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御社のチャラ男

2020年2月26日

あなたの職場に「チャラ男」はいますか?

今日ご紹介する本は、『御社のチャラ男/絲山秋子(講談社)』です

この本に登場するチャラ男は、とある食品会社で働く44歳の三芳部長です。

物語は、三芳部長と同じ職場のメンバーや奥様など
彼をとりまく方たちが次々に登場し、
彼について語るスタイルで進んでいきます。

人によって三芳部長の印象は様々ですが、
共通しているのは「チャラ男」という認識です。

例えば、
・この人の話すことはコピペ。雑誌やネットの受け売りで自分が無い。
・自分の言葉と妄想に酔っている
など、社内での評価はあまりよくありません。

もし自分と同じ職場に三芳部長のようなチャラ男がいたら
私はできれば一緒に仕事をしたくないかなあ。

でも、いいところもあり、
年上女性からは「ダメダメな割に憎めない」とも言われています。
フレンドリーなのは彼のいい部分です。

この物語にはチャラ男自身の語りもあるのですが、
それを読む限りでは、確かに悪い人ではないような気が。

そして気付かされます。
人の噂って怖いなあと。
みんなが「あの人はね…」と噂すれば、
その人のことを良く知らなくても
噂だけで印象が決まってしまうのです!

そう、この本は噂話で成り立っているのです。

この本を読みながら、私はこの食品会社の社員の一人として
次々に様々な社員とチャラ男の噂をしている気分でした。

また、様々な人が登場しますので、
自分の感覚や状況に近い人もいれば、全くタイプの異なる人もいます。
そういった自分とは違う考えに触れることができるのも本ならではです。

人の本音はなかなかわかりにくいものですが、
小説の場合、堂々と頭の中を覗けるのが最高です!

タイトルに「チャラ男」とありますので、
物語もチャラいのでは?と思われそうですが、そんなことはありません。

最初は、社員の皆さんのチャラ男の愚痴物語かなと思ったものの、
徐々にチャラ男の存在感は薄くなっていき(というか慣れていき)、
登場人物それぞれの物語の印象が強くなっていきます。
そして、最後は予想もしていなかった結末が待っていました。
大変面白かったです!

それから、富山がお好きな絲山さんらしく富山の話題も出てきますので、
富山の皆さんはニヤニヤしながら楽しめると思います。

***

<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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◎フェアの詳細は コチラ


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場所は、実用書売場です。

<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号:   076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  2月26日(水)

HP:   http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 11:43 am

気まぐれな朗読会2020

2020年2月25日

2月22日(土)は「気まぐれな朗読会2020」でした。
お越しくださった皆さま、ありがとうございました。

気まぐれな朗読会は、
気ままプランの廣川奈美子さんと
graceの私、田島でお届けしている朗読会で、
今回で4回目の開催でした。

去年の朗読会の模様は コチラ

***

今回も三部構成でした。

一部は、高志の国文学館の新元号「令和」記念コーナー
で紹介されたガイドペーパーを美しい映像とともにご紹介しました。


二部は、「せつない星座物語」と題して
『せつない星座図鑑(三才ブックス)』をベースに
星座と神話の物語を朗読。

え?田島どしたの?なんて言わないで。笑

「愛と美の女神アフロディーテ」です。笑

アフロディーテ役の田島がそれぞれの星座物語を読み、
その横では、気まぐれな朗読会ではすっかりおなじみの
富山で俳優をなさっている室田勝さんが、
ゼウスをはじめ、さまざまな神様を演じました。

こちらは、ゼウスとアフロディーテ。
だから、田島どした・・・?と言わないで。笑

そして、廣川さんは占い師役として登場し、
今年の運勢を紹介しました。

ちなみに、占いは開運セラピストはるさんが
この朗読会のために占ってくださいましたので、本物です!


三部は、私と廣川さんがそれぞれ一人で作品を読みました。

まず、私が『狐物語/林芙美子』を朗読。

演出の広田郁世さんがとてもキュートな人形を作ってくださり、
まるで人形劇のようなスタイルとなりました。

こちらは、牛の赤兵衛と狐の六兵衛が会話をしているところです。

ああ、かわいい♪


廣川さんは『高野聖/泉鏡花』を朗読しました。

怖さと妖しさが入り混じった廣川さんの朗読に
会場の皆さんが真剣に耳を傾けているのがわかりました。

***

そして、今回も演出の広田さんをはじめ、
大勢のスタッフの皆さまにお世話になりました。

今回初めて朗読会にいらっしゃった方が
「映像や人形も出てくるなど、あんなに凝っているとは思わなかった。
また、来年も来ます」
とおっしゃっていて、とても嬉しかったです!

そうなのです。
この朗読会はスタッフの皆さんのおかげで
あれだけのことができているのですよー。

あらためて、お越しくださった皆さん、お世話になった皆さん、
本当にありがとうございました。

残念ながら来られなかったという方も
FMとやまでは来月、3部のみ特別番組として放送しますので、
ぜひお聞きください。

特別番組『気まぐれな朗読会2020』

オンエアー:3月22日(日)18時〜

yukikotajima 5:59 pm

「キノベス!」、「ノースライト」

2020年2月19日

今日の本紹介は、キノコレです。
紀伊國屋書店富山店の書店員オススメの本をご紹介します。

今日ご紹介するのは、「キノベス!」です。

「キノベス!」は過去1年間に出版された新刊を対象に、
紀伊國屋書店で働く全スタッフから公募した推薦コメントをもとに
選考委員の投票で決まった全力でおすすめするベスト30のことです。

面白いのは、スタッフの皆さんのコメントによって順位が決まっているということ。
人気作品ではなく、どれだけ熱い推薦コメントなのかどうかが大事なのです。

ですから「キノベス!」の冊子には、
スタッフの皆さんのコメントがもれなく載っています。
かなり熱いです!
この冊子を読んでいるだけでも楽しい気分になってきます。

それでは、今年の「キノベス!」の結果を発表しましょう。

第1位『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディ みかこ』

こちらは、私、田島も去年1位に選んだ作品です。

◎田島の感想は コチラ

書店員の皆さんのコメントは…

・「あいつの事嫌いだったけど、話してみたら意外と良いヤツだった」
という事が子供にも大人にも起こるのが人生ってやつなんだよ、
と教えてもらった気持ちです。

・凝り固まった思考を柔らかくほぐすように、私のスイッチを回してくれた一冊です。

私も大いに共感!


第2位『むかしむかしあるところに、死体がありました。
/青柳碧人(あおやぎ・あいと)』

こちらも去年、ラジオでご紹介しています。

◎田島の感想は コチラ

こちらは富山店の北村菖(あやめ)さんの推薦コメントが選ばれています。

タイトルと表紙からとても気になる一冊。
昔話の非現実さがありながら、
アリバイや殺害方法はしっかり辻褄が合い、読み応えのあるミステリー。
短編で読みやすいので、あまり本を読まない人にもおすすめ。


第3位『ノースライト/横山秀夫』


「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」でおなじみの
横山秀夫さんの長編ミステリーです。
私は未読だったので、今回読んでみました。

面白かったです!
400ページ以上ある長編なのですが、
夢中で一気に読んでしまいました。

主人公は、一級建築士の男性です。
「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」
という依頼で建てた家に誰も住んでいないどころか、
そもそも引っ越しをしていないことがわかります。
依頼者との連絡も取れないまま。
一体この家族はどこに消えてしまったのか。

唯一の手掛かりは、その新築の家に残された一脚の古い椅子。

ドイツの建築家、ブルーノ・タウトの椅子ではないか?
と思った彼は、依頼者の行方を探しながら、タウトの椅子についても調べ始めます。

主人公が謎を追う物語かと思いきや、それだけの物語ではありませんでした。
人が人を思うあたたかな人間ドラマでした。

紀伊國屋書店のスタッフの皆さんのコメントも熱いです。

・焦げるような熱さをともなう、生きた人間たちの物語

・こんな小説が読めるなら、何年何十年だって待ちます。


今日は、「キノベス!」の1位〜3位までをご紹介しましたが、
4位以下は、「キノベス!」の公式サイトでご確認ください。

◎『キノベス!』の公式サイトは コチラ

また、店頭には無料の特別小冊子がありますので、ぜひお手に取ってみてください。



***

<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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本物そっくり!ミニチュア楽器フェア
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ひとつひとつ丁寧に作られたミニチュア楽器のフェアです。

種類もサイズも豊富です。
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店内中央イベントコーナーで
今度の土曜日、22日からスタートします。

◎フェアの詳細は コチラ


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号:   076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  2月26日(水)

HP:   http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 11:13 am

タイガー理髪店心中

2020年2月12日

2月22日の気まぐれな朗読会まであと10日となりました。

気まぐれな朗読会は、
気ままプランパーソナリティの廣川奈美子さんと
graceの私、田島悠紀子でお届けする朗読会です。

◎気まぐれな朗読会の詳細は コチラ

3部構成で1部は、「令和」の出典『万葉集』を
2部は、ゲストをお迎えして楽しくお届けします。内容はヒミツ!
3部は、廣川さんと私がそれぞれ作品を朗読します。

私が3部で朗読するのは、林芙美子さんの『狐物語』です。

今日のユキコレでご紹介する本は、
林芙美子さんの本ではなく、
林芙美子文学賞を受賞した作品です。

紀伊國屋書店で本を探している時、
本の帯に書かれた「林芙美子文学賞受賞作」を見て、
「読みたい!」と思ってしまったのでした。

その本はこちら。

『タイガー理髪店心中/小暮夕紀子 (朝日新聞出版)』


林芙美子文学賞の選考委員の
井上荒野さん、角田光代さん、川上未映子さんに
絶賛されての受賞だったそうです。

こちらには2つの作品が収録されています。

まず、表題の「タイガー理髪店心中」

こちらは、寂れた町で「タイガー理髪店」を営む老夫婦の物語です。

理髪店にお客様がやってくることは稀で、
理髪師の夫はほぼ毎日、お店の前の椅子に座って町の様子を眺める日々です。

最近、妻が忘れっぽくなったと思っていたら
ある日、発作的に豹変してしまいます。
そんな様子に夫は戸惑います。

のんびりとした雰囲気から一転、後半は緊張感が漂います。
ぜひドキドキしながら本のページをめくってみてください。


もう一つの作品は、「残暑のゆくえ」です。

こちらは、小さな食堂を営む70代の女性のお話です。
彼女の趣味は、幼いころに亡くなった母のことを毎日思い出すこと。

なぜ母はあの日あんなことを言ったのか。
母はあの時、どんな気持ちだったのか。
毎日様々な想像をしては、喜んだり落ち込んだり。

そして、ある日、彼女は過去に母と住んでいた町に行ってみることにします。

こちらのお話もどこかのんびりとしつつも緊張感が漂っています。

いずれも短い作品ですが、あっという間に作品世界に引き込まれます。
そして、絵が見え、音がし、臭いも漂ってきます。

本を読んでいると「私、今、本の中にいる」と思うことがあるのですが、
この本もまさにそうでした。

いずれも短編ですが、読みごたえがありました。


そして2編とも年老いた人々のお話のため「戦争」が出てきました。

令和という新しい時代になり、
これから先、どんどん戦争を知る世代が少なくなっていきます。

戦争がずっと昔の過去の出来事のように思えるけれど、
でも、実はまだずっと苦しんでいる方もいるのですよね。

戦争が人々の心にどんな影響を与えたのか。
この本を読んで胸が締め付けられました。

また、戦争だけでなく、
人には何歳になっても忘れられないことがあるものだなと。

嬉しいことはもちろん、嫌なことや辛いことも。
人から受けた嫌な出来事も。
自分がしてしまったひどいことも。

色々な思いを抱えながら生きていくものなのですよね。

でも、年を重ねることで、
過去には気付けなかったことに
やっと気づいたり理解できたりすることもあります。

長い時間がかかってようやくわかったこと。
あなたにはありますか?

