ゆきれぽ

2026年7月1日

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『ファイア・ドーム』(上下巻)

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今日のお昼休みにネットニュースやSNSを見ながら、あるいは身近な人の噂話で同僚と盛り上がった方もいるのでは。噂の対象に対していい印象を持っていなかった場合は、さらに盛り上がったかもしれません。あなたも身に覚えがありませんか。憶測で誰かを悪者に仕立て上げたことが。あなたは自分の発する言葉に責任を持てているでしょうか。

今日は「噂」がテーマの物語をご紹介します。

そして今日は7月最初の「ゆきれぽ」ですので、明文堂書店とのコラボ回!高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本です。(田島のオススメでもあります)

『ファイア・ドーム』(上巻・下巻)
辻村深月
小学館

辻村さんのデビュー22周年を記念する作品で、7年かけて書き上げたそうです。また、6月5日の発売から3日で10万部の増刷が決まり、累計発行部数は26万部に到達したのだとか。今日はそんな今話題の長編ミステリーをご紹介します。

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舞台は北陸地方のとある都市です。そこで1994年の夏にデパートの受付嬢が誘拐され殺されるという事件が起きます。それから25年後、同じ町で小学4年生の男の子が放課後に行方不明になってしまいます。

物語では、男の子の行方を探す中で、25年前の事件の詳細も徐々に明らかになっていくのですが、これがとても残酷です。当時、殺された彼女や遺族は被害者なのに、根も葉もない噂を立てられ、まるで加害者のような扱いを受けていたのです。恐ろしいことに町の人たちは全国レベルのニュースに夢中になっていたのでした。つまり、事件が娯楽なっていたのです。

そして、その25年後。また同じように町を噂が包みます。25年前と違って今はSNSであっという間に拡散されてしまう時代です。悪意ある噂に、噂のターゲットとなってしまった人たちは追い詰められていきます。

物語は、男の子の担任、25年前の被害者遺族、新聞記者、子どもなど複数の視点で描かれるので、読者は物語の世界をより深く知ることができます。つまりは登場人物たちの誰より詳しくなっていくわけです。でも、もっと知りたい。はやく先が読みたい。と思い、ページをめくる手が止まらなくなり、そして、ふと思いました。これでは事件に浮かれる町の人たちと同じではないかと。

また、登場人物の中には、悪意はなくても鈍感ゆえに無自覚に人を傷つけてしまう人というのが出てきまして、ドキリとしました。私も過去に同じことをしていなかったかと。

きっと多くの人が自分は噂はしても悪意は無いし、人を傷つけるつもりなんて全く無い。と思っているのだと思います。でも、鈍感ゆえに傷つけていることもあるのです。私もきっとこれまで無自覚に多くの人を傷つけてきたのだと思います。

私たち人間は、自分が傷つけられたことは覚えていても、自分が傷つけてしまったことは覚えていないどころか、傷つけたことすら気付かなかったりするものなのかもしれません。

この物語では、そんな人間の弱さや脆さが描かれます。その一方で揺れる人間の内面も丁寧に綴られます。物語はフィクションだけど、登場人物たちの内面は生々しいほどにリアルです。ぜひ一人一人の心の中をのぞいてみてください。あわせて自分自身の心の中も。

ではここで、この本を大プッシュしている明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介しましょう。

「噂」どおり、それ以上の物語に出会えることは、書店員として最高の幸せです!沸き立つ高揚感はどう表現していいかわかりません。「面白い」と思ったなら是非「噂」を広めてください!

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噂は噂でも、いい噂はどんどん広めたいですよね。私も「この本が面白い」という噂は広めたいです。

それにしても上下巻あわせて900ページあったので、久しぶりに読書漬けの日々を過ごしました。でも面白い作品は疲れないんですよ。夢中で最後まで読みました。さらに続けてこの雑誌も読みました。

小学館の文芸誌「ゴート」です。『ファイア・ドーム」特集と書かれていたので買ってみました。

中を開いてみれば、以前「ゆきれぽ」でご紹介した宮島未奈さんの『それいけ!平安部』のスピンオフや、富山出身の作家、山内マリコさんの短編などもあり、読み応えありまくりでした。それなのに税込510円で、何この安さ!と思わず声が出てしまったほどです。良かったらこちらも読んでみてください。

『ファイア・ドーム』は、富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、ぜひチェックしてくださいね。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

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