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『新版 いっぱしの女』『ちいさな手のひら事典 薬草』

2021年12月22日

graceでは、毎週水曜日の13時45分ごろから
「田島悠紀子コレクション、略してユキコレ」のコーナーで
様々な本をご紹介しています。

今日は、リスナーの皆さんからgrace宛に
「読みたい!」「早速読んだよ」とメッセージが届くなど、
すでにgraceも話題になっている本です。

『新版 いっぱしの女/氷室冴子(筑摩書房)』

約30年前の1992年に刊行され、今年「新版」として再刊行された
人気小説家、氷室冴子さんの名作エッセイです。

北日本新聞の「02」で山内マリコさんが紹介されているのを機に
この本のことを知りました。

そして、早速読んでみたのですが、これがとても良かった!

本が良かったことと、リスナーの皆さんからのメッセージのことを
山内さんに伝えたところ、とても喜んでいて、
ぜひ多くの方に読んでいただきたいとおっしゃっていました。
ちなみに、山内さんは来年、新刊が出る予定だそうです。
こちらも楽しみですね!

さて、話を『新版 いっぱしの女』に戻します。

著者の氷室冴子さんは、
1980年代から90年代にかけて活躍された作家さんで
2008年にお亡くなりになりました。

『なんて素敵にジャパネスク』や『クララ白書』、
スタジオジブリがアニメ化した『海がきこえる』
といったヒット作で知られています。
昔よく読んだわ〜。懐かしい〜。という方もいるのでは?
私は氷室さんと言うと「コバルト文庫」の印象が強いです。

『いっぱしの女』は、氷室さんが30代のころ、お書きになったエッセイです。
1992年の今から約30年前に書かれたのですが、まったく古さを感じません。
それどころか今の時代に合っているのです。

もし今、このエッセイに書かれているようなことをSNSにアップしたなら、
きっとたくさんの「いいね」がつき、そして拡散されると思います。

当時、氷室さんは様々なインタビューを受けながら違和感を感じていたそうです。
何でこんな質問をするんだろう?とか、
あとからインタビュー記事を見た時に、私こんな言い方してたっけ?とか。
記事ではキャピキャピの女の子語になっていることが多かったそうです。

そこで、自分がどういう“三十女”なのか、知ってみたいと思って
エッセイを書くことにしたのだとか。

エッセイは、人との会話の中で感じた違和感などが正直な言葉で綴られています。

「違和感」は伝え方次第では「ただの愚痴」になってしまいますが、
氷室さんの場合は、読んでいて共感できますし、
時には相手を打ち負かすこともあり、スカッとします。

例えば、独身の氷室さんはそれだけで
年上の既婚女性から嫌なことを言われることもあるものの、
その女性に対して、相手が黙ってしまうくらいの一言を放ちます。

また、氷室さんは「あなたってこういうタイプよね」と言われる度に、
そのイメージの枠に押しこめられてしまいそうで嫌だったそうです。

これ、私も苦手です。
「田島ってこういうタイプだよね」と言われる度、
それとは逆のことをしたくなりますもん。(笑)

あと、「女ってこうでしょ?」という言い方にも注意が必要だと言います。
氷室さんですら使ってしまい、「女」を「私」に書き直していたそうです。

確かに「女って他人の不幸が好き」のような
女性をひとくくりにするような言葉って
少し前までは当たり前のように使われていましたよね。
さすがに令和の今は、そういった決めつけは前よりは減ってきたように感じますが。

でも、氷室さんは30年前からその違和感に気付いていたのですよね。さすがです!

『いっぱしの女』は、約30年前の本なのに、まったく古びていません。
もちろん、懐かしさを感じる話題もありますが、でも感覚的なものは今と変わりません。

令和の今、復刊されたのは、やっと時代がこの本に追いついたということなのかも。
ほんとこの本を読んで良かった!

ぜひ男女問わずお読みください。
きっと大事な気付きがたくさんあると思います。

***

今日はもう一冊!
クリスマス前なので、クリスマスプレゼントにオススメの本です。

『ちいさな手のひら事典 薬草(グラフィック社)』

こちらは、富山県美術館のミュージアムショップで買ったものです。

レトロな装丁の可愛さに惹かれ買ってしまいました。
サイズは手にすっぽり収まるくらいで、
ページの縁は金で彩られていて華やかなので、
クリスマスプレゼントにもいいと思います。

「小さな手のひら事典」シリーズは、
「花言葉」「月」「魔女」「天使」「ねこ」
などもあります。

ちなみに、ミュージアムショップで一番人気は「ねこ」だそうです。
私は「花言葉」が欲しかったのですが、無かったので「薬草」にしてみました。

ハーブなどの薬草の由来や効用がイラストともに紹介されています。

例えば「ラベンダー」という名前は、
古代ローマ人が、ラベンダーで湯に香りをつけて入浴していたことから、
ラテン語で「水で洗う」という意味の「ラヴァーレ」にちなんでいる、
といったようなことが載っていて、読み物としても楽しめました!

***

さて、毎年最後の「ユキコレ」では、
私、田島が選ぶ「本ランキング」を発表しています。

本来なら12月29日が年内最後の水曜日なのですが、
今年は年末の特別編成につき
12月28日(火)が、私が担当する年内最後のgraceになります。

いいですか。火曜日ですよー。

なお、29日(水)30日(木)のgraceはありません。
来週は、27日(月)が垣田さん、28日(火)が田島です。

そして、「ユキコレ本ランキング」は、28日(火)の14時25分ごろ発表します。
合わせてこちらのブログにも同じ内容でアップしますので、
どうぞよろしくお願いします。

さて、私はどの本を今年の1位にするのでしょう?
良かったら皆さんの今年1位の本も教えてください!

yukikotajima 11:56 am