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帝国ホテル建築物語

2019年10月16日

今日は綺麗な青空がひろがっていますが、
先日の台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。

被害にあわれた皆様に心からお見舞い申し上げます。

富山でも台風の影響を受けたという方いらっしゃいますよね。
何かが壊れたり、仕事や予定が変更になったり。
また、北陸新幹線も利用できなくなってしまいました。

困難が続く日本ですが、決して投げやりにならず
前を向いていかなければいけません。

だからと言って、なんでも一人でやるのではなく、
できる人に任せたり、人に頼ったりすることが
いかに大事かということをこの本を読んで気づかされました。

『帝国ホテル建築物語/植松三十里(うえまつ・みどり)【PHP研究所】』

先日、紀伊国屋書店富山店に行ったときに
書店員の皆さんにおすすめされた一冊です。

東京にある帝国ホテルに、あなたは泊まったことはありますか?
私はありませんが、これまでチャールズ・チャップリン、ヘレン・ケラー、
ベーブ・ルースら米大リーグ選抜野球チームなどが泊まったことがあるそうです。
まさに歴史上の有名人ばかりですね。

この作品は、帝国ホテル本館建設に関わった男たちの物語で
史実がベースになっています。

なお、この本館と言うのは、現在の建物ではなく、
1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、
通称「ライト館」のことです。

今、このライト館は愛知県の明治村にあります。

物語は、古くなったライト館を取り壊して
明治村に移築することになるかもしれず、
これは大変だ!というところからスタートします。

なぜ大変なのか?
それは作りが立派過ぎるからです。
無事移築できるのか?
そもそもライト館は明治ではなく大正の建物です。
さて、無事ライト館は移築できるのか?

物語は、大正時代にさかのぼります。
ニューヨークで古美術商をしていた林愛作(はやし・あいさく)は、
帝国ホテルの支配人として招かれます。
新館を建てるにあたり、古美術商としての感性をいかしてもらいたい、
と言われた愛作は、悩んだものの結局は支配人を引き受け、
世界的建築家のフランク・ロイド・ライトに新館の設計を依頼します。

親日家のライトならきっと日本人が気づかない日本的な魅力を
形にしてもらえそうな気がする!と期待して。

実は、愛作とライトは友人同士なのでした。

だからと言って、このプロジェクトがスムーズにいったかと言えば、
まったくそんなことはなく、困難の連続でした。

ライトは、完璧主義だったのです。
絶対に手を抜かない。
また、感覚を大切にする人なのです。
でも、それをうまく伝えることができない。
だから、日本人の職人たちと衝突してばかりです。

ライトを支えるフランス人のスタッフがこんなことを言っています。
「フランスではもっといいアイディアが浮かんだら、ためらいなくやり直す」と。
ライトはアメリカ人ですが、感覚はフランス的だったようです。

せっかくここまで作ったのに…とか
昨日と言っていることが違うじゃないか!
などと思ってしまう日本人に対し、
ライトは、妥協はしない!という思いだけで突き進んでいきます。

また、地震や火災も次々に襲い掛かります。

そして、ライト館の建築に関わる人たちも変化していきます。

本を読みながら「もう無理なのでは?」と
私自身、何度もあきらめそうになりました。

男たちがいかにしてライト館を作り、そして守ったのか。

この本を読んだ後は、きっと前を向く力をもらえると思います。

また、愛作の仕事から学ぶことも多々ありました。
支配人になった愛作は、思い切った改革を色々しました。
ホテル内にランドリーや郵便局を作ったのです。
その方が便利だからという理由で。
不便なことに対して不満を言うのではなく、
どうしたらスムーズに仕事ができるのかを常に考えているのですね。

それから、この愛作の出身地が今の群馬県太田市でした。
私、田島と同じなのです。知らなかったー。
こんな素晴らしい方と同郷だったなんて。
私も愛作さんのように柔軟な発想で仕事をしていきたい!

最近、何かに対してあきらめそうになっている方がいたら、
ぜひ『帝国ホテル建築物語』を読んでみてください。
きっと、本を読み終えたとき、よし!やるかっ!と思えるはずです。

と同時に私は、帝国ホテル中央玄関のある明治村にも行きたくなりました。
いつか行ってみようっと。

yukikotajima 12:10 pm