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七つの会議

2019年1月30日

去年の秋に、池井戸潤さん原作のドラマ『下町ロケット』が放送されていました。
毎週、楽しみに見ていたので、終わってしまって寂しいというか、
なんか物足りない…という方もいらっしゃるのでは?

そんな方は、是非この映画をご覧になってみてはいかがでしょうか?

明後日2月1日(金)に映画『七つの会議』が公開されます。

池井戸潤さんの企業犯罪小説を、野村萬斎さん主演で映画化したものです。

私は一足早くこの映画を見たのですが、
池井戸ドラマの空気がそのまま映画にも出ていました。

それもそのはず、
まず、監督が「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など、
一連の池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄さんなのです。

出演者もドラマでおなじみの方ばかりです。
例えば、香川照之さんは、この作品でもすさまじい表情を披露していますし、
『下町ロケット』に殿村役で出演されていた立川談春さんも出ています。
他にも「池井戸ドラマで見たことある!」という方たちが大勢出演されています。

また、音楽も池井戸作品をこれまで担当されてきた方なので、
池井戸ドラマファンにはたまらないと思います。

『七つの会議』は、ある中堅企業が舞台のサスペンスで、
とある秘密が徐々に明らかになっていく様が描かれています。

会社の秘密を暴くべくこっそり動いていくのが
及川光博さんと朝倉あきさん演じる男女なのですが、
緊張感が漂うぴりっとした空気の中で、
この二人の男女のやりとりだけはほのぼのとしており、癒されました。

映画はドラマと違って1週間待たずに結末を知ることができますし、
何より映画は大きなスクリーンなので迫力があります。
香川照之さんのおなじみの表情もスクリーンで見ていただきたい!(笑)

池井戸ドラマファンの方はもちろん、
テレビドラマをこれまで見ていない方でも楽しめると思います。

映画『七つの会議』は、明後日2月1日(金)の公開です。
ぜひご覧ください。

◎映画の公式サイトは コチラ

yukikotajima 11:35 am

いい女、ふだんブッ散らかしており

今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介いただく本は、

『いい女、ふだんブッ散らかしており/阿川佐和子(中央公論新社)』

です。

◎奥野さんの紹介文は コチラ

私も読みましたので、軽く感想を。
テレビでおなじみの阿川さんの最新エッセイです。

阿川さんと言いますと、2012年に『聞く力』がベストセラーになりました。
私も、もちろん読みました。

私の中では、デキル女!という印象なのですが、
この本を読んで、ちょっと印象が変わりました。

なぜなら、本のタイトル通り、
一見、阿川さんは完璧な女性に見えて
実は色々やらかしているのです。

この本を読むと、阿川さんがいかにお茶目であるかがわかります。

実はモノを捨てられない人で、家の中は荷物だらけなのだとか。
その他、色々お茶目なエピソードが綴られています。

そんな中で好きなのは、
「あれは2年ぐらい前のこと?」と思ったことは、
だいたいその倍の年月の経っている場合が多い、
というもの。

これ、私も最近同じことを思っていたので、
本を読みながら「わーかーるー!」と心の中で思いっきり共感していました。

何歳になっても「初心者になれる」ことが好きというエピソードも好きです。
テレビドラマに女優として出演したことについて書かれたものなのですが、
私も何歳になっても新しいことを初めて「教わる」ということは好きなので、
気持ちがよくわかりました。

頑固なお父様への思いは、
お父さんのこんなところがダメ!と言いながらも
愛が感じられました。

なんだかんだ言って、お父さんのことが好きなんだな、と。

でも、お父さんの特技を書くなら
「想像して腹を立てることができる」
というのには笑えました。
なんとお父様のことを「ネガティブオーラじいさん」と書いているのです!

本を読んでいると、阿川さんの明るい笑顔が浮かんでくるはずです。
本を読んでいるというより、お喋りに近い感じかな。

是非、阿川さんのお喋りに耳をかたむけてみては?

yukikotajima 11:04 am

富山地方鉄道殺人事件

2019年1月23日

あなたは黒部峡谷のトロッコ電車に乗ったことはありますか?

