビュー以来さまざまな雑誌や新聞に書いてきた
短編小説やエッセイがたくさん詰まった一冊です。
そして、女性の方にぜひともぜひとも読んでもらいたい一冊です。

わたしが30代をとおして痛感した、女性の役割の重さ、複雑さ、
その瞬間瞬間の正直な気持ちや課題、悩み、葛藤が詰まっています。

この本が、〜しなければ、〜であらねば、
という無言のプレッシャーにさらされながら、
毎日生きている女性たちの、心をふわっと軽くする、さりげない祝福となりますように!

***

山内さん、コメントありがとうございました♪

私もこの本を読んで心が軽くなりました。
解放感がありました。

日々の嫌なことに対して、イラッとしたり落ち込んだりしながらも
大人だし、いちいち気になんかしていられれない、
と自分の感情に気づかないふりをしている方もいらっしゃると思います。

私自身も何を言われてでも大丈夫!と強くなった気でいたけれど、
この本を読んで、本当はあれもこれも本当は嫌だったんだなと
私の中の「嫌だ」という感情があらわになりました。
まさに解放です!

大人だからという理由で我慢していた様々なことに対して
「我慢しなくていいよ。あたしたちよくやってるよ!」
と言われているような気分になり、作品を読みながら涙。

私は誕生日を迎えるたびに
「今が残りの人生の中で一番若い」
と思うようにしています。

そうしないと残りの人生、ずっと「もう若くないから…」と言いながら、
色々なことを年齢のせいにしてあきらめてしまうような気がするので。

でも、別に「若い」ことを意識しなくてもいいなと。
今が残りの人生の中で一番若いのは確かだけど、
若さは関係なくて、ただ「今」を楽しめばいいんだなと
この本を読んで気付かされました。

33ある作品のうち、お気に入りの作品はたくさんあるけれど
特に好きなのは最後の作品。

ショートストーリー「超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史」

どんな話なのかは何も知らずに読んでいただきたいので言いませんが、
この作品でも私は泣きました。

ああ、ヒサコかっこいい!!!
私もヒサコみたいな人生を送りたい。

それから、この作品は様々な映画や音楽が登場しますので、
本を読んだ後に登場した作品を見たり聞いたりしたくなります。

あ、あと「しずかちゃんとジャイ子」が登場する作品もあります。
えーあのしずかちゃんが!と思うような物語ですが、私はスカーッとしました。(笑)

女性の皆さん、必読の一冊です。
ぜひお読みください。

yukikotajima 12:11 pm

新年度にぴったりの2冊

2019年4月3日

こんにちは。田島悠紀子です。

2001年のアナウンサー生活からこの春で19年目となりました。

今年度もFMとやまでは
graceの水曜、木曜土曜のネッツカフェドライヴィン
を担当していきますので、引き続き、よろしくお願いします。

さて、今日のgrace内コーナーのキノコレは、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから児童書を2冊ご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。

『メシが食える大人になる!よのなかルールブック/高濱正伸(日本図書センター)』

この本は、著者の高濱さんが、
これから社会に出ていくこどもたちに伝えておきたい本当のことを
50の「よのなかルール」としてまとめたものです。

こども向けですが、どちらかというと大人にこそ必要な1冊です!
新社会人の方にはもちろん、ベテランの皆さんにこそ読んで頂きたい。

大人になるにつれ、なんでもわかった気になったり、
自分が一番正しく他人が間違っていると思ったり、
他の人の意見を受け入れなかったりする大人たちのなんと多いことか!

私ももう若手と言えない年齢になってきたからこそ、
この本を読んで、自分がなりたくない大人にならないように気を付けようと思いました。

ちなみに私が大人の皆さんに伝えたいと思ったのは

・すぐに「きらい」「苦手」と言って自分の世界をせばめない

・自分とはちがう意見にも素直に耳をかたむける

そして私自身の心の響いたのは

・合わない人がいるのは「よのなかの当たり前」だと知る

です。
最近、特にそれを感じることが多かったので、はっとさせられました。

新年度にぴったりの1冊です。
大人の皆さんこそ、ぜひ読んでみてください。

***

『身近なモノをなんでも数えてみたくなる!数え方図鑑
 /イラスト:やまぐちかおり(日本図書センター)』

こちらもお子さんだけでなく、大人の方にもおすすめです。
様々な者の数え方が載っています。

例えば、「3回」と「3度」では、意味合いが違うのだとか。

「回」はくりかえしおこなわれ、これからも起こる可能性があるものに対して、
「度」は、これっきりという意味が込められているのだそうです。

例えば「3度目の正直」とか「2度目の結婚」はあるけれど、
「回」ではないそうです。
結婚の場合は「回」の場合もあるかもしれないけれど…。

また、人を数える時は
人数がわかればよい場合は「人」で
名前が特定できる場合は「名」で数えるのだとか。

大変勉強になりました。

どちらの本もイラスト付きで大変読みやすいので、
ぜひご家族でお読みください。

yukikotajima 11:52 am

本と鍵の季節

2019年3月27日

ちょうど今、学生さんたちは春休み期間中ですね。
春休みはどのように過ごしていますか?
よかったら何か1冊、本を読んでみませんか?

読書なんてめんどくさい!と思うかもしれませんが、
でも、何か1冊でいいので読んでみてはいかがでしょう。

なんといっても1冊読んだという達成感が得られると思いますし、
もし今退屈な毎日を送っているのなら
きっとそれも解消できるはずです。

でも、何を読めばいいのかわからない方は、
いきなり背伸びせず、同世代が主人公の本を選んでみてはいかがでしょう?

こちらの本も男子高校生が主人公です。

今日ご紹介するのは、米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さんの新作
『本と鍵の季節(集英社)』です。

主人公は、高校2年生の図書委員の男性二人です。

一人は、堀川次郎。
もう一人は、松倉詩門(しもん)です。

堀川君は、成績はそこそこ優秀で、
他人から頼み事をされやすい男子です。
物語は彼の目線ですすんでいきます。

一方の松倉君は、背が高く顔もよく目立ちます。
その上、スポーツも勉強もできるという
まるで少女漫画に出てきそうな男子ですが、
手先は不器用で、皮肉屋でどこか大人びています。
そして、「詩門」という自分の名前が好きではありません。

そんな二人は図書委員をしています。

二人でほとんど利用者のいない図書室で当番を務めながら、
基本的にはどうでもいい会話をして、のんびり過ごしています。

ところが、この二人のところに様々な謎が持ち込まれます。

例えば…
図書委員の先輩からは、亡くなった祖父が遺した
開かずの金庫の鍵の番号を探り当ててほしいと頼まれ、
後輩男子からは、盗みの疑いがかけられた
兄のアリバイをみつけてほしいとお願いされます。

そして、この二人で様々な謎に挑んでいくという図書室ミステリです。

短篇集ですので、少しずつ読み進めていくことができます。
でも、それぞれが独立したお話でありながらもゆるやかに繋がっています。

また、図書委員として出会ったばかりの二人の友情が
謎を解いていくうちに深まっていく様も描かれています。

そんな二人が最後にある謎を解くことになるのですが…。

***

男子高校生二人の物語ですが、
言葉遣いが大人びていて、落ち着いたテンションの二人なので
ちょっとおじさんくささもあります。(笑)

でも、ふとした瞬間に見せる初々しい姿はやはり高校生で
どこか生意気な雰囲気もあるものの、憎めません。

また、若さゆえの失敗もあります。
たとえば、正しいことは言っているけれど、
その言い方は「正解」ではないというような。

でもこれ、大人にもありますよね?
言っていることは正しい。
でも、言い方がまずいから、相手を不快な気持ちにさせてしまう。

私にも経験はあります。
言われて不快になったことも
逆に相手を不快にさせたことも。

ミステリとしての面白さはもちろん、
高校生二人のやり取りから気づかされることも多かったです。

それから、最近「図書室」や「図書館」に行っていないので
久しぶりに行ってみたくなりました。

高校生が主人公ですが、もちろん大人の方にもオススメの一冊です。
主人公二人のテンションが高くないので、
大人の方でもじっくり楽しめると思います!

yukikotajima 12:06 pm

インソムニア

2019年3月20日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
富山出身の作家、辻寛之(つじ・ひろゆき)さんの
小説『インソムニア(光文社)』です。

奥野さんが本について詳しく紹介していますので、
ぜひ コチラ をお読みください。

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この本は第22回 日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品です。

選考委員をつとめた篠田節子さんは「テーマ、プロット、創作姿勢、すべて良し」、
朱川湊人さんは「深いリアリティーと迫力でぐいぐい読ませる作品」と絶賛しています。

物語は、アフリカに派遣されたPKO部隊の陸上自衛官七名のうち
一人が現地で死亡し、一人は帰国後自殺したことで、
メンタルヘルス官の男性が精神科医の女医と共に
残された隊員五名の心のケアをおこなっていくというものです。

ただ、現地で起きたことについての証言は全員食い違っており、
何かを隠している。。。と思った二人は、
PKO部隊の派遣先でいったい何がおこったのか調べ始めます。

フィクションですが、リアリティーがあって
まるでノンフィクションを読んでいるかのような錯覚に陥りました。

アフリカから帰ってきた隊員たちが眠れない夜を過ごしている
その理由を知りたいと思うのと同時に
踏み込んだら嫌な気持ちになりそうな気もして、
読みたい。いや、こわい。どうしよう?
といった相反する気持ちで本のページをめくっていきました。
独特な緊張感がありました。

いやあ、ほんとすごい世界でした。

ぜひあなたも本のページをめくりながら
スリリングな世界を味わってみてください。

それから、著者の辻さんは富山出身ということで
富山の食べもの&飲み物が出てきますので、
きっと富山の方はニヤニヤしてしまうと思います。

yukikotajima 11:36 am

熱帯

2019年3月13日

今日ご紹介するのは、今年デビュー15周年、
森見登美彦(もりみ・とみひこ)さんの新作『熱帯(文藝春秋)』です。

この本は、直木賞候補になったほか
4月に発表される本屋大賞にもノミネートされている話題作です。

すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
そんな方は是非grace宛に感想をお寄せください。

***

この『熱帯』は小説ですが、まるでエッセイのような始まりです。

まず、次にどんな小説を書くべきか分からずにいる小説家が出てくるのですが、
その方こそ森見さんご自身なのです。

森見さんは、小説が書けないので様々な本を読んで日々を過ごしています。
そんな中で最後に読み始めたのが『千一夜(せんいちや)物語』でした。

『千一夜物語』、あなたは読んだことはありますか?

