ブログトップページはコチラ

『持続可能な魂の利用』

2020年6月24日

先週のラジオでは、イギリスの愛すべきおっさんたちについて書かれた
ブレイディみかこさんのエッセイ
『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』
をご紹介しました。

◎私の感想は コチラ

今日ご紹介する本にも「おじさん」たちが出てきます。
でも、その意味合いはまるで異なります。

『持続可能な魂の利用/松田青子(中央公論新社)』


本の帯には「この国から「おじさん」が消える」とあります。
いったいどういうこと?と思い、本のページをめくってみました。

主人公は、30代の敬子です。
彼女は、非正規で働いていたものの、嫌な「おじさん」のせいで仕事を辞めます。
年上の正社員の男性からしつこくつきまとわれ、
こわくなった彼女が人事部に相談したところ、
彼との恋愛にうまくいかなくなって感情的になっただけでしょ、
と彼女が悪者にされてしまったのでした。

なんて腹立たしい!

また、敬子の同僚の女性も自分の身を守るために
バッグの中にスタンガンを入れて持ち歩いていたら、
男性たちから「自意識過剰」と言われてしまいます。

ひどいー!

ちなみに、この本で言うところの「おじさん」は、
年齢は関係ありません。また、性別も。
若い男性や女性にも「おじさん」はいます。

「おじさん」は、女性を見下していて、
なぜか自分に自信を持っている人のことです。

他にも「おじさん」の定義は色々あるのですが、それは本を読んでいただくとして。
つまり、女性にとって不快この上ない人たちのことです。

この本には、そんな「おじさん」たちへの怒りが詰まっていました。

フィクションだけど、これってあのことだよね?
と想像せずにはいられない出来事や人物が次々に登場するので、
フィクションなのか、リアルの出来事なのかわからなくなるほどでした。

でも、いずれにせよ、不快だと感じる思いは本物で、
私も読みながら胸の奥が何度も苦しくなりました。

最初は女性を見下して、
都合が悪くなると無視。
そして逆ギレ。
最後は力でねじ伏せようとする「おじさん」たち、
あなたのまわりにもいませんか?

この本に出てくる女性たちはみんな
「おじさん」たちから嫌な目にあっているのですが、
つらい…とメソメソしているだけではありません。

敬子は、ある日、とある女性のアイドルグループの
中心にいる10代の女子に惹きつけられます。

理由は、パフォーマンスの間、笑顔を見せなかったから。

これまで何にもはまれなかった敬子は、
自分にも「推し」ができたことを喜びます。

確かに、誰かのファンになると毎日が輝き出しますよね!

このアイドルのおかげで元気になった敬子でしたが、
大好きな彼女たちを作り出したのも
「おじさん」なんだよなと気付いてしまいます。。。

そして、後半、物語は大きく動き出します。

わーお。そうきたかと想定外過ぎる展開にびっくり!
でも、面白かったです。読後感は爽快でした。

そうそう、本を読んだ後、表紙を外してみてくださいね。
なるほどね!と思わず微笑んでしまうはずです。

これまで生きづらさを感じていたものの、
何も変わらないとあきらめていた女性は、
この本を読むことで、きっと何かしらいい変化があるんじゃないかな。

また、男性の方もぜひ読んでみてください。
というか、男性にこそ読んで頂きたい!



<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

エコバッグフェア

自然環境に優しい店舗を目指して、
紀伊國屋書店は7月1日からレジ袋が有料となります。

現在、店内中央イベントスペースでは、エコバッグの販売を行っています。
この機会にこれからのショッピングにピッタリの一枚をお求めください。

フェアはエコバッグが無くなり次第終了です。


絵本和書洋書併売フェア


人気の海外絵本と日本の絵本の併売フェアを開催中です。

同じ絵本の英語版と日本語版を見比べてみませんか?
英語の勉強に役立てたり、プレゼントにも最適です。

フェアは、7月5日(日)まで店内中央イベントスペースで開催中です。
※洋書売り場ではありませんのでご注意ください。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 9:25 am

