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『マナーはいらない 小説の書きかた講座』

2021年1月20日

コロナ禍で家にいる時間が増えたことで読書をするようになった方もいるのでは?
中には、読むだけじゃなく自分で小説を書いてみようかな、
と思っている方もいるかもしれません。
そんな方は、小説を書く前に、まずこの本を読んでみてはいかがでしょう?

『マナーはいらない 小説の書きかた講座/三浦しをん(集英社)』

紀伊國屋書店富山店でこの本を目にした時、最初は小説だと思って手に取りました。
でもタイトルには「小説の書きかた講座」とあり
パラパラとめくってみると確かにそんな内容で、
私は小説を読むのは好きだけど書くつもりはないんだよなあと
読むのをやめようと思ったのですが、いや、待てよと。
小説がどのように作られているのかを知るのは面白そうではないかと思い直し、
読んでみることにしました。

これが読んで正解でした。とても面白かったですし、
へえ、こんな風に本は作られていくのかと勉強にもなりました。

著者の三浦しをんさんは、
2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を
2012年に『舟を編む』で本屋大賞を受賞された人気作家です。
これらを始め、数々の作品が映画化、ドラマ化されています。

この本は、そんな人気作家の三浦しをんさんによる「小説の書きかた」本です。

きっかけは、三浦さんが某短編小説の新人賞の選考をしている時に
「もっとこうしたらいいのに」と感じたことからだそうです。

この本では、推敲、構成、人称、タイトルのつけ方などの基礎を学べるのですが、
具体例が豊富に使われているので、大変わかりやすく、そのうえ面白い!

例えば「セリフ」。
誰が言ったセリフかわかりやすくする戦法の一つに
「宝塚戦法」というものがあるのだとか。

「待ってくれ、アンドレ!」
「どうした、オスカル」

のようにセリフの中で相手の名前を呼ぶとわかりやすいと。(笑)
確かに宝塚ではよくセリフの中で相手の名前を言っているな、
と思わず笑ってしまいました。

また、ほかの例では、三浦さん自身の作品を取り上げていまして、
これがファンにはたまらないのです。(私もファンです)

この作品はこんな風に作られていったのか!
と読みながらワクワクが止まりませんでした。

例えば、箱根駅伝を描いた私も大好きな小説『風が強く吹いている』では、
タイトルのつけ方から取材方法、構成まで細かく明らかにしています。
なんと手書きの構想メモまでオープンにしちゃってます。
ですから三浦しをんさんの作品が好きという方はぜひお読みください。

もちろん三浦さんの作品をそれほど読んでいなくても大丈夫!
読書がお好きな方でしたら未読でも十分楽しめます。

私はこの本を読んで、自分が好きな作品の傾向がはっきりしました。

それは、うまい描写の本です。
ストーリーももちろん大事だけど、
素敵な表現で書かれた作品が私は好きだとあらためて思いました。

三浦さんも「描写」は大事だとおっしゃっています。
小説における描写とは、事細かに説明することではなく、
読者の想像力をよりかきたてるための「材料」だと。

その描写力をあげるためには、
「目に映ったものや感じた気持ちを、ふだんから脳内で言語化する」
ことが大事だとおっしゃいます。また語彙を増やすことも。
語彙と文法力のアップの方法についても書かれているのですが、
それについてはぜひ本を読んでみてください。

アナウンサーとしても大変勉強になった一冊でした。読んで良かった!
また、エッセイとしても面白かったです。
三浦さんが今はまっているものへの愛がすごかった。
ある映画のシリーズを推しているのですが、何度もその話題が出てくるので
とりあえず最初の作品だけでも見てみようかしら、という気持ちになりました。(笑)
やはり何かに対して熱くなれる方が小説家に向いているようですよ。

≪ おまけ ≫

描写がうまいといえば、去年のユキコレランキング1位に選んだ
髙樹のぶ子さんの『小説伊勢物語 業平』は、まさに豊かな表現が心地いい一冊でした。

◎本の感想は コチラ

そして、先日、この本も読んでみました。

『伊勢物語 在原業平 恋と誠』

こちらは、髙樹さんが小説を補足するために書かれた新書です。
小説とセットで読んでいただくと、より理解が深まると思います。

1000年以上前も人間の心は、今と変わりません。恋をして喜んだり泣いたり。
時代は違えど、感じる思いは今と同じだからこそ、
1000年以上前の物語に心動かされるのでしょうね。

また、彼らから学ぶことや気付かされることもあります。
例えば、当時の彼らは、短絡的に勝者と敗者を分けなかったのだとか。
そして、そのような一見曖昧にも見えるふるまいを
髙樹さんは「雅(みやび)」とおっしゃいます。
そこには相手を思いやる気持ちがあるのだと。
まさに今の時代にこそ、この「雅」が必要なのかもしれませんね。
あなたも『小説伊勢物語』で「雅」に触れてみませんか?

***

なが〜いブログになってしまい、申し訳ない。
でも、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

yukikotajima 9:27 am

今年の気まぐれな朗読会は2月6日(土)です。

2021年1月18日

CMでもお知らせしているとおり、
今年も「気まぐれな朗読会」をおこないます。

気まぐれな朗読会は、
「気ままプラン」パーソナリティ廣川奈美子
grace」パーソナリティ田島悠紀子でお届けする朗読会です。

気ままの「気ま」とグレースの「ぐれ」で「気まぐれ」です。

◎去年のレポートは コチラ

今年は、2月6日(土)18:00〜
富山県民小劇場 オルビス(マリエとやま7階)で開催します。

今年も3部構成です。
例年通り、1部、2部は、廣川さんとともに
3部はそれぞれ作品を読みます。

廣川:「ムシヤシナイ」高田都(たかだ・かおる)

田島:「鍋セット」角田光代(かくた・みつよ)

2作品とも
『NHK国際放送が選んだ日本の名作』シリーズ(双葉文庫)
に収録されています。

『ムシヤシナイ』「1日10分のぜいたく

『鍋セット』「1日10分のしあわせ」

入っていますので、良かったらお読みください。どちらもいいお話です。

朗読会のチケットは、すでに販売されています。
今回は80席限定です。(コロナ対策で例年より席数を減らしています)

◎詳しくは コチラ

今年も気まぐれな朗読会をどうぞよろしくお願いします。

yukikotajima 3:07 pm

『コロナと潜水服』

2021年1月13日

先週からの大雪、本当にすごかったですね。
私は雪かきによる全身筋肉痛だけで済みましたが、
もっと大変な思いをされた方もいらっしゃることと思います。
大雪お見舞い申し上げます。

富山の皆さんの中には、コロナに加えてこの大雪で、
ストレスがたまってずっとイライラしている、という方もいるのでは?


今日は、読んだ後に優しい気持ちなれる作品をご紹介します。

『コロナと潜水服/奥田英朗(光文社)』


私の大好きな作家、奥田英朗さんの新作です。
待ってました〜。本屋さんで見つけるや否や購入しました。

五つのお話が収録された短編集なのですが、
タイトルに「コロナ」とある通り、「コロナ」のお話もあります。

コロナ関連の本が最近、増えてきましたね。

先週ご紹介した東野圭吾さんの
『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』
まさにコロナ以降の物語でしたし、
今後はコロナ禍の物語がますます増えていきそうですね。

ただ、『コロナと潜水服』は、全てがコロナのお話ではありませんし、
暗くなるような嫌な内容でもありません。

どのお話もちょっと不思議なファンタジーです。

例えば、ある古民家に住み始めたところ、
誰もいないのに人の足音が聞こえる…といった感じです。
この状況だけだと怪談のようですが、怖い話ではありません。

それどころか、読んだ後は心がじんわり温かくなります。


表題作の「コロナと潜水服」は、五歳の息子には
コロナを感知する能力があると信じるパパのお話です。

どうやらこの息子君は、誰が感染しているのかわかるようなのです。
そんなある日、なんとパパ自身に感染の疑いが。
パパは自主隔離し、あるものを用意するのですが、これが息子を大いに喜ばせます。
さて、そのあるものとは?

他には、会社の早期退職の勧告に応じず、
追い出し部屋に追いやられた男性たちがあることを始める話や、
人気プロ野球選手と付き合うフリーアナウンサーが占い師に恋愛相談に行く話、
ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れた男性がその車に乗ったところ、
不思議なことが次々に起こる話などがあります。

私は特に、会社の追い出し部屋に追いやられた男性たちの物語が好きです。

彼らが職場であるものを発見し、終業後にふざけて遊んでいたところ、
ある年配の男性が現れ、いきなりそれについての指導を始め、
気付けば全員が真剣に取り組むようになり…というお話です。

いったい男性たちが夢中になってしていたこととは?
また、指導者とは何者なのか?

続きはぜひ本を読んでください♪


『コロナと潜水服』、大変良かったです!

どのお話も読んだ後はほっこり。優しい気持ちになれました。
その理由は、全てのお話が「笑顔」で終わっているからです。
また、作品によってはあたたかな涙も。。。

奥田英朗さんらしい素敵な作品でした。

私は奥田さんの人の描き方が好きなのですが、
今作の登場人物もみな人間味にあふれていました。

極端な性格のヒーローが出てくる物語も面白いけれど、
普通の人たちの物語は、どこかほっとします。
そして、そういう本こそ、何度も読み返したくなるのですよね。


先週末からの大雪で私もストレスや不安を感じていましたが、
この本を読んだ後は心が優しさで満たされ穏やかでした。

また、音楽にも癒されました。

奥田英朗さんは音楽、とくに洋楽が大好きなのですが、
この作品にも様々な曲が登場するのです。
しかもラジオから流れてきたという設定が多めなのが嬉しい。

この本には作中の登場曲が楽しめる
Spotify(スポティファイ)のプレイリストがついていますので、
曲を聴きながら読書をすることができ、より作品の世界に浸れます。

しかもどれもいい曲ばかりです。
曲を聞きながら読んでいたから、より充実した読書時間になったのかもな。

この週末は再び雪の予報ですし、
のんびり曲を聴きながら読書でもいかが?

yukikotajima 9:25 am

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』

2021年1月6日

今日が私が担当する新年最初のgraceです。
今年も毎週水曜13時45分ごろからのユキコレでは、
様々な本をご紹介していきますので、お付き合いいただけたらと思います。
よろしくお願いします。

さて、年のはじめに「今年は読書をする」と誓った方もいるかもしれません。

でも、本屋さんにはたくさんの本が並んでいるし、
どの本から読めばいいのかわからない…
と最初の本選びの段階でつまずいてしまうと、
その瞬間、本への苦手意識が芽生えて、本なんて嫌いだ!となりかねません。

普段あまり読書をしていない方は、
ドラマや映画で見た作品の原作を読んでみる、
というのはいかがでしょう?

先に映像で見ているので、物語の世界に入り込みやすいと思います。

それにしても、人気小説はほぼ映像化されますよね。
私もいつからか、小説を読みながら
この作品はいずれ映像化されるに違いない!
と思うようになってしまいました。
そして、その予想はたいていの場合、当たります。(笑)
配役予想は外れてばかりですが。

今日ご紹介する小説もいずれ映像化されると思います。

『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人/東野圭吾(光文社)』

東野圭吾さんと言いますと、
加賀恭一郎シリーズガリレオシリーズがあり、
いずれもドラマ化されました。

今作もドラマ化もシリーズ化もされそうな予感がします。

というのも、事件の謎に挑む男性がテレビ映えしそうな方なのです。

その男性というのは、
以前はアメリカでマジシャンをしていたものの
今は東京でバーを経営しており、
見た目は、肩まで伸びた天然パーマに清潔感の無い無精ひげの
長身で痩せた50歳です。なお、顔は端正です。

オダギリジョーさんや藤木直人さんあたりが演じたら合いそう!
阿部寛さんや福山雅治さんも頭に浮かんだけど、
すでに東野作品のドラマに出演されているからなあ。
う〜ん。悩む。。。
なんてことを勝手に妄想する時間も楽しいものです。(笑)

***

物語は、ある名もなき町で起こります。

観光地であるものの、すっかり寂れてしまったその町では、
なんとか観光客を呼び込もうと、ある計画が進行中でしたが、
コロナの影響で頓挫してしまいます。

そんなコロナ禍の中で殺人事件が発生します。

殺されたのは、以前、中学の教師をしていた62歳の男性です。
教え子たちから慕われ、近々開催予定の同窓会にも参加予定でした。

東京で離れて暮らす娘の真世は、警察からの連絡で急きょ実家へ帰ります。

父はなぜ殺されたのか。
そもそも誰に殺されたのか。

警察に聞いても何も答えてくれません。

そんな中、父の弟、真世にとっては叔父である武史が突然現れます。

この武史こそさきほどご紹介した、事件に挑む男性です。

捜査過程を教えてくれない警察より先に、
自分の手で真相を突き止めたい!
と武志は事件の謎を解くために動き始めます。

そして、真世も父を殺した犯人を見つけるため
叔父の手伝いをすることになります。

元マジシャンと姪の二人は、
果たしてどのような方法で謎を解いていくのでしょうか。

続きは、ぜひ本を読んでみてください♪

***

さすが東野圭吾さんです。
頭の中に映像が浮かびっぱなしで、
本を読んでいるのに、映像作品を見ているようでもありました。

元マジシャンが事件の謎を解くというのが、面白かったです!
マジシャンならではの仕掛けが軽やかで素敵でした。
めんどくさいキャラだけど、それも含めて魅力的で、また会いたくなります。

東野さんは、この作品に関して

「このヒーローを生み出せたことで作家生命が延びたかもしれません」

とおっしゃっています。

ってことは、シリーズ化していくということですかね?
楽しみ〜!

