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5『君たちに明日はない』

2010年1月11日

垣根涼介さんの『君たちに明日はない』を読みました。
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垣根さんの『午前3時のルースター』が面白かったので、
今回の作品も期待して読んでみましたが、こちらも満足度が高かったです。

主人公は、リストラ請負会社に勤める村上真介、33歳。
リストラを希望する会社から依頼を受け、リストラ候補者を面接をする仕事です。

自ら「辞めます」と言わせる、つまり希望退職をさせるために、
彼は、面接で、じりじりと退職を誘導していきます。

物語は、真介目線で進んでいきますが、
面接のパートになると、面接される側に一人称が変わり、
面接する側とされる側の両方の視点から「面接」が描かれます。

その心理戦は、緊迫感があってスリル満点です。
辞めさせたい真介と、辞めたくない人々。
リストラ候補にあがっていることに対する恥ずかしさ、
自分よりも年下の若い男に切られる屈辱、会社に対する怒りなどが、
包み隠さず、描かれます。
もちろん、心の声として、ですが。

また、そういった「面接」をベースに、真介の恋愛も描かれます。
真介は、きつい性格の年上女性がタイプなのですが、
今回、恋に落ちる相手は、なんと、自分が面接した8歳年上の女性です。
まっすぐな真介と、素直になりきれない彼女。
そのやりとりにもドキドキさせられます。

『君たちに明日はない』は、
扱っている内容は、とても重いものですが、
でも「仕事」については、色々考えさせられました。

仕事をしている時間が長ければいいというわけではないし、
目標の数字を達成していれば何をしてもいいというわけでもない。
また、仕事を愛していても趣味では無いから売り上げが伴わないとダメなわけで。

面接を受けている人たちは、まるで自分自身のようで、
他人事には思えませんでした。

私が一番印象に残ったのは、
リストラ候補にあがった、音楽事務所のディレクターの言葉、というか気持ち。
仕事をする上で大切なことは、「商品を愛せるかどうか」ということに、
あらためて気付かされました。

形だけ繕っていても、気持ちは伝わってしまうものなのですよね。

お仕事をなさっている方にとっては、是非、読んでいただきたい1冊です。
1年の目標を立てる年初めに読むのにぴったりだと思います。

ちなみに、こちらの作品、NHKで、1月16日からドラマ化されるようです。
ドラマでは、主人公を坂口憲二さんが演じます。

また、小説の方は、『借金取りの王子』というタイトルの続編が出ています。

yukikotajima 10:15 am