ブログトップページはコチラ

花のアルペンルート立山

2019年8月22日

今年は本当に暑い夏でしたが、
涼を求めて立山黒部アルペンルートへ行った方もいらっしゃるのでは?
中には、近々行く予定の方もいらっしゃるかもしれません。

国内外から大勢の観光客が訪れる人気の観光スポットの立山黒部アルペンルートは、
日本を代表する高山植物の宝庫でもあるそうです。

実際、様々な植物を観察しながら散策される方も多いと思いますが、
目にした植物がどんな名前のお花なのかわかったら、
より楽しめると思いませんか?

そんな散策時におすすめの本があります。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—(ほおずき書籍)』

本を書かれたのは、日本海植物研究所を主宰し、
高山植物やブナ林の調査などを行っている
富山出身、在住の佐藤卓(さとう・たかし)さんです。

こちらの本では、立山黒部アルペンルートに咲く数多くの植物を
花の色や構造によって分類し、カラー写真とともに解説しています。
さらに、英文の解説も付いていますので、外国の方にもオススメです。

佐藤先生によると、
この時期も様々な植物を見ることができるそうで、
特に今はキク科の植物が見頃で、
例えば「タテヤマアザミ」などはたくさん見られるのだとか。

また、お花は9月中旬まで、
その後は葉が紅葉したり実をつけたりする様子が楽しめるのだとか。
真っ赤な「ナナカマド」は大変美しいそうですよ。

近々立山黒部アルペンルートに行く方は、
ぜひ『花のアルペンルート立山』を手に散策を楽しんでみてください。

また、佐藤先生は、過去に訪れたことのある方も
「あの時、こんなお花があったね、と思い出しながら読んでほしい」
とおっしゃっていました。

私もこの本を読んでみましたが、
植物の写真が全てカラーなので、見ているだけでも癒されました。
また、植物の種類の多さにも驚きました。
好きなタイプの植物を見つけながら読むのもいいでしょうし、
ページごとに似たタイプの植物が紹介されていますので、
色々比べながらページをめくるのも楽しいと思います。

『花のアルペンルート立山 —フラワーウオッチングガイド—』は、
県内の各書店の他、チロルやスポーツのマンゾクなどの山道具屋さん、
立山あるぺん村などで買うことができます。

また、佐藤先生のHP「日本海植物研究所」からも注文できます。

日本海植物研究所のHPは コチラ

立山黒部アルペンルートの散策のお供にぜひ〜♪

yukikotajima 12:24 pm

三体

2019年8月21日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
中国をはじめ、世界で話題になっている小説です。

『三体(さんたい/劉慈欣(リウ・ツーシン)<早川書房>)』

本について詳しくは、奥野さんが紹介していますので、
まずは コチラ をお読みください。

***

世界で話題の小説『三体』を私も読みました。
実は、きのうの夕方、仕事が終わってから読み始めたのですが、
かなりのボリュームで、読み終えたのは夜中でした。(笑)

科学者の物語なので、難しい言葉が並んでおり
最初は「うっ、これは理解できないかも…」と思ったのですが、
そこに関しては考え過ぎるのをやめて
物語そのものを追っていったところ、
楽しく読むことができました。

ですから科学に関してあまり知識が無いという方も
「難しい…」と思ってもやめずに、
ぜひ物語そのものを追っていってください。

なんといってもこの物語は、SFですしね!

それに面白いので、途中からはその先が気になって
ページをめくる手が止まらなくなると思います。

私には物語の出来事がフィクションに思えず
似たようなことが実際おこっていてもおかしくない、
と思わずにはいられませんでした。
そんなことを思いながら夜遅く眠りについたら
案の定、夢に出てきました。
まさか私まで物語の世界に入ってしまうとは!(笑)
だいぶ怖かったです…。

ちなみに、『三体』は、三部作で、
この作品はその中の「一部」だそうです。

また、中国ではドラマ化が決まったのだとか。

私の予想!
いずれ、アニメ化もされる気がする。
しかも日本で。

日本でアニメ化されたら、さらに爆発的な人気になりそうだわ。

***

そうそう!
なんとキノコレ、ユキコレでこれまで紹介してきた本が
「フェア」として紀伊國屋書店富山店で紹介されることになりました。

詳しくは今日のラジオを聞いてね♪

yukikotajima 11:40 am

夏休み中にオススメの本

2019年8月14日

こんにちは。
お盆休み、楽しんでますか?
私は、昨日まで群馬の実家に帰っていました。

新幹線で帰省したのですが、
車内ではずっと本を読んでいました。

今日は、忙しい中でも移動時間や隙間時間に読める本と
夏休み中の学生の皆さんにおすすめの本、
いずれも「文庫」をご紹介します。

まず、大人の皆さんにおすすめなのは、
『5分で驚く! どんでん返しの物語(宝島社文庫)』です。

タイトルの通り、1話5分で読めるお話が25作品収録されています。

ですから、電車の移動時間や寝る前の5分など
ちょっとした隙間時間でも楽しむことができます。

短いお話だと印象に残りにくいのでは?と思われそうですが、
こちらの短篇集は、「最後の1ページ」、「最後の1行」にこだわっているので、
どの作品もインパクトがあります。

また、作品ごとに作家が変わるため、内容はバラエティに富んでいます。

ドキドキしたり、怖かったり、心が温まったり、泣けたりと、
たった5分の物語に心が刺激されまくりでした。

ちなみに、最初のお話は富山が舞台でした。
北アルプスの山奥に特別な料理を提供しているお店があるのだとか。
その料理をどうしても食べたいと思った男性は、
そのお店を目指して山道を進んでいきます。
しかし、場所は黒部川の源流です。簡単に行ける場所ではありません。
果たして男性は、その特別な料理を食べることができるのか、
といったお話です。

どの作品も短いながらも「どんでん返し」を味わえるので、
読んだ後の満足感が高いと思います。

夏の間、本を読みたいけれど、
まとまった時間は取れそうにない…
という方にこそおすすめの一冊です。

気に入った方は、シリーズ化されていますので、
ぜひ他の本も読んでみてください。

***

続いてご紹介するのは、夏休み中の学生さんにおすすめの本です。

学生の皆さん!今日は8月14日(水)です。
夏休みの宿題の定番、読書感想文はもう書きましたか?

まだ書いていない…という方は、
まずは、この本から読んでみてはいかがでしょう?

『だれでも書ける最高の読書感想文/齋藤孝(角川文庫)』

そもそも何を読んだらいいかわからない。
感想と言われてもどう書いていいのかわからない。
というか、読書があまり好きではない。

読書感想文が苦手な理由は色々あると思いますが、
これらの悩みもこの本を読めば、きっと解決するはずです。

でも、この本を読むのも辛そう…と思った方!

この本は、まるで齋藤孝さんが語りかけるように
やわかい文体で書かれていますので、お話を聞いている感覚で読めます。

例えば、どんなことが書かれているのかと言いますと、
本の感想は「人に話せれば書ける」のだとか。
面白いテレビ番組を見たら、友だちにそのことを話したくなりますよね?
齋藤さんによると、これが感想を人に伝えることの原点なんだとか。

また、「“なぜ”から始めるとスイスイ書ける」そうです。
なぜその本を選んだのか。
きっと必ず理由がありますよね?
私がこの本を選んだ理由は…から考えると書きやすいそうですよ。

といった感じで、具体的なアドバイスがたっぷり紹介されています。

合わせて「読書の魅力」も。
私も読書が好きなので、齋藤さんの思いに対し、
「わかりますー。私もそう思います!」
といちいち本にむかって心の中で反応してしまいました。

この本は、私のような読書好きの大人や
本を読んだほうがいいのはわかるけれど、実は苦手…という方や
思っていることを人にうまく伝えられないという方にもおすすめです。

ぜひご家族の皆さんで読んでみてください。

yukikotajima 11:29 am

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

2019年8月7日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介頂く本は、

先日、第161回直木賞を受賞した
大島真寿美(おおしま・ますみ)さんの
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(文藝春秋)』です。

タイトルの読み方は、
「うず いもせやま おんなていきん たまむすび」です。

奥野さんが本についてわかりやすく紹介していますので、
まずは コチラ をお読みください。

***

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この作品は、江戸中期の人形浄瑠璃作者、近松半二(ちかまつ・はんじ)
の生涯が描かれています。

人形浄瑠璃は、今では「文楽(ぶんらく)」と言われています。

本のタイトルは、まさに近松半二らが書いた伝説の大ヒット作のことです。
「半二ら」と書いたのは、半二をはじめ、複数の人間によって書かれたからです。

物語がどのようにうまれたのかが、生き生きとした文章で描かれています。
それも軽快な大阪弁の語りで。
私は大阪弁は喋れないけれど、言葉のリズムが心地よく、
本を読むのが楽しくてたまりませんでした。
それこそ声に出して読みたくなったほどです。

この小説を読んだ後、これは生で文楽を見てみたい!
と思って調べてみたところ、なんと今年5月に上演されていたそうです。

ああ、見たかった!

と同じように思っている方がきっと多いのだろうな。(笑)

直木賞受賞記念で再演しないかなー。

本のタイトルだけを見ると難しそうですが、
大変読みやすく面白い一冊でした。
また、浄瑠璃について学べたことも良かったです。

先週は「水墨画」を、今週は「浄瑠璃」を小説から学べました。

◎先週ご紹介した本は コチラ

あらためて小説は、私の世界を広げてくれるなあと実感!
さて、次はどんな本を読もうかしら。

yukikotajima 11:19 am

線は、僕を描く

2019年7月31日

今日も暑いですねー。

こんな日は、真冬の寒さを思い出してみませんか?

こちらはある冬の日の富山の写真です。

雪が降って一面真っ白の世界を想像すると、
少しは暑さが和らいできませんか?

私は雪に覆われた富山の景色を見る度、
まるで水墨画の世界だなと思います。

目に見える景色はほぼ白く
ほんのわずか山や木の輪郭だけが見えるような。

だから富山に水墨美術館があるのかしら?

さて、あなたは水墨画のような景色ではなく、
実際に水墨画を見たことはありますか?
また、水墨画というとどんなイメージをお持ちですか?

***

今日ご紹介する小説は、水墨画の世界が描かれています。

「水墨画?全然知識無いから理解できなそう…」
と思った方もいるかもしれませんが、心配ありません!

主人公の青年がまさに何も知識の無いところから
水墨画家になっていくという物語ですので、
この青年とともに水墨画を学ぶことができるのです。

今日ご紹介するのは、砥上裕將(とがみ・ひろまさ)さんの
『線は、僕を描く(講談社)』です。

著者の砥上さんは水墨画家でもいらっしゃって、
水墨画の魅力を小説を通して伝えたいと思ってこの本をお書きになったのだとか。
なんとデビュー作だそうです!

でも、すでにかなり話題となっているようで、
週刊少年マガジンでは漫画の連載も始まったそうです。

たしかに漫画にしても違和感のない作品です。
というか、漫画でも読んでみたい!