なお、この作品は、韓国語や中国語、ベトナム語など
世界7言語での刊行が決定しているそうですよ。

今週末は3連休ですね。
また雪も降るようですし、お家でじっくり読書というのもいいのでは?

yukikotajima 10:11 am

丁寧な生活を送りたい方におすすめの本を2冊

2021年1月2日

あけましておめでとうございます。
2021年最初のラジオは、ネッツカフェドライヴィンです。

今年も引き続き、graceとともによろしくお願いします。


さて、今日のネッツカフェドライヴィンのテーマは「習慣」です。

新しい年になって二日目です。
今年はどんなことを習慣化していきたいですか?

去年、世界が大きく変わったことで
これまでの習慣を変えざるを得なくなり、
生活のリズムがなかなかつかめなかった方もいたのでは?

この年末年始も、いつもとは違う日々を過ごしている方も多いと思います。

今年はどんな一年になるのだろう…と思うと不安も尽きないですが、
こんな時代だからこそ、私は「丁寧な生活」を習慣化していきたいなと。

規則正しい生活なのはもちろん、
自分の心にも体にも優しくありたいなと思いまして。

今日は、私と同じように丁寧に日々を過ごしていきたいと思う方に
おすすめの本を2冊ご紹介します。


まずは、先日発売されたばかりのエッセイです。

『私は私に時間をあげることにした
/レディーダック(著者) 趙蘭水(訳)【SBクリエイティブ】』


著者のレディーダックさんは韓国の絵本作家さんで、
可愛い絵と温かい文章がSNSで人気なのだとか。

本屋さんでこの本を見たとき、まずタイトルに惹きつけられました。
「私は私に時間をあげることにした」という言葉を見てハッとしました。
私は私の時間を大切にしていたかしらと。

レディダックさんは、様々な情報に振り回されがちな今の時代こそ、
自分の速度で歩んでいくことが大事だとおっしゃいます。

ほんわかした絵と優しさあふれる文章で、
ページをめくるたびに心がどんどんほぐれていきます。

たとえば、雨の日はいつも心がやわらかくなるから好きだと言います。
誰かが待ち合わせ場所に遅刻しても気をつけておいでと思えるからと。

確かに、雨の日は「濡れなかった?暖かくしてね!」と相手を気遣うことが多いかも。
雨の日は知らぬ間にみんな優しい気持ちになっているのかもしれませんね。

この本は、イラスト多めで文章も難しくないので、
読書はちょっと苦手という方でも読みやすいと思います。


もう一冊は、丁寧な生活に欠かせないものである「食」に関する本です。

富山出身の寿木(すずき)けいさんによる
『レシピとよぶほどのものでもない わたしのごちそう365【河出文庫】』です。

Twitterの人気アカウント「きょうの140字ごはん」
で紹介されたレシピに、エッセイも加わった一冊です。

2017年に発売され話題になった本が去年の秋に文庫化されたのを機に
そういえば読んでなかったなと買ってみました。

私は以前からTwitterはフォローしていましたが、
本を読むのは今回が初めてでした。

寿木さんのレシピは、シンプルで簡単なのにお洒落なので作ってみたくなります。
また、文章そのものが滋味にあふれていて、読み物としても楽しい一冊です。
豊かな表現のリズミカルな文章は、
読んでいるだけで心にいい成分が行きわたっていくようです。

たとえば、こんな感じ。

夏がなかったことみたいな、
ひんやり澄ました土鍋がひとつ。
おでん、湯豆腐、炊き込みご飯、
あつあついくつ作ろうか。
乳白色の丸いおしりを
ポンと叩いてあいさつ代わり。

どうですか?
まるで歌のようなかわいい文章です♪

この本には季節ごとのオススメレシピが載っているのですが、
それこそお正月にオススメのレシピもありますよ〜。
たとえば、胃を休める「一年の計スープ」
これ、私も作ってみようと思います。
気になる方はぜひ読んでみてくださいね!

yukikotajima 9:16 am

★2020年本ランキング★

2020年12月23日

今日は2020年最後のユキコレ(grace内の本紹介コーナー)ということで、
毎年恒例の田島が選ぶ本ランキング「ユキコレ ランキング」を発表します。

今年は、いや、今年も悩みましたー。

今年私が読んだ作品は、派手さはないものの
じんわり心に染みわたる作品が多かったように思います。

その中から本の世界に没頭した作品を選んでみました。

※本のタイトルをクリックすると、田島の本の感想ページが開きます。


1位:『小説伊勢物語 業平/髙樹のぶ子(日本経済新聞出版)』


在原業平が主人公とされる平安時代の歌物語
「伊勢物語」を現代語訳ではなく、小説化した作品です。

450ページをこえる本の厚みと重厚感あふれる装丁から
見た目は難しそうな気配を漂わせていますが、中身は軽やか。
リズミカルな言葉の響きが心地いい作品でした。


2位:『ライオンのおやつ/小川糸(ポプラ社)』


今年一番泣いた本です。
医師から余命を告げられた女性が人生の最後に過ごした
ホスピスでの日々が描かれています。

こちらも1位の作品と同じく表現豊かな文章で
声に出して読みたくなりました。


3位:『なぜ僕らは働くのか
‐君が幸せになるために考えてほしい大切なこと‐
/監修:池上彰(Gakken)』

こちらは小説ではありません。

監修を担当された池上彰さんが、将来の働き方について
中学生や高校生に考えてもらおうと思ってお作りになった本ですが、
大人にもオススメです。

池上さんによると、大人の方がこの本を読むと
「きっと初心に返って仕事への意欲が湧いてくることでしょう」
だそうです。

新しい年の一冊目にいかが?


以上、悩みに悩んで選んだ3冊です。
良かったら年末年始にでも読んでみてください♪

***

今年も一年、私のブログ「ゆきれぽ」(ほぼ本の感想)にお付き合いいただき、
ありがとうございました。

本の感想は、毎週水曜の13時45分ごろ〜の
grace内コーナー「ユキコレ」でご紹介しています。

来年最初の「ユキコレ」の放送日は、1月6日(水)の13時45分ごろ〜です。

なお、年内のgraceの放送は、明日12月24日が最後です。
(12月30日、31日は休止です)

それではよいお年を〜♪

yukikotajima 1:50 pm

『いつの空にも星が出ていた』

この間の日曜日、家のパソコンで
富山グラウジーズ対千葉ジェッツの試合を見ました。

Bリーグになってから富山はまだ一度も千葉に勝ったことがありません。
でも、今シーズンの富山は二日続けて負けていないのです。

だから昨日は千葉に負けたけど、今日は勝つはず!
と願いながら試合を見つめていました。

前半は終始、千葉がリードし、やはり今日も負けてしまうのか…
と思ったら、後半、選手たちが躍動し、ダブルオーバータイムに!

結果は129-130と惜しくも一点差で敗れてしまいましたが、
一瞬たりとも目が離せない大変面白い試合で、
私は興奮しっぱなしでした。

ドキドキしたり喜んだり泣いたり。

どんな人でも感じるままに感情を表に出せる
スポーツ観戦って、すごくないですか?

あなたには、そんな夢中になって見てしまうスポーツや
応援しているチームはあるでしょうか。


今日ご紹介するのは、横浜ベイスターズのファンの皆さんのお話です。

『いつの空にも星が出ていた/佐藤多佳子(講談社)』


本の表紙には夜のスタジアムのイラストが描かれ、
帯には「どこまでも熱くて、かぎりなく純粋な、人生と応援の物語」
とあり、なんだか明るそうな内容だし、
今年最後に紹介するのに良さそうだと思って選んでみました。

実は私、本を手に取った時は、
ベイスターズの本であるとは、まったく気付いていませんでした。

ちなみに、ベイスターズが好きなFMとやまの堀池アナに
この本をすすめたら、表紙を見るやいなや
「ハマスタだー!」と叫んでいました。(笑)
ファンはこの表紙を見ただけでわかるのですね。さすがです。
堀池さんは早速この本を購入したそうです。


今回の作品は、4つのお話が収録された短編集で
登場人物も、高校の先生、女子高生、
家業の電気店を継いだ若者、小学生の男子とバラバラです。

でも全員に共通しているのが、横浜ベイスターズが好きであるということ。

物語は、最初は1984年、次は1997年、98年と、お話ごとに時代が異なります。
それも昔から今へと進んでいきます。

その時代ごとの出来事や選手の名前も出てきますので、
ファンの方にはたまらないと思います。

でも、私のように詳しくなくても大丈夫!
野球や横浜ベイスターズのことがわからなくても
好きなスポーツやチームがある人ならきっと共感できると思いますし、
何よりそれぞれの短編が面白いのです。

私は1997年の女子高生の物語が好きです。

もともとは彼氏がベイスターズが好きで
一緒に応援しているうちに自分も好きになるという
ありがちなお話なのですが、それがいいのです。
彼女が本当にベイスターズのファンになる瞬間なんて最高です!
(詳しくは本を読んでね)

(また私がこの主人公と同世代ということもあり、
色々な意味で懐かしさもありました)

彼女の他にも、誰とも野球の話はしないけど家で一人で見ている人や、
好きな選手がチームから離れてしまったことで
試合を見なくなってしまったものの
やっぱり好きな気持ちがおさえられない人など、
様々なファンが登場します。

横浜ベイスターズファンや野球好きの方はもちろん、
ほかのスポーツでも応援しているチームがある方には、
ぜひ読んでいただきたい一冊です。

初めてファンになった時、
好きな選手が移籍や引退をした時、
チームがなかなか勝てずにいる時、
それぞれの瞬間の思いが素直な言葉で綴られています。

例えばこんな感じ。
87歳のおじいちゃんが小学生に言うセリフです。

「その気持ちをジジイになるまで持っていけ。

強い時も弱い時も、雨の日も風の日も、
フロントがクソでもベンチがアホでも、
チーム名が変わってもマスコットが変わっても」

言葉は汚いけど、かっこいい!
長くファンをしている人だからこその言葉です。

大変熱く面白い一冊でした。

yukikotajima 9:20 am

『家族じまい』

2020年12月16日

今年は家にいる時間が増えたことで
家族と向き合うことも多かったのでは?

あらためて家族の大切さに気付いた方もいれば、
コロナ離婚という言葉もあったように
逆に気持ちが離れてしまった方もいたようですね。

あなたは家族とはどんな関係ですか?

親、きょうだい、子ども、それぞれとの関係はいかがでしょう?
うまくいってますか?

今日ご紹介する本は、ある家族にまつわる物語です。

『家族じまい/桜木紫乃(集英社)』

『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した桜木紫乃さんの新作です。
『ホテル〜』は映画化されこの秋公開されましたので、ご覧になった方もいるのでは?


新作の『家族じまい』は、5人の女性が主人公の連作短編集です。

まずは、美容室でパートとして働く48歳の智代(ともよ)のお話です。

彼女は子育てにひと区切りつき、夫と2人で暮らしています。
それなりに夫とはうまくやっているつもりでしたが、
ある日、夫の後頭部に円形脱毛症を見つけ、
何かあったのかと気になりながらも、なかなか聞くことができずにいます。
そんな中、自分の親や仕事の問題も重なっていきます。

他には、智代の妹や母親の姉などが登場します。
全員女性で一人以外は親族です。

連作短編集ですので、主人公が入れ替わりながら
でも登場人物は同じまま物語が進んでいきます。

話の軸になるのは智代の両親です。

母親は認知症で記憶を無くしつつあり、父親が面倒を見ています。

…と紹介すると良い父親のようですが、
以前は好き勝手生きていて家族を振り回し続けていたのでした。

そのため姉の智代は長い間、両親とは距離を置いており、
一方、妹は両親とは頻繁に連絡を取り合い、二世帯住宅を考えるほどです。

そして、この姉妹はそれほど仲がいいわけでもなく、
それぞれ相手に対して不満を抱えています。

というか、出てくる人みんながそれぞれの事情を抱えています。

この作品は、主人公が変わることで物事の見え方も変わっていきます。

なるほど、そういう事情もあったのかと客観的に見ながら、
あらためて人によって考え方や感じ方は様々だと気付かされました。
いや、人というか家族の、といった方がいいかな。

相手が他人の場合は自分と考えが違っていてもまだ理解できると思うのですが、
家族の場合はそうはいかなくないですか?

家族というだけでお互い理解できて当然!
と思ってしまうところがあるように思います。
そしてもし理解してもらえなかった場合、
家族なのに私のことをわかってくれない、と思ってしまうのですよね。

でも家族だからって全員が同じ考えとは限らないのですよね。

この本の主人公たちも皆、考え方はバラバラてす。
それ故、衝突もあります。

現実の世界では人の心の中をのぞけないので、
あくまでも想像するしかできませんが、
小説の場合、堂々とのぞけます。

それぞれの人の本音を知る時間は楽しいし、
そういう風に思う人もいるのか、と勉強にもなります。

この本は特に、様々な考え方の人が登場するので、
そういう意味でも読みごたえがありました。


また、この本の何がいいって、文章が素晴らしいのです!