この本は謎の本なんですって。
というのも、世界中に広がっていく中で
偽物が出てきたり、恣意的な翻訳がされたりしたため
物語の本当の姿を知る者はいないのだそうです。

別名、アラビアン・ナイトとも言われています。
また、有名な「シンドバッド」「アラジン」「アリババ」などは
『千一夜物語』には含まれていないのだとか。

その謎の本『千一夜物語』を読み始めてから
森見さんはある一冊の本を思い出します。

それは『熱帯』というタイトルの本でした。
森見さんが学生時代に読んだ本で、
半分ぐらいまで読んだ後、なぜかその本が消えてしまったのだそうです。

それから16年。
森見さんは幻の本『熱帯』を探し始めます。

ある日、この本の秘密を知る女性と出会うのですが、
彼女から衝撃的な一言を言われてしまいます。

「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」と。

その後、森見さん以外にも『熱帯』を読んだ人間たちが次々に登場します。
しかし誰もが最後まで読んだことはなく、
物語の内容に関しても途中からの記憶が曖昧です。

それぞれが覚えていることを話すことで
物語が明らかになっていくかもしれないと
『熱帯』を読んだ人たちが集まって語り合います。

そして、幻の本『熱帯』をめぐる冒険が始まります。

ん?語り合うだけなのに冒険?そんな大げさな!
と思いますよね。

これがまさに「冒険」なんです。

それも、とんでもなくハチャメチャな冒険です。(笑)

どんな冒険なのかは是非本のページをめくって楽しんで頂きたいので伏せますが、
森見さんらしい世界観がこれでもかというほど詰まっています。

めまぐるしく物語が変わっていくので、
本を読みながら私はまるで夢を見ているようでもありました。

寝ている時に見る夢って突然突拍子も無いことが起こったりしません?
まさにそんな感じでした。

あっちに行ったりこっちに行ったり、
あんなことやこんなことが起こったりと
飽きることなく世界が繰り広げられていきます。

さて、幻の本『熱帯』とはどんな本なのでしょうか。
是非、あなたも大人の大冒険へ!

ただ、この本は500ページ以上ある長編ですので、
お時間のある時に読むのがいいかも。

あ、それから、私は、本を読む時に本のカバーを外してから読むのですが、
おかげで、よりこの本を楽しめました。

普段カバーを付けたまま読む方も是非外してみてください。

yukikotajima 11:15 am

そして、バトンは渡された

2019年3月6日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
『そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ(文藝春秋)』です。

こちらの本はキノベス!で1位になった作品です。
キノベス!は紀伊國屋書店スタッフオススメの本ランキングのことです。

キノベス!について詳しくは コチラ

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこちらの本を読みましたので、軽く感想を。
とても温かく優しさに満ちた一冊でした。

主人公は17歳の森宮優子です。
本のタイトルは『そして、バトンは渡された』ですが、
彼女自身がバトンのように様々な親の間をリレーされ、
4回名字が変わり、家族の形態は7回も変わっています。
でも物語はとても温かいのです。

血の繋がらない各時代の親たちは皆優しいし、ちゃんと娘を愛しています。
そして娘も親たちのことが好きです。

様々な事情があって親が次々に代わっていき、
17歳の今、彼女の父親をしているのは37歳の森宮さんです。
母親はいません。

この森宮さんとの生活をベースに
彼女がこれまでどんな親たちに育てられたのかが描かれていきます。

一番登場シーンの多いのが今のパパである森宮さんです。
この森宮さんがとてもいい人で、
血の繋がりのない17歳の娘を大切にしているのが良く伝わってきます。

でも、時々娘への思いが強すぎて失敗したり、過去の父親たちに嫉妬したりと
可愛らしい部分もあり、いい味を出しています。

17年間で7回も家族の形態が変わるというと
それだけで「不幸」だと思ってしまいそうですが、
彼女の人生は幸せです。

読みやすいのでさらりと読めてしまいますが、
でも、読んだ後もずっと心の中に作品が残り続けます。

もし私が、この物語の親の一人になったとしたら
どんなことを感じるのかな?と思わずにはいられませんでした。

様々な世代に読んで頂きたいけれど、
特に、頭がかたくなりがちな上の世代の方たちに読んで頂きたいかな。

もう若手とは言えない年齢になった私も、この本と出合えてよかったです!
この本を読む前と後では家族の形に対する思いがだいぶ変わりました。

yukikotajima 11:54 am

発現

2019年2月27日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、こちら。

『発現/阿部智里(NHK出版)』

作品については奥野さんが紹介していますので、
是非お読みください。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

著者の阿部さんは1991年生まれの今年28歳。
お若い作家さんです。
出身は私と同じ群馬県!

『八咫烏シリーズ』が累計100万部を突破している人気作家です。

私は新作の『発現』を全く知識を入れずに読んだのですが、
いやあ、怖かった。。。
タイトル通り何かが「発現」する、、、つまり現れ出るのですが、
その「何か」の怖いこと怖いこと。

私が味わった恐怖を皆さんにも同じように味わっていただきたいので
具体的なことは伏せますが、
私は夜中、静まり返った中でこの本を読んだため
一層怖さが増しました。

この本の魅力を存分に堪能して頂くなら
私と同じように静かな夜に読むことをおすすめします!

物語は平成と昭和の出来事が交互に展開していきます。
そして二つの時代で似たような不可解な事件が起きます。

いったいなぜそんなことが起きたのか?
それぞれ、事件についての調査が行われます。
彼らが辿りついた答えとは?

***

本を読み終えた後、眠いにもかかわず
怖さのあまりなかなか寝付けませんでした。(笑)

客観的に読み始めた作品なのに
気付けば私自身が当事者の気分でした。

最近、毎日が退屈で何か刺激が欲しいなあという方は、
是非本のページをめくってみてください。

退屈は気分は一瞬で吹き飛ぶはずです!

yukikotajima 11:49 am

ひとつむぎの手

2019年2月20日

毎年4月に本屋大賞が発表されます。

「売り場からベストセラーをつくる!」をモットーに
書店で働く書店員の投票だけで選ばれる賞のことです。
大賞はもちろんノミネート作も小説が読まれるだけではなく
次々に作品がドラマや映画に映像化されています。

例えば、2017年に2位だった森絵都さんの『みかづき』はドラマ化され、
ちょうど今放送されています。

書籍に関する賞は色々ありますが、
身近な賞でもある本屋大賞は
毎年必ずチェックしているという方もいらっしゃるのでは?

今年もノミネート10作品が発表されました。

◎ノミネート作品は コチラ

発表は4月9日(火)です。

今年はどの作品が大賞を受賞するのでしょう?
楽しみですね!

***

今日は、そのノミネート作品の中の一冊をご紹介しましょう。

『ひとつむぎの手/知念実希人(ちねん・みきと)(新潮社)』

 

知念さんと言いますと、去年も本屋大賞に作品がノミネートされ、
『崩れる脳を抱きしめて(実業之日本社)』が8位に選ばれました。

また、『神酒(みき)クリニックで乾杯を』がドラマ化され、
現在、BSテレ東で放送中です。

知念さんは今注目の作家さんのお一人です。
しかもこの方、現役の医師でもあります。

『ひとつむぎの手』も病院が舞台です。

主人公は、大学病院で働く三十代半ばの心臓外科医、平良(たいら)です。
仕事が忙しく病院に泊まり込む日々です。

そんな中、医局の最高権力者・赤石教授から三人の研修医の指導を指示されます。
ただでさえ忙しいのに、研修医の指導なんて無理!
それも3人同時になんて絶対無理!
と思った平良でしたが、
彼らを入局させれば、心臓手術件数の多い病院への出向を考えてもいいと言われます。
心臓外科医としては、出向先でどれだけ経験を積めるかが大事なんだとか。

これはチャンス!と研修医の指導をすることになります。
ところが、個性派ぞろいの研修医たちとなかなか距離を縮められません…。

通常の仕事も忙しく、その上、研修医の指導をしてヘトヘトの平良でしたが、
ある日、医局の最高権力者である赤石教授を告発する怪文書が出回り、
明石から「犯人探し」を命じられます。

さて、平良はすべての問題を無事、解決することはできるのか?
という物語です。

***

物語は勢いがあって面白かったです!

次々に問題が続出するので、
複雑になり過ぎて理解できなくなりそうなところを
まるできれいに手術するかのごとく、物語をおさめていきます。

さすが現役医師!