***

簡単に物語をご紹介しましょう。

両親を事故で亡くした大学生の霜介は、バイト先で水墨画の巨匠と出会います。
あることがきっかけで巨匠に気に入られた彼は、君を弟子にすると言われてしまいます。
それまで水墨画に興味の無かった彼ですが、巨匠に水墨画を習うことにします。
そして、水墨画の魅力に気付き、また自分自身も成長していくという物語です。

***

以前、ピアノコンクールが舞台の恩田陸さんの物語
『蜜蜂と遠雷』を読んだ時に「音が聞こえる!」と思いましたが、
『線は、僕を描く』は、絵が見えました。

私は水墨画に関しては詳しくないけれど、でも目の前に絵が見えました。
なんといっても著者の砥上さんの表現力が豊かなのです。
同じ言葉を使わずに、次々に水墨画の魅力を言葉に表していきます。

基本的には主人公の霜介君が心の中で発した言葉なのですが、
心から感じたピュアでまっすぐな思いだからこそ心に刺さり、
気付けば私も水墨画が好きになっていました。

そして、実際に本物の水墨画を見に行きたい!と思って
本を読み終えるや否や、富山県水墨美術館に行ってしまいました。(笑)

小説を読んで水墨画の基礎や素晴らしさを学んでから実際に水墨画を見たら、
今までと見え方が全然違っていました。

例えば、水墨画は描き直しができないそうです。
どの絵も一発勝負なのです。

今までだったら作品の全体をなんとなく見ていましたが、
一本一本の線までをじっくり見てみると
いかにすごい技術なのかがわかり、
作品を鑑賞しながら楽しくて仕方ありませんでした。

ぜひ小説を読んだら実際に水墨画を見に行ってみてください。
きっと興奮しながら鑑賞できると思追います。(笑)

***

物語は、透明感があってどこまでもまっすぐで
若者たちがみんな頑張っていて
嫌な人も出てこなくて
水墨画も美しくて
読み終えた後、私自身の心がデトックスできていました。

また、水墨画から学ぶことも多かったです。

例えば…
・力を抜くことこそ技術
・何も知らないことが力になる
・何かを始めることで、そこにあった可能性に気付く
など。

いい言葉と出合う度、付箋を貼っていたら
付箋だらけになってしまったほどです。

今、新しい世界に足を踏み入れたいのに勇気がなかなか持てない方や
今の自分を変えたいけれど、どうしていいかわからないという方は、
この本を読んでみてはいかがでしょう?

本を読み終えた後は、きっと世界が少し明るく見えるはずです。

yukikotajima 11:43 am

つみびと

2019年7月24日

今日の予想最高気温は33度です。
今日も暑くなりそうですが、9年前の暑い夏に
ある若い母親が幼い子ども二人をマンションに置き去りにした
という事件が起きました。

真夏の灼熱地獄の中、冷房も食べ物も無い部屋で幼い子どもが亡くなり、
母親はその間、何をしていたのかというと、遊びほうけていました。

この事件、かなりショッキングな内容でしたので、
覚えている方も多いのではないでしょうか。

この事件を知った時、あなたは何を思ったでしょうか。

***

今日ご紹介する本は、この事件に着想を得て創作したという
山田詠美さんの話題作『つみびと(中央公論新社)』です。

山田さんは、出版社のサイトの中で

「日頃から、事件報道に接するたびに、
 ここにある罪とは、いったいどんなふうに形造られて来たのだろう
 と
考えてみるのが癖になっている」

とおっしゃっています。

この作品は、実際の出来事がベースになっていますが、あくまでもフィクションです。
でも、とてもリアルな作品でした。

物語は、亡くなった子どもたちの母の母の話から始まります。
娘が逮捕され取材攻撃にあう母の様子から。

何も知らない私は、このお母さんのことを大変そうだと思ってしまいました。

でも、読み進めていくうちに、その感情は変化していきます。
というのも、この母も娘を捨てているからです。

子どもたちを置き去りにしたのが「蓮音」で、
その蓮音を捨てた母親が「琴音」です。
つまり、子どもを置き去りにした蓮音も母親に捨てられているのです。

物語は、この二人と亡くなった子ども「桃太」の3人の視点で進んでいきます。

事件を起こした蓮音が酷い人なのは間違いありません。
でも、彼女の人生を知れば知るほど、彼女がかわいそうに思えてきます。
幼い頃、母が家を出て行ってしまってから
妹たちの面倒を見る羽目になった蓮音の毎日は壮絶なものでした。

そんな中でも初めての恋をし、子どもが出来て結婚します。
ところが幸せな時間は長くは続きませんでした。
離婚をした彼女は、誰にも頼らず…というか頼れず、
子どもたちを育てるために家と仕事を探すことになります。
そして…。

蓮音の子どもの頃を知ると、
最初に母親の琴音に感じた大変そうだという感情は消え去り、
琴音はなんてひどい母親んなんだ!と全く逆の感情が湧いてきます。

ところが、この琴音にも辛い過去があったのです。
それが原因で精神的に病んでしまいます。

この辛すぎる連鎖を誰かとめて!と思わずにはいられませんでした。

でも、男性たちは頼りになるどころか、腹立たしい人ばかりです。
暴力をふるったり、都合の悪いことから逃げたり。

あまりにもしんどくて本を読みながら泣けてきました。

子どもたちを置き去りにしてしまった蓮音が悪いのは間違いありません。
でも、彼女だけが悪いのかといったら、そうじゃない。

そして、気付いたのです。
私だって何様だよと。

何も知らずに「蓮音は最低な人だ!」と思っていた私は、
なんて短絡的なのかと自分が嫌になりました。

でも、世の中の多くの方が私と同じ思考なのではないでしょうか。

事件の背景なんて知らないくせに
SNSで好き勝手言う人のなんと多いことか。

この本を読み始めてすぐに
「なんか疲れる本を選んでしまったな…」
と正直、後悔しました。
でも、途中でやめなくてよかった。

なぜ蓮音は子どもを置き去りにしてしまったのか。
読んでいるうちに、そこに至るまでの気持ちを知りたくなったのです。
というか、知るべきだと。

この物語はあくまでもフィクションですので、
事実は異なるところも多々あると思います。

でも、これとよく似たことが実際に起きた、ということを知ることはできます。

亡くなった子どもたちが何を感じ亡くなっていったのか。
その描写に涙が止まりませんでした。

事件を悪いこととして認識することは誰でもできます。
でも、なぜこんな悲しいことが起きてしまったのかといった背景まで
思いをめぐらせることができる方は多くはないのでは?

私だって、いい人ばかりが出てくる本や、わははと笑える本を読みたいと思う。
でも、それだけでは私の世界は偏ってしまいます。

世の中には様々な人がいる、それこそ自分とは全く考えの違う人もいる、
ということを知ることができる(それも深く!)のが本なのだと思います。
同時に自分がいかに無知であるかということにも気付かされます。

読むのは本当に疲れたけれど、でも最後まで読んで本当に良かった!

今、人知れず悩みを抱えている方は、一人で悩まないでください。
辛いときは、どうせ私のことなんて誰もわかってくれない…
とあきらめてしまいそうになるけれど、
そこであきらめてしまったら、ますます辛くなるだけです。

本当に辛いときは誰かに頼ったっていいと、私は思います。

もうこの先、この本のような悲しい事件が二度と起きませんように。。。

yukikotajima 11:30 am

ゴミ清掃員の日常

2019年7月17日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
ツイッターで話題になったエッセイマンガです。

奥野さんの紹介文は コチラ

『ゴミ清掃員の日常』

原作・構成は、滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)さん、
まんがは、滝沢友紀(たきざわ・ゆき)さんです。
この二人はご夫婦です。

秀一さんは「マシンガンズ」というお笑いコンビを組んでいるのですが、
お笑いだけでは生活できないことからゴミ清掃員の仕事を始めたそうです。
そして、そのゴミ清掃にまつわる話題をツイッターにアップしたところ話題になり、
エッセイマンガとして発売されることになったのだとか。
ちなみに、この本でマンガを描いている奥さまも素人さんだそうです。

ご主人は、芸人だから面白いツイートをすることができたわけですよね。
ただ普通にゴミの話をするのではなく、
興味をひくツイートだったから注目されたわけで、
一見無関係だと思うこともすべて意味があるのかもしれないなと思いました。

実際、この本は大変面白かったです!
同時に「ゴミ」について学ぶこともできました。
へぇと思う話題も多く、例えば…

・行儀・人柄は末端に表れる
→パッと目に入ったゴミからその人の生活が浮かび上がるのだとか

・ごみ清掃車は幼児に大人気!
→でも小学生になると反応が変わる…

・ゴミがキレイに出されている地域はコミュニティがしっかりしている
→子育てにはいい地域かも

などが書かれています。

ゴミからその人の生活が浮かび上がるというのは、まさにその通りだと思います。
私もゴミが多い時は、ここのところ無駄遣いが多かったなと反省したり
逆に少なすぎるときは、外食ばかりであまり家にいなかったかもなと思ったり
ゴミから気付くことは多々あります。

この本を読んで、今後どんなゴミを出すにしても、
ゴミ清掃員の方が嫌な気持ちにならないようにゴミを出していきたいと思いました。

皆さんもこの本を読んであらためてゴミの出し方を考えてみませんか?

yukikotajima 11:20 am

落花

2019年7月10日

昨日まで東京に行っていたのですが、
私が利用した電車もバスも運転していたのは女性でした。
車内アナウンスが女性の声だったことで気付いたのですが、
都内の人たちにとってはもう当たり前のことなのでしょう。
そのことに関して車内の誰も話題にはしていませんでした。

最近、様々な分野で女性の活躍が目立ちます。

ちょうど一週間後の17日の水曜日に発表される第161回直木賞は、
なんと候補者6人全員が女性です。
候補者全員が女性となったのは、芥川賞を含め初めてのことだそうです。

ちなみに、今回の直木賞候補者は、

・朝倉かすみ「平場の月」/光文社」
・大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び/文藝春秋」
・窪美澄「トリニティ/新潮社」
・澤田瞳子「落花/中央公論新社」
・原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー/文藝春秋」
・柚木麻子「マジカルグランマ/朝日新聞出版」

の6名です。

***

今日はこの中から澤田瞳子さんの『落花』をご紹介します。

澤田瞳子さんは、これまで何度か直木賞候補になっている人気作家です。

今回の『落花』は、平安時代の物語です。
主人公は、仁和寺の僧侶、寛朝(かんちょう)です。
当時は、声のいい僧侶ほど素晴らしいと言われていたそうで、
寛朝ものびやかな声の持ち主あり、
平将門から「これほど耳に心地いのは初めてだ」と絶賛されるほどでした。

それでも寛朝は、もっと上達したいと思い、
ある先生から歌を学ぶために京都から関東へと向かいます。
そこで出会ったのが、平将門でした。

将門の評判は決していいものではなかったのですが、
直接会って話をしてみると、噂と違って怖くないどころか、いい印象を持ちます。

こういうことってよくありませんか?
実際、関わってみたら、あれ?思っていたより嫌な人じゃないぞ、ということ。

将門は、不器用ゆえ、悪い噂ばかり広まって恐れられています。
実際はいい人過ぎて人から利用されることもあるほどなのに…。

寛朝は、将門とも交流しながら関東での生活が始まります。
ところが肝心の目的がなかなか果たせずにいます。
やっと見つけた先生は、寛朝に対してなぜか冷たい態度を取り続けるのです。

果たして、寛朝は歌を習うことはできるのでしょうか。
また、不器用な将門の運命は?