『ワイルドサイドをほっつき歩け』

2020年6月17日

去年話題となり、今もなお売れ続けている本があります。

ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。

こちらは小説ではなくノンフィクションです。
イギリスに住む著者の中学生の息子について書かれています。

いじめ、喧嘩、差別のある中学に入学した息子君が
それぞれの問題に真剣に向き合って
何が正しいのか考えていくという内容で、この本が大ヒット!
私も去年読んだ中で一番良かった本に挙げました。

◎私の感想は コチラ

ブレイディさんは、この本が大ヒットしたことで
テレビや雑誌でもお見掛けするようになり、今やすっかり時の人です。

今日は、そんなブレイディさんの新作
『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち(筑摩書房)』
をご紹介します。

この本をプッシュされているのは、紀伊國屋書店富山店奥野晃英さんです。
まずは、奥野さんの推薦コメントです。

***

軽い気持ちでイギリスのEU離脱に「賛成票」を投じたおじさま。
その結果、家庭内に嵐を巻き起こし、まさかの微笑ましい結末を迎えることに…。

そんな激動する世界の中で右往左往する
おじさまとおばさま方を軽妙に描いた話題作。

現在もベストセラーとなっている
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
の著者ブレイディみかこさんの最新エッセイ集です。

***

そうなのです。
『ぼくイエ』は、イギリスの少年たちがメインでしたが、
今回は、イギリスの労働者階級のおじさま、おばさまたちのエッセイです。

いや、ブレイディさん風に言うならば、おじさまというより「おっさん」だな。
私も愛を込めて「おっさん」と言わせていただきます。

ブレイディさんは、『ぼくイエ』と同じ時期にこの本を書いていたそうで、
これら二冊の本は同じコインの両面であるとおっしゃっています。

『ぼくイエ』のキラキラした瞳で世界を公平に見ている少年たちと比べると、
おっさんたちのほうが、頑固で厄介でどうしようもなくて、子どもっぽく見えます。
でも、ブレイディさんは決しておっさんたちのことを悪く書いてはいません。
みんな不器用ながらもなんか憎めない人たちなのが伝わってきます。

例えば、スティーブという本好きのおっさん(ただし、こわもて)は、
通っていた図書館が緊縮財政で子ども遊戯室の一角に吸収されてしまっても
あきらめずに子どもたちが騒ぎまわる中、眉間に皺を寄せて読書をし続けます。
想像するだけで笑ってしまうシチュエーションですが、実はこれがいいお話で、
このエッセイは全体的に、何してるのよ〜!と笑いながらも
気づいたら涙も出ていたような感じなのです。

他にも、EU 離脱の是非を問う投票で離脱票を入れたことで
残留派の妻との関係が悪化してしまったおっさんもいます。

エッセイにはこうしたEU離脱をはじめとした様々な問題も描かれており、
おっさんたちの生活を通して今のイギリスを知ることもできます。

例えば、イギリスには誰でも無料で治療してもらえる医療制度があるものの
今や機能していないことで、病院を利用しづらくなっているのだとか。

そしてこれらの問題はすべて緊縮財政のせいだと
ブレイディさんは繰り返しおっしゃっています。

また、音楽が大好きなブレイディさんんらしく
この本にはたくさんの音楽が登場します。

本のはじめには、
「このエッセイには様々な曲が織り込まれていますので、
それを聴き、歌詞も調べていただけると楽しさが倍増するでしょう」
とあるほどです。

タイトルの『ワイルドサイドをほっつき歩け』も
ルー・リードの「ワイルド・サイドを歩け」からきているそうですよ。

様々な音楽に彩られたおっさんたちのエピソードは、
味のある映画のようでもありました。

おっさんたちは、何歳になっても恋をするし、新たな仕事も探すし、
でも体のことも気にしていて、そんなおっさんたちを見ていると
年を重ねるのも悪くないし、この先どんな風にも生きていけそうだなと思えて
本を読んだ後はとっても元気になっていました。

最近、「老害」という言葉でひとくくりにされがちなおっさんたちですが、
この本を読むと、おっさんたちに少しは優しくしてみようかな、と思えるかも⁉


<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

エコバッグフェア


自然環境に優しい店舗を目指して、
紀伊國屋書店は7月1日からレジ袋が有料となります。

現在、店内中央イベントスペースでは、エコバッグの販売を行っています。
この機会にこれからのショッピングにピッタリの一枚をお求めください。

フェアはエコバッグが無くなり次第終了です。


絵本和書洋書併売フェア!


