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『メイキング・オブ・モータウン』

2020年11月28日

映画『メイキング・オブ・モータウン』を見てきました。

とても良かったです〜!

この映画は、世界の音楽に影響を与え続けている音楽レーベルのモータウンが、
どのようにして始まって、世界に注目されるようになっていったのかが
描かれたドキュメンタリーです。

モータウンは、1959年にベリー・ゴーディによって
アメリカミシガン州デトロイトの一軒家からスタートします。

モータウンから数々の名曲がどのように誕生していったのかが
本人たちの言葉で語られるのが非常に興味深かったですし、
まるで名曲の誕生の瞬間に立ち会っているかのような気分にもなれました。

ジャクソン5のオーディション映像や
子どもの頃のスティービーワンダーのステージに興奮し、
マービン・ゲイの名曲「What’s Going on」は、
音をどのように重ねて作っていったのかが
視覚的に描かれていたことが印象的でした。

この映画は音楽映画でもあり、起業映画でもあります。

小さな音楽レーベルがいかにして世界的に注目されるようになっていったかが、
ひとつの「会社」の成長物語として描かれています。
例えば、創設者のゴーディが以前勤めていた自動車工場で見た車の生産ラインが
モータウンのノウハウに生かされていたりするのです。
また、モータウンでは人種や性別の差別は無く、
有能な人材が活躍できる環境が整っていたのだとか。

そして、この映画の何がいいって、創設者のゴーディと
親友で元モータウンの副社長であるスモーキー・ロビンソンの2人が、
過去を思い出して、あの時はああだった、こうだったと
笑顔で楽しそうに話していることです。

ゴーディ—は今年91歳、スモーキーは今年80歳なのですが、
笑顔のおじいちゃん2人が、とっても楽しそうに
時折ふざけあいながら話をしている様子のなんと微笑ましいことか。
見ているこちらも楽しくなってくるほどでした。

そうそう、この映画は本編が終わってからも立ち上がらず
必ず最後まで見てくださいね。
最後にまたお楽しみが待っていますので!
私は笑いが止まりませんでした。

映画『メイキング・オブ・モータウン』は、
富山では、来週の木曜日、12月3日まで
ジェイマックスシアターとやまで見ることができます。

モータウンのことはよくわからないという方でも大丈夫!
私も詳しくないですが、とても楽しめましたし、
スーパースターたちが身近に感じられ、
今一度名曲の数々を聞きたくなりました♪

◎映画の公式サイトは コチラ

yukikotajima 12:00 pm

『デルタの羊』

2020年11月25日

「アニメ」というと、どんな印象がありますか?

今年はなんといっても鬼滅の刃が大人気で、
熱狂的なファンも大勢いますよね。

日本のアニメは、子どもから大人までを夢中にし、
今や日本だけにとどまらず海外でも人気がありますが、
いったいどのように作られているのか、ご存じですか?

今日ご紹介するのは、今の日本のアニメのリアルを描いた小説です。

『デルタの羊/塩田武士(KADOKAWA)』

塩田さんというと、現在公開中の映画『罪の声』でおなじみです。
また、大泉洋さんを主人公にあてがきした『騙し絵の牙』も来年公開予定です。

◎『騙し絵の牙』の田島の感想は コチラ

もと新聞記者の塩田さんは、
どの作品も徹底的に調べてから書いているのだそうです。
だから塩田さんの作品からはリアルな現場の空気が感じられます。

今回も「日本のアニメ」の現状がよくわかりました。

物語は、アニメ製作プロデューサーの男性が、
SF小説のテレビアニメ化に着手するところから始まります。
しかし業界の抱える課題が次々と浮き彫りとなっていきます。
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…。
なんと早くもコロナ後のことまで描かれています。

