ゆきれぽ

2026年6月10日

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『月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった』

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日本各地で続々と梅雨入りしています。北陸地方ももうすぐでしょうか。今日は、そんな雨の季節にオススメの一冊をご紹介します。きっといい雨宿りができると思いますよ。

『月がきれいな夜に、誰かに思い出してほしかった』
川代紗生(かわしろ・さき)
サンマーク出版

3月に発売され、すでに10万部を突破したという話題作です。著者の川代さんは、もともと書店員で、『元カレごはん埋葬委員会』という作品で小説家デビューされました。デビュー作は世界15ヵ国で翻訳が決定したのだとか。新刊はそのデビュー作の続編だそうですが、単体でも楽しめるように書いたそうです。たしかに私もデビュー作は未読ですが楽しめました。

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主人公は、三軒茶屋の喫茶「雨宿り」で料理人として働く30歳の女性、桃子です。彼女は婚約直前に恋人にふられてしまうのですが、そのことを田舎に住む父親に言えずにいます。というのも「結婚して子どもを産んでこそ一人前」と言う父親の期待を裏切りたくないと思うからです。

私なら「はあ?今の時代に何言ってんのよ!(怒)」とすぐに言い返してしまいそうですが、桃子は「誰からも選ばれない私は人として何かが足りないのかな」と思い悩んでしまいます。それこそ、本のタイトルは桃子自身の言葉です。

さて、そんな桃子の働く喫茶「雨宿り」では、恋や人生にうまくいっていない人たちのために、毎週金曜日の夜十時にある会を開いています。「元カレごはん埋葬委員会」です。(まさにデビュー作のタイトルですね!)

委員会では、見ると元カレのことを思い出してしまう思い出のごはんをあえて作って、食べて、元カレのことを語って、もやもやした気持ちを成仏させています。

会にはさまざまな相談者がやってきます。中には婚約者からモラハラを受けていてる女性や、推しが結婚して本当は辛いのに平気なフリをしてしまう女性からの相談もあります。

桃子はそんな相談者たちの話を聞きながら、自分自身の悩みとも向き合っていきます。そして、大切なことに気付きます。

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面白かったです!正直なことを言うと、桃子のお父さんやモラハラ男の言動があまりにも不快で本を閉じそうになった瞬間もあったのですが、逃げなくて良かったです。気付いた時にはかなり感情移入していました。最初は作品との距離がかなりあったのに、どんどん近づいて最終的には一体化していました。(笑)まるで私自身が喫茶「雨宿り」で話を聞いてもらっている気分でした。

あなたはどうですか。自分の心に正直になれていますか。辛いと感じながらも私にはこれしかないと決めつけていませんか。あるいは桃子のように「私は人として何かが足りない」と思い込んでいませんか。

思い当たる方はぜひ喫茶「雨宿り」にヨリミチしてみてください。きっと雨上がりのような晴れ晴れとした気持ちになれると思いますよ。そして、心も満たされます。

あ、でもお腹は満たされません。それどころかお腹が空いてしまいます。だって次々に美味しそうな料理が出てくるんですもの。でもこの本には物語に出てきたごはんのレシピが載っているので、自分で再現することができます。私も今度作ってみようっと。

あと、新刊だけでも面白かったけど、いや、面白かったからこそデビュー作も読んでみたいな。

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