人気の海外絵本と日本の絵本の併売フェアを開催中です。

同じ絵本の英語版と日本語版を見比べてみませんか?
英語の勉強に役立てたり、プレゼントにも最適です。

フェアは、7月5日(日)まで店内中央イベントスペースで開催中です。
※洋書売り場ではありませんのでご注意ください。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 10:12 am

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

先日、約3か月ぶりに映画館で映画を鑑賞してきました。

ステイホーム中、家で何本もの映画を見てきましたが、
やはり映画館の大きなスクリーンで見るのはいいですね。
それも新作を!

座り心地のいいシートに体をうずめて
目に入るのは巨大なスクリーンのみで
近所を気にする必要のない大音量!
そして、薄着だとちょっと寒いくらいの館内。(笑)
映画館では夏も羽織るものが必要なんだったと寒さで思い出しました。
そんなことも含めて久しぶりの映画館を楽しんできました。

また、初体験もありました。
入口で体温チェックがありましたし、
密にならないよう座席は減らされていました。

でも私が利用した日は平日の夕方ということもあり、ほぼ貸し切りでしたが。

今回私が見たのは、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』です。

若草物語は、ルイーザ・メイ・オルコットによる自叙伝的小説で
これまで何度も映画化、アニメ化されてきました。

私はまず、先日BSで放送されていた1949年版の『若草物語』を
おさらいがてら見てから、グレタ・ガーウィグ監督の新作を見てみました。

物語のベースは一緒でしたが、描き方は全然違いました。
新作の方は全体的に瑞々しく、透明感と躍動感がありました。
フレッシュでまぶしくて、まさに「若草」を彷彿とさせました。

そんなスクリーンからあふれ出る瑞々しさもあり
150年前を描いているのに、古さを感じさせませんでした。

それどころか内容も現代的で、今の女性たちの悩みがギュッと詰まっていました。

例えば、小説家になりたい次女のジョーは、結婚はしたくないと言います。
なんなら「自由な中年女になりたい」と。

思わずプッと吹き出してしまいました。
もしや私こそ「自由な中年女」なんじゃないかと思いまして。(笑)
まあ、私の場合、目指してなったわけではなく、
気付いたらこういう生き方になっていたという感じだから、
ちょっと違うかもしれないけど。
でも、「自由な中年女」って今もまだ珍しい存在なのですよね。
150年前から変わらないってどうなんだろう…。
私も差別的なことをよく言われるしなあ。

映画に話を戻します。
ジョー以外の姉妹にもそれぞれ悩みがあり、
生き方は違えど、みんな自分らしくいたいと思っています。

きっと女性の皆さんは、登場人物の誰かに共感するのではないかしら。
私は、やはりジョーかな。

この作品は、女性にとっての普遍的なテーマを
現代的な感覚を取り入れて描いているのがいいなあと思いました。
『若草物語』はこれまで何度も映像化、アニメ化されていますが、
やはり同じものを描いても、その時代の空気感は出ますよね。
新作は、今ならではのテンポやとらえ方が心地よかったです。

映画を見終えた後は、私ももっと自分らしく生きていきたいと思えましたし、
映画館を出る私の足取りもどこか軽やかでした。

◎『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の公式サイトは コチラ

yukikotajima 10:00 am

またね家族

2020年6月10日

6月21日(日)は父の日ですね。

あなたのお父様はどんなお父さんですか?
また、どれくらいの頻度で連絡を取ったり、会ったりしていますか?

今日は、父の日を前に読んでいただきたい一冊をご紹介します。

『またね家族/松居大悟(講談社)』


松居さんは、劇団ゴジゲンを主宰し、
脚本家、映画監督、そして俳優でもいらっしゃいます。

以前、富山出身の作家、山内マリコさん原作の映画
『アズミハルコは行方不明』の監督をされたときには、
graceにもご出演頂きました。

◎graceにご出演頂いたときのブログは コチラ

気さくでとても話しやすい方でした!

