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しょうがの味は熱い

2013年2月6日

今日のキノコレ(13:45頃オンエアー)は、
紀伊國屋書店富山店の橋本さんから、

綿矢りささんの新作 『しょうがの味は熱い(文藝春秋)』
20130206kinokore.jpg

をご紹介いただきます。

◎橋本さんの推薦文はコチラ
⇒http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_info_1850.html

私も読みましたので、軽く感想を。

人の気持ちはロボットではないから、日々、変化していきます。

例え、好きな人と付き合うことになったとしても、
心から安心できなくて嫌われないようにと頑張って空回ってしまったり、
逆に、その人の嫌な部分ばかりが目についたりすることもあります。

また、なんでこんな人を…と思った直後に、やはり好きだ、とも思う。

そんなふわふわ揺れ動く気持ちは、
きっと誰もが味わったことがあるのでは?

『しょうがの味は熱い』は、ある男女の同棲物語です。

彼のことが大好きで、結婚したくてたまらない女性と、
結婚のことを話し合うより、翌日の仕事のために寝る時間を確保したい男性。

それぞれの視点で物語は描かれます。

だからとても公平な物語です。
男女のどちらが読んでも楽しめると思います。

本を読みながら、よく知る人の顔、
例えば、自分や友人や恋人の顔が思い浮かんでくることでしょう。

まるで自分の心をのぞかれているような、
そんな感覚になる方もいるかもしれません。

私は、恋に悩むある女性の姿が重なりました。

彼女の話を聞きながら、

「好き同士の二人なのに、
 どうしてお互いそんなにすれちがってばかりなのよ、もー!」

と思うことが多かったのですが、
この本を読みながら、私は同じ気持ちになり、
いちいち本に突っ込みを入れてしまいました。(笑)

でもね。
その突っ込みに対する答えが、この本にはあるんですよ!

なぜなら、この本はどちらか一方の視点だけではないから。

「で、あんたはどうなのよ?」
と男性の話を聞きたいなと思ったタイミングで
男性視点の話が始まるのです。

そして、なるほどあなたの不機嫌の理由はそういうことか、
と納得し彼女贔屓だった心がニュートラルに戻っていきます。

ね?面白いでしょ。

実際はお互いの気持ちをのぞくことはできないじゃないですか?

なんでこの人は怒っているんだろう?
と想像することしかできない。

「一度、この人の心の中をのぞいてみたい」
と思ったことは、ありませんか?

本なら、それができちゃうんですよ!

綿矢りささんの場合、
独特な綿矢節、言葉選びや言葉のリズムも楽しめるので、
さらに濃い時間が楽しめます。

あ、でも同時に現実を知ることにもなりますが…。(笑)

よく結婚している人が言いますよね?

結婚したからって、世界がバラ色に変わるわけじゃないとか、
結婚はゴールじゃなくてスタートだとか。

そういう現実が描かれています。

もし今、恋愛において、
心が一人暴走気味という方がいれば、
この本のページをめくってみてください。
逆に冷めすぎの方もぜひ。

読み終えた後、あなたの心にどんな変化が生まれるかな?

それにしても、綿矢りささんって、今年29歳なのか。
『インストール』でデビューした時は高校生でしたよね。
はやいなあ。

yukikotajima 11:21 am