私は去年の春、久しぶりに乗りました。
東京から来た友人たちと一緒に乗ったのですが、
新緑のまぶしいほどの緑も黒部川のエメラルドグリーンも
新鮮な空気も全てが心地よく、
あらためて黒部峡谷の魅力を堪能しました。

また、友人たちも楽しんでくれました。

県外から友人や家族が遊びに来たら
また是非連れて行きたいな。
というか、私がまた行きたい。(笑)

実際、富山の観光スポットとして人気ですが…
その黒部峡谷でなんと殺人事件が起きたそうなのです!

えーーー!!!

あ、でも小説の中の出来事です。。。
驚かせてしまい、ごめんなさい。

今日ご紹介する本は、
西村京太郎さんの『富山地方鉄道殺人事件(新潮社)』です。

おなじみ、十津川(とつがわ)警部の長編トラベルミステリーの最新刊です。

十津川警部シリーズというと、テレビドラマでおなじみです。

これまで、渡瀬恒彦さんや内藤剛志さんが演じていらっしゃいます。

先日、紀伊國屋書店富山店に行ったら、
こちらの本がずらっと並んでいて、かなり目立っていました。

文芸担当の書店員さんにお聞きしたところ、
「今富山で旬といったらこの本です!」
とご紹介いただきましたので、早速読んでみました。

おなじみの富山がたくさん出てくるので映像が頭に浮かびやすく、
まるでテレビドラマを見ている気分で読むことができました。

また、地元の方たちにはおなじみでも
外の人からすると不思議に思えることなども書かれていて、
そういう意味でも楽しめました。

例えば、富山地方鉄道のことを地元の人たちは
「地鉄」と言いますが、駅名は「電鉄」です。
これ、去年の春、東京から遊びに来た友人からも同じことを言われました。

また、黒部峡谷鉄道から黒部ダムまで簡単に行けると思っている観光客も多いようです。
確かに地図で見ると近いですし、どちらも「黒部」とありますものね。
私も富山に来たばかりの頃はそう思っていました。

それから、新幹線の「黒部宇奈月温泉駅」は、
駅を降りても目の前に温泉街があるわけではない、とか。(笑)

富山に対する突っ込みが色々あって面白かったです。

***

『富山地方鉄道殺人事件』は、そんな富山が舞台になったお話です。

簡単にストーリーをご紹介しましょう。

若手官僚の男性が、「宇奈月から黒部への旅」と書き残して失踪します。
夫を心配した妻は宇奈月まで彼を探しに行きます。

そんな中、彼を知る女性新聞記者が、
黒部峡谷鉄道の終点、欅平で殺されます。

欅平に行くにはトロッコに乗っていくしかないので、
犯人は簡単にみつかりそうですが、
それがなかなか見つかりません。

いったい犯人はどこに潜んでいるのでしょうか?

富山県でおこった殺人事件ですが、
東京の大手新聞の記者が殺されたこともあり、
警視庁の刑事である十津川警部も富山にやってきます。

しかし、本当にそれだけの理由で十津川警部は富山にやってきたのか?

若手官僚の男性はどこに消えたのか?そもそもなぜ黒部にやってきたのか?
そして、彼を探しに来た奥さまは彼を見つけることができるのか?

など、読み始めてすぐに疑問が次々にわいてきます。

気になる結末は…
是非本のページをめくってみてください。

私は夢中になって読み進めていたら、あっという間に読み終えてしまいました。

ちなみに、十津川警部シリーズのことをあまりよく知らない方でも楽しめると思います!