アニメ業界には2つの「セイサク」があるそうです。
実際にアニメーションをつくる「制作」と
アニメをビジネスとして成立させる「製作」です。

これら2つの「セイサク」の現場が丁寧に描かれていますので、
私のようにアニメに詳しくない人でも楽しめます。

私はこの本を読んでアニメの見方というか、見え方が変わりました。

これまではストーリーや絵が好きかどうかで見ていたけれど、
キャラクター達の動き、表情など細かいところまで見てみたくなりました。

動きや表情が自然に見えることは、実はすごいことなのですよね。

この本を読みながら私が新人の頃のことを思い出しました。
ニュースの練習をしている時に、先輩の牧内アナから
「上手な人のニュースは、ニュースの内容が自然に頭に入ってくる」
と教わったことを。
上手な人は自然に聞かせられる人のことで、
あえて「うまいなあ」とは思わせない。
でも、下手な人は、すぐにわかるのものだと。

この本の中の、あるベテランアニメーターの言葉も印象に残りました。

ものづくりに携わるものは、本能的に高みを目指すけれども
必ずどこかで線を引かなければならない。
そこから先は「つくり手のエゴ」になる。

まさにプロの言葉だと思いました。

また、このベテランアニメーターは
「表現方法は時代と添い寝する」と言い、
手書きからデジタル作画、そしてCGへと
時代に合わせて描き方を変えているのです。
若手ですら手書きじゃなきゃ嫌だという人がいるのに。

この物語は、アニメの現場を通して
ものづくりとは何か?についても学ぶことができ、
そういう意味でも楽しめました。

でも、私が一番伝えたいのは、
「小説として大変面白かった」ということです。

アニメの世界を描いているとはいえ、この作品は小説です。
そして、文字だけだからこその面白さがありました。

え?そういうことだったの?
と何度驚いたことか。

あなたは読みながら、塩田さんの仕掛けに気付けるかしら?
ふっふっふ。

この本のすごいところは、
最初にページをめくって読み始めたときから
何度も物語の印象が変化していくことです。
ですから、最後まで読んだ人は、きっとまた最初から読みたくなるはず。

大変面白い一冊でした!

正直なことを申しますと、
以前、紀伊國屋書店富山店に行った時に、
小説にお詳しい書店員さんから
今一押しとしてこの本を薦められたのですが、
本の帯の「アニメ」という言葉を見て
「私、アニメのこと詳しくないんですよね…もう少し様子を見ます」
と一度断ってしまったのです。

でも、先日お邪魔した時にも再度薦められまして、
そんなにおっしゃるならと読んでみたわけです。

そしたら大変面白くて、これは確かに薦めたくなる!と納得。
ですから私と同じように「アニメに詳しくない…」という方もぜひ〜。

そして、この本を読んだ方はきっと思うはず。
いつかアニメ化してくれないかなあと。

小説としての面白さはもちろんあったけれど、
アニメ版も見てみたいと思わずにはいられないのですよ、これが。

アニメの現場にいる皆さん、ぜひご検討ください。(笑)

yukikotajima 9:29 am

『大コメ騒動』『はりぼて』

2020年11月18日

先週の土曜日にTOHOシネマズファボーレ富山で
映画「大コメ騒動」の舞台挨拶付きの試写会がありまして、
私も垣田さんと行ってまいりました。

昨日は、垣田さんがレポートをしていましたが、
私も行きましたので、私からは軽くご紹介しますね。

◎垣田さんのレポートは コチラ

「米騒動」は、1918年(大正7年)に富山市の貧しい漁師町で起こった、
日本の女性が初めて起こした市民運動とも言われる出来事です。
映画はこの米騒動で活躍した女性たち(おかかたち)にスポットを当てています。

毎日、朝から晩まで一生懸命働いているのに明日食べるお米もなく、
家族にお腹いっぱいお米を食べさせたいと思ったおかかたちは、
「米を旅に出すなー!」と動き出します。

主役は、井上真央さんです。
また、映画には富山の俳優さんたちが大勢出演しており、
先日の舞台挨拶には、井上さんの他、
室井滋さん、立川志の輔さん、柴田理恵さん、内浦純一さん、
そして、監督の本木克英さんが登壇されました。
本木さんも富山出身ですね。

先日の舞台挨拶では登壇者の皆さんも富山弁でお話になっていましたが、
映画も全編富山弁であることが話題になっていました。
志の輔さんは、「この映画が公開された後は、富山弁が全国区になる。
「だら」が広辞苑にのる!」とおっしゃっていました。(笑)

映画を見て印象に残ったのは、
「女性は声を上げてもなかなか届かない」というようなことを
男性から言われるシーンです。

でも、100年前の女性たちは、無駄だとあきらめずに声を上げ、
世の中を動かしたわけですよ。

すごいぞ、おかかたち!