本の帯に書かれている作家の村山由佳さんのコメントが
まさに私の言いたかったことなのでご紹介します。

「どうやったらこんな一行が書けるんだろう」
と唸る文章が、随所に、あくまでさりげなく配される

まさにその通りです。
桜木さんの文章は、これ以上綺麗にはまる言葉があるのかというくらいに、
ぴたっと正しくそこにおさまっているのです。

例えば…

ストレスを感じた時に飲む百円の缶酎ハイのことを
「高くても百円の、心の隙間を埋める投資」と言ったり、
自分の話も別の人の記憶に混ぜ合わせると
別の色合いが浮かび上がり新たな模様が現れる、
と表現したりしているのです。

くぅ。こんな表現できそうでできないよー。

これも好きです。

会話の最後はいつのときも、明るい明日の話題がいいのだ。
そうでなくては、翌日の太陽が暗い。

『家族じまい』は、素敵な文章に触れたいという方にもオススメです。
もちろん家族に関しての悩みを抱えている方にも。

そうそう、著書の桜木さんによると、
「家族じまい』の「しまい」は、
終わりの「終い」ではなく「仕舞い」なのだとか。
詳しくは作品を読んでみてください。

決して後ろ向きではない物語ですよ。

yukikotajima 11:06 am

『彼女の名前は』

2020年12月9日

先月、富山で映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が公開されました。
あなたはご覧になりましたか?
私は見に行こうと思った日に、もう上映が終わっていて見られず。。。
見たかったなー。

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』の原作は、
韓国で130万部を突破したベストセラー小説です。

現代女性の生きづらさを描いた小説として、日本でも話題になりました。

私ももちろん読みましたし、ラジオでもご紹介しました。

◎田島の本の感想は コチラ

***

今日ご紹介する本は、この『82年生まれ、キム・ジヨン』を書かれた
チョ・ナムジュさんによる短編集です。

『彼女の名前は(筑摩書房)』

著者が、9歳から69歳まで60人余りの女性に取材をして書いた
28のお話が収録されています。

取材がベースになっているものの、ノンフィクションではなく小説です。

例えば…
・セクハラと戦う女性
・初めて会社で育休を取った女性
・仕事の忙しい娘の代わりに孫の面倒を見る女性
・路線バスの女性運転手
・国会の清掃職員
などの女性が登場します。

出てくる女性たちは皆、普通の女性たちです。

著者のチョ・ナムジュさんは
「特別ではない、大したことのない、そんな女性たちの人生」
を書いたそうです。

それも社会の不条理に声をあげる女性たちを丁寧に描いています。

そう、女性たちはみんな何かと戦っているのです。
セクハラと、会社と、義理の家族と…。

そして、その戦いは自分のためだけではありません。

この苦しい思いを他の誰かに味わわせたくない。
私で終わりにしなければ!という思いで戦っているのです。

女性たちが立ち上がる理由は、「次の人」のためです。

ある女性はこう言います。

私だってそうだったんだよ。
あたしたちの頃はもっとひどかったんだから。

そんなことを言う先輩にはなるまい。

ドキリとしました。
だって、私も年上の人たちからよく言われてきたし、
私自身も年下に言ったことがあったから。
反省。。。

私だって辛い思いをしたのだからあなたも我慢して。ではなく、
こんな思いは、もう他の人にはさせない。私で終わらせなければ!
と思う人が増えれば、世の中はいい方向に変わっていくのですよね。

辛い時は、なんで自分ばかりがこんな思いをしなきゃならないのよ…
と気持ちが自分に向いてしまいがちですが、
私がこの状況を変えることで後に続く人たちもきっと楽になる!
と思えば、確かに頑張れそうな気がします。

この本は韓国のお話ですので、日本とは異なる部分もあります。
日本ではそんな話は聞いたことないな、と驚くような話もあり、
私には韓国のほうがより酷い状況に感じられました。
詳しくは実際に本を読んで頂きたいのですが、
それこそ、大ヒット映画『パラサイト 半地下の家族』のような話もありました。

でも、日本でも今よりもっと女性が生きづらかった時代もあるわけで、
これまで様々な理不尽と戦ってきた女性がいるから、
今がだいぶ生きやすい時代になっているんだよな、
ということにあらためて気付かされました。

先輩方、本当にありがとうございます。

これからは、私も次に続く人たちのために、
しっかり生きていきたいと思いました。

この本の中で、40歳についてこう書かれていました。

40を過ぎたら自分の顔にも自分を取り巻く社会にも責任を持つべき。

すでに40歳をこえている私には耳の痛い言葉でした。
私、社会に責任を持てているだろうか。
そもそもひどい顔をしていないかと。
40歳を過ぎるとこれまでの生き方で顔つきが変わるのだそうです。
あなたはどんな顔をしているでしょうか。

著者のチョ・ナムジュさんは、
『82年生まれ、キム・ジヨン』によって
問題が社会に認識されたことはよかったけど、
認識だけではダメで、半歩でも前に進もうと、
そのためにこの本を書かれたそうです。

『彼女の名前は』は、多くの方に読んでいただきたい一冊です。男女問わずぜひ!

yukikotajima 9:08 am

『きみの瞳が問いかけている』『とわの庭』

2020年12月2日

先日、映画『きみの瞳(め)が問いかけている』を鑑賞しました。
話題の『きみのめ』です!

実は11月末までの鑑賞チケットを持っていたことをすっかり忘れていて、
先日あわてて見に行ったのでした。

なんてことをgraceの月曜火曜担当の垣田さんにお話したら、
垣田さんも全く同じことをしていました。
しかも見た作品まで同じでした。(笑)

映画はとても良かったです。
久しぶりに王道の恋愛映画を見たのですが、王道の安心感っていいですね。
王道最高〜!

映画を見たあとの私の心は、瑞々しい映画の世界のように清らかな気持ちでした。
とても美しい映画でした。

主演の横浜流星さんもずっと見つめていたくなるほどの美しさでした。
私が10代だったら部屋にポスターを貼っていたに違いない(笑)。

今までは、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』のピンク髪の不良高校生の
ゆりゆり(役名)が一番のはまり役だと思っていたけど、
この映画の塁(るい)も良かったです。
塁はある出来事から夢を失くしてしまうのですが、
横浜さんは影のある役が似合いますね。

一方、相手役の吉高由里子さんは明るいキャラクターが合っていました。
吉高由里子さん演じる明香里は、事故で視力を失くしてしまいます。
でも、目が不自由でありながらも、一人で暮らし、仕事もしています。
何より明るくかわいい女性です。

『きみのめ』は、そんな夢を失くした男性と
視力を失くした女性の恋模様が描かれた
王道のラブストーリーです。

若い方だけでなく、大人の女性の皆さんもぜひ。
きっと心が満たされると思いますよ〜♪

◎映画の公式サイトは コチラ

***

かわっては本のお話です。

ご紹介する本の主人公の女性も
映画『きみのめ』と同じく視覚障がい者です。

『とわの庭/小川糸(新潮社)』

ちなみに、映画『きみのめ』と、この小説は全く別の作品です。

ただ、どちらの主人公も目が不自由という点では、重なるところが多々ありました。

例えば、いずれの主人公も目が見えないので匂いや音で判断したり、
洋服選びはスマホを使って色や模様をチェックしたり。
とくにお花などの自然の匂いに敏感なのが印象的でした。

『とわの庭』も本のタイトル通り、庭の植物の匂いが感じられる作品でした。

主人公は「とわ」という女性です。
物語はとわの子どもの頃のお話からスタートします。
とわは目が見えなくてもママがいれば幸せでしたし、
ママもとわのことが大好きでした。

後半は大人になったとわの物語が描かれます。

とわがどのように大人になっていったのかは、
ぜひ本を読んでいただけたらと思います。
本当はその間のことを言いたいのだけど、我慢します。
この作品は、ネタバレを一切したくないタイプのお話なのです。

私はこの本のことを何も知らずに読んだので、途中かなりの衝撃を受けました。
読んでいる最中は、喜怒哀楽のすべての感情が入り混じっていました。
こんなにも感情が揺さぶられることになるなんて!
というくらいに気持ちが動き、さらに何度も涙がこぼれました。

でも、読み終えた後は穏やかでした。

そもそも私が『とわの庭』を読んでみたいと思ったのは、
小川糸さんの新作だったからです。

小川糸さんと言いますと、今年春に
『ライオンのおやつ』をラジオでご紹介しました。

本屋大賞の2位にもなった話題作です。

◎『ライオンのおやつ』の感想は コチラ

余命を告げられた女性が人生の最後に過ごした
ホスピスでの日々が綴られた小説で、涙が止まりませんでした。
今年一番泣いた作品です。

『とわの庭』は、そんな小川糸さんの新作ということで、
きっといいに違いない!と思って、中身は一切確認せずに読み始めたのでした。

実際とても素敵な物語でした。

淡い黄色の本の表紙を見ると穏やかそうな雰囲気ですが、
「とわ」の人生には色々なことが起こります。

でも、とわはいつでも前向きです。

なぜなら彼女はたくさんの人やモノから力をもらっていたから。
ママが読み聞かせてくれた物語に、ピアノの音、そして大好きな友達など。

この本を読んで私は、とわちゃんから力をもらいました。

***

『きみのめ』と『とわの庭』は、いずれも視覚障がい者が主人公です。
内容は全然異なりますが、主人公2人に共通しているのは、
2人とも前向きで明るいということと、丁寧に暮らしていることです。

偶然とはいえ、これら二つの作品を同時に味わって、
目が見える私のほうが、実際は見えていないことが多いのかもしれない、
と思いました。

どちらもいい作品でした!

yukikotajima 9:14 am

『デルタの羊』

2020年11月25日

「アニメ」というと、どんな印象がありますか?

今年はなんといっても鬼滅の刃が大人気で、
熱狂的なファンも大勢いますよね。

日本のアニメは、子どもから大人までを夢中にし、
今や日本だけにとどまらず海外でも人気がありますが、
いったいどのように作られているのか、ご存じですか?

今日ご紹介するのは、今の日本のアニメのリアルを描いた小説です。

『デルタの羊/塩田武士(KADOKAWA)』

塩田さんというと、現在公開中の映画『罪の声』でおなじみです。
また、大泉洋さんを主人公にあてがきした『騙し絵の牙』も来年公開予定です。

◎『騙し絵の牙』の田島の感想は コチラ

もと新聞記者の塩田さんは、
どの作品も徹底的に調べてから書いているのだそうです。
だから塩田さんの作品からはリアルな現場の空気が感じられます。

今回も「日本のアニメ」の現状がよくわかりました。

物語は、アニメ製作プロデューサーの男性が、
SF小説のテレビアニメ化に着手するところから始まります。
しかし業界の抱える課題が次々と浮き彫りとなっていきます。
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…。
なんと早くもコロナ後のことまで描かれています。

アニメ業界には2つの「セイサク」があるそうです。
実際にアニメーションをつくる「制作」と
アニメをビジネスとして成立させる「製作」です。

これら2つの「セイサク」の現場が丁寧に描かれていますので、
私のようにアニメに詳しくない人でも楽しめます。

私はこの本を読んでアニメの見方というか、見え方が変わりました。

これまではストーリーや絵が好きかどうかで見ていたけれど、
キャラクター達の動き、表情など細かいところまで見てみたくなりました。

動きや表情が自然に見えることは、実はすごいことなのですよね。

この本を読みながら私が新人の頃のことを思い出しました。
ニュースの練習をしている時に、先輩の牧内アナから
「上手な人のニュースは、ニュースの内容が自然に頭に入ってくる」
と教わったことを。
上手な人は自然に聞かせられる人のことで、
あえて「うまいなあ」とは思わせない。
でも、下手な人は、すぐにわかるのものだと。

この本の中の、あるベテランアニメーターの言葉も印象に残りました。

ものづくりに携わるものは、本能的に高みを目指すけれども
必ずどこかで線を引かなければならない。
そこから先は「つくり手のエゴ」になる。

まさにプロの言葉だと思いました。

また、このベテランアニメーターは
「表現方法は時代と添い寝する」と言い、
手書きからデジタル作画、そしてCGへと
時代に合わせて描き方を変えているのです。
若手ですら手書きじゃなきゃ嫌だという人がいるのに。

この物語は、アニメの現場を通して
ものづくりとは何か?についても学ぶことができ、
そういう意味でも楽しめました。

でも、私が一番伝えたいのは、
「小説として大変面白かった」ということです。

アニメの世界を描いているとはいえ、この作品は小説です。
そして、文字だけだからこその面白さがありました。

え?そういうことだったの?
と何度驚いたことか。

あなたは読みながら、塩田さんの仕掛けに気付けるかしら?
ふっふっふ。

この本のすごいところは、
最初にページをめくって読み始めたときから
何度も物語の印象が変化していくことです。
ですから、最後まで読んだ人は、きっとまた最初から読みたくなるはず。

大変面白い一冊でした!

正直なことを申しますと、
以前、紀伊國屋書店富山店に行った時に、
小説にお詳しい書店員さんから
今一押しとしてこの本を薦められたのですが、
本の帯の「アニメ」という言葉を見て
「私、アニメのこと詳しくないんですよね…もう少し様子を見ます」
と一度断ってしまったのです。

でも、先日お邪魔した時にも再度薦められまして、
そんなにおっしゃるならと読んでみたわけです。

そしたら大変面白くて、これは確かに薦めたくなる!と納得。
ですから私と同じように「アニメに詳しくない…」という方もぜひ〜。

そして、この本を読んだ方はきっと思うはず。
いつかアニメ化してくれないかなあと。

小説としての面白さはもちろんあったけれど、
アニメ版も見てみたいと思わずにはいられないのですよ、これが。

アニメの現場にいる皆さん、ぜひご検討ください。(笑)

yukikotajima 9:29 am

『エンド・オブ・ライフ』

2020年11月18日

読みたい本を選ぶ時、「本屋大賞」を参考にされる方も多いのでは?