そしてもう一人、寛朝の従者としてともに関東にやってきた
千歳(ちとせ)の物語も同時に進んでいきます。

彼が関東にやってきた理由は、名器と言われる琵琶を手に入れるためです。

寛朝も千歳も関東へ行く目的は「音楽」です。
二人は、それぞれの音楽を得ることができるのでしょうか。

この続きは、ぜひ本のページをめくってみて下さい。

***

平安時代の物語で昔ながらの表現も多いのですが、
決して頭に入ってこないかと言ったらそんなこともなく、
気付けば物語の世界に没頭していました。

時代は違えど、人の心は今とはそれほど変わりません。
人は結局、人に悩まされ、人に癒されるのですよね。

主人公の寛朝が様々なことに悩み、考え、行動していく様は他人事とは思えず、
私ならどうするのか?と自分の心に問わずにはいられませんでした。

また、この物語は音に満ちていました。
本のページをめくりながら実際には音は聞こえないのだけど、
様々な音が心地よく聞こえてくるようでもありました。

主人公の寛朝が音に敏感なこともあり、様々な場面の音が丁寧に描かれます。
例えば、人が殺される戦場の音にさえ、寛朝は心惹かれます。
文字を目で追っているだけで戦場の音が聞こえてきます。それも美しいものとして。

ぜひあなたも本を読みながら様々な音を感じてみては?

yukikotajima 11:58 am

ノーサイド・ゲーム

2019年7月3日

2019年後半がスタートしました。
後半の大きな出来事の一つに、9月20日に開幕する
「ラグビーワールドカップ2019日本大会」があります。

ラグビーファンにとっては、すでに待ち遠しくてたまらないと思いますが、
その一方で、興味はあるけれどラグビーの試合をしっかり見たことはないし
ルールもよくわからない…という方もいらっしゃると思います。

私もそんな一人です。

せっかくなら楽しみたい!でも、なかなかきっかけが無いという方は、
まずはこの小説を読むことから始めてみてはいかがでしょう?

読んだ後は、きっとラグビーが好きになっているはずです。

『ノーサイド・ゲーム/池井戸潤(ダイヤモンド社)』

 

詳しくは、今日13時45分頃〜のキノコレ(grace内コーナー)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただきます。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

***

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

今回もザ・池井戸作品で大変面白かったです!
裏切りがあったり、意地悪な人が出てきたりしつつも
主人公は決してあきらめず、不屈の精神で戦っていきます。

今回は、企業のラグビー部が舞台です。
主人公の男性は、経営戦略室で活躍していたエリートでしたが、
上司と対立したことがきっかけで左遷され、
会社のラグビー部のゼネラルマネージャーをすることになります。

このラグビー部は、成績もぱっとせず、
その上、ずっと巨額の赤字が続いていることから
社内にはラグビー部に対して否定的な人たちもいます。

主人公もこれまではラグビー部に対して興味はありませんでした。
でも、仕事はできる人です。
そもそもラグビーの知識やスキルは無くてもマネジメントのプロですからね。
自らできることで、チーム再建に挑んでいきます。

この、主人公がラグビーの素人というところがよかったです!

素人目線で物語が進んでいくため、
読者も主人公とともにラグビーを学ぶことができるのです。

チームが変化していく様は本当に面白く、
気付けば私もこのラグビーチームのファンになっていました。

チーム再建のために必要なことは色々ありますが、
その中の一つ、「ファンの獲得」には納得!
また、バスケのBリーグが成功事例として出てくるのも興味深かったです。
バスケもファンが増えたことで、どんどん盛り上がっていきましたからね。

バスケ好きの方は、かなり褒められていますので、気持ちよく読めると思います。(笑)

また、どの業界にも言えることですが、
長くその業界に関わっている人の意見がすべて正しいかと言ったら、
決してそうでは無いのですよね。

変化に対しての反論として
「昔からずっとこうだから変える必要はない」と言い出したら、もうやばいのかも。

あなたは言っていませんか?

もし私がそんなことを言い出したら、頭が固くなっている、と受け入れることにします。。。
「変わる」とはどういうことかについても勉強になりました。

お仕事小説としてもスポーツ小説としてもエンタメ小説としても面白い一冊でした。

そして、小説を読み終えたあとは、面白かった!では終わらず、
ネットでラグビーのルールや選手、ワールドカップなどについて検索してしまいました。
ええ、すっかりにわかラグビーファンです。
ちゃっかりイケメン選手探しもしちゃいましたし。(笑)

なお、この作品は、今度の日曜日7日から大泉洋さん主演でドラマ化されます。
このドラマもヒットしそうですね。ドラマも楽しみ〜!

yukikotajima 11:26 am

ライフ

2019年6月26日

あなたは賃貸アパートに住んだことはありますか?
住んだことがある方は、同じアパートの他の住人との交流はありましたか?

今日ご紹介する小説は、アパートが舞台の物語、
小野寺史宜(おのでら・ふみのり)さんの『ライフ(ポプラ社)』です。

主人公は、アルバイトを掛け持ちしながら
独り暮らしを続けている井川幹太、通称かんちゃん27歳です。

かんちゃんは、大学時代から8年半、同じアパートに住み続けています。

大学卒業後は、就職したもののパワハラ上司に耐えられず2年で辞め、
その後、別の会社に就職するものの、こちらもすぐに辞めてしまいます。

今はコンビニと結婚式の代理出席のアルバイトをしています。
真面目にアルバイトをし、休みの日は一人で散歩をしたり
喫茶店に行ってコーヒーを飲みながら本を読んだりして
毎日ストレスなく気楽に生きています。

ところが、ある男性がかんちゃんの住む部屋の真上に
引っ越してきてから生活が一変します。

かんちゃんが「がさつくん」と呼ぶその男性は、音がうるさいのです。
ガンガンドンドン、歩く音もモノを置く音もとにかく大きく、
いつか注意をしたいと思いながら言えない日々が続いていきます。

そんなある日、ひょんなことから
「がさつくん」と望まぬ付き合いが始まってしまいます。

ちょっと挨拶するだけではなく、付き合いが始まってしまうのです。
例えば、一緒にご飯を食べたり、
がさつくんの子どもの面倒まで見る羽目になったり。

気付けばわりと仲良くなってしまうのですが、
相変わらず部屋の騒音は減りません。

でも、がさつくんの部屋に行くようになり、
騒音の原因が何であるかはわかるようになります。
その結果、知り合う前とは感じ方は変わって、苦痛が少しだけ緩和されます。

でも、まあいっかと思っているわけではなく
いつかは注意したいと思っているのですが、
仲良くなって逆に言いづらくなってしまったのです。

また、がさつくんとの交流が始まってから
かんちゃんは不思議と近所の知り合いが増えていきます。

誰にも頼らず、ひとりで生きられればいい、と思っていたかんちゃんですが、
彼らと交流する中で自分の心の奥にあったある思いに気づきます。

さて、かんちゃんの人生はどこに向かっていくのでしょうか。
そして、騒音問題は…?
この続きは本のページをめくってください!

***

とても面白い小説でした。

私もこれまでずっと賃貸物件に住んでいますので、
他の住人の皆さんとの距離感や騒音問題には大いに共感。
近所の方となんとなく知り合いになる、というのもわかるなーと。

また、この物語には普通の人たちばかり登場しますので、
小説を読んでいというより、誰か友人の話を聞いているかのようでもありました。

普通と言えば、かんちゃんの友人の女性がこんなことを言っています。

「事故に巻き込まれそうになった時、
自分がいつ亡くなるかわからないから、やりたいことをやろう!
と思ったのに、やりたいことが思い浮かばず、笑ってしまった」と。

結局、この女性は、あることをきっかけに、
やりたいことが特別なことである必要はないと気付くのですが、
そうなんですよね。

やりたいことって、人によって様々でいいはずなのに、
なぜか「特別なこと」を考えてしまいがちなんですよね。

例えば、死ぬまでに海外の名所を訪れたい人もいれば、
家でジャンクフードが食べたい人もいるわけです。

かんちゃんいわく、
私たちは「前向き成長信仰にとらわれている」のだとか。

たしかにそうかも。
あなたはどうですか?
ちゃんと心に正直に生きていますか?
それとも前向き成長信仰にとらわれているでしょうか。

梅雨で心がモヤモヤしがちな時期です。
なんかすっきりしない方は、是非この本を読んでみては?

yukikotajima 11:49 am

百花

2019年6月19日

最近、お笑いシネマライブやアイスショー、ミュージカルなどを
立て続けに見てきました。

これらの報告は私の個人ブログ「続・ゆきれぽ」にアップしましたので、
よかったらお読みください。

***

さて、先日、認知症の母親を介護するアラフォー女性の物語
『ことことこーこ/阿川佐和子(角川書店)』
をご紹介しました。

認知症と言えば、現在公開中の映画『長いお別れ』も同じテーマです。

個人的な話をすると、
先日見たドキュメンタリー映画『徘徊 ママリン87歳の夏』
も認知症になった87歳のお母様との生活を追った作品でした。

ここのところ、認知症がテーマの作品が増えています。

今日のキノコレ(grace内コーナー 13時45分頃オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本も
認知症がテーマの小説です。

『百花/川村元気(文藝春秋)』

◎奥野さんの紹介文は コチラ

川村元気さんというと、
『電車男』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』
などの映画を製作してきた映画プロデューサーです。

また小説家としても活躍し、
映画化もされた『億男』や『世界から猫が消えたなら』などを執筆されています。

そんな川村さんの最新作です。
今回、認知症をテーマにしたのは、
川村さんのお婆さまが認知症になったことがきっかけで、
ご自身のエピソードもそのまま小説の中に登場しているそうです。

小説では主人公の男性の母親が認知症になっていく様が描かれています。

最近、認知症を扱った作品に触れる機会が多いのですが、
共通しているのは、皆、悩みながらも優しさに満ちているということ。

『百花』も優しい物語でした。

また今回は自分の「記憶」について考えさせられました。
私がこうだったに違いないと思っている過去の記憶は
いつの間にか私の頭の中で変化していっているのかもしれないなと思って
ためしに母に電話で確認したら、
案の定、私の記憶は事実と異なっていました。

いつ、どのタイミングで書き換えられてしまったのだろう…。
子どもの頃の記憶って結構曖昧なのかもな。

時々親と自分が子どもの頃の話をして、
記憶の修正をしてみるのもいいかもなと思いました。

あなたは過去の記憶に自信はありますか?