色々なことを考えさせられた2作品でした。
読んで良かった!

***

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<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号:   076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  2月26日(水)

HP:   http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 12:21 pm

島を救ったキッチン

2020年2月5日

この冬はなかなか雪が降らず、今日からやっと冬らしいお天気になりそうですが、
それでも冬がこれだけ暖かいということは
この夏はかなり暑くなるのではないか、と心配になります。

また、台風による被害も出ませんように!と願わずにはいられません。

日本では毎年、各地で台風の被害が出ていますが、
日本だけではなく、今、世界各地で様々な自然災害が起きています。

その中の一つ、カリブ海の島・アメリカ領のプエルトリコは、
2017年9月に史上最大級のハリケーン「マリア」で壊滅的な被害を受けました。

今日ご紹介する本は、いち早く被災地に駆けつけた人気シェフ、
ホセ・アンドレスの災害支援日記です。

『島を救ったキッチン
シェフの災害支援日記 in ハリケーン被災地・プエルトリコ
/ホセ・アンドレス、リチャード・ウルフ
訳:御舩(みふね)由美子【双葉社】』


こちらは、紀伊国屋書店富山店奥野晃英さんのオススメ本です。

まずは、奥野さんの推薦文をご紹介しましょう。

***

2017年、超巨大ハリケーンで壊滅的被害を受けたアメリカ領・プエルトリコ。

−たくさんの人を食べさせること

その言葉を胸に、島民たちが餓えと渇きに苦しむ中で
自ら料理を作りながら、被災地で人命に直結する
「食糧支援網」構築に乗り出した著者が記した災害支援体験記です。

日本でも、神戸、東北の大震災、
昨年の大規模な台風を始めとして
各地でたくさんの自然災害が発生しています。

国は違えども心の何処かで共感し、
もしもの時に「何かできるんじゃないか?」
という勇気を与えてくれる1冊です。

***

シェフのホセ・アンドレスは、アメリカでは超有名人です。
何軒もの高級レストランを経営し、メディアにも登場。
去年はノーベル平和賞にもノミネートされました。

そんな人気シェフのアンドレスは、
2017年、ハリケーン被災地のプエルトリコで様々な問題を解決しながら、
冷たい非常食ではなく「温かい、人の作った食事」をふるまい続け、
最終的には約300万食を支援したのだとか。

災害時に優先すべきは、水と食料。
しかも食事は栄養のある温かいものを提供することをモットーに。

また、地元の経済を活性化するために
食材などは地元の業者から仕入れるようにしていたのだそうです。

彼のもとへはシェフたち協力者が集まってきました。
彼らは「シェフス・フォー・プエルトリコ
(プエルトリコのために立ちあがったシェフたち)」
というグループ名をつけ、SNSでその活動を投稿しました。

実際、支援活動の中で一番大変だったのは、料理を被災者に届けること。
料理を運ぶ人や車が必要なのはもちろん、
現地のラジオ番組での発信も役に立ったようです。

そもそもアンドレスが食糧支援を行うようになったのは、
ハリケーン・マリアが襲来する7年前のこと。
同じカリブ海の別の島、ハイチを襲った大地震がきっかけだったそうです。

最初は、現地の人が普段食べる味付けと違うものを出してしまう
などの失敗もあったのだとか。
例えば、日本に当てはめるなら、食べたことのない海外の味付けのスープよりも
きっとお味噌汁が喜ばれますよね。

アンドレスは、ハイチで学んだことをプエルトリコで生かします。

でも、すべてがスムーズにいったわけではなく、問題は山積みでした。

例えば、誰よりも早く行動に移していたアンドレスに対し、
行政や現地で支援活動を行っていた大きな団体は会議に時間を費やしてばかりで、
協力を要請してもなかなか受け入れてもらえなかったのだとか。

このことをアンドレスは「人災」だと言っています。

被災地には大勢のボランティアがいる一方で、
コネや前例にしばられるお偉いさんたちもいました。

この災害支援日記は約400ページあります。
アンドレスがいかにしてプエルトリコを支援していったのかが事細かに綴られています。
同時に災害時のことも学べます。特に「支援」について。

この本を読んで本当に良かった!
皆さんも是非読んでみてください。



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キノベス2020!
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「キノベス」は、紀伊國屋書店のスタッフが全力でおすすめするベスト30です。

無料の特別小冊子もありますので、ぜひご覧ください。

店内中央イベントコーナーで開催中!

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<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号:   076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  2月26日(水)

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yukikotajima 12:17 pm

グッドバイ

2020年1月29日

大浦慶(おおうら・けい)さんという女性を知っていますか?

幕末がお好きな方なら、ご存じかもしれません。

大浦慶さんは、幕末の長崎で外国を相手に
茶葉交易に乗り出した伝説の女商人です。

今日は、そんな大浦慶さんの人生を描いた小説をご紹介します。

『グッドバイ/朝井まかて(朝日新聞出版)』

本を書かれたのは、2014年に『恋歌(れんか)』で
直木賞を受賞した朝井まかてさんです。

この『恋歌』も素晴らしい作品でしたが、
新作の『グッドバイ』も大変良かったです。

主人公は、長崎で菜種油を商う大浦屋の女あるじ、
大浦希以(のちに慶)26歳です。

時代は幕末。
当時、長崎に安価な油が出回るようになり、
慶は現状を変えるために、あるアイデアを出します。

それは、外国との交易を考えてみてはどうかというものでした。

ところが、同業の年上の男性たちからは馬鹿にされてしまいます。
長く続いてきたものを大きく変えようとすれば反発は避けられません。
まあこれは幕末だけでなく今も変わりませんね。

外国との交易をあきらめられなかった慶は、ひょんなことから
若いオランダ人の船員に日本の茶葉の見本を渡すことになります。

油ではなく茶葉なのは、外国人との会話の中で茶葉が売り物になると思ったから。

数年間は何の音沙汰もありませんでしたが、
ある日、見知らぬイギリス人が慶のもとへやってきて、
かなりの量の茶葉を注文したことから、慶は茶葉交易に本格的に乗り出します。

とはいっても、茶葉に関しては素人ですので、徹底的に茶葉について学びます。
また、変なものを売りたくないという思いから手抜きは一切しません。

その仕事ぶりは外国の商人たちから
「最も信頼される日本商人」と言われるほどです。

彼女のもとには様々な人がやってきます。
外国人もいれば、日本人も。
中には坂本龍馬ら亀山社中のメンバーたちもいます。

慶自身は国を変えようという気持ちはないけれど、
熱い若者たちの心に寄り添いたいと思い、彼らに資金援助をします。

稼いだお金を若者たちに使うって、お慶さんかっこよすぎます。

しかし、いいときは長く続きません。
また、慶自身も年を重ねていき、自分の変化に気付きます。
若い時分は後先考えずに動いたのに、今は先を読んでしまう、と。

若いころは無知ゆえの勢いがあるけれど、
年を重ねると知識や経験が増える一方、
同時に考えすぎてしまうものなのですよね。
それ、よーーくわかる!

そして、彼女は大きな失敗をしてしまいます。

その後、彼女はどう生きていったのか。
ぜひ続きは本のページをめくってみてください。***

彼女の人生は「仕事」そのものでした。

状況も関わる人も次々に変わっていきますが、
どんなときでも真面目に人と向き合い仕事に取り組んでいきます。
若いから、女だから、誰もやったことがないから、
と言われても彼女は気にしません

お慶さんかっこよすぎます!(2回目。笑)

私もお慶さんのような女性になりたいと思いました。
とてもいい本でした!

女性の物語なので、女性の方に読んで頂きたいのはもちろん、
おじさま世代の男性たちにもぜひお読みいただきたいです!



<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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芥川賞、直木賞受賞作品
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芥川賞受賞作
『背高泡立草(せいたかあわだちそう)
/古川真人(ふるかわまこと)【集英社】』

直木賞受賞作
『熱源(ねつげん)
/川越宗一(かわごえ・そういち)【文藝春秋】』

※芥川賞、直木賞ともに入荷しました。

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洋書バーゲンセールを開催中!
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絵本やフィクションを中心としたジャンルの洋書バーゲンです。

このバーゲンでは、普段、店頭で販売されている書籍ではなく
バーゲン用の書籍が特別に販売されており、現在大好評!

洋書ファンの皆さん、お得なこの機会をお見逃しなく〜。

◆期間:1月16日(木)〜2月16日(日)

◆場所:店内中央催事コーナー(※洋書売り場ではありません)


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号:   076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  2月26日(水)

HP:   http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 11:40 am

これでもいいのだ

2020年1月22日

今ブログをお読みのあなたは、年を重ねるにつれ何か変化はありましたか?

若いころより生きやすくなったという方もいれば、
逆に、年を重ねていくのが嫌だ…という方もいらっしゃるのでは?

そんな妙齢の皆さんにおすすめのエッセイがあります。

***

今日ご紹介する本は、
紀伊國屋書店富山店 文学担当の北村菖(あやめ)さんのオススメ本です。

『これでもいいのだ/ジェーン・スー【中央公論新社】』

北村さんのオススメコメントです。

ジェーン・スーさんが日常の中で思った様々なことが書かれたエッセイ66篇です。

ジェーン・スーさんとは年齢も環境も違うけれど、
共感できるお話がいくつもありました。

たいしたことではないけれど、悩んでいること、コンプレックスを
ジェーン・スーさんも同じように感じていて、
でもそれを「それでもいいのだ」と言い切ってくれるこの本に少し心が救われました。

66篇もあるので、誰が読んでも共感できるお話があるのではないでしょうか。

***

著者のジェーン・スーさんは、1973年、東京生まれの日本人で、
作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティとしてご活躍です。

これまでに
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』
『今夜もカネで解決だ』
『私がオバさんになったよ』
といったエッセイを出しています。

タイトルを見るだけでもスーさんらしさが伝わってきます。
そして、どのタイトルも秀逸です!

この流れからの新作のタイトルは『これでもいいのだ』。

本の帯には
「思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。」
とあります。

真面目に頑張っているのに色々うまくいかなくて、
私の人生って何だろう…と思ったとき、ふと書店でこの本を目にしたら
思わず泣いてしまいそうなコメントです。

うまくいないことだらけなのに年齢だけは重ねてしまっていて焦る!
私は一体どうしたらいいんだろう…と思うこと、ありませんか?

そんな時こそ、スーさんの言葉に耳を傾けてみては?