よくある医療モノは、腕のいいドクターが難しい手術を次々に成功していきますが、
平良はスーパードクターではありません。
もちろん仕事はできるけれど、他にも腕のいいドクターはいるし、
人としても嫉妬したり、選択を間違えたり、落ち込んだりもします。
だからこそ身近に感じられます。

平良には、仕事をするうえで大事にしていることがあります。
一瞬、心が揺らぐことがあったとしてもぶれません。
そこが彼の魅力です。
ちなみに、後輩たちからは「お人好し」と言われています。

本の帯に「ラスト30頁、あなたはきっと涙する」と書かれているのですが、
天邪鬼な私は、人から「きっと泣くよ」と言われると
絶対に泣かない!と思ってしまうのですが、
悔しいかな、この作品は泣きました。(笑)
まあ、その前にもすでに何度か泣いていたのですが。

この作品も2年後くらいにドラマ化されそうだなあ。
そしたら絶対に見たい!

yukikotajima 11:27 am

82年生まれ、キム・ジヨン

2019年2月13日

今、ある本が女性たちを中心に話題になっているそうです。

その本とは、韓国で100万部を突破し映画化も決まったベストセラー小説
『82年生まれ、キム・ジヨン/チョ・ナムジュ 訳:斎藤真理子(筑摩書房)』です。

先日、紀伊國屋書店富山店に行った時に
文芸担当の書店員さんに何かオススメの本はあるか聞いたところ、
教えて頂いたのが、この『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。

韓国では、国会議員が「女性が平等な夢を見ることができる世界を作ってほしい」
と願ってムンジェイン大統領にプレゼントしたのだとか。

その一方で、この本を読んだと発言したアイドルが炎上するなど、
韓国では社会現象になったそうです。

その韓国で話題の小説が日本でも去年12月に発売され、日本でも話題になっています。
また、すでに発売された台湾でもベストセラーになり、
現在、ベトナム、英国、イタリア、フランス、スペインなど17か国で翻訳が決定しているそうで、
今や韓国だけでなく、世界的に話題になっています。

***

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、小説です。

タイトルの「キム・ジヨン」は、
韓国で82年生まれに最も多い名前なんだとか。

この小説は、彼女がこれまでの人生で
女性というだけで受けてきた困難や差別について描かれています。

例えば、年上の姉たちよりも男性というだけで弟が優遇されたり、
大学時代のサークルでは女性は会長にはなれなかったり。

また、就職活動では女性だけが苦戦。
優秀な女性は「女があんまり賢いと会社で持て余す」と言われてしまうし、
面接では女性だけセクハラ質問を受けます。

この本を読みながら泣けてきました。
これ、私も経験あるな、というエピソードが数多くあって。

セクハラ質問は、私も就職活動中にありました。
結局その会社は落ちましたが、落ちてほっとしたほどです。

キム・ジヨンが受けた差別は、就職した後も続きます。
また、差別に負けないように必死に働く一方で、
それが本当に正しいのか、とも思います。
例えば、妊娠中に与えられた権利を彼女は拒否してしまったことで、
女性の後輩の権利を奪ったかもしれないと気付きます。

その後も、結婚、出産、育児と頑張り続ける彼女でしたが、ある日、おかしなことを言いだします。
そして、精神科に通い始め…。

***

この小説は韓国の女性の物語ですが、
韓国だけでなく、世界中の女性たちから共感を得ています。

でも、この本を男性にこそ読んで頂きたいと私は思います。

もしかしたら、なんでこんなに辛いと思うの?とか、これの何がおかしいの?
と何も感じない男性もいるかもしれません。

でも、中には女性の辛さを理解してくれる男性もいるはずです。

全員が理解をするのは難しいかもしれないけれど、
でも、この一冊から世の中が変わり始めているのは確かなことです。

ぜひお読みください。

yukikotajima 11:38 am

ファクトフルネス

2019年2月6日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)では、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから、今話題の本

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)
 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
 /ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド(日経BP社)』

をご紹介いただきます。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この本を見た最初の印象は「なんだか難しそう…」でしたが、
読み始めてすぐ、それは間違いだったとすぐに気付きました。

大変興味深い話題が続き、気付いた時には著者のハンス・ロスリングの話に夢中でした。

今の時代、ネットでどんなことも簡単に調べられるけれど、
情報が溢れすぎていて、何が真実かわかりにくくなっています。
また、昔は正しかったことも今は間違いということもあります。
つまり、私たちが学生時代に学んだことの中には
もう事実ではないものもあるのです!

この本の表紙には
「あなたの“常識”は20年前で止まっている!?」とあります。

どうですか?
今ブログをお読みのあなたは、ちゃんと様々な知識をアップデートできていますか?

ご自身の知識が最新のものかどうかは、
この本に出てくる13問のクイズをしてみればわかります。
あなたはどれだけ正解できるでしょう?

ちなみに、タイトルの「ファクトフルネス」とは 
データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣のことです。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、
それが、「ファクトフルネス」です。

「データ」にもとづき、というと、
数字ばかりでは、正しい判断はできない!
という現場至上主義の方からの批判がありそうですが、
この本はでは「数字だけがすべてではない」と言っています。

例えば、モザンビークの首相は、数字を見つつも現場にも足を運びます。
首相はお祭りにやってくる市民の履いている靴を観察して、
どんな靴を履いているかで、国の経済が発展しているかどうかを
前の年と比べているのだとか。

また、この本に書かれている「事実」が間違っているかもしれないじゃないか!
と思う方もいるかもしれませんが、
この本の最後には「もし間違いを見つけたら教えてほしい」と
メールアドレスが掲載されています。

ここまで徹底していることに感動しました。
「本当に正しい情報」を伝えるというのは、こういうことだなと。

間違いを否定されて、怒ったり事実を隠したりするようではダメですよね。
間違いを受け止め、正しい情報を発信していく。
そういう姿勢が世界に広がっていけば、
ちっぽけなプライドを守るためだけの嘘が無くなっていくのかもな、
と思いました。

あなたも学生時代に学んだ常識をこの本でアップデートして
「世界の本当の姿」を見てみませんか?

この本を読む前と後では、世界の見え方がガラリと変わると思います。

この本は、世の中のたいていのことは知っている…
いや、知った気になっている大人の皆さんに読んで頂きたい。
「大人の課題図書」と言ってもいいくらいです。

また、世界はどんどん不幸になっている…
と悲観的に見ている方にも。

世界は、思っているほど不幸ではないようですよ。
詳しくは、本のページをめくってみてください。

yukikotajima 11:34 am

気まぐれな朗読会2019

2019年2月4日

先週、2月2日土曜日の「気まぐれな朗読会2019」にお越しくださった皆さま、
ありがとうございました。

女将と仲居…ではございません。(笑)

気まぐれな朗読会は、
気ままプランの廣川奈美子さんと
graceの私、田島でお届けしている朗読会で、
今回で3回目でした。

1回目は コチラ

2回目は コチラ

今日のgraceには、たくさんの感想を頂戴しました。
それも嬉しい感想ばかり…涙。

ありがとうございます!

***

今回の「気まぐれな朗読会2019」も今までと同じく三部構成でお届けしました。

第一部は、気まぐれなバスツアー「とやま短望(たんぼう)」と題し、
県内各地の立山ビューポイントを美しい映像とともにご紹介しました。

私は、バスガイドになりました。(笑)

この写真、まるで旅行会社のHPに載っていそうだな。(笑)

格好はこんなでしたが、中身はいたって真面目にお届けしました。

写真中央のバスの運転手役の室田さんには第二部でもご活躍いただきました。
ありがとうございました!
ちなみに、この朗読会でおなじみの室田さんは富山で俳優をされているのですよ。

***

第二部は、以前graceでご紹介した去年のベストセラー
『わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』
をスペシャルゲストを迎えて演劇仕立てでお届けしました。

(◎以前書いた私の本の感想は コチラ ← 私の予想通りになりました。笑)

FMとやまの堀池アナ(左)と吉本アナ(右)がゲストとして登場!

局アナになる前は、こんな姿になって朗読することになるとは、
きっと二人とも思っていなかっただろうなあ…。(笑)

でも、実は二人ともノリノリでした!(特に堀池アナが!笑)

私は、足の長さだけで2メートルもある「ジャイアントモア」を担当しました。

実際に2メートルの足をステージ上で再現!
私は右上の白く光っている高いところで朗読しました。

そして、第二部を大変素敵な物語にしてくださったのが、歌、ギターの大谷氏!
まるでスナフキンのような大谷さんの音楽、最高でした。
大谷さん、ありがとうございました。

こちらは、休憩中の廣川姉さん…。
リアルに怖いっ!!!(笑)

***

第三部は、私と廣川さんがそれぞれ山本周五郎の短編を読みました。

私は、戦に出ている夫の代わりに約1ヵ月、女城主として戦った
真名女(まなじょ)の物語『笄堀(こうがいぼり)』を読みました。

城にはたった300人しかいない。しかも老人や女性、子供たちばかり。
それに対し、敵の石田三成の軍は3万!
しかし、真名女はこの戦いに挑みます。

自分には無理かもしれないと思っても、
できないと逃げるのではなく
自分にできることを精一杯した真名女。

真に強い人というのは、彼女のような人のことを言うのだと思います。

『笄堀』は、短篇集『日本婦道記』に収録されていますので、ぜひ読んでみてください。
左のナビの本もおすすめです。
私は今やすっかり山本周五郎ファンです。

なお、廣川さんは同じく山本周五郎の『鼓くらべ』を朗読。
さすがの貫禄でした。

***

そして、今回の朗読会も
演出の広田さんやカメラマンの小笠原さんをはじめ、
舞台監督、音響、照明、メイク・着付けなど
大勢のスタッフの皆さまとともに作り上げました。

お世話になったスタッフの皆さまも本当にありがとうございました。

そういえば、今日のgrace宛に届いたメッセージには、
「来年も絶対に行きます」というコメントが多かったです。
さっそくご予約ありがとうございます〜。(笑)
また、来年お待ちしています!

***

残念ながら来られなかった方も
第三部の山本周五郎作品のみ、
FMとやまで特別番組として放送します。

特別番組『気まぐれな朗読会2019』

3月3日(日)18時〜19時

ぜひお聞き下さい♪

yukikotajima 8:02 pm

いい女、ふだんブッ散らかしており

2019年1月30日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、

『いい女、ふだんブッ散らかしており/阿川佐和子(中央公論新社)』

です。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。
テレビでおなじみの阿川さんの最新エッセイです。

阿川さんと言いますと、2012年に『聞く力』がベストセラーになりました。
私も、もちろん読みました。

私の中では、デキル女!という印象なのですが、
この本を読んで、ちょっと印象が変わりました。

なぜなら、本のタイトル通り、
一見、阿川さんは完璧な女性に見えて
実は色々やらかしているのです。

この本を読むと、阿川さんがいかにお茶目であるかがわかります。

実はモノを捨てられない人で、家の中は荷物だらけなのだとか。
その他、色々お茶目なエピソードが綴られています。

そんな中で好きなのは、
「あれは2年ぐらい前のこと?」と思ったことは、
だいたいその倍の年月の経っている場合が多い、
というもの。

これ、私も最近同じことを思っていたので、
本を読みながら「わーかーるー!」と心の中で思いっきり共感していました。

何歳になっても「初心者になれる」ことが好きというエピソードも好きです。
テレビドラマに女優として出演したことについて書かれたものなのですが、
私も何歳になっても新しいことを初めて「教わる」ということは好きなので、
気持ちがよくわかりました。

頑固なお父様への思いは、
お父さんのこんなところがダメ!と言いながらも
愛が感じられました。

なんだかんだ言って、お父さんのことが好きなんだな、と。

でも、お父さんの特技を書くなら
「想像して腹を立てることができる」
というのには笑えました。
なんとお父様のことを「ネガティブオーラじいさん」と書いているのです!

