ゆきれぽ

2025年12月3日

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『いちばんうつくしい王冠』

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今日は12月最初の「ゆきれぼ」ですので、明文堂書店とのコラボ回!高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本をご紹介します。

野口さんから「ある場所に集められた中学生たちの物語なんだけどね」と言われて、私は辻村深月さんの『かがみの孤城』が思い浮かびました。『かがみの孤城』は、2018年に本屋大賞に選ばれ、のちにアニメ映画化されたベストセラー小説です。不登校の中学生が鏡の中の世界に入り込み、同じく集められた同年代の男女と共に、その世界のお城で願いが叶う鍵を探すという、私もお気に入りの作品です。

◎『かがみの孤城』の私のブログは コチラ

今日ご紹介する小説も中学生たちの物語なのですが、こちらはより現実的です。

『いちばんうつくしい王冠』
荻堂顕(おぎどう・あきら)
ポプラ社

著者の荻堂顕さんは、『飽くなき地景』が吉川英治文学新人賞を受賞した他、直木賞候補、山田風太郎賞候補に選ばれた今注目の作家さんです。

『いちばんうつくしい王冠』は、10月29日に刊行された最新刊です。

主人公は、中学生のホノカです。夏休みの初日に目を覚ますと、そこは見知らぬ体育館で、周りを見れば7人の少年少女と妖精の着ぐるみを着た謎の人物がいて、この状況だけでも訳がわからないのに、その謎の妖精からこう言われます。「キミたちにはこれから、一本の劇を演じてもらいます」と。とは言え、いきなりどこかの体育館に集められ、会ったばかりの人と演劇をしろと言われてもなかなか「はい」とは言えませんよね。でも中学生たちはやらざるを得なくなります。なぜなら「劇が完成するまで帰れない」と言われてしまったからです。

みんなで協力して出口を探すわけでも、理不尽なゲームをして誰か一人だけが脱出できるといったデスゲームでもありません。

ここを出る条件は「全員で劇を完成させること」です。

8人の中学生たちは、戸惑いながらも劇の完成に向けて練習を始めます。そして徐々に彼らがどんな中学生で、なぜ集められたのかがわかってきます。また演劇をする理由や、それ誰にを見せるのかも。

ではここで、この本を大プッシュしている明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介しましょう。

デスゲームかと思いきや、公開劇場という名の青春小説でした。
いつかどこかの自分自身を振り返り、観客は誰なんだろうと思いながら、ちょっとゾワっとしました。
是非、お楽しみください!

✳︎

私も自分自身を振り返りました。ネタバレになるのでハッキリとしたことは言えませんが、中学生たちを見ていると、私自身の弱さや甘え、ズルさといった、自分の嫌な面がさらけ出されていくようで心がざわざわしました。そして落ち込みました。でも、そういう自分のダメなところを表に出して、しっかり向き合うことも大事なのですよね。

中学生たちの青春物語だと、あなどってはいけません。10代はもちろん、大人の皆さんにもぜひ読んでいただきたい一冊です。新しい年を迎える前にこの本を読んで自分自身と向き合ってみませんか。

ちなみに、8人も中学生がいると誰が誰だかわからなくなりそうですが、ご安心ください。それぞれキャラクターが全然異なりますし、本の中には8人の中学生のイラストと名前、それから劇での役名が書かれたカラーの栞が入っていますので、それを参考に読むこともできます。なお、劇での役は8人全員が「王子」です。いったいどんなお話なのでしょう?そんな劇中劇もお楽しみください。

『いちばんうつくしい王冠』は、富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもありますので、ぜひチェックしてくださいね♪

◎明文堂書店のサイトは コチラ

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