『これでもいいのだ』は、共感したり、笑ったり、突っ込んだり。
まるで友達のブログを読んでいるような親しみやすさです。

私が共感したのは、仲のいい友人との食事は、お互い話に夢中になりながらも
「これ美味しい!」といったような思ったことはすぐに口に出す、というもの。
でも、その後すぐに会話に戻れるのが快感だとスーさんはおっしゃっています。

私もこれにはおおいに共感!
会話のリズムの心地よさは、相手を選びますからね。
気持ちよく喋れる相手との食事は本当に楽しいものです。

その一方で、スーさんは、アドレナリンを放出せずに済む
ゆったりした付き合いも大事にされています。

これもわかる!
勢いよく喋るのではなく、のんびり過ごせる友人との時間も大切です。
全然タイプが違うからこその良さがあるのですよね。

そういった友達の話もあれば、妙齢の女性ならではの話や
以前、レコード会社で働いていたスーさんらしい音楽の話題などもあります。

音楽の話で印象に残ったのは、トップアイドルの曲は、
時代のトップクリエイターが飛び切りの一曲を提供するため、
名曲がそろっている、というもの。
そして、そのケミストリーを制作サイドは楽しんでいるのだとか。

音楽の話題は他にもまだまだありますので、
このエッセイは音楽が好きな方も楽しめると思います。

最後にスーさんは、年を重ねてきたからこその良さをおっしゃっています。

さて、それは何でしょう?
気になる方はぜひ『これでもいいのだ』を読んでみてください。



<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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芥川賞、直木賞発表
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芥川賞受賞作
『背高泡立草(せいたかあわだちそう)
/古川真人(ふるかわまこと)【集英社】』

直木賞受賞作
『熱源(ねつげん)
/川越宗一(かわごえ・そういち)【文藝春秋】』

※芥川賞直木賞ともに1月末に入荷予定

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洋書バーゲンセールを開催中!
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絵本やフィクションを中心としたジャンルの洋書バーゲンが開催されています。

このバーゲンでは、普段、店頭で販売されている書籍ではなく
バーゲン用の書籍が特別に販売されます。

洋書ファンの皆さん!
お得なこの機会をお見逃しなく〜。

◆期間:1月16日(木)〜2月16日(日)

◆場所:店内中央催事コーナー(※洋書売り場ではありません)


<紀伊国屋書店富山店>

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営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  22日(水)

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yukikotajima 11:33 am

勿忘草の咲く町で 〜安曇野診療記〜

2020年1月15日

今日のユキコレ(grace内コーナー13:45頃〜)でご紹介する本は、
映画化もされた『神様のカルテ』シリーズでおなじみの
夏川草介さんの新作です。

『勿忘草の咲く町で 〜安曇野診療記〜(角川書店)』

今回も『神様のカルテ』シリーズと同じく医療小説なのですが、
夏川さんによると、

『神様のカルテ』では書けないことを、書きました。

とのこと。

『勿忘草の咲く町で』のテーマは「高齢者医療」。
それも都会ではなく地方の物語です。

舞台は長野県松本市郊外の病院。
主人公は、看護師になって3年目の女性、美琴(みこと)です。

この病院の特徴は何と言っても高齢の患者が多いということ。
特に内科病棟は、まるで高齢者の介護施設のようです。

その内科へ研修医の桂先生がやってきます。
実家がお花屋さんのため、お花には詳しいけれども、
見た目はちょっと冴えない男性です。
でも、医者としての仕事は真面目にしています。

この病院は地方の小さな病院ですが、
急性期病院でもあり、次々に患者さんが病院に搬送されてきます。

医者不足なのにも関わらず地域からの要求は昔よりも厳しくなっており、
たとえ研修医であったとしても休みなく働き詰めです。

また、患者のほとんどがご高齢です。
寿命と治療をどう考えるか、先生によって考え方も様々です。

研修医の桂先生は、先輩から

何が正しいかは誰にもわからない。
大切なことは、できるだけ色々な考え方に触れて、
自分の哲学を鍛えるということだ。

と言われます。

桂先生は悩みながら自分なりの答えを見つけていきます。

そういった地方の病院における高齢者医療の現実を描いたのが、この作品です。

私自身、自分が高齢者になった時、どんな治療を受けたいのか、
また、人生をどのように終わらせたいのか、
本を読みながら真面目に考えてしまいました。

この本を読むと、きっと誰もが自分や家族の最期について考えると思います。
そういう意味でも読んで良かったです。

また、この本は、医療小説であるだけでなく、
看護師の美琴と研修医の桂先生の恋愛物語でもあるのです。

この恋愛部分がいい感じです!初々しくて。

ベースは高齢者医療ですが、
そこに恋愛のお話が時折はさまれ、物語を彩っています。

また、桂先生がお花が好きということと
彼らが住む安曇野が自然豊かな場所ということもあり、
本を読みながら目の前に美しい景色と華やかな色彩が広がり、
豊かな気持ちになれました。
特に自然の描写が美しく、声に出して読みたくなるほどです。

物語としての面白さはもちろん、
自分や家族が人生の最期をどう迎えるべきか考えるきっかけにもなり、
また初々しい2人の恋愛小説としても楽しめる1冊です。
ぜひお読みください♪


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

==============
洋書バーゲンセール開催!
==============

絵本やフィクションを中心としたジャンルの洋書バーゲンが開催されます。

このバーゲンでは、普段、店頭で販売されている書籍ではなく
バーゲン用の書籍が特別に販売されます。

洋書ファンの皆さん!
お得なこの機会をお見逃しなく〜。

◆期間:1月16日(木)〜2月16日(日)

◆場所:店内中央催事コーナー(※洋書売り場ではありません)


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  今日1月15日(水)、22日(水)

HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 11:48 am

店長がバカすぎて

2020年1月8日

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

私の年末年始については、
私の個人ブログ「続・ゆきれぽ」
にアップしましたので、よかったらご覧ください。

◎続・ゆきれぽは コチラ

さて、今日は私が担当する新年最初のgraceがあります。
そして今日から本紹介コーナー「キノコレ・ユキコレ」がリニューアル。
ユキコレは、これまで同様、私、田島がオススメする本をご紹介していきますが、
紀伊國屋書店富山店オススメの本を紹介するキノコレも
私、田島がご紹介していきます。

***

今年最初に紹介する本は、
紀伊國屋書店富山店 店長 白山善史さんのオススメ本です。

『店長がバカすぎて/早見和真(はやみ・かずまさ)【角川春樹事務所】』

店長から直接、この本を渡されたとき、
思わず「え?これでいいんですか?」と聞き返してしまいました。

だってタイトルが「店長がバカすぎて」なんですよ!

でも、店長は穏やかな笑顔で
「これがいいんです」とおっしゃっていました。

そんな店長のオススメコメントをご紹介しましょう。

***

書店で働く主人公と店長をはじめとした、本に携わる人々の物語。

私が店長となった当初、出張先で見かけたユニークなタイトルの書籍。
思わず手にとった一冊です。

書店を舞台とした物語は多くありますが、
今回この本を読んで良かったと思いました。

職業柄、物語中の多くの言葉が心に突き刺さります。
共感と感動を得られるとともに働くことの意欲を再認識致しました。

本に携わる職業の方だけでなく、より多くの方にも読んでもらいたい、
力が湧いてくるような面白くて楽しい感動の一冊です。

***

私からも簡単に内容をご紹介します。

舞台は東京・吉祥寺にある武蔵野書店。
主人公は、本が大好きな28歳の契約社員、谷原京子。文芸書の担当です。

そんな谷原さんが「バカすぎる!」と思っているのが、店長です。

谷原さんは、仕事が好きで、仕事もできます。
でも、バカな店長に日々振り回されて、いつもイライラしています。(笑)
バッグの中にはいつでも仕事を辞められるよう「退職届」を忍ばせているほどです。

このブログをお読みの方の中にも
年末年始にリフレッシュして、よし今年も頑張ろう!と思ったものの、
出社するやいなや職場の困った人のせいで
早速イライラさせられている…なんて方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方がこの本を読んだら、きっと大いに共感するはずです。

物語は、朝礼での店長の話にイライラしているところから始まります。
実際、本当にイライラします。(笑)

そして、この書店では次々に様々なトラブルが生じます。
そのどれもが、まるで他人事と思えず、
私は、まるで自分の物語のような気持ちで本のページをめくり続けました。

また、小説が好きな谷原さんの本への熱い思いも随所に散りばめられていて、
私も同じく本が好きで、ラジオで本を紹介している身として、勉強になりました。

そういう意味でも、新年最初にこの本を読めて良かったです。

例えば…

・物語の持つ力の一つは「自分じゃない誰かの人生」を追体験できること。
自分のことしか考えていない時代に、自分以外の人間を想像できるのが物語!

・自分の好きな本を人に強要してはいけない。

・本の感想は千差万別

などです。

そうなのです。
好みは人それぞれだし、本を読んで感じることも人によって異なります。
でも、それでいいと思うのです。
私自身も今年も自由に本を楽しんでいきたいと思います。
皆さんも、様々な情報に振り回されず、自分の心が感じるままに本を楽しんでください♪

白山さん、素敵な本を教えていただき、ありがとうございました!

ちなみに、店長にイライラして、仕事のトラブルも次々に起きて…
だなんて、そんなの読みたくない!と思われてしまいそうですが、
『店長がバカすぎて』は、「コメディ」です。

そのうちNHKあたりでドラマ化されそうな予感。(笑)


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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洋書バーゲンセール開催!
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絵本やフィクションを中心としたジャンルの洋書バーゲンが開催されます。

このバーゲンでは、普段、店頭で販売されている書籍ではなく、
バーゲン用の書籍が特別に販売されます。

洋書ファンの皆さん!
お得なこの機会をお見逃しなく〜。

◆期間:1月16日(木)〜2月16日(日)

◆場所:店内中央催事コーナー(※洋書売り場ではありません)


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日:  1月15日(水)、22日(水)

HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/

yukikotajima 11:51 am

田島の今年のベスト3!

2019年12月25日

今日は、今年最後のユキコレがあります。

ユキコレは、私、田島がオススメの本を紹介するコーナーです。

今日は、2019年最後の放送ということで、
この1年のベスト3を発表します。

その前に。

冬休み中に軽く読める本をご紹介します。

先日、紀伊国屋書店富山店の奥野さんから
「たまにはこんな本はいがか?」
とすすめられたのがこの本でした。

せっかくなので読んでみました。

『もっとオシャレな人って思われたい!/峰なゆか(扶桑社)』

峰さんというと、壇蜜さんの主演でテレビドラマ化された
『アラサーちゃん』でおなじみの方です。

『もっとオシャレな人って思われたい!』は、
タイトル通り、オシャレな人と思われるにはどうしたらいいのか?
について綴られた峰さんのエッセイです。

この本を読みながら、まるで峰さんと女子会をしている気分でした。

わーかーるー!と共感したり、
いやいや、それは考えすぎだって!と突っ込んだり、
いずれにしても楽しく読むことができました。

例えば…

・目を守るためにサングラスをかけたいのだけど、似合わない

・女性と言えば「ピンク」でしょ?といった「ダサピンク」が多すぎる

など。

ちなみに、この本は、お洒落な着こなしを紹介する本ではありません。
どちらかというと、峰さんの失敗談が多めです。
私自身もおしゃれをはじめ、ダイエットや買い物など
今年もなんだかんだで色々失敗を重ねました。

峰さんのエッセイをアハハと笑って読みながら、
同時に私自身の今年の様々な失敗を反省。

新しい年を迎える前にこの本と出合えて良かったです。

***

さて、続いては、毎年恒例!
今年、私の印象に残った本ベスト3を発表します!

※本のタイトルをクリックすると、私の感想ブログが開きます。

★第1位 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ(新潮社)』

こちらは小説ではなくノンフィクションです。
イギリスに住む著者の中学生の息子について書かれています。

いじめ、喧嘩、差別のある中学に入学した息子君は、
それぞれの問題について真剣に向き合い、
お母さんと一緒に何が正しいのか悩み、考えていきます。

すんばらしい本でした!
全ての人に読んで頂きたい!

年の初めの一冊にもおすすめです。


★第2位 『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び/大島真寿美(文藝春秋)』

読み方は、「うず いもせやま おんなていきん たまむすび」です。
今年の夏に直木賞を受賞した作品です。

タイトルは漢字が並んでいて難しそうですが、内容は難しくありません。

江戸中期の人形浄瑠璃作者、近松半二(ちかまつ・はんじ)
の生涯が描かれています。

この本の何がいいって、言葉のリズムが心地いいのです。
文章がいきいきとしていて、声を出して読んでいるわけではないのに、
息継ぎまでがぴったり合う感じです。

いいライブや面白いスポーツを生で観戦しているかのような
興奮を感じながらの読書は本当に楽しかった!


★第3位 『彼女たちの場合は/江國香織(集英社)』

ニューヨークに住む14歳と17歳の日本人女子2人の旅物語です。

それも、親には「旅に出ます」という書置きを残して
突然旅に出てしまうのです。行先も行き当たりばったりです。

年末年始、休みはたっぷりあるけれど、
どこにも出かける予定はないなあ…
という方は、旅気分を味わえるこの本を読んでみては?