本屋大賞は、全国の書店員の皆さんが選んだ「売りたい本」のことで、
毎年春に発表され、大賞作は話題になります。

今年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。

◎私の感想は コチラ

その本屋大賞にはいくつかジャンルがありまして、先週11月10日には
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」
の大賞作が発表されました。

こちらは、日本全国の書店員さんとYahoo!ニュースが選ぶもので、
去年の大賞作は、超話題作、ブレイディみかこさんの
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
でした。
こちらはgraceにもリスナーの皆さんから何度も本の感想が届きました。

◎私の感想は コチラ

そして、今年のノンフィクション本大賞は、
『エンド・オブ・ライフ/佐々涼子(集英社インターナショナル)』
が選ばれました。

佐々さんはノンフィクション作家として
『エンジェルフライト』
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場 』
などをお書きになり、いずれも話題になりました。

◎『紙つなげ!』の私の感想は コチラ

***

今回の『エンド・オブ・ライフ』は、
在宅での終末医療の現場を綴ったノンフィクションです。

執筆のきっけかは、
佐々さんのお母様が難病を発症し、
在宅医療を受けていたことでした。

佐々さんは、訪問医療を行っている京都の診療所の医療チームに同行し、
7年にわたって取材されます。

この本には在宅での終末医療の現場が綴られているのですが、
長い期間にわたって丁寧に取材されたことが
佐々さんの文章から伝わってきます。

終末医療の現場を取材することは、決して楽ではないと思うのです。
もし私が取材される側だったら、
取材許可を出せるかどうかすぐに答えは出ないですもの。

実際、佐々さんも悩みます。
でも、だからこそ心を開いてもらえたのではないかと思います。

自分の命が長くないことを知った患者さんや、その家族の思いを読みながら
私は涙が止まりませんでした。

この診療所では、患者たちの最後の希望を叶えるボランティアをしています。
最後に家族と「潮干狩りに行きたい」「ディズニーランドに行きたい」
といった希望を叶えるために、万全の態勢でサポートしているのです。
それもボランティアで。

医療チームの素晴らしいサポートや
患者さんや家族の皆さんの優しさに涙があふれました。

でも。。。
美しいエピソードだけではありません。

この本を書くきっかけとなった難病のお母様の在宅医療や、
患者の家族として見た医療の現場についても書かれています。
佐々さんが取材をした京都の診療所は素晴らしいところでしたが、
全ての医療機関がそうとは限りません。
また、在宅での介護は家族にとっては大変なものですので、
「家族愛」だけでどうにかできるものでないことも
佐々さんは包み隠さず書いています。

また、今回の取材で出会って友人にもなっていた
訪問看護師の森山さん(48歳・男性)のこともたくさん書いています。
彼はある日、手術も治療もできない病気になってしまうのです。

森山さんは、それまで200名の患者を看取ってきた
「看取りのプロフェッショナル」ですが、
そんな彼でも自分の最期をすぐに受け入れることはできませんでした。

佐々さんは、森山さんが自らの最期とどのように向き合っていったのかを
正直に綴っています。

本の帯に、「命の閉じ方」をレッスンする。とあるとおり、
まさに、この本からはたくさんのことを学ばせていただきました。

患者さんやその家族と自分を重ねて、
自分だったらどうするだろう?と悩みながらページをめくっていきました。

人の最期について書かれた本なんて辛くて読めないよ…
という方もいるかもしれません。

確かに辛い描写もあります。
でも、決して後ろ向きな内容ではありません。

きっとこの本を読んだ人は、
自分はこの先どう生きていきたいのかを考えると思います。
それも前向きに。

さすが本屋大賞受賞作だわ!

私は書店員ではないけれど、
一人でも多くの方に読んでいただきたい一冊です。

yukikotajima 9:20 am

『夜明けのすべて』

2020年11月11日

今日ご紹介する本は、
去年、『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞した
瀬尾まいこさんの受賞後最初の作品です。

『夜明けのすべて(水鈴社)』

前作は、本屋大賞のほか、
紀伊國屋書店スタッフオススメの本ランキング「キノベス」でも
1位を受賞するなど、大変話題になりました。
ラジオでももちろんご紹介しています。

◎『そして、バトンは渡された』の田島の感想は コチラ

受賞後初となる新作『夜明けのすべて』は、表紙が大変目立ちます。
鮮やかな青をベースに、中央に黄色い砂時計が描かれた
青と黄色のコントラストが目をひく表紙となっています。

そして、この本の出版社は「水鈴社(すいりんしゃ)」です。

今年7月に設立されたばかりの新しい出版社で、
この『夜明けのすべて』が創立後最初の単行本だそうです。

***

『夜明けのすべて』は、同じ会社で働く男女の物語です。

28歳の美紗は、仕事も丁寧で周りに気を遣えるので、
社員の皆さんとの関係も良好です。
ただし、ずっとPMS(月経前症候群)に苦しんでいて、
月に一度生理前になるとイライラが抑えられなくなってしまいます。

普段なら気にならないことも生理前だけではダメで、
ある日、転職してきたばかりの3つ年下の25歳の山添君に当たってしまいます。
というのも彼は仕事に対してまったくやる気がないのです。

でも、彼もまたパニック障害になって人知れず病気と闘っていたのでした。

物語は、この二人のパートが交互に描かれていきます。

***

美紗と同じようにPMS(月経前症候群)に苦しんでいる、という女性もいるのでは?

PMSは、美紗のようにイライラしたり、精神的に不安定になったり、
腹痛、頭痛、めまいに悩まされたりと人によってその症状も辛さも様々です。

そのため男性だけでなく、同性から「大げさ」と思われてしまうこともあります。

私は美紗ほどではありませんが、ほぼ毎回症状は出ています。
だから生理前に何かしらの決断をしないように決めています。
私の場合、イライラするだけでなく、
腹痛、頭痛のせいもあって投げやりになってしまうのです。
どうでもよくなって、よくない決断をしがちでして。
だから、終わるまで決断はしません。
今、「わかるー!」と頷いている女性もいるのでは?

さて。
美紗は、このPMSのせいで転職したのでした。
今の職場では最初からPMSのことを伝えているため、
職場の人たちは理解してくれています。

山添君もパニック障害が原因で今の職場にやってきたものの、
彼の場合、会社に自分の病気のことは伝えていません。

そんなある日、美紗は山添君が発作を起こす姿を見て彼の病気に気付きます。
そして、彼のことをやる気のない人だと決めつけていたことを反省し、
彼が少しでも楽になれるよう、自分にできることはないかと考えます。

一方、山添君のほうはというと、自分のほうが辛いに決まっている!と思っています。
でも、よく考えれば僕はPMSのことを知らない。
もしかしたら想像以上にしんどいのかもしれない。
と考え直し、自分も彼女の力になりたいと思い始めます。

なんと二人そろって相手を助けることを考えるようになるのです。
二人とも自分が辛いからこそ、相手の負担を減らしてあげたいと思うのですね。
優しい。。。

そして、二人で過ごす時間も増えていきます。
二人ともこれまで自分の悩みを人に打ち明けられずにいましたが、
一緒にいるときは自分の素直な気持ちを話せるようになります。
そして、少しずつ二人は変わっていきます。

でも!

二人の間に恋愛感情はありません。
職場の人たちは何かと二人をくっつけたがるのですが。(笑)

『夜明けのすべて』は優しさに満ちた物語でした。
思わず声に出して笑ってしまうようなところもあるのだけど、
私は笑いながら涙も出てきました。
良かったね、というあたたかな涙です。

出てくる人がみんないい人ばかりで、読んだ後は私の心も穏やかでした。

また、心が元気になるための小さな気付きもいくつもありました。
例えば、山添君は何を食べても美味しくないと思っていたのですが、
ただ美味しいものを食べていなかっただけだったりするのです。

たしかに美味しいものを食べた時はそれだけで元気になりますもんね!

ちなみに、著者の瀬尾さん自身、パニック障害で苦しんだ過去があるそうです。
詳しくは水鈴社のサイトに掲載されている直筆の手紙に書かれていますので、
良かったらお読みください。

◎水鈴社のサイトは コチラ

この小説には瀬尾さんの実体験も描かれているようですよ。

PMSやパニック障害は聞いたことはあっても
詳しい症状はよくわからないという方も多いのでは?
この本を読むことで、人知れず苦しむ人の気持ちを知ることができます。
そういう意味でも多くの方に読んでいただきたい一冊です。
読んだ後は、人に対して接し方や見え方が変わるはずです。
逆に登場人物たちと同じような状況にある方は、きっと心が軽くなるんじゃないかな。

とってもあたたかくて優しい物語でした。

yukikotajima 9:33 am

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

2020年11月4日

先日、本屋さんに行った時、
次はどんな本を読もうかしらと店内をぶらぶら歩きながら
まだまだ知らない本がなんとたくさんあることか!と思ったら、
どの本を選べばいいのかわからなくなり、こんな時はプロに頼ろうと
紀伊國屋書店富山店の書店員さんに相談。

小説以外の例えばエッセイでオススメは?と聞いたところ、
今一押しのエッセイとして、この本を教えていただきました。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
/岸田奈美(きしだ・なみ)【小学館】』

本の帯を見ると、阿川佐和子さんのお名前が。

阿川さんというと、お母様が認知症になり、
その体験を小説にされていたので、
もしやこのエッセイもそういった内容かしら?
本のタイトルにも「家族」が入っているし。
と思ったのですが、違いました。

本の帯の下のほうに小さくこう書かれていました

車いすユーザーの母
知的障害のある弟
急逝した父

情報過多な日々をつづる笑いと涙の自伝エッセイ

ん?「笑い」のエッセイ?こんなに大変そうな状況なのに?
と頭の中にたくさんの「?」が浮かびつつ、
書店員さんの一押しだしと読んでみることにしました。

著者の岸田奈美(きしだ・なみ)さんは、
100文字で済むことを2000文字で伝える1991年生まれの作家さんで、
ブログサービスのnoteやTwitterで話題となっているそうです

このエッセイは、岸田さんの家族の日々が綴られています。

岸田さんは、中学生の時にお父様が急逝し、
高校生の時にはお母様が病気によって車いす生活になり、
4歳年下の弟は生まれつきダウン症で知的障害があります。

ですが、岸田さんの文章はとにかく明るいのです。

もちろん悩んだり落ち込んだりもしていますよ。
でも、どのエッセイも読んだ後は優しい気持ちになれます。

特にダウン症の弟さんを見つめる優しい眼差しが印象的でした。
エッセイには弟さんのいいところがたくさん紹介されていますので、
きっと読者はみんな、弟さんのことが好きになると思います。

ところで、あなたはご家族のいいところをいくつ挙げられるでしょう?

岸田さんは、弟さんのことをいつも見ているので、
いいところにも気付くのでしょうね。

弟さんのエピソードは色々と紹介されていますが、
コンビニで万引きを疑われた弟が再び一人でコンビニに行った時に、
こっそり尾行したエピソードは、涙なしには読めませんでした。
あ、でもこれはいい涙ですよ。

岸田さんが弟さんに向けた言葉が素敵だったのでご紹介します。

「行ったことのない場所に、どんどん行け。助けられた分だけ、助け返せ」

素敵なお姉ちゃんだ!と思ってページをめくっていったところ、
なんと岸田さん自身が弟さんに助けられることになります。

いったい岸田さんに何があって
弟さんはお姉ちゃんをどのように助けたのかについては、
ぜひ本を読んでいただきたいのですが、このエピソードも良かった!
私自身も助けられた気分で心が軽くなりました。

岸田さんのエッセイは、文章がとても素直なのです。
お友達にそのまま喋っているような飾らない表現ですので、
まるで彼女のお喋りを聞いている気分で読むことができました。

この素直さが彼女の魅力であり、
大勢のファンがいる理由なのでしょうね。

また、彼女の文章からは表情が見えます。基本的には笑顔が。
笑いながら文章を書いているのが伝わってくるエッセイでした。

そんな彼女の笑顔を実際に見ることができます。
この本には岸田家のご家族の写真が挟まれているのです。

また、本のカバーを外すこともお忘れなく。
こちらにも素敵な家族の写真がありますので。

この本を読んだ後の私もきっといい表情をしていたと思います。(笑)
人を信じてみたくなる、優しさにあふれたエッセイでした。

yukikotajima 9:16 am

読み聞かせにオススメの本を2冊ご紹介

2020年10月31日

今日のネッツカフェドライヴィンは、
ちょうど今、読書週間ということで
「読書の秋」をテーマにお送りしました。

今日は、大人も子どもも楽しめる本を2冊ご紹介しました。
いずれも読み聞かせにもおすすめです。


『子どもの頭と心を育てる100のおはなし/齋藤孝 監修(宝島社)』

『声に出して読みたい日本語』でおなじみの齋藤孝さん監修の書籍で、
日本と世界の童話、昔話、落語、神話が100話収録されています。
どのお話も短くて1話あたり5分程度で読めます。

そしてこの本はページが開きやすい特別な製本のため、
読み聞かせがしやすくなっているのです。

また、漢字にはふりなががふってあるので、お子さんが一人読むこともできます。

斉藤さんによると、読み聞かせをすることで、
情緒力、共感力、感情表現力の3つの力が伸びるそうですよ。

この本には、たくさんのお話の他、じょうずな読み聞かせのコツや
子どもの成長に合わせた読み方やお話選びものっていますので、
お子さんの年齢に合わせた読み聞かせができます。
それこそ読み聞かせの教科書ような書籍です。
もう1冊はこちら。


『さてさて、きょうのおはなしは・・・・・・
日本と世界のむかしばなし/瀬田貞二(福音館)』

『指輪物語』や数々の絵本の翻訳、
昔話の再話や物語の創作などで知られる
瀬田貞二(せた・ていじ)さんの昔話を一冊にまとめたものです。
1979年に刊行された小冊子の復刻版です。

瀬田さんによると、昔話は、子どもの成長には大切で、
文学としてもすぐれているとのことです。

ちなみに、私は、この本をジャケ買いしました。
野見山響子(のみやま・きょうこ)さんの
淡く優しい色味の黄緑色に味わい深い版画が素敵なのです。
落ち着いた雰囲気の装丁ですので、大人の方も手に取りやすいと思います。

いずれの本も声に出して読むのにおすすめです。
ぜひこの秋は親子で本の読み聞かせを楽しんでみては?