本を読んでいると、阿川さんの明るい笑顔が浮かんでくるはずです。
本を読んでいるというより、お喋りに近い感じかな。

是非、阿川さんのお喋りに耳をかたむけてみては?

yukikotajima 11:04 am

『海近旅館』、『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

2019年1月9日

明けましておめでとうございます。

2019年も「ゆきれぽ」をよろしくお願いします。

今年も本の紹介をメインに
ブログをアップしていきますので、
どうぞお付き合いください。

今日のユキコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)でご紹介するのは、

『海近(うみちか)旅館/柏井壽(小学館)』

です。

柏井壽(かしわい・ひさし)さんと言いますと、
ドラマ化もされた『鴨川食堂』シリーズが人気です。

私も以前ラジオで紹介しました。

◎『鴨川食堂』の感想は コチラ

ちなみに、今はシリーズ化され、
『鴨川食堂おかわり』『鴨川食堂いつもの』『鴨川食堂おまかせ』『鴨川食堂はんなり』
なども出ています。

『鴨川食堂』は、京都にある看板の無い、知る人ぞ知る食堂のことで、
この食堂では、もう一度食したい食べ物の味を少ない手がかりから再現してくれます。

どのお話も感動的です。
そして、どのお料理も美味しそうで食べたくなります。

いいお話が詰まっているので、
是非『鴨川食堂シリーズ』も読んで頂きたいのですが、
今日ご紹介するのは、別のお話です。

タイトルは『海近旅館(うみちかりょかん)』です。

海が近いだけが取り柄の海近旅館では、
名女将である母が亡くなったことで、
娘の美咲が若女将として働き始めました。

父が料理をつくり、兄が魚を仕入れているものの、
全てを母に任せていた父と兄は頼りにならず、
利用されたお客様から苦情の嵐。

お盆休みのピーク期でも満室にならないほどでした。

この父と兄が本当にダメダメです。
父は、頑固過ぎて他人の話に耳を傾けないし、
兄は、高級な魚を買ってくれば大丈夫!と信じて疑いません。

例えば、美咲が、どこかの海の高級魚より
目の前の海で取れた地元の魚をお客様は喜ぶはず!
と言っても全く理解されません。

そんな中、海近旅館に個性的なお客様たちが次々にやってきます。
彼らのとの出会いが、美咲をはじめ、父や兄を変えていきます。

どんな出会いがあり、
旅館がどのように変わっていくのかは
是非、小説を読んでみてください。

今回も『鴨川食堂』と同じくお腹がすき、
この旅館を利用したくなりました。

この旅館は少しずついい方向に変わっていくのですが、
そのきっかけを作るのは、外からの人たちです。
それも彼らは、いい面を伝えるのです。そこがよい!

例えば、ボロイと思っていた建物も
その価値がわかる人から、歴史的に素晴らしいものだと言われれば、
その途端、自分たちの旅館が今までより素敵に見えてきます。

自分では何も無い…と思っていても
他の人から見たら、魅力だらけということもあるのですよね。

わかりやすく読みやすい物語なので、さくっと読めます。
でも、色々な気付きもあり、
ああ、面白かった!と思うだけの物語ではありませんでした。
いい旅館とは?いいサービスとは?なども学べました!

この『海近旅館』もシリーズ化されていくのかしら?
それなら続きを読んでみたいな。

***

さて、今日はもう一冊ご紹介します。

昨夜、読んで大変よかったので、
これは是非一人でも多くの方に読んで頂きたいと思いまして
急きょ追加することにしました。(笑)

『あなたはの話はなぜ「通じない」のか/山田ズーニー(ちくま文庫)』

この本は2003年に出た本ですので、
すでにお読みの方も多いかも。

まだの方は、是非!

どうして私の話をわかってくれないのよ!と思ったことのある方は、
この本を読むことで、だいぶ気持ちが楽になると思います。

一方、相手の話がいまひとつわからないこともありますが、
そんな時の対応についても書かれています。

中には、人の話には一切耳を傾けず、自分の主張ばかりをしてくる人もいます。
そんな人と会話は、ああ、会話にならない…とあきらめることもあれば、
なぜか逆切れされ、は〜?(怒)と思うこともあるけれど、
そこで自分までキレてしまったら負けなのですよね。

では、どうしたらいいのか?
気になる方は、本のページをめくってみてください。

まるで欲していた水をごくごく飲むかのごとく
本のページをめくりながら本に書かれた言葉を吸収していきました。

気になるところに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまったほどです。(笑)

年のはじめにこの本を読めて良かった。
大げさではなく、この本を読む前と後では生き方が変わると思いました。

yukikotajima 12:06 pm

ショートショート美術館&2018年ベスト3

2018年12月26日

graceの毎週水曜の13:45頃からは、本の紹介をしています。

第1、第3水曜は、紀伊國屋書店富山店オススメの本を紹介する「キノコレ」
それ以外の週は、私、田島悠紀子オススメの本を紹介する「ユキコレ」
をお届けしています。

この1年も様々な本をご紹介してきました。

今日は、まず年末年始にオススメの一冊を、
後半は、今年私の印象に残った本ベスト3を発表します。

まず、年末年始にオススメなのは、

『ショートショート美術館 名作絵画の光と闇
 /太田忠司 田丸雅智(文藝春秋)』

です。

一枚の絵画を見たときに感じることは人ぞれぞれです。
例えば、絵の中の女性を見て、この人は何を思っているんだろう?
実は、ここから逃げ出したくて仕方ないのかもしれない。
などと想像することは、ありませんか?

私はよくやっています。

『ショートショート美術館』には、
太田忠司さんと田丸雅智さんの二人の作家が、
同じ一つの絵画についてそれぞれ物語を書いたものが収録されています。

シャガール、モネ、ゴッホなどの名画が登場し、
その絵画も掲載されているのですが、
モノクロなので是非ネットでカラーの絵画を検索して、
その絵を見ながらこの本を読んでみてください。

同じ絵画を見てもやはり人によって感じ方は全然違うものなのだな、
ということがこの本を読むとよくわかります。
だって二人の物語は全然違いますもの。
でも、それが面白い!

ショートショートなので一話五分で読めますし、
一冊でお二人の作風が楽しめますので、
そういう意味ではとってもお得!
ちょっとの読書時間でも満足できます。
どうです?
お忙しい年末年始に読むのにぴったりじゃないですか?

全部で10作品×2=20作品が収録されていますので、
お休みの間に少しずつ読んでみては?

***

さて、後半は、今年私の印象に残った本ベスト3を発表します。

第1位 『波の上のキネマ/増山実(集英社)』

商店街のはずれにある小さな映画館の物語です。
祖父がどのようにしてこの映画館を始めたのかが描かれているのですが、
このおじいちゃんの人生がすさまじくて、
夢中で本のページをめくってしまいました。
それこそ本を読みながら読書をしていることを忘れてしまったほど、
世界に入り込んでしまいました。

第2位 『サハラの薔薇/下村敦史(角川書店)』

乗っていた飛行機が砂漠に墜落。
生き残った乗客たちでオアシスへ向かうものの、
オアシスにはたどり着けないし、食べものや飲み物は残りわずかに。
果たして彼らは生きて帰ることはできるのか?
というハラハラドキドキが止まらない一冊でした。
また、緊張感に加えて、灼熱の砂漠が舞台ということもあり、
とにかく喉がかわきました。(笑)

第3位 『花まみれの淑女たち/歌川たいじ(角川書店)』

こちらは、探偵をしているおばあちゃんたちの物語です。
それも、おばあちゃんであることを武器にして探偵をしているのです。
例えば「若者がいないところでも必ずおばあさんは歩いているけれど、
世間はおばあさんたちを無視しているから目立たないのよ!」
って、かっこよくないですか?
出てくるおばあちゃんたちみんな、人生を思いっきり楽しんでいて、
歳を重ねていくのも悪くないと思えた一冊でした。

ああ、来年はもう○○歳か。はあ…。
と思っている方こそ、この本を読んでみて!

***

他にも面白い本はたくさんありましたが、
特に印象に残った3冊をあげてみました。
本のタイトルをクリックすると、過去に書いた私の感想が読めます!

今年も私の本紹介にお付き合いいただき、ありがとうございました。

yukikotajima 11:07 am

南砺 八魂一如

2018年12月20日

年末年始は、県外にお住まいの家族や友達と
富山で再会する予定の方もいらっしゃると思います。

富山に帰省した方たちは方言や食べ物など様々な面で富山を感じ、
富山にお住まいの皆さんも
あらためて富山の良さに気付かされることもあるのでは?

せっかくなら徹底的に富山の良さについて学んでみてはいかがでしょう?

富山新聞社報道局による書籍
『南砺 八魂一如(はっこんいちにょ)「一流の田舎」への挑戦』
がこの秋、発売されました。

今年1月〜6月まで富山新聞に連載されていたものをまとめたもので、
富山県南砺市がテーマの書籍です。

富山新聞社では、南砺を見つめることが、
日本全体の地方創生のヒントを探ることにつながると考え、
南砺市ををテーマにしたそうです。

南砺市というと、どんな印象をお持ちですか?