でも、この本を読み終えた後は、
ふらっとどこかに出かけたくなるかも。


***

今年も一年、私の本紹介にお付き合い頂き、ありがとうございました。

来年からは、毎週水曜にgraceの中でお送りしている
本紹介コーナーがリニューアルします。

これまで同様、第1・3週は、紀伊國屋書店富山店オススメの本を紹介するキノコレ、
第2・4・5週は、私、田島悠紀子オススメの本を紹介するユキコレをお送りしますが、
今後は、毎週、田島の一人喋りで様々な本をご紹介していきます。

1月以降もどうぞよろしくお願いします。

yukikotajima 11:14 am

365日の親孝行

2019年12月18日

今日は12月18日です。
お正月も近づいてきましたが、
お正月には久しぶりに実家に帰るという方もいらっしゃると思います。

中には親御さんからいつからいつまで実家にいられるのか、
電話やメールが来るが来る頃かもしれません。

私もまさに昨日、母と電話でそんな話をしました。

親御さんと離れて暮らしている皆さんは、
あと何回、親御さんに会えるのか考えたことはありますか?

今日のキノコレで紀伊国屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本はこちら。

『365日の親孝行/志賀内泰弘(しがない・やすひろ)<リベラル社>』

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この本には、様々な形の親孝行が365紹介されています。
それも月ごとのものが。
例えば、12月の親孝行の例をあげてみます。

・紅白歌合戦を「この人誰?」「この歌手好き」と言いながら一緒に観る
・一緒に年末年始を過ごす

などです。
え?そんな簡単なことでいいの?と思うような内容もありますが、
でも、冷静に考えてみると、そんな簡単なことさえできていなかったりするのですよね。

この本を読むと、贈り物をすることだけが親孝行で無いことに気付かされます。
特別なことではない「親孝行」こそが大事なんだなと。

でも、具体的に思い浮かばない…という方もご安心ください。
この本には365の親孝行の例がのっていますので、
きっとあなたにもできる親孝行が見つかると思います。

また、親孝行にまつわるショートストーリーものっており、読み物としても楽しめます。

短いお話なのですが、泣けるもの多く、気付いたら涙。そして、また涙。。。でした。

高齢の親御さんのいらっしゃる皆さん、
ぜひおよみください。

***

さて、毎週水曜にgraceの中でお送りしている本紹介コーナーが
2020年1月からリニューアル!

これまで同様、第1・3週は、紀伊國屋書店富山店オススメの本を紹介するキノコレ、
第2・4・5週は、私、田島悠紀子オススメの本を紹介するユキコレをお送りしますが、
今後は、毎週、田島の一人喋りで様々な本をご紹介していきます。

1月以降のキノコレ・ユキコレもどうぞよろしくお願いします。

yukikotajima 10:36 am

歩道橋シネマ

2019年12月11日

今日ご紹介する本は、恩田陸さんの新作です。

『歩道橋シネマ/恩田陸(新潮社)』


恩田陸さんと言いますと、
『蜜蜂と遠雷』が直木賞と本屋大賞を受賞し話題となり、
この秋には映画化されました。

ラジオでも小説をご紹介しました。

◎私の感想は コチラ

新作の『歩道橋シネマ』は、恩田さんにとって約7年ぶりの短編集です。

今回はミステリーやホラーが多めなのですが、
恩田さん自身、10代前半はそういったジャンルの短編集をよく読んでいたそうです。

全部で18作品が収録され、
最後に恩田さん自身の「あとがき」もあるので、
それぞれの作品が生まれた背景などもわかります。

短編集は紹介が難しいのですが、
この作品もどのお話も世界観が独特すぎて
紹介が大変難しい…。(笑)

その中から私の好きなタイプの作品を2つ、
かる〜くご紹介します。

***

『楽譜を売る男』

4日間おこなわれた弦楽器のイベント会場で
楽譜を売っている白人男性の物語です。

彼を目にした主人公は、彼が何を考え、どんな人なのかを想像します。

彼は、置き物のように静かに座っていたそうです。
スマホも触らず、接客をするわけでもなく、ただじっと座っているだけ。

いったい彼は何者なのか。
楽譜は売れているのか。

主人公の妄想はどんどん膨らんでいきます。

果たして彼は…。

という物語です。

私もよく人を観察したり、勝手に想像したりするので、
この主人公の感覚はよくわかるなーと。

彼が何者なのか気になる方は、ぜひ本を読んでくださいね。

***

『歩道橋シネマ』

表題作です。
ある歩道橋では、様々な建物の偶然な組み合わせにより、
巨大な長方形の囲み枠に見えるのだそうです。

その大きな額縁が見える歩道橋に様々な人がやってきては、
じっと見つめているだのとか。

いったい何を見ているのか。

どうやらこの歩道橋にはあるうわさがあるようで…。

ああ、もうこれ以上は言えない!

短編はお話が短い分、すぐにネタバレになってしまうのです。

何かとあわただしい年末です。
でも、本を読みたいという方に短編集はオススメです。
毎晩寝る前に一話読むだけでも満たされると思います。
でも、ホラーもあるので、なかなか寝付けないという日もあるかも!?(笑)

yukikotajima 11:13 am

地図帳の深読み

2019年12月4日

今日のキノコレで紀伊国屋書店富山店の奥野さんから
ご紹介いただく本は、『地図帳の深読み』です。

奥野さんの紹介文は コチラ

この本は、100年以上にわたって地図帳を出版し続けてきた帝国書院と
地図研究家の今尾恵介さんがタッグを組み、
「地図帳」ならではの楽しみ方を紹介している一冊です。

スマホ地図ならよく見ている、という方もいらっしゃると思います。
私もそんな一人ですが、この本では、スマホの地図アプリではできない
「深読み」について詳しく紹介しています。

本の中で私が気になったのは、北海道の大きさ。
例えば、本州と比較するとどれくらいの広さなのかわかりますか?

この本によると、「北海道一周旅行」を本州でやろうと思ったら、
東京見物の翌日に仙台から三陸海岸を回り、最上川下りを楽しんだ後は
日光東照宮へ…といった移動だらけの旅になってしまうのだとか。

また、他の国と比べると島国である「日本」は小さい印象がありますが、
実は、197ヵ国のうち61位なので、かなり広いほうなんですって。
とくにヨーロッパに行けば日本はだいぶ大きい国になるそうです。

この本を読んだ後は、地図アプリではなく、地図帳を開きたくなります。

私の中で「地図帳」というと、授業中、気づくと先生の話から離れて
地図を見ながら妄想トリップをしていた記憶があります。
今思えば、そういう時間って結構幸せだったなあと。

あの頃より、だいぶ知識が増えた今、
あらためて地図帳を眺めると、より楽しめるかもしれません。

あなたも次の休日、地図帳をぼうっと眺めてみては?
その際、『地図帳の深読み』もセットでお楽しみください。

yukikotajima 11:15 am

『愛という名の支配』『エトセトラ』

2019年11月27日

今日のユキコレ(grace内コーナー13:45頃〜オンエアー)には、
ラジオでもおなじみの富山出身の作家、山内マリコさんが登場します。

ユキコレは、私、田島悠紀子オススメの本を紹介するコーナーですが、
今回は、田嶋陽子さん関連の本を2冊ご紹介します。

田嶋陽子さんいったら日本でいちばん有名なフェミニストです。

そんな田嶋さんのことを心から尊敬している山内さんは、
このほど田嶋さんの『愛という名の支配』という本の解説を担当されました。
本の帯にも山内さんのコメントが載っています。

さらに、田嶋さんへのリスペクトに満ちた雑誌の責任編集もなさっています。

雑誌『エトセトラ』の特集タイトルは、「We ❤Love 田嶋陽子!」

私もこの雑誌を読みましたが、田嶋さんへのラブレターといっても言いほどの一冊でした。
山内さんをはじめ、柚木麻子さんや男女問わず様々な皆さんが
田嶋さんへの愛を綴っていらっしゃいます。

田嶋さんというと、私も「田島」のため(漢字は違いますが)
「タジマ」という名前だけでよくいじられました。

私は、法政大学の出身なのですが、
当時、田嶋先生は法政大学の教授をされていたことから
入学してすぐのある授業で教授から「田嶋陽子の親戚か?」と言われ、
笑いが起きたのを覚えています。
あきらかにその笑いは、ちょっとバカにした笑いでした。

だから、田嶋さんのお姿をテレビで拝見し、
他の男性たちからいじられているのを見る度、
ああ、私もまたいじられる…と思うようになってしまいました。

でも、先日、山内マリコさんからすすめられた
『愛という名の支配』を読んで、田嶋さんの印象が変わりました。
田嶋さんは、とても素敵な方でした!

『愛という名の支配』は、1992年、今から27年前に書かれた本です。
でも、まったく古さを感じませんでした。

その時代の小説を読むと、男尊女卑が激しすぎて
読んでいるうちに嫌な気持ちになることがあるのですが、
田嶋さんは、そんな時代に、女性の生きづらさについてお書きになっていたのです。

すごい!すごすぎる!

例えば、

・女が強くなったのではなく、やっともとの状態に復元しだした
・まわりが味方してくれなくても自分を味方につけたらいい
・女の人は、もっと自分にやさしい服装をすべき

などがおっしゃっているのです。27年も前に!

私は、夢中で本のページをめくってしまいました。

確かに27年前に比べたら女性は生きやすい世の中になったと思います。
それでも、いまだ変わらないことも多々あります。

本の帯には「すべての女性に勇気を与える」と書かれています。
確かに読んだ後は「私も頑張ろう」と思えました。
今、この本に出合えて本当に良かった!

また、この本を読んだ後は、雑誌『エトセトラ』をお読みください。

それから、今日の「ユキコレ」もお聞きください♪
放送から1週間以内でしたらラジコのタイムフリーで聞くことができます。

今日の放送は事前に収録したものなのですが、
山内さんがかなり熱く田嶋陽子さんについてお話になっています。

***

さらに!山内さんと言えば、
新潟県長岡市の酒蔵、お福酒造とのコラボで小説を書かれています。

なんと日本酒を買うと、この小説がついてくるのだとか。

お酒にまつわる物語を男性、女性それぞれの目線で描いています。
2冊合わせて、1つの物語です。
私も読みましたが、男性の物語を先に読むと、より楽しめると思います。

日々生活をしている中で、ちょっとときめく瞬間ってありませんか?
そんな心の動きが描かれていて、キュンとなりました。
短いけれど、とても良いお話でした。

気になる方は、お酒とセットでお楽しみください。

yukikotajima 11:17 am

『虹 靴紐をきつく結んで』

2019年11月21日

新聞を読んでいると、富山には様々な人がいることを実感します。

中でも、北日本新聞の「虹」というシリーズを読むと、
富山には素敵な方が多いなあと思います。

『虹』は、「朝、新聞を広げたときに温かな気持ちになれる紙面があったらいい」
という提案から始まったシリーズで、毎月一日に掲載されています。
しかも、贅沢に丸々1ページ使われており、
他の記事よりも文字が大きいので読みやすいのも特徴です。

2009年5月から続いている人気シリーズで、これまで5冊の本になっているのだとか。

このほど、2017年9月から今年4月までの全20話が、
シリーズの6巻目『虹 靴紐をきつく結んで』として
一冊の本として発売されました。

今回は、サクラマス研究をしている高校の先生、
ピアノの先生でもあり僧侶でもある女性、
ジビエ専門の食肉処理施設を運営する男性などが紹介されています。
また、元富山グラウジーズの選手で今は指導者の呉屋さんもいらっしゃいました。

私が印象に残ったのは、80代の画家、藤森兼明さん。

思い通りにいかないことも多く、
画家になることをあきらめ、就職した藤森さんでしたが、
なんとアラフォーになって画家に復帰します。

でも、回り道したからこそ今の自分の作品があると
藤森さんはおっしゃっています。

本を読みながら藤森さんの作品を見に行きたくなりました。

『虹』には様々な方が登場するため、
人選はどのようにしているのか、実際に取材をされた方にお聞きしたところ
県内の「一生懸命な人」を取り上げている、とのことでした。

どこか遠くの「特別な誰か」ではなく、
地元で一生懸命頑張っている人を丁寧に紹介しているのが、
この『虹』です。

身近な人のお話だから、より心に響くのでしょうね。

『虹 靴紐をきつく結んで』は、すでに発売されています。
北日本新聞社の他、紀伊国屋書店富山店でも買うことができるそうですので
是非お読みになってみては?