先日の舞台挨拶で柴田理恵さんが、
「女性にとっては爽快な話だし、現代にも通じます。元気になります」
とおっしゃっていたのですが、その通りでした。
見た後は元気になりましたし、私も頑張ろう!と思えました。

映画『大コメ騒動』は、来年1月1日に
富山県で先行公開されますので、ぜひご覧ください。

◎『大コメ騒動』の公式サイトは コチラ

***

そしてもう一本、『大コメ騒動』と同じく
富山で撮られた富山弁満載の映画を見ました。

明後日の金曜日、11月20日まで
富山市のほとり座で公開中の映画『はりぼて』です。

FMとやまのおとなりチューリップテレビが制作したドキュメンタリーで、
地方政治の不正を追った4年間が描れています。

映画を見て「笑った」という感想をよく耳にしていたのですが、
私が見た回も劇場内では何度も笑いが起きていました。
私も最初は笑っていたものの、だんだん笑えなくなっていきました。

嘘をついている大人たちの顔を見ていたら、
なんとも言えない気持ちになりまして。。。
とにかく出てくる大人たちの表情が印象的でした。

嘘をついている人たちはこういう顔をしているのか。
と冷静にスクリーンを見つめてしまいました。

そして、政治の世界だけではなく色々なところで
同じようなことが起きているのかもしれないなと
思わずにはいられませんでした。

言わなくてもわかるでしょ。
昔からそうなんだよ。
みんながやっているから。

って、よく耳にしませんか?

本当はおかしいと思っていても
なんとなく曖昧なままになっていることって結構あると思うのです。

100年前に富山の女性たちが「おかしいことはおかしい!」と立ち上がったように、
私たちもおかしいことに対して無関心でいたり諦めたりするのではなく
おかしいことをちゃんと認識し声をあげていくことが
これからの時代、ますます大事になっていくのかもしれないと、
2本の富山の映画を見て感じました。

映画『はりぼて』は、富山市のほとり座で明後日金曜日までの公開です。

私は昨日の昼間に見たのですが
平日昼間でもほぼ満席でしたので、
ご覧になる際は事前に予約をしたほうがいいかも。

◎ほとり座のサイトは コチラ

yukikotajima 5:38 pm

『エンド・オブ・ライフ』

読みたい本を選ぶ時、「本屋大賞」を参考にされる方も多いのでは?

本屋大賞は、全国の書店員の皆さんが選んだ「売りたい本」のことで、
毎年春に発表され、大賞作は話題になります。

今年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。

◎私の感想は コチラ

その本屋大賞にはいくつかジャンルがありまして、先週11月10日には
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」
の大賞作が発表されました。

こちらは、日本全国の書店員さんとYahoo!ニュースが選ぶもので、
去年の大賞作は、超話題作、ブレイディみかこさんの
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
でした。
こちらはgraceにもリスナーの皆さんから何度も本の感想が届きました。

◎私の感想は コチラ

そして、今年のノンフィクション本大賞は、
『エンド・オブ・ライフ/佐々涼子(集英社インターナショナル)』
が選ばれました。

佐々さんはノンフィクション作家として
『エンジェルフライト』
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場 』
などをお書きになり、いずれも話題になりました。

