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『1ポンドの悲しみ』

2007年7月1日

週末に東京に行ってきました。
詳しくは、明日の日記に書きますね…。

その帰りの車内、石田 衣良さんの
『1ポンドの悲しみ』を読みました。

東京駅の本屋で、
電車の中で読むので、短編集で、簡単に読めるものがいいなぁ、
と思って探していたら、この本が目に飛びこんできた。

石田 衣良さんの作品は、
透明感にあふれているのだけれど、鈍い痛みが伴うものが多いので、
読むタイミングを間違えると、後を引くことになる。
だから、買う前に一瞬、迷いが生じたのですが、
目に飛び込んできたのも何かの縁と思い、購入。

『1ポンドの悲しみ』は、
他人のしあわせのためにだけ働くウエディング・プランナーの由紀、
本を読む男を好きになる千晶など
迷い、傷つきながらも恋をする30代の女性たちを描いた
10のストーリーがおさめられた短編集。
(そういえば、最近の私は30代女性が主人公の話をよく読むなぁ。。。)

学生の頃のような「恋」とは違う。
それぞれが、自分自身を確立していて、
好きな人のために自分を変えよう、とは思わない。
歩み寄ることはしても、合わせない。

この本は、普通の女性達が描かれています。
しかも、都会の女性。
やっぱり、どこか、きどった雰囲気があります。キレイなの。
石田 衣良さんの作品は、どんなに痛くても、辛くても、酷い状況でも、
美しさがあるような気がします。
今回もそんな気がしました。
別に、悪いということではないですよ!
石田さんらしいな、と思っただけです。

男性が女性を描くとき、
やはり、私たち女性とは、少し感覚の違いを感じることがあります。
でも、そこに作者の思う「女性」を垣間見ることができて、面白い。

石田さんも、女性はキレイなものとして、描いてくれる。
その逆なのが、男性の描き方。
まっすぐ一生懸命な女性に対し、
斜に構えていたり、不器用だったり、冷めているフリをしているヒトが多い。

でも、そんな人たちが女性と出会い、変わっていく様子は、とても心地いい。
女性の話だけど、女性の変化よりも、
私は、男性の変化の方に、興味が湧き、そこに面白さを感じました。

なんか、嬉しいなぁと思って。
女性によって、男性が変わるのって…(笑)。

『1ポンドの悲しみ』は、
タイトルだけを見ると、悲しいお話のような感じがするけれど、
悲しみのあとにくる、あたたかさを感じる、
例えば、泣きはらしたあとの、すっきり感を感じる、作品です。

恋にブレーキをかけてしまっている方には、
いい起爆剤になるかも。

yukikotajima 11:09 pm