そんな様々な分野でご活躍の松居さんによる初の小説が『またね家族』です。

作品を本屋さんで目にして、え?松居さんってあの松居さん?
と思わず手に取って本の帯を見れば、
池松壮亮さん、ジェーン・スーさん、朝井リョウさん、石崎ひゅーいさんのお名前が。
皆さんのコメントを見て、読んでみることにしました。

***

主人公は、小劇団を主宰する武志という24歳の男性です。

福岡から上京して7年目のある日、父から初めて連絡がきます。
その内容は、父は余命3か月で、もって半年らしいというものでした。

武志にとって父親は、中学1年ときに離婚してからは
正月とお盆に親戚で集まる以外で会うことは無いし、
会っても父は必要最低限しか喋らないので、苦手な存在でした。

また、武志は2歳年上の兄のことも苦手です。
10代の頃、不良だった兄のせいで引きこもりになったこともあるため、
武志はずっと兄におびえています。

しかし、武志は余命わずかな父に会いに故郷の福岡に頻繁に帰ることになり、
兄とも連絡を取るようになります。

この息子二人と父親という男性だけの関係がとてもリアルでした。
言葉が足りなかったり、すぐにはぐらかしたり、
逆に状況次第では妙に素直になったり、
そこには家族ならではのノリというものがあって、
その空気感が絶妙でした。

『またね家族』は、そんな家族のやり取りが描かれた小説なのですが、
同時に武志自身の物語でもあります。

武志はとにかく色々うまく行きません。

主宰している小劇団はトラブル続きなうえに
せっかく頂いた仕事も思い通りにいかず、
恋人との関係も変わっていき、
さらに父親は余命わずかという状況です。

武志には常に人の目を気にするところがあります。

自分を大きく見せてしまったり、
かと思えば、この発言で正解だったのか?と気にしたり、
空気を読みすぎて思っていないことを口にしてしまったりします。

そんな武志に私も少しばかりイライラしながら読んでいたところ、
彼は一番やってはいけない、大好きな彼女の前でやらかしてしまいます。

ある日のデート中、日帰りデートだと思っていた彼女に
サプライズで宿を取っていたことを伝えたところ、
喜ばれるどころか、ある理由から「泊まるのは無理!」と言われてしまいます。
そして嫌な雰囲気に…。

どんな理由かは本を読んで頂きたいのですが、
私もこの状況なら彼女と同じことを言ってしまうかもなー。

彼には良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうことがあるのですね。

とは言え不器用な武志も様々な経験をしていく中で、少しずつ変わっていきます。

大好きな演劇のこと、彼女のこと、
そして、苦手な家族のこと。

武志はそれぞれの問題とどのように向き合っていくのでしょうか。
ぜひ本のページをめくって彼の頭の中を覗いてみてください。

***

いい本でした。
まあ最初は、いちいちめんどくさい男だなあとは思いましたが。(笑)
でも、武志になんかイライラしたのは、
もしかしたら私にも似たところがあるからなのかもな。

泣いたり笑ったり怒ったり熱くなったり
読者である私の感情も変化しっぱなしで
最終的には心が程よくマッサージされた気分でした。

この本は、ぜひ父の日の前にお読みください。

父のことはどちらかというと苦手という方も
本を読んだ後は、まあ久しぶりに連絡くらい取ってみようかな…
という気持ちになっているんじゃないかな。

それから、お父様のことだけでなく、仕事や恋人との関係など
色々うまくいかないという方もぜひ〜。

***

<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

オレンジページ・キッチングッズ販売中!

オレンジページのオンラインで販売しているキッチングッズが
紀伊國屋書店富山店でも販売されています。

人気のメジャーカップや計量スプーンなど
お料理がはかどりそうなグッズ20点を販売中です。
この機会にぜひお求めください。

キッチングッズは、実用書横の柱前で買うことができます。


絵本和書洋書併売フェア

現在、人気の海外絵本と日本の絵本の併売フェアを開催中です。

同じ絵本の英語版と日本語版を見比べてみませんか?
また、英語の勉強に役立てたり、プレゼントにも最適です。

フェアは、7月5日(日)まで中央催事コーナーで行われます。
※洋書売り場ではありませんのでご注意ください。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00