私は、五箇山や井波彫刻などがパッと頭に浮かびます。
昔ながらの伝統が守られた長閑なところ、
という印象があります。

面積が琵琶湖とほぼ同じだという南砺市は、
2004年11月に、福光町、城端町、井波町、福野町、井口村、
平村、上平村、利賀村の8町村が合併して誕生しました。
タイトルの「八魂(はっこん)」は、
南砺市の旧8町村がそれぞれ持っている個性や誇りのことで、
「一如(いちにょ)」は、仏教の言葉で、
「異なる現れ方をしながら一つのものであること」だそうです。

本書では、おなじみの城端曳山祭や井波彫刻、五箇山民謡などの伝統文化はもちろん、
南砺市での新たな取り組みなども紹介されています。

例えば、

・井波彫刻とコスプレ姿を融合させた写真を発信している若手クリエーター
→ツイッターで好反応

・結婚したい人の心に伴走する「おせっかいさん」
→138組が成婚。そのうち南砺市在住は99組。(取材時)

など、他にも多くの新たな取り組みが取り上げられています。

また、過去の南砺市の話題も読みごたえがありました。
私が一番心に残ったのは、
ダム湖に沈んだ村「刀利村(とうりむら)」のお話。
この本を読まなければ、私は刀利村のことや
「刀利の神様」と言われた山崎先生のことを知ることはできませんでした。

それから、利賀を世界的な「演劇の聖地」に育てた
劇団SCOTを主宰する鈴木忠志さんの言葉が印象に残りました。

「人が少ない村であっても、みんなが○○○○していればいい」

まさにそれ!
その通りだと思いました。

それから、南砺市生まれの画家、石崎光瑤の作品を見に
福光美術館に行きたくなりました。

そうなのです。
この本を読んだ後は、南砺市に行きたくなります。

また、「一流の田舎」に向かって、
今後、南砺市がどのように進化していくのかも楽しみになりました。

南砺市にお住まいの方も、そうでない方も
是非お読みください。

yukikotajima 12:17 pm

常設展示室

2018年12月19日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
原田マハさんの新作『常設展示室—Permanent Collection—』
をご紹介いただきます。

奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。
原田さんと言いますと『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』などの
アート小説でおなじみですが、今作もアート小説です。

人生の岐路に立つ6人の女性たちが世界各地の美術館で
一枚の絵画と出合うという短編集です。

その絵画の中に東山魁夷の『道』がありました。

私は、先月、東京に行ったときに
国立新美術館で行われていた
『生誕110年 東山魁夷展』で『道』を見たばかりだったので、
興奮気味に本のページをめくってしまいました。

登場人物たちが『道』について語り合っている時、
私も絵の前に一緒にいる感覚でした。
実際『道』を見た時、作品の前からしばらく動けませんでした。
ああ、なんて無駄のない美しさだと。
そして、眺めているうちに心が澄み切って、前向きな気持ちになれました。
本当に素敵な一枚でした。

この『道』にまつわる原田さんの短編もいいお話で、
この短編を読んだことで『道』がさらに好きになりました。

今回は短編集ということで、どれも短い作品ですが、
でもしっかり心に残る作品集でした。
6編それぞれが、常設展示室に飾られた作品のようでした。

そして、原田さんのアート作品を読むと、
原田さんのアート愛が強すぎるため(笑)しっかり感化され、
小説に登場した絵画を見に行きたくなるのです。

年内にどこかの美術館の、それも常設展を見に行きたいな。

yukikotajima 11:48 am

はつ恋

2018年12月12日

あなたの「初恋」はいつでしょうか。

子どもの頃、あるいは、中学生くらいでしょうか。
でも、本当に人を好きになったのは大人になってから、
という方もいらっしゃるのでは?

今日ご紹介する本は、アラフィフ二人の「初恋」物語です。

『はつ恋/村山由佳(ポプラ社)』

主人公は、小説家のハナさん。
年齢は、アラフィフです。
千葉の海の近くの日本家屋に猫ととも暮らしています。ハナさんは、2度の離婚を経て、
今は、子どもの頃の幼馴染の少し年下の彼氏と遠距離恋愛をしています。
ちなみに、ハナさんに子どもはいません。

ちなみに、この年下の彼氏さん、名をトキオと言います。

トキオも以前、結婚していて、
大阪で19歳の娘と70代の母親と暮らしています。

ハナとトキオは、子どもの頃、お隣さんだったので、
お互いの親のことも知っているし、
もちろん親のほうも子どもたちのことを知っています。

二人は、子どもの頃、ほんとうの姉と弟のように育ったのでした。

しかし、その後、二人は離れ離れになり、なんと38年ぶりに再会します。
アラフィフになって再会した二人は、付き合い始めます。

そして、ハナは思うのです。
「どんな自分を見せても大丈夫って思える。こんなの初めて」と。
つまり、自分にとっての初恋は今だと。

これまで2回結婚しているし、他にも恋人はいたハナでしたが、
それらすべてとは違う思いでトキオのことを思っていました。

『はつ恋』は、そんな二人の物語です。

アラフィフの恋と言うと、皆さん、どんな恋を想像するでしょうか。
この本を読む限り、私は、若い人たちの物語とそんなに変わらないなと思いました。
二人でいる時の会話なんて、20代だと言ってもいいくらいのはしゃぎっぷりですし。(笑)

実際、ハナさんは「恋に適齢期はない。落ちてしまえば、それが答えだ」と言っています。

でも、どんなに浮かれていても、醸し出す空気は、やはり大人です。
だから、読んでいても疲れません。(笑)

どちらかというと、癒されるほどです。
というのも、この物語には季節のお花がたくさん出てくるのです。

物語もそれぞれの章が「卯月」「皐月」など、旧暦になっていますし、
ハナさんの家の庭で咲いた、それぞれの季節のお花が登場します。

また、ハナさんはとても豊かな生活を送っています。
たとえば、道具や食器や洋服は、自分が本当にいいと思うものを選んでいます。
そして、それらを出し惜しみしないようにしています。

私もここ数年でやっとその思いに至りまして、
ハナさんと同じように、いいものを出し惜しみせず、
普段づかいするようにしています。
もったいないからとずっと使わない方がもったいないと気付いたのです。

この小説は、恋愛小説として楽しめるだけでなく、
豊かな生活を送るためのヒントもつまっていました。

例えば、花瓶など無くても、どんなものでも花器になると。
これは、すぐにでも実践しようと思いました。

本当に素敵な一冊でした。
読んでよかった。
いい時間を過ごせました。

そうそう!
ハナさんは、子どもの頃に「初恋」だと思ったものは、
「○○○恋だった」と別の表現をしています。

気になる方は、是非本のページをめくってみてください。

クリスマスまでもう2週間を切りました。
恋人がいない人もこの本を読むと、きっと恋をしたくなるはず!

特に、今、恋をしていない大人の皆さん、読んでみてください。

yukikotajima 12:11 pm

破天荒フェニックス

2018年12月5日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介頂く本は、

『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語 /田中修治』

です。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

人気メガネチェーン「オンデーズ」社長の田中さんが書かれた小説です。

様々な人から「きっと倒産するから辞めておけ」と言われた
メガネチェーン「オンデーズ」を買収し
社長になった30歳の田中さんが、
いかにしてオンデーズを再生したのかが
小説仕立てで描かれています。

企業小説といったら、池井戸潤さんの名前がすぐに出てくるでしょうか。

池井戸作品というと、意地悪な人が出てきたり、裏切りがあったりするものの、
そんな様々な困難に立ち向かう男たちが描かれていますが、
この作品にも同じような出来事が次々に起こります。

ただ、池井戸作品と違うのは、
主人公の社長は30歳の若者で見た目はチャライことと、
喋り方も考え方も行動も若者っぽさがあるということ。

池井戸ドラマにあるような
血走った眼で見つめ合いながら強く握手をする、
といったようなことはありません。

もちろん熱さはあります。
だけど、熱さの質が違うのです。

また、彼は彼で悩みを抱えています。
仕事にかける思いは純粋だし、真剣に仕事に取り組んでいるのだけれど、
若さやチャラさといった見た目の問題も加わってなかなか信用してもらえません。

そんな彼が、社員をはじめ、取引企業などの信用を得て
会社を再生させていく様が描かれています。

彼はどのようにして信用を得て、
どのようにして再生させていったのでしょうか。

物語としても大変面白く、ページをめくる手が止まりませんでした。
また、学びもたくさんありました。
気になる言葉に付箋を貼っていったら付箋だらけになってしまったほどです。

いくつかあげると…

・愚痴や不満はいい方向に変わってほしいという願いの裏返し

・品質の悪いものを売らなければいけないこと程、
 苦しくて仕事が嫌になることはない

・僕は「任せる」ことと「ほったらかす」ことを履き違えていた

など心に響く言葉がたくさんありました。

小説として面白いのはもちろん、学びもたくさんある作品です。

年末の今、この本を読むと、
新年からの仕事のやり方が変わってくるかも!

企業のトップや何かにチャレンジしたいという方はもちろん、
どなたでも楽しめる一冊です。
ぜひお読みください!

yukikotajima 11:40 am

燃えよ、あんず

2018年11月28日

前は頻繁に顔を合わせていたのに、
気付いたら最近、全然連絡を取っていない、という方はいませんか?

