ゆきれぽ

2026年6月3日

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『多類婚姻譚』

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6月になりましたね。6月といえば何を思い浮かべますか。梅雨、アジサイ、父の日でしょうか。この言葉が頭に浮かんだ方もいるのでは。「ジューンブライド」。西洋では、6月が女性と結婚生活の守護神ジュノーの月であることから、この月に結婚すると幸福になると言われています。今月、結婚記念日という方も多いかもしれません。

今日ご紹介する小説は、「結婚」がテーマの連作短編集です。

そして今日は6月最初の「ゆきれぽ」ですので、明文堂書店とのコラボ回!高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本です。(田島のオススメでもあります)

『多類婚姻譚』
凪良ゆう
講談社

凪良さんは、『流浪の月』、『汝、星のごとく』で二度の本屋大賞を受賞した人気作家です。どちらも映画化され、『流浪の月』は2022年に大ヒット!『汝、星のごとく』は10月9日にいよいよ公開されます。楽しみですね。

さて、今日ご紹介するのは、5月27日に発売されたばかりの凪良さんの新刊です。タイトルの『多類婚姻譚』は、「たるいこんいんたん」と読みます。結婚がテーマの連作短編集で5つのお話が収録されています。

おとぎ話なら、どんなに辛いことがあっても、最終的には素敵な王子様と結婚して、めでたしめでたしですが、現実はそんなことはありません。それに、結婚しない人生を選択している人もいますし。

『多類婚姻譚』には「現代の結婚」にまつわる5つのお話が収録されていますが、主人公たちは皆、独身です。

まずは、大手食品会社で 働く38歳の女性の物語からはじまります。仕事ができ、若くして課長に昇進した彼女は、職場では大きな不満は無いものの、実家からの結婚の圧力にうんざりしています。でも実は彼女には恋人がいます。そして、ついに恋人と帰省することに決めるのですが…。

続いては、同じ会社で派遣社員として働く27歳の女性です。彼女は今の恋人と結婚したいと思って努力をしているのですが、彼から結婚の話は無く、悶々とした日々を送っています。

次は、離婚し、実家の書店を継ぐことにした 44歳の女性が登場します。そのお店にある日初恋の人がやってきます。

男性視点のお話もあります。同じ会社で働く恋人と結婚の約束をするのですが、なぜかうまくいかなくなり…。

最後は、人気レストランで働く47歳の女性シェフのお話です。彼女はオーナーシェフと不倫関係にあるものの、仕事もプライベートも不満はありません。そんな彼女の未来とは。

という5つのお話が収録されています。結婚したくてもできなかったり、離婚してしまったりと、それぞれ人生がうまくいっていません。その原因のひとつに、ジェンダーや世代間格差といった価値観の違いがあります。

この作品は、さまざまな価値観や問題が詰まった今の時代を切り取った一冊です。だからと言って、誰かを攻撃するのではなく、その眼差しはあくまでも冷静で公平です。それに連作短編集ですので、いろいろな立場の人の本音が聞けます。

どうして私のことをわかってくれないの?と思うこと、ありませんか。もしかしたら、相手もまったく同じことを思っているかもしれないですよ。この本には、ハッとさせられる瞬間が何度もありました。

あなたは頭の中が自分のことでいっぱいになっていませんか。周りの人のことを考えるスペースは残っていますか。この作品は頭の中に、そんな大切な隙間を作ってくれる一冊でした。

ではここで、この本を大プッシュしている明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介しましょう。

それぞれの立ち位置での価値観や視点が浮き彫りになる瞬間がとてもリアルで、面白いです。
選択肢が多いからこその迷いや、つい正解を求めてしまう弱さが、かえって不自由にしているなあと感じたり。
けれど本当はもっと自由で愉しく生きられるはずだと気付いたら、急に目の前がぱあっと明るくなりました。

✳︎

確かにいろいろうまくいかない人たちの物語ではありますが、野口さんのおっしゃるように、読んだ後の気持ちは明るかったです。また、とても面白いので読み始めたら止まりませんでした。フィクションだけど、とても現実的なお話で、登場人物たちの言葉が心にぐさぐさ刺さりました。また、きっとこういう話でしょ?と思いきや、そうならない展開なのも最高でした。結婚している人も、結婚したい人も、結婚に興味のない人もぜひ読んでみてください。

『多類婚姻譚』は、富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、ぜひチェックしてくださいね。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

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