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聖なる怠け者の冒険

2013年5月29日

あなたがそそられる
休みの日の過ごし方はどちら?

1.家でゴロゴロしながら過ごす。

2.事前に予定を立てて、あちこちに出かける。

私は出かけるのも好きだけど、
本当に休みたい日は、何もしないかもなあ。

さて、あなたはどちらに共感しますか?

今日ご紹介するのは、
怠け者が主人公のお話です。

5月21日に発売されたばかりの
森見 登美彦さんの新作
 
『聖なる怠け者の冒険(朝日新聞出版)』

です。

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森見さんの作品は、
ラジオでも今まで何度かご紹介してきました。
『恋文の技術』 、『ペンギン・ハイウェイ』
などです。

他にも『夜は短し恋せよ乙女』も有名ですね。

森見さん自身、関西出身で、
大学時代京都に住んでいたこともあり、
京都が舞台の作品が多いのですが、
今回も舞台は京都です。

それも夏の京都。

と言うとピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。

そう、祇園祭です。

今回の物語は、祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行を翌日に控えた土曜日、
宵山の日のお話です。

主人公は、「何もしない、動かない」ことをモットーとする
社会人2年目の小和田(こわだ)君。

化学工業企業の研究員で、独身寮に住んでいます。

宵山の日の朝、前の晩飲み過ぎた小和田君は、
目覚めると小学校の校庭で椅子に縛られていて、
目の前には、ある怪人がいます。

その怪人とは、「ぽんぽこ仮面」という、
一年前京都に現れた、
旧制高校のマントに身を包み、狸のお面をつけ、
困っている人を助ける怪人のこと。

怪人いわく、八兵衛明神の使いなのだとか。

ちなみに、この八兵衛明神は実際に京都にあり、
狸が祀られているそうです。

さて、小和田君はなぜかそのぽんぽこ仮面から
「跡を継げ」としつこく言われます。

もちろん怠け者の小和田君は断ります。

そんなやりとりを見ていたのが、
ぽんぽこ仮面を追っていた探偵の女性です。

彼女はあるお客さんから
「ぽんぽこ仮面の身元調査」の依頼を受けていたのです。

そこから物語がスタートします。

そして、最初の質問です。

休みの日どう過ごすのが好きかというあれです。

主人公は怠け者ですが、
彼の会社の先輩カップルは、
いかに充実した休みを過ごせるかに力を入れています。

このカップルがいい味を出しています。

この他にも個性豊かな登場人物が次々に登場し、
物語を彩っていきます。

ところで、私は宵山の日の朝の出来事しかお話していませんが、
このあと、昼、夜と次々に様々な出来事が起こり、
さらに、ぽんぽこ仮面は京都中の人たちから追われることになります。

ぽんぽこ仮面は逃げ切れるのか?
そもそもなぜ追われているのか?

そして、小和田君もこの騒動に巻き込まれていきます。

京都祇園祭の宵山の日。
京都で一体何が起こるのでしょうか?

本当に面白い冒険でした!

森見さんらしい独特な言い回しや比喩が面白く、
本を読みながら、ずっと顔がに焼けていたように思います。(笑)

昔の文豪のようなかための文章っぽさがありつつも、
わかりやすい比喩のおかげで、読みやすい文章になっています。

ゆるくて、ふざけていて、だらだらなのに、
ワクワクが止まらない。

ザ・森見ワールドを堪能できました。

日々、眉間にしわを寄せ、
こわい顔して仕事をしている方は、
是非この本を読んでみてください。

きっと読んだ後はふにゃあっと眉間から力が抜けているはずです。

たまには息抜きしましょ♪

・・・

それにしても、この本を読んでいると、
美味しそうなものがたくさん登場してきて困ります。(笑)

有名なスマート珈琲店の珈琲。
私も一度訪れたことがありますが、いい雰囲気のお店だったなあ。

それから、これは本の中の幻のお酒ですが、
「天狗ブラン」。

なんともそそられるお酒なんですよ。

それこそ、この本そのものがちょっと酔っ払いモードなので、(笑)
ちょこっとアルコールを入れつつ、読んでもいいかも。

さらに、もっと気分を味わいたいなら、
朝日新聞出版のHPでは、
ポンポコ仮面の仮面がダウンロードできるので、
是非、この仮面もつけてみてください。(笑)

私は、今年の宵山に、このぽんぽこ仮面の仮面をつけて行きたい。

この本読んだ方の中には、絶対に一人くらい、
仮面をつけてお祭りに行く人がいるように思うのだけど、
どうかしら。

・・・

それから、この作品はもともと朝日新聞に連載されていたものなのですが、
新聞連載の挿絵をまとめた『聖なる怠け者の冒険(挿絵集)/フジモトマサル』
も同時刊行されていますので、こちらも是非手に入れてみてください。

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新聞風の表紙も細かいところまでおもしろいですので、
隅々までチェックしてみてね!

さらに、森見さんの別の小説、
『宵山万華鏡』、『有頂天家族』も、
今回の作品と様々なつながりがあるそうですので、
合わせて読んでみるとより楽しめるかも。

yukikotajima 11:47 am