ゆきれぽ

2026年9月9日

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『せどりの女王』

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私は就職氷河期に就職しました。ですから就職活動はとても大変でした。私だけでなく、まわりの友人たちも本当に苦労していました。私も何十社も受けました。だから、たとえ契約社員でもFMとやまにアナウンサーとして決まった時は本当に嬉しかったです。(なお、今はフリーアナウンサーです)ちなみに、当時、多くの放送局は女性のアナウンサーだけ契約社員でした。そういう時代だったのです。

今日ご紹介するのは、そんな就職氷河期世代の皆さんに読んでいただきたい一冊です。

『せどりの女王』
高殿円(たかどの・まどか)
PHP研究所

「せどり」とは、使い古したブランドのバッグや財布を新品に近い状態にして再販売することです。

タイトルの「せどりの女王」とは、ブランド品の中古販売会社「ブランゴール」の社長、遠火(とうか)です。彼女は神戸出身で、高校3年生の冬に阪神・淡路大震災にあいます。さらに就職氷河期も重なり、就職するのに大変苦労します。ですが、彼女は数々の逆境に立ち向かい、自らの人生を切り開いていき、せどりで五十億を稼ぐまでの社長になります。

物語は、そんな彼女のインスタライブから始まります。家なし、学歴なし、貯金なし、仕事なしの底辺から這い上がって、今や「五十億の女」になったのよ!という自慢話をしていた彼女でしたが、突然、「わたし、ずっと殺したい奴がいる」と言い出します。「わたしを不幸にしてきた奴らに仕返しをしたい」と。そして、情報提供者全員に大金を払うと宣言します。なんと総額1億円を。SNSでは犯人探しがはじまり、暴露合戦が続いていくのですが、そんな中、社長は行方をくらまし、社内は大パニックになってしまいます。

物語は、社長を探す部下の男性、左千夫(さちお)と、社長のインスタライブを中心に構成されていきます。

社長は行方はわからないものの、突然インスタライブを始めては新たな爆弾発言をしていきます。社長は毎回、嫌な目にあった過去の出来事を語るのですが、はっきりとしたことは言いません。とは言え、この時代です。あっという間に、過去に社長に被害を与えたと思われる個人が特定されてしまいます。

社長はなぜこんなことをするのか。そもそもどこに消えてしまったのか。左千夫は、社長と出会った当時のことや、自分自身の過去を振り返りながら、社長の行方を探し続け…。

✳︎

とても面白かったです!私も社長や左千夫と同じ就職氷河期世代なので、共感ポイントが多過ぎて、物語の世界の出来事が他人事とは思えず、まるでよく知る友人たちの話を聞いている気分でした。

特に社長を支える左千夫の存在がいい味を出しています。自分のことを「しょうもない小太りの中卒」と言うくらい自己肯定感が低めなのですが、この左千夫の存在が、社長にも、そして物語にも欠かせません。それこそ『せどりの女王の部下、左千夫』というタイトルでもいいくらいです。(笑)

著者の高殿さんは、「報われない思いを抱えてきた氷河期世代に届けたい」と思って、この作品を執筆したそうです。たしかに読むと元気になって、私も頑張ろうと思えてきます。それも、登場人物たちの人生を振り返りながら、自分自身の過去とも向き合ったうえで前を向いて進んでいく力がもらえるのです。だから力強い一歩を踏み出せます。

また、数ある職業の中で、社長の遠火はなぜ「せどり」を選んだのか、というのもこの物語の大きなポイントです。その理由はぜひ遠火に聞いていただきたいのですが、彼女はインスタライブの最後に必ず「従業員募集中」の案内を入れます。それも年齢も学歴も問わないと。この本を読んで、遠火の会社「ブランゴール」で働きたいと思う人は少なくないと思うわ。ちなみに私もそのひとりです。

この物語は、就職氷河期世代はもちろん、企業のトップや採用担当の皆さんにもぜひ読んでいただきたいです。遠火社長から学ぶことが、きっとたくさんあると思いますよ。この本を読んだ後は採用についての条件が大きく変わるかも⁈

あー、久しぶりにスカッとした!そして、肉食べたい!(笑)この本を読むと、お肉が食べたくなります。

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