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またね家族

2020年6月10日

6月21日(日)は父の日ですね。

あなたのお父様はどんなお父さんですか?
また、どれくらいの頻度で連絡を取ったり、会ったりしていますか?

今日は、父の日を前に読んでいただきたい一冊をご紹介します。

『またね家族/松居大悟(講談社)』


松居さんは、劇団ゴジゲンを主宰し、
脚本家、映画監督、そして俳優でもいらっしゃいます。

以前、富山出身の作家、山内マリコさん原作の映画
『アズミハルコは行方不明』の監督をされたときには、
graceにもご出演頂きました。

◎graceにご出演頂いたときのブログは コチラ

気さくでとても話しやすい方でした!

そんな様々な分野でご活躍の松居さんによる初の小説が『またね家族』です。

作品を本屋さんで目にして、え?松居さんってあの松居さん?
と思わず手に取って本の帯を見れば、
池松壮亮さん、ジェーン・スーさん、朝井リョウさん、石崎ひゅーいさんのお名前が。
皆さんのコメントを見て、読んでみることにしました。

***

主人公は、小劇団を主宰する武志という24歳の男性です。

福岡から上京して7年目のある日、父から初めて連絡がきます。
その内容は、父は余命3か月で、もって半年らしいというものでした。

武志にとって父親は、中学1年ときに離婚してからは
正月とお盆に親戚で集まる以外で会うことは無いし、
会っても父は必要最低限しか喋らないので、苦手な存在でした。

また、武志は2歳年上の兄のことも苦手です。
10代の頃、不良だった兄のせいで引きこもりになったこともあるため、
武志はずっと兄におびえています。

しかし、武志は余命わずかな父に会いに故郷の福岡に頻繁に帰ることになり、
兄とも連絡を取るようになります。

この息子二人と父親という男性だけの関係がとてもリアルでした。
言葉が足りなかったり、すぐにはぐらかしたり、
逆に状況次第では妙に素直になったり、
そこには家族ならではのノリというものがあって、
その空気感が絶妙でした。

『またね家族』は、そんな家族のやり取りが描かれた小説なのですが、
同時に武志自身の物語でもあります。

武志はとにかく色々うまく行きません。

主宰している小劇団はトラブル続きなうえに
せっかく頂いた仕事も思い通りにいかず、
恋人との関係も変わっていき、
さらに父親は余命わずかという状況です。

武志には常に人の目を気にするところがあります。

自分を大きく見せてしまったり、
かと思えば、この発言で正解だったのか?と気にしたり、
空気を読みすぎて思っていないことを口にしてしまったりします。

そんな武志に私も少しばかりイライラしながら読んでいたところ、
彼は一番やってはいけない、大好きな彼女の前でやらかしてしまいます。

ある日のデート中、日帰りデートだと思っていた彼女に
サプライズで宿を取っていたことを伝えたところ、
喜ばれるどころか、ある理由から「泊まるのは無理!」と言われてしまいます。
そして嫌な雰囲気に…。

どんな理由かは本を読んで頂きたいのですが、
私もこの状況なら彼女と同じことを言ってしまうかもなー。

彼には良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうことがあるのですね。

とは言え不器用な武志も様々な経験をしていく中で、少しずつ変わっていきます。

大好きな演劇のこと、彼女のこと、
そして、苦手な家族のこと。

武志はそれぞれの問題とどのように向き合っていくのでしょうか。
ぜひ本のページをめくって彼の頭の中を覗いてみてください。

***

いい本でした。
まあ最初は、いちいちめんどくさい男だなあとは思いましたが。(笑)
でも、武志になんかイライラしたのは、
もしかしたら私にも似たところがあるからなのかもな。

泣いたり笑ったり怒ったり熱くなったり
読者である私の感情も変化しっぱなしで
最終的には心が程よくマッサージされた気分でした。

この本は、ぜひ父の日の前にお読みください。

父のことはどちらかというと苦手という方も
本を読んだ後は、まあ久しぶりに連絡くらい取ってみようかな…
という気持ちになっているんじゃないかな。

それから、お父様のことだけでなく、仕事や恋人との関係など
色々うまくいかないという方もぜひ〜。

***

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