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蘇我の娘の古事記

2017年8月23日

645年に起きた出来事は何か聞かれたら
すぐに答えられますか?

私は「蒸しご(645)はん炊いて喜ぶ大化の改新」

で覚えたため、今でも645の数字を見ると
「大化の改新」が頭に浮かびます。

でも、大化の改新がどんな出来事だったかは、
だいぶ忘れているのですが…。

あなたは覚えていますか?

大化の改新は、645年の夏に中大兄皇子(のちの天智天皇)が
中臣鎌足らと蘇我氏を倒してはじめた古代政治史上の大改革です。

今日ご紹介する本は、
まさにその大化の改新が行われるところから
物語がスタートします。

『蘇我の娘の古事記(ふることぶみ)/
 周防柳(すおう・やなぎ)<角川春樹事務所>』

本のタイトルの蘇我の娘とは、
大化の改新で殺された蘇我入鹿の娘のことです。

彼女は、殺されたと思われていましたが、実は生きていました。
彼女の命を救ったのは、国史をつくる仕事をしていた男性です。
入鹿にお世話になっていた彼は、
うまれたばかりの入鹿の娘を殺したように見せかけ
こっそり自分の子として育てます。決してばれないように…。

この育ての父は、国史をつくる仕事をしていたため
各地の語り部たちから様々な物語を聞き、娘にも聞かせていました。

実はこの娘は目が見えません。
そのぶん耳がよく、さらに一度聞いた話は忘れることなく覚えています。
そして誰よりも物語を聞くことが大好きでした。

この小説は、大化の改新から壬申の乱までが描かれていますが、
歴史物語の間に神々のお話がはさまれます。
小さな子どもに語って聞かせるような「語り」のスタイルで。

実は、そのお話こそ「古事記」の内容なのです。

例えば…

・イザナキとイザナミの物語
・スサノオとオオクニヌシのお話
・ヤマトタケルの物語

などです。

これらのお話は、語り口調で子どもに向けて話しかけているので、
どれもわかりやく面白い!
また、大変勉強になりました。

恥ずかしながら私は古事記の存在はもちろん知っていましたが、
中身までは詳しく知りませんでした。

神様の名前は聞いたことはあるものの、
どんな神様かまでは理解しておりませんでした。

ちなみに、古事記によると、神様たちはかなり人間的です。
ワガママだったり、すぐに怒ったり…。

ちなみに、古事記とは、現存する日本最古の歴史書で3巻からなります。

一般的には、天武天皇が記憶力のすぐれた稗田阿礼に命じて
様々な物語を覚えさせ、それを学者である太安万侶(おおの・やすまろ)
が書き取ったもの、とされています。

しかし、どうやらそうではないという話もあるそうなのです。
著者の周防さんはそのことに興味をもち、この物語を書き始めたのだそうです。

果たして『古事記』は誰によってどのように作られたのでしょうか。
気になる方は、是非この本を読んでみて下さい。

歴史小説というと、戦国時代が中心になりがちですが、
それよりもずっと昔々の歴史物語も面白いものですよ。

蘇我入鹿の娘の人生を軸に
激しい王位継承争いや時折はさまれる神々の物語など
読み応えありまくりの一冊でした。

この本を読むだけでも『古事記』について知ることができますが、
私はさらに知りたくなり、小説を読み終えるやいなや
本屋さんに行って古事記の漫画を買って読んでみました。

『マンガ 面白いほどよくわかる!古事記(西東社)』

この漫画もかなりわかりやすくて面白かったです!
気になる方は合わせてどうぞ。

今日は、日本最古の歴史書である『古事記』を楽しく学べるだけでなく、
物語としても最高に面白い『蘇我の娘の古事記』をご紹介しました。

一度あなたも『古事記』の世界にどっぷりつかってみては?

yukikotajima 11:28 am