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『イコ トラベリング 1948ー』

2022年11月23日

今、夢に向かって勉強や就職活動を頑張っている方もいると思います。

私ならできる!と前向きな気持ちになる日もあれば、
私なんてダメだ…ととことん落ち込む日もありますよね。

私もそうでした。特に就職活動中は浮き沈みが激しかったなあ。

今、どちらかというと自信を無くしつつある方は、ぜひこの本を読んでみてください。
きっと夢に向かって歩みを進めたくなると思います。

『 イコ トラベリング 1948ー / 角野栄子 【KADOKAWA】 』

角野栄子さんは、ジブリアニメ作品として映画化された
『魔女の宅急便』の著者として知られる世界的児童文学作家です。

なんと御年87歳!
でもテレビで拝見するお姿は若々しく
春の若葉やお花のような瑞々しさを感じます。
私もこんな風に年を重ねていきたいと思うような素敵な女性です。

最新小説は、角野さんが戦争をテーマに執筆された
『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語です。

『トンネルの森 1945』は、
イコという名の少女が経験した戦争について書かれた物語で、
当時十歳だった角野さんが実際に見たり感じたりしたことを
そのまま物語にされたそうです。

私は最新小説の前にまずこちらの物語を読んでみたのですが、
主人公の少女イコの誰にも言えない本音がそのまま書き起こされたような小説で、
何度もイコを抱きしめたくなりました。

また、「こんなご時世」という言葉が何度も出てくるのも印象に残りました。
まさに、こんなご時世ににこそ多くの方に読んで頂きたい一冊だと思いました。

***

そして、最新小説の『イコ トラベリング 1948ー』では、
イコは中学二年生になっています。

成長したイコちゃんを知って「大きくなったねぇ」と、
まるで親戚のおばさんのように嬉しくなってしまいました。

ですが、気付いた時には私自身をイコと重ねながら読んでいました。
時代は違えど学生時代の私と重なるところが多く、
当時感じた痛みや喜びがよみがえってきて、何度も胸がじわりと熱くなりました。

物語の舞台は戦後の日本です。
終戦後、町も人も価値観もものすごいスピードで変わっていきます。

でもイコは、戦争への不安が消えず、悪いことがまた起きるのではと思っています。

そんなある日、英語の授業で習った【〜ing=現在進行形】に衝撃を受け、
私も「今しつつある」という現在進行形で生きていきたい!と思います。

そして英語も好きになるのですが、
気持ちは募るものの特に何かを始めることはしません。

ですが、学校の友だちや先生がイコの世界を広げるきっかけを作ってくれます。

イコは好奇心旺盛な上に素直なところがあるので、
「いいっ!」と思ったら行動が早いのです。

そして、イコは「いつかどこかへ行きたい」と思うようになります。
それも「ひとりで」。
とは言え、日本からの海外渡航は許されない時代です。
イコは時には足踏みをしたり、進む方向を変えたりしながら前へと進んでいきます。

そう。イコはいつでも「前向き」なのです。

不安を感じても前向きな考えで打ち消していきます。
不安を好奇心に変えちゃうのです。
それがとても気持ち良い!

よく「ポジティブな言い方に変える方法」と言ったようなハウツー本がありますが、
イコの思考に触れたほうがきっと役に立つと思うわ。

でも、私はイコが完璧じゃないところも好きなのです。
だから自分と重ねてしまったのかもな。

重ねたといっても今の私は少女ではなく、年齢だけ見れば立派な大人です。
でも、この小説を読んで、私もイコちゃんのように
この先もずっと好奇心を忘れずに現在進行形で進んでいきたいと思いました。
それこそ、今も現在進行形で輝きつづける角野栄子さんのように。

この本を読んだ後は、きっと心も足取りも軽くなるはずです。

自分の進むべき道に悩む若い方はもちろん、
大人の皆さんにもぜひ読んでいただきたい一冊です。
できれば『トンネルの森 1945』もあわせてお読みください。

yukikotajima 1:45 pm