◎本の詳細は コチラ

yukikotajima 12:19 pm

どこにでもあるどこかになる前に。

2019年11月20日

今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
富山出身の藤井聡子さんのエッセイ
『どこにでもあるどこかになる前に。(里山社)』
をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

まず、『どこにでもある どこかになる前に。』
というタイトルにグッときました。

確かに、街がキレイに新しくなるに連れて、どこに行っても
「なんか知ってるような…」「どこかで見たことがある気がする」
という感想を持つことは増えてきます。

著者の藤井さんは、富山出身です。
東京で仕事をしていたものの再び富山に戻ってきて
現在は、富山ならではの個性の強い場所や人を探るライター活動をしています。
コンクリートの狭間から顔を出す「ど根性大根」のような富山を見つけたいと思って。

この本では、藤井さんが富山で感じたことや
藤井さんの心を揺さぶったディープな富山が紹介されています。

と同時に、藤井さん自身の物語でもあります。
藤井さんが富山でライターとして活躍するまでが正直な言葉で綴られています。

「富山」の見え方、とらえ方、愛し方は、人によって違っていいと思いますが、
藤井さんの視点もきっと勉強になると思います。
富山にこんなお店があったんだ!という発見もあれば、
藤井さんの言葉に気付かされることもあるかもしれません。

富山が好きな方はもちろん、
富山は退屈…という方も是非読んでみてください。

***

私は、この本に書かれていた「人が場所を作る」という言葉が印象に残りました。

久しぶりに富山に帰ってきて最初は退屈だと思っていた藤井さんも
様々な人に会うことで富山の魅力に気付いていきます。

私自身も同じです。
富山弁で「旅の人」である県外出身の私は、
富山に来たばかりの頃は疎外感を感じていましたが、
様々な人と関わる中でアウェイ感は薄まり
居心地のいい場所になっていきました。

結局は「人」なんですよね。

例えば、どんなに料理が美味しいお店でも
スタッフやお客さんの態度から居心地の悪さを感じれば、
その後、行きたいとは思えませんもの。

でも、居心地のいい場所は、人によって違っていいと思います。
それぞれに居心地のいい場所があれば、それでいいんじゃないかなあと。

この本を読んだ後、ふとそんなことを思ってしまいました。

yukikotajima 11:41 am

たそがれダンサーズ

2019年11月13日

ラジオをお聞きのあなたは何か習い事はしていますか?

今日は、趣味に夢中になるおじさまたちの物語をご紹介します。

『たそがれダンサーズ/桂望実(中央公論新社)』


桂さんと言うと、映画化された『県庁の星』が有名かもしれません。

今回の登場人物は、おじさまたちです。
いや、中にはおじいさんもいます。

彼らの共通点は、社交ダンスを習っていること。

メンバーを簡単にご紹介しましょう。

まず、定年後に趣味として始めた田中さん。
退職後、運動不足を実感し、ウォーキングをしたり
卓球教室に通ったりしたものの楽しめず、
病院ですすめられたのが「社交ダンス」でした。

社交ダンスは、激しすぎず、でも簡単すぎるわけではないので飽きない。
そのうえ、男性が圧倒的に少ないから女性たちから引っ張りだこになるのだとか。

田中さんは、男性が少ないなら人助けにもなるし、
ついでに運動もできるなら、という理由で始めることにします。

また、商社マンの川端さんは、女性にモテたいという理由で。

工場経営者の大塚さんは、家族には秘密のままこっそり始めます。

もちろん、全員社交ダンスは初めての素人たちです。

実際、社交ダンスをする男性たちは少ないようで、
ダンスパーティーに参加すれば、実際女性たちから
「私と踊ってください」と次々に誘われます。
おじさんになってから、こんなに女性たちからモテるのは初めてで
戸惑うおじさんもいれば、喜ぶおじさんもいます。

また、女性の先生方はみんな優しくて、
失敗しても全く怒られません。

そんな日々が続き、おじさまたちは幸せいっぱい♪

かと思いきや、いや、これは何か違うと気付き始めます。

おじさまたちが若いころ、スポーツと言えば厳しい指導が当たり前でした。
猫なで声で優しく指導されるより、クールにダメ出しされるほうがいいかも、
と思い始めます。

また、最初は女性から必要とされることに喜びを感じていたものの、
段々それに疲れを感じ始めます。

女性の目など気にせず、男性だけで踊りたいと思った彼らが始めたのは、
社交ダンスの「フォーメーション」という種目でした。

社交ダンスというと、私は男女ペアになって踊るイメージで、
団体で行うダンスがあるなんて知りませんでした。

そして、おじさまたちは、男性だけのダンスを始めることにします…。

果たしておじさまたちのダンスは、どこに向かってくのでしょうか。

ぜひこの続きは、本のページをめくってみてください。

***

大変面白かったです!
若者たちが何かに向かって頑張る物語はよくあるし、
私も好きでよく読みますが、
この小説は頑張るおじさまたちの物語です。

最初は、このおじさん偉そうだなとか、
なんでこんなに自己評価が高いんだろう?とか
そんなに自分のプライドが大事なの?
と正直、出てくるおじさまたちに対して、いい印象はありませんでした。

でも、読み進めるうちに、おじさまたちに私が慣れてきたのもあると思いますが、
悪い印象ではなくなっていきました。

そして、後半は涙、涙でした。

若者の物語は、それまでどんなにつまずいていたとしても
未来に期待を感じさせるものが多いですが、
おじさまたちの場合、もう人生の半分以上が過ぎてしまっています。

登場人物のおじさまのひとり、62才の田中さんは、
「皆、したくない体験をしてきた。
望み通りの人生だと胸を張って言える人は一人もいない」
とおっしゃっています。

そうなんです。
長く生きていれば、みんな、それぞれ何かしら辛い経験があるのですよね。

今年も残り1ヶ月半です。
今年を振り返ると特に印象的なことはなかったなあ、
というおじさま、おばさまたちはいませんか?

この本を読んだ後は、きっと何か新しいことをはじめたくなると思います!

中には「社交ダンス」を始める人もいるかも!?

また、この本は中高年だけのものではありません。
若者の皆さんにもおすすめです。

プライドが高くて偉そうなおじさまたちから教わることもあると思いますよー。
ぜひおじさまたちの心の中をのぞいてみてください。

yukikotajima 11:32 am

人間

2019年11月6日

私が小説を読むのが好きな理由の一つに、
「人の心の中がのぞけること」があります。

小説はお喋りです。
自分の心の内をペラペラ喋ってくれます。
絶対に人に言えないような恥ずかしいことや醜いことも
小説は包み隠さず喋り続けます。

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本も
かなりお喋りな本でした。

『人間/又吉直樹(毎日新聞出版)』

◎奥野さんの紹介本は コチラ

芸人でもある又吉さんの新作です。
又吉さんといえば、作家としても活躍しており、
芥川賞を受賞したデビュー作『火花』は注目を浴びました。

今回は、初の長編小説です。

この作品には、芸人であり、作家としても活躍する、
まるで又吉さんのような男性が登場します。

彼が世間に対して思っていることは、
登場人物の彼が思っていることであると同時に
又吉さん自身の思いでもあるのかも、と思わずにはいられませんでした。

きっと『火花』を出した後は、
賞賛ももちろんあったと思うけれど、
嫉妬もかなりあったんだろうな。

「いちいちうるさーい!」という本音を小説という形にして表したのかしら?
と熱い文章を読みながら想像してしまいました。

まあ、これはあくまでも私の想像であって、
又吉さん自身は、そんなことは全く思っていないかもしれませんが。

『人間』というタイトル通り、人間の様々な部分が詰まっていました。

そして、この本を読みながら恥ずかしい気持ちになってきました。
小説は、人の心をのぞけるから面白いと思っていた私ですが、
この本に関しては、逆に私自身の心の中をのぞかれている気分にもなりました。

この本の前では心がどこまでも正直になっていって、
客観的に読んでいたはずの本が、自分のもののような気がしてくるのでした。

ひねくれているようで、どこまでもピュアで、一言で言うならめんどくさい!(笑)
でも、それこそ人間なのかも。

例えば、「見たものと見えたものは違う」というお話。
私、これには大いに共感。
同じものを見ていても人によって、見えているものは違うのですよね。
だからこそ、違いがあって面白いのだけれど、
「なぜ、そんな見方をするの?」と言われることもあります。

この本には「いちいちめんどくさいこと言うなよー」
と言われてしまいそうな細かい違和感がつまっていました。

そして、私はその違和感こそが楽しくて仕方ありませんでした。

そういっためんどくささを楽しめる人なら、きっとこの本を楽しめると思います。

うん。面白かった!

yukikotajima 11:40 am

誰の味方でもありません

2019年11月2日

今日の『ネッツカフェドライヴィン』のテーマは、「読書の秋」でした。
ちょうど今が読書週間ということもあり、このテーマにしてみました。

私がラジオでご紹介した本は、

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』

『誰の味方でもありません』

の3冊です。

上の2冊は、本のタイトルをクリックしていただければ、私の感想が読めます。

『誰の味方でもありません』は、社会学者、古市憲寿さんが書かれたものです。

実は、先日、富山大学で学生対象の古市さんのトークショーがあり、
私はお相手をしました。

トークショーをするにあたり、
最近、古市さんの本を色々読んでいました。

芥川賞にノミネートされた
『平成くん、さようなら』『百の夜は跳ねて』の小説のほか、
『誰の味方でもありません』
『絶望の国の幸福な若者たち』
『だから日本はズレている』
などを読んでみました。

今日のラジオでご紹介したのは、これらの中から
今年発売された新潮新書の『誰の味方でもありません』です。

古市さんは、歯に衣着せぬ発言で注目されていますが、
テキトーなことを言っているわけではありません。
まあ、いい方がストレートすぎることはありますが。笑

この本を読むと、古市さんが今どういうことを考えているのかがよくわかります。

本の帯には「正義の暴走に投じる一石」とあります。
古市さんは、この本の中で

最近の日本は何だか怒りっぽい。
正論は切れ味があまりにも鋭すぎる。
正しさを追求するのではなく、
一歩引いて社会を見るくらいがちょうどいい。

とおっしゃっています。

実際、古市さんは一歩引いています。
例えば、様々な仕事をされている古市さんは、
「観光客」として日々を過ごしているのだとか。

この感覚、私もわかる!

富山弁で県外出身者のことを「旅の人」と言いますよね。
私は群馬出身の旅の人です。
富山に来たばかりの頃は「差別だー!」と思いましたが、
今では自ら気に入って「旅の人」を使っています。
もう長いこと富山で生活をしているけれど、
私は「ずっと富山で旅をしている」気分でいます。
だってそのほうがなんか楽しいんですもの!笑

また、古市さんは、嫌な人と付き合うコツを
「嫌な人をサンプルだと思えばいい」とおっしゃっています。
こちらも一歩引いた見方をされていますよね。

私は、この本を楽しく読めました。
そして、読んだ後は心が軽くなり、
人に対しても優しくなれたような気がします。笑
一歩引いてみる、っていいですね!