また、この物語は「認知症」だけの物語ではありません。
母と子の過去のある事件や
主人公が働くレコード会社での仕事についても描かれており
「お仕事小説」としての一面もあり、
ラジオの仕事をしている私としては音楽業界の裏側のお話も興味深かったです。

yukikotajima 11:40 am

あなたの右手は蜂蜜の香り

2019年6月12日

あなたは「思い込み」をよくするほうですか?

私は仕事上、「思い込み」をしないように心がけています。
というのもミスのほとんどは、この「思い込み」が原因であることが多いからです。

あなたも「私は○○だと思っていたのですが…」
なんて言い訳をしたことはありませんか?

でも。
私は仕事をする上では思い込みをしないよう意識をしているけれど、
普段はどうかと聞かれたら、思い込みだらけかもなあ。。。

相手の気持ちを考えて行動する時、
それが当たっていればいいけれど、
全く見当はずれなこともありますよね。
例えば、良かれと思ってやったことが裏目に出るような。
でも、相手が本当に望んでいたことなら、きっと喜んでもらえますよね。
相手の気持ちをちゃんと理解できているのか、
それとも独りよがりな思い込みなのか。
それによって相手の反応は大きく異なります。

***

今日ご紹介する小説はこちら。

『あなたの右手はハチミツの香り/片岡翔(新潮社)』

本の表紙には、傘をさして立っている熊のイラストが描かれています。
一見、外国の本かな?と思えるようなシンプルな装丁です。

私が今回なぜこの本を選んだのかと言うと、
今がちょうど雨の季節だからです。

傘をさしている熊のイラストに
主人公の名前が「雨子(あめこ)」で、
おお、この本こそこの季節にぴったりではないか!
と思い、読んでみることにしました。

主人公の雨子は「思い込み」を嫌う女の子です。
知らないことは何でも知りたいと思い、
どんなことでも「どうして?」と聞きます。

例えば、小学三年生のある日、北海道に住んでいる雨子は、
ヒグマが出たことを知って、その熊を見に行きたいと思います。

というのも、みんな熊を恐れているのに、
アニメやぬいぐるみになっていて人気があるのは不思議だと思ったからです。
だから自分の目で熊が怖いのか、かわいいのか確かめたいと。

そして、熊に会いに行くのですが…。

この雨子の行動がきっかけで
ある小熊が動物園に入れられてしまいます。

そのことを自分のせいだと思った雨子は、小熊を救うために生きることにします。
突然、ヒグマの飼育員になるために真面目に勉強をしたり、
動物の世話をするボランティアを始めたりします。

果たして雨子は小熊を救い出すことはできるのか。
そもそも小熊は本当にそれを望んでいるのか。

動物にとっての本当に幸せとはどういうことなのでしょう?

動物園にいれば、いつでも餌がもらえるし、
もし病気になってもすぐに獣医さんに診てもらえます。
でも、ずっと狭い檻の中で暮らさなければいけません。
だからといって動物園で暮らしてきた動物が
ちゃんと自然の中で生きていけるかどうかはわかりません。

さて、雨子はどんな結論を出すのでしょうか。
気になる方はぜひ本のページをめくってみてください。

***

そうそう、このお話は小熊と雨子の物語だけど、
親や幼馴染の男の子や雨子が心を開く女性なども登場し、
彼らとの関係も描かれていきます。
特に幼馴染の男の子とのやり取りが初々しくてかわいいんです!

本の帯には「心がぽうっとあたたまる」とありますが、
私はどちらからというと、ドキドキがずっと続いていたかな。色々な意味で。
ドキドキして、涙して、またドキドキして。
様々なドキドキが味わえた一冊でした。

雨の季節にオススメの作品です。
雨音を聞きながら読んでみては?

yukikotajima 11:53 am

彼女たちの場合は

2019年6月5日

10代の頃、親に内緒でこっそりどこかに出かけたことはありますか?

ちょっとそこまでとか、ほんのわずかな時間ならある、
という方はいらっしゃるかもしれませんが、
置手紙だけ残して旅に出たことのある方は滅多にいないのでは?

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃オンエアー)は、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
江國香織さんの新作『彼女たちの場合は(集英社)』
をご紹介いただきます。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

奥野さんが丁寧にこの本について説明していますので、
本を読む前にチェックしてみてください。

***

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

主人公は、14歳の礼那(れいな)のと17歳の逸佳(いつか)です。
二人はニューヨークの郊外に住むいとこ同士です。

逸佳の両親は日本に住んでおり、
彼女だけ礼那の家族とともに暮らしています。
逸佳は日本の高校を自主退学したのち、アメリカにやってきたのでした。

ある日、二人の少女は“アメリカを見る”旅に出ます。

親にはもちろん内緒で。
といっても、ちゃんと「旅に出ます」と書置きはしますが。
それも「家出ではないので心配しないでね」と。

行先は様々です。
わりと行き当たりばったりで、
その時の気分で決めていきます。

本を読みながら、私も10代に戻って一緒に旅をしている気分でした。

無知でピュアゆえの危なっかしさといったら!
ハラハラドキドキの連続でした。

でも、自分の10代の頃を思い出しながら
彼女たちと一緒になって楽しんでいると
一気に現実に戻されます。

というのも、この物語は、少女たちだけでなく
彼女たちの親目線の物語も同時に進んでいくのです。

親が登場すると一気に現実モードになります。

同じ親と言っても考え方はそれぞれです。
17歳の逸佳の父親は、自分自身が旅慣れしているため
娘を心配しつつも心の中では応援しています。
一方、14歳の礼那の父親は気が気でなく、母親に当たるほどです。

大人の皆さんの中には、お子さん目線よりも
親目線でこの物語を読まれる方もいらっしゃるかもしれません。

私には子どもはいませんが年齢的には親世代なので、
もし自分が親だったら、何を思い、どう対応していくのかしら?
と考えずにはいられませんでした。

その一方で10代の少女たちの気持ちもわかりました。
若いってこういうことだよなーと
彼女たちに過去の自分を重ねてみたりもしました。

少女たちが出会った30代の男性がこんなことを言います。

「大人はふつう、こんなふうに誰かに気持ちをひらいたりしない。
 きみたちはよく笑う。思ったことをはっきり言葉で伝え合うし」

まさにそれ!
10代の頃は、よく笑ったし、何でもよく喋ってましたもん。
今はなんだかんだで空気を読んじゃうもんなー。
ま、それが大人になるということなのかもしれませんが。

また、14歳の礼那は旅の間、どうでもいいことを書き留めていきます。
その理由は、大事なことは覚えているけれど、
そうじゃないことは忘れちゃうから、だそうです。
実はそっちのほうが大事だと。
礼那は旅の思い出を全て忘れたくないと思っているのでした。

私も10代の頃はそうだったかもなあと懐かしく感じました。

今はもう忘れる一方です。
毎日、日記じゃなくても
単語だけでもいいから記録していくのはありかもな。
大事なことも些細なことも。

『彼女たちの場合は』は、
旅気分が味わえるのはもちろん、10代の頃のまっすぐな思いや
待たされる親の気持ちもわかる
色々な意味で読み応えのある一冊でした。

さて、彼女たちの旅はどこに向かっていくのでしょうか。
そして、親たちはこの状況をどう受け入れていくのか。。。

ぜひお読みください♪

ああ、私もアメリカを旅したいなー。
でもその前に英語を勉強しなきゃ…
と言い訳しているところが、ダメな大人の典型だわね。(笑)

yukikotajima 11:16 am

ことことこーこ

2019年5月29日

今このブログをお読みの方の中には、
現在、親御さんの介護をしている方や
今はしていないけれど以前していたという方も
いらっしゃるかもしれません。

今日は、認知症の母親を介護するアラフォー女性の物語をご紹介します。

『ことことこーこ/阿川佐和子(角川書店)』



この本は、去年秋に発売されましたので
すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
そんな方は是非grace宛に感想をお寄せください。

私がこの本を初めて見たのは書店の店頭でした。
大きく取り上げられていたこともあり、気にはなっていたものの
私自身、その当時バタバタしていて心に余裕が無く
「介護=大変」というイメージがあり、
読書の時間まで大変な思いをするのは嫌だ…と読むのを避けていました。

でも、先日書店でまたこの本が目に飛び込んできたため、
今度は手に取って、まず帯を読んでみました。

そこには「笑いと希望の介護小説!」とありました。

介護小説に笑いと希望?と思ったものの、
著者はあの、明るい阿川佐和子さんだし
辛く暗いだけの小説ではないのかもしれないと読んでみることにしました。

ちなみに、読んだのは昨夜なのですが…
泣いて、泣いて、泣きすぎて、昨夜は目が思いっきり腫れていました。

ちなみに、いい涙ですよ。

***

『ことことこーこ』は、去年秋の発売以来、よく売れているそうです。

タイトルだけでは何の話かわかりませんよね。
本のカバーにはスプーンやフォークなどのイラストが描かれていますので、
料理にまつわる小説かな?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
それは半分合っています。料理もたくさん出てきますから。

タイトルの「ことことこーこ」は、主人公とそのお母さんの名前です。
琴子はお母さんで、香子は娘です。

香子は、38歳の女性です。
結婚10年で離婚し実家に戻り、
フードコーディネーターとして新たな人生を歩み出そうとしたものの
なんと母に認知症の症状が現れはじめます。

始めたばかりの仕事を手放したくない。
でも、認知症の母を放っておくわけにはいかない。

結局、香子は仕事と介護を両立させようとするのですが…
という物語です。

***

この物語には、実際に認知症になった
阿川さんのお母様の介護の体験が盛り込まれているのだとか。

お父さんが突然「母さんは呆けた」と3回連呼したり
様々なことを忘れてしまう自分のことを「情けない」と綴った母のメモなどは、
実体験に基づくものなのだそうです。

このメモには涙。
お母さんは、自分が忘れっぽくなっていることをわかっているのですね。
他にもさまざまなメモが見つかるのですが、そのメモにも涙。
詳しくは本を読んでみてください。

同じことを何度も聞いてきたり、
ふらりとどこかに出かけたまま帰ってこなかったりと
認知症になったお母さんとの生活は正直大変です。

私も娘の立場で読んでいましたから
一緒に喜怒哀楽も疲労感も味わっていました。

でも、決して辛さだけを描いているのではありません。
くすっと笑えるシーンも多々あります。
だかといってバカにしているわけではないですよ。
なんといってもこの物語は、誰かを思いやる気持ちにあふれていますから。

今、まさに介護中の方も
そうではない方も是非読んでみてください。

小説としての面白さはもちろん、
「介護」への向き合い方も学べると思います。

それから、この本は読んでいるだけでお腹が減ります。

娘の香子はフードコーディネーターの仕事をしていますので、
美味しそうな料理がたくさん出てくるのです。
具体的な作り方も書かれていますので、実際にその通りに作ってみたくなります。

私が印象に残ったのは、「カレーは冷蔵庫のお掃除屋さん」という言葉。
残り物を入れれば入れるほど深みが出るんですって。
だから、ジャムも飲み残しのコーヒーも硬くなったチョコも入れていいと。

へええ!