◎『紙つなげ!』の私の感想は コチラ

***

今回の『エンド・オブ・ライフ』は、
在宅での終末医療の現場を綴ったノンフィクションです。

執筆のきっけかは、
佐々さんのお母様が難病を発症し、
在宅医療を受けていたことでした。

佐々さんは、訪問医療を行っている京都の診療所の医療チームに同行し、
7年にわたって取材されます。

この本には在宅での終末医療の現場が綴られているのですが、
長い期間にわたって丁寧に取材されたことが
佐々さんの文章から伝わってきます。

終末医療の現場を取材することは、決して楽ではないと思うのです。
もし私が取材される側だったら、
取材許可を出せるかどうかすぐに答えは出ないですもの。

実際、佐々さんも悩みます。
でも、だからこそ心を開いてもらえたのではないかと思います。

自分の命が長くないことを知った患者さんや、その家族の思いを読みながら
私は涙が止まりませんでした。

この診療所では、患者たちの最後の希望を叶えるボランティアをしています。
最後に家族と「潮干狩りに行きたい」「ディズニーランドに行きたい」
といった希望を叶えるために、万全の態勢でサポートしているのです。
それもボランティアで。

医療チームの素晴らしいサポートや
患者さんや家族の皆さんの優しさに涙があふれました。

でも。。。
美しいエピソードだけではありません。

この本を書くきっかけとなった難病のお母様の在宅医療や、
患者の家族として見た医療の現場についても書かれています。
佐々さんが取材をした京都の診療所は素晴らしいところでしたが、
全ての医療機関がそうとは限りません。
また、在宅での介護は家族にとっては大変なものですので、
「家族愛」だけでどうにかできるものでないことも
佐々さんは包み隠さず書いています。

また、今回の取材で出会って友人にもなっていた
訪問看護師の森山さん(48歳・男性)のこともたくさん書いています。
彼はある日、手術も治療もできない病気になってしまうのです。

森山さんは、それまで200名の患者を看取ってきた
「看取りのプロフェッショナル」ですが、
そんな彼でも自分の最期をすぐに受け入れることはできませんでした。

佐々さんは、森山さんが自らの最期とどのように向き合っていったのかを
正直に綴っています。

本の帯に、「命の閉じ方」をレッスンする。とあるとおり、
まさに、この本からはたくさんのことを学ばせていただきました。

患者さんやその家族と自分を重ねて、
自分だったらどうするだろう?と悩みながらページをめくっていきました。

人の最期について書かれた本なんて辛くて読めないよ…
という方もいるかもしれません。

確かに辛い描写もあります。
でも、決して後ろ向きな内容ではありません。

きっとこの本を読んだ人は、
自分はこの先どう生きていきたいのかを考えると思います。
それも前向きに。

さすが本屋大賞受賞作だわ!

私は書店員ではないけれど、
一人でも多くの方に読んでいただきたい一冊です。

yukikotajima 9:20 am

『夜明けのすべて』

2020年11月11日

今日ご紹介する本は、
去年、『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞した
瀬尾まいこさんの受賞後最初の作品です。

『夜明けのすべて(水鈴社)』

前作は、本屋大賞のほか、
紀伊國屋書店スタッフオススメの本ランキング「キノベス」でも
1位を受賞するなど、大変話題になりました。
ラジオでももちろんご紹介しています。

◎『そして、バトンは渡された』の田島の感想は コチラ

受賞後初となる新作『夜明けのすべて』は、表紙が大変目立ちます。
鮮やかな青をベースに、中央に黄色い砂時計が描かれた
青と黄色のコントラストが目をひく表紙となっています。

そして、この本の出版社は「水鈴社(すいりんしゃ)」です。

今年7月に設立されたばかりの新しい出版社で、
この『夜明けのすべて』が創立後最初の単行本だそうです。

***

『夜明けのすべて』は、同じ会社で働く男女の物語です。

28歳の美紗は、仕事も丁寧で周りに気を遣えるので、
社員の皆さんとの関係も良好です。
ただし、ずっとPMS(月経前症候群)に苦しんでいて、
月に一度生理前になるとイライラが抑えられなくなってしまいます。

普段なら気にならないことも生理前だけではダメで、
ある日、転職してきたばかりの3つ年下の25歳の山添君に当たってしまいます。
というのも彼は仕事に対してまったくやる気がないのです。

でも、彼もまたパニック障害になって人知れず病気と闘っていたのでした。

物語は、この二人のパートが交互に描かれていきます。

***

美紗と同じようにPMS(月経前症候群)に苦しんでいる、という女性もいるのでは?