気になる方はぜひ読んでみてください♪

yukikotajima 12:00 pm

生命式

2019年10月30日

こんにちは。
今年も富山マラソンに出場し、
なんとか完走しました!
応援ありがとうございました。

富山マラソンに関しては、
私のもう一つのブログ 続・ゆきれぽ
に書いていますので、よかったらお読みください。

***

さて、今日ご紹介する本は、
『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した
村田沙耶香さんの新作です。

『生命式(河出書房新社)』


先日発売されたばかりです。

この本を読むには色々な注意があります。

まず、食事後に読むのはやめたほうがいいです。
もしかしたら気持ち悪くなってしまうかもしれません。

また、あまりにも常識を超えたお話なので、
その世界に耐えられない人もいるかもしれません。

でも。
常識や想像を超えた世界を覗いてみたいという方にはオススメです。
どうぞ読んでください。

村田さんの新作『生命式』は、12の作品が収録された短編集です。
芥川賞受賞作『コンビニ人間』でも独特の世界観を描いていましたが、
今回はさらに独特です。
本の帯には「脳そのものを揺さぶる」とか
「文学史上、最も危険な短編集!」などと書かれています。

正直私は、本を手に取ったとき「そんな、大げさな!」と思ったのですが、
まったく大げさではありませんでした。

心揺さぶる作品は数多くあれど、
脳そのものをゆさぶる作品はそこまで多くありません。

どんな作品が収録されているのか、少しご紹介しましょう。

まず表題作の「生命式」とは、
亡くなった人間を食べる新たなお葬式のことです。

今から30年後。
人が亡くなると「生命式」を行うのがスタンダードになっています。

もう、この描写を読んだだけで「うっ」となりました。

でも、この時代では当たり前のことになっていて、
人間の食べ方についてその調理法が細かく紹介されています。

そして、このお話のあとも常識をはるかに超えた世界の物語が続いていきます。

例えば、亡くなった人の骨や歯、髪の毛を
装飾品や家具、セーターに再利用する物語もあります。
「冬は人毛100%が最高だよね」なんて会話が普通に繰り広げられています。
でも、どうしてもそれを受け入れられない人もいます。
「気持ち悪い」と。
ところが、亡くなった人間を素材として活用することが当たり前の時代では、
「気持ち悪い」と言うことが変だと思われてしまいます。

ここまでの私の紹介で、それこそ「気持ち悪い」と思う方もいるかもしれません。

でも、『生命式』は、気持ち悪い世界をただ描いているだけではありません。

常識とは?普通とは?世間とは?
について嫌でも考えさせられます。

今後、もしかしたら今までタブーとされていたものが
当たり前になる時代がやってくるかもしれません。
そんな時、あなたはすぐに受け入れることができそうですか。
それとも嫌悪感を感じるでしょうか。

すでに今の時代にもなんかおかしいなと感じることはありませんか?

なんでも受け入れるのではなく、
おかしいことに対しては?「なぜ?」と疑うことが大事なのかも。

『生命式』は確かに、脳が揺さぶられました。

そうそう!もう少し読みやすい作品もあります。

例えば、自分には「性格がない」と思っている女性の物語。
この女性は、周りの人が自分のことをどう思っているかで、
自分のキャラが決まり、あだ名も変わります。

地元ではしっかり者の印象のため「委員長」
大学時代は愛されキャラの「姫」、
他にも天然キャラ、ミステリアス、男勝りなど
コミュニティーによってキャラも喋り方も服装も変わります。

でも、彼女が結婚をすることになり、
どのキャラで結婚式をすればいいのか悩みます。
果たして、彼女が選んだキャラは?

彼女ほどでなくても、きっと誰もが場所によってキャラや印象は異なると思います。

という感じで、『生命式』は、ただ読むだけではなく、
自分だったらどう思う?どうする?
と常に自分に問いかけながら読んでいった本でした。

気になる方は、ぜひお読みください。
でも、最初にお伝えした注意事項は守ってね。(笑)

yukikotajima 11:44 am

やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。

2019年10月23日

今日のキノコレ(grace内13:45頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は

『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。
/梅田悟司(サンマーク出版)』です。

◎奥野さんの本の紹介は コチラ

私もこの本を読みましたので軽く感想を。

コピーライターのとして仕事をしている梅田さんが
育児休暇を取ったときに家事の大変さに気づき、
無限にある名もなき家事に名前をつけてまとめたのが、この一冊です。

名もなき家事は、一日の流れに沿って、朝から夜にかけて紹介されています。
また、ただ、この家事は大変だよね!というだけでなく、
家事経験者からの「ワンポイントアドバイス」がついているのもポイントです。

私が共感した家事をいくつかピックアップします。

・洗剤を詰め替えたときに、容器や床に勢いよくこぼれた
ベタネタの液体をしかたなくふき取る家事(命名:詰め替え爆発)

・ソースがないと思って買ったら
冷蔵庫にまるで減っていないソースを発見する家事(命名:魔の二重買い)

・どのレジに並ぶと早いか吟味する家事(命名:レジ・セレクト)

私は共感できる家事に付箋を貼っていったら付箋だらけになってしまいました。
普段家事をしている方はきっと共感できると思います!

でも、この本は普段家事をしない方にこそ読んでいただきたいかな。
「家事なんて誰でもできる。仕事のほうが大変だ!」
なんて思っている方、いませんか?そんなあなたに読んでいただきたいです。

著者の梅田さんはコピーライターとして活躍し
もちろんお仕事も忙しかったはずです。

その梅田さんが育休中にツイッターに
「仕事の方が楽」とつぶやいています。
しかも一度のツイートで3回も連続で。

私は子育てはしていませんが、
でも、甥っ子&姪っ子の面倒を見たことは何度もあります。
最初は「かわいい〜」と思っていても、一日一緒にいると疲れ果てます。
これなら一日中仕事をしている方が楽だと心から思いましたもん。
あ、でも甥っ子&姪っ子のことは大好きですよ♪

仕事をしながら家事も育児もしている方たちを心から尊敬します。
本当にすごいです!

yukikotajima 11:15 am

帝国ホテル建築物語

2019年10月16日

今日は綺麗な青空がひろがっていますが、
先日の台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。

被害にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます。

富山でも台風の影響を受けたという方いらっしゃいますよね。
何かが壊れたり、仕事や予定が変更になったり。
また、北陸新幹線も利用できなくなってしまいました。

困難が続く日本ですが、決して投げやりにならず
前を向いていかなければいけません。

だからと言って、なんでも一人でやるのではなく、
できる人に任せたり、人に頼ったりすることが
いかに大事かということをこの本を読んで気づかされました。

『帝国ホテル建築物語/植松三十里(うえまつ・みどり)【PHP研究所】』

先日、紀伊国屋書店富山店に行ったときに
書店員の皆さんにおすすめされた一冊です。

東京にある帝国ホテルに、あなたは泊まったことはありますか?
私はありませんが、これまでチャールズ・チャップリン、ヘレン・ケラー、
ベーブ・ルースら米大リーグ選抜野球チームなどが泊まったことがあるそうです。
まさに歴史上の有名人ばかりですね。

この作品は、帝国ホテル本館建設に関わった男たちの物語で
史実がベースになっています。

なお、この本館と言うのは、現在の建物ではなく、
1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、
通称「ライト館」のことです。

今、このライト館は愛知県の明治村にあります。

物語は、古くなったライト館を取り壊して
明治村に移築することになるかもしれず、
これは大変だ!というところからスタートします。

なぜ大変なのか?
それは作りが立派過ぎるからです。
無事移築できるのか?
そもそもライト館は明治ではなく大正の建物です。
さて、無事ライト館は移築できるのか?

物語は、大正時代にさかのぼります。
ニューヨークで古美術商をしていた林愛作(はやし・あいさく)は、
帝国ホテルの支配人として招かれます。
新館を建てるにあたり、古美術商としての感性をいかしてもらいたい、
と言われた愛作は、悩んだものの結局は支配人を引き受け、
世界的建築家のフランク・ロイド・ライトに新館の設計を依頼します。

親日家のライトならきっと日本人が気づかない日本的な魅力を
形にしてもらえそうな気がする!と期待して。

実は、愛作とライトは友人同士なのでした。

だからと言って、このプロジェクトがスムーズにいったかと言えば、
まったくそんなことはなく、困難の連続でした。

ライトは、完璧主義だったのです。
絶対に手を抜かない。
また、感覚を大切にする人なのです。
でも、それをうまく伝えることができない。
だから、日本人の職人たちと衝突してばかりです。

ライトを支えるフランス人のスタッフがこんなことを言っています。
「フランスではもっといいアイディアが浮かんだら、ためらいなくやり直す」と。
ライトはアメリカ人ですが、感覚はフランス的だったようです。

せっかくここまで作ったのに…とか
昨日と言っていることが違うじゃないか!
などと思ってしまう日本人に対し、
ライトは、妥協はしない!という思いだけで突き進んでいきます。

また、地震や火災も次々に襲い掛かります。

そして、ライト館の建築に関わる人たちも変化していきます。

本を読みながら「もう無理なのでは?」と
私自身、何度もあきらめそうになりました。

男たちがいかにしてライト館を作り、そして守ったのか。

この本を読んだ後は、きっと前を向く力をもらえると思います。

また、愛作の仕事から学ぶことも多々ありました。
支配人になった愛作は、思い切った改革を色々しました。
ホテル内にランドリーや郵便局を作ったのです。
その方が便利だからという理由で。
不便なことに対して不満を言うのではなく、
どうしたらスムーズに仕事ができるのかを常に考えているのですね。

それから、この愛作の出身地が今の群馬県太田市でした。
私、田島と同じなのです。知らなかったー。
こんな素晴らしい方と同郷だったなんて。
私も愛作さんのように柔軟な発想で仕事をしていきたい!

最近、何かに対してあきらめそうになっている方がいたら、
ぜひ『帝国ホテル建築物語』を読んでみてください。
きっと、本を読み終えたとき、よし!やるかっ!と思えるはずです。

と同時に私は、帝国ホテル中央玄関のある明治村にも行きたくなりました。
いつか行ってみようっと。

yukikotajima 12:10 pm

落日

2019年10月9日

今日のキノコレ(grace13時45分ごろ〜)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
今話題の本、湊かなえさんの『落日』をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

本の帯には、「湊さんの新たなる代表作で、今年最高の衝撃&感動作」とあります。

湊かなえさんというと「イヤミスの女王」としておなじみです。

イヤミスとは、読んだ後に後味の悪さを感じる、
嫌な気分になるミステリーのことです。
それなら読まなきゃいいのに!と思いますが、
それでも読みたくなってしまう魅力があるのですよね。

私もこれまで湊さんのイヤミスは色々読みました。

でも、今回の作品は読んでいる最中は「イヤミス」っぽさを感じつつも、
読後感の後味は決して悪くありませんでした。
ですので、イヤミスが苦手な方にもオススメです。

***

『落日』は、ある事件をベースに映画を撮りたい、という新進気鋭の映画監督から
新作の相談を受けた新人脚本家が、事件の真相に迫っていくという物語です。

監督が撮りたいのは、『笹塚町一家殺害事件』。
この事件は、引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、
放火して両親も殺してしまったというもので、
15年前に起き、判決も確定しています。

実は、事件の起きた笹塚町は、脚本家の生まれ故郷でした。
そして、監督も事件と全く無関係ではありませんでした。

ちなみに、脚本家も監督も女性です。

脚本家は、いとこから
「主人公が全部同じ人間に見えてしまうワンパターンな作品しか書けない。
自分の見たい世界だけ書いてんじゃねえよ」
と言われてしまうほどで、脚本家として成功しているわけではありません。
だから人気監督から声がかかったことをうれしく思い、今回は成功させたいと思います。

でも、同じ事件を追っていても、監督との感覚の違いを実感してしまいます。

例えば、同じものを見ていても、脚本家は「見たい」だけで、監督は「知りたい」と思っている。
監督は表面的に見るだけではなく、ちゃんと意味を知りたいと思うのですね。

そして、少しずつ事件の真相がわかっていきます。
合わせて二人の過去も明らかになり…。

***

湊さんの作品を読んで、最後に感動で目頭が熱くなったのは初めてかもしれません。
もちろん嫌な人も出てくるのだけど、
後味の悪さだけが残るような作品ではありませんでした。
いい作品でした。

『落日』もいつか映像化されそうだなー。

***

そういえば、ストーリーとは関係ないのですが、
監督が子どもの頃、父から言われた言葉に共感しました。

「映画館を出たと同時に感想を言い出すのはダメ。
自分は面白くなかったと思っても、
隣で感動している人がいるかもしれないから」

そうなんですよ!これ、私もいつも思っています。

感動したときは「よかった!」と言ってもいいと思うけれど、
否定的なことを言うのは後でにして!と。

この作品、ストーリーの面白さに加えて、
登場人物たちの会話から「なるほどな」という気付きもあり、
そういう意味でも楽しめました。

yukikotajima 11:52 am

両方になる

2019年10月2日

昨日、富山県美術館で開催中の企画展
「日本の美 美術×デザイン−琳派、浮世絵版画から現代へ−」
を見てきました。

合わせて同時開催中の
「びじゅチューン!× TAD なりきり美術館」
も体感してきました。

例えば、北斎のビッグウェーブを体感できるコーナーでは、
叫ぶ声の大きさで波の大きさが変わります。

こちらはお子さん向けですが、
平日の夕方で私の貸し切りということもあり
スタッフの方から「どうぞ」とすすめられ、私も体験してみました。

最初は遠慮気味に声を出したら「小波」でしたが、
スタッフの方から「大波が出るまでどうぞ」と言われたので、再度チャレンジ!

