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ファーストラヴ

2018年8月1日

今日のキノコレは、紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
先日、直木賞を受賞した話題作

島本理生さんの『ファーストラヴ』

をご紹介いただきます。

◎奥野さんの推薦文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。

女子大生が父親を刺殺した容疑で逮捕されるという事件が起きます。
主人公は、この事件をテーマとした本の執筆を依頼された臨床心理士の女性です。

「殺した動機が分からないから、そちらで見つけて」
という女子大生と面会を重ねていくうちに
少しずつ彼女の過去が明らかになっていきます。

また、臨床心理士自身の過去も徐々にわかってきます。
ページをめくりながら、女子大生の動機が気になりつつも
臨床心理士も何かを抱えているよね?
と思わずにはいられず、モヤモヤが続きました。

だからこそ、登場人物たちの本音がわかった時は、
待ってました!とばかりに、より作品に没頭。
物語の空気ががらりと変わるあの瞬間が、私は大好きです。

島本さんの小説は、複雑な心の動きがとてもリアルなんですよね。
心は常に同じではなく揺れるものです。
その微妙な揺れの描き方が抜群です。

言ってみれば読書は文字を目で追っているだけですが、
それは人の心の中を覗いているということでもあるのですよね。
堂々と心の中を覗けるものは、読書くらいだと思います。

そういう意味でも読書の面白さを感じた作品でした。

最後になりましたが、
島本さん、直木賞受賞、おめでとうございます!

yukikotajima 12:46 pm