PMSは、美紗のようにイライラしたり、精神的に不安定になったり、
腹痛、頭痛、めまいに悩まされたりと人によってその症状も辛さも様々です。

そのため男性だけでなく、同性から「大げさ」と思われてしまうこともあります。

私は美紗ほどではありませんが、ほぼ毎回症状は出ています。
だから生理前に何かしらの決断をしないように決めています。
私の場合、イライラするだけでなく、
腹痛、頭痛のせいもあって投げやりになってしまうのです。
どうでもよくなって、よくない決断をしがちでして。
だから、終わるまで決断はしません。
今、「わかるー!」と頷いている女性もいるのでは?

さて。
美紗は、このPMSのせいで転職したのでした。
今の職場では最初からPMSのことを伝えているため、
職場の人たちは理解してくれています。

山添君もパニック障害が原因で今の職場にやってきたものの、
彼の場合、会社に自分の病気のことは伝えていません。

そんなある日、美紗は山添君が発作を起こす姿を見て彼の病気に気付きます。
そして、彼のことをやる気のない人だと決めつけていたことを反省し、
彼が少しでも楽になれるよう、自分にできることはないかと考えます。

一方、山添君のほうはというと、自分のほうが辛いに決まっている!と思っています。
でも、よく考えれば僕はPMSのことを知らない。
もしかしたら想像以上にしんどいのかもしれない。
と考え直し、自分も彼女の力になりたいと思い始めます。

なんと二人そろって相手を助けることを考えるようになるのです。
二人とも自分が辛いからこそ、相手の負担を減らしてあげたいと思うのですね。
優しい。。。

そして、二人で過ごす時間も増えていきます。
二人ともこれまで自分の悩みを人に打ち明けられずにいましたが、
一緒にいるときは自分の素直な気持ちを話せるようになります。
そして、少しずつ二人は変わっていきます。

でも!

二人の間に恋愛感情はありません。
職場の人たちは何かと二人をくっつけたがるのですが。(笑)

『夜明けのすべて』は優しさに満ちた物語でした。
思わず声に出して笑ってしまうようなところもあるのだけど、
私は笑いながら涙も出てきました。
良かったね、というあたたかな涙です。

出てくる人がみんないい人ばかりで、読んだ後は私の心も穏やかでした。

また、心が元気になるための小さな気付きもいくつもありました。
例えば、山添君は何を食べても美味しくないと思っていたのですが、
ただ美味しいものを食べていなかっただけだったりするのです。

たしかに美味しいものを食べた時はそれだけで元気になりますもんね!

ちなみに、著者の瀬尾さん自身、パニック障害で苦しんだ過去があるそうです。
詳しくは水鈴社のサイトに掲載されている直筆の手紙に書かれていますので、
良かったらお読みください。

◎水鈴社のサイトは コチラ

この小説には瀬尾さんの実体験も描かれているようですよ。

PMSやパニック障害は聞いたことはあっても
詳しい症状はよくわからないという方も多いのでは?
この本を読むことで、人知れず苦しむ人の気持ちを知ることができます。
そういう意味でも多くの方に読んでいただきたい一冊です。
読んだ後は、人に対して接し方や見え方が変わるはずです。
逆に登場人物たちと同じような状況にある方は、きっと心が軽くなるんじゃないかな。

とってもあたたかくて優しい物語でした。

yukikotajima 9:33 am

キリン一番搾りにあうのは・・・

2020年11月4日

11月1日(日)に全国放送に出演しました!