心が豊かに、そして、おおらかになる一冊でした。 

yukikotajima 11:41 am

それでも空は青い

2019年5月22日

今日も青空が広がっていて爽やかですね。

あなたは今、どんな気分ですか?
今日の青空のように晴れ晴れとしていますか?
それとも心はどんよりくもり空、あるいは雨がしとしと降っているでしょうか。

青空の日は全員が爽やかな気分かと言ったら、そういうわけではありませんよね。

どんなに青空でも、辛かったり悲しかったりする日もあります。

今日ご紹介する本は、荻原浩(おぎわら・ひろし)さんの
『それでも空は青い<角川書店>』です。

タイトルに「それでも」とあります。
たとえあまりハッピーな気分でなかったとしても空が青い日は青いのです。

この本は7つのお話が収録された短編集です。
本の帯には「人づきあいに悩む背中をそっと押してくれる7つの物語」とあります。
また「読めば心が軽くなる」とも。

たしかにふわりと心が軽くなる作品もありましたし、
え、そういうオチなの?とびっくりしたものや
思わずニヤリと笑ってしまったものなど、
お話ごとに全然異なるスタイルなので
読んでいて全く飽きなかったですし、どのお話も大変面白かったです。

特に終わり方がいい!
お、そうきたか!というものばかりで。

短篇集なのでどのお話もさらりと読めてしまうけれど
しっかりその後も心に残るので、
できれば一気に一冊読んでしまうより
毎晩一話ずつ読んでいくのがいいかもしれません。

***

例えば、どんなお話が収録されているのかというと、
最初のお話は、高校時代に同じ野球部に所属していた二人の男性の物語です。

高校時代は同じようにプロ野球選手になりたいという夢を持っていた二人ですが、
一人はプロ野球選手になって、一人はなれなかった。

物語は、挫折したほうの男性目線で進んでいきます。

この短編集には野球のお話が多く登場します。
キャッチボールのシーンもよく出てきます。

野球以外のところでは、
昔気になっていた女子が出席するかも?と言う噂を聞いて
久しぶりに同窓会に出席した男性の物語や
結婚して半年が経った今、夫との会話が弾まずに悩んでいる女性の物語
などがあります。

新婚夫婦の二人の物語のタイトルは「あなたによく似た機械」です。
何を聞いても「うん」「いや」「ああ」しか言わない夫と
もっと会話を楽しみたいと思っていた妻が掃除中にねじを見つけ、
もしかしたら夫はロボットだったのかもしれないと思う、という物語です。
このお話のラストには涙。

天気予報を見ると、富山はしばらくいいお天気が続きそうです。
青空を心から「爽やかだ〜」と楽しめる人がいる一方で、逆の方もいますよね。
それこそ本のタイトルのように「それでも空は青い」と思ってしまう方が。
そんな方は、是非この本を読んでみてください。

本を読み終えた後は、青空の見え方が少し違って見えるかも。

yukikotajima 11:41 am

心とカラダを整えるおとなのための1分音読

2019年5月18日

こんにちは。

先日の台湾旅のことを
私の個人ブログ「続・ゆきれぽ」にアップしましたので
良かったらお読みください。

・台湾旅その1は コチラ

・台湾旅その2は コチラ

***

さて、今日のネッツカフェドライヴィンのテーマは「言葉」です。

5月18日が「5(こ)1(と)8(ば)」と読めることから
「言葉の日」なんだそうです。

あなたの好きな言葉は何ですか?
人から言われて嬉しかった言葉はありますか?
言葉にまつわるメッセージを是非お寄せください。

◎ネッツカフェドライヴィンのサイトは コチラ

***

いい言葉に出合ったとき、音読をしたくなりませんか?
私は声に出して読みたくなります。

黙読でいいと思った言葉は、
声に出すことでより心に残りやすくなると思います。

あなたは最近、音読をしていますか?

音読なんて学生時代の国語の授業以来していないし、
恥ずかしいよ…と思う方もいらっしゃるかもしれません。

でも、音読には「心とカラダにいいこと」がいっぱいあるのだそうです。

その理由は、最近買った本、
『心とカラダを整えるおとなのための1分音読(自由国民社)』
に書かれていました。

まさに音読のための本で、
タイトル通り小説や随筆、詩や短歌など、
「1分を目安に読める文章」が掲載されています。

例えば、「坊っちゃん(夏目漱石)」、「走れメロス(太宰治)」、
「手袋を買いに(新美南吉)」などが載っています。

文字も普通の本より大きめですし、まるで国語の教科書のようでもあります。

一番のポイントは「1分」で読めるということ。
長すぎると嫌になってしまいそうですが、
1分だとちょっと読んでみようかな、という気になれます。

音読のメリットはたくさんあります。
例えば、気持ちが落ち着いたり、ストレスが解消したりするのだとか。
他にもさまざまなメリットがあるそうですよ。

私も「喋る」仕事をしていますが、
私の場合、声を出した後は頭がすっきりします。
また、高揚感もあります。

ぜひいい言葉に出合ったときは
黙読だけではなく、声に出して読んでみてください。

また、もっと色々音読してみたいと思われたら
今日ご紹介した本を読んでみてください。

ちなみに、この本は2017年に発売されたものなのですが、
今年2月には、続編の『もっと心とカラダを整えるおとなのための1分音読』
が発売されましたので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。

yukikotajima 9:33 am

迷路の外には何がある?

2019年5月15日

今日のキノコレ(13時45分頃〜)は
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
『チーズはどこへ消えた?』の続編、
『迷路の外には何がある?〜『チーズはどこへ消えた?』その後の物語〜』
をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

『チーズはどこへ消えた?』は、日本で400万部、
全世界では累計2800万部を突破したベストセラーで
ちょうど20年前に発売されました。
当時、お読みになった方もいらっしゃるのでは?

私も読んだ記憶があります。
でも、当時の私にはあまりぴんときませんでした。
きっと本の内容を理解できるほどの経験がなかったのだと思います。

でも、それから20年が経ち、
社会人として仕事をしたり様々な人との関わりがあったりと、
当時と状況が大きく変わった今、あらためて読んでみたらとても面白くて、
この本が全世界でベストセラーになった理由がやっとわかりました。(笑)

そして、このほど発売された20年ぶりの続編がこれまた面白い!

悩みとか不安とか苛立ちとかそういったもののほとんどは、
自分次第でどうにでもなるのかもしれないと、この本を読んで気づかされました。

大人になればなるほど、変化を恐れがちです。
あらゆることにおいて「変わらなくてもいいのなら変わりたくない」と思う方も多いのでは?
でも、心の奥では「変わったほうがいいのかも」と思う気持ちもあったりしませんか?

変わりたいのに変われない理由は何か?

この物語にも同じような人(正確には小人)が登場します。

続編では、消えたチーズを探さずに同じ場所にとどまった主人公の彼が
その後、何を思い、どんな行動を取ったのかが描かれています。

「チーズ」を自分が欲しいものに、
主人公のヘム(名前です)を自らに置き換えて読んでみると
自分の物語になると思います。

でも、読書は苦手なんだよなあ…
という方でも大丈夫!
これらの本は薄いので、あっという間に読めます。

今の自分を変えたいけれど、どう変えていいのかわからないという方は、
まずはこの作品を読んでみてください。
その際、できれば前作の『チーズはどこへ消えた?』を改めて読むことをおすすめします。

ちなみに、続編で私が印象に残った言葉をいくつかあげてみますね。

・あなたは考えを変えることができる。

・あなたが考えを変えても、あなたはあなた。

・役に立たないことは捨て去ろう。

この本に書かれている言葉はシンプルです。
だから、よりダイレクトに心に響くのかもしれません。
そして、さらりと読めるのに、しっかり心に残ります。
ぜひお読みください!

yukikotajima 12:12 pm

楽天で学んだ100%やりきる力

2019年5月9日

小説を楽しく読み進めていき、
最後にわくわくしながらページをめくったところ
ラスト1ページが無かったとしたら…。

私はそんなの、ぜ〜ったいに嫌です。
小説は100%完成した状態で読みたいですもん!

その小説をご自身の仕事に当てはめてみてください。
一日の仕事を一冊の小説と考えたとき、
毎日しっかりラスト1ページまで仕上げることはできていますか?

あなたは仕事を100%やりきっていますか?

「やりきる力」とはどんな力なのでしょう?
その答えは、この本に書かれています。

『楽天で学んだ100%やりきる力/廣田大輔(朝日新聞出版)』

著者の廣田さんは、十全化学株式会社の取締役社長です。
富山の方です。

十全化学の前は楽天で仕事をなさっていました。
その楽天時代に学ばれたのが「やりきる力」だそうです。

その具体的な方法をご自身の経験を交えながらわかりやすく解説しています。

いくつか印象に残ったものをピックアップしてみますね。

・ダメだったときのことは、ダメだった後に考えよう。

・結果はどうであれ、行動する。すると何かが必ず動き出す。

・周囲を見ずに、独自のカラーを見出すことばかり考えても勝てない。

・ひそかに近づくドリームキラーに気を付ける。

ドリームキラーとは、夢を殺す人です。
廣田さんのおっしゃることには、人の夢を否定する人は「必ず」出てくるのだとか。

確かにいますねー。

仕事ではありませんが、私が去年富山マラソンに出る!
と決めたあと、ドリームキラーが近づいてきました。笑
もちろん応援してくださった方のほうが圧倒的に多かったですよ。

でも、あからさまに「走るだけの何が楽しいわけ?」とか
「絶対に走れないに決まっている」などと言う方もいました。

仕事上でもいますよね。
何か新しいことを始めようとすると絶対に「否定」する人が。

この本には「ドリームキラー対策」も載っています!

仕事を一生懸命しているだけなのに
何かと邪魔が入ったり否定されたりして
ちょっとめげそうになっている…
という方はいませんか?
そんな方はこの本を是非読んでみてください。
きっと心がスッキリして、よし頑張ろう!という気分になれると思います。

ほかにも、もっと成長したい。
でも、なかなかうまくいかないという方にもオススメです。

廣田さんによると、日本人は優秀な「成長エンジン」を持っているのだとか。
でも、エンジンを動かさなければいずれ使えなくなってしまいます。

ぜひこの本を読んで、あなたもご自身の「成長エンジン」をバージョンアップしてみては?

yukikotajima 11:48 am

カササギ殺人事件

2019年5月8日

長いGWが終わりましたね。
私のGWは仕事もしましたが、
前半は関西にプチ旅
後半は群馬の実家に帰っていました。
それから本もけっこう読みました。

私のGW報告はのちほど個人ブログ「続・ゆきれぽ」にアップしますので、
よかったらお読みください♪

***

さて、今日のキノコレ(grace内コーナー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は
今、話題の海外ミステリです。

イギリスを代表する作家、アンソニー・ホロヴィッツ
『カササギ殺人事件(上・下)』です。

奥野さんの推薦文は コチラ

***

私もこの本を読みましたので、軽く感想を!

