ゆきれぽ

2025年1月22日

  • #本

『婚活マエストロ』

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先週、芥川賞・直木賞の発表がありましたが、こちらも毎年話題になります。

本屋大賞

今年も4月に大賞が発表されます。
その前にまもなく2月3日にノミネートが発表されます。
本屋大賞はノミネート作品も面白いものが多いので、私も毎年楽しみにしています。

ちなみに、去年の大賞受賞作は、
宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)でした。
続編の『成瀬は信じた道をいく』も話題となりましたね。

『成瀬は天下を取りにいく』は、私もラジオで紹介しましたし、
リスナーの皆さんからの「読んだよー!」という報告も多かったです。

◎田島のブログは コチラ

今日ご紹介するのは、そんな人気作家、宮島さんの新作です。

『婚活マエストロ』(文藝春秋)

こちらは成瀬シリーズではなく、全く新しいストーリーです。

主人公は、在宅のWebライターの健人(けんと)です。
大学時代からずっと同じマンションにひとりで住んでいる40歳の男性です。

ある日、彼は婚活事業を営む会社の紹介記事を書く仕事を引き受けます。
ところが、会社のホームページは2000年前後に作られたと思われる古いサイトで、
この会社、大丈夫か?と不安になるのですが、
よく見れば最新の婚活パーティーの情報がアップされていて、
ホームページが今も使われていることがわかり、ほっとします。
しかし、社長から「会社のことを知っていただく絶好の機会だから」と、
突然そのパーティーへ参加するよう言われます。

そこで健人は軽い気持ちで参加することにしたのですが、
女性スタッフの鏡原さんから、
「本気で結婚を考えている人以外は来てほしくありません」と言われてしまいます。

彼女はこれまでたくさんのカップルを成立させてきた
「婚活マエストロ」と言われる有名な司会者なのでした。

鏡原さんに怒られた健人は、その日のパーティーには真剣に参加することにします。

そして、その後はホームページの記事作成のために
鏡原さんが司会をする様々な婚活イベントに関わることになり、
毎回近くで鏡原さんの仕事ぶりを目にしていきます。

ところが、仕事ができるのはわかっても、彼女自身がどんな人なのかは、なかなかつかめません。

一方、それまで家で一人で仕事をしていた健人自身は、
多くの人に関わることで自分が変化していることに気付きます。それもいい方に。
たしかに新しい仕事、新しい出会いは、世界を広げてくれますよね。

健人はどう変わっていくのか。
鏡原さんとはどんな人なのか。
そして、物語はどこへ向かっていくのか。
ぜひ本を読んでお確かめください。

✳︎

『婚活マエストロ』、面白かったです!

私も鏡原さんのように、婚活パーティやイベントの司会をしたことがあるので、
どうしても司会者目線で見てしまったのですが、
たくさんの気付きや学びがありまして、勉強になりました。
また共感ポイントも多かったです。
たとえば、鏡原さんはどんな状況でもポジティブにとらえさせるようにしているのですが、
これには私も共感。
嫌だなと感じることでも、捉え方次第で印象は変えられますからね。

あとは、自分が参加した会の司会者が変な表現を使った時に気になるのもわかります。
今の言葉何?とか、敬語の使い方、間違っている!とか、
私も頭の中でよく突っ込んでます。(笑)
いつか鏡原さんと司会者トークしてみたいな。

また、この本は婚活パーティーの様子も描かれるのですが、その空気感がリアルでした。
ですから参加者目線で読むと、ドキドキ感が味わえると思います。

ぜひあなたも鏡原さんが司会をつとめる婚活パーティーに参加する気分で読んでみては。