ただ、中には「おはなし」もいいけれど、できれば長編の小説を読みたい!
という大人の方もいらっしゃると思います。
そんな方は、私のこちらのブログ「ゆきれぽ」には
過去にラジオでご紹介した様々な本の感想をアップしていますので、
本選びの参考になさってください。

yukikotajima 12:00 pm

『この本を盗む者は』

2020年10月28日

小説を読んでいると、本の世界に入り込んでしまうことがあります。
夢中になってページをめくっているうちに、
読書をしていることすら忘れてしまうようなことが。

今日ご紹介する小説は、そういった空想ではなく、
本当に本の世界に入ってしまった少女の物語です。

『この本を盗む者は/深緑野分(ふかみどり・のわき)【角川書店】』


本の帯に大きく「森見登美彦氏 推薦」とあり、
本屋さんでこの本を見たとき、森見さんの新作かと思ってしまいました。

そして、森見さんの名前を最初に見たことも影響していると思うのですが、
この本を読みながら森見さんの小説『熱帯』を思い出しました。

★『熱帯』の私の感想は コチラ

『熱帯』は、とある幻の本を探し続ける男性の物語なのですが、
この本探しが、はちゃめちゃな冒険に繋がっていくのです。
いかにも森見さんらしい愉快な一冊でした。

今日ご紹介する深緑野分さんの新作
『この本を盗む者は』の主人公も本を探しています。

主人公は、高校生の深冬(みふゆ)です。
彼女のひいおじいさんは書物の蒐集家で、
巨大な書庫「御倉館(みくらかん)」には
約24万冊の本が所蔵されていました。

もともと書庫の本は誰でも借りることができたものの、
本の盗難が増えたことで書庫は閉鎖されてしまいます。

ひいおじいさんから引き継がれた深冬の祖母は、
愛する本を守ろうとするあまり
地元の神様に頼んで書物に奇妙な魔術をかけてしまいます。

書庫の本を持ち出した者を呪うブックカース(本の呪い)を。

誰かが本を盗んで、この本の呪いが発動すると、
街が物語の世界へと姿を変えて
泥棒は本の世界に閉じ込められてしまいます。
本を盗んだ泥棒を捕まえない限り、世界は元には戻りません。

その泥棒を捕まえることになるのが深冬です。

しかし、深冬は本が嫌いなのでした。

書庫の本に呪いをかけた祖母は深冬に対してとても厳しくて、
「この家の者なら本を読め!」
と他の遊びをすることを許してくれなかったため
本嫌いになってしまったのです。

これ、なんでもそうですよね。
人から強要されて嫌いになったもの、私にもあるなあ。。。
何かは内緒ですが。(笑)

さて、嫌いな本の世界に入った深冬は、
本泥棒を捕まえないと元の世界に戻ることができません。

そして、本が盗まれるたびに本の世界を冒険していくことになるのですが、
この本の世界というのがユニークなのです。
深冬が住んでいる町がそのまま本の舞台になっていて、
登場人物もお馴染みの人たちです。
でも、微妙にカスタマイズされていて、全員、役が決まっています。

これがとても面白くて、
いつかドラマ化されたらきっと楽しいに違いない!
と思ってしまいました。
アニメ化はあるかもしれないけれど、できれば実写版で見たいなあ。


この小説は、女子高校生が主人公で、
本の呪いとか本の世界に入って冒険ということは、
若い人向けのお話なんでしょ?と思った大人の方もいるかもしれませんが、
そんなことはありません!

大人の皆さんもきっと楽しめると思います。

それに、深緑さんの文章は描写が美しいのです。
情景が目に浮かぶのはもちろん、
洗練されていて声に出したくなるほどです。

例えば。

廊下はしんと静まり返り、
玄関の小窓から差し込む細い陽光に、
宙を漂う埃がきらきら輝いている。
コチコチと響く柱時計の振り子の音がかえって静寂を際立たせる。

どうでしょう?
情景が浮かびませんか。
そして、どこか美しさもありませんか。

こういった描写によって五感で本の世界を堪能できました。


そうそう!

ちょうど今は読書週間なのですよね。

毎年、文化の日を中心にした2週間である
10月27日〜11月9日が読書週間です。

◎読書週間については コチラ

読書週間には標語が発表されるのですが、
今年は「ラストページまで駆け抜けて」です。

まさに今日ご紹介した小説『この本を盗む者は』も
ラストページまで駆け抜けた、読書週間にピッタリの一冊です。

中高生のお子さんのいる方はご家族みんなで読んでみるのもいいかも。

あ、でも、これは決して強要ではありませんよー。(笑)
興味が湧いたら読んでみてください♪


最後に、この本の中で一番好きなセリフを紹介します。

「本はただ読んで、面白ければそれでいいんだ。
つまらなくてもそれはそれでよい経験さ。
自分が何を好み何を退屈だと感じるか知ることができるからね」

yukikotajima 9:33 am

『自転しながら公転する』

2020年10月21日

今日は、山本文緒さんの新作をご紹介します。

『自転しながら公転する/山本文緒(新潮社)』

大学生の頃、山本文緒さんの小説が大好きでした。

大学時代はとても楽しかったけれど
将来や恋愛についての悩みも常にあって、
そんな悩み多き年ごろの私の心に
山本文緒さんの小説はいつも寄り添ってくれました。

ストーリーが面白いのはもちろん、
登場人物たちに共感しやすかったのです。

今でも山本文緒さんの名前を見ると
若い頃のことを思い出してキュンとするもので、
先日、本屋さんで新作を目にした時、
まるで初恋の人の名前を見つけた気分になり、
思わず手を伸ばしてしまいました。

なんと今作は7年ぶりの新作だそうです。
調べたら7年前の作品『なぎさ』もラジオで紹介していました。
ちなみに、こちらは前作から15年ぶりの新作でした。わーお!

◎『なぎさ』の田島の紹介は コチラ

新作『自転しながら公転する』も大変面白かったです。

この本、500ページ近くもある長編なのですが、
読んでいる時は少女漫画をまとめ読みしているような気分でした。

主人公の恋模様が気になって、
この2人はいったいどうなるのよ?
と思ったらページをめくる手が止まらなくなりまして。

でも、この作品は漫画ではなく本じゃなきゃダメなのですけどね。
文字だけの本だからこそ味わえるドキドキ感があるのです。
え?これってどういうこと?そういうこと?
と頭に?をたくさん浮かべながら読んでいたので、
読み終えて全てが明らかになった時は
程よい疲労感を帯びた心地よさに包まれていました。
皆さんにもこの感覚を本のページをめくりながら体感して頂きたいわー。

「で、どんな話なのよ?」

という声がそろそろ聞こえてきそうですね。
思いが強すぎて前置きが長くなりました。

主人公は、32歳の女性の都(みやこ)です。
彼女は、東京のアパレルで働いていたものの、
母親の看病のために仕事を辞めて茨城の実家に戻り、
地元のアウトレットのショップで契約スタッフとして働き始めます。

そして、同じアウトレットの別のお店で働く
貫一(かんいち)と出会い、付き合うことになります。

本を読むことが好きな貫一は、都の名前を初めて聞いた時に
「貫一おみやって言ったら金色夜叉じゃん」と驚きます。
でも都は意味がわかっていなかったのですが。

『金色夜叉』は、尾崎紅葉の長編小説で
貫一とおみやをめぐる金銭と恋愛の問題が描かれています。
「来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる」のセリフは有名ですよね。

『自転しながら公転する』は、『金色夜叉』の2人と同じ名前の男女の物語です。

『自転〜』でも2人は恋人同士になるのですが、
ある日、貫一の働くお店が閉店し、彼は無職になってしまいます。

アラサーの都は、彼との結婚を意識するものの、
経済力の無い彼と結婚してもいいものか悩みます。
その前に、貫一から結婚の話は一切なく、
彼は一体何を考えているのだろう…ということでも悩みます。

そもそも都が実家に帰ってきた理由は、母親の看病のためでした。
都は母親を車で病院に連れて行ったり、家事をしたりしていたので、
新しい職場では、正社員ではなく契約スタッフとして働き始めたのでした。
しかし、この職場が問題だらけだったのです。

本の帯にはこうあります。

「結婚、仕事、親の介護
全部やらなきゃダメですか?」

まさに同じような状況に置かれている方もいるのでは?

都は、どこにでもいる普通のアラサー女性です。
そして、彼女の抱える問題もよくある出来事です。
だから、読者は自分のこととして読めるのだと思います。

私も都に自分を重ねて読みました。

都の置かれた状況とは異なるのだけれど、他人事じゃないのです。
都の悩みが自分のことのように思えて仕方ありませんでした。
たとえば、貫一との未来についても
私だったらどうするかしら。。。と真剣に考えましたもん。

また、この物語には都の母のパートもあります。
母は重い更年期障害に苦しんでいまして、母は母で悩んでいます。
そして、この母の心のうちが描かれることで、物語に広がりがうまれます。

さらに、父や友人たち、職場の仲間、そして貫一と、
それぞれの悩みも明らかになっていきます。

幸せいっぱいで羨ましくて仕方ないと思っていた相手も実は悩んでいたり、
許せないと思った人もこっそり泣いていたり。
みんな人知れず悩んでいます。

都をはじめ、登場人物たちはそれぞれの悩みに対して
どのように向き合い、選択していくのか。
ぜひ本を読みながら一緒に考えてみてください。

山本文緒さんの7年ぶりの新作も大変面白かったです!

次作も楽しみだけど、次はいつになるかな。
の〜んびり待たせていただきます。(笑)

yukikotajima 9:37 am

『行った気になる世界遺産』

2020年10月14日

今年は海外旅行に行く予定だったのに、
泣く泣くキャンセルしたという方もいらっしゃると思います。

本来だったら今ごろ私は…
と行く予定だった旅の行程を見ながら
妄想旅をした方もいるかもしれません。

今日ご紹介するのは、まさに今読むのにぴったりな一冊です。

『行った気になる世界遺産/鈴木亮平(ワニブックス)』


俳優の鈴木亮平さんによる旅行記です。

鈴木さんと言いますと、
2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」でお馴染みの人気俳優です。

実は私もひそかにファンです♪
あの優しい笑顔が好きで癒されます。

俳優として活躍されている鈴木さんですが、
なんと東京外国語大学の英語専攻を卒業されています。
難関大学の、それも人気の英語専攻って、どれだけ頭がいいのか!

また、「世界遺産検定」一級を持っているそうです。

『行った気になる世界遺産』は、
そんな世界遺産に詳しい鈴木亮平さんのはじめての旅行記です。

例えば、
ギアナ高地(カナイマ国立公園)
古代都市チチェン・イッツァ
ネムルット・ダー
ヴェローナ市街
ボロブドゥール寺院遺跡群
イグアス国立公園
ワルシャワ歴史地区
キジ島の木造教会
ナン・マトール遺跡
オルチャ渓谷
サマルカンド文化交差路
アトス山
ドレスデン・エルベ渓谷
ペトラ
バガン
などが紹介されています。
他にもまだまだあります。

鈴木さん、こんなにも世界遺産に行っているなんてすごい!
と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
これらの世界遺産に鈴木さんは行っていないそうです。
なんと、すべて鈴木さんの妄想旅なのです。

でもね、内容はとてもリアルなんです。
妄想と言っても、ただ頭の中に浮かんだ景色を描写しているだけでなく、
五感を使ってフル妄想しています。

例えば、空港に降り立った時の匂いや、
ジャングルをガタガタ進むバスの乗り心地、
まつ毛に霜がつくほどの寒さなど、
まるで実際に体験したかのように書いています。

そのため、読者である私も一瞬で旅をしている気分になりました。

また、その旅気分をさらに高めてくれるのが、
鈴木さんがお描きになった絵です。
本に出てくるすべての世界遺産の絵が描かれています。
なぜ絵なのかというと、実際に旅に行ったいないため写真が無いからです。(笑)
絵には、旅をしている鈴木さん自身も
後ろ姿だったり、手だけだったりと様々な形で登場しています。

そして、この絵がいいアクセントになっているのです。
色使いもタッチも力強さの中に優しさが感じられ、とても味があります。

ちなみに、絵は独学なんですって。すごい!

それから、このエッセイは鈴木さんの「妄想」旅行記ですが、
好き勝手書いたのではなく、かなりリサーチした上で書いたそうですよ。
だからよりリアルな描写になっているのでしょうね。

そのおかげで、もし自分が本当に行くとするなら…
と自分自身の妄想旅もしやすかったです。

例えば、私の場合は、
忘れ去られた砂漠都市、ヨルダンの「ペトラ」で、
岩の間の細い通路を進んだ先にある
岩を掘って作られた美しい建造物を生で見てみたいなあ。
死海での浮遊体験やエステももちろんセットで♪
なんて妄想して楽しみました。(笑)

他にも、世界最古の秘境「ギアナ高地」や
青の都「サマルカンド文化交差路」も実際に見てみたいわ…
と挙げていったらきりがありませんでした。

私は、本に出てきた世界遺産についてスマホで調べながら読んでいったので、
読むのに丸一日かかってしまいました。
でも、この、色々調べている時間も楽しかったです。
どれだけ世界中を旅したことか。
本当に豊かなひとときでした。

まあ、実際は、家から一歩も出ずに本を読み、
スマホで検索していただけなのですけどね。(笑)

でも、心は満たされていました。

あなたも次の週末は、妄想旅に出かけてみませんか?

yukikotajima 9:29 am

『この気持ちもいつか忘れる』

2020年10月7日

こんにちは。

10月からもgraceの毎週水曜13時45分頃からは
本紹介のコーナーをお届けしていきますが、
今後は毎週、私、田島悠紀子おすすめの本を紹介する
「ユキコレ」をお届けしていきます。

これまでのユキコレは小説が中心でしたが、
今後は、幅広く様々な「本」をご紹介していきますので、
引き続きよろしくお願いします。

***

さて、今日の本は今話題の一冊です。

『この気持ちもいつか忘れる/住野よる(新潮社)』


累計300万部を突破し、映画化もされた
『君の膵臓をたべたい』でおなじみの住野よるさんの新作です。
紀伊國屋書店富山店でも人気だそうですよ。

今回は、普通の小説とはちょっと異なります。
ロックバンド・THE BACK HORNとのコラボ作品で、
小説に5曲入りのCDがついています。

今の若手アーティストではなく、
20年以上活動しているロックバンドとコラボした理由は、
著者の住野さんが学生時代からTHE BACK HORNの大ファンだからで、
住野さんからコラボの依頼をしたそうですよ。

実は私もTHE BACK HORNが好きで、
これまで何度もライブに行っているので、
個人的にとても嬉しかったです!

