2026年9月23日
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『おでかけアンソロジー 鉄旅・空旅 ときどき、船旅』
今日でシルバーウィークも終わりですね。どんな連休になりましたか。長いお休みが終わってしまって残念と思う方もいるかもしれませんが、秋はこれからです。10月11月にも連休はありますし、さっそく次のお出かけ計画を立ててみてるのはいかがでしょう。それこそ次は電車や飛行機を利用して出かけてみては。
今日は、「旅の移動」がテーマのアンソロジーをご紹介します。
『おでかけアンソロジー 鉄旅・空旅 ときどき、船旅』
だいわ文庫
大人気の読んで旅する「おでかけアンソロジー」シリーズの新作です。ラジオではこれまで『ひとり旅』、『おさんぽ』のアンソロジーをご紹介しましました。(タイトルをクリックすると、過去の私の紹介記事が読めます)
今回は、鉄道や飛行機、船の旅にまつわるエッセイが収録されたアンソロジーです。今まで同様、著者の顔ぶれも豪華です。まず村上春樹さんから始まり、江國香織さん、佐野洋子さん、先週『年とる力』をご紹介した阿川佐和子さん…と挙げていったらキリがありません。そんな人気作家の皆さんによる「旅の移動」がテーマのエッセイが収録されています。
中でも今回は昔のエッセイが多かったので、タイムスリップ気分が味わえました。特に当時を知る人ならではの感覚に触れることができたことが良かったです。
たとえば、林望さんは、列車の窓が開かなくなり、冷暖房完備になったことで鉄道が嫌いになったそうです。林さんは、窓を開けてさまざまな匂いや空気を感じることこそが、鉄道旅の楽しみではないかと言い、佐野洋子さんは、窓から駅弁が買えないことや、見送りの人と窓から手を握れないことを嘆きます。五木寛之さんは、横川の駅ではホームに降りて釜飯弁当を買うことがいいのに、新幹線が開通したら、横川での停車時間も失われ、味気ない旅になりそうだと綴っています。
すっかり快適な新幹線での移動に慣れきっている私からすると、冷暖房完備のほうが嬉しいし、駅弁は駅で買ってから乗ればいいと思ってしまうけれど、五木さんの「味気ない」という言葉は、たしかにその通りかもなと思いました。快適な旅もいいけれど、不便な中にしか味わえないものも、あるのかもしれないなと。
もちろん、今の時代の旅のエッセイも面白かったですよ。たとえば、新幹線の座席を間違えてしまった阿川佐和子さんのエピソードは阿川さんらしい楽しいお話でしたし、片桐はいりさんがヘルシンキで路面電車に乗った時のことを綴ったエッセイは、まるでその場にいるような気分でした。東海林さだおさんの文章も一緒に旅に出ている感覚になりました。東海林さんは、内田百閒の『第一阿房列車』を読んで、自分も〈用事のない旅〉に出てみたいと実際に出かけるのですが、いったいどんな旅になるのかしら?とドキドキしながら楽しめました。
「旅の移動」がテーマですが、著者ごとに視点が異なっているため、飽きることなく最後まで楽しめました。そして私も乗り物に乗ることを楽しむ旅に行きたいと思いました。まずは各駅停車の電車に乗って、のんびり途中下車しながら知らない街を歩いてみようかな。
あなたもこの秋、鉄道や飛行機に乗って旅に出てみませんか。その際はこのアンソロジーをお供にどうぞ。電車や飛行機なら移動中も読めますよ。
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プロフィール
田島 悠紀子
Tajima Yukiko
7月13日生まれ。群馬県出身。
B型。 -
担当番組
・富山ダイハツ オッケイウィークエンド
(毎週土曜 11:00~11:55)・ヨリミチトソラ
(毎週水曜・木曜 16:20~19:00) -
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