ブログトップページはコチラ

『大コメ騒動』『はりぼて』

2020年11月18日

先週の土曜日にTOHOシネマズファボーレ富山で
映画「大コメ騒動」の舞台挨拶付きの試写会がありまして、
私も垣田さんと行ってまいりました。

昨日は、垣田さんがレポートをしていましたが、
私も行きましたので、私からは軽くご紹介しますね。

◎垣田さんのレポートは コチラ

「米騒動」は、1918年(大正7年)に富山市の貧しい漁師町で起こった、
日本の女性が初めて起こした市民運動とも言われる出来事です。
映画はこの米騒動で活躍した女性たち(おかかたち)にスポットを当てています。

毎日、朝から晩まで一生懸命働いているのに明日食べるお米もなく、
家族にお腹いっぱいお米を食べさせたいと思ったおかかたちは、
「米を旅に出すなー!」と動き出します。

主役は、井上真央さんです。
また、映画には富山の俳優さんたちが大勢出演しており、
先日の舞台挨拶には、井上さんの他、
室井滋さん、立川志の輔さん、柴田理恵さん、内浦純一さん、
そして、監督の本木克英さんが登壇されました。
本木さんも富山出身ですね。

先日の舞台挨拶では登壇者の皆さんも富山弁でお話になっていましたが、
映画も全編富山弁であることが話題になっていました。
志の輔さんは、「この映画が公開された後は、富山弁が全国区になる。
「だら」が広辞苑にのる!」とおっしゃっていました。(笑)

映画を見て印象に残ったのは、
「女性は声を上げてもなかなか届かない」というようなことを
男性から言われるシーンです。

でも、100年前の女性たちは、無駄だとあきらめずに声を上げ、
世の中を動かしたわけですよ。

すごいぞ、おかかたち!

先日の舞台挨拶で柴田理恵さんが、
「女性にとっては爽快な話だし、現代にも通じます。元気になります」
とおっしゃっていたのですが、その通りでした。
見た後は元気になりましたし、私も頑張ろう!と思えました。

映画『大コメ騒動』は、来年1月1日に
富山県で先行公開されますので、ぜひご覧ください。

◎『大コメ騒動』の公式サイトは コチラ

***

そしてもう一本、『大コメ騒動』と同じく
富山で撮られた富山弁満載の映画を見ました。

明後日の金曜日、11月20日まで
富山市のほとり座で公開中の映画『はりぼて』です。

FMとやまのおとなりチューリップテレビが制作したドキュメンタリーで、
地方政治の不正を追った4年間が描れています。

映画を見て「笑った」という感想をよく耳にしていたのですが、
私が見た回も劇場内では何度も笑いが起きていました。
私も最初は笑っていたものの、だんだん笑えなくなっていきました。

嘘をついている大人たちの顔を見ていたら、
なんとも言えない気持ちになりまして。。。
とにかく出てくる大人たちの表情が印象的でした。

嘘をついている人たちはこういう顔をしているのか。
と冷静にスクリーンを見つめてしまいました。

そして、政治の世界だけではなく色々なところで
同じようなことが起きているのかもしれないなと
思わずにはいられませんでした。

言わなくてもわかるでしょ。
昔からそうなんだよ。
みんながやっているから。

って、よく耳にしませんか?

本当はおかしいと思っていても
なんとなく曖昧なままになっていることって結構あると思うのです。

100年前に富山の女性たちが「おかしいことはおかしい!」と立ち上がったように、
私たちもおかしいことに対して無関心でいたり諦めたりするのではなく
おかしいことをちゃんと認識し声をあげていくことが
これからの時代、ますます大事になっていくのかもしれないと、
2本の富山の映画を見て感じました。

映画『はりぼて』は、富山市のほとり座で明後日金曜日までの公開です。

私は昨日の昼間に見たのですが
平日昼間でもほぼ満席でしたので、
ご覧になる際は事前に予約をしたほうがいいかも。

◎ほとり座のサイトは コチラ

yukikotajima 5:38 pm

『エンド・オブ・ライフ』

読みたい本を選ぶ時、「本屋大賞」を参考にされる方も多いのでは?