私は、大人になってから、そういう人が増えたように思います。

でも、久しぶりに会ったとしても
前に仲良かった人とは、不思議と自然に以前の関係に戻れるような気がします。

まあ、大人になると数年前がそんなに前に感じられない…
というのもありますが。(苦笑)

今日ご紹介する本は、まさに久しぶりに関係が復活した人たちの物語です。

『燃えよ、あんず/藤谷治(ふじたに・おさむ)<小学館>』

主人公は、下北沢で小さな書店・フィクショネスを営むオサムさんです。

そう、著者と同じ名前です。
どうやら、著者の藤谷さんは以前、本当に書店を経営していたそうです。

その書店には店主をはじめ、お客さんもなかなか癖が強い人たちが集まっていました。

『燃えよ、あんず』は、そんな個性派ぞろいのお客さんの一人、
どこか憎めない女子である久美ちゃんをめぐる物語です。

***

この書店は、店主が本当に売りたい本だけを扱っていたのですが、
なかなかお客さんが集まらなかったため、
文学の教室という文学の話をするカルチャースクールのようなものを始めます。

そこに通っていたのが、久美ちゃんでした。

久美ちゃんは、ある日、結婚します。
ところが、その後すぐにご主人が亡くなり、下北沢から離れてしまいます。

それから十数年。
ある日、久美ちゃんがお店に突然あらわれるところから物語が始まります。

物語の後半は、久美ちゃんの新たな恋のお話が中心になるのですが、
この久美ちゃんのことを、みんなが心配し、応援していきます。

特におせっかいなほどに熱いのが、オサムさんの奥さまの桃子さんです。

オサムさんは、正直、面倒だなーとか、なんでそこまでしなきゃいけないんだ…と
心の中ではブーブー文句を言っているのですが、
結局、桃子さんの言いなりになっています。(笑)

登場人物の全員が、ちょっとずつうざくて(笑)、
でも、嫌いになれなくて、
そして、優しくて、泣けてきます。

「幸せ」というと、まず自分の幸せを考えてしまうけれど、
この本に出てくる人たちは、自分の幸せではなく、人の幸せを考えている人が多いのです。

だからちょっとくらいうざくても、嫌いになれないのです。(笑)
なんだかんだ言って、みんないい奴じゃないかって。

『燃えよ、あんず』、いい本でした。

実は400ページ以上もある、かなりボリュームのある作品なのだけど、
面白かったので、長さを全然感じませんでした。

後半、ある癖の強い人物が出てきて、
いきなり作品のテイストが変わり、
このお話、どうなっちゃうの??と思ったりもしたけど、
そのドキドキも楽しかったです。
それに、何より笑えましたし!

心がギスギスしているという方は、
この『燃えよ、あんず』の世界に没頭してみてはいかがでしょう?

きっと読み終えた後は、笑って泣いてほっとして、
穏やかな気持ちになっていると思いますよー。

yukikotajima 12:24 pm

浪費図鑑、だから私はメイクする

2018年11月21日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから今話題の3冊をご紹介いただきます。

『浪費図鑑〜悪友たちのないしょ話』
『シン・浪費図鑑〜悪友たちのないしょ話2』

『だから私はメイクする〜悪友たちの美意識調査』

いずれも女性4人からなる文芸サークル、劇団雌猫(げきだんめすねこ)によるものです。

『浪費図鑑』は、オタク女たちの浪費事情を紹介している図鑑で、
アイドル、宝塚、お笑い、声優などにはまっている女性たちの熱い思いが綴られています。

一方、『だから私はメイクする』は、コスメ、洋服についての思いがつまっています。

奥野さんの紹介分は コチラ

***

あなたが最もお金をかけている好きなものは何でしょう?

私は、困ったことに好きなものが沢山あって、これが一番!とは決められません。
だって、自分がいいと思うものの順位は、その時によって変わっていくのですもの。

ちなみに、私が最近心動かされたのは美術鑑賞です。

先日、国立新美術館で開催中の二つの企画展
「ピエール・ボナール展」「東山魁夷に行ってきました。

全くタイプの違う企画展ですが、それぞれ感動しました。

ピエール・ボナールは、事前に雑誌やテレビ番組でどんな画家なのか予習していたので、
作品を見ながら彼の人生を辿っている感覚で楽しめました。
(写真は撮影OKのものです)

一方の東山魁夷は、とにかく色が美しくて眺めているだけで涙が滲んでくるほどでした。
特に東山ブルーと言われる青に惹かれました。

「ブルー」と言ったら、上野で企画展が開催されていることもあり
「フェルメールブルー」の人気が高いですが、
今の私は「東山ブルー」により心が惹かれます。

この青、いいと思いませんか? ↓
私は飽きずにずっと眺めていられます。

という感じで、今の私は美術鑑賞に心惹かれています。
でも、面白い小説を読んだ後は読書が一番になるし、
ミュージカルを観た後はミュージカルが一番になります。

そして、心ときめくものが年々増えています。

趣味が増えれば、その分、お金もかかるもので…。

その世界に興味の無い人からしてみれば、
「そんなにお金を使ってもったいない」と思われるかもしれません。

ちなみに今回、私が美術鑑賞に費やしたお金は3,000円でした。
絵に興味のない方からすれば、この金額は高いでしょうね。

3,000円あるなら、映画を2本観たい方もいれば、本を2冊買いたい方、
また、お酒を飲んだり、マッサージに行ったりするほうが
楽しめるという方もいらっしゃると思います。

心の満たされ方は人によって違います。

私は自分の心が満たされるものに、お金を使っていきたい!
まあ、私の場合は、もう少し節約しなければいけませんが…(苦笑)。

でも、これらの本を読んで、
好きなことに対して、みんなも結構お金を使ってるのね。
ジャンルは違えど、みんな同じじゃん!
と勝手に仲間意識が芽生えました。

人には浪費に思えることでも、
自分の心が満たされハッピーなら、
それは無駄遣いでは無いのだ!
と確信できた三冊でした。(笑)

このブログをお読みのあなたは、何に一番お金をかけていますか?

yukikotajima 11:07 am

47都道府県女ひとりで行ってみよう

2018年11月17日

今日のネッツカフェドライヴィンのテーマ「ひとり時間」です。

ひとりで過ごす時間は色々ありますが、
ブログをお読みのあなたは「ひとり旅」をしたことはありますか?

私、田島はあります。

私が思うひとり旅のいいところは、
なんといっても自分の思いのままに行動できるということ。

計画を立てても自由に変更できるのが好きです!

また、旅先で様々な方に気軽に声をかけられるのも魅力の一つです。

誰かと一緒だとその人との会話が中心になってしまいますが、
一人だと他の人とゆっくり話ができたり、
実はね…とこっそりいい情報を教えてもらえたりします。

時々、あれこれ質問をし過ぎて、これじゃあ、まるで取材じゃないか!
とハッとすることもありますが…。
職業病です。笑

私の中でひとり旅といったら、
現地の方たちとの交流は楽しみの一つなのですが、
旅の間はなるべく人とふれあいたくない方もいることを
この本を読んで知りました。

それは、イラストレーターの益田ミリさんの
エッセイ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』です。

益田さんは映画化もされた「すーちゃんシリーズ」でおなじみの方です。
ちなみに、今週のgrace内コーナー「ユキコレ」では
益田さんの小説『一度だけ』をご紹介しました。

◎『一度だけ』の感想は コチラ

『47都道府県女ひとりで行ってみよう』は、本のタイトル通り、
益田ミリさんが47都道府県をひとりで旅した記録をまとめたものです。

旅のルールは、益田さんが月に一度、
一つの都道府県のみ旅をするというもの。
北陸に来て富山、石川、福井を一気にまわるのではなく
一度に旅をするのは富山だけという感じです。
それも「ただ行ってみるだけ」の旅です。

読んでみてびっくり。
本当にゆるいのです。
まったくガツガツしていません。

有名スポットに行って、その土地の美味しいものを食べて、
旅先でこんないい人に出会ったよ!
という、ありがちな旅ではありませんでした。

おせっかいながら、この旅、大丈夫?と心配になったほどです。

だって、益田さんの旅は、
旅先で誰かとふれいあいたい気持ちがまったくおこならない
「内向的なひとり旅」なんですもの。笑

例えば、何かを体験したり食べたりしたくても、
そもそも人に声をかけることができないのです。
そして、仕方なく諦めていく…。
でも、無理して小さな勇気を使わなくてもいいや、とも思う。

そして、益田さんは旅で無理をするのをやめていきます。

名物だからと言って苦手なものを食べることはないと
デパ地下で自分の食べたいお惣菜を買ってホテルの部屋で食べ始めます。
そして食事代が浮いた分は、足つぼマッサージにまわしています。

つまり、楽しんでいらっしゃるのです!

本を読みながらあることに気付かされました。
私は旅をしている時に「楽しまなきゃ!」
と無理やり思っていたかもしれない…と。

私はお酒を飲むことも食べることも好きだし、
とりあえず有名な所には行っておこうというミーハーな人間なので、
益田さんとは旅のスタイルが異なるけれど、
でも、色々なスタイルがあっていいんだよな、と思いました。

好きなことや心地いいことって、人それぞれ違いますものね!