この本の何がすごいって、
先月発表された本屋大賞の翻訳小説部門で1位になった他、
『このミステリーがすごい!2019年版』海外編
『週刊文春2019ミステリーベスト10海外部門
『2019本格ミステリ・ベスト10』海外篇
『ハヤカワ・ミステリマガジン ミステリが読みたい!海外篇』
でも1位になるなど、昨年末のミステリランキングを制覇しています。

さらに、第10回翻訳ミステリー大賞、第7回翻訳ミステリー読者賞でも
1位を獲得しているのです。

『カササギ殺人事件』が、
様々なミステリランキングでことごとく1位になっている話題作です。

さらに、この作品は、著者のアンソニー・ホロヴィッツの
ミステリの女王アガサ・クリスティへの愛に満ちたオマージュ作品です。

ですからアガサ・クリスティファンの方にとっては、
きっとニヤニヤが止まらないと思います。

でも、まったく知らなくても大丈夫!
だって、私も楽しめましたから。
私は読書が好きですが、基本的には日本の作品を読むことが多いので、
恥ずかしながらアガサ・クリスティの作品をしっかり読んだことはありません。

でも、『カササギ殺人事件』を読んだことで、
逆にアガサ・クリスティの作品を読みたくなりましたが。

物語は、鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れて亡くなった家政婦の葬儀から始まります。
彼女の死は不慮の事故なのか、それとも殺人なのか。
さらに、同じ町で新たに人が亡くなり…。
余命わずかな名探偵アティカス・ピュントが死の謎に迫っていきます。

2冊合わせて800ページ近くある長編ですし、登場人物も多いので、
読む前は、ちゃんと読めるかしら?とちょっと不安がよぎりましたが、
そんな心配は一瞬で消えました。

夢中で上巻を読み、最後の1行で「えーーーー!!!」と驚き、
下巻にすぐに手を伸ばしていました。
ところが、下巻に入ってからは、なかなか上巻最後の説明がされないまま、
全く別の話が続いていきます。
その話はいいから、上巻の続きをすぐに教えて!
と思って、ますますページをめくる手のスピードがアップ!
気付けば、その話はいいから…と言っていたほうの話にも夢中になっていました。
楽しい読書時間でした。

GWが終わって、次なる楽しみが見つからない…
という方は是非、この本のページをめくってみてください。
きっと楽しい時間が待っているはずです。

ただし!
寝不足にはご注意を〜。

yukikotajima 11:41 am

令和と万葉集

2019年5月1日

今日から「令和」です。

新たな元号「令和」は、現存する日本最古の歌集「万葉集」を出典としています。

奈良時代に編纂された万葉集には、
天皇や貴族だけでなく、防人(さきもり)や農民まで
幅広い階層の人々が詠んだ約4,500首が収められています。

「令和」は、万葉集の中の「梅花(うめのはな)の歌三十二首」の序文から文字が引かれました。

「初春の令月にして、
気淑く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披き、
蘭は珮後の香を薫らす」

730年に大伴旅人が福岡県の大宰府で開いた宴の席で詠まれたものです。

安倍総理は令和について
「厳しい寒さの後に見事に咲き誇る梅の花のように、
一人一人の日本人があすへの希望とともに、
花を大きく咲かせることができる日本でありたいという願いを込めた」
と説明しています。

***

「令和」の出典が万葉集ということで、
いま空前の万葉集ブームとなっています。

先日訪れた紀伊國屋書店富山店にも「万葉集コーナー」がありました。

私もせっかくなら万葉集を学ぼう!と思い、
まず、高志の国文学館館長の中西進さんの『万葉の秀歌(ちくま学芸文庫)』
を買って読んでみました。
万葉集解説の決定版で、よく売れているそうです。

(付箋だらけですみません!)

文庫ですが1,600円+税と単行本と変わらないお値段です。
文庫としてはお高めですが、約550ページあり内容は充実していますので納得のお値段かと。
大変わかりやすく面白い一冊で、万葉集が好きになりました。

例えば、富山にもゆかりのある大伴家持は、音に敏感な詩人だったそうです。
音を聞きとめ、それから映像を組み立てていたのだとか。
実際、家持の歌には鳥のさえずりや風の音などが歌われています。

解説書というより、読み物として楽しめた一冊でした。

この本を読んで、さらに万葉集について知りたい!
と思い、先日、高岡市万葉歴史館に行ってきました。

令和発表後から万葉歴史館には大勢の皆さんが訪れているようですが、
なんと「令和」発表の2〜3時間後からお客様が増え始めたのだとか。
みなさん、はやい〜!

この万葉歴史館でも本を購入。
『よみたい万葉集(西日本出版社)』です。

こちらも万葉集の解説本なのですが、雑誌感覚で読めます。
本を読むのはちょっと苦手…という方でもきっと楽しめると思います。
オールカラーでイラストも多いため、気軽にページをめくることができます。
文章も普段の話言葉がそのまま使われていますので、それこそSNSを読む感覚で楽しめます。

例えば、令和のもとになった梅花の宴を開いた家持の父、大伴旅人のことを
「どこか夢見がちが感覚は、もはやセンチメンタル乙女」と解説し、
その息子、家持は「微妙にダメ男オーラを漂わせている」とあります。
でも知れば知るほど「仕方ない奴だなあ」と思わせる魅力もあるようですが。(笑)

どうですか?
万葉集が身近なものに感じられませんか?

万葉集の歌のやりとりは、今の時代に当てはめるならメールのようなものだそうです。

1300年前も現代と同じように
恋愛で悩んだり、美しい景色に感動したりしています。

せっかくの機会ですし、令和の始まりとともに「万葉集」に触れてみてはいかがでしょう?

また、富山は万葉集ゆかりの地でもあるので、
本を読んだ後は、県内のスポットまわってみてもいいかもしれませんね。

なお、万葉歴史館ではこの秋、
今日ご紹介した本『よみたい万葉集』のイラストを描かれた
絵本作家でイラストレーターの「まつしたゆうり」さんの
企画展が開催されるようですよ。

◎高岡市万葉歴史館のサイトは コチラ

yukikotajima 11:10 am

むかしむかしあるところに、死体がありました。

2019年4月24日

まもなくGWですね。

今年のGWは10連休ありますので
普段本を読まない方でも何か1冊、本を読んでみませんか?

でも、読書は苦手…という方におすすめなのは短編集です。

まず、なんといっても1つの作品が短いので読みやすい!

長編の場合、途中まで読んで後日、続きを読もうとしても
あれ、そもそもどんな話だったけ?とまた最初から読み始めて、
そのうちもういいや、となることもありますが、
短編だったら短いので読み切ることができます。

また、作品を読み終えた!という達成感を得やすいのも魅力かなと思います。

今日ご紹介する短編集も
あまり読書が好きでない方はもちろん、
時間が無いけど何か本を読みたいという方にもおすすめです。

だって誰もが知っている物語をアレンジしている本なのですもの。
登場人物や設定などのベースがわかっていると読みやすくないですか?

今日ご紹介する本はこちら。

『むかしむかしあるところに、死体がありました。
 /青柳碧人(あおやぎ・あいと)<双葉社>』

本屋さんで本を選んでいる時に、
人気イラストレーター五月女ケイ子(そおとめ・けいこ)さんの
シュールなタッチで描かれた桃太郎や鬼の絵が目に飛び込んできて
思わず手に取ってしまいました。

本の帯には「昔ばなし×ミステリ」とあります。

『むかしむかし〜』は、
「浦島太郎」や「桃太郎」といったおなじみの「日本昔ばなし」に
ミステリ要素が加わった短編集です。

お話のタイトルも変わっています。
「浦島太郎」は「密室龍宮城」に
「桃太郎」は「絶海の鬼ヶ島」になっています。

ちなみに、一寸法師、花咲か爺さん、鶴の恩返し、浦島太郎、桃太郎
の5つが新しいお話に生まれ変わっています。

例えば、桃太郎がベースの「絶海の鬼ヶ島」は、鬼目線で物語が進んでいきます。

鬼ヶ島では過去に桃太郎に退治されずにすんだ鬼たちがひっそりと暮らしていました。
桃太郎のことを知るのは長老の鬼のみ。
若い鬼たちにとって桃太郎はすでに過去の人でした。

そんなある日、鬼ヶ島の鬼たちが次々に殺されます。
遠い昔、キジや猿たちに殺されたのと同じような殺され方で。

もしやまたあの桃太郎たちがやってきたのか…。
鬼たちを殺したのはいったい誰なのか?

というような感じで描かれていきます。

***

私はこの本を読んで
2017年の気まぐれな朗読会の時に披露した
星新一さんの『未来いそっぷ』を思い出しました。

朗読会の報告は コチラ

『未来いそっぷ』は星さんのアレンジが加わったイソップ物語です。

例えば、アリとキリギリスなんて
働き者のアリより遊んでばかりのキリギリスのほうが
魅力的に見える描き方をしています。

もしよければ、『むかしむかしあるところに、死体が〜』の本と合わせて
星新一さんの『未来いそっぷ』も読んでみてください。 

どちらもおなじみのベースの物語をそれぞれアレンジしたものなので、
きっと豊かな読書時間を過ごせると思います!
それから頭が柔軟になるかも。

yukikotajima 11:45 am

思わず考えちゃう

2019年4月17日

今日のキノコレ(13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は
絵本作家ヨシタケシンスケさんのスケッチ解説エッセイ
『思わず考えちゃう(新潮社)』です。

◎奥野さんの解説文は コチラ

私もこのエッセイを読みましたので、軽く感想を。

エッセイのタイトルのとおり、ヨシタケさんは、
「ついつい考え過ぎちゃう」のだそうです。

でも、ヨシタケさんは考え過ぎて辛くなるのではなく、わりと楽観的で、
世の中の99%はどうでもいいことだけど、
そこにこそ、その人らしさがにじみ出ていると言います。

そして、「すべてのものが何かの役に立てられるはずだ」
と思うようにしているそうです。

これ、私も同じことを思っています。

私の人生を振り返ってみても、
ああ、やっちまった〜!ということだらけだけど、
それも含めての私だし、
ま、この失敗もきっと意味があったんだよ、と思うようにしています。

だから、ヨシタケさんの気持ちがよくわかる!