そういえば、THE BACK HORNが好きと言ったら、
「ホーンじゃなくてナンバーじゃないの?」
と言われたこともあったな。(笑)
(もちろん、ナンバーもいいですが)

さて、今回のコラボは、小説が完成してから曲をお願いしたのではなく、
構想段階から打ち合わせを重ねて、創作の過程も共有し、
お互い影響を与え合いながら作っていったのだそうです。

そして、「どうしてもTHE BACK HORNの楽曲を聴きながら作品世界に浸ってほしい」
という住野さんの熱い思いから、CD付きの小説になったそうです。
ちなみに、5曲入りのCD付きで1,700円+税と大変お得です。

コラボの経緯については、住野さんとTHE BACK HORNの座談会(の文章)が
公式サイトにたっぷり載っていますので、小説と合わせてお楽しみください。
住野さんのTHE BACK HORN愛があふれている…というか漏れすぎです。(笑)

◎公式サイトは コチラ

で。

肝心の小説はどんなお話なのかと言いますと、
超こじらせ男子の物語です。(笑)

男子高校生のカヤは、自分も周りもつまらない人間ばかりだと思い、
人と群れることはせず、ほぼ一人で退屈な日々を過ごしています。

夜になると、もう使われていない古いバス停まで歩き、
待合室でほんのひととき過ごします。
自分の部屋にいても心配されるだけだし、
家族団らんなんて面倒だから、という理由で。

そんなある日の深夜、バス停で謎の少女チカに出会います。
少女と言っても、チカは爪と目だけしか見えません。
でも、声は聞こえるし会話もできる。
また、実際には見えないけれど体に触れることもできます。

どうやらチカは、カヤとは異なる世界に住んでいる少女のようなのでした。

それまで退屈な日々を送っていたカヤでしたが、
深夜のバス停で不思議な少女と交流していくうちに、気持ちにも変化が生じます。

誰かがただいてくれるだけで幸せだと感じたり、
自分の素直な気持ちを言葉にできたり。

二人のやり取りが初々しくて何度もキュン♪としました。

ちなみに、男子高校生と不思議な少女の物語ということは、
10代向けの本なのかな、と思われそうですが、そんなことはありません。

なんなら大人のほうがより心に響くかも。

というのも、後半は少女と出会って15年後のカヤの物語なのです。
この30代のカヤが、相変わらずこじらせています。(笑)

本当は言いたいことがたくさんあるのだけれど、
感想を言うとネタバレになってしまうのです。ああ、もどかしい。
でも、自分のことをややこじらせ気味だなと思う方は、
この本を読むことで少し楽になるかも。

さて、カヤとチカはその後どうなったのでしょう?

気になる方は、ぜひ小説をお読みください。
それも、THE BACK HORNの曲を聴きながら♪

私は、本を読み終えた後に、あらためて曲を聴いてみたのですが、
まるで映画のエンドロールのような気分で作品の余韻に浸れました。

ぜひ秋の夜長は、音楽を聴きながらの読書をお楽しみください。

yukikotajima 9:30 am

『口福のレシピ』

2020年9月30日

あなたはスーパーマーケットに行くのは好きですか?

私は料理はそれほど得意ではないものの、行くのは好きです。
旅行先でも地元のスーパーに立ち寄っています。
その土地ならではの食材やお惣菜に出合えるのが楽しいのです。

今日ご紹介する本は、スーパーマーケットが大好きな女性の物語です。
彼女にとってスーパーは「町のテーマパーク」で、
疲れた日でも、スーパーに寄って帰ろうと考えるだけで足が軽くなるほどです。

『口福のレシピ/原田ひ香(小学館)』


著者の原田さんと言いますと、
以前『三千円の使いかた』という小説をラジオでご紹介しました。

◎私の感想は コチラ

ある家族の、お金にまつわる連作短編集なのですが、
物語の面白さはもちろん、お金の勉強もできた一冊でした。

この本を読んでから、家にある食材を使い切ってから新しい食材を買う、
という考えが身に付きました。

今回ご紹介する『口福のレシピ』も真似してみよう!と思えるような
タメになる話題が満載の小説でした。

ちなみに、私が早速実践したいと思ったのは、本のタイトルにもある「レシピ」です。

この本には、たくさんの美味しそうな料理が登場します。
合わせてお酒も色々と出てきまして、
ああ、本の世界に入りたい!と何度思ったことか。(笑)

しかも出てくる料理が、料理が得意でない私でも作れそうなものばかりなのです。
主人公の留希子(るきこ)は、忙しい女性たちを助けたいと、
簡単で美味しい献立レシピをSNSで発信しています。

例えば、鯛の頭の骨酒は、
アラとして売られている鯛の頭に軽く塩を振って、半日以上干して、
からりと焼いて熱燗に浸すだけです。
なんと、ふぐのひれに勝るとも劣らないのだとか。
うー。飲みたい!

彼女は、友人と二人暮らしをしているのですが、
実家は、江戸時代から続く古い家柄で、
老舗料理学校「品川料理学園」を経営しています。

しかし、実家との関係はあまり良くなく、
料理学校の後継者になるのは嫌だー!と家を出てしまったのです。
とは言え、料理をすることは好きで、
料理研究家としてSNSの発信をメインに活動しています。

そしてそして。

この小説は昭和二年の料理学校の物語も同時に進行していきます。
主人公は、女中奉公に来て半年のしずえです。

この二つの物語がどう交わっていくのかは、
ぜひ本のページをめくりながら楽しんでください。

***

今回の作品も面白かったです。

たくさんの美味しそうな料理の描写をメインに、
留希子と実家の関係や、しずえの秘密などが描かれた、
様々な楽しみ方ができる一冊でした。

また、留希子が一緒に暮らす友人とのやり取り楽しかったです。

この友人が、料理がそれほど得意ではないけれど、お酒も食べることも好き、
という私のような人だったので、彼女の発言には大いに共感。

例えば、留希子がSNSで発信するための1週間分の簡単レシピを考えている時に、
最後の日は余った食材で適当に作ってもらえばいいよね!と言ったのに対し、
友人は「あなたは、残り物を玉子焼きに入れればスペイン風オムレツになるけど、
私は、ぺちゃっとしたきったない残飯玉子ができるだけ」と反論します。

わーかーるー!(笑)

そんな二人のやり取りも楽しかったです。

それから、本を読み終えた後、ぜひ本のカバーを外してみてください。
あ、これは・・・と気付くはずです。

ああ、こうやって感想を書いているだけでお腹が空いてきたわ。(笑)
とにかくお腹が空く小説であることに間違いはありません!
食欲の秋にこそおすすめの一冊です。
ぜひお読みください。


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

ドン・ヒラノブックカバーフェア

10月11日(水)まで、和の模様や動物の可愛らしい刺繍が好評の
ドン・ヒラノブックカバーのフェアを開催中です。

種類も豊富で、プレゼントとしてもオススメです。

◎フェアの詳細は コチラ


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:53 am

『あなたのご希望の条件は』

2020年9月23日

今年はコロナによって様々なことが大きく変わりました。
中には、このまま今の仕事を続けるべきか、、、
と転職を考えている方もいるかもしれません。

でも。
今の仕事以外にできることなんてあるのか。
何が自分に向いているのか。
そもそも自分は何をしたいのか。

と様々な不安を感じ、なかなか前に進めないという方もいると思います。
そんな方は、この本を読んでみてはいかがでしょう?

今日ご紹介する本は、「転職」を希望する方たちの物語です。

『あなたのご希望の条件は/瀧羽 麻子(たきわ・あさこ)【祥伝社】』


主人公は、転職エージェントに勤める
四十歳のキャリアアドバイザーの女性、千葉香澄(かすみ)です。

彼女の仕事は、転職希望者と人材を募集している企業の間に立って
転職活動を応援することです。
具体的には、求人の紹介のほか、
履歴書の内容や面接の受け答えの助言などをしています。

また、この転職エージェントでは、
ソフィアという名の非常に高性能の対話型AIを活用し、
それぞれの転職希望者にあった求人を見つけています。

ソフィアは、理屈っぽくて冗談が通じないものの、聡明で頼りになることから
人工知能でありながらも、社内では同僚のように扱われています。

香澄もソフィアを活用しながら転職希望者の皆さんの相談に乗ります。

彼女のもとには、
とにかく営業以外の仕事がしたい人、
勤め先が倒産した人
上司に不満がある人、
夫の転勤にともない転職したい人など
様々な人がやってきます。

この小説は、そんな香澄の仕事をメインに
彼女自身のプライベートも描かれます。

香澄は一人暮らしで、夕飯はほぼ一人で外食をしています。
実は過去に一度結婚をしたものの離婚をし、
同時に以前勤めていた会社を辞めています。
そして転職をして今の仕事に就いています。

彼女はなぜ離婚し、転職したのか。
その理由も徐々に明らかになっていきます。

彼女は仕事ができる人です。
でも、自分のこととなると、
問題と向き合おうとしないところがあるのです。

この小説は、そんな彼女自身の物語でもあります。

香澄は決して目立つタイプではありません。
どちらかといえば地味なほうです。

地味な人の物語なんて面白いの?
と思う方もいるかもしれませんが、作品は大変面白かったです。
転職希望者も実際にいそうな人たちばかりなので、
フィクションと言う気がしませんでした。
身近な人達の出来事として読めました。

また、勉強にもなりました。

もし自分が転職するなら、と思って読んでみたのですが、
香澄の対応が素晴らしいのです。

相手の話を遮ることなく、しっかり聞いた上で、
ベストなタイミングで的確なアドバイスをします。
例えば、営業の仕事だけはしたくない、と
営業の求人には見向きもしない男性に対して、
香澄は、あえて営業の仕事をすすめます。
そこにはちゃんとした理由があるのですが、
香澄は相手の心を開かせるのがうまいのです。

私も本を読みながら、相談相手の心がふわっと軽くなるのが何度もわかりました。
だって私自身がそうだったのですもの。
まるで自分自身が転職希望者のような気持ちでした。

転職希望者の皆さんは、
私が好きなのはこういう仕事だったのか、とか
自分が思う「仕事のやりがい」とはそいうことなのか、などと
香澄によって、自分の新たな一面を気付かされます。
私も香澄に気付かされたいわ!

アナウンサーの仕事も人の話を聞くことなので、
香澄の仕事への取り組み方は大変勉強になりました。

本の帯に「働くすべての人へ贈る、人生応援小説」とある通り、
確かに読んだ後、元気になりました。

まさに、働く皆さんに読んでいただきたい一冊です。

それから、この本、登場人物の名前の付け方に遊び心があるのが楽しかったです。
ぜひ名前にも注目して読んでみてください。


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yukikotajima 9:57 am

『全国“オンリーワン”路線バスの旅』

2020年9月17日

ここ何年も「バス旅」の番組が人気です。

太川陽介さんと蛭子能収さんコンビによる旅番組
「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」のヒット以降、
様々なバス旅番組が作られています。

番組を見て、路線バスに興味を持って
バス旅をしたことのある方もいるかもしれません。

今日は、そんなバス旅好きの方におすすめの本をご紹介します。
この本を読むと、きっと路線バスの旅をしたくなると思います。

『全国“オンリーワン”路線バスの旅
/宮武 和多哉(みやたけ・わたや)【イカロス出版】』


著者の宮武さんは、旅行・乗りものライターで、
全国47都道府県の1500路線以上の路線バスに乗車しているそうです。
なんと、稚内から与那国までの路線バスの乗り継ぎを達成しているのだとか。

この本では、日本中の路線バスに乗った宮武さんが
特に印象に残った路線を紹介しています。

本のタイトルに「オンリーワン」とあるとおり、
どの路線バスにも他には無い特徴があります。

例えば、鹿児島にはバスごとフェリーに乗船するという
海を渡る路線バスがあるそうです。

フェリー航行中は、バスから降りて
甲板から桜島を眺めたり、フェリーの名物うどんを食べたりして
のんびり過ごせるのだとか。

宮古島ではレンタカーよりバス旅のほうがオススメなんですって。
バスなら自分でハンドルを握らないので、
「宮古ブルー」の青い海を思う存分楽しめるそうです。

たしかにバス旅なら、外の景色を堪能できますよね。

また、富山県の路線バスも登場します。
県境の街、氷見市脇でのバス乗り継ぎの話題が取り上げられています。
詳しくは、本を読んでください♪

この本は、読んでいるだけでバス旅気分を味わえるのですが、
それだけでなく、お腹も減ります。
本に出てくる路線バスグルメが美味しそうなのです。
駅弁ならぬ、バス弁もあるんですって。

富山から近いところですと、
岐阜の平湯温泉バスターミナル内のレストラン
でバス弁を作っているそうですよ。
いつか食べてみたい〜!

これまでバスは目的地に行くための移動手段の一つとして利用してきましたが、
この本を読んで、様々なバスがあることを知って、
バスに乗ることを目的にする旅も楽しそうだと思いました。

『全国“オンリーワン”路線バスの旅』は、
そんなバス旅の予習ができるのはもちろん、
何より本を読みながらバス旅気分が味わえます。
本のページをめくりながらの妄想バス旅をお楽しみください♪

yukikotajima 9:33 am

『日本地図ドリル』

2020年9月16日

最近、クイズ番組が人気ですよね。
テレビを見ながら一緒にクイズをして楽しんでいる方もいると思います。

クイズ好きの方は、このドリルにチャレンジしてみては?