益田さんの旅は、最初はテンション低めですが(笑)、徐々に上がっていきます。
また、基本的にハイテンションではないため、
美味しいものや楽しいことに出合えた時の嬉しさがわかりやすく
本を読んでいる私まで嬉しくなりました。
益田さんが旅を楽しめるようになってよかった、と
またまた、おせっかいながら思ってしまいました。(笑)

そうそう!
もちろん富山旅のレポートもありましたよ。
益田さんがどんな富山旅をしたのかについては、
本を読んでお確かめください。

益田さんのように47都道府県を月に一度まわる旅は
なかなか真似できないけれど、
でも、私もまたひとり旅に行きたくなりました。
それも欲張り過ぎず、無理せず、自分が心地いいと思う旅に。

さあって、どこに行こうかな♪
そして何をしようかな。
私の心地いい旅とは、どんな旅なのか知る旅に出てみたい。

yukikotajima 10:00 am

一度だけ

2018年11月14日

よく「どうやって本を選んでいるの?」と聞かれます。
雑誌や新聞の書評を参考にすることもありますが、
本屋さんをぶらぶら歩きながら見つけることが多いです。

本の作者はもちろん、タイトルや装丁、帯を見ながら
心惹かれたものを手に取っていきます。

今日ご紹介する本も本屋さんで見つけました。

私の好きな作家のお一人、益田ミリさんの新作です。

益田さんと言いますと、
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』として映画化された
「すーちゃん」シリーズが人気です。

こちらは、すーちゃんの日常が描かれた四コマ漫画です。
素朴なタッチの絵で文字数もそれほど多くないのですが、
すーちゃんの本音が心に刺さるのです。
共感したり笑ったり時には涙がこぼれたり。

益田ミリさんは、この「すーちゃん」シリーズ以外にも
四コマ漫画やエッセイ、小説など様々な作品を発表されています。

今日の本は、そんな益田ミリさんの9年ぶり、2作目の長編小説
『一度だけ(幻冬舎)』です。

益田ミリさんの作品は、静かな日常が丁寧に描かれることが多いのですが、
この本の帯には「一年に一度でいい。熱く、熱い、夜が欲しい」とあり、
え?もしや大人な恋愛話?と思って手に取ってみました。

簡単にどんな話なのかご紹介しましょう。

主人公は、アラフォー姉妹の二人です。

姉の弥生は、夫の浮気が原因で離婚し、今は介護ヘルパーの仕事をしています。
一方の妹のひな子は、派遣社員で彼氏は長いこといません。

そんな二人は、姉の家で二人で暮らしています。

ある日、ひな子は母の妹である叔母の清子(きよこ)に誘われ、ブラジル旅行に出かけます。

清子は、夫が遺した財産で自由きままに暮らしていました。
旅行代金は、ビジネスクラス利用の一人180万円!
なんとこの金額を清子が全て出してくれたのでした。

オシャレをし、美味しいものを食べ、夫亡きあとも人生を謳歌している叔母に対し、
ひな子は、派遣社員としての契約が切れ、彼氏もいない36歳です。

一方、日本に残された姉の弥生は、なぜ旅行に誘ったのが、自分ではなく妹なんだろう、
と不満を感じつつも、ひな子が旅行で不在の間、
「毎日新しいことをするルール」を自分に課していきます。

そして、もう一人、彼女たちの母親も登場します。
この母親は、ブラジル旅行の代金と同じ180万円であることを計画します。

『一度だけ』は、そんな女性たちの物語です。

***

同じ女性と言っても、それぞれ置かれた状況は違います。
欲しいものも違います。

彼氏のいない妹は、とりとめのない気持ちを
わかりあえる恋人が欲しいと思うけれど、
現実的には、好きな人さえいません。

離婚をして仕事だけの日々を送る姉は、
雑誌にあった旅の特集や美人メイク術を
いつか自分の人生に取り入れたいと思うものの、
その「いつか」は私には永遠に来ないのかもしれない…と諦めモードです。

そんな二人に明るい話題が舞い込んでくるのですが、
果たして二人の人生はどう変わっていくのでしょうか。

この続きは、是非本のページをめくってみてください。

***

この二人は、今の人生に満足はしていません。
でも、妹はブラジルに旅に行ったことで、
姉は妹の旅行中、毎日新しいことをすることで、
これまでの日常に変化が出ます。

いい変化もあれば、そうではないものもあります。
でも、何かいつもと違うことをするのは悪くないように思いました。

何か新しいことをするのって緊張感がともなうものですが、
その緊張感が日常を輝かせるのかもな。

あなたは、いい緊張感のある生活を送っていますか?

やはり益田ミリさんの作品、好きだ!
またエッセイや四コマ漫画も読んでみたくなりました。

yukikotajima 12:09 pm

愛なき世界

2018年11月7日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
三浦しをんさんの新作『愛なき世界』をご紹介いただきます。

奥野さんの推薦文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

三浦しをんさんというと、
これまで様々なジャンルの頑張る人々の話を書いていらっしゃいます。

例えば、
『風が強く吹いている』は、箱根駅伝について、
『舟を編む』は、辞書を作る人たち、
『神去なあなあ日常』は、林業のお仕事、
『仏果を得ず』は、文楽の世界
を描いています。

私がこれまでよんだ三浦作品の一部をあげてみましたが、
これだけでも、かなりジャンルが幅広いことがわかりますよね。

今回の『愛なき世界』は、植物の研究をする人々について書かれています。

植物のことが好き過ぎて誰とも付き合えないという女性に
洋食屋さんの見習いの男性は恋をしてしまいます。

そんな彼と彼女の物語です。

彼女の物語は、ほとんどが植物についてです。

植物は、私も嫌いではありません。
家に観葉植物を飾っていますし、
自然の中を歩いたり、走ったりするのも好きです。

でも、この本を読むと、植物の好きの大きさの違いに驚きます。
私は、24時間植物のことを考えるほど好きではないですし。

一般的に植物が好きというレベルで
全然植物について詳しくない私ですが、
でも、登場人物たちの強すぎる植物愛に触れているうちに
私まで植物に対して愛おしい気持ちになっていきました。

また、作品を読みながら、
植物を愛する彼女のことも
そんな彼女に恋する彼のことも
応援していました。

二人ともそれぞれがんばれー!と。

『風が強く吹いている』の時もそうでしたが、
三浦しをんさんの作品は、登場人物たちを応援したくなるのです。
みんな何かに対して頑張っているので。

そして、応援しているうちに私まで
一緒に何かを成し遂げた気になって元気になります。

今回も爽やかなひとときを楽しめました。

また、この本を読んだあとは、
私の家の観葉植物がより可愛く感じられました。
よく見ると、確かに可愛いなあと思ってしまったほどです。
影響受けやすいな、私。(笑)

それにしても、三浦しをんさんは、いつも私の世界を広げてくれるなあ。

次回は、どんな世界を教えてくれるのかしら。
楽しみだ♪

yukikotajima 11:31 am

対岸の家事

2018年10月31日

このブログをお読みの方の中には
専業主婦の方もいらっしゃると思います。

富山は、働くお母さん、ワーキングマザーが多い県ですので、
専業主婦の方の中には「なんで働かないの?」
と言われるたびに嫌な気持ちになる…という方もいるかもしれませんね。

今日ご紹介する本は、
家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、
専業主婦の女性の物語です。

『対岸の家事/朱野帰子(講談社』)』

タイトルは「たいがんのかじ」と読みます。
「対岸の火事」ではありません。

ちなみに、対岸の火事とは、辞書によると
「自分には全く関係のない出来事で、
少しも痛くもかゆくない物事のたとえ」のことです。

その「火事」を「家事」にしたのがこの小説です。

著者の朱野帰子さんと言いますと、
以前、『わたし、定時で帰ります。』という小説をご紹介しました。

私の感想は コチラ

『わたし、定時で〜』は、長時間労働を良しとせず、
絶対に残業しないことをモットーに効率よく仕事をする女性の物語です。

そして、今回の『対岸の家事』は、
もう一つの長時間労働である「家事」について書かれた小説です。

主人公は、「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂です。
詩穂は2歳の娘と居酒屋勤めの夫の3人家族です。

詩穂は、「専業主婦」になることを望み、
娘も可愛いし、夫も優しくて幸せいっぱいなのですが、
自分の選択はこれでよかったのか、とたびたび悩んでいます。

例えば、なかなかママ友が作れなかったり、
ずっと娘と二人だけの日々に不安を感じたり、
ワーキングマザーたちから嫌味を言われたり…。

一方で、そのワーキングマザーも苦しんでいます。
子育てや家事をしながらも忙しい仕事を抱え、
自分の体調が悪くても休めないし、
誰にも頼ることができずにいます。

他にも、なかなか子どもが出来ずに
周囲の人たちからプレッシャーをかけられ続ける主婦や
仕事で忙しい妻の代わりに二年間の育休を取った夫などがいます。

イクメンという言葉はすっかり定着していますが、
それでも男性で育休を取る人は実際はまだまだ少ないため、
なかなか理解を得られません。

この本の中にも育休後「ゆっくり休めた?」なんて言われてしまった男性もいます。
休めるはずはないのに。。。

男性は男性で悩みを抱えているのですね。

この本に登場するイクメンの場合、仕事ができる人なので、
仕事のように思い通りにいかない子育てに苛立ちを感じています。
仕事のできないむかつく上司のほうが、まだマシだと思ったほどです。

『対岸の家事』は、誰にも相談できず、それぞれ悩みを抱えている人たちの物語です。

ちなみに、既婚者だけでなく、結婚していない女性も登場します。
ですから、この本の中には、自分の立場に近い人がきっといると思います。

みんなそれぞれ、何かしら抱えているものがあるけれど、
自分が大変な時は、他の人の辛さには気づけなかったり、
それどころか、自分以外の人のことを羨ましく感じたりしてしまうのですよね。

この本の中にこんなセリフがあります。
「みんな自分が持っていないものの話になると、冷静じゃなくなる」

この本を読むと客観的に様々な立場の方のことを知ることができ、
視野が広がるように思いました。

小説としての面白かったのはもちろん、色々学ぶこともできた一冊でした。
ほんとうに読んでよかった!

いま、子育て中で大変という方(男女問わず)にこそ、
この本を読んで頂きたいのですが、
本を読む時間なんてないっ!と言われてしまいそうですね。

それでも。
少しずつでもいいから、この本を読んでみてください。
きっときっと心が楽になると思います。

子育てをしているイクメンの皆さんもぜひ!

一方、家事は主婦がやるもの、仕事に比べたら家事のほうが楽だ、
と思っている男性(とくに年配の方たち)にも読んで頂きたい!

