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『奇跡の脳』32

2009年6月29日

ここ何年か「脳」が注目されることが増えてきました。
ゲームやテレビで「脳」に興味を持った方も多いかもしれません。
その興味を「本」に向けてみるのはいかがでしょうか?

今日は、紀伊國屋書店富山店の店長の浅沼さんオススメの本をご紹介します。

先日、紀伊國屋書店を訪れた時、浅沼さんから、
「この本は、絶対に読んだ方がいい!」
と熱くおすすめいただいたので買って、早速読んでみました。

『奇跡の脳 ジル・ボルト・テイラー/著 竹内薫/訳』

著者である女性脳科学者のテイラー博士は、37歳の時、脳卒中に襲われます。
この本には、彼女が脳卒中を発症してから
奇跡の再生を遂げるまでの8年間が書かれています。
彼女の表現を借りれば、
「激しい脳出血から完全に立ち直った神経解剖学者による世界で初めての記録」です。
アメリカでは、50万部の大ベストセラーとなった話題作です。

まず、脳卒中を発症する前のテイラー博士について、
次に、脳卒中が発症するまで、
そして、そのあとは、発症してからの8年間が綴られています。

脳卒中を発症した朝の記録は、かなり生々しく、
私は、本を持つ手から力が抜けていきそうなくらいの衝撃を受けました。
激しい頭痛とともに、薄れる記憶。
電話をしようにも数字が読めない。喋れない。動けない。そして、人の話が聞き取れない。
彼女の苦しみが、心の声として綴られます。

私が印象に残ったのは、何を言っているのかわからなくても、
その人の気持ちはわかる。というもの。
安らぎを与えてくれる人とエネルギーを奪っていく人がいる、ということ。
エネルギーを奪う人の例が挙げられていて、反省しました。
余裕がないときの私そのものだったので。

さて、その後、彼女は、8年かけて奇跡の再生を遂げます。
その間の8年を、彼女は「旅」という言葉を使って表わしています。
その旅の中で、彼女は不思議な体験をします。
想像もできない神秘的な世界の体験です。
でも、それも科学的な根拠に基づいているというのだから驚きます。
どのような体験をしたのかは、是非、本を読んでみてください。

彼女は、左脳が傷ついたことで、右脳の存在を意識するようになります。
テイラー博士によれば、
左脳は、現実的でまじめ。あらゆることを良い・悪いで判断する。
右脳は、思いやりに満ちていて感謝の気持ちでいっぱい。
なんだとか。

テイラー博士は、左脳マインドと右脳マインドという言葉を使って、
二つの脳の考え方の違いを論じています。
そして、左脳が傷ついたことで右脳マインドの心地よさに気付いた彼女は、
私たちにも「右脳マインド」をすすめています。
確かに、テイラー博士の文章は、とても穏やかで感謝の気持ちにあふれていました。

この本は、「脳」に関しての知識がまったく無くても問題ありません。
でも心配な方は、本の最後に、本文とは別に脳科学の解説がありますので、
本文を読む前にこちらを読んでみてください。

それにしても、テイラー博士が元気になって本当によかった!

yukikotajima 11:30 am