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『闇祓』

2021年11月17日

セクハラ、パワハラ、モラハラをはじめ
今や様々なハラスメントがありますが、
こちらは聞いたことはあるでしょうか。

ヤミハラ

ヤミハラとは、闇ハラスメントの略です。
闇ハラスメントは、精神・心が闇の状態にあることから生ずる、
自分の事情や思いなどを一方的に相手に押しつけ、不快にさせる言動・行為。
本人が意図する、しないにかかわらず、相手が不快に思い、
自身の尊厳を傷つけられたり、脅威を感じた場合はこれにあたるそうです。

ヤミハラなんて初めて聞いた!という方もいるかもしれませんが、
人気作家の辻村深月(つじむら・みづき)さんが作った言葉です。

今日ご紹介する本は、10月29日(金)に発売されたばかりの
辻村さんの小説『闇祓(ヤミハラ)』です。

辻村さんはこれまで様々な賞を受賞されていますが、
最近では2018年に『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞されました。
この本、とても良かったです。まだお読みでない方はぜひ!

今回の『闇祓』は、辻村さんにとって初の本格ホラーミステリ長編です。

物語は5つの章にわかれており、
学校、職場、団地などの様々な場所でのヤミハラが描かれています。

つまり、どこにでもヤミハラは存在するということです。

第一章は、高校2年生の澪(みお)が主人公です。
クラスの委員長で、周りからは「優等生」と言われ、
自分でも人に対して気を遣いすぎると思っています。

そんな澪が、転校してきたばかりでクラスになじめずにいる
男子に対してもいつも通り親切に接したところ、
ずっと見つめられたり、突然、家に行っていいか聞かれたりしてしまいます。

恐怖を感じた彼女は、憧れの部活の男子の先輩に助けを求めます。
頼りがいもあって優しい先輩に澪はどんどん惹かれていきます。

しかし、ある日、転校生から「先輩と仲良くするな」と言われてしまいます。

この続きは、ぜひ本を読んでみてください。

第一章だけでもかなり濃かったです。
この後はきっとこうなるのでは?という私の予想は簡単に裏切られ、
別の恐怖が襲ってきました。いやあ、ほんとこわかった!

そして、第二章も同じパターンでくるのかしら?と思ったら、
こちらもまたまた予想が外れまして、
本のページをめくりながら、ずっとドキドキしていました。

学校にも会社にも近所にもヤミハラをする人たちはいるもので、
一見いい人そうだったり、優しそうだったりする人から
ヤミハラをされることもあるので注意が必要です。

距離感がおかしく、一方的に自分の都合や事情、思いを押し付ける人、
あなたのまわりにもいませんか?

この人おかしい!と思って離れられればいいけれど、
追いつめられることで、考えることすら嫌になってしまうこともありますよね。

この物語にも自分が一番正しいと思っている人が出てきます。
職場の上司がそういう人で、間違いを指摘しても全く伝わりません。
そして、部下は思うのです。この人には絶望的に、言葉が通じないと。

時々いますよね、こういう人。
自分の話ばかり押し付けて、全く人の話を聞かない人。

そういう人の話を聞いた後の疲労感たるや。。。
でも、その方は、逆に元気になっていたりるすのですね。
話をしながら元気を奪っているんじゃないかなと思いますもん。

わかるー!今、共感された方もいるかもしれませんが、
今、ちょっと気持ち良くないですか?

自分のほうが正しいと思って、
間違っている人を非難しているときって、
ちょっと快感だったりしませんか?

でも、その正しさが行き過ぎると、それもヤミハラになります。
この物語にも正しすぎる人が出てきます。

他にも様々なヤミハラがこの物語には出てきます。

ちなみに、本のタイトルはヤミハラと読みますが、
カタカナではなく闇を祓うという漢字が使われています。
その意味については、ぜひ最後まで本を読んで確かめてください。

本当はもっと色々言いたいことはあるのだけど、
なるべく情報はいれずに読んでいただきたいので、だいぶ我慢しました。(笑)

『闇祓』は、フィクションですが、どこまでもリアルな物語で、
読み終えた直後に、まさにヤミハラを感じた出来事が続きまして、
ヤミハラという言葉を知らなかったときは嫌だなという感情だけでしたが、
ヤミハラ認定すると、結構ヤミハラってあふれているのかもと思いました。

と同時に私がヤミハラ加害者にならないようにしなければ、とも思いましたが。

あなたも『闇祓』で様々なヤミハラを客観的に見てみませんか?
そうそう、もちろん怖いだけでなく、物語としても大変面白かったです!

yukikotajima 11:37 am