ゆきれぽ

2026年8月19日

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『陽子さんはお元気ですか?』

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お盆休みは楽しめましたか。離れて暮らすお子さんが久しぶりに帰ってきて嬉しかったという親御さんもいることでしょう。その一方で正直ちょっと疲れたというお母さんもいるのでは。お盆休み中、夫も子どもも何もせずにのんびりしてるのに、私だけ料理をはじめ、すべての家事をして、もうへとへとだよというお母さん、いませんか。それ、まさに私!という声がたくさん聞こえてきたような…。

今日は、雑誌のオレンジページに連載されていた時から「これは私たちの物語だ」と話題になっていたという小説をご紹介します。

『陽子さんはお元気ですか?』
山内マリコ
株式会社オレンジページ

富山出身の人気作家、山内マリコさんの新刊です。

主人公は、58歳の専業主婦、陽子(ようこ)さんです。陽子さんは都心から離れた郊外のニュータウンで夫と二人で暮らしています。ある日、離れて暮らす一人息子が彼女の「みやちゃん」を家に連れてくるのですが、このみやちゃんとの出会いが陽子さんの日常を大きく変えます。

ちなみに、陽子さんの夫はラジオ局に勤めているものの、定年を迎え嘱託となった今は仕事への覇気がまるで感じられません。でも家では陽子さんに対して威圧的というモラハラ夫です。そして息子も夫と同じく陽子さんを軽んじるようなところがあります。LINEはいつも既読スルーだし、会えば何かと小バカにしてくる俺様気質です。(こうやって書いているだけで全く関係の無い私までムカムカしてきたわ!)

陽子さんは、そんな夫や息子の顔色を伺い、気をつかいながら、30年家事を完璧にこなしてきたのですが、息子の恋人みやちゃんとの出会いが陽子さんを変えます。陽子さんはこれまで目をそらしてきたことと向き合い、これはどう考えてもおかしい!と気付き始めるのです。

では、ここで山内マリコさんからリスナーの皆さまへいただいたメッセージをご紹介します。

✳︎

FMとやまをお聴きのみなさま!ご無沙汰しております、山内マリコです。

最新刊の『陽子さんはお元気ですか?』は、雑誌オレンジページでの連載から生まれた1冊です。主婦雑誌というイメージを踏まえて、58歳の専業主婦・陽子さんのキャラクターを膨らませました。共働きが半数を越す時代に「専業主婦」である陽子さんは、とてもまじめに家事をこなします。家のことをやるのは大好き!けど、息子が独立してからというもの、夫との関係は冷え切っていて、そのことには見て見ぬふりをして生きていました。どうすれば陽子さんのこれからの人生がより幸せなものになるのか、考えに考えて、クロスステッチの刺繍を一針一針刺すように、丁寧に書き進めました。息子の恋人として登場する「みやちゃん」の存在に、シスターフッド魂を感じていただけると嬉しいです。

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ええ。感じましたとも。山内さんは『ここは退屈迎えに来て』のデビュー以来ずっと女性同士の友情や連携を意味する「シスターフッド」を描いていますが、今回は58歳の専業主婦と息子の恋人という、これまでに無かった関係が描かれています。

また、物語には陽子さん以外の女性たちも登場するのですが、彼女たちに対しての山内さんのまなざしもあたたかく、陽子さんだけでなく、みんなの幸せを願いながら執筆されたのでは無いかなと思いました。きっとこの物語に救われる大人の女性は少なく無いはず。雑誌オレンジページに連載されている時から「これは私たちの物語だ」と多くの読者が感じたことにも納得しました。ちなみに、私は陽子さんに母が重なり、読み終えるや否や、母に「面白い本があるから読んで!」と連絡してしまいました。

陽子さんがおっとりしているので、全体的にはほっこりしつつも、シスターフッドやジェンダーギャップなど、山内さんらしさも詰まっていて、短い作品ながらも読み応えのある一冊でした。そして、今回もとても面白かったです!

そうそう、女性だけでなく、男性もぜひお読みください。「いやいや、おばさんの物語は女性が読めばいいでしょ」と思った男性の方こそぜひ。また、息子さん世代も。それこそ、まずはお母さんが読んで、お父さん、そして息子さんと家族みんなで読んでみませんか。ちなみに、物語には夫視点のパートもありますよ。

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