クスッと笑ったり、わかるー!と共感したりすることの多いエッセイでした。

エッセイの中で印象に残った言葉は「心の中にゴミやしき!」です。
これ、どうでもいいことばかり考えている
ヨシタケさんの心の中を表現されたものなのですが、
おもわず「うまい!」と声を出してしまいました。

まるでファミレスで飲み放題のドリンクを飲みながら
ヨシタケさんとお喋りをしているような気分で読めました。

ちなみに、この本は『思わず考えちゃう』がタイトルですが、
本の表紙には「あわよくば、生きるヒントに。」とあります。

「あわよくば」というのがヨシタケさんらしいのですが、
実際、このエッセイを読んだ後は、ヨシタケさん的目線になって、
今まで気付かなかったことに気付けて
世界がちょっと面白く見えるかもしれません。

ヨシタケさんのスケッチ(ゆるいタッチのイラスト)がメインのエッセイですので、
長文を読むのが苦手…という方にもおすすめです!

ぜひ軽い気持ちでページをめくってみてください。

yukikotajima 11:11 am

あたしたちよくやってる

2019年4月10日

昨日、本屋大賞が発表され、
瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された(文藝春秋)』が大賞に選ばれました。
おめでとうございます〜。
この作品はラジオでご紹介したので嬉しい!

◎私の感想は コチラ

血のつがなりの無い複数の親たちに育てられた少女の物語です。
優しさに満ちた愛あふれる作品です。
ぜひお読みください。

***

さて、今日のgrace内コーナー「ユキコレ」でご紹介するのは、
FMとやまでもおなじみの富山出身の作家、山内マリコさんの新作です。

『あたしたちよくやってる(幻冬舎)』

これまで私は山内さんの作品をほぼ読んでいますが、
毎回思うのは本のタイトルが絶妙だということ。
今回のタイトルも最高です。

仕事で疲れているときや
人から嫌なことを言われたとき
何もかもがうまくいかないとき
本屋さんでこの言葉を目にしたら、
その瞬間、涙がこぼれ落ちそうだもの。

「わたし」じゃなくて「あたし」なのもいい。

『あたしたちよくやってる』には、短編小説とエッセイ、合わせて33編が収録されています。

どんな内容なのか、著者の山内さんからコメントを頂きました。

***

graceリスナーのみなさん、こんにちは! 山内マリコです。

新作『あたしたちよくやってる』は、
デビュー以来さまざまな雑誌や新聞に書いてきた
短編小説やエッセイがたくさん詰まった一冊です。
そして、女性の方にぜひともぜひとも読んでもらいたい一冊です。

わたしが30代をとおして痛感した、女性の役割の重さ、複雑さ、
その瞬間瞬間の正直な気持ちや課題、悩み、葛藤が詰まっています。

この本が、〜しなければ、〜であらねば、
という無言のプレッシャーにさらされながら、
毎日生きている女性たちの、心をふわっと軽くする、さりげない祝福となりますように!

***

山内さん、コメントありがとうございました♪

私もこの本を読んで心が軽くなりました。
解放感がありました。

日々の嫌なことに対して、イラッとしたり落ち込んだりしながらも
大人だし、いちいち気になんかしていられれない、
と自分の感情に気づかないふりをしている方もいらっしゃると思います。

私自身も何を言われてでも大丈夫!と強くなった気でいたけれど、
この本を読んで、本当はあれもこれも本当は嫌だったんだなと
私の中の「嫌だ」という感情があらわになりました。
まさに解放です!

大人だからという理由で我慢していた様々なことに対して
「我慢しなくていいよ。あたしたちよくやってるよ!」
と言われているような気分になり、作品を読みながら涙。

私は誕生日を迎えるたびに
「今が残りの人生の中で一番若い」
と思うようにしています。

そうしないと残りの人生、ずっと「もう若くないから…」と言いながら、
色々なことを年齢のせいにしてあきらめてしまうような気がするので。

でも、別に「若い」ことを意識しなくてもいいなと。
今が残りの人生の中で一番若いのは確かだけど、
若さは関係なくて、ただ「今」を楽しめばいいんだなと
この本を読んで気付かされました。

33ある作品のうち、お気に入りの作品はたくさんあるけれど
特に好きなのは最後の作品。

ショートストーリー「超遅咲きDJの華麗なるセットリスト全史」

どんな話なのかは何も知らずに読んでいただきたいので言いませんが、
この作品でも私は泣きました。

ああ、ヒサコかっこいい!!!
私もヒサコみたいな人生を送りたい。

それから、この作品は様々な映画や音楽が登場しますので、
本を読んだ後に登場した作品を見たり聞いたりしたくなります。

あ、あと「しずかちゃんとジャイ子」が登場する作品もあります。
えーあのしずかちゃんが!と思うような物語ですが、私はスカーッとしました。(笑)

女性の皆さん、必読の一冊です。
ぜひお読みください。

yukikotajima 12:11 pm

新年度にぴったりの2冊

2019年4月3日

こんにちは。田島悠紀子です。

2001年のアナウンサー生活からこの春で19年目となりました。

今年度もFMとやまでは
graceの水曜、木曜土曜のネッツカフェドライヴィン
を担当していきますので、引き続き、よろしくお願いします。

さて、今日のgrace内コーナーのキノコレは、
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから児童書を2冊ご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。

『メシが食える大人になる!よのなかルールブック/高濱正伸(日本図書センター)』

この本は、著者の高濱さんが、
これから社会に出ていくこどもたちに伝えておきたい本当のことを
50の「よのなかルール」としてまとめたものです。

こども向けですが、どちらかというと大人にこそ必要な1冊です!
新社会人の方にはもちろん、ベテランの皆さんにこそ読んで頂きたい。

大人になるにつれ、なんでもわかった気になったり、
自分が一番正しく他人が間違っていると思ったり、
他の人の意見を受け入れなかったりする大人たちのなんと多いことか!

私ももう若手と言えない年齢になってきたからこそ、
この本を読んで、自分がなりたくない大人にならないように気を付けようと思いました。

ちなみに私が大人の皆さんに伝えたいと思ったのは

・すぐに「きらい」「苦手」と言って自分の世界をせばめない

・自分とはちがう意見にも素直に耳をかたむける

そして私自身の心の響いたのは

・合わない人がいるのは「よのなかの当たり前」だと知る

です。
最近、特にそれを感じることが多かったので、はっとさせられました。

新年度にぴったりの1冊です。
大人の皆さんこそ、ぜひ読んでみてください。

***

『身近なモノをなんでも数えてみたくなる!数え方図鑑
 /イラスト:やまぐちかおり(日本図書センター)』

こちらもお子さんだけでなく、大人の方にもおすすめです。
様々な者の数え方が載っています。

例えば、「3回」と「3度」では、意味合いが違うのだとか。

「回」はくりかえしおこなわれ、これからも起こる可能性があるものに対して、
「度」は、これっきりという意味が込められているのだそうです。

例えば「3度目の正直」とか「2度目の結婚」はあるけれど、
「回」ではないそうです。
結婚の場合は「回」の場合もあるかもしれないけれど…。

また、人を数える時は
人数がわかればよい場合は「人」で
名前が特定できる場合は「名」で数えるのだとか。

大変勉強になりました。

どちらの本もイラスト付きで大変読みやすいので、
ぜひご家族でお読みください。

yukikotajima 11:52 am

本と鍵の季節

2019年3月27日

ちょうど今、学生さんたちは春休み期間中ですね。
春休みはどのように過ごしていますか?
よかったら何か1冊、本を読んでみませんか?

読書なんてめんどくさい!と思うかもしれませんが、
でも、何か1冊でいいので読んでみてはいかがでしょう。

なんといっても1冊読んだという達成感が得られると思いますし、
もし今退屈な毎日を送っているのなら
きっとそれも解消できるはずです。

でも、何を読めばいいのかわからない方は、
いきなり背伸びせず、同世代が主人公の本を選んでみてはいかがでしょう?

こちらの本も男子高校生が主人公です。

今日ご紹介するのは、米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)さんの新作
『本と鍵の季節(集英社)』です。

主人公は、高校2年生の図書委員の男性二人です。

一人は、堀川次郎。
もう一人は、松倉詩門(しもん)です。

堀川君は、成績はそこそこ優秀で、
他人から頼み事をされやすい男子です。
物語は彼の目線ですすんでいきます。

一方の松倉君は、背が高く顔もよく目立ちます。
その上、スポーツも勉強もできるという
まるで少女漫画に出てきそうな男子ですが、
手先は不器用で、皮肉屋でどこか大人びています。
そして、「詩門」という自分の名前が好きではありません。

そんな二人は図書委員をしています。

二人でほとんど利用者のいない図書室で当番を務めながら、
基本的にはどうでもいい会話をして、のんびり過ごしています。

ところが、この二人のところに様々な謎が持ち込まれます。

例えば…
図書委員の先輩からは、亡くなった祖父が遺した
開かずの金庫の鍵の番号を探り当ててほしいと頼まれ、
後輩男子からは、盗みの疑いがかけられた
兄のアリバイをみつけてほしいとお願いされます。

そして、この二人で様々な謎に挑んでいくという図書室ミステリです。

短篇集ですので、少しずつ読み進めていくことができます。
でも、それぞれが独立したお話でありながらもゆるやかに繋がっています。

また、図書委員として出会ったばかりの二人の友情が
謎を解いていくうちに深まっていく様も描かれています。

そんな二人が最後にある謎を解くことになるのですが…。

***

男子高校生二人の物語ですが、
言葉遣いが大人びていて、落ち着いたテンションの二人なので
ちょっとおじさんくささもあります。(笑)

でも、ふとした瞬間に見せる初々しい姿はやはり高校生で
どこか生意気な雰囲気もあるものの、憎めません。

また、若さゆえの失敗もあります。
たとえば、正しいことは言っているけれど、
その言い方は「正解」ではないというような。

でもこれ、大人にもありますよね?
言っていることは正しい。
でも、言い方がまずいから、相手を不快な気持ちにさせてしまう。

私にも経験はあります。
言われて不快になったことも
逆に相手を不快にさせたことも。

ミステリとしての面白さはもちろん、
高校生二人のやり取りから気づかされることも多かったです。

それから、最近「図書室」や「図書館」に行っていないので
久しぶりに行ってみたくなりました。

高校生が主人公ですが、もちろん大人の方にもオススメの一冊です。
主人公二人のテンションが高くないので、
大人の方でもじっくり楽しめると思います!

yukikotajima 12:06 pm

インソムニア

2019年3月20日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんからご紹介いただく本は、
富山出身の作家、辻寛之(つじ・ひろゆき)さんの
小説『インソムニア(光文社)』です。

奥野さんが本について詳しく紹介していますので、
ぜひ コチラ をお読みください。

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

この本は第22回 日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品です。

選考委員をつとめた篠田節子さんは「テーマ、プロット、創作姿勢、すべて良し」、
朱川湊人さんは「深いリアリティーと迫力でぐいぐい読ませる作品」と絶賛しています。

物語は、アフリカに派遣されたPKO部隊の陸上自衛官七名のうち
一人が現地で死亡し、一人は帰国後自殺したことで、
メンタルヘルス官の男性が精神科医の女医と共に
残された隊員五名の心のケアをおこなっていくというものです。

ただ、現地で起きたことについての証言は全員食い違っており、
何かを隠している。。。と思った二人は、
PKO部隊の派遣先でいったい何がおこったのか調べ始めます。

フィクションですが、リアリティーがあって
まるでノンフィクションを読んでいるかのような錯覚に陥りました。

アフリカから帰ってきた隊員たちが眠れない夜を過ごしている
その理由を知りたいと思うのと同時に
踏み込んだら嫌な気持ちになりそうな気もして、
読みたい。いや、こわい。どうしよう?
といった相反する気持ちで本のページをめくっていきました。
独特な緊張感がありました。

いやあ、ほんとすごい世界でした。

ぜひあなたも本のページをめくりながら
スリリングな世界を味わってみてください。

それから、著者の辻さんは富山出身ということで
富山の食べもの&飲み物が出てきますので、
きっと富山の方はニヤニヤしてしまうと思います。

yukikotajima 11:36 am

熱帯

2019年3月13日

今日ご紹介するのは、今年デビュー15周年、
森見登美彦(もりみ・とみひこ)さんの新作『熱帯(文藝春秋)』です。

この本は、直木賞候補になったほか
4月に発表される本屋大賞にもノミネートされている話題作です。

すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
そんな方は是非grace宛に感想をお寄せください。

***

この『熱帯』は小説ですが、まるでエッセイのような始まりです。

まず、次にどんな小説を書くべきか分からずにいる小説家が出てくるのですが、
その方こそ森見さんご自身なのです。

森見さんは、小説が書けないので様々な本を読んで日々を過ごしています。
そんな中で最後に読み始めたのが『千一夜(せんいちや)物語』でした。

『千一夜物語』、あなたは読んだことはありますか?