yukikotajima 11:56 am

『海近旅館』、『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

2019年1月9日

明けましておめでとうございます。

2019年も「ゆきれぽ」をよろしくお願いします。

今年も本の紹介をメインに
ブログをアップしていきますので、
どうぞお付き合いください。

今日のユキコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)でご紹介するのは、

『海近(うみちか)旅館/柏井壽(小学館)』

です。

柏井壽(かしわい・ひさし)さんと言いますと、
ドラマ化もされた『鴨川食堂』シリーズが人気です。

私も以前ラジオで紹介しました。

◎『鴨川食堂』の感想は コチラ

ちなみに、今はシリーズ化され、
『鴨川食堂おかわり』『鴨川食堂いつもの』『鴨川食堂おまかせ』『鴨川食堂はんなり』
なども出ています。

『鴨川食堂』は、京都にある看板の無い、知る人ぞ知る食堂のことで、
この食堂では、もう一度食したい食べ物の味を少ない手がかりから再現してくれます。

どのお話も感動的です。
そして、どのお料理も美味しそうで食べたくなります。

いいお話が詰まっているので、
是非『鴨川食堂シリーズ』も読んで頂きたいのですが、
今日ご紹介するのは、別のお話です。

タイトルは『海近旅館(うみちかりょかん)』です。

海が近いだけが取り柄の海近旅館では、
名女将である母が亡くなったことで、
娘の美咲が若女将として働き始めました。

父が料理をつくり、兄が魚を仕入れているものの、
全てを母に任せていた父と兄は頼りにならず、
利用されたお客様から苦情の嵐。

お盆休みのピーク期でも満室にならないほどでした。

この父と兄が本当にダメダメです。
父は、頑固過ぎて他人の話に耳を傾けないし、
兄は、高級な魚を買ってくれば大丈夫!と信じて疑いません。

例えば、美咲が、どこかの海の高級魚より
目の前の海で取れた地元の魚をお客様は喜ぶはず!
と言っても全く理解されません。

そんな中、海近旅館に個性的なお客様たちが次々にやってきます。
彼らのとの出会いが、美咲をはじめ、父や兄を変えていきます。

どんな出会いがあり、
旅館がどのように変わっていくのかは
是非、小説を読んでみてください。

今回も『鴨川食堂』と同じくお腹がすき、
この旅館を利用したくなりました。

この旅館は少しずついい方向に変わっていくのですが、
そのきっかけを作るのは、外からの人たちです。
それも彼らは、いい面を伝えるのです。そこがよい!

例えば、ボロイと思っていた建物も
その価値がわかる人から、歴史的に素晴らしいものだと言われれば、
その途端、自分たちの旅館が今までより素敵に見えてきます。

自分では何も無い…と思っていても
他の人から見たら、魅力だらけということもあるのですよね。

わかりやすく読みやすい物語なので、さくっと読めます。
でも、色々な気付きもあり、
ああ、面白かった!と思うだけの物語ではありませんでした。
いい旅館とは?いいサービスとは?なども学べました!

この『海近旅館』もシリーズ化されていくのかしら?
それなら続きを読んでみたいな。

***

さて、今日はもう一冊ご紹介します。

昨夜、読んで大変よかったので、
これは是非一人でも多くの方に読んで頂きたいと思いまして
急きょ追加することにしました。(笑)

『あなたはの話はなぜ「通じない」のか/山田ズーニー(ちくま文庫)』

この本は2003年に出た本ですので、
すでにお読みの方も多いかも。

まだの方は、是非!

どうして私の話をわかってくれないのよ!と思ったことのある方は、
この本を読むことで、だいぶ気持ちが楽になると思います。

一方、相手の話がいまひとつわからないこともありますが、
そんな時の対応についても書かれています。

中には、人の話には一切耳を傾けず、自分の主張ばかりをしてくる人もいます。
そんな人と会話は、ああ、会話にならない…とあきらめることもあれば、
なぜか逆切れされ、は〜?(怒)と思うこともあるけれど、
そこで自分までキレてしまったら負けなのですよね。

では、どうしたらいいのか?
気になる方は、本のページをめくってみてください。

まるで欲していた水をごくごく飲むかのごとく
本のページをめくりながら本に書かれた言葉を吸収していきました。

気になるところに付箋を貼ったら、付箋だらけになってしまったほどです。(笑)

年のはじめにこの本を読めて良かった。
大げさではなく、この本を読む前と後では生き方が変わると思いました。

yukikotajima 12:06 pm