◎HPは コチラ

yukikotajima 10:00 am

『The Young Women’s Handbook』

2020年6月4日

昨日のキノコレは、美容整形がテーマの湊かなえさんの小説
『カケラ』をご紹介しました。

◎『カケラ』の感想は コチラ

登場人物たちは皆、太ってるとか目が一重とか
それぞれ容姿に関する悩みを抱えています。
そのことで悲しい出来事を引き起こしてしまいます…。

私は『カケラ』を読んだ直後に、ある本を読んだのですが、
もしこの本を『カケラ』の登場人物たちが読んでいたら
結末はきっと変わっていただろうなと勝手に妄想してしまいました。

今、何かしら生きづらさを感じている女性の皆さんに
読んで頂きたい一冊があります。

それは、富山市出身の作家、山内マリコさんの最新エッセイ

『The Young Women’s Handbook〜女の子、どう生きる?(光文社)』


です。

このエッセイは、山内さんが2018年から2019年にかけて
雑誌『JJ』で連載していたものをまとめたものです。

『JJ』読者層の25歳の女性向けと言いつつも
年齢は問わず「女子が生きていくうえで大事だ」と思うことを書いたそうですので
30代以上の方も私はもう若くないし…と思わずに読んでみてください♪

私は山内さんと同世代のアラフォーですが、読んだ後は元気が出ましたよー。
程よく肩の力が抜けた上で前向きな気持ちになれました。

エッセイは全部で19あり、例えば「SNS」に関しては、
「スルーする力」を身につけるのが大事だと思う、と言います。
SNS疲れの症状が出たらシャットアウトして、本でも読むのがいちばんだと。

また、SNSの「いいね!」に関しても、他人からの評価じゃなくて
自分で自分を「いいね!」と思えたほうが良くない?と。

山内さんは「こうすべき」とは言いません。
こうしてみたら?と提案はするけれど、決して高圧的ではなく、
読者に優しく寄り添っていて、しなやかな印象です。

それから、この本は本の装丁も素敵です。
表紙はまるで手帳のようなお洒落なデザインなのですが、
これは山内さんが愛用しているフランスのノートブランド、
クレールフォンテーヌのマドラスノートと同じものなんですって。

また、ページをめくると罫線が引かれていますし、
本の大きさも手帳サイズで、まさにノートのようです。
山内さんは、この本を持ち歩いていつでも本を開いてほしいそうですよ。

気軽に読める一冊ですので、読書はちょっと苦手という方も
バッグに入れて気が向いた時に読んでみてはいかがでしょう?
読んだ後はきっと心が軽くなるはず。

そして、この本を読んだら私の番組『grace』宛に感想を頂きたいところですが、
ここはぜひ山内さんの番組『山内マリコのオッケイトーク』宛にお送りください。
もしかしたら山内さんが番組で感想を取り上げてくださるかも♪

◎『オッケイトーク』のサイトは コチラ

yukikotajima 11:41 am

『カケラ』

2020年6月3日

最近、よく聞く「コロナ太り」。

私もステイホームで運動不足のうえに
普段しないお菓子作りをしたり
テイクアウトを利用したり
そのテイクアウトが美味しいからお酒もすすみ…
まあ、要するに食べ過ぎまして
トレンドの最先端におります。(苦笑)