本屋大賞は、全国の書店員の皆さんが選んだ「売りたい本」のことで、
毎年春に発表され、大賞作は話題になります。

今年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。

◎私の感想は コチラ

その本屋大賞にはいくつかジャンルがありまして、先週11月10日には
「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」
の大賞作が発表されました。

こちらは、日本全国の書店員さんとYahoo!ニュースが選ぶもので、
去年の大賞作は、超話題作、ブレイディみかこさんの
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
でした。
こちらはgraceにもリスナーの皆さんから何度も本の感想が届きました。

◎私の感想は コチラ

そして、今年のノンフィクション本大賞は、
『エンド・オブ・ライフ/佐々涼子(集英社インターナショナル)』
が選ばれました。

佐々さんはノンフィクション作家として
『エンジェルフライト』
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場 』
などをお書きになり、いずれも話題になりました。

◎『紙つなげ!』の私の感想は コチラ

***

今回の『エンド・オブ・ライフ』は、
在宅での終末医療の現場を綴ったノンフィクションです。

執筆のきっけかは、
佐々さんのお母様が難病を発症し、
在宅医療を受けていたことでした。

佐々さんは、訪問医療を行っている京都の診療所の医療チームに同行し、
7年にわたって取材されます。

この本には在宅での終末医療の現場が綴られているのですが、
長い期間にわたって丁寧に取材されたことが
佐々さんの文章から伝わってきます。

終末医療の現場を取材することは、決して楽ではないと思うのです。
もし私が取材される側だったら、
取材許可を出せるかどうかすぐに答えは出ないですもの。

実際、佐々さんも悩みます。
でも、だからこそ心を開いてもらえたのではないかと思います。

自分の命が長くないことを知った患者さんや、その家族の思いを読みながら
私は涙が止まりませんでした。

この診療所では、患者たちの最後の希望を叶えるボランティアをしています。
最後に家族と「潮干狩りに行きたい」「ディズニーランドに行きたい」
といった希望を叶えるために、万全の態勢でサポートしているのです。
それもボランティアで。

医療チームの素晴らしいサポートや
患者さんや家族の皆さんの優しさに涙があふれました。

でも。。。
美しいエピソードだけではありません。

この本を書くきっかけとなった難病のお母様の在宅医療や、
患者の家族として見た医療の現場についても書かれています。
佐々さんが取材をした京都の診療所は素晴らしいところでしたが、
全ての医療機関がそうとは限りません。
また、在宅での介護は家族にとっては大変なものですので、
「家族愛」だけでどうにかできるものでないことも
佐々さんは包み隠さず書いています。

また、今回の取材で出会って友人にもなっていた
訪問看護師の森山さん(48歳・男性)のこともたくさん書いています。
彼はある日、手術も治療もできない病気になってしまうのです。

森山さんは、それまで200名の患者を看取ってきた
「看取りのプロフェッショナル」ですが、
そんな彼でも自分の最期をすぐに受け入れることはできませんでした。

佐々さんは、森山さんが自らの最期とどのように向き合っていったのかを
正直に綴っています。

本の帯に、「命の閉じ方」をレッスンする。とあるとおり、
まさに、この本からはたくさんのことを学ばせていただきました。

患者さんやその家族と自分を重ねて、
自分だったらどうするだろう?と悩みながらページをめくっていきました。

人の最期について書かれた本なんて辛くて読めないよ…
という方もいるかもしれません。

確かに辛い描写もあります。
でも、決して後ろ向きな内容ではありません。

きっとこの本を読んだ人は、
自分はこの先どう生きていきたいのかを考えると思います。
それも前向きに。

さすが本屋大賞受賞作だわ!

私は書店員ではないけれど、
一人でも多くの方に読んでいただきたい一冊です。

yukikotajima 9:20 am