無事「大波」が出ました。笑

ちなみに「富士山」と叫ぶのですが、
ポイントは大きな声を出すのはもちろん、
「ふーじ、さーーーーーん!!」と伸ばすことだそうです。
ぜひ恥ずかしがらずにやってみてくださいね。笑

これらの企画展を見て体験をして、浮世絵は見飽きないなあと思いました。
人の表情や動きから温もりが伝わってくるのです。
突然の雨に逃げ出す人たちの動きなんて、心の声が聞こえてくるほどです。

また、波のうねりの描き方もまるで生き物のようですし、
雨の描き方もただの線に見えて、実は奥が深かったりと
見ていて本当に楽しかったです。

そして、ふと、私の後ろに実は北斎や広重がいて、
私が作品を見ているのをあれこれ言いながら見ていたら・・・
と想像してみました。

その作品は素通りしちゃうの?とか、
おお、その作品は気に入っているのね、などと
言われていたら面白くないですか?
いや、怖いかな?笑

***

今日ご紹介する本は、
まさに鑑賞中の絵を描いた画家から
こっそり後ろから見つめられる少女と、その画家の物語です。

『両方になる/アリ・スミス 著、木原善彦 訳(新潮クレスト・ブックス)』

本の帯には、「作家の西加奈子さん絶賛!」とあります。

その一行で、普通の物語では無いなと思いましたが、
きっと面白いに違いないと思って読んでみました。

しかし、正直なことを言うと、読み始めてすぐの私の感想は、
「これは面白いのか?意味が全然分からないのだけど…」でした。

落ち着きのない時の自分の頭の中のように
目まぐるしく場面が変わっていくので、ついていくのに必死でした。

しかも何について話しているのか、全くわからない。
それが面白さでもあるのだけど、
わからないから、うーん。これは読みにくい、と思ってしまったのです。

でも最後まで読んで、再度一ページ目から読んだら、
なんと言葉がキラキラと輝いていることか!
印象がまったく異なりました。

突拍子も無い発言だと思った言葉も
確かにここじゃなきゃだめだ、としっくりきましたし、
話の先を知っているからこその可笑しさもあって、ニヤニヤが止まりませんでした。
こんなに面白い作品だったなんて!
まるで別の物語を読んでいる気分でした。

ああ、こんなことってあるのかと、新たな読書の楽しみを味わいました。

久しぶりに再読したくなる…ではなく、再読した作品でした。

***

『両方になる』は、どんな作品なのか軽くご紹介しましょう。

ともに「第一部」と題された二つのパートから成っています。
2回目の「第一部」を見たときは「?」となりましたが、間違いではありません。

目のマークの「第一部」では、
十五世紀頃に実在したイタリア人画家のフランチェスコ・デル・コッサが蘇って
現代のイギリスに現れる物語です。
写真を見て、実物にそっくりの絵だと思ったり、
皆が馬に乗っていないことに驚いたりします。
でも、フランチェスコの存在は誰にも見えません。

一方、監視カメラマークの「第一部」は、
フランチェスコに見られている少女の物語です。
彼女は、フランチェスコの絵を何度も見に行っています。

***

そして、この本には特別な仕掛けがあります。
なんと本によって、作品の順番が異なるのだとか!

私が読んだものは、フランチェスコの物語が先でしたが、
少女の物語が先のバージョンもあるそうです。
それも本を開いてみないとどちらが先なのかわからないんですって。ワーオ!

つまり、先にどちらの物語を読むかで人によって印象は全然異なるわけです。
とにかく仕掛けがたくさんある物語でした。

なお、『両方になる』は、一文一文が短く、まるで詩のようでもあって、
声に出して読みたくなりました。
声に出して読むと、まるで私自身から言葉が溢れ出ているような錯覚に陥るほど
テンポがとてもいいのです。

『両方になる』は、普通の小説ではないので、好みは分かれるかもしれませんが、
私はいろいろな意味で楽しませてもらえた一冊でした。

あなたも秋の夜長にどっぷり本に遊ばれてみるのはいかが?(笑)

yukikotajima 11:15 am

化物蠟燭

2019年9月25日

2週連続の3連休が終わりましたね。
後半の連休はちょうど秋のお彼岸ということで
お墓参りに行った方もいらっしゃると思います。

例えば、天国のお祖母ちゃんに心の中で語りかけたり
家族でお祖母ちゃんとの思い出話をした方もいらっしゃるのでは?

もしかしたらお祖母ちゃんは
にこにこ微笑みながら目の前にいたかもしれません。
実際には見えなくても。

***

今日ご紹介する本は、幽霊たちが登場する短編集です。

『化物蠟燭(ばけものろうそく)/木内昇(きうち・のぼり)【朝日新聞出版】』


木内さんというと、2011年に『漂砂のうたう』で直木賞を受賞しています。

「化物蠟燭」とは、影絵の一種で、
幽霊の形に切った紙に蝋燭の灯りを当てて障子などに影を映すというものです。
影が揺らぐことで、まるで障子の向こう側で幽霊が動いているように見えるのだとか。

今回の作品は江戸の町が舞台の短編集で、7つのお話が収録されています。

例えば、表題作の「化物蠟燭」は、影絵師をしている男性のもとに、
ある男性を「影絵」で怖がらせてほしいという依頼が舞い込みます。

言われた通り、影絵師は毎晩夜中に部屋の外から幽霊の影絵を見せ続けます。

しかし、ある日、自分は毎晩いったい何をしているんだ?と思い、
昼間にこっそり彼の様子を見に行きます。

すると「毎晩、あなたの影絵を楽しみにしていた」と言われてしまいます。

怖がらせるために見せていたはずなのにどうして?
そもそもなぜ自分の存在がばれているのか?

その理由を知ったとき、私は胸が熱くなりました。
大変いいお話でした。

化物蠟燭は、形は同じでも、ゆらゆらと見え方を変えていく、
つまり、向きによって見え方が異なります。

これ、あらゆることに言えませんか?

もっと物事を様々な角度から見ることができれば、
あらゆることはスムーズにいくのかもな。

***

他には、
亡くなったはずの人が隣に引っ越してきたり、
過去に夫だったというおじいさんが突然現れたり、
生きている人だと思った人はすでにこの世の人ではなかったりと、
どのお話もちょっと不思議な物語です。

幽霊が見えてしまうある男性が、こんなことを言っています。

「生きている者より死んでいる者のほうが素直に心を語る分、心安い」

「たかが噂ひとつで手のひら返すのが人という生き物だ」

この短編集には幽霊の出てこないお話もあります。
このお話が一番怖かったです。

幽霊は怖い…という方もいるかもしれませんが、
一番怖いのは、生きている人の心なのかもしれませんよ〜。

『化物蝋燭』は、確かに幽霊たちは出てきますが、怖い作品集ではありません。
秋の夜長に毎晩一話ずつゆっくり読み進めてみては?
幽霊たちから気付かされることもあるかも。

また、江戸の訛りと文章のリズムが心地よく、読んでいてとても楽しかったです。
そういう意味でもおすすめの一冊です。

ぜひお読みください。

***

ただいま紀伊國屋書店富山店では、
「ユキコレ・キノコレ フェア」が開催されています。

このフェアは、graceで毎週水曜日の13時45分頃〜お届けしている
本の紹介コーナーでご紹介した本を集めたものです。

これまで紹介してきた本の中から
紀伊國屋書店富山店と私、田島が選んだ本が並んでいます。

私のオススメ本には私のコメントもあります!

また、紹介本も最初の頃より増えています。

フェアは9月30日(火)までですので、ぜひ足をお運びください♪

yukikotajima 11:20 am

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

2019年9月18日

今日のキノコレ(grace内コーナー13:45頃〜オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
今話題の本『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みました。
著者はブレイディみかこさん。

英国のブライトンに住む保育士でライターでコラムニストです。
この本は、息子の中学時代が綴られたノンフィクションです。

カトリックの小学校で優等生だった息子が選んだ中学校は、「元・底辺中学校」でした。
いじめも喧嘩も差別もあるような学校です。

息子君はハーフです。それゆえの悩みもあります。
友人には、差別を簡単に口にする人や貧しい生活を送っている友人もいます。

彼らとともに中学生活を送る中で、
息子君は著者であるお母さんと一緒に何が正しいのかを悩み、考えていきます。

とてもいい本でした!!!

この本、大人にも子どもにも読んでいただきたい。
この本を教科書にして学校の授業で学んでもいいと思う。
それは無理でも一家に一冊あるべき本だと思います。

なぜいじめをするのか?
なぜ差別は起きるのか?

といった問題に対する息子君の考え方が素晴らしいのです。

息子君は「人はいじめるのが好きなのではない。〇するのが好きだ」
と言うのですが、これ、まさにその通りです。
今の世の中は、人を〇したい方が本当に多いのですよね。
この〇に入る言葉、わかりますか?
気になる方はぜひ本を読んでみてください。

お母さんは、息子とその友達やり取りをを見ながら
「世界はひどい方向に向かっているというのは、
彼ら(息子を含めた若者たち)を見くびりすぎている」
とおっしゃっています。

この本を読んでいると、確かに子どもたちのほうがよっぽど柔軟で
人を平等に見ているのがわかります。

中学生の息子君やその友人たちがこの先、どんな大人になっていくのか。
ぜひ続編も読んでみたい!

yukikotajima 11:23 am

罪の轍

2019年9月11日

今日ご紹介する本は、東京オリンピックを翌年に控えた頃のお話です。
といっても今年ではなく、昭和38年の物語です。

『罪の轍/奥田英朗(新潮社)』

物語はまず、北海道から始まります。
漁師手伝いの青年、宇野は、盗みをはたらき東京へ逃亡します。

そして舞台は東京へ。
彼が東京で暮らし始めてからまもなく、ある強盗殺人事件が起きます。
事件の捜査を担当しているのは、捜査一課の落合。若手の刑事です。
落合は、殺人事件の犯人を追っていく中で、ある青年の噂を耳にします。

そんな中、今度は男児誘拐事件が発生します。
落合をはじめ刑事たちは、男の子を一刻も早く見つけ出さなければ!と思うものの、
手がかりはなく、時ばかりが過ぎていきます。

本のページをめくるだけで心臓がバクバクするほどの緊迫感です。

無事、男の子を見つけることはできるのか?
また、二つの事件の犯人はそれぞれ誰なのか?
そして、物語はこのままどこに向かっていくのか?
など、本のページをめくるたびに疑問が次々にわいていきました。

これらの答えが知りたい方は、ぜひ本をゲットしてください。

ただ、600ページ近くもある長編ですので、お時間のある時にお読みください。
ちょうど今週末と来週末は3連休ですから一気読みするのにいいかも!