『脳スッキリ!教室 日本地図ドリル/朝日新聞出版』

こちらは、紀伊國屋書店富山店奥野晃英さんの推薦本です。
まずは、奥野さんのオススメコメントです。

***

紀伊國屋書店富山店で、老若男女問わず、爆発的に売れている一冊です。

日本地図を眺めながら、
人物、地理、歴史といったシンプルな問題から
B級グルメ、難読地名のような難問まで
54のテーマで743問楽しめます。

一人で頭の体操に、家族でワイワイガヤガヤと、
様々な楽しみ方が出来る一冊です。是非ご覧ください。

***

このドリルは、地図と写真と時事ネタで構成されていて、第5章まであります。

第1章「今がわかる! 地図で見る日本のニュース」

第2章「意外とむずかしい 日本のキホン地理」

第3章「一度は訪れたい! 日本の自然と名所スポット」

第4章「日本の伝統文化とご当地自慢」

第5章「なんでもおもしろ日本一」


例えば、どんな質問があるのか、いくつか出してみますね。


◎富山出身で、令和元年の大相撲夏場所で初優勝を飾った力士は?

富山の方なら、すぐにわかりますよね?

正解は、朝乃山です。


◎レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」の作品が有名な

現代美術をたのしめる美術館と言えば?

正解は、お隣石川県の金沢21世紀美術館です。
プールの中に人がいるように見える、あの有名な作品です。


◎読書が好きなのは何県でしょう?

学生が多く、古本屋はもちろん、ユニークな小さな書店が数多くある県です。

正解は、京都府です。

どうですか?全問正解できましたか?
こんな感じで質問は多岐にわたりますので、飽きることなく楽しめます。

ちなみに、私が一番真剣に取り組んだのは、
第2章の「一番基本の地図クイズ!都道府県名とその位置」の問題です。

これは楽勝でしょう!と思いながら取り組んだものの、
あれ?どっちだっけ?と迷う県もありまして…。(どこの県かは秘密)
全問正解したときには、本のタイトル通り、スッキリ!
達成感がありました。

でも、答えられない問題も結構ありました。
中には、知っているのに正式名称が出てこないものもあって、
ついスマホで調べたくなるのを我慢しながら問題を解いていきました。
日々どれだけスマホに頼っていることか…。

このドリルの問題を完璧に答えられるようになったら、
日本についての基礎知識はかなり学べると思います。

書き込み式ですので、一人でもくもくと取り組むのもいいでしょうし、
家族で問題を出し合うのも楽しいと思います。

4連休は、おうちでこのドリルにチャンレンジしてみては?

なお、こちらのドリルシリーズには世界版もありますので、
セットでお楽しみください。


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

現在、店内中央イベントコーナーでは、様々なフェアを開催中です。

化石・鉱物フェア

来週の火曜日、9月22日まで、毎年好評の化石・鉱物フェアを開催中です。
アンモナイトなどの化石に水晶、貴重な鉱物まで勢ぞろいしています。
是非、本物を手に取ってご覧下さい。


ドン・ヒラノブックカバーフェア

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営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:30 am

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』

2020年9月9日

「赤ずきん」はご存じですよね?
祖母の家で祖母に成りすました狼に食べられてしまうというお話です。

今日ご紹介するのは、赤ずきんが様々な事件を解決していく物語です。
なんと赤ずきんは名探偵だったのです!

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
/青柳碧人(あおやぎ・あいと)【双葉社】』


この本は、去年発売され、15万部以上の売り上げとなった話題作
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の第2弾です。

◎『むかしむかし〜』の田島の感想は コチラ

第1弾は、「浦島太郎」や「桃太郎」といったおなじみの「日本昔ばなし」に
ミステリ要素が加わった短編集でしたが、
今回は、西洋の童話がベースの連作短編ミステリです。

クッキーとワインを持って旅に出た赤ずきんが
旅の途中で様々な事件に遭遇します。

事件は「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの少女」
といった誰もがよく知る童話の登場人物たちの周りでおきます。

赤ずきんが出会ったばかりのシンデレラとともに
カボチャの馬車でお城に向かっていたら
途中で男をひき殺してしまったり、
なかなか帰ってこないヘンゼルとグレーテルのお母さんを探しに
兄妹と一緒にお菓子の家に行ってみれば、お母さんはそこで亡くなっていたりと
赤ずきんは行く先々で「死体」と出会います。

そして、赤ずきんがこれらの事件を解決していきます。

連作短編集ですので、一話ずつ楽しめるのはもちろん、
最後には、赤ずきんが旅をしていた理由も明らかになり…
という本格ミステリです。

本の表紙が前作に続き、人気イラストレーターの
五月女(そおとめ)ケイ子さんのシュールなタッチのイラストなので、
ゆる〜いお話を想像される方もいるかもしれませんが、
童話がベースとはいえ、内容は大人向けです。
ですから、おなじみの童話をイメージして読むと、間違いなく裏切られます。(笑)

例えば、「マッチ売りの少女」は、もともとは涙無しには読めないお話ですが、
この物語で赤ずきんが出会うのは、マッチ会社の社長になった少女なんですよ。
まあ、マッチを売っている少女に違いはありませんが。

前作のファンの方はもちろん、前作は未読という方も楽しめると思います。
赤ずきんは、どのように事件を解決し、なぜ旅を続けるのか、
ぜひ本を開いて確かめてみてください。


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

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化石・鉱物フェア

9月22日(火)まで、毎年好評の化石・鉱物フェアを開催中です。
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10月11日(水)まで、和の模様や動物の可愛らしい刺繍が好評の
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<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:48 am

『スキマワラシ』

2020年9月2日

最近、怖い話が人気のようで、
映画をはじめ、テレビやネットでもそういった話題をよく目にします。

今日ご紹介する本にも不思議な少女が出てきます。

『スキマワラシ/恩田陸(集英社)』


紀伊國屋書店富山店の奥野晃英さんの推薦本です。
まずは、奥野さんの推薦コメントです。

✴︎✴︎✴︎

古道具屋を営む兄と、不思議な力を持つ弟。

今は亡き両親の面影を追って古い「タイル」を探す二人は、
ビルの解体現場に現れる「ザシキワラシ」ならぬ
「ビル童子(ワラシ)」の話を耳にします。
誰もが姿は見るものの顔は知らないという、
不思議な少女を巡る物語が始まります。

夏の青空の表紙が目印の本作は、
当店エスカレーター前の新刊台で展開しています。

✴︎✴︎✴︎

恩田陸さんと言いますと、
2017年に『蜜蜂と遠雷』が直木賞と本屋大賞を受賞し、
映画化もされるなど話題となりました。

また、子どもの頃、富山で過ごされたこともある
富山にゆかりのある作家さんです。

新作の『スキマワラシ』は、
2018年から19年にかけて北日本新聞で連載されていましたので、
お読みになっていた方もいるのでは?
そんな方は是非感想をお寄せください。

この本は、古道具屋を営む兄と、
兄の仕事を手伝いながら夜は古道具屋の店内でバーをしている弟が、
謎に巻き込まれていくファンタジックミステリーです。

物語は、弟の視点で進んでいきます。
ラジオのように話しかけるスタイルの一人喋りなので、
本を読むというより、人の話を聞いている感覚でした。

次はどんなことがあったの?ねえねえ早く聞かせてよ!
という感じで本のページをめくっていきました。

実はこの弟には不思議な能力があります。
古いものに触れると過去が見えるのです。

中でも古いタイルを触れた時に見えた光景が気になり、
兄とともに古いタイルを探しはじめます。

古道具屋で働く二人は、仕事柄、古い建物の解体現場に
よく足を運んでいるのですが、その際、こっそり古いタイルも探しています。

ある日二人は、建物の解体現場でたびたび目撃される少女の噂を耳にします。
でも、少女を見たことがあっても、誰も顔は見たことはありません。
いったい彼女は何者なのか…。

古いタイルに少女と謎が増えていく中、
兄弟は一人の芸術家の女性に出会い、
とある地方都市のアートフェスティバルに共に参加することになります。

そして、物語が大きく動き出します。

✴︎✴︎✴︎

500ページ近くもある長編ですが、長さを感じることなく楽しめました。
ファンタジーというより、
謎を追っていくミステリーとしての面白さが際立っていて、
夢中で本のページをめくり続けました。

また、この本、兄弟二人の会話がいいのです。
この二人がとても魅力的です。

本の表紙も夏の青空が広がり爽やかです。
ただ、本の帯には、

誰もがその子を「見た」と言う。
でも、その顔は誰も知らない

とあり、怖そうな気配が漂っているのですが。。。

でも、怖い話は苦手…という方でも大丈夫です!
まあ、それなりにドキドキ感はありますが。(笑)

この夏どこにも出かけられず、
心が大きく動くような刺激も無く、
ただ、なんとなく夏が終わってしまった…
という方は『スキマワラシ』を読んでみては?

様々なドキドキのほか、
物語の後半に登場するアートフェスティバルが
ちょうど今の時期の開催ということもあり、
まるで自分もフェスに関わったかのような気分が味わえるのも良かったです。

やはり恩田陸さんの作品はページをめくるのが楽しくて好きだ!


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

現在、店内中央イベントコーナーでは、様々なフェアを開催中です。

化石・鉱物フェア


9月22日(火)まで毎年好評の化石・鉱物フェアを開催しています。
アンモナイトなどの化石に水晶、貴重な鉱物まで勢ぞろいしています。
是非、本物を手に取ってご覧下さい。


ドン・ヒラノブックカバーフェア


10月11日(水)まで和の模様や動物の可愛らしい刺繍が好評の
ドン・ヒラノブックカバーのフェアを開催しています。

種類も豊富で、プレゼントとしてもオススメです。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:03 am

『日本の天井 時代を変えた「第一号」の女たち』

2020年8月26日

今や、様々な分野で女性たちが活躍していますが、
少し前までは、女性が男性と同じように仕事をするのは、本当に大変なことでした。

でも、道なき道を歩んで道を作ってくださった「第一号」の女性たちのおかげで、
私たち女性は以前より自由に生きることができるようになりました。

今日ご紹介する本は、多くの皆さんに読んで頂きたい一冊です。

『日本の天井 時代を変えた「第一号」の女たち/石井妙子(角川書店)』


石井妙子さんは、『女帝 小池百合子』の著者です。
私は読んでいませんが、20万部のベストセラーになっているようですね。

『日本の天井』は、『女帝』より前の去年、発売されています。

『日本の天井 時代を変えた「第一号」の女たち』は、
まさにタイトルのとおり、様々な分野で第一号になった女性7人が紹介されています。

7人はこの方たちです。

女性初の一部上場企業役員となった、高島屋取締役の石原一子さん。
石原さんのルーツは富山県です。両親ともに高岡の出身です。

囲碁界で女性初の高段者となった棋士、杉内壽子さん。
妹二人も囲碁棋士で「本田三姉妹」として知られています。

男女雇用機会均等法を推し進めた、労働省初代婦人局長の赤松良子さん。
現代の女性たちのための道を作ってくださったのが赤松さんです!

登山家でエベレスト登頂を成し遂げた、田部井淳子さん。
女性登山愛好家の第一人者で、男社会であった山岳会に風穴を開けました。

『ベルサイユのばら』で歴史漫画を女性で初めて成功させた、池田理代子さん。
47歳で東京音楽大学に入学し、卒業後はソプラノ歌手としても活躍しています。

NHKアナウンサーで女性初のアナウンス室長になり定年まで勤め上げた山根基世さん。
最近は、ドラマ『半沢直樹』のナレーションでもおなじみです。

女性初の真打となった、落語家の三遊亭歌る多さん。
落語協会の理事でもあります。

以上、7名の女性たちが紹介されているのですが、何名の女性をご存じでしたか?

この本、大変素晴らしい本でした。

今よりもっと女性の立場が弱かった時代に、
理不尽な仕打ちを受けながらも負けずに
闘ってきた女性たちのなんとかっこいいことか。

それに比べ、ちょっとしたことに傷ついたり怒ったりしている
自分の器の小ささよ。。。

感動したり、反省したり、ずっと心が動かされ続けました。
いいなと思うところに付箋を貼ったら付箋だらけになってしまったほどです。

全員素晴らしかったですが、
高島屋取締役になった石原さんの生き方が特に印象に残りました。

石原さんは戦争で身にしみてわかったことがあるそうです。
それは、財産は簡単に失うけど、一度身につけた知識までは奪われないと。
だから、たくさん学んだそうです。

また、男性を毛嫌いするのではなく、
男社会の中に、仲間として受け入れられることが大事だと思い、
男性の心理を知るようにしたのだとか。
媚びるのではなく、あくまでも対等でいるために。

女性初の真打となった、落語家の三遊亭歌る多さんも
対等であることをのぞみ続けました。

歌る多さんの場合は、逆に、女というだけで優遇されるのではなく、
本当にその地位に値する人物を選んでほしい、とおっしゃいます。

初の女性ということで注目されたとしても
失敗すると「これだから女性は…」と言われてしまいますしね。

そして、これが大事なことなのだけど、
第一号の女性たちは、一人で成功したわけではありません。
仲間の女性たちのほか、ご主人も理解のある方が多いことが印象に残りました。
やはり何かを成し遂げるためには、理解者が必要なのですよね。

他にもいいと感じたところを挙げていったら止まりそうにないので、
是非この続きは、本のページをめくってください。

この本には、大切なことがたくさん詰まっていますので、
女性の方はもちろん、女性と働く機会の多い男性の皆さんも是非!

