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リボン

2013年5月8日

私の存在価値って何だろう?

と考えたことは、誰でも一度はあるのではないでしょうか。

私もあります。

でも。

「そこにいるだけでいい」でいいのだそうです。

作家の小川糸さんは、

「すべての生きとし生けるものは、
 ただそこにいるだけで、
 使命を全うしているのではないかと思う」

とおっしゃっています。

今日のユキコレ(『grace』内コーナー13時45頃〜オンエアー)
でご紹介するのは、そんな小川糸さんの新作『リボン』です。

小川糸さんというと、映画化もされた『食堂かたつむり』が有名ですね。

私も読みました。

◎私の『食堂かたつむり』の感想はコチラ

さて。

先月発売されたばかりの小川糸さんの新作のタイトルは、

『リボン』です。

ポプラ社から出ています。

柔らかなタッチの鳥のイラストが目を引くオシャレな装丁です。

130508yukikore.jpg

本のタイトルの『リボン』は、鳥、オカメインコの名前です。

簡単にストーリーをご紹介しましょう。

鳥が大好きな少女とおばあちゃんは、
家族に内緒で小さな鳥の卵を大切に育てます。

そして、生まれたのが、オカメインコのリボンでした。

少女とおばあちゃんは、それはそれは大事にリボンを育てました。

卵が孵るまでのドキドキ感。
生まれてからのキラキラした日々。

私まで一緒に秘密を共有したかのような気持ちになり、
本を読んでいるときの私は、子供にかえっていました。

そして。

そのまま少女とおばあちゃんとオカメインコの物語かと思いきや、
『リボン』は、オカメインコのリボンが出会った様々な人々が描かれていました。

空を自由に飛ぶことのできる鳥ならではのお話です。

生きているとうまくいかないこともあるし、
納得のいかないことや、受け入れられずに苦しむことこもある。

そんな時、偶然目にしたものや出会った人、耳にした音や声に
元気づけられたり、ハッと我に返ったりすることはありませんか?

悲しくて仕方なかった時、外を見たら大きな虹が見えて、
それだけで前を向いて頑張れそうになったり、
たまたまバスの中で目があった赤ちゃんが私を見てにっこり笑っていて、
その瞬間、心がじんわりあたたかくなったり。

ただそこにいるだけ、そこにあるだけです。
でも、いい影響を与えてくれるモノ、ヒト…。

オカメインコのリボンも、偶然そこにいただけで、
様々な人に何かしらのいい影響を与えていきます。

でも、リボンは普通のオカメインコです。
魔法が使えるわけでも、特別な力があるわけでもありません。

でも、もしそんなリボンの心が覗けたら面白くないですか?

なんと覗けちゃうのです!

実は『リボン』から生まれた、もうひとつの物語があるのです。

その本とは、『つばさのおくりもの』です。

たった60ページの小さな物語です。

こちらは、一羽のオカメインコの視点でつづられています。

オカメインコにはこの世界はどのように見えるのでしょうか。

『リボン』を読んだ後、『つばさのおくりもの』も合わせて読んでみてください。

いずれも優しさに満ちた本でした。

著者の小川さんは、これらの本を震災後に書かれたそうです。
自分にできることは何かと考えた時、
それは物語を書くことだと気付かれたのだとか。
だからこそ、とにかく優しい物語にしたかったそうです。

いま心が満たされずにいるという方は、
よかったらこの2冊を読んでみてください。

いや、まずは、『リボン』を手に取るだけでもいいかも。

表紙の優しいイラストを見ているだけでも癒されますので。

ちなみにイラストを描かれたのは、GURIPOPO(グリポポ)です。
柔らかなタッチが素敵です。

130508yukikore.jpg

イラストを見てちょっと元気が出てきたら、
ゆっくり本のページをめくってみてください。

ぽっかり空いた穴に優しさが満ちていくのが感じられると思います。

yukikotajima 10:50 am