『対岸の家事』は、一人でも多くの方に読んで頂きたい一冊です。
ぜひ読んで〜。

yukikotajima 11:50 am

鏡の背面

2018年10月24日

今日ご紹介するのは、篠田節子さんの『鏡の背面(集英社)』です。

本の表紙には、カラヴァッジオの「ラザロの蘇生」が使われています。

カラヴァッジオは、西洋美術史上もっとも偉大なイタリアの芸術家で、
2016年に国立西洋美術館で大きな企画展がおこなわれていました。

カラヴァッジオは、優れた画家であるだけでなく、殺人者でもあります。

そんな二つの顔を持つカラヴァッジオの絵画が表紙に使われた
『鏡の背面』とはどんな作品なのか…。
早速ご紹介しましょう。

その前に。

先日、平野啓一郎さんの新作『ある男』をご紹介しました。

私の感想は コチラ

『ある男』は、夫が亡くなった後、
夫が別人であることがわかったという物語でしたが、
『鏡の背面』も始まりは似ています。

こちらは、火事で亡くなった女性の遺体が
別人のものだと判明するところから始まります。

亡くなったのは、心に傷を負った女性たちのシェルター
「新アグネス寮」の「小野先生」です。

新アグネス寮は、薬物やアルコール依存、性暴力、DV被害などによって
心的外傷を負った女性たちの社会復帰を目指す施設で、
小野先生は、親から受け継いだ莫大な資産を彼女たちの救済のためにささげ、
ともに生活をし、「日本のマザー・テレサ」と言われるほど慕われていました。

そんな先生が、新アグネス寮で火災が発生した時、
入居者を助けたことで亡くなってしまいました。

先生らしい最期だと誰もが思っていた中、死体が別人であることが発覚します。

生前に小野先生を取材したライターの女性は、
いったい亡くなった女性は誰なのか?
そして、本物の「小野先生」はどこに消えたのか?
調べ始めます。

そして、ある一人の女性が浮上します。
彼女は、連続殺人事件の容疑者としてマークされていた人物でした。

ここから長い長い物語が始まります。
実際、作品は500ページをこえます。

***

長い物語の中で、心に傷を抱えた新アグネス寮で暮らす
女性たちの過去も明らかになるのですが、
そんな彼女たちを救ってきたのが小野先生でした。

その小野先生が亡くなった後、彼女たちは心のバランスを崩していきます。

だって、心から慕っていた先生が亡くなっただけでもショックなのに
実は亡くなった人は別人で、過去に連続殺人の容疑までかかっている。
そして肝心の先生は見つからない。ときたら、
たしかにダメージは大きいですよね。

物語はいったいどこに辿りつくのか?
是非、秋の夜長にじっくり読み進めてみてください。

私の場合、物語の前半は、亡くなった女性は誰だったのか?が気になり、
後半は、本当にそんなことがあり得るのか…
と次々に明らかになっていく事実に衝撃を受けながら、
結局ページをめくる手を止めることができませんでした。

ちなみに、怖いページもあります。
私は夜中に読みながらちょっと音がしただけで、ひぃぃっとなりました。

あ、でも怪談ではありません!
怖さの質が違います。

この物語については、たくさん言いたいことがあるのですが、
感想を言えば言うほどネタバレになってしまうので、
この辺でやめておきます。

気になる方は、是非本のページをめくってみて下さい。

また、よく知る人が亡くなった後に別人であることを知ったという点では
『ある男』と読み比べてみるのも面白いかも。

yukikotajima 12:15 pm

読書の秋

2018年10月20日

今日のネッツ・カフェ・ドライヴィンのテーマは「読書の秋」です。

ラジオやブログでは、新作をご紹介することが多いですが、
今日は、少し前に出た本を2冊ご紹介します。

***

まずは、『ミュージアムの女/宇佐江みつこ』です。

岐阜県美術館のSNSで発表されていた四コマ漫画をまとめたもので、
監視のお仕事について紹介されています。

1年前に発売され、さまざまなメディアで話題になっているようです。

漫画に登場するのは、人ではなく猫です。
架空の、猫の顔をした猫人間?を主人公に
監視係のお仕事や美術館での楽しみ方が描かれています。

例えば、監視はお客様を見守るのが仕事ですが、
相手に気付かれて不快にさせない程度に見る技術が必要なのだとか。
確かに、監視の方たちからじーっと見つめられたら、作品を見づらいですものね。

また、展示室では作品に触れてはいけませんが、実は「壁」もダメなんですって。
これは知らなかった…。

と言う感じで、美術館の裏側を様々な角度から知ることができます。

それも、ゆるいタッチのイラストで
漫画も文字も手書きなので全体的にほのぼのとしています。
でも、美術館のお話なのでベースは上品です。
だからこその面白さがあります。

芸術の秋です。
この秋、美術館に行く前にまずはこの本を読んでみては?

きっと美術館がより身近に感じられると思いますよー。

***

もう1冊は、2年前の2016年に発売された本です。

『三の隣は五号室/長嶋有』

こちらは、平成28年度の「谷崎潤一郎賞」受賞作です。

とある木造アパートの一室に暮らした歴代の住人たちのことが描かれています。

住人達が皆「変な間取り」だと感じるのは、第一藤岡荘の五号室。
その五号室には、男性、女性、夫婦、家族のほか、外国の方が住んだこともありました。
同じ間取りでも使い方は人それぞれ。
ベッドを置く場所も人によって違います。

『三の隣は五号室』は決して派手な物語ではないのだけど、
読めば読むほど、愛着がわいていきました。

私もこれまでいくつかの賃貸物件に住んできましたが、
たぶん出会うことはないけれど同じ部屋に暮らしたことのある人が
どこかにいるわけですよね。

その方たちは、私が感じた不便を同じように感じていたかもしれないし、
もしかしたら私よりもっといい部屋の使い方をしていたかもしれないな、
なんてことを想像したら、楽しくなってきました。

だって、不思議な繋がりだと思いませんか?
みんな共通の繋がりがあるのに、お互いのことを知らない他人なんですよ。
いつか同じ部屋に暮らしたことのある人たちが集まって、
その部屋について話をする機会があったら面白そうかも。
壁紙に穴を空けたのは俺です…とか
あのシールを貼ったのは私です、
なんて感じで盛り上がれそうじゃないですか!

この本を読みながら、そんな妄想をしてしまいました。

一度でも賃貸物件に住んだことのある方は、是非読んでみてください。
きっと自分自身と重ねながら楽しめると思います!

yukikotajima 10:00 am

すぐ死ぬんだから

2018年10月17日

今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。

大変面白かったです!!

主人公は、78歳のおばあちゃん、忍(おし)ハナです。

このハナさんは、
「人間60代以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ」
という信条を持ち、美しさと若さをキープすべくオシャレをしています。
同世代は着ないようなファッションを取り入れたり、
ネイルサロンにネイルをしに行ったり。

夫は折り紙が趣味の穏やかな人だし、
家業を継いだ長男も真面目に仕事をしている。
その上、孫たちはみんなかわいい!
つまり、ハナさんは幸せな生活を送っています。

周りの地味な同世代の人を目にしては「薄汚い」とののしり、
「人は中身と言う女にろくな者はいない」と直接言うのではなく…
心の中で、毒づきます。
まあ、一応大人ですからね。心の中で思うだけです。(笑)

そんな自分に正直に生きてきたハナさんでしたが、ある日、夫が倒れ…。

この続きは本のページをめくってみて下さい。

たぶん、夫が倒れ、ハナさんは介護の日々が始まるのかしら?
と想像した方もいらっしゃるかもしれませんが、違います!

ここから物語が大きく動きします。
まさかまさかの展開で、夢中で読み進めてしまいました。

ハナさんもなかなか強烈なキャラですが、
ハナさんの家族も個性派ぞろいです。

内館さんの『終わった人』が映画化されたように
この作品もいずれ映像化されたそうだな。

それにしても最近、高齢の方が主人公の作品が増えてきましたね。

私も以前、 『花まみれの淑女たち』という
おばあちゃんたちが活躍する小説をご紹介しましたが、
これから先、元気な高齢者が増えるにつれて、
ますます、おじいちゃん、おばあちゃんが主人公の作品が増えていくかもしれません。

ちなみに、『すぐ死ぬんだから』も『花まみれの淑女たち』も
主人公のおばあちゃんたちがとにかくパワフルなのが素敵!
どちらの作品も読んで元気になりましたもの。

70〜80代にしてみたら、アラフォーの私なんて若者です。

40代は、まだまだ色々なことができるな、と改めて思いました。

最近、もう年だしなあ、、、と何かをあきらめかけている方は、
あきらめる前にこれらの本を読んでみてください。
きっと、私ももう1回頑張ってみるか、と思えるはずです。

yukikotajima 11:28 am

しずく堂の大人に似合う手編みこもの

2018年10月11日

ここのところの汗ばむような日も落ち着いて、
天気予報通り今日以降、気温は低くなりそうです。
今日も寒い一日となりました。

ニットの季節が近づいてきましたが、
今年は、ご自身で編んでみるのはいかがでしょう。
せっかくなら、オシャレなアイテムを作ってみませんか?

富山県在住のニット作家「しずく堂」さんの
『しずく堂の大人に似合う手編みこもの』という本が、先日発売されました。

この本には、帽子・靴下・マフラー・アクセサリーなどの
25のアイテムが掲載されています。

しずく堂さんは、これまでも本を出されていまして、
今までは、どちらかというとカラフルな編み込み模様の作風でしたが、
今回は、ベーシックな色柄で普段づかいしやすいものや
コーディネートの差し色になるきれいな色の小物など、
しずく堂さんが本当に作りたいものがセレクトされているそうです。

私も実際に読んでみましたが、まず、眺めているだけで癒されました。
また、色合いやデザインは、大人の方はもちろん、
幅広い年齢の方に似合いそうだと思いました。

定番でありながらもシンプルすぎず、
どれも実際に使いたいものばかりで。

また、この本には、作り方や編み物の基礎ものっていますので、
初心者も上級者も楽しめます!
 
寒くなってきたし今年は自分でニットを編んでみようかなという方は
是非『しずく堂の大人に似合う手編みこもの』を読んでみてください。
きっと素敵なアイテムが作れると思いますよー。

ちなみに、しずく堂さんによると
「この本の作品はgraceを聴きながら編んでいたものがたくさんあった」のだとか。

わー!嬉しすぎる!!ありがとうございます。
ということは、graceフレイバーもほんのり入っているってことかしら?(笑)

なお、しずく堂さんは、富山在住のニット作家さんですが、
編み物のワークショップも開催していらっしゃいますので、
直接レッスンを受けることもできます!

◎しずく堂さんのHPは コチラ

yukikotajima 6:11 pm