23『始祖鳥記』
2011年5月4日
GW〜。
今年は、どんなGWを過ごしていますか?
私は、前半は、実家の群馬に帰って、食べてばかりの日々を過ごし、
富山に帰ってきてからも、友人とご飯を食べ、と、
相変わらず、食べてばかりのGWを過ごしています。
食べる!と言えば、
今週のgraceは、午後3時から、
「サンレポとやま」をお休みして、かわりに、
「3時のおやつ♪」をお送りしています。
是非、おいしい「おやつ」をおしえてくださいな。
オススメのおやつをまってま〜す。
いえいえ、おやつ情報をお待ちしています!(笑)
また、「3時のおやつ」を教えて下さった方の中から、気まぐれで(笑)、
FMとやま特製ボールペンをプレゼントしますので、
プレゼントを希望される方は、〒・住所・お名前・電話番号をお忘れなく♪
■メッセージは、grace宛に送ってね。
http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_22.html
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さて、私のGWは、食べるだけでは、もちろんなく、
本も読んでいます。
何冊か読みましたが、今日は、その中から、
「ユキコレ(13:45〜オンエアー)」で紹介する1冊をご紹介しましょう。
『始祖鳥記(しそちょうき)/飯嶋和一(いいじま・かずいち)』
私の読書アドバイザー(勝手に命名)である、紀伊國屋書店富山店の朝加さんに、
GWにじっくり読むのにいい本はないか尋ねたところ、
教えていただいたのが、「始祖鳥記」でした。
本の表紙を見れば、
「全日本人必読!」「感度に、鮮度!」などと、
心そそられる言葉が書かれています。
2002年に小学館文庫から出ていますし、
様々なメディアで取り上げられ、話題になったようですので、
既にお読みになっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ひと言でいえば、江戸時代後期に、ただ大空を飛ぶために生きた、
「鳥人」幸吉(こうきち)の生きざまを描いた本です。
大きな凧を揚げるのではなく、
自らが凧を持って空を飛ぶ。
そんな夢をかなえるべく、夜な夜な高いところから飛び降りる幸吉。
ただ、空を飛びたい。
そんな純粋な思いで空を飛ぼうとしてだけなのに、
いつからか妙なうわさが広がります。
「イツマデ、イツマデ」と叫びながら、
腐敗しきった悪政がいつまで続くのか空から叫ぶものがいる、と。
江戸の後期。
災厄続きで、人々の暮らしは辛い時代。
そんな時代に勇気のある人もいるもんだ、と、
本人の知らぬうちに、幸吉は英雄視されるようになります。
その後、色々あって、
幸吉は、鳥人の過去を隠し、
場所を変え、仕事を変え、生きていきます。
しかし、日本中どこにいっても、鳥人のうわさを耳にします。
それは、悪い噂ではなく、どちらかというと、好意的なもの。
皆、鳥人の生きざまに影響を受け、
腐りかけそうになった自分自身を鼓舞し、
再度、自分の進むべき道を信じて向かっていきます。
自分の意図とは関係なく、
たくさんの人の心を動かしていく幸吉。
でも、そういうことってありますよね。
たまたま耳にした言葉や行動から心を動かされること。
例えば、近くにいた子供が発した何気ない一言からハッときづかされたり。
でも、子供は、まったくそんなことを意図しているはずもありません。
この本は、幸吉が軸になっていますが、
1人称はころころ変わっていき、たくさんの人間が登場します。
そして、皆、何かしら、幸吉から影響を受けます。
500ページにも及ぶ大作で、読み応えもあり、
軽くさらっと、という気分では読めませんが、
だからこそ、時間の取れる連休などに、
じっくり読むにはふさわしい本ではないかなと思います。
読み終えた後、自分の顔を鏡で見てみると、
凛々しい表情になっていることに気付くかもしれません。
辛い時代をたくましく生きた男たちの物語です。
彼らの生きざまにぜひ触れてみてください。
500ページ分もあるため、紹介も長くなってしまったようです。
すみませぬ。