この本は謎の本なんですって。
というのも、世界中に広がっていく中で
偽物が出てきたり、恣意的な翻訳がされたりしたため
物語の本当の姿を知る者はいないのだそうです。

別名、アラビアン・ナイトとも言われています。
また、有名な「シンドバッド」「アラジン」「アリババ」などは
『千一夜物語』には含まれていないのだとか。

その謎の本『千一夜物語』を読み始めてから
森見さんはある一冊の本を思い出します。

それは『熱帯』というタイトルの本でした。
森見さんが学生時代に読んだ本で、
半分ぐらいまで読んだ後、なぜかその本が消えてしまったのだそうです。

それから16年。
森見さんは幻の本『熱帯』を探し始めます。

ある日、この本の秘密を知る女性と出会うのですが、
彼女から衝撃的な一言を言われてしまいます。

「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」と。

その後、森見さん以外にも『熱帯』を読んだ人間たちが次々に登場します。
しかし誰もが最後まで読んだことはなく、
物語の内容に関しても途中からの記憶が曖昧です。

それぞれが覚えていることを話すことで
物語が明らかになっていくかもしれないと
『熱帯』を読んだ人たちが集まって語り合います。

そして、幻の本『熱帯』をめぐる冒険が始まります。

ん?語り合うだけなのに冒険?そんな大げさな!
と思いますよね。

これがまさに「冒険」なんです。

それも、とんでもなくハチャメチャな冒険です。(笑)

どんな冒険なのかは是非本のページをめくって楽しんで頂きたいので伏せますが、
森見さんらしい世界観がこれでもかというほど詰まっています。

めまぐるしく物語が変わっていくので、
本を読みながら私はまるで夢を見ているようでもありました。

寝ている時に見る夢って突然突拍子も無いことが起こったりしません?
まさにそんな感じでした。

あっちに行ったりこっちに行ったり、
あんなことやこんなことが起こったりと
飽きることなく世界が繰り広げられていきます。

さて、幻の本『熱帯』とはどんな本なのでしょうか。
是非、あなたも大人の大冒険へ!

ただ、この本は500ページ以上ある長編ですので、
お時間のある時に読むのがいいかも。

あ、それから、私は、本を読む時に本のカバーを外してから読むのですが、
おかげで、よりこの本を楽しめました。

普段カバーを付けたまま読む方も是非外してみてください。

yukikotajima 11:15 am

そして、バトンは渡された

2019年3月6日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
『そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ(文藝春秋)』です。

こちらの本はキノベス!で1位になった作品です。
キノベス!は紀伊國屋書店スタッフオススメの本ランキングのことです。

キノベス!について詳しくは コチラ

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこちらの本を読みましたので、軽く感想を。
とても温かく優しさに満ちた一冊でした。

主人公は17歳の森宮優子です。
本のタイトルは『そして、バトンは渡された』ですが、
彼女自身がバトンのように様々な親の間をリレーされ、
4回名字が変わり、家族の形態は7回も変わっています。
でも物語はとても温かいのです。

血の繋がらない各時代の親たちは皆優しいし、ちゃんと娘を愛しています。
そして娘も親たちのことが好きです。

様々な事情があって親が次々に代わっていき、
17歳の今、彼女の父親をしているのは37歳の森宮さんです。
母親はいません。

この森宮さんとの生活をベースに
彼女がこれまでどんな親たちに育てられたのかが描かれていきます。

一番登場シーンの多いのが今のパパである森宮さんです。
この森宮さんがとてもいい人で、
血の繋がりのない17歳の娘を大切にしているのが良く伝わってきます。

でも、時々娘への思いが強すぎて失敗したり、過去の父親たちに嫉妬したりと
可愛らしい部分もあり、いい味を出しています。

17年間で7回も家族の形態が変わるというと
それだけで「不幸」だと思ってしまいそうですが、
彼女の人生は幸せです。

読みやすいのでさらりと読めてしまいますが、
でも、読んだ後もずっと心の中に作品が残り続けます。

もし私が、この物語の親の一人になったとしたら
どんなことを感じるのかな?と思わずにはいられませんでした。

様々な世代に読んで頂きたいけれど、
特に、頭がかたくなりがちな上の世代の方たちに読んで頂きたいかな。

もう若手とは言えない年齢になった私も、この本と出合えてよかったです!
この本を読む前と後では家族の形に対する思いがだいぶ変わりました。

yukikotajima 11:54 am

発現

2019年2月27日

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃オンエアー)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、こちら。

『発現/阿部智里(NHK出版)』

作品については奥野さんが紹介していますので、
是非お読みください。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私もこの本を読みましたので、軽く感想を。

著者の阿部さんは1991年生まれの今年28歳。
お若い作家さんです。
出身は私と同じ群馬県!

『八咫烏シリーズ』が累計100万部を突破している人気作家です。

私は新作の『発現』を全く知識を入れずに読んだのですが、
いやあ、怖かった。。。
タイトル通り何かが「発現」する、、、つまり現れ出るのですが、
その「何か」の怖いこと怖いこと。

私が味わった恐怖を皆さんにも同じように味わっていただきたいので
具体的なことは伏せますが、
私は夜中、静まり返った中でこの本を読んだため
一層怖さが増しました。

この本の魅力を存分に堪能して頂くなら
私と同じように静かな夜に読むことをおすすめします!

物語は平成と昭和の出来事が交互に展開していきます。
そして二つの時代で似たような不可解な事件が起きます。

いったいなぜそんなことが起きたのか?
それぞれ、事件についての調査が行われます。
彼らが辿りついた答えとは?

***

本を読み終えた後、眠いにもかかわず
怖さのあまりなかなか寝付けませんでした。(笑)

客観的に読み始めた作品なのに
気付けば私自身が当事者の気分でした。

最近、毎日が退屈で何か刺激が欲しいなあという方は、
是非本のページをめくってみてください。

退屈は気分は一瞬で吹き飛ぶはずです!

yukikotajima 11:49 am

ひとつむぎの手

2019年2月20日

毎年4月に本屋大賞が発表されます。

「売り場からベストセラーをつくる!」をモットーに
書店で働く書店員の投票だけで選ばれる賞のことです。
大賞はもちろんノミネート作も小説が読まれるだけではなく
次々に作品がドラマや映画に映像化されています。

例えば、2017年に2位だった森絵都さんの『みかづき』はドラマ化され、
ちょうど今放送されています。

書籍に関する賞は色々ありますが、
身近な賞でもある本屋大賞は
毎年必ずチェックしているという方もいらっしゃるのでは?

今年もノミネート10作品が発表されました。

◎ノミネート作品は コチラ

発表は4月9日(火)です。

今年はどの作品が大賞を受賞するのでしょう?
楽しみですね!

***

今日は、そのノミネート作品の中の一冊をご紹介しましょう。

『ひとつむぎの手/知念実希人(ちねん・みきと)(新潮社)』

 

知念さんと言いますと、去年も本屋大賞に作品がノミネートされ、
『崩れる脳を抱きしめて(実業之日本社)』が8位に選ばれました。

また、『神酒(みき)クリニックで乾杯を』がドラマ化され、
現在、BSテレ東で放送中です。

知念さんは今注目の作家さんのお一人です。
しかもこの方、現役の医師でもあります。

『ひとつむぎの手』も病院が舞台です。

主人公は、大学病院で働く三十代半ばの心臓外科医、平良(たいら)です。
仕事が忙しく病院に泊まり込む日々です。

そんな中、医局の最高権力者・赤石教授から三人の研修医の指導を指示されます。
ただでさえ忙しいのに、研修医の指導なんて無理!
それも3人同時になんて絶対無理!
と思った平良でしたが、
彼らを入局させれば、心臓手術件数の多い病院への出向を考えてもいいと言われます。
心臓外科医としては、出向先でどれだけ経験を積めるかが大事なんだとか。

これはチャンス!と研修医の指導をすることになります。
ところが、個性派ぞろいの研修医たちとなかなか距離を縮められません…。

通常の仕事も忙しく、その上、研修医の指導をしてヘトヘトの平良でしたが、
ある日、医局の最高権力者である赤石教授を告発する怪文書が出回り、
明石から「犯人探し」を命じられます。

さて、平良はすべての問題を無事、解決することはできるのか?
という物語です。

***

物語は勢いがあって面白かったです!

次々に問題が続出するので、
複雑になり過ぎて理解できなくなりそうなところを
まるできれいに手術するかのごとく、物語をおさめていきます。

さすが現役医師!

よくある医療モノは、腕のいいドクターが難しい手術を次々に成功していきますが、
平良はスーパードクターではありません。
もちろん仕事はできるけれど、他にも腕のいいドクターはいるし、
人としても嫉妬したり、選択を間違えたり、落ち込んだりもします。
だからこそ身近に感じられます。

平良には、仕事をするうえで大事にしていることがあります。
一瞬、心が揺らぐことがあったとしてもぶれません。
そこが彼の魅力です。
ちなみに、後輩たちからは「お人好し」と言われています。

本の帯に「ラスト30頁、あなたはきっと涙する」と書かれているのですが、
天邪鬼な私は、人から「きっと泣くよ」と言われると
絶対に泣かない!と思ってしまうのですが、
悔しいかな、この作品は泣きました。(笑)
まあ、その前にもすでに何度か泣いていたのですが。

この作品も2年後くらいにドラマ化されそうだなあ。
そしたら絶対に見たい!

yukikotajima 11:27 am