毎週日曜15時50分から放送している

キリン一番搾り 全国パーソナリティ
『これが私の一番おいしい!』リレー

です。

私、田島がキリン一番搾りにあう
富山のおいしいものをご紹介しました。

放送から1週間以内でしたら
ラジコのタイムフリーで聞けますので、
良かったらお聞きください♪

放送では、私の富山弁も聞けます。(笑)

なお、私のレポートは番組サイトでも見られます。

◎田島のレポートは コチラ

yukikotajima 6:00 pm

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

先日、本屋さんに行った時、
次はどんな本を読もうかしらと店内をぶらぶら歩きながら
まだまだ知らない本がなんとたくさんあることか!と思ったら、
どの本を選べばいいのかわからなくなり、こんな時はプロに頼ろうと
紀伊國屋書店富山店の書店員さんに相談。

小説以外の例えばエッセイでオススメは?と聞いたところ、
今一押しのエッセイとして、この本を教えていただきました。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
/岸田奈美(きしだ・なみ)【小学館】』

本の帯を見ると、阿川佐和子さんのお名前が。

阿川さんというと、お母様が認知症になり、
その体験を小説にされていたので、
もしやこのエッセイもそういった内容かしら?
本のタイトルにも「家族」が入っているし。
と思ったのですが、違いました。

本の帯の下のほうに小さくこう書かれていました

車いすユーザーの母
知的障害のある弟
急逝した父

情報過多な日々をつづる笑いと涙の自伝エッセイ

ん?「笑い」のエッセイ?こんなに大変そうな状況なのに?
と頭の中にたくさんの「?」が浮かびつつ、
書店員さんの一押しだしと読んでみることにしました。

著者の岸田奈美(きしだ・なみ)さんは、
100文字で済むことを2000文字で伝える1991年生まれの作家さんで、
ブログサービスのnoteやTwitterで話題となっているそうです

このエッセイは、岸田さんの家族の日々が綴られています。

岸田さんは、中学生の時にお父様が急逝し、
高校生の時にはお母様が病気によって車いす生活になり、
4歳年下の弟は生まれつきダウン症で知的障害があります。

ですが、岸田さんの文章はとにかく明るいのです。

もちろん悩んだり落ち込んだりもしていますよ。
でも、どのエッセイも読んだ後は優しい気持ちになれます。

特にダウン症の弟さんを見つめる優しい眼差しが印象的でした。
エッセイには弟さんのいいところがたくさん紹介されていますので、
きっと読者はみんな、弟さんのことが好きになると思います。

ところで、あなたはご家族のいいところをいくつ挙げられるでしょう?

岸田さんは、弟さんのことをいつも見ているので、
いいところにも気付くのでしょうね。

弟さんのエピソードは色々と紹介されていますが、
コンビニで万引きを疑われた弟が再び一人でコンビニに行った時に、
こっそり尾行したエピソードは、涙なしには読めませんでした。
あ、でもこれはいい涙ですよ。

岸田さんが弟さんに向けた言葉が素敵だったのでご紹介します。

「行ったことのない場所に、どんどん行け。助けられた分だけ、助け返せ」

素敵なお姉ちゃんだ!と思ってページをめくっていったところ、
なんと岸田さん自身が弟さんに助けられることになります。

いったい岸田さんに何があって
弟さんはお姉ちゃんをどのように助けたのかについては、
ぜひ本を読んでいただきたいのですが、このエピソードも良かった!
私自身も助けられた気分で心が軽くなりました。

岸田さんのエッセイは、文章がとても素直なのです。
お友達にそのまま喋っているような飾らない表現ですので、
まるで彼女のお喋りを聞いている気分で読むことができました。

この素直さが彼女の魅力であり、
大勢のファンがいる理由なのでしょうね。

また、彼女の文章からは表情が見えます。基本的には笑顔が。
笑いながら文章を書いているのが伝わってくるエッセイでした。

そんな彼女の笑顔を実際に見ることができます。
この本には岸田家のご家族の写真が挟まれているのです。

また、本のカバーを外すこともお忘れなく。
こちらにも素敵な家族の写真がありますので。

この本を読んだ後の私もきっといい表情をしていたと思います。(笑)
人を信じてみたくなる、優しさにあふれたエッセイでした。

yukikotajima 9:16 am