ちなみに、この本は、富山出身の作家、山内マリコさんから教えていただきました。

今週金曜の『オッケイトーク』では、
山内さんもこの本を取り上げるそうですので、
山内さんの熱いトークもお楽しみに〜♪

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「鬼滅の刃」特別グッズコーナー

大ブームを巻き起こしている『鬼滅の刃』グッズ
を一堂に集めた特別コーナーを展開中です。

コミック全巻は勿論、カッコイイものから可愛いものまで
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◎鬼滅の刃コーナーの詳細は コチラ


「紀伊國屋書店オリジナルトートバッグ」販売中


7月1日からのレジ袋有料化に伴い、
買い物用トートバッグが生活必需品となりました。

紀伊國屋書店にもオリジナルのトートバッグがあります。色は5種類です。
また、以前から販売している白のトートバッグも再入荷しました。


夏の自由研究フェア


今年も自由研究で楽しめる書籍・キットフェアを開催中です。

工作や実験、お菓子作りの本まで
お家でも出来て、家族でも楽しめるものが勢ぞろいしています。

一度しかない夏、ご家族の皆さんで笑顔になれる一冊を探してみませんか?
こちらは8月末までの開催です。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:00 am

『首里の馬』

2020年8月19日

今日ご紹介する本は、ここ富山で今大人気となっている小説です。

紀伊國屋書店富山店の奥野晃英さんのおすすめ本です。

『首里の馬/高山羽根子(新潮社)』

まずは、奥野さんの推薦コメントです。

***

第163回の芥川賞を受賞した『首里の馬』は、
作者の高山羽根子さんが富山県生まれということもあり、
今年の夏、非常に注目されている1冊です。

沖縄のとある資料館で資料の整理をする女性のもとに
台風の日に1頭の馬がやってきます。

そんな、少し不思議な高山さんの世界を覗いてみませんか。

本作をはじめとした高山さんの書籍の他、
芥川賞同時受賞作の遠野遥さんの『破局』、
第163回直木賞受賞作、馳星周さんの『少年と犬』は、
紀伊國屋書店富山店Aカウンター前の特設コーナーで展開しています。

***

富山で今大人気となっているようですので
すでに『首里の馬』をお読みになった方もいらっしゃるのでは?
そんな方はぜひgrace宛に感想をお寄せください♪

簡単にどんなお話なのかご紹介しましょう。
主人公は、沖縄で一人暮らしをしている20代半ばの未名子(みなこ)です。

彼女は、沖縄の古びた郷土資料館で
中学生の頃から資料の整理を手伝っています。
と言ってもお金をもらっているわけではなく、仕事は別にあります。

オンライン通話でクイズを出題するのが彼女の仕事です。
クイズに答えるのは、世界の特殊な場所にいる孤独な人たち。
皆、外国に住んでいますが、日本語が喋れます。

クイズの仕事に資料館での整理という
変わらぬ日々を過ごしていた未名子でしたが、
ある台風の夜、家の庭に馬が迷い込んだことで
彼女の日常に変化が生じるという物語なのですが…

みなさーん、ついてきてますか?(笑)

この小説、設定がかなり独特なのです。

なんと言っても気になるなのは、オンラインクイズの仕事かなと。

正式名称は「孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有」で、
クイズの正解数よりも通信相手の精神や知性の安定を確認するのが目的なんだとか。

だいぶ表現が硬くてわかりにくいですが、
つまり、オンラインクイズは、解答者の精神的ケアとして行われているのです。

この、オンラインでクイズを出すというのが、
今のコロナ禍ではとてもタイムリーです。

実際はコロナ以前に執筆されたようですので、
コロナを意識されたわけでは無いようですが、
今こんな状況だからこそ、より共感できるものがありました。

コロナ以降、遠くにいる人となかなか会えず、
オンラインでの繋がりが中心になっている方も多いのでは?
そして、たとえオンラインでも人と交流することで、
癒されたり元気になったりしているのでは?
私もまさにそんな一人です。

未名子はクイズの仕事のない日は、郷土資料館で資料の整理をしています。
でもこの資料館も訳ありでして、お客様に見てもらうためのものではなく、
あくまでも、ある高齢女性がこれまで集めた資料が保存されているだけなのです。
しかもこの女性、県外から来ていることもあり、
地元の人たちからは気味悪がられています。

確かに知らない人が自分たちの住む町のことを調べていたら、
誰でも警戒すると思います。

そして、この物語でもう一つ不思議なのが、彼女の前に突然現れる馬です。
馬の出現により彼女の日常が変化していくのですが、
この先は、ぜひ本をお読みください。

芥川賞受賞作というと難しそう…と思う方もいるかもしれませんが、
この本はとても読みやすかったですよ。
まあ、設定は不思議な気配がプンプン漂っていますが。(笑)

また、物語としての面白さはもちろんのこと、
戦争も含めた沖縄の過去について知ることができたのも良かったです。

色々な意味で読み応えのある一冊でした。


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yukikotajima 11:07 am

『小説伊勢物語 業平』

2020年8月12日

在原業平(ありわらのなりひら)というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。

例えば…

・平安時代の歌人

・伊勢物語の主人公とされる人

・映画化もされた漫画「ちはやふる」で注目された歌
「ちはやぶる神代(かみよ)もきかず龍田川(たつたがわ)
唐紅(からくれない)に水くくるとは」の作者

・容姿端麗で恋多き人

といった印象をお持ちの方が多いでしょうか。

今日ご紹介する本は、業平が主人公の物語
『小説伊勢物語 業平/髙樹 のぶ子(日本経済新聞出版)』です。

伊勢物語は、百二十五章段からなる平安時代の歌物語で、
在原業平が主人公とされており、源氏物語にも影響を与えたと言われています。

この本は、小説です。
著者の髙樹さんによると、
現代語訳ではなく小説化で人物を蘇らせたいと思ったのだとか。
そして、小説化にあたり、百二十五章段をシャッフルして取捨選択し、
時間軸の糸を通しながら物語にしていったそうです。

私が本屋さんでこの本を目にしたときの第一印象は、
450ページをこえる本の厚みとタイトルだけのシンプルな装丁に、
学生時代の教科書や参考書が思い出され「なんだか難しそう」でしたが、
そういえば伊勢物語ってちゃんと読んだことないなと思い、
よし。チャレンジしてみるか!と気合いを入れて読み始めました。

ですが、難しそうという印象は一瞬で消えました。
だって、面白かったのですもの!
それに読みやすくて、物語の世界に一気に入り込めました。

言い回しは今どきの言葉で無いものもあるけれど、意味はわかるので問題ありません。

何より言葉の響きが美しくて、雅。
リズミカルに言葉が紡ぎ出され、なんとも心地いいのです。
また、色や音、香りも鮮やかに感じられます。

髙樹さんは、今回、小説の文体にかなりこだわったそうです。
確かに独特の心地よさがありました。

この感覚は、ぜひ読んで味わって頂きたい!

伊勢物語は、在原業平の一代記ですが、
簡単に言うなら、業平が恋した女性たちについて書かれた物語です。

業平は次々に恋をしていきます。
時には、恋をしてはいけない人に惹かれてしまうことも。

見た目も良くて女性にモテまくりって、
まるで光源氏のようではないか!と思ったのですが、
そもそも源氏物語は伊勢物語に影響を受けているので、
光源氏が業平のようだ、と言うのが正しいか。

業平は恋をすると、自分の気持ちを歌にします。
よくもまあ、次々に歌が作れるものだわ、と思ってしまうのですが、
業平にとって歌は特別なのもので、自らの歌が薬になって癒してくれるのだとか。

あふれんばかりの思いを歌にすることで、
自分自身の心を落ち着かせているのですね。

これは今の時代なら、自分の思いをSNSにつぶやくようなものなのかも。

でも、ストレートな表現が多い現代とは違って、
平安時代は、一つの言葉に複数の意味があって複雑です。
秋は飽きとか、宇津の山の「宇津」は現(うつつ)とか。

でも、この本は、歌がそのまま小説になっていますので、ちゃんと意味がわかります。

そういう意味でもこの本は、学生の皆さんにもおすすめです。
私は、学生時代に漫画「あさきゆめみし」で源氏物語を学びましたが、
伊勢物語は、この本を読めば楽しみながら学ぶことができると思います。

もちろん、大人の皆さんもぜひ。

1000年以上前から読み継がれている恋物語は、
やはり今読んでも面白いものですね。

それにしても、平安時代の人たちはよく泣くなあと思いました。
女性だけでなく男性も袖を濡らしてばかりなのです。
業平も泣きっぱなしです。
悲しい時、嬉しい時、感動した時、涙を流します。

でも、それだけ感受性豊かで心に正直ということなのでしょうね。
だから次々に歌も作れたわけですものね。

『小説伊勢物語 業平』、大変面白かったです。

今年の夏休みは平安時代にタイムスリップしてみませんか?


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yukikotajima 10:56 am

『一人称単数』

2020年8月5日

先日、紀伊國屋書店富山店で書店員の方に今どの本が人気かお聞きしたところ、
先日芥川賞を受賞された富山生まれの高山羽根子さんの『首里の馬』と
やはり、こちらですねーと教えて頂いたのが、
村上春樹さんの新作『一人称単数(文藝春秋)』でした。

表紙が青と緑に白の帯なので、
本が並ぶ一帯が大変爽やかな雰囲気になっていました。

今日は、紀伊國屋書店富山店の奥野晃英さんのオススメ本です。
まずは、奥野さんのコメントです。

***

日本だけで無く、世界中で話題となる
村上春樹さんの新作『一人称単数』が発売されました。
短篇小説集としては『女のいない男たち』から6年ぶり、
小説は『騎士団長殺し』から3年ぶりの刊行です。

8人の「僕」「私」が紡ぎ出す精緻な8作の短編集です。
皆さんも新しい村上春樹ワールドに浸ってみませんか?
ただ今、当店新刊台で好評発売中です

***

『一人称単数』は、8つのお話が収録された短編集です。

最初のお話の一行目から春樹節全開で、思わずニヤリとしてしまいました。
また、読み進めるうちに、これは村上春樹さんのエッセイなのでは?と思えてきました。
どのお話もまるで村上春樹さんが体験した不思議な出来事を
こっそり明かすかのような内容なのです。

例えば、群馬の小さな温泉宿に泊まった時のお話は、
その宿で働く猿とのやりとりが描かれています。
風呂場では猿に背中を流してもらい、風呂上りには一緒にビールを飲みます。

猿が働いていることにもびっくりですが、
なんとこの猿、人間と同じように喋れるのです。

また、ジャズミュージシャンのチャーリー・パーカーが生き延びて
ボサノヴァ音楽に興味を持ち、もしそれを演奏していたら…
と想定して架空のレコード批評を書いた男性の物語もあります。
彼はある日、ニューヨークの中古レコード店で、あるわけのないレコードを見つけます。

と言ったちょっと不思議な物語が8つ収録されています。

どれも短いお話なので一気に読めてしまいますが、
毎晩一話ずつ楽しんでいくのもいいかもしれません。

とても読みやすい短編集ですので、
村上春樹さんの作品はちょっと難しそう…
と思っている方もよかったら読んでみてください。


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『木になった亜沙』

2020年7月29日

生まれ変わったら、あなたは何になりたいですか?
人以外なら、何がいいでしょうか。

今日ご紹介する本は、
生まれ変わったら「木」になりたいと願った女性の物語の他、
3つのお話が収録された短編集です。

『木になった亜沙(あさ)/今村夏子(文藝春秋)』


今村夏子さんと言いますと、去年の夏に
『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞し、注目を浴びました。

新作には、3つの短編が収録されています。

表題作の「木になった亜沙」の「亜沙」は女性の名前で、
タイトル通り、木になった女性の物語です。

亜沙は、なぜ木になったのか?

彼女は子どもの頃から、自分の手で渡した食べ物を誰にも食べてもらえませんでした。

彼女には、タイミングが悪かったり
良かれと思ってしたことが裏目に出てしまったりするところがあるのです。
例えば、相手が苦手なのを知らずに手作りクッキープレゼントをしてしまうような。

でも、理由なんて無くても結局、誰も食べてくれないのですが。
だって学校で飼っている金魚ですら、エサを食べてくれないのですから。

そんなある日、彼女はスノーボードをしていたところ、木にぶつかってしまいます。
目を開けるとタヌキがいて、木から落ちた甘い実を食べていました。
その様子を見て、「生まれ変わったら木になりたい」
と思いながら亜沙は人生を終えます。

そして、願いが叶い、木として生まれ変わります。
でも、果物の木ではなく、杉の木に。
結局わりばしになった彼女は、ある若者と出会うのですが、
生まれ変わった彼女は、今度こそ人に食べ物を食べてもらえるのでしょうか。
続きは、本のページをめくってみてください。

***

他には、ドッジボールをはじめ何を投げても
なぜか彼女だけには当たらない「的になった七未(なみ)」
ゴロゴロするのが好きで、歩くのが億劫になり腹這いで生活をしていた女性が
久しぶりに外に出た日のことを描いた「ある夜の思い出」などが収録されています。
ちなみに、『ある夜の思い出』の女性は、腹這いのまま外に出ていきます。

自分が手にした食べ物は誰も食べてくれない女性に
ドッジボールをしても絶対に当たらない女性、
腹這いで町の中をズリズり進む女性など
登場人物はみな独特です。

でも「不思議な話」だけで終わりません。
どれも愛の物語なのです。
それも、ずるさが無い、ピュアで不器用な女性たちの物語です。

私は、この本を読み終えたとき、読後の余韻に懐かしさを感じ、
子どもの頃の昔話を思い出しました。
不思議だけど、夢中になって読んで、そして心に残るような昔話を。

まあ、実際は大人向けの現代のお話なのですけどね。

あなたも毎晩寝る前にでも一話ずつじっくり読んでみては?

***

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筑摩書房ロゴ入りトートバッグを販売!

普段はネット販売のみの「筑摩書房ロゴ入りトートバッグ」を特別に販売しています。
シックな黒のバッグに白のロゴのバッグです。
価格は、1,500円(+税)で、8月末までの期間限定です。
この機会にぜひお求めください。


夏の文庫フェア

今年も毎年恒例の夏に読みたい文庫を一堂に集めたフェアを開催しています。
集英社新潮社KADOKAWAの3出版社の夏にピッタリな文庫が勢ぞろい。

集英社、新潮社の文庫をご購入の方には、可愛いオマケも♪

また、無料の冊子もありますので、ぜひお手にとってみてください。


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