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熱帯

2019年3月13日

今日ご紹介するのは、今年デビュー15周年、
森見登美彦(もりみ・とみひこ)さんの新作『熱帯(文藝春秋)』です。

この本は、直木賞候補になったほか
4月に発表される本屋大賞にもノミネートされている話題作です。

すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
そんな方は是非grace宛に感想をお寄せください。

***

この『熱帯』は小説ですが、まるでエッセイのような始まりです。

まず、次にどんな小説を書くべきか分からずにいる小説家が出てくるのですが、
その方こそ森見さんご自身なのです。

森見さんは、小説が書けないので様々な本を読んで日々を過ごしています。
そんな中で最後に読み始めたのが『千一夜(せんいちや)物語』でした。

『千一夜物語』、あなたは読んだことはありますか?

この本は謎の本なんですって。
というのも、世界中に広がっていく中で
偽物が出てきたり、恣意的な翻訳がされたりしたため
物語の本当の姿を知る者はいないのだそうです。

別名、アラビアン・ナイトとも言われています。
また、有名な「シンドバッド」「アラジン」「アリババ」などは
『千一夜物語』には含まれていないのだとか。

その謎の本『千一夜物語』を読み始めてから
森見さんはある一冊の本を思い出します。

それは『熱帯』というタイトルの本でした。
森見さんが学生時代に読んだ本で、
半分ぐらいまで読んだ後、なぜかその本が消えてしまったのだそうです。

それから16年。
森見さんは幻の本『熱帯』を探し始めます。

ある日、この本の秘密を知る女性と出会うのですが、
彼女から衝撃的な一言を言われてしまいます。

「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」と。

その後、森見さん以外にも『熱帯』を読んだ人間たちが次々に登場します。
しかし誰もが最後まで読んだことはなく、
物語の内容に関しても途中からの記憶が曖昧です。

それぞれが覚えていることを話すことで
物語が明らかになっていくかもしれないと
『熱帯』を読んだ人たちが集まって語り合います。

そして、幻の本『熱帯』をめぐる冒険が始まります。

ん?語り合うだけなのに冒険?そんな大げさな!
と思いますよね。

これがまさに「冒険」なんです。

それも、とんでもなくハチャメチャな冒険です。(笑)

どんな冒険なのかは是非本のページをめくって楽しんで頂きたいので伏せますが、
森見さんらしい世界観がこれでもかというほど詰まっています。

めまぐるしく物語が変わっていくので、
本を読みながら私はまるで夢を見ているようでもありました。

寝ている時に見る夢って突然突拍子も無いことが起こったりしません?
まさにそんな感じでした。

あっちに行ったりこっちに行ったり、
あんなことやこんなことが起こったりと
飽きることなく世界が繰り広げられていきます。

さて、幻の本『熱帯』とはどんな本なのでしょうか。
是非、あなたも大人の大冒険へ!

ただ、この本は500ページ以上ある長編ですので、
お時間のある時に読むのがいいかも。

あ、それから、私は、本を読む時に本のカバーを外してから読むのですが、
おかげで、よりこの本を楽しめました。

普段カバーを付けたまま読む方も是非外してみてください。

yukikotajima 11:15 am