また、この物語を読んだ後に、
奥田さんの過去の作品『オリンピックの身代金』
も合わせてお読みになってみてはいかがでしょう?

実は、刑事たちが今回の物語と同じメンバーなのです。
時代的に見ると、『罪の轍』が先です。

私も『オリンピックの身代金』も読みましたが、
10年前のことでだいぶ忘れているため、もう一度改めて読んでみたくなりました。

◎『オリンピックの身代金』の私の感想は コチラ

とは言え、『オリンピック〜』のほうもかなりの長編ですので、
一気に読もうと思ったら、3連休は読書しかできなくなりそうですが。
まあ、それも素敵な過ごし方かな!(笑)

***

『罪の轍』は、東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年の物語なのですが、
私はあまり古さを感じませんでした。
というのも、人の心や行動が今も昔も変わらないように感じたのです。

今、世の中で何か事件が起きたとき、
ネットに様々な情報がさらされてしまいますよね?

ネットが登場する前はそんなことは無かったのに、嫌な時代になったものだわ。
と思う方もいるかもしれません。
でも…昔も同じことをする人はいたのです。

たとえば、子どもが誘拐された家で、どんなことが起きたと思いますか?

なんと、電話が鳴り続けたのです。
嫌がらせの電話が!
電話の匿名性をいいことに、日頃のうっぷんを晴らすべく、
いたずら電話をかける人が大勢いたのでした。

時代は変わっても人の行動は変わらないじゃないか、とハッとさせられました。

***

それから、『罪の轍』には、富山の皆さんにしかわからない話題が出てきます!
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、
ほかの地域の皆さんが「ん?どういうこと?」となる中、
きっと優越感に浸れると思います。(笑)

奥田ファンの一人として、富山の話題を出してくださったことが嬉しかったです。

そう、私は奥田英朗さんの作品が昔から大好きです。
奥田さんの作品には、犯罪を犯す人がよく出てくるのですが、
100%悪人としては描かれません。
だから厄介なんです!(笑)
時代劇に出てくる悪人のように、とことん嫌な奴だったら
「この人むかつくー!」ちお怒りをぶつければいいだけので、そういう意味では楽なのですが、
奥田さんは、そんな単純な描き方はしません。
人のいい面も悪い面も平等に描いていきます。
だから、どんな人からも人間らしさを感じます。
100%完璧な人もいなければ、100%悪人もいません。
そのバランスが絶妙なのです。

奥田さんの本を読んだ後は、
自分の周りにいる、ちょっと苦手な人に対しても
この人にもいい面はきっとある、と
いつもより優しい気持ちで接することができるような気がします。

今回も充実の読書時間でした。
(そして、寝不足になりました!笑)

***

ただいま紀伊國屋書店富山店では、
「ユキコレ・キノコレ フェア」が開催されています。

このフェアは、graceで毎週水曜日の13時45分頃〜お届けしている
本の紹介コーナーでご紹介した本を集めたものです。

これまで紹介してきた本の中から
紀伊國屋書店富山店と私、田島が選んだ本が並んでいます。

私のオススメ本には私のコメントもありますので、
良かったらお読みください。

フェアは9月30日(火)までですので、
ぜひ足をお運びください♪
 

yukikotajima 12:09 pm

さよならの儀式

2019年9月4日

現在、紀伊國屋書店富山店では、
「ユキコレ・キノコレ フェア」が開催されています。

このフェアは、graceで毎週水曜日の13時45分頃〜お届けしている
本の紹介コーナーでご紹介した本を集めたものです。

これまで紹介してきた本の中から
紀伊國屋書店富山店と私、田島が選んだ本が並んでいます。

私のオススメ本には私のコメントもありますので、
良かったらお読みください。

また、まだ本はすべてそろっていないそうで、
今後増えていくようですよ。

フェアは9月30日(火)までですので、
ぜひ足をお運びください♪

***

さて、今日はキノコレの日です。
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
宮部みゆきさんの『さよならの儀式』をご紹介いただきます。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

こちらの本は400ページ以上あるものの、
わりとさらりと読めてしまいます。

というのも短編集だからです。
どのお話も短いので、すぐに読めます。

それもちょっと変わった世界の物語のため、
お話の先が想像しにくく、
夢中で本のページをめくっているうちに、
あれ、もう読み終えた!という感じで読めてしまうのです。

描かれている内容は…ひと言でいうなら「世にも奇妙な物語」です。

『さよならの儀式』は、宮部さんにとって初のSF作品集なのだとか。

近い未来本当にありそうな出来事も描かれていて、
もしそうなったら私は何を思うのかしら?と思ったり、
つい街じゅうの防犯カメラをチェックしてしまったり
もし中学生の私が今の私を見たら何を思うかな?と想像したりと、
どの作品も読んだ後、自分と重ねながら、あれこれ考えてしまいました。

中でも「わたしとワタシ」という作品は
45歳のわたしの前に、女子中学生のワタシが現れるというお話なのですが、
これがとても面白い。

中学生のワタシの発言は容赦なく、
「こんな干からびたおばさんになりたくない」
とまで言われてしまうのです。

他にもスマホやスタバにも興味津々です。

ふたりのやり取りがとても面白く、アハハと笑う一方で、
もし中学生の田島悠紀子と会話することがあるなら
「そんな人生もいいじゃん!」と思ってもらえるような
大人でいたいなあと思ったのでした。

あなたはどうですか?
中学生の頃の自分が今のあなたを見たらどんなことを言われそうですか?

yukikotajima 11:18 am

短編少年

2019年8月28日

もうすぐ8月も終わりますね。
この夏はどんなことが印象に残っているでしょう?

お子さんたちは宿題は無事終わりましたか?

もし、今あわてて宿題をしていて、
実は読書感想文も終わっていない…。
今から本を読む時間も無いよー。
という方にオススメの短篇集があります。

『短編少年(集英社文庫)』

こちらは、少年をテーマに綴られた短編作品9編が収録されたアンソロジーです。

本屋さんでこの本を見つけたとき、思わず手を伸ばしてしまいました。
だって、本の表紙に書かれたお名前があまりにも豪華だったのですもの。

伊坂幸太郎さん
あさの あつこさん
佐川光晴さん
朝井リョウさん
柳広司さん
奥田英朗さん
山崎ナオコーラさん
小川糸さん
石田衣良さん

どうですか?
豪華過ぎやしませんか?

もし福袋だったら、はずれなしの超豪華福袋です。
オトクすぎます。

あまりにも有名なお名前ばかりの短編集でしたので、
もしかしたら過去に読んでいるかもしれないと思ったほどです。
(調べたら読んでいませんでした)

さっそく本のページをめくってみました。
最初の作品は伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』でした。

いきなり小学生たちが集団でカンニングを実行しようとしている物語で、
ん?これは面白いのか?なんか嫌なタイプのお話のような気がする…
と思ったのですが、最終的にはとてもいいお話でした。

このお話は、大人になった元少年が、
あることがきっかけで思い出した
小学6年生のある数か月のことが描かれています。

先生から馬鹿にされている友人を救おうと奮闘する少年たちの物語なのですが、
あの手この手で先生に、彼は素晴らしい少年だということを気付かせようとするのです。
それが突拍子もないアイデアばかりなのだけど、みんな、本当に優しいのです。

でも、子どもたちの優しさに感動する一方で
すっかり大人になった私は、子どもたちに大切なことを気付かされもしました。

大人が子どもに発する言葉は、大人が思う以上に影響がある、ということです。

例えば、失敗する度に「あなたは本当にダメね」と言われ続けたらどうでしょう?

大人から、あなたはダメと言われてしまうと、
子どもは、そうか自分はダメなんだと思ってしまいます。
また、それを聞いていた周りの人も皆、
あの子はダメな人なんだと思ってしまう。

子どもの未来を狭めるのも広げるのも、大人の言葉次第なのかもな。

思い当る大人の皆さんは、言い方をこれまでとちょっと変えてみませんか?
その前に、まずはこの物語をお読みください。

伊坂さんのお話は、やはり面白い!とあらためて実感。
本当にいいお話でした。

***

他には、部活でズルをしてしまい後悔する少年の物語、
地区大会の初戦の前日に野球部の元部員が補導されるというお話、
活躍が期待されていたものの、
ケガをしてバスケ部を辞めた高校生の物語などが収録されています。
また、中には少女が主人公のお話もあります。

どの作品の少年たちもみんなそれぞれ
悩んだり、間違ったりしているのだけど、
どの少年も愛おしかった!

未熟だからこそ失敗もするし、その一方で能天気だったりもする。
でも、実は繊細で、人を傷つけてしまったことをものすごく後悔したりもする。

少年たちは、そうやって失敗や後悔を繰り返しながら大人になっていくのですよね。

私には子どもはいないけれど、
まるで母の気分で読んでしまいました。

***

『短編少年』は、少年たちの物語ですので、
若い皆さんに読んで頂きたいですが、大人の皆さんにもオススメです。

この短編集を読むことで、ご自身の懐かしい記憶や
すっかり忘れていた若い頃のピュアな気持ちが思い出されるかもしれませんよ。

***

そうそう!
夏の間は、各出版社で「夏の文庫フェア」を開催しており、
文庫を買うと、プレゼントがもらえます。

私もこれらを頂きました♪
かわいい〜。

あと、夏の文庫フェアの冊子も面白いですよー。

冊子は無料ですので、ぜひ手に入れてみてください〜。

yukikotajima 12:07 pm

花のアルペンルート立山

2019年8月22日

今年は本当に暑い夏でしたが、
涼を求めて立山黒部アルペンルートへ行った方もいらっしゃるのでは?
中には、近々行く予定の方もいらっしゃるかもしれません。

国内外から大勢の観光客が訪れる人気の観光スポットの立山黒部アルペンルートは、
日本を代表する高山植物の宝庫でもあるそうです。

実際、様々な植物を観察しながら散策される方も多いと思いますが、
目にした植物がどんな名前のお花なのかわかったら、
より楽しめると思いませんか?

そんな散策時におすすめの本があります。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—(ほおずき書籍)』

本を書かれたのは、日本海植物研究所を主宰し、
高山植物やブナ林の調査などを行っている
富山出身、在住の佐藤卓(さとう・たかし)さんです。

こちらの本では、立山黒部アルペンルートに咲く数多くの植物を
花の色や構造によって分類し、カラー写真とともに解説しています。
さらに、英文の解説も付いていますので、外国の方にもオススメです。

佐藤先生によると、
この時期も様々な植物を見ることができるそうで、
特に今はキク科の植物が見頃で、
例えば「タテヤマアザミ」などはたくさん見られるのだとか。

また、お花は9月中旬まで、
その後は葉が紅葉したり実をつけたりする様子が楽しめるのだとか。
真っ赤な「ナナカマド」は大変美しいそうですよ。

近々立山黒部アルペンルートに行く方は、
ぜひ『花のアルペンルート立山』を手に散策を楽しんでみてください。

また、佐藤先生は、過去に訪れたことのある方も
「あの時、こんなお花があったね、と思い出しながら読んでほしい」
とおっしゃっていました。

私もこの本を読んでみましたが、
植物の写真が全てカラーなので、見ているだけでも癒されました。
また、植物の種類の多さにも驚きました。
好きなタイプの植物を見つけながら読むのもいいでしょうし、
ページごとに似たタイプの植物が紹介されていますので、
色々比べながらページをめくるのも楽しいと思います。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—』は、
県内の各書店の他、チロルやスポーツのマンゾクなどの山道具屋さん、
立山あるぺん村などで買うことができます。

また、佐藤先生のHP「日本海植物研究所」からも注文できます。

日本海植物研究所のHPは コチラ

立山黒部アルペンルートの散策のお供にぜひ〜♪

yukikotajima 12:24 pm