体重計の数字を見て
「え?もうこれはアウトじゃん!!!」
と慌ててダイエットを始めました。
毎日腹筋を鍛える筋トレをしているため、ずっと筋肉痛です。

アラフォーになってからほんとーに痩せなくなりました。

でも、それは私だけではないようでして、
中には美容クリニックに行きはじめる人もいるようです。

今日ご紹介する本は、「美容整形」がテーマの小説です。

『カケラ/湊かなえ(集英社)』


こちらの本は、紀伊国屋書店富山店 奥野晃英さんオススメの本です。

奥野さんのコメントです。

***

大量のドーナツに囲まれて亡くなっていた少女。
その真相に隠された「美容」と「容姿」を求める者が抱える闇。

インタビュー形式で進む本編が、
あなたをじっとりとした「いやミス」の世界へと誘います。

梅雨を前に、じっくりと本の世界に耽溺したい方にお勧めの1冊です。

***

湊さんといいますと、映画化もされたデビュー作の『告白』が有名ですが、
今回の『カケラ』も『告白』と同じ独白スタイルで物語が進んでいきます。

この独白、一人語りは、湊作品にはおなじみのスタイルです。

今回も章ごとに語り手が変わっていくのですが、
全て美容クリニック医師の久乃(ひさの)が聞き手のインタビュー形式です。

とはいえ、久乃自身の喋りは、プロローグ、エピローグのみで
本編は、喋り手たちの語りのみで構成されています。

まず第1章は、痩せたいとクリニックを訪れた幼なじみ志保の語りです。

彼女は昔は「トリガラ」と言われるほどに華奢だったのに
アラフォーになって、かなり太ってしまったのでした。(わーかーるー!)

志保は、自分が太った理由や過去の出来事などを
何度も脱線しながら久乃に語るのですが、
最後に小学校時代の同級生の八重子の話になります。

どうやら八重子の娘が高校卒業後に亡くなったようだと。
それも自殺で、大量のドーナツに囲まれていたらしいと。

ドーナツは少女の大好物で、
彼女は明るい性格でみんなから好かれていたそうです。

そんな彼女がなぜ亡くなったのか?

久乃は、少女やその母親の八重子の関係者たちから話を聞いていきます。
少女の同級生、中学・高校時代の先生、母親の同級生など。
女性もいれば男性もいます。

登場人物たちはみんな容姿に悩みを抱えています。
例えば、女性は太っていることや一重の目や鼻の低さを
男性は身長が低いことを悩んでいます。

一方、彼らの聞き手の久乃は誰もが美しいと感じる容姿です。
そして、医者であり、テレビにも出演し、執筆した本は話題となる有名人です。

ですから、みんな久乃に対していい印象を持っておらず、
どうせ私なんてデブでブスですよ!というひねくれた態度です。
子どもの頃、久乃によって傷つけられたと言う人も少なくありません。

もうね、出てくる人みんな感じ悪いです!
そんな言い方しなくてもいいのに…と何度思ったことか。

でも、感じが悪いながらもみんな自分が
少女やその母親について知っていることを久乃に語ります。

果たして少女が亡くなった理由とは?
また、本のタイトルの「カケラ」とは?

***

いやあ、本当によく喋る人たちでした。

次々に出るわ出るわ、愚痴に嫌味にひがみ。
まあ、女性同士の会話ではよくあることですが。(笑)
それにしてもすごかったです。

でも、意地悪な感情もわからなくもないのです。

この物語はフィクションだけど、
登場人物たちの感情はとてもリアルで、
彼らに触発されて、ブラック田島が何度も姿を現しました。(笑)

また、全員が容姿に悩んでいるのも印象的でした。
良くも悪くも人間の本性が詰まった一冊でした。

痩せたいとか、キレイに見せたいとか、
何かしら外見の悩みを抱えている方は
読んでみてはいかがでしょう。

読んだ後は、きっと「美しさ」へのとらえ方が変わっているはず。
私は変わりました。
どう変わったかはネタバレに繋がってしまうので言いませんが、
いいほうに変わったと思います。
で。
私のダイエットですが、
私は私なりの方法で続けていきます!
自分が納得のいくところまで頑張ってみようかなと思います。

***

<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>

オレンジページ・キッチングッズ販売中!

オレンジページのオンラインで販売しているキッチングッズが
紀伊國屋書店富山店でも販売されています。

人気のメジャーカップや計量スプーンなど
お料理がはかどりそうなグッズ20点を販売中です。
この機会にぜひお求めください。

キッチングッズは、実用書横の柱前で買うことができます。


絵本和書洋書併売フェア

人気の海外絵本と日本の絵本の併売フェアが開催されます。

同じ絵本の英語版と日本語版を見比べてみませんか?
また、英語の勉強に役立てたり、プレゼントにも最適です。

フェアは、6月7日(日)〜7月5日(日)まで
中央催事コーナーで行われます。
※洋書売り場ではありませんのでご注意ください。


<紀伊国屋書店富山店>

住所:   富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜18:00

※当面の間、午前10時から午後6時までの短縮営業です。
ご利用の際はご注意ください。

◎HPは コチラ

yukikotajima 11:02 am