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47『恋する建築』

2009年8月31日

ACTUS富山店の福岡店長から教えていただいた、
とってもキュートなタイトルの本、その名も『恋する建築』を読みました。

本を書かれたのは、建築家の中村 拓志(なかむら ひろし)さんです。
1974年生まれの若手建築家で、
グッドデザイン賞をはじめ、様々な賞を総なめにし、
テレビや雑誌でも取り上げられている注目の建築家です。

また、彼は、東京出身ですが、
少年時代を石川県金沢市で過ごしていたこともあるそうです。
ちょっと親近感がわきますね!

タイトルの『恋する建築』は、中村さんが考案したもので、
「人に「好きだ」と言ってもらえるほど親しい関係になれる建物のこと」なんだとか。

人と建物は、双方向のコミュニケーションが必要で、
人が建築に恋をし、建築も人に恋をする。
相手を見つめ、思いやる。
相手も自分を見つめ、応えてくれる。
中村さんは、そんな恋する建築を造りたいと思っていらっしゃるそうです。

具体的に、中村さんが出会ったり、造ったりした建築を例に挙げながら、
どのような材料で、どのような思いで、その建築を造ったのかが紹介されています。
そして、すべての建築に恋をしています。
中村さんは、ある意味、恋多き方です(笑)。

建築の表現方法が、まるで好きな人について語っているように、キラキラしているのです。
壁や床や窓に心があるように思えてくるから不思議です。
建築を身近なものに例えながら紹介しているので、イメージが浮かびやすいのです。
さらに、実際に、建築の写真も載っているので、文字と比較しながら楽しめます。

そして、この本は、建築例ごとに、いくつかの項目に分かれているのですが、
タイトルだけを見ていると、まるで恋愛小説のようなのです。

「雪景色に贈るネックレス」
「秘密の花園」
「チャームポイントは薄化粧」
「距離0ミリの急接近」
「僕らを隔てるもの。つなげるもの」
「ここだけの関係」

どうですか?
気になりませんか?

建築のことがまったくわからなくても大丈夫。
とってもわかりやすいので。

この本は「建築」のことが書かれた本ですが、
建築だけに限らず、生きていく上で大切なことがたくさん詰まった本だと思いました。

「人は理論だけでは感動しない。
 言葉にならない部分にこそ、興味を覚え、心を打たれるのだ」

この本の中で、私が一番心打たれた言葉です。

建築に恋をした建築家の言葉からは、
建築に対する、また住むひとに対する、
また、土地や植物に対する、感謝や思いやりが感じられました。

そして、何よりも建築を楽しんでいることが伝わってきました!

素敵な本に出会えました。

yukikotajima 10:52 am