ブログトップページはコチラ

2016年 超個人的ブックランキング!

2016年12月28日

毎年、その年最後の「ユキコレ」では、
その年に私が読んだ本の中から
良かったと思う本を選んで発表しています。

あくまでも私の好みで選んでいますので、
「なんでこの本を選んでいないんだ!」
「ラジオであんなに熱く紹介していたのに選ばれていない…」
とカッカなさらずに、
「へえ、田島はこういうのが好きだったのね」
くらいの気持ちで受け止めていただけたらと思います。

と言いつつ、今年も難しかった。
いいなと思う本を挙げていったら
あっという間に10冊を超えてしまいましたもの。(笑)

本当は、直木賞や芥川賞受賞作の中にも
選びたい本があるのですが、あえて外しました。
私が紹介しなくても、もうみなさんお読みかなと思いまして。

ちなみに今年は5冊選びました。

※本のタイトルの下のリンクをクリックしていただきますと、
 過去に私が書いた感想が読めます。

***

1位:『マチネの終わりに/平野啓一郎(毎日新聞出版)』
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=6123

こちらは、今年ブームとなりましたので
あえて私が選ばなくてもいいかなと思ったのですが、
でも、いいものはいい!ということで。

私は時間を忘れて没頭しました。

この本を読まれる際は、CDとセットでどうぞ。


2位:『残り者/朝井まかて(双葉社)』
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=6180

大奥で働く女性たちの物語。
働く女性たちにぜひ読んで頂きたい!

舞台化してほしいな。

3位:『当確師/真山仁(中央公論新社)』
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=5953

選挙の裏側が描かれた小説。

弱さ、強さ、ずるさ、面白さなど
人間のいろいろな面に触れることができる一冊です。

ハラハラドキドキのストーリーも楽しかった!


4位:『暗幕のゲルニカ/原田マハ(新潮社)』
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=6022

ピカソのゲルニカを取り巻く物語。

ストーリーが面白いのはもちろん、
表現のリズムが心地いいので、
読んでいて気持ちよかったです。


5位:『猿の見る夢/桐野夏生(きりの・なつお)(講談社)』
http://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=6352

今年らしい「ゲス」な男のお話です。

「人間」のいろいろな面をのぞけるあたりは、
『当確師』と少し通ずるところがあるかも。


***

以上、今年の私の5冊でした。
よかったら読んでみてね♪

今年も私のつたない本紹介にお付き合いくださり、
ありがとうございました。

また来年もこちらのブログ&ラジオで
本紹介を続けていきますので、
ぜひお付き合いください。

それでは、よいお年を〜。

yukikotajima 11:26 am

静かな雨

私が今年最後にご紹介する本は、
宮下 奈都(みやした・なつ)さんの新作です。

宮下さんといいますと、
去年発売された『羊と鋼の森』が今年の本屋大賞を受賞し、
話題となりました。

私も『羊と鋼の森』の大ファンでして
ラジオでも勝手に大プッシュ。(笑)

◎私の『羊と鋼の森』の感想は コチラ

ちょうど一年前のこの時期は、
番組宛に本を読んだ感想がたくさん届き、
毎週のように『羊と鋼の森』の話をしていました。

そんな宮下さんの新作が出たとなれば
読まずにはいられません!

タイトルは『静かな雨(文藝春秋)』です。

この本は新作と言いつつも
宮下さんが書かれたのは10年以上前のことなんだとか。

2004年に「文學界」の新人賞の佳作に選ばれた作品、
つまりデビュー作です。

そんな幻のデビュー作が今月発売されました。

『静かな雨』は、たいやきが食べたくなります。(笑)
それもこの作品の中の、こよみさんが作ったたいやきが。

どうにかして誰か再現してくれないかしら。

宮下さんがお住まいの福井に、
モデルとなっているたいやきがあるのなら食べに行きたい。

***

『静かな雨は』は、
たいやきを作っているこよみさんと、
そのたいやき屋さんの常連の男性、行助(ゆきすけ)の物語で、
行助目線でお話がすすんでいきます。

行助は、こよみさんの作るたいやきのファンであり、
こよみさん自身のファンでもあります。

そんな行助をおせっかいながらも
一応アシストしているのが、
彼のお姉さんです。

このお姉さんとのやり取りが
まるで私と弟のやり取りと似ていて
他人事とは思いませんでした。

弟のことを心配してはいるものの、
基本的には上から目線で大変マイペースなあたりが…。(笑)

そして、行助が思いを寄せるこよみさんが、
これまたかっこいい女性です。

先日のgraceにも
「学生時代の勉強って大人になってから役に立つの?」
と子どもから聞かれたというママからのメッセージが届いていましたが、
こよみさんのたいやき屋さんを訪れた高校生も同じことを言っていました。

それに対するこよみさんの答えが素晴らしかった。
その通りだなと思って。

気になる方は、ぜひ本を読んで確認してみてください。

ちなみに、大変短い作品ですので、
ストーリーが紹介しづらい。

できれば、本のページをめくりながら
じっくり味わってみてください。

年末年始は、バタバタしていて読書する時間なんてないっ!
という方でも無理せず読める長さですので、
何か本読みたいけれど、長編は無理という方にこそぴったりの一冊です。

お時間のある方はそれこそ繰り返し読んでもいいでしょうし、
『羊と鋼の森』と合わせて読んでみてもいいかも。

ちなみに、宮下さんのおっしゃることには、
「『静かな雨』は『羊と鋼の森』と
根っこがしっかりとつながっている」そうですよ。

yukikotajima 11:18 am

よるのばけもの

2016年12月21日

今日のキノコレ(grace内コーナー13:45頃オンエアー)で
紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、
『君の膵臓をたべたい』、『また、同じ夢を見ていた』
といった話題作でおなじみの住野よるさんの新作です。

その名も『よるのばけもの』です。

本については是非今日のキノコレを聞いてください。
また、 コチラ でも奥野さんが詳しく紹介されていますので、
是非チェックしてみてね!

***

私も『よるのばけもの』を読みましたので、軽く感想を。

主人公は、夜になると化け物になるという男子中学生です。

化け物の彼は、夜の教室でクラスメイトの女子と会い話をするようになります。
でも、わけあって彼女とのコミュニケーションは夜限定なのですが。

本を読みながら、何度も本の世界に入り込んで、
どうにかしてあげられないものかと思いました。

でも、そんなおせっかいをしなくて本当によかった。

(まあ、そもそも本の世界に入って
 勝手に物語を変えることなんてできませんが。笑)

この物語では、中学生たちが
自分の言動に対して毎回正解かどうか気にしています。

こっちの答えで合ってる…?
と周りの目を気にしながら。

面白くないのに笑って、
興味もないのに話題についていくためにドラマを見てと、
自分の心と反対のことを言ったりしたりしてばかりです。

そんな中学生たちの毎日が綴られています。

10代の頃は本当の自分っていったいどんな自分なんだろう?
と誰もが一度は考えたことがあるんじゃないかしら?

この本に出てくる中学生も同じことで悩みます。

悩みぬいた結果出した答えは…

この続きは本を読んでたしかめてください。

そうそう!

『よるのばけもの』は、最後のページまでしっかり読んでくださいね。
ラスト1ページを決して忘れることのないよう。

この本、いずれアニメ映画化されそうな予感がするなあ。

***

今日のキノコレでは、
紀伊國屋書店富山店の2016年の売上ランキング
もご紹介します!

私、田島の2016年ランキングは、
来週28日(水)のユキコレでご紹介しますので、
どうぞお楽しみに〜♪

yukikotajima 11:17 am

おんなの城

2016年12月14日

今年のNHK大河ドラマ『真田丸』、ご覧になってますか?
いよいよ今度の日曜日、最終回ですね。

私も毎週見ていましたので
終わってしまうことに寂しさを感じつつも
来年の大河ドラマにも期待しています。

2017年は『おんな城主 直虎(なおとら)』です。

戦国時代に男性の名前で家督を継いだ女性、
井伊直虎(いい・なおとら)の物語で
主人公の直虎を柴咲コウさんが演じます。

今日ご紹介する本は、
この直虎をはじめ、
戦国時代にそれぞれの方法で城、
つまり家を守ろうと戦った
3人の女性の物語が収録された
『おんなの城(文藝春秋)』です。

著者は、2013年に『等伯』で直木賞を受賞した安部龍太郎さんです。

戦国時代、女性にとっての結婚は政略結婚がほとんどでした。
嫁入りとは、すなわち人質であり、
結婚は幸せなものではありませんでした。

でも、女性たちはつらい状況の中でも
自らの運命を受け入れ、強く生きていきました。

この本に出てくる3人の女性たちも
男性の言いなりになっているだけではなく、
自分にとって何が正しい選択なのかしっかり考えた上で
自分の人生を選び取っています。

実際、『おんなの城』に登場する一人の女性は信長に逆らっていますしね。
あの、信長にですよ!

3つある物語のうち、私が一番好きなのは
来年の大河ドラマの主人公、井伊直虎の物語です。

ちなみに直虎は名前は男性ですが、女性です。
女性でありながら父の跡を継いで当主となるのですが、
この直虎がとにかくかっこいいのです。

女性の自分がいきなり一族を率いていかなければならなくなり、
不安で押しつぶされそうになるものの、
他人には決して弱みを見せず冷静に判断していく様のなんと凛々しいことか。
惚れ惚れとします。

もちろんかっこいいだけでなく、
女性としての柔らかさや心配りもあります。

とは言え、できる女性は、男性から煙たがられがちですが、
直虎は、男性からも好かれます。
まあ、中にはアホな男もいますが。

ちなみに、家康には信頼され、さらに愛されます。
しかも家康は年下です。

つまり、直虎は人としてかっこいいだけじゃなく
女性としても魅力的ということです。

素敵すぎません??

そうそう!
『おんなの城』は戦国時代の女性たちの物語ですが、
今の時代とも重なる部分が多々ありました。

女性の悩みは、いつの時代も変わらないのかもな。

理不尽なことばかりの戦国時代に
女性たちがどのように生き抜いたのか、
本のページをめくって確かめてみて下さい。

きっと戦国時代の女性たちから力をもらえると思います!

また、この本を来年の大河ドラマの予習も兼ねて読んでみるのもいいかも。
私はこの本を読んで大河ドラマを見る楽しみが増しましたもの。

それから、この本には戦国時代の能登の物語もあるのですが、
なんと越中射水の武将、神保 長職(じんぼ・ながもと)も出てきます。
また、安倍さんの直木賞受賞作『等伯』の主人公、長谷川等伯も登場しますので、
富山にお住まいの皆さんはもちろん、
『等伯』ファンの皆さんも楽しめると思います!

12月の忙しい時期に本なんて読む暇ないよー
という方でもご安心ください。
この本は、短めの作品が3篇収録されていますので、
少しずつ読むことができます。

yukikotajima 11:29 am