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無銭優雅(むせんゆうが)

2007年7月8日

フリーペーパー「ふみたん」の最新号に掲載されていた、
山田詠美さんの『無銭優雅(むせんゆうが)』を読みました。

初めて山田詠美さんの本を読んだのが、私が高校生か大学生のとき、
(すみません。はっきり覚えていないのです・・・とにかく学生のときです)
『放課後の音符(キイノート)』を読んだ。

当時の私は、
文章って、こんなにイキイキしていて、
動きがあって、面白いものなんだ!
と、興奮した。

それ以来、山田詠美さんのファンだ。

『無銭優雅』は、
今年1月に発売された、
山田詠美さんの4年ぶりの長編書き下ろし作品。

オトコイ(大人の恋)にいそしむ、
42歳の男女を描いた作品です。

二人は、40代になって「運命の出会い」をし、
「心中する前の日の心持ちで、付き合って行かないか?」
の一言で、お付き合いがはじまります。

『ふみたん』にも書かれていますが、
この一言が書かれている本の帯を見る限りでは、
大人のドロドロの恋が描かれているような印象を受けます。
しかし、実際に読みすすめていくと、そんなことはない。
主人公の彼等は、
大人になりそこねた男女なのであって、
「死」を恋愛を盛り上げる対象としているだけなのです。

そして、ところどころに「死」にまつわる昔の名作の1節が登場し、
二人の恋を色づけます。

オトコイ(大人の恋)は、
決して、かっこよくないし、きれいなものでもない。
最初は、あまりのラブラブぶりに、
読んでいるコチラが恥ずかしくなる。
だって、10代の恋のように、愛をささやきあっているんですもの。

でも、大人じゃなければ出せない知性も感じさせる。
山田詠美さんの表現は、やっぱり凄い!
比喩が素晴らしい。
全て、容易に目に浮かぶのだけど、全て、はじめて目にする表現。

そんな、表現の宝庫のような作品を読みながら、
私は、素敵な言葉たちに出会う度に喜びを隠せず、
心が弾んでいきました。

やっぱり、山田詠美さんの作品は、言葉がイキイキとしていました。
テンポよく、素敵な言葉が踊っています。
まるで、音楽を奏でているかのように・・・。

ストーリーは、
愛する二人を中心にその家族や同僚を巻き込みながら、
ゆっくり進んでいきます。

しかし、そんな穏やかな日々が…。

是非、この続きは、本を読んでみてください